たべる しゃべる


*2006年7月発行
*発行:情報センター出版局
*全国書店にて1500円(税別)

*写真:長野陽一
〔料理や、人、場所などたくさん)
*ブックデザイン:葛西薫、安藤基広
*料理レシピ付き

「たべるしゃべる」の担当編集者は知っている。


あるところに、ひとりの女がいました。
女は、いつも料理を作っていました。
来る日も来る日もせっせと料理を作り続けて、料理を作ることが自分の役目だと思っていました。
そうして幾年も料理を作るうちに、次第に上手になっていきました。
職人らしく手際よく作り、ちょっとした工夫も忘れませんでした。
まわりの誰もが、その味に感心しました。

そんなある日、鍋を火にかけた手を止めて、女はふと思いました。
あれ?わたしは何のために料理を作ってるんだろう。
ただ、料理が上手になるだけに作ってるんじゃない筈だ。
誰のために?

少女の頃、好きだった人のこと、その人に作ってあげたかった気持ちが蘇ってきました。

ほかに誰もいない台所で、女がぼんやりと宙を見つめる中、 鍋の煮える音だけが
ぐつぐつぐつぐつぐつぐつぐつぐつぐつぐつぐつぐつと鳴っていました。


高山なおみが、「その人」の元を訪ねてごはんを作り、一緒に食べました。
そして「その人」の海へ、いっしょにもぐっていきました。
いろいろな人との、いろいろな世界が拡がりました。

[目次より]
■「根っこがいっこで、途中からふたつになってる大きな木になりたい。みはらしのいいところでね」
カトキチ&アム アムプリン製造/販売

■「ひと言でポンて終わらせるのが、なんか悔しいの。相手に一緒のものを、1ミリでも感じてほしいからさ」
永積タカシ ミュージシャン

■「物にも心がある・・・そういう気配や直感を、気のせいだって思わなくていいんだなって思ったんです」
丹治史彦 アノニマ・スタジオ主宰/編集者

■「なにしろボクは、小学生のころから物と遊んでましたからね」
吉田昌太郎 アンティークス・タミゼ店主

■「ひとつのことに夢中になると、ホントに周りが見えなくなっちゃうんスよ」
齋藤圭吾 写真家

■「淀みがあるところが、つい気になっちゃうんだよね。風通しよくやりたいんですよ」
有山達也 アリヤマデザインストア代表/デザイナー

■「料理って、誰かのお腹の中に入って完成されるとこあるやん。写真も同じやと思う」
川内倫子 写真家

■「危ういところで、その言葉しかないっていうことを、出てくるまんまにダーッと書いていきました。」
いしいしんじ 作家

■「だって、みいなんかより料理が上手な人は、ごろごろおるじゃろう?」
スイセイ 発明家/夫



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