帰ってきた 日々ごはん 1


アノニマ・デジタライザ

*2015年12月発売
*発行:アノニマ・スタジオ
*全国書店にて1400円(税別)

*2008年11月〜2012年9月の日記。
*いつもの『おまけレシピ』の他、豪華『アルバム』、『スイセイ解説ごはん』など、特別「帰ってきた」仕様。







スイセイ本作りごはん
「帰ってきた 日々ごはん 1」についての


*「帰ってきた 日々ごはん 1」が実際に発売になるまで実況でお伝えした記録です。えーわたくしスイセイと申します。

リンクまとめ
*アノニマサイト内、ちょと前のニュース
*アマゾン内「帰ってきた 日々ごはん 1」紹介
*じゃ、まず前回のおさらいです
*そして電子書籍シリーズも
*元祖「日々ごはん」も!

*スイセイ過去文例
*本ページ主題歌およびBGM「天のかけ布団」(謝リンク)
*総天然色チラシ豪華プレゼント!(提供:アノニマ・スタジオ)


●2015年12月18日(金)青い巨きな穴があいている
「きょう」と[残像 029] が合わさり、そして最終回。
あーこのたびは「日々ごはん」がどうかしたとかで、こういうことをしてみた。 ふだんは屋根裏の納戸自室で部屋も頭も散らかり放題こいているので、ちょっと慣れんかったが、あ"ーおもしろかったー。
あのー、ひと口パン、なんとかいき渡ったかの。

「よし。」
「じゃ次はプラカード・サンタのバイトだ、ごめん。」

(スイセイは短くいい終わるとすでに年も日も暮れようとしている商店街に掻き消える。ベカベカネオンと雑踏と安スピーカから中島みゆきの歌やら鈴の音やら、景色も音もゆっくり混ざりつクローズアップするとともにモーフィング効果も加わり、ちょうど本書表紙中央のノイズ地と、か、さ、な、る。3秒停止。こんどはゆっくりクローズダウン、はみ出てた表紙全景がスクリーンに納まったとこで固定。題名や帯の文字が読める。)

「はい、カットー」。
謝、そして了(文字表示)。



●2015年12月17日(木)ハロー!注意報
あ"ー。
いま、働きものの宅急便屋さんが全国書店に「それ」を配ってるんだろうな。
あしただよ、あした。


[スイセイ工作教室]は休みマス。


[残像 028]
「幸福の王子 2015」
ある日、王子はほんとうに飢えているのは自分だということに気がついた。
こんな自分に金なんか似合わない。
からだの金をツバメに剥がしてもらい、町の貧しい人に配った。
やがて金はすべてなくなり、鉛のからだとなった。
ところが王子の気持ちは落ち着き心の飢えが取れ、揺るぎない幸福に満たされた。

鉛の像は町の人たちに磨かれ、陽が当たって金色に光った。



●2015年12月16日(水)春?の陽気
えーただいま夕方すでに酔っ払い、あたまぼやぼやしてまーす。


[スイセイ工作教室]は休みマス。


[残像 027]
「誰も知らない 2015」



●2015年12月15日(火)そもそもこうなんじゃないか空は、とも思わせるなんて均一なグレー
どこがどうだろうと年の区切りだろうと、おれは自分の仕事をする。


[スイセイ工作教室 008]
工作はかならずといっていいほど、思い通りにはいかない。
それは自分と世界との差なのだが、そういうときどうするか。
簡単にいうと、自分の口を広めに開けて飲み込んでしまう。
そうして「思わぬこと」を工作の素材として組み込んでしまう。

それがうまくできれば、「思わぬこと」、「偶然」を「必然」に変えることができ、より力強い工作品となる。


[残像 026]
竹ひごを組んでやはらかい紙を貼り細いろうそくを入れたような走馬灯が、ゆっくりギクシャクしながら動きはじめた。



●2015年12月14日(月)抑揚のある全雲
嵐の前?、の静けさかな。
静かだが、見えないワイヤが一本空中にピーンと張られている。
ヒリヒリ。


[スイセイ工作教室 007]
工作の世界のいいところは、公平なところですかね。
たとえば「小さい穴に大きいネジは入らない・」です。
変なことをしようとしても、きわめて具体的に否定されます。
目の前に実物、物証としてあるので、ごまかしようがないです。
人がどれだけ堕落したり絶望したとしても、物理以下には落ちません。
落ちようがないんです。
人も物ですから。


[残像 025]
日記とは。



●2015年12月13日(日)雨雲
午前、家人と長めのミーティング。
来春くらいまでの方向性すり合わせ。


[スイセイ工作教室 006]

ほれ。


[残像 024]
「基本力学でも流体力学でもすでになく 流体をこちらも流れつみるような 泥で泥を描くような・」(2015年)
「日々ごはん」も。



●2015年12月12日(土)未明
8日に豚鍋をしてたくさん野菜スープが大量に残っていたので、家人の留守中はそれで麺類を煮て食べたりしてた。
ゆうべまだスープがあったので、近所のつきたて餅を入れ雑煮をおいしく食べ、ひとりワイン食らってすっかりごきげんで寝床に入ったちょうどそのとき。
電話が鳴り、家人がこれから新大阪を出、うちに帰るという。
えー!


[スイセイ工作教室 005]
工作は、頭で考えること、スケッチしながら考えることの延長線上にある。
ものを触り加工しながら、手で考える。
考えだから、当然迷い、逡巡し、紆余曲折する。
迷いにこそ真髄がある。
また、これを見守る目も変わる。
できたものは、そのときなりのひと区切りでしかなく、いわゆる完成はしない。


[残像 023]
「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し。」なんちゃらかんちゃら。
そうか、方丈記(1212年)か。



●2015年12月11日(金)我慢しきれず落ちだしたような雨

あ、いや、これは仕事だ。
本の作りがちゃんとしてるか、見本の検査している。
あまりの緊張で、リラック剤飲用しないと。
(アノニマ村上さん撮)


[スイセイ工作教室 004]
・図面
空中に浮かぶイメージを、紙に定着させます。
フリーハンド・スケッチ、鉛筆と消しゴムで逡巡していると、サイズなどもだんだん定まってきます。

・構造
工作は構造である、と言っても差し支えありません。
これをしっかりやらないと、ものを作ったことにはなりません。
工作の要素、ほかにもうひとつ「見栄え」というのがありますがこっちは寝ぼけててもできます。


[残像 022]
高山なおみとは、ひょんなタイミングで知り合った。
そのまま、その成り行きを過ごしてきたので、当人たちにとっては「特になにも」だった。
ただ、この歳になってまた別のものがあるように思えてきた。
それは当人にもいかんともしようがない、「状況」のようなもの、だ。
あるいは知らぬ間にふたりの発酵案外すすんでて、それを招いたのかもしれない。
これらを短い言葉で言うのに、また10年かかるだろう。
そうやって短いのか長いのかちっともようわからん、「とき」の間の間に。
おれらは生きている。



●2015年12月10日(木)おだやかそうなだんだら雲と空
家人から電子通信あり、「海と空が。孤独の島ハルに、近いくらい。」って業務と違う文送ってくるし。

さあ発売までのカウントダウン、10、切っています。
そろそろ夜逃げの支度でもするか。
アノニマ村上さんが夕方爆弾もってくるっていうし。おれなんかなーんにも悪いことしてないのに。


[スイセイ工作教室 003]
・作ったものが使われて終わるまでが工作
(ここは一年生は飛ばしてください。)

(で、じつは自分はここまで楽しくできるんですが、これ以降はあんまり好きじゃないです。めんどくさいから。)

・材料をそろえる
ここから物理にさわります。
(ほかに物理じゃなく対象の意味を変える方法、「見立て」っていうのもあることはあります。ただまーこれは高学年になってからですね。)

ものについては、自分に近いものから偉いとなります。
たとえば、自分エキスの浸みこんだ使い古し、家族や友だちのいらないもの、道端で拾ったものが3大偉いです。
つぎに近所のリサイクル品、100ショップとなります。(これは人によって異なります。)

また物理的には固くて重いものほど偉いです。
でも固いものほど加工が難しくなりますから、自分の技術との兼ね合いです。

また、時間要素も加わります。〆切なんかを意識します。(あ、おれだ。)


[残像 021]
再設定、(ボタンをポンしただけ)をしてから格段に具合はよくなった。
ただ友だちが少なくなり、ときおり人がわけもなく怒ったりするだけだ。
おそらくどの人もそれぞれそういうもの、物語のようなものを持っているんじゃないかと思っている。
でもそれを主人公とはしていない人も多いとも思う、自分もそうだったし。
ま、ふだんはいいけど大きいなにかに向かうときなんか。
こいつ奥ゆきあって、けっこう。
はてしない。



●2015年12月9日(水)洗濯びよりとかゆうてました、奥さん
けさ、家人関西巡業に向かう。そちら身柄保護などよろしくおねがいします。


[スイセイ工作教室 002]
・自分をニュートラルにしておく
「ニュートラル」とは自動車の運転用語ですが、「どのギヤにもはいっていない基本の常態」です。
運転しない人も、こんな感じの冷静をめざしてください。

・ぜんぶを感じるようにする
自分の目玉や皮膚にさわるすべて、これの内側も外側もぜーんぶです。
(これについては、またどこかで詳しくやります。)

・さらにぼんやりする
ここまでを済ませてからぼんやりしていると、どこからか淡いものがやってきます。
(それがやってこない人はあとで職員室にくるように。)

そして淡いものの淡さがだんだんとれるようなら。
淡さがとれて、まるでさわれそうなほどになったら。
それで「イメージ」の完成です。

(はい、ここまでテストに出るので何回も復習しとくように!)


[残像 020]
それから空想癖は、ながく低空飛行をしていた。
合わせて二、三年ほど会社つとめもしてたりして。
ただそういえば空想癖が動き回って仕事にならないことがよくあった。
小二の通知表に書かれたことは予言?
けっくきょ、結局こいつの頑固さにあきれて反省し、ついにはあきらめた。
このまま放っておくと「イキモノの道」から外れてしまう。
あらためてこいつを、自分の王として設定せざるをえなかった。
やむをえんかった。

(それがいまから二十何年か前のことで、これ以降の、高山なおみがらみのことは本書解説に書いた。)



●2015年12月8日(火)端のほう薄くもある全雲
家人より日記内容にクレームあり。ここ傍からの侵入禁止、聖なるわが物語なるぞ、もお。
きのうアノニマ広報さんと人力LINE交信実り、本の紹介画像増設。
このページのいちばん下から上に向けて歩いてきた一本道が参道、上のほう両脇に阿吽像、中央を高山なおみ式「日日」の門とする。


と、[スイセイ工作教室 001]臨時路上ライブはじめます。
・まず、ぼんやりします

・作らないようにする
夢は叶いません!
それは「そうしようとおもって そうしないと そうならない」んです。
あきらめの海にしばし漂います。
「人のため」という不純物もここでついでに塩水に溶かしておきます
(自分の動機が「人のため」を貫通してるなら、けっこう。)

その上で、やっぱり苦しいほど作りたかったらいたしかたありません。
作りませう。


[残像 019]
現代は結局すべてのものが、人の認知しうるあらゆる、すべてのものが画材になったのだと思う。
そして、人がいままでたどったすべてのやりかたが画法になったのだと思う。
泥で泥を描いたのは当然の帰着で、それはそれでよかった。
ただ。
自分でやめただけだ。



●2015年12月7日(月)未明
これに関する工作物ちょっと発注あって、別の用事も並行しながらようすをみる。
えー、例によってスイセイ工作の教科書1ページ目。
「まず、ぼんやりしましょう」。


[残像 018]
高校を出てバイトをし上京した。そしてバイトをし、ときに絵を描いた。
しかし身につけていた印象派のスタイルではなにか具合が悪かった。
モチーフ(対象)がわからず、それを探す方法も描く方法もわからなかった。
やみくもに絵の具をおいて、筆を動かした。
色が混ざり、泥色になった。

泥で泥を描いていた。



●2015年12月6日(日)風さえなければ春の光雲間
けふ未明、家人帰りつ楽しかたとだけ言いふとんに倒れる。いわゆる二日酔いでおれの読みでは昼までは寝てる。
あれはあれでこの「12月」の怒涛と近著が続くことの受け止めだと思う。生きものが激しいときに対して激しい姿のまま対峙している。
おれにゃ無理。


[残像 017]
うちの貧乏ゆえ公立工業高校に入学したがすぐに路を間違えたことに気づき、ピカソに相談したら転校するよりここに行けと美大受験用絵画教室を教えられ月謝をまけてもらいそことの相性もよく、高校いっぱい、出ても美大行くつもりないけど浪人としてプラス半年ほど通った。
ここでは西洋絵画を、木炭デッサン油彩画を習い、もの、を通して世界をみるやりかたがあることを学んだと思われる。
ひとつの静物は、それ自体の引力とそれを受けるテーブルとのあいだで葛藤している。先生はそんなことを言った。
冬場、きびしい先生の留守中に木炭デッサンで消しゴムとして使う食パンをストーブで焼いて仲間と食べた味も忘れられない。

国はとうに高度成長をはじめておりおれの空想癖は圧迫もされながらも、大人に向かう最小限の糸口をここで掴んでいた。
(あるいは、いまここでこうしてこんなことをするための最良の道筋をたしかに選んでいた。)
のに。



●2015年12月5日(土)年末大掃除すませたような空 青
きょう、都内某所で家人営業。
そこで本書のチラシ初配布とのこと、アノニマ村上さん。

ここのページのテーマソングを「ヘッドライト・テールライト / 中島みゆき」としたいと思った。
天のかけ布団、中島さんありがとう。
ちゃんとBGMとしてきこえるかは読者の想像オーディオしだい。


[残像 016]
中学の担任がピカソかぶれのひとで、美術部顧問でもあった。
ある日、美術室の壁もテーブルも真っ黄色に塗ってあったが、部員全員吐き気をもよおすこと顧問に訴え、すぐに戻った。
ある日、おれのほぼ完成した油彩画の上に、どうしてだか下級生が自分の絵を描いた。
ある日、校長が酒飲んでいたずら過ぎたとかで新聞地方欄トップに書かれ、体育館に生徒集められ当人が泣いて謝っていた。

だがここまではのんきに情が行き交い、不快じゃなかった。
いまとなれば、まだそういう時代だったのかもしれん、とも思う。



●2015年12月4日(金)仰ぐ空新品の青道端の 光射されし黄金のゴミ
えーただいま「それ」は、でかい印刷機の中で無数の小人たちがせっせっと動き回る工程に入っております。
とても順調に予定日にむけて進行中です。
さあさおれも、(別の)しごとしごと。


[残像 015]
小五のころから家庭科やら図工の成績が伸びてきて、興味はだんだんそっちに移った。
小六のときにうちに来たテレビジョンにも頭をやられた。
中学になって、読書はホームズやらドストエフなんちゃらあたりでやめた。
(ドストはエピローグの雄大な景色が気持ちよかった、が。)
そんで、美術部に入った。
おれの空想癖はそっちを選んだ。

(ところでどうしてまた、こういう告白がはじまったのか。)



●2015年12月3日(木)情感雲柄
(きのう、)世界印刷の前線だからもちろんハイテク工場なんだが、結局はここの親方さま(工場長)とのにらめっこだった。
この親方さま凄まじい存在(感)で、ちょっとくらい暴れ癖のある犬でもその姿見えただけで、尻尾巻いて逃げるだろう。
そういう生きものどうしそれぞれの存在をかけて、工場音掻き消え息を殺し単語数個交わしただけで、数十頁分の色校、プリントカラーの確めが永遠、いや30分で終わった。
あ"ー。くたびれたー。
職人言語というものがありそれはテレパシイに近く、そういう遣り取りができたと思う。
いままでそうであったようにこれからも「日々ごはん」シリーズを、この親方さまにお願いしたいとあらためておもった。
ヘロヘロ足でうちにたどり着き、ふと鏡を見たら、なんと頭髪が真っ白になっていた。

あれ?とっくに白髪だった?
ともあれおれの実働任務は終わった。
ただなお余る情を当分、季節の低気圧に託したく。くずれたらごめん。


[残像 014]
「としょしつ」だから、もちろん児童むけのものだろう、アラジンがどうしてとか、海賊船にのって酒樽の中に隠れた記憶がある。
それは読んだ記憶ではなく、体験として残っている。
小三小四になっても学校の記憶はみっともないほど少ないから、記憶容量をそっちに取られてたんだろうか。
勉強もできなく、宿題忘れの2位で、参観日に近所のオバちゃんがそれを見つけて高笑いしたのは覚えている。
そうか、それは恥ずかしいことだったんだ。



「ジャージ、って・・・」、
「ス、スイマセン、これしかないもんで・・・」、
「・・・」。
(アノニマ村上さん撮)



●2015年12月2日(水)天気下り気温とくに下にと
本作りにおいては、なるようにしかならないと思っている。
スズメがハトを産むことはできない。
スズメなりにふだんからしてることをすることが、せめてものだとも思う。
出てきたものが奇形でもしかたないと思う。
そういう天然が「本体」なんだと思う。
オモウ、。

ブツブツいいながら、村上隊長と合流すべく関東北方面に向かう。


[残像 013]
小二のころ、「としょしつ」っていうものを発見して、通いだしたらしい。
クラスの「としょいいん」にならされたから、それはそういうことだろうと思う。
借りて読みだすと止まらなくなり、休憩時間からはみ出て授業時間もぼんやりしてたと、当時の通知表に書いてある。
「そのせい」というより、そのまえから、おそらく生来の空想癖のようなものがあり、そいつが見つけるべきして見つけたんだろうといまでは思っている。
「本」を。



●2015年12月1日(火)蒼天ちゃん
ついに「12月」がやって来た。つい一週間前まで正月だったのに!
水木しげる兄、・。

アノニマ機動部隊、村上隊長と印刷所への潜入相談。
日本の印刷技術は世界一である(と思う)。
その中枢、巨大印刷機ガンダムに乗り込むときが、やってきたか。
さすが魔の12月。作戦名を「色即是空 できるとこまで」とする。
だって「色の色色」問題なんか、そもそもかないっこないじゃん。


[残像 012](12づくし)
そうこうしているうちに、文ができてきた。
こちらはスイスイとタドタドがまざるのだが、レポート形式よろしく、ひと針づつ縫っていく。
雑巾(やっぱり)12枚とか、手縫いするほどの手間でできたと思う。
それで。
まーまー受け入れられた。
「ただもんだいは、もうひとつのほうで。」
「このときは、たった束の間の凪でしかなかったし、そのこともまだよくわかっていなかった。」
(「北の国から」の「純」風、そしてそのBGM。)



●2015年11月30日(月)雲
「ちゃんと支度できたの?」というカーサンの声を背に、スイセイは肩をすぼめて玄関を出た。
通学路の向こう、とおい校舎の屋根をさわるほど暗い雲が垂れ込めていた。


[残像 011]
ーースイセイさんからは高山さんはどお見えるんですか? 3
「日々ごはん」をよーく読むとそういうことが書いてありますよね。
そんでスイセイはその薬味でね、ネギやワサビなんかと一緒なんです。
高山がちょっとベロを覚ますための、そしてもっと食べるための!
うう、いたいけな青年がぼんやりしてるうちにさらわれて、そ、そのあげくに喰われようとしてるんです。
みなざん!・・・う"う"・・・。

(了。)



●2015年11月29日(日)けふも蒼天
アノニマ村上さんより、月朝、校舎の裏で待つとのこと。
ほーら来た。
厳しいたたかいに備えて、別の宿題もやっとかんと今度は家人までからんでくるから、(あとカレンダ作るまで新年くるのちょっと待って)。


[残像 010]
ーースイセイさんからは高山さんはどお見えるんですか? 2
ただー、そういう立場は似てるんですが、やりかたは違うんです。
おれは臆病なので消去法なんですが、高山はその正反対なんです。いきなり突っこむんです、真ん中に。
突っこんで、掴んで揺らすんです。
そいでスマしてますから、そーりゃ怖いですよ。
(なおつづく。)



●2015年11月28日(土)東のほう全天の深い青を突く、明るいオレンジが見える。夜明けだ。
やはり、みょうに静かなときはアノニちゃん印刷所(東京郊外?)なんかに出かけてること判明。まだ色校(最終)らしい。しつこい?熱心、どっちだ。


[残像 009]
はい、それでは質問コーナーです。(トイレに行きたいかたは今のうちにどーぞ。)
ーースイセイさんからは高山さんはどお見えるんですか?
あーいい質問ですね、んー、まー大枠では似てるとこありますね。
定型からはみ出てしまったと。クラスの端のほうで、不良でもないし、バカに近いんですがまんざらバカとも言いきれないような。
そういうふたりがやっぱり人生のあるいみ端っこのようなタイミングで出会ったと、ゆー感じですかね。
ただー、。
(つづく、あしたもみてね。)



●2015年11月27日(金)はれ、夜准満月の予定
みょうに静か。


[残像 008]
それにつけてもいつしか「日々ごはん」は実書籍となり実本屋にならぶようになり幾年かたち、やがてなにやらスイセイがいいものとでもいうような評もみかけるうち、アリガタイとともにちょっとヤマシイも育ってきたことはたしかだ。
じつはしらばっくれてカタギの場所に身をおかせてもらってたのだが、やっぱりいつまでもとはいかないようだ。
たとえるなら磯野家のマスオさんにじつは裏の顔があった、というようなことだろうか。
しかたない自首しよう。
自分の些細なんか、読者の目にはかなわない。



●2015年11月26日(木)雨雨
いまの時期はアノニマ営業さんが動いているようだ。
(文や絵という夢を印刷所が大量に物質化し、)その物質をどこにどう配るか、の算段をしているらしい。身をもって、おそらく全国をまたにかけて。
ところで原節子、せっちゃん、おつかれさまでした。


[残像 007]
そして登場多いおれにその感想をもしたずねられたら「意に介してません」と答える。
じゃ、それはなんでか。
「日々ごはん」は高山なおみの目だからだ。
どのひとの目もけして「実態」だとはいえないように「日々ごはん」も実態の記録ではない。
実態に対してどうおもいどう接したかという高山なおみの物語だからだ。



●2015年11月25日(水)雨、氷雨には早いが
本の印刷所はようするに巨大なプリンタで、そのためのテストプリントを色校といい、まさに現在進行中です。


[残像 006]
当サイト自体、「日々ごはん」も2002年まだブログという言葉もないころ。
当初は知り合いの1、2回/日ほどのアクセスからはじまった。
それからしだいに気づかぬようにアクセスふえたから、パブリックに身をさらす意味などわからずにふだんの周囲にだいたい実呼名で登場していただいていた。うすうす危うさを感じたのか断りをいれたひともあった。



●2015年11月24日(火)ん?晴れか
勤労ごくろうさまです。まー師走ひかえてますからゆっくりでね。
ほぼ日課としてるのが近所一周4.4キロの散歩だ。木々の多い用水路沿いを歩き、また気ぬけたでかい公園もあり四季を感じながらのひと周りで、車はもちろん、信号も(2.5回?しか)出くわさない。自分の中の小動物と相反して、生来のボーっと症でもあるおれにはこういうことがライフラインだ。


[残像 005]
あのーじつはうちふたりともバツ一で、いまだに結婚の意味がよくわからず、じゃあ話し合おうってやってたら二じゅうなん年たったわけで。いいかえるなら「結婚コンプレックス」の略「結コン」だと思っています。めんどくさい、すんません、それ由不器用と自認してます。たぶん当人たちがいちばんめんどくさい、に免じてください。
そんでこのたび「帰ってきた」っていうなら、どうせならそこまで「帰ってきた」く。
えー?どこまでってもーそこですよー、「そこ」。



●2015年11月23日(月)雲雲
勤労感謝の日、さすがに五日市街道もアノニマの動きもおとなしいようだ。え?もしかしておれうるさい?


[残像 004]
だれの中にもその底のほうに泉があると思っている。泉から出てくるものの量や勢いは変えられない、自分とは別のところにに動機があるようだ。ただ出てくるものを眺めるしかないキャンバス白を眺めるように。粘性でもあるのかしだいに出てくるものがある量と形にまとまりはじめ、ちょうどお腹あたりが膨らんでくると苦しい。きっとこれは「つわり」なんだが、ちがうのはそのまま上がり上のほうから外に向かおうとしていることだ。
そして日日を惚けて怠けて暮らし部屋ちらかり放題おれの胸が内側からノックされ、「あ、浮かんだ」となる。



●2015年11月22日(日)
世界には夜というものがあって寝ることができること、また一日というものがあってきのうとちがう新しい日をすごすことができる。


[残像 004]
部屋のどこかかたすみにネジがひとつ転がっている。このネジはいったいどこのなんのネジか、このネジが外れたことで日日という総合機構のどこのなにがゆるんで壊れることがはじまるのか、不安が立ち上がってきてうろたえる。日日は土台基礎として頑丈でなければならない。そんな風なことを思いつキャンバスの白を眺める、まさに空白あわくおぼろがゆれているような。



●2015年11月21日(土)空、青
3連休、世とちょっとずれてるうちのリズムとちがうが、現場のみなさんおつかれさまです。
そんでーアノニマ広報さんなにやら言ってたの、やっと意味がわかった。
新刊紹介、「帰ってきた 日々ごはん」のフロント(総合案内)ができたんだ。
また表紙画像の上右端の中途わっかが可愛い。ついおれも予約と思たが当事者だったか。


[残像 003]
それからいく月か宿題は放っておいた、手付けずなにもしない。人にとってはいらつくようだが、このときが一番だいじだ。あたりを眺め浮かぶを待つ、浮かばなければ謝り断るしかない、文芸なまけもの流にて。
案の定このことが家庭騒動も引き起こしもした、またこの夏が例年にない猛暑続きで。(CM:詳しくは当「日々ごはん」でね)



●2015年11月20日(金)全天の雲
ゆうべポストに「色校」が届いていた、いい意味で「ゲッ」だ、いや「ゲッツ」にしようか。
きょうの曜日に「金」とあるし「色校」、「色空是空空即是色」「色のいろいろ」問題、最後までのこるのはこいつか。


[残像 002]
それからほどなく高山より「ねー今度のやって」と絵の依頼があった。じつは中校生のころより絵のたしなみがあり、とうに油絵、版画はやめたつもりでも紙切れ落書きがやめられないでいた。なんとなく頼んだのだろうが、「おもしろいじゃん」がすぐに出た。また別用での経緯もあり短文も。文芸がさそってる。



●2015年11月19日(木)晴れ
きょうは高山自宅スタジオで撮影の日、こういうとき「食べもの」ジャンルであったことよかったと思う、だって「食べもの」だもの。
アノニマ広報さんより本紹介のためのWEBなにやら製作中とのこと、楽しみ。
このページ「ひとりツイッタ」との軽口もあるが、たしかにホット回線にしてあり日に2度以上書き込みするかも気持ちがのったら。
日が暮れてアノニマ村上さんより「色校」という本作り終盤のたいへんなものを明日届けるとの連絡。ひえー、とも思いつこれから外食飲酒に出かけるだっちゃこうでもせんとプレッシャに耐えられん、逃げろー。


[残像 001]
思えばホントに1年前のまさにこのごろ、うちのリビングにアノニマ村上さんとアノニマ新人2名かしこまってて、おれらも緊張混じりの安茶すすってたんだよなーちょうどこんな秋の空気で、このとき。
アーもう言えんこれ以上言うと仲間を裏切ってしまう。



●2015年11月18日(水)
えーっと、アノニマ村上さんなど、周囲がなんとなくピリつき感がなくもない。え?どうしたんだ、おれなにか悪いことした?
ぎゃー、今見たらアマゾンに表紙がでとるし、いったいなにが起こるんだ。






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