たべもの九十九(つくも)


*2018年3月発行
*発行元:平凡社
*全国書店にて1400円(税別)


「完璧よりも、ちょっと足りないくらいの方が落ち着くし、おいしい。」

わたしはいつもどこか足りない。人として不十分。九十九という数は百にはひとつ足りないけれど、欠け、ないものや見えないもの、わからなさ、沈黙、すきまにこそほんとうがひそんでいる気がする。たべものも同じ。完璧よりも、ちょっと足りないくらいの方が落ち着くし、おいしい。ことばそのものよりただよっているまわりの音。におい、ひかり、いたみ、よろこび、かなしみ、あ、みんなみがつく。見えないけれどたしかにあるもの。信じてる。
あと、九十九=つくもは、つくねとか、がんもどきとか、つみれのような音。願いごとのような音。何度もくり返し「たべものつくも」と唱えると、「つく」にアクセントがついてラップのようにも聞こえる。何かがはじまりそう。   高山なおみ

あいうえお順の、43の食べものにまつわるエッセイ。25の思い出レシピ。
食べものを通して、子どものころからの記憶や思い出をたどり、「なんだか、それこそ、生い立ちの記のようになってしまいました。」(本文より)。
高山なおみが、生まれて初めて挿し絵や表紙の絵を描きました。

アートディレクション:有山達也
デザイン:山本祐衣(アリヤマデザインストア)

*関連イベント:『たべもの九十九(つくも))』高山なおみ直筆の原画展!

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