2003年3月下

●2003年3月31日(月)

今日もまた撮影でした。
カット数が多かったので、けっこう長ちょうばで、終わったのは7時だった。ふー。
夜ごはんは残り物がけっこうあるので、風呂に入ってとにかく寝よう。
ちょっとだけ飲みたいような気分だが、明日はインタビューで顔が写るので、いい子にして寝ます。

●2003年3月30日(日)晴れ、桜が咲いた

フツカヨイ。
11時に起きて風呂に入り、サッポロ1番を作って食べる。ひと仕事しようかと思ったけれど、ぼーっとしてぜんぜんだめなので、また布団にもどることにした。
4時に起きました。
夕方、明日の撮影の仕入れに出た時、並木道の桜が咲いていた。三部咲きっていうところだろうか。自転車の人も、歩いている人も、皆上を向いて桜を見ていました。
今夜のウルルンはスペシャル編で9時から始まるので、晩ごはんは7時には食べてしまった。撮影の残りのお刺し身、ごぼうの炊込みごはん、しいたけと絹さやの味噌汁。
これから、明日の撮影用の仕込みをすれば、今日の仕事は終わりだ。

●2003年3月29日(土)晴れ

ゆうべ、隆明さんの「幸福論」を読み終わった。
私が信頼している大人(父親くらいの年代)って、隆明さんくらいだな。河合隼雄さんと、水木しげるさんもけっこうイーセンいっているが。
隆明さんは、考えに考えることももちろんしてらっしゃるが、最後のところは実感に任せているところがいいと思う。そういうのがほんとうだと思う。
私は、この人が生きているおかげですごく助かっている。人間として、お手本の人だと思っている。
撮影最終日。
4時にはすべて終わり、打ち上げに突入。
日置さんが1升瓶よりもっとでかい、スペインのシャンパンを持ってきてくれたんです。他の皆も、全員がワインやらビールやら持ってきてくれた。
ちょうど良い頃に、本澤さんもコロッケ、メンチ、ビールを持って駆けつけてくださる。
私は、すぐに酔っぱらった。撮影でけっこう緊張していたのがほどけたんだと思う。まだ空が明るいんだな〜と思いながら、べらべらとよく喋ったのを覚えている。
けど、その後のことを覚えていないんです。
覚えているのは、玄関で本澤さんに抱きついていたことだけ・・ 気がついたら布団で寝ていました。そして、寝ていたのに急に泣き出した私。泣いたら急に吐き気がやってきて、吐きもした私。
なんで泣いたかというと、思い出したのです。藤原さんの真面目さについて、ぐっときたんです。
撮影が終わり、あとは書き写したレシピを参考にして原稿を書きさえすればいいのに、藤原さんは、「いち日、時間を作っていただけませんか」と言った。
「もういちど、さいしょからレシピやコツについて、高山さんの口から聞きたいんです」と。その時にはなんでもなく感じていたが、あとからじわじわときた。
風呂に浸かりながら、私ははっきりと思いました。
もの作りに必要なのって、そういう熱意だけだなぁと。あとのことは、もう何だっていいような気さえする。

●2003年3月28日(金)快晴、杏の花が満開

昼からずっとパソコン仕事。
次の撮影のレシピを、今日じゅうにがっちり書き込んでおかないと間に合わないので。
とちゅうベランダに出て、ハル(大家さんの柴犬)がうろうろするのを上から眺める。「ハルー!」と私が呼ぶたんびに、5秒くらいこっちを見上げるが、無関心そうな顔をしてまたうろうろにもどるハルだ。首輪をしていないので、ムクムクとして自由そう。
ふと見ると、2階のベランダから毛の長い茶色い猫が私を見上げていて、目が合ったとたんにさっと引っこんだ。
「ホ〜〜〜〜」と詩吟のじいさんのように鳴いてから、「ケキョ」と、うぐいすが何度も繰り返して鳴いている。自慢ののどを聞かせているって感じだ。
パソコン作業が終わったのは夕方7時。つかれた・・ ちょっと早いけれど夜ごはんのしたくをする。明日の仕込みをしながらだ。
なすとピーマンのおかか炒め、牛肉のゆずみそ焼き、じゃが芋とカリフラワーのマッシュ、うどの味噌汁、玄米。
食後に豆乳プリンをスイセイに出してやったら、黒みつ(自家製)のことを褒めてくれた。「黒みつと塩豚は、わが家のヒットじゃの」と。
自家製黒みつの作り方は、こんどの本にのります。市販のものよりサラリとしているのにこくがあって、ちょっとメープルシロップのようなのです。黒糖の粒が小さく残っているくらいが、またおいしいんだこれが。
ゆうべ、布団の中で「暮しの手帖」を読んでいたら、中の記事のところで、あれっ?なんか見たことある文字だな、もしや・・・と思ったら、やっぱり立花君でした。
そういえば、「太陽バンド」のこんどのライブは4月8日に吉祥寺スターパインズです。
それまでに頑張って仕事をバリバリやって、きっと見に行こう。今のところ、それだけが楽しみ。

●2003年3月27日(木)晴れ、暖かいがもうれつに強い風

本の撮影3日目。
撮影中、外は杏の花びらの花吹雪。部屋の中までひらりと入ってきたのを、藤原さんが「ふわーっ!」と頬を赤らめ喜んでいた。
今日もまた、良い感じでスタートしました。
ひとつひとつびしっと作りながら、日置さんに写してもらうしあわせ。
私たち全員の楽しみは、コンテ(本のページ順に、写真の代わりにイラストが描いてあるもの)に、写し終わったポラロイドを切り抜いたものが、次々貼りつけられてミニチュア本みたいになってゆくことだ。
休憩時間になると、私はじっくりとそれを眺める。
日置さんの写真は、すんごく良い! アシスタントのヒラリンは、ポラロイドを見てぞぞーっと、鳥肌が立ったそうだ。
「トマトなんだけど、かわいらしい何かみたいに見えるから、それはもうトマトそのものじゃなくなって、いろんな風に見えるんです」と言っていた。
夕方5時半に終わり、軽くビールで乾杯。
買い物に行った時、桜並木を見上げたら、蕾がもうちょっとで開きそうでした。明日になったら、きっといっせいに開き始めるんじゃないかな。
今はあんまり花見気分ではないが、いちどくらいは熱燗でも飲みながら眺めたいもんだ。
帰ってから、来週の撮影のレシピを打ち込む。
半分までやったところで、視力がぼやけてきたのでやめた。背中も、板が入ったようにこっているので。もう、すべては明日やることにしよう。
夜ごはんは、ぶりの刺し身、もやし、ニラ、キャベツ、牛肉の炒め物、れんこんのきんぴら、洋風おでん、発芽玄米。
「暮しの手帖」を買ったので、今夜は寝ながら読もう。表紙がすごく奇麗なので買った。みどりちゃんがスタイリングしてるんです。

●2003年3月26日(水)今日から春になった

昼休みに、下のうさぎ公園でお弁当を食べている工事のおじさんたち。年配のおじさんふたりはベンチに座っているので、割りばしが動くのがベランダから見える。コンビニ弁当だろうか。ハル(大家さんの犬)は、吠えもせずにその様子をじっと見ている。ぽかぽかと暖かい、春の日の日だまりだ。
たまっていた洗濯ものをいっきにやって、ベランダいっぱいに干しながら、下からは和やかなおじさんたちの声がずっと聞こえていた。
今日は本の撮影はなか休みだが、3時からテレビの打ちあわせ。
具体的にスケジュールやら、器など決めてゆく。だけど私、根性ついたよなーと思う。
昔は、テレビの仕事のたんびにドキドキして不安になったり舞い上がったり、眠れない夜が続いたりしたもんだ。今は、サッサカサーッというサザエさんのような気持ち。
夕方、明日の撮影用の買い物。そして図書館に行って10冊借りて帰って来る。
てるちゃんから本が届いた。うわーい!楽しみにしていたんです。「モンキームーンの輝く夜に」だ。パラパラとまだ読まないようにしてページをめくるが、気がつくと最初の8ページほどもう読み進んでいた私。あとでじっくり読むんだから、がまんがまん。
スイセイが仕事の時は9時から夜ごはんなので、それに間に合うように煮物など始める。
夜ごはんは、ちくわと新ジャガと干し椎茸の煮物(撮影で残った豚角煮の汁で煮てみたら超おいしかった)、かつおのヅケ、キャベツとソーセージの塩炒め、しらすおろし、玄米、えのきと絹さやの味噌汁。
てるちゃんの本の口絵写真を、虫眼鏡でじっくり見ていたスイセイ(老眼なので)は、「うーん体はっとるのう、てるちゃんは」と感心していた。
どういう意味かと言うと、てるちゃんの被写体は、誰も皆すべて、心からのずごく良い笑顔になっちゃっているんです。だから写真を見ると、カメラをのぞいているてるちゃんの方が見えてくる。ぜったいにおどけた顔で変な格好して笑かしているにちがいないと思うのだ。
そういえば、カメラマンの竹内さんは、私の顔写真を撮る時、笑顔になるようにいろいろ工夫しながら撮ってくれる。いちばんおかしかったのは、カメラをかまえながら口を数字の8の形にした時だ。思わず爆笑もんで写ってしまった。

●2003年3月25日(火)ぼそぼそとした冷たい雨

撮影2日目。
ゆうべけっこう仕込んでおいたので、今日はのんびりムードの撮影だ。
藤原さんが買ってきてくれた、「天むす」や「鯵寿司」や「かんぴょう巻き」などおいしくつまみながら、ぼつぼつと料理を作る。
3時には終わり、今はトリガラスープを煮込みながらこれを書いています。
昨日は、ずっと立ちっぱなしだったし、なんというか、素材と自分がぐっと近づいてしまうので、気がつくとすごく体が曲がっているのだ。
それで、終わった時には腰がかなりやばくなっていた。なので今日は、できるだけ座るようにしていたのです。しかし、座るとつい何かをつまんでしまうのだった。
すっかり終わって布巾を洗濯しようと思い、ふと洗面所の窓を開けると、2部咲きの杏の花が雨に濡れてけぶっていた。たぶん、今日の今がいちばん美しい。
夕方、適当に布団をしいて「ふたりのロッテ」を読んでいたら、強烈に眠たくなり、そのままばったりと小1時間昼寝。蛍光灯と電気ストーブをつけたまま寝たので、変な冒険ものみたいな忙しい夢をみました。
そして、その間ずっとスープが煮えていたので、かなり濃いものになってしまった。けどだいじょうぶ。使う時に薄めればいいのです。
夜ごはんは、焼き茄子、塩豚の焼いただけとピーマン炒め、うどの味噌汁、発芽玄米、冷やしトマト。夏のようなごはんになったが、それは今日の撮影が夏のページだったから。最近うどの味噌汁が気に入っている。コツは、ぎりぎりまでうどを水にさらしておいて、歯ごたえを残してさっと煮ること。春の味だ。

●2003年3月24日(月)快晴 

完ぺきな春のように暖かい。   撮影、ついに始まりました。
この日のために他の仕事を着々と終わらせ、ずっと前から心温め、練っていた撮影だ。
去年レタスクラブで連載したものと、これから撮影する分をまとめて本にするんです。
日置さん、池水さん、藤原さんのゴールデンコンビ。今日のアシスタントは、妊婦が板についてきたしおりちゃん。
なんか温かい感じで進んでゆきながらも、芯のところに緊張感がぐっとある。
夕方、杏の花が上の方だけだけど、急に開いていた。しおりちゃんが言うには、「今咲いた」そうだ。ほんの1時間前に仕入れに行く時にはこんなに咲いてなかったんだそう。
今日の分は6時に終わり、明日のための野菜など買い物に行く。
カラオケ選手権とかいうテレビを見ながら、たらたらと明日用の仕込みをし、ぜんぶ終わったのは10時を過ぎていた。
そして料理教室の募集メールが、驚くほどたくさんの方々から届きました。
ありがとうございます。スイセイが全部をプリントアウトしてくれたので、ずっしりとしたその紙の束を、まるでファンレターのようにして1枚1枚じっくり読む。
この中から定員を選ばなくてはならないのです。はずれてしまうたくさんの方々には、ほんとうに申し訳ないけれど、私も初めてのことなので、小規模でしか開くことができません。いつかどこかで、大きな教室がやれればいいのですが・・ 夜ごはんは、撮影の残りのあさり蒸しを潮汁にして、あとはご飯にいろんなおかず(撮影の残り)をのっけて食べた。
風呂にゆっくり入り、腰痛体操をしているうちにグーッと眠くなり、そのまま布団につっぷして寝ました。

●2003年3月23日(日)快晴

ちょっとばかし二日酔いだが、料理教室の案内を12時にアップしなければならないので、がんばって起きました。
明日から1週間、怒濤のような撮影の日々が続くので、今日は、寝たり起きたりしながらメールチェックをして過ごす。スイセイは、台所の換気扇まわりを大掃除してくれている。さっきのぞいてみたら、ピッカピカになっていた。
夜ごはんは、お寿司をとることにしました。
なんとなくぐったりと疲れているので、ウルルンを見て、今夜は早く寝る予定。

●2003年3月22日(土)どんよりした曇り

たっぷりと寝て、まだまだ寝ていてもいいんだけどな、と思いながら起きました。1時半です。チーズトーストとカフェオレの朝ご飯を食べ、せっせと机まわりの仕事。
スイセイがりうのアパートを見て帰ってきた。窓を開けると目の前は川だし、部屋もレトロでかわいらしいみたい。コインシャワーつきで32000円だって。ほとんど本決まりらしい。早く私も見に行きたいものだ。
そして、スイセイはケーキを買ってきてくれた。ショコラなんとかを1個だけ。
りうのアパートが決まったから、お祝いに買ってきてくれたのかと思ったら、歩いている途中でどうしてもうんこがしたくなって、しかたなくケーキ屋さんに入ったんだそうだ。
ミルクティーをいれて、ふたりで半分ずつ食べました。
今夜は8時からクウクウで打ちあわせなので、スイセイとりうの夜ごはんを作っておく。ブロッコリーとベーコンのにんにく炒め、キャベツとセロリとカニカマのサラダ、豆腐と油揚げの味噌汁、玄米。

●2003年3月21日(金)晴れ、夕方から冷える

うぐいすが盛んに鳴くので、ゆっくり寝ようと思っていたけど起きてしまった。
ゆうべのハンバーグでサンドイッチを作り、カフェオレで朝ご飯だ。
午後から、撮影のメニューを組み直す。昨日の打ちあわせでボツになったので。
4時半に家を出て、家族3人でりうが捜してきたアパートを見に行くが、うーん今ひとつ・・という感じだった。
夜ごはんは、玄米機能のついた炊飯器で玄米を炊いてみた(こんどの撮影で使うので)。
浸水もしないですぐに炊いたのに、案外おいしく炊けました。そりゃあ圧力鍋のモチモチ感には負けるけど、思っていたよりかなりおいしい。明日は、充分浸水してから炊いてみようと思う。塩鮭、ちくわとベーコンと絹さやのバター炒め、豆腐の味噌汁。
この炊飯器はもち米も炊けるので、こんど「おはぎ」を作ってみようと思う。お彼岸だし、スイセイが喜ぶので。



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