2003年4月下

●2003年4月30日(水)曇りのち雨、のち曇り

3時まで寝ていました。冬眠の熊みたいだと思いながら。
夢をみるための脳みそが、頭いっぱいに詰まって重く、鼻の方まできている感じ。鼻の奥がツーンとするのだ。どう考えても寝すぎです。
雨はすぐにやんでしまった。
連休に入ってから、ぴたりと仕事の電話がこなくなった。ふつうの電話もまったくないし、買い物にもぜんぜん行ってないから、スイセイとふたりきりでシェルターに暮らしているよう。なかなか気に入っています。
ゆうべ寝ながら良いことを思いついた(次の本の構想)ので、まわりが静かな今のうちにおおまかな構想を練っておこうと思う。次にやりたいことを確実につかまえておかないと、頭がのろい私は間に合わないから。
そういえば、気になっていた「FOIL」の2号を、昨日リトルモアさんが送ってくださった。川内倫子さんの写真、ぐっときました。そして、昆布巻きや焼き豚みたいなのがすごくおいしそう。なんで彼女の写真って、食べ物がおいしそうなんだろうといつも思う。人間と食べ物のたたずまいが同等だからか?。
池田進吾さんという人は、「プラネタリウムのふたご」「麦ふみクーツェ」の装丁、装画もやってらっしゃる。本を読みながら、遠いようでいて内容にぴったりきていて、すごくいい絵だなと思っていた。本の大きさも、肌触りも良いのだ。だから、じっくり読むのが嬉しくなる装丁なんです。そしたら今回の「FOIL」のデザインも彼でした。
次の号(7月発売)のデザインは、立花文穂ですって。「オーッ!」と、小さく叫んで喜こぶ私だ。すごく楽しみ。
そしてもうひとつの楽しみは、朝日新聞の「折々のうた」という俳句のコーナーが終わって、明日から「けさの鳥」というのが始まること。写真つきらしい。
夜ごはんは、塩豚とキャベツとソーセージのスープ、こんにゃくとごぼうのナンプラー炒め、小松菜お浸し、えのきとしらすの混ぜごはん。

●2003年4月29日(火)快晴、夜は大風

ゆうべは朝の5時まで本を読みたおしていた。
今日は宅急便のおじさんに起こされ、また読書の日々だ。
久々に部屋じゅう掃除して、雑巾がけをする。りうがいなくなってから、部屋があまり汚れないようになった気がする。洗い物の食器も、スイセイとふたりだとすごく少ない。
スッキリと淋しいような、もの足りないような気持ち。
夜ごはんは、刺身こんにゃく、キャベツと新玉ねぎのサタダ(ごま油、酢、しょうゆ、XOジャン、かつおぶし)、肉じゃが、鰯のぬか漬け、キャベツの味噌汁、玄米。
スイセイは「江戸時代のごはんじゃ」と言っていた。色も地味だし。
けど、お腹の掃除っていう感じでけっこう気に入っている様子。
風呂上がりに窓を開けると、すごい風だった。明日が雨だからだと天気予報では言っていた。暗い大空を雲がどんどん流れてゆく。

●2003年4月28日(月)快晴、風が強い

春眠あかつきを覚えず・・と思いながら、ずーっと寝ていた。
ほんとうにいくらでも眠れるのだもの。
3時に起きて風呂に入り、それからはずっと本を読んでいる。
「プラネタリウムのふたご」を読み返しているのです。
今夜は7時半から見たいテレビがあるので、その時間に夜ごはんを合わせるつもりだ。
メニューは、チキンソテーの千切りキャベツとスパゲティーナポリタン添え、えのきとおくらの味噌汁、玄米。
テレビは、NHKの「地球・ふしぎ大自然スペシャル・・動物の子供の独り立ち」だ。

●2003年4月27日(日)

昼ごはんは、そうめん。初そうめんだった。
今、私の机の前には「サクマのドロップス」がある。
そして、桐の花はぜんぜん狂い咲きなんかではなかった。
葉っぱも出てきているし、少しずつ、咲いてきているのだ。
杏の木も実が大きくなり始め、さっき見たら赤みがかってきていた。
口の中には、ハッカのドロップだ。
ゆうべ、朝方までかかって「プラネタリウムのふたご」を読み終わった。
すばらしい・・・ まだ、どっぷりとはまっているので、もういちど読み返しています。
あとで暗くなったら選挙に行く予定。8時までやっているので。
選挙、行って来ました。
そして帰りに、最近どうしても食べたくなっていた、スパゲティのインスタントのを買う。でも捜していたものがなかった。私が捜していたのは、昔からある「ママースパゲッティのナポリタン」なのだ。麺がうどんのように柔らかくて、粉末のケチャップが入ったやつ。
夜ごはんは、塩鮭、ポテトサラダ、ちくわ炒め、豆腐の味噌汁、納豆、黒豆入り玄米。
今日の仕事は、クイック丼のメニューを考えるだけ。1品だけ新聞に載るのです。

●2003年4月26日(土)

ゆうべは散々遊んでしまった。例によって朝帰りだ。
「のらぼう」に行っておいしいごはんを食べ、そのままハルタさんとカラオケに行っちゃったんです。ひさびさにナナオちゃんも誘って、熱唱した。
夜の11時にとつぜんカラオケに誘っても、気軽に来てくれる友だちって、ほんとうにありがたい。バカ飲みしたい時ってあるじゃん!歌いたい時ってあるじゃん!っていうことがスルッと伝わる、悪ガキ友だちっていう感じだ。
そしてナナオちゃんは、歌うだけ歌うとサッサカサーッと帰って行った。素敵だ。
おかげで今日はちとのどが痛い。
二日酔いだしお腹はピーピーなので、布団の中でごろごろしている。
「プラネタリウムのふたご」をずっと読んでいます。
選挙の宣伝カーが今日で最後なので、悲鳴のような声が聞こえながら、お腹を毛布で暖めながら。
ひとつのことを、こつこつとやってきた人々がたくさん出てくる。そういう落ち着いた空気が、この本の底には流れていて、それがとても美しく心地よい。自分の匂いのする布団にくるまっていることと、本の中身がいっしょで、頭がぼーっとしてしまう。
夜ごはんは、鯵の干物の玄米チャーハン(えのき、青じそ、にんにく入り、梅醤油味)、卵とみょうがのおすまし、ふきの煮たの、冷や奴。
りうから電話があった。
りうは、毎日ちゃんと自炊をしているそうだ。この間作ったのは、なめことレタスを炒めて、梅しそ納豆を入れたパスタだそう。皿がないのでフライパンごと食べているんだそうだ。かっこいいなー。

●2003年4月25日(金)薄曇り、肌寒い

朝起きてから、布団の中で2時まで「プラネタリウムのふたご」を読んでいた。
すごくいいんです。けれど、早く読むのがもったいなくて、じっくりゆっくりと読んでいる。ゆうべは寝る前に、「ドリトル先生月から帰る」を半分くらいまで読んだ。
4時からはテレビの打ちあわせ。
さくさくっとどんどん決まって、5時ちょい過ぎには終わった。
本の文章はあと1本を残すところとなり、今日は夕方からご飯を食べに行く約束をハルタさんとしているのだ。うっれしいなー。
なので、スイセイの夜ごはんを今から作っておきます。
豚バラなすキムチ炒め、冷や奴、玄米。キムチ炒めは、仕上げにかつおぶしを混ぜるのが気に入っています。

●2003年4月24日(木)晴れたり曇ったり、暖かい

1時から撮影。
カメラは日置さん。
アシスタントはしおりちゃん。
しおりちゃんは、もうすっかり妊婦らしくなっていた。というか、もうすでに母のようなふっくらとした穏やかさをたたえていた。誰も言わないけれど、男の人って、奥さんが妊婦の時、「母ちゃあん・・」と甘えて抱きつきたい気持ちになるのではないだろうか? 4時ごろに終わり、しおりちゃんとてくてく歩いて図書館へ。
今日は6冊でやめておいた。なぜかというと、いしいしんじの「プラネタリウムのふたご」を読んでいるとちゅうだから。
夜ごはんは、ゆうべの筍煮を使って筍ごはん、小松菜おひたし、真鯛と中落ち刺身(撮影の残り)、三つ葉とはんぺんのお清し、冷や奴。
生わさびがあったので、絹ごし豆腐に、生わさび、塩、白ごま油(有元先生のレシピの真似)で食べてみた。ものすごくおいしくてびっくり。
風呂上がりのベランダが、気持ち良い季節になってきました。
ビールでもキュッと飲みたい気分だ。ゆうべは、3時過ぎまで本の文章をがんばったので、なんか、ぽわーんとだる眠たく、心地よい疲れ。

●2003年4月23日(水)薄曇り、けっこう寒い

あぁ、忘れないようにここに書いておきます。
新しょうがの時期なんです。
今日、八百屋さんに行ったのに、撮影用のものばかり気になって買うのを忘れた。
新しょうがをたくさん刻んで、味噌に混ぜておく「食欲みそ」を作る季節なんです。
みょうがやにんにく、青じそなども刻んで入れて、蕎麦なんかであまった薬味もどんどん加えてゆくというもの。夏の間じゅうおいしく食べられるのです。味噌には酒やみりんもちょっと加えてください。
ところで、今日は文章がとてもはかどりました。
やっぱり書斎というのはすごいもんだ。
今まではリビングに机があったから、スイセイやりうやら行ったり来たりしてるし、自分もベランダに出たり台所に行ったり、どうも集中できなくてうろうろしていた。
時計もおいてないので、けっこう隔離された感じで仕事ができる。
すごいなー、ホテルにカンヅメめみたいだ。
夜ごはんは、筍とふきの炊いたの、新わかめときゅうりの酢の物、トントロ焼き、あさりと姫皮の味噌汁、玄米だ。
すごく春らしいメニューになりました。
筍は、うかうかしてたらもう大きく固くなってしまった。今年は、今日でもう終わりだ。
来年はもっと早めに筍を食べたいものだ。
肉屋で豚バラブロックが安売りだったので、(そうだ、塩豚を作って煮込みものをやろう。これから寒くなるし・・)と思い、つい買ってしまった。
これから夏ってことに気がついたのは、買い物から帰って来てからでした。
今日は肌寒かったし、天気も悪かったからだけど、昨夜からずっと冬のための文章を書いていたからだと思われる。
筍や新わかめやあさりを買った春の頭と、冬を思うその頭は、いったいどこでつながっているのだろう。

●2003年4月22日(火)快晴

けっこう二日酔いだし、このところ上がりっぱなし(テンションが)だったので、じっくりと2時まで寝た。
そして、スカパーの完成したビデオを見る。
すごくいい感じにできていました。私の料理に対する気持ちが、すっかり映像になっていることにおどろく。映像ってすごいもんだなー。ありがたいことです。
今日こそは、本の文章をサクサクと書き始めなければ。
そのために、新しい書斎を作ったようなものなのだから・・ 夜ごはんは三浦屋で買った「カシミールカレー」にする予定。
具が入っていないレトルトのルーなので、かじきまぐろ、セロリ、ゆで卵を入れよう。
昨日の撮影の残りの黒米ごはんもあるし。

●2003年4月21日(月)曇りのち、きれいな晴れ

11時より撮影。
スタイリングはみどりちゃん。カメラは久家さん。
スリルがあってとても楽しい撮影でした。
ひさびさにみどりちゃんとやったが、私は毎回緊張するなぁ。
いくらプライベートで仲が良くなっても、もの作りのところではいつも新鮮で緊張感がある。それっていちばんだいじだ。
みどりちゃんは、すでにいろいろアイデアをねっていても、その場の状況をぐっと捉えて、いちど壊してから、もういちど組み立てるんだと思う。そして、久家さんにも今日同じようなことを感じました。私はそういう空気に触発されて、良い料理をガツンッと作らされてしまうのだ。
5品だったので1時には終わってしまい、まだまだ私はやりたかった。
終わってから、興奮冷めやらず、あまりに天気がいいので飲み初めてしまった。
天気雨が降るのを見ながら・・・。
みどりちゃんは、「花びらだけじゃなくて、今日はいっぱい何かが飛んでるねー」と言っていた。ほんとうにそういう日だ。植物の種や、羽みたいのや、抜けた動物の毛みたいのや、光の粒みたいのや。自然界が元気で、明るい渦の中にいるような感じだった。
みどりちゃんは車だし、夕方から打ちあわせもあるので、まったく飲まずに途中で爽やかに帰って行った。久家さんは、スイセイと私にはさまれてスパークしていた。
久家さんとは、これが始まりの顔見せ合いっこ、という気がしました。
さいきん私は、たて続けにいい男たちに会っている。



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