2003年5月中

●2003年5月20日(火)曇りのち雨のち大雨

曇りだが、明るくなりそうだったので洗濯をし始めたら、まさにその時ぽつぽつ降り出した。それからはずーーっと雨。
1時からインタビュー、そして4時からは打ちあわせだった。
打ちあわせのとちゅう、晴れ間がのぞいて天気雨になったりしたのに、後から嵐のようになった。その嵐の中を、りうが自転車に乗ってやって来ました。100円ショップで買ったという合羽を着て。
冷凍しておいたカレーを温め、玄米を炊いて家族3人で食べる。
そしてまたりうは、雷の鳴る嵐の中を帰って行った。
小降りになってから図書館へ。さすがにガラガラだった。
10冊借りて帰って来ました。図書館からの帰り道はたいがい夕方で、「あー、幸せだな私は」と、満ちた気持ちになる頻度が高い。
夜ごはんは麻婆豆腐。ゆうべNHKの「麻婆豆腐の妻」というドラマを見たからだ。
陳健一さんのレシピを忠実に守って作ってみた。そしたら、ものすごーくおいしくできました。初めて真面目に麻婆豆腐を作った私だ。豆腐もちゃんと茹でたら、豆腐の味や舌触りがちゃんと残って、上出来だった。
前から好きだったけど、すごいなー陳さんて。
あとは、レタスとキャベツとにんじんの千切りサラダ、れんこんのナンプラーきんぴら、焼き茄子の味噌汁、玄米。

●2003年5月19日(月)雨のち曇り、寒くてストーブをつけた

朝からたくさん仕事の電話がかかってきた。
インタビューやらいろいろな仕事だ。
くーーっ、秘書さんが欲しい・・・。
私は電話の受け答えがあまり得意ではないうえ、今日は何となしに体が怠く、暗い気分だったので、この状況をスイセイに訴えた。
仕事をもらえるのはありがたいのだが、いろいろほっぽり投げたい気分で、布団にもぐっていました。登校拒否ですね。
けど、どうしても試作を今日しなければならないことに気がつき、風呂に入って髪も洗い、新しい気持ちになって買い物に出掛けました。
帰ってからがんばって5品ほど試作したのだが、体が怠くてのども痛いんですけど、もしかして風邪だろうか。
夜ごはんは、その試作の数々と白いごはん。ぜんぶ豚ものだった。
明日はインタビューと打ちあわせの2本だ。
さっさと寝ることにしよう。

●2003年5月18日(日)ぼんやりした曇り、肌寒い

3組目の料理教室。
朝起きた感じが、いまひとつ元気のない私だったが、皆の顔を見たらどんどん調子が出てきた。そして教えながら、どんどん楽しくなっていった。
餃子の皮ねりを皆にやってもらっている時に、一瞬、ふわーっと多幸感を味わった。外は曇りで、とても日常的な感じだというのに、だからこその幸福というかなんというか・・。
(あー、私はこういうことがずっとやりたかったんだ)と思いました。
本作りももちろん楽しいのだけど、それは一方的な作業だし、とても個人的な気がする。自分にのめりこむおもしろさっていうか、もの作りの楽しさというか。
教室っていうのは、流れがあるんですね。人と人との流れの空気感。
そして、この家の空気感。
人は皆何かを発している。それが強い人も、静かに強い人も、いろいろいる。
言葉で出す人もいるし、言葉にならない人もいる。
そういうやりとりの中で料理ができてゆく。というか、料理を通じてやりとりがある・・っていうのが、なんともいえず楽しいことなんですね〜。
1組も2組でもその楽しさを感じていたのですが、今日やっと分かりました。次回がまた楽しみだ。
夕方、川原さんが遊びに来た。
いつもはつい飲んでしまうんだけど、今日は爽やかにお茶タイムだ。
川原さんに会うと、つもる話をしたくなるんです。だから、飲み始めると止まんないんだよなー。ぜったいに朝までとかになる。
で、今日はサザエさんを見るのを忘れた。
夜ごはんは、ブリのフライパン焼き(仕上げに、おろしにんにくとしょうゆと酒をまわしかけ、レモンをしぼった)、帆立とひき肉(教室の残りで)の肉味噌レタス添え、めかぶ納豆、とろろ芋の汁、玄米。

●2003年5月17日(土)雨のち曇り、寒い

毎年恒例の花見。
20年来の友人、絵描きの真ちゃん宅で、丹精した庭の薔薇園の花見です。
薔薇っていろんな香りがあるもんなんですね。
ひとつひとつが確実に違う種類の匂いがする。けど全部が薔薇っていう香りなんだよなー。「この微妙な違いを言葉で表せるわけ?」と真ちゃんに聞くと、「モスキー(モスク臭)とか、ティーフレーバーとかね」なんて言っていた。さすがだ。
昼間から集まって飲みながら、庭でやきとりを焼いたり、鮎を焼いたり。
今年は知らない人がたくさん来ていた。
常連の私たちはずっと火のまわりにいて、子供たちをこづいたりして、くだらないようななんでもない話ばかりしていた。そういうのがいちいち楽しいのだ。
常連さんなのに、名前も知らなかったりする。それでも全然OKだし、子供らが1年の間にぐんと大きくなっていたりして楽しい。
知らない人たちは皆アーチストさんらしく、真ちゃんを中心に向こうの方でサロンのようになっていた。美術の本を見せあったり、名刺を交換したりして大人っぽい。
私は、いつも毎年飲んでばかりいて、手伝いというのをやらなかった。今年は、積極的に空いた皿を片づけたりして台所にいたら、奥さん連中と話ができてすごくおもしろかった。台所談義というか何というか。明日が教室だから、あまり酔っぱらわないようにしていたのだが、ぜんぜんとても楽しかった。
洋子ちゃん(真ちゃんの奥さん)から良い話を聞いた。娘が今高校1年生なのだが、「娘を見てると、自分の高校生だった頃のことをふと思い出すんだよね。それも、けっこうつまんないことや、ふっとしたことなんかをリアルにね。だから今、私は女子高生っていう感じ。小学生の時は私も小学生って感じだった。」 夕方、牧野さん一家もいらした。すごく近所なのでお誘いしたのだ。真ちゃんに紹介したかったし。奥さんは奇麗な人だった。なんとなく昔の風情の、スラッとした、着物が似合いそうな方だ。牧野さんにぴったりだ。
野村君(羊のポーのアニメ作家)と牧野さんが、多摩美時代からの大友人というのも私は知らなかった。そして、アリヤマデザインストアの女の子も、野村君の友だちだったのにも驚いた。彼女とは、この間カラオケでご一緒したんです。
そして、今年いちばん嬉しかったのは、友人のマツナリが絵本の新人賞をとったこと。
聞いた瞬間、ものすごーく嬉しくて、ちょっと涙が出た。

●2003年5月16日(金)曇り、すごく寒い

1時からインタビュー。けっこう長々と、自分の経歴のようなものまで話した。
インタビューって、いつも喋りすぎてしまう。
そして言葉がうわすべりして、伝えたいことから微妙にずれていってしまうのを、喋りながら感じていた。
なんというか、私は頭で考えて料理の道に進んだわけではないし、自分の料理についても頭で考えてやっているのではないのに、それを言葉で説明しようとすると、そういうことになってしまうというか・・。
客観的に自分のキャラクターを説明すればいいだけの話なのに、自分の内面の説明を初めてしまうからダメなのだなきっと。
夜ごはんは、中落ちとブリ刺しのヅケ、とろろ芋、つまみ菜としいたけのお浸し、あさりの味噌汁。
あさりはちょっと最盛期を過ぎたような気がしたが、どうなんだろう。もちろんおいしかったのだが。

●2003年5月15日(木)さめざめとした雨

けっこう爽やかに起きました。
こういう日の雨っていいなぁと思う。こういう日というのは、さんざん人に会ったり、飲んだりした日の翌日って意味。
明日はインタビューがあるので、資料の写真を集めたり、レシピの直しをしたりしてのんびり過ごす。 夜ごはんは、小松菜と厚揚げの煮浸し、かれいのみりん漬け、冷や奴、納豆、豆腐とえのきの味噌汁。
豆腐ばかりのメニューだが、昨日、プーーーーとラッパをふいてやって来る豆腐屋さんのおじさんから買ったのだ。とてもおいしい。とくにもめん豆腐が昔風で滋味。

●2003年5月14日(水)曇り、夜になって雨

ゆうべは9時にはお開きになって帰って来た。「豚や」はおいしかったなー。
「ラードごはん」というのがめずらしかった。白いごはんにラードとにんにく醤油(甘辛いたれバージョンもあるらしい)を混ぜて食べるというもの。つやつやですごくおいしかったが、ちとこってりなので、私だったら最後に黒こしょうをひくな。
「豚や」で、隣に座ったカップルの男が気になって仕方なかった。私の斜め前にどーんと大きく座っていたので、どうしても目に入ってしまうのだ。
「僕、豚がいちばん好き!」と言ったまではかわいらしかったのだが、その後ずっと続くうんちくのいやったらしさには驚いた。「やっぱり豚にはゆずこしょうをぴりっとね」とか、「コラーゲンはお肌にいいんだよ。これはぜったいわさびの組み合わせがいいんだよなー」とか彼女に言いながら、自分は食べないで煙草ばっかり吸っているのだ。
「ほんとうにおいしいと思ってんのか〜?おまえ。えらそうに頭だけでもの喰ってんじゃねーよ。豚に失礼だよ!っとにもう・・」 と、私が彼女だったら男に言ってやりたかった。
たぶん男は会社の先輩で、女の子は新入社員ていう感じ。男が同僚の悪口を言い始めたら、彼女も「え〜、そうなんですか〜」なんて言っちゃって、自我がないみたいな娘であった。
さて、今日は新しい冷蔵庫がきました。
ヤーノと省吾とスイセイが3人で運んでくれた。家は3階だからたいへんでした。
それで今、ビールで乾杯!お疲れさまっ!ということになっているんです。
省吾はほんとによく食べる。料理をトンと出したと同時に、もう手がのびているという感じ。途中からりうも来たので、なんだかりうが連れてきた同級生に喰わせている母親状態になっていた私だ。
酔っぱらって料理をするのは好きだが、玄米も固すぎたし、指を切ってしまった。

●2003年5月13日(火)晴れ、風強め

朝から皮をねって餃子を作る。れんこん入りの中華風だ。
明日、冷蔵庫を運んでくれる男の子たちにごちそうするのだ。
そして、午後からはまた市役所の食堂へ。
ダ・ヴィンチの原稿で使う写真を撮りに行ったのです。
昔、スイセイは「クウクウカレンダー」という新聞を作っていた。私は毎月コラムを書いて、スイセイは編集長だったから、いろんなアドバイスをしてくれた。
「なんか、あの頃からぜんぜん変わっとらんのう。オレらってずっとクウクウカレンダー作っとるみたいじゃの」とスイセイが言っていたが、まさにそういう感じだ。
いつまでたっても、基本は家内制手工業なのだ。いいのか悪いのか分からないが、案外私はそれが気に入っている。すごく楽しい。
今日は、ラーメン(私)、やきそばとカレーライス(スイセイ)をたのんだ。
やきそばをちょっともらって食べたが、とてもおいしい。誰かのお母さんが、夏休みのお昼に作ってくれたような味だ。
帰ってから餃子の具を包んだり、スイセイの夜ごはんの支度をしたりする。夕方から私は恵比寿に出掛けるので。豚肉料理と焼酎の店、その名も「豚や」に行くのです。
レタスの本澤さんからお誘いがあったのです。うっれしいなー。
ひさびさの飲み会だ。けど、あまり飲みすぎないようにしよう。
私は自分では気がつかなかったが、どうやら酒癖が悪いらしいということが、やっと客観的に分かったのです。べろべろになるまで飲むのは、スイセイやりうといる時にしよう。

●2003年5月12日(月)曇り、肌寒い

本のレシピのチェックをずっとしていたら、頭が詰まってしまったので、夕方の街に出た。集中力がないと、こういう仕事は辛いばかりなので。
自転車屋さんで、ブレーキが大きな音をたてるのを直してもらう。
約束もないし、目的も何もないので時間はたっぷりある。前のお客さんが終わるのを余裕のよっちゃんで待って、私の番がきた。おじさんは、ちゃっちゃっと直してくれ、お金を払おうとしたら「いらないよっ」と、つっけんどんに言われた。
私はこういうおじさんが好き。つっけんどんだけど優しいのだ。
自転車の調子も絶好調。
そして無印でいろいろ買い物をして、帰って来ました。
帰り道、ジャスミンの花の匂いと、栗の花のむわっとした匂いが順番にした。
この匂いがすると、あーもうこの季節なのかと毎年思う。そして、去年のことをふと思い出したりする。
帰ってから、またレシピのチェック。
夜ご飯はテレビの試作。
簡単タコライスだ。合いびきを炒めてケチャップとチーズを混ぜ、サルサソースとレタスとマヨネーズ、ゆで卵とタコスチップスを添えるというもの。タコスは何でもいいんですが、ドンタコスでやってみます。
やはりドンタコスではお菓子っぽくなってしまった。プレーンの塩味だったら良かったと思う。

●2003年5月11日(日)ずっと曇り、肌寒い

料理教室の2回目。
今日も楽しかった。ちょうど塩が終わっていたので、塩の炒り方もやった。
そして、ゆうべ作った焼きれんこんがあまりにおいしかったので、それもお教えしました。
3クラスの内容は、基本的には同じなのですが、季節のものや、私の感じたことを毎回毎回、そのまま素直にとり入れていきたいと思っています。なので、全体的に見たら決して不公平にはならないと思いますので、あしからず。
クラスの女の子が「高山なおみの料理」を読んで、「疲れたり、だるくて何も作りたくないなーっていう時にも、自然に作ろうかなっていう気持ちになれました。」というようなことを言っていた。彼女は主婦だから、しゃれになんないくらいに、毎日ごはんを作っているのだろうと思う。ひじょうに嬉しかったです。
今日のサザエさんは、ちょっと泣けた。
母の日に、カツオやワカメや波平までもが手伝って、ごはんを作ったり掃除をしたりする、平凡なしあわせの話だ。近所のばあさんの所にまでそれが広がって、じいさんが割烹着をつけて、ばあさんにごはんをよそってやったりしていた。
夜ごはんは、帆立、えび、ひき肉とチンゲンサイの中華あんかけ(教室の残りもので)、そら豆の春巻き、ひき肉とねぎと香菜の春巻き(これも教室の残りもので)スイートチリソース、新じゃがの味噌汁、玄米、辛子明太子。



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