2003年9月中

●2003年9月20日(土)雨、涼しいというより寒い

10時半に撮影用の買い物に行く。
けっこうたくさんなので、スイセイにも一緒に行ってもらった。
そして、11時半から撮影。
今日はアシスタントが急用で来れなくなったので、ひとりでこなすつもりだったが、編集者さんが手伝ってくれた。
皿洗いだけではなく、かなりの助手をやってくださった。
ありがたいことです。
けっこうなカット数だったので、6時過ぎまでかかりました。
タカタカと次々料理を作り、夢中で動いている最中、ふと気がついた。
「何だか楽しいぞっ」ということに。
終わってからお茶を飲んでいたら、猛烈な眠気が。
しかしバタンと寝てしまう寸前になって、「あっ!」と気がつく私だ。
今夜は「すいか」の最終回なのです! 9時に目覚ましをかけてひと眠り。
「すいか」は、すばらしかった。
目の前にはティッシュの山が(何度も泣いた)。
ビデオ欲しいっす。まじで応募しようかと思う。
夜ごはんは、今日の残りのいろんなスープを混ぜてラーメンにした。
豚肉、あさり、もやし、ニラの具がたっぷり入った味噌ラーメンだ。
鷄肉をゆっくり蒸しゆでした残りの湯でもやしをゆでる、っていうのを撮影でやったんだが、そのゆで汁のおいしかったこと。
鷄はもちろんだが、もやしからもおいしいダシが出ることを発見した。
今日はもやしの偉さについて、実に感心させられた撮影でした。

●2003年9月19日(金)快晴、涼しい

テレビの人からの電話で起きました。
実はもうとっくに起きていたが、布団の中で頭をうろうろさせていたのでした。
半分は寝ぼけながら。
冷たいキムチうどんを食べて、サクサクと仕事。
次回の撮影のメニューを決め、明日の撮影の予習をする。
そして買い物だ。
最近私は、わりと外向きになっているようだ。
出掛けない日が何日も続いて、内側にこもるっていうことを、前はちょくちょくやっていたが。
波照間からこっち、ずっとそんな気がする。
もしかしてジムに行くようになったのも関係しているかも。
今日は、ナイキのジゃージなんか買ってしまった。
帰りにおいしい魚屋さんで、大粒のあさり(撮影用)、中トロのぶつ切り、ひらまさの切り身を買う。
夜ごはんは、中トロ、もやしと春雨の酢辣湯、キャベツときゅうりと青じその塩もみ、つまみ菜お浸し。
ひらまさは味噌漬けにして冷蔵庫へ。
明日は撮影なので、今夜は早く寝よう。

●2003年9月18日(木)快晴、風は涼しい

10時半に起きる。
ファックスの長いのがきているカタカタ音で目が覚めた。
このところずっと、ポヤポヤと楽しく遊んでいたが、そろそろ仕事モードに切り替えなければ。
とりあえず今日は、試作やらゲラチェックなどをしてリハビリだ。
イメージを膨らませなければならないことは今のところ2コある。
ひとつは昨日いただいた「クウネル」のお仕事のこと、それからスカパーの「料理の音」第二段についてだ。
でも今日の私、のめりこむには体がとりとめなさすぎる。
とりあえず、夕方からジムに行こうと思っています。
帰ってきてすぐに夜ごはんの支度をする。
あさりともやしのクリームあんかけ、つまみ菜と豚シャブのお浸し、厚揚げとごぼうのきんぴら、キムチ、大根の味噌汁、玄米。
ご飯を食べている途中、ぐったりと眠くてたまらなくなる。
汗をかくってすばらしい。
ただただ、体だけがくたびれることって、なんかだいじな気がします。

●2003年9月17日(水)たんたんとした晴れ

昨夜は楽しかった。
立花君の作品も、やっぱりすごく良かった。
ギャラリーの白い四角い空間に、隙間が心地よく、よく似合っていた。
インクの匂いがしてきそうな、ちょっと偏執狂(変な意味ではありません。何かひとつのことにのめりこんでいる清い精神)的な匂いがした。
立花君の展示会っていつもそう思うが、ギャラリーにとってつけた感じでなく、ギャラリーごと、その空間ごと、立花君の作品という感じがします。
私はワインだけでけっこう酔っぱらってしまったし、人がたくさんいたので、またひとりでふらっと出掛けてみようと思う。
表参道の「ギャラリー360°」で、10/3までやっています。
終わってから、川原さんとスイセイと3人で太陽に行きました。
なんとなしに、太陽はリニューアルされていた。
私の好物の、ちくわ納豆磯辺揚げが定番になっていたし、店が広々と風通し良くなった感じがした(お客さんはいっぱいなのに)。
そして、太陽からタクシーに乗って吉祥寺へ。3人でカラオケに行っちゃったんです。
すごい楽しかったんだけど、私って歌がへただから練習のつもりで何曲か歌っていたら、どんどん酔いが覚めてしまった。
それでも朝まで歌ったが。
でもオザケンの「天使たちのシーン」を気持ちを込めて歌ってみたら、自分的にはすごくよかった。
だが、私だけが気持ち良くなってもなぁ・・・人に聞かせるのが忍びない。
うーん。
というわけで、今日は二日酔いのまま2時から打ちあわせ。
前から準備して考えてあったからだいじょうぶのはずだったが、その場で考えることがまったくできずに、2品ほど宿題にさせてもらった。
申し訳ないです。
ご飯を食べたくも作りたくもなかったので、スイセイがサッポロ1番を作ってくれる。
塩ラーメンだ。
何も具を入れずに、スープはちょっと多めのシンプルレシピ。

●2003年9月16日(火)曇りがちの晴れ

ゲラチェックをしながら、明日の打ちあわせの準備をしながら、ケイタリングの「ざぶとんパン」を焼く。
ざぶとんパンというのはフォッカチャみたいなパンのことだが、私のレシピは水のかわりにヨーグルトが入っている。
強力粉500g、イースト大サジ1、ベーキングパウダー小サジ2、砂糖小サジ2、塩小サジ2、人肌にあたためたヨーグルト2カップ弱。
ちょっとだけ酸味があっておいしいんです。
トッピングは、白ごま油、自然塩、黒こしょうのみ。
1枚焼き始めてから、足りないかも?と思い立ち、すぐにもう1枚をこね始める。
さっきと同じでは芸がないので、こんどはキャラウェイ入りだ。
では、焼けたらば立花君の展覧会に行って来まーす。

●2003年9月15日(月)快晴だけど涼しい、夜になって雨

波照間で友だちになったちばちゃんから、「朝に月と太陽」という件名のメールがきた。
今朝、朝帰りしたら、太陽が登るところと月が両方あったんだそうだ。
朝焼けの中に月があって、おそろしいほど美しかったらしい。
すごい。
そんな場面にいられたことは、すごいラッキーだ。
自然界は一期一会をきちんとやってらっしゃるなーと、私は最近ふと思うことがある。
風が吹いて私の好きな木が揺れているだけでも、そう思う。
さて、今朝は起きるのが辛かった。
お酒を飲んだわけでもないのに、二日酔いの朝のようでした。
なんだか昨日はくたびれたみたい。
赤ん坊がふたり来て、ずっとおっぱいを飲んでいるのを見ていたらやけに眠たくなってしまった。
赤ん坊って、すごいエネルギーの固まりなのかも。
抱いていると、自分が赤ん坊にのめりこんでゆくのが分かったもの。
しおりちゃんも生徒さんも、別々のタイミングでそれぞれ言っていたが、赤ちゃんて、本当に不安の固まりなのだそうだ。
ちょっとのことにも敏感に反応して、怖がるんだそうだ。
だからお母さんは、「だいじょうぶだよー。怖くないよー、何でもないよー」と話しかけながら抱いてあげたり、乳をふくませたりすることがすごくだいじなんだ。
誰でも人間はすべて、生きてゆくことは不安なのだ。やっぱりそうなんだ。
それはこの世に生まれた時から始まっていたことなんだ。
なーんてね。
私はお母さんではないから、いちいち頭で感心してしまう。
そういえば由美ちゃんて、相づちを打つ時の「ふ――ん」「へ――え」の伸ばすところが、人より少し長いことに気がついた。
たぶん、本当に感じながら、自分の中で咀嚼しているのだろうという気がした。
クウクウでいっしょに働いている時は、けっこう早口で、すぐに「うんうんうん」という相づちだった気がするが・・。
そして生徒さんご夫婦が昨日言っていたこと。
「10ヶ月の間、今までありがとうございました。ご苦労さまでした」と、思いながら胎盤を食べたという話。
教室をやらなければ、こんな話は聞けなかっただろう。
ほんとうは、私の方こそ生徒なのだ。
さて、午後に起きてホームページをアップする準備をし(ごめんなさい。昨夜はくたびれてできなかったので、1日遅れてしまいました)、美容院へ。
帰りに生協に寄ったら雨が降ってきた。
レジを済ませている時、中学生くらいの男の子が、傘を持ってお母さんを迎えに来た。
母「あら何、あんたどうしたの?」息子「・・・」母「あら、傘持って来てくれたのー。ありがとねー、でもお母さん自転車で来ちゃったのよ。自転車乗って傘さすの怖いわねえ」息子「・・・」。
だめじゃんお母さんっ!と一瞬思ったが、家族っていうのはこういうゆるさ加減がいいんだよな。だって息子もお母さんも嬉しそうに笑っているし。
夜ご飯の支度をしながら、明日の仕込みをする。
立花文穂君の展示会のケイタリングをするんです。
すごく小さくやる。
メニューはディップ3種とパン。
たらこクリームチーズ、満月卵(ゆで卵の黄身の味噌漬け)のクリームチーズ、ツナのバーニャカウダ風。
そして、明日パンを焼く予定。天板いっぱいにのばして焼く「ざぶとんパン」だ。
頼まれたわけでもないのに、私が勝手に電話をして決めた、おしかけケイタリングだ。
夜ごはんは、豚もやし炒め、ビンチョウまぐろの刺し身、枝豆、小松菜とかぶの葉のお浸し(塩とごま油)、もずく、たらこの皮、しいたけの味噌汁、玄米。
ご飯の支度をしていたら、りうから電話が。
「みい、ホワイトソースの作り方教えてくれー」だって。
グラタンの具もたくさんつくって、何日か食べ続けるんだそうだ。
料理上手の母としては嬉しい瞬間だ。
1時間後・・メールがきた。
「うますぎてビール開けちったよ、おかわりもういっちょいくよ。茄子入れたのがよかった。」 バター大さじ2、小麦粉大サジ2を炒めて、ぶつぶついっていきたら牛乳2カップをいちどに加える。
泡立て器がなかったら、箸を4〜5本まとめて使いな。
ダマになったらザルでこせばいいよ。
なにしろ弱火でね。
焦げてもおいしいからだいじょうぶ。
これが私が教えたことの全部だ。
初めてだったのに、よくこれでおいしく作れたなぁと感心する。
一緒に暮らしていた頃には、料理なんかほとんどやらなかったのに。
夜になって雨が降ってきた。
慈雨っていう感じの雨だ。

●2003年9月14日(日)晴れのち曇り一時雨、のち晴れ

2組の教室でした。
今日もまた、生徒さんが赤ちゃんと旦那さんを連れて来た。
2ヶ月ぶりに会ったら、ものすごく大きくなっていて驚く。
8キロですって。
首も座って、むっちりと体がしっかりし、とても安心感がある。
そして、ニコニコとよく笑う赤ちゃん。
どうして笑うんだろう。
その笑いは、体の中からにじみ出てくる感じなのだ。
体の中に、福々したものが溜まっているみたいな。
その福々したものを、かまぼこみたいなスベスベのみずみずしい体がおおっている。
すごいなー。
こういうものが、自分の腹から出てきた人間で、今は家の中に一緒にずっといるって、すごいことだなー。
教室が終わってから、しおりちゃんが和楽を連れて来た。
そして、臨月に入ったアシスタントの由美ちゃんもいっしょに来る。
来ていきなり、生徒さんとしおりちゃんが並んでおっぱいをあげ始めた。
1ヶ月と3ヶ月の赤ちゃんは、並べてみると大きさがあまりに違い、別の人種みたいであった。
たった二月の間に、母乳だけで骨も肉も内臓もあそこまで大きく育つとは・・。
生徒さんが言っていたが、お母さんがきゅうりを食べると、その日の赤ちゃんのうんちが緑色になるし、干物ばかり食べていた時には、赤ちゃんの体から魚の匂いがしたそうだ。
すごいなあ母乳。そんなに顕著に表われるとは。
ってことは、食べ物が人体に入った時の影響というのは、私たちでもいっしょだということか。
うーん、これは料理家の人生にとって、すごくためになることを聞いた。
さらにすごいのは、生徒さんが夫とふたりで、自分の胎盤を食べたという話であった。
旦那さんは、昔インディアンの本で読んだんだそうだ。
インディアンの妊娠中の女たちは、無事に元気な赤ん坊が生まれるように、出てきたばかりのホカホカの胎盤を食べる儀式をするんだそう。
それを読んでいたので、旦那さんが試しに食べられるかどうか聞いてみたら、「いいですよ〜。じゃあ新鮮なところ切ってきますね」と、気楽に看護婦さんが言って奥に引っ込んだ。
そして、おろしにんにくとしょうがとしょうゆを添えて、茶わんにひと口大に切ったのが出てきたんだそうだ。
おいしかったか?と聞いたら、「うーん、砂肝みたいでした。共食いといっちゃあ共食いですよね」なんて、生徒さんは言っていました。
夜ごはんは、わかめとじゃこのナンプラー炒め、オクラの梅種じょうゆ、ごぼうとひじきのきんぴら(産後にはごぼうがいいとしおりちゃんが言っていたので)、枝豆納豆、トマトと生ほうれん草の酢醤油サラダ、豆腐の味噌漬け、くたくた白菜と豚肉の酒粕煮(冷凍しておいた)、玄米、デザートはパンナコッタもどき。
妊婦の由美ちゃんの食欲旺盛なこと。和楽におっぱいをやりながらスキを見ておかずをつまむしおりちゃんのこと。
私は完全におさんどんにまわり、まるでふたりの母のような気持ち。
3人でクウクウでもって忙しく働いていたのが、つい去年のことだなんて。
こんな展開になるだなんて、なんて幸せなことだろう。
ふたりをタクシーに乗せて見送り、スイセイと夜道を帰りながら、まるで里帰りしていた娘と孫が帰っちゃったような、そんな気持ちになりました。
来月にはまたもうひとり赤ん坊が加わって、教室が終わってから、3人の母親がおっぱいをあげるのだ。
それを思うと、うれし涙がにじんできます。

●2003年9月13日(土)快晴、まだまだ夏は終わらない

いちおう休日ということで、気がねなく読書にひたる。
が、「停電の夜に」を読み始めたらいきなり料理がしたくなってしまう。
今は、じゃが芋のニョッキを作って、ねかしているところだ。
生クリームがあったので、パンナコッタ風のものまで作ってしまった。
ちゃんとバニラビーンズも入れた。
このバニラビーンズは、タヒチのお土産(原君の)を冷凍しておいたもの。
ぶりっとけっこう太く、香りがくどすぎないのが気に入ってます。
どうやら私は、洋風全般な料理を作りたがっているみたい。
クウクウを離れてからずっと、お家の普通のご飯のことばかり研究していたので。
スイセイはというと、あの車イス(歩行器ですって)みたいなのを分解している。
さっき、折畳みの椅子ができ上がっていた。
洗濯物をとり込みにベランダに出ると、遠くの方から風にのってお祭りの音がする。
お神輿を先導する笛の音と、「エイサッエイサッ」みたいな掛け声も聞こえてくる。
まだまだこんなに明るいのに、洗濯ものがすっかり乾いている幸せ。
そしてまたソファーに寝ころんで、続きを読める幸せだ。
今夜の「すいか」は泣いた。
くーっ、なんていいんだろう。
来週が最終回なのが、ほんとうに辛い。
ニョッキはとてもおいしくできた。
トマトソースのからまり具合もバッチリでした。
ただ、キタアカリは甘めなので、ふつうの男爵でやったらもっとよかったな。
スイセイも喜んでくれたし、また作ろう。
そして私は、実を言うとまた「ゲド戦記」を読み直している。
つまり、4巻、5巻、1巻、2巻、3巻とこの間続けて読んだわけだが、今日からまた4巻を読み始めたっていうこと。

●2003年9月12日(金)快晴、今日も真夏日

12時から撮影。
ナンプラーで1品、豆板醤で1品の小さい撮影だった。
1時半には終わり、うわーい自由時間だ。
それにしても暑いですね。木がしんなりしている。
昨夜のトップランナーで、黒沢清さんがおもしろいことを言ってらした。
「黒沢さんてお話を聞いていると、とても秩序立って理論的でらっしゃるのに、どうして映画になると難解でねじれた表現をなんさるのか、それが不思議に思ったんですけど」という質問に対して。
「僕は自分のやっていることを、至ってふつうだと思っているのですが、もしも難解だとかねじれたとかっておっしゃるのなら、映画というもの自体がもともとそういう性質のものだからだと思います。僕は、ただそれを作っているだけです」・・・というような会話だった。
どうも、この人はこういう人だから作るものもこうだとか、批評する人たちっていうのは決めつけすぎではいないか? と、つねづね私も思います。
人の頭の中や感性というものは、もっと曖昧な、言葉にできにくいことだと思うが。
だからインタビューの時なんか、疑ってかかって欲しいもんだと、いつも思います。
会話しているうちに生まれてくるものとか、その時その場で感じたことが命だろう。
それを恐れずに引きだしてくれるのが、インタビュアーってもんではないか? あともうひとつ思い出した。
黒沢さんは、同じカットを何度も撮らないんだそうだ。
はじめてやって、1回で終わり。
その1回は、もしかしたら最高のものかもしれないし、何度もやるうちにもっといいのが出てくるのかもしれない。けれど、その1回はその時にしか出なかった1回だから、それがいちばんいいものなんです・・。
さて、サンに波照間に持って行ってもらうお土産グッズを買いに街へ出る。
本屋にも寄って「停電の夜に」「西瓜糖の日々」「すてきなあなたに第4巻」を買う。
帰りにおいしい魚屋さんで、今日はスイセイの好きなものばっかり買う。
それは、イカ丸焼き、海老焼き、サザエのつぼ焼き、秋刀魚の刺し身。
帰ってからすぐにジムへ。
そして洗濯機を回し、夜ご飯を猛スピードで作る私だ。
今、寝て起きたんですけど、ご飯を食べてから猛烈に眠くなったんです。
体が火照って、全身かったる気持ち良く、プールから帰って来たみたいになった。
あー、夏全開だな〜。
夜ごはんは、もやしとひじきのピリ辛だれ、小松菜と豆腐の煮浸し、もずく黒酢、イカ丸焼き、海老焼き、サザエのつぼ焼き、秋刀魚の刺し身、玄米。
何で眠くなったかと言うと、ご飯の時に日本酒をおちょこ1杯飲んだからだ。
さて、後片づけをしていて気がついたが、私って鍋やフライパンの数がすごく少ない。
というか、調理器具全般において、食器の数もしかり。それは料理家としてはめずらしいことだろうな。
台所の広さにも関係があるだろうけど、これが私の生き方だから仕方がない。
物がたくさんあるのが落ち着かないんです。
毎日使うものだから、使い慣れているものがいちばんだし、洗って乾かしてまた使うという単純なサイクルだ。
前に、雑誌で鍋談義(対談)のお仕事をいただいたが、お断りしました。というか、そんな私はお呼びでないっていう感じでした。
だって、長年使ってみてその使いやすさを自慢できるのは、フィスラーの圧力鍋いっこだけなんだもの。
世の中に、そういう料理家がひとりくらいいたっていいだろう。

●2003年9月11日(木)快晴、真夏日

今日の天気は波照間を思い出す。
スッカーンとした青空に、強烈な陽ざしだ。
起きてすぐに洗濯機をまわす。
ベランダに出てアッチーッ!と思いながらも、外を歩きたくなってしまい、帽子をかぶって買い物に行く。
帰ってからは、あまりの暑さにクーラーをつけ、試作大会だ。
スイセイも今、買い物から帰って来た。
この暑いのに、何か車イスみたいなのを買ってきました。
いったい何に使うのっ?て感じ。でも私は驚かない。
たぶん分解して、車輪や金属の棒を何かに使うのだろう。
スイセイは、自分ひとりではТシャツが脱げないほど、ぐっしょりと汗をかいている。
着ているものをぜんぶ脱がせて、私はまた洗濯。
今日はこれで3度めの洗濯であった。
夜ごはんは、もやし入り鷄つくね、もやしのたらこ和え、冷やしトマト、白菜の塩もみ、豆腐の粕汁、玄米。
まるで夏がもどってきたような暑さだが、ぜんぜん私はオーケーだ。
そう、今日はスイセイが仕事のスケジュール表を作ってくれた。
クウクウを辞めて仕事が忙しくなってきたので、スイセイは私の事務所を作ってくれるんです。と言っても、自宅でなんだけど。
スイセイは、マネージャー兼事務員さんをやってくれることになった。



日々ごはんへ めにうへ