2004年1月中

●2004年1月20日(火)快晴、ポカポカ日和

昨夜はたっぷり寝たせいか、どうやら私は元気みたい。
ちよじは面接でお出掛け。
スイセイに焼きそばを作ってやって、スイセイもお出掛け。
ひさびさに私ひとりで過ごす。
畳の部屋に資料をひろげて、本のための企画をねる。
ひとりだと気ままなようでいて、せっかくのこの時間を有効に使おうという、焦る気持ちも沸いてくる。
けれど、あまりに陽が当たって気持ちがいいので、ちょっとばかばかしくなり、畳の上にゴロンと寝転がってみた。
下の公園から子供たちの声が聞こえる。
「もうーいいかい」と叫んでいる。
ポカポカと気持ちいいが、さすがに昼寝はしないでおいた。
明日から打ち合わせ三昧なのだ。
撮影も今月はあと3本ある。
準備をするには今日しかないのです。
レシピを、今日こそ書いてしまわないと。
案外はかどって、いろんな仕事が片づいた。
明日の打ち合わせでお出しする、おでんとソーキ煮(パナヌファの真似をして、黒砂糖、酒、しょうゆ、結び昆布たっぷりを圧力鍋で。酢を少し入れると順君が言っていたのに、入れ忘れた)を煮込みながら、どんどん書き物をした。
8時ごろにちよじが帰ってきたので、女ふたりで気ままな夜ごはん。
穴子の炊込みご飯、わかめとクレソンの清し汁(おでんの煮汁で)、茹でブロッコリーのにんにく醤油レモン絞り。
私のおでんは「晩酌や」さん直伝。
昆布とかつおで出し汁をとり、味つけは酒と塩だけ。
具をいろいろ入れたらぜったいに沸騰させない、というレシピ。
水面がまったく静かなまま3〜4時間煮込む。
このやり方だと汁はにごらないし、具も崩れないんです。
初女さんの本ばかり読んでいるので、最近の私は、料理をゆっくりていねいに作るようになっている。
いつまで続くかわからんが。
今11時なのだが、スイセイはまだ帰って来ません。
女ばかりだと家の中の空気が、なんとなく清楚な感じがする。
まるで女子寮のよう。

●2004年1月19日(月)曇りのち晴れ

今朝は雨が降ったようだ。
物干し竿にしずくがついていた。
今、ちよじは台所の棚を掃除してくれている。
私も昨夜のうちに、冷蔵庫や棚まわりをやっておいた。
何も仕事をやらないと決めたのに、夜ごはんを作りながら、レシピの直しやらなんやら気がつくとやっていた私だ。
塩豚の1週間目のものを半分とっておいて、昨日オーブンで焼いてみたんだけど、ハムのローストのようで、これが大成功だった。
スキップのじゃが芋や人参もいっしょに焼いたら、ホクホクの旨さでした。
今日は、夕方までかかって台所の掃除をやった。
床にはワックスもぬり、器もきれいに使いやすく並び替えた。
掃除をしていると、細かい汚れがどんどん目について、竹串でほじり始めてつい夢中になってしまう。
気がつくとのどが痛いが、あとでレシピ書きをやってしまおう。
背中も腰も痛いので、早めに風呂に入り、スイセイにお灸をすえてもらう。
左半身に何か乗っかっているみたいに重いのです。
風邪のひき始めかもしれない。
夜ごはんは、スイセイがスパゲティを作ってくれました。
ベトナム風ナポリタンだ。
ケチャップとナンプラーが混ざった味つけと、茹ですぎて柔らかく太くなった麺が、とてもおいしかった。

●2004年1月18日(日)晴れ、風もなく暖かい

早起きして、ちよじの探してきた物件を3人で見に行く。
公園が目の前の、とてもいい場所だった。
何よりも、明るくて風通しがいいのが素晴しい。
ちよじも気に入ったらしい。
不動産屋さんもアットホームないい感じの人たちでした。
申し込みを済ませ、「ムーハン」でお昼。
陽がいっぱいに当たるテーブルで、ビールとフライドチキンライスをおいしく食べる。
「ムーハン」ひさびさに行ったが、相変わらずおいしくて、厨房の女の子も昔と変わらずいい感じで、元気そうでよかった。
とても忙しそうなのに、メニューも値段もほとんど変わらず、働いている人たちも変わらないというのは、いい店の条件だと思う。
本当に、いい空気が流れているんだよなー。
向かいにあった市場が、すっかり壊されて工事中になっていたが、お願いだから高いビルが建たないで欲しいなと、店の人の気持ちになって思った。
暖かいので、てくてく歩いて帰って来ました。
とちゅう、「がちまいや」さんでクッキーも買った。
早起きしてよかったなと思える、いい休日でした。
いい運動になったし。
そういえば私は、ずっとジムに行っていない。
あとの今日の予定は、サザエさんとウルルンだ。
夜ごはんは、スキップで送られてきた野菜で何か作ろう。
今日は、何も仕事をしないぞ。
昨日から、なんとなくパソコンの漢字変換がいつもと違う感じだったので、大騒ぎしてスイセイにそれを訴えに行ったら、いやがられた。
「パソコンいうのはの、ちょっとのことで調子が悪うなるものなんよ。それが当たり前なんじゃけえ、いちいち大事件みたいに言わんでくれ。もっとの、枯れ葉が落ちるみたいにして言うてくれんか」ですって。
でも、すぐに私の部屋に来て直してくれました。
ありがたいことです。

●2004年1月17日(土)曇り、雪もちらつく

朝、支度をしながら、きのうまであんなに晴れだったのに、今日はやけに冷えると思ってふと窓を見ると、雪がちらついていた。
11時から撮影。
けっこう品数が多かったので、5時までかかった。
休憩なしで飛ばしたから、腰が痛いっす。
キャベツを使った料理ばかりだったので、今日はキャベツのことをすごく勉強できた。
火の入り方や、どうやったら甘くなるかとか。
それにしてもキャベツっておいしいなーと、感心しながら作りました。
アシスタントはひさびさのヒラリン。
相変わらずよく気がつき、先回りして準備しておいてくれるので、ほんとうに助かった。
今日はヒラリンが心の支えだったな。
夜ごはんは、撮影の残りものいろいろを3人でおいしく食べる。
スイセイはキャベツが大好きなので、「ぜんぶうまいのう」とご機嫌だった。
夜、風呂上がりに窓を開けると、耳かきのボアボアくらいの雪が風に舞っていた。
背中も痛いし、くたびれが激しいので、今夜は早く寝ます。

●2004年1月16日(金)快晴、暖かい

ベーコンエッグを作ってレタスを添え、スイセイは白いご飯、私はトーストにはさんでサンドイッチ。それぞれの朝ご飯をいっしょに食べる。
1時からは打ち合わせ。
最近打ち合わせにいらした編集の人は、「今日は寒いですねー」と皆が言う。
ベランダで洗濯ものを干していても、リビングにいても、こうしてパソコンをやっていても、この家はポカポカといつも暖かいので、小春日和なのだとばかり思っていた。
そのつもりでいつも日記の天気を書いていたが、どうやら外は寒いらしい。
スイセイは今、ジョギングをして帰ってきた。
フリースの耳当てのようなものを巻いて、いつも走っているらしいのだが、帰って来るなりそれを私に渡してよこす。「匂いを嗅ぎたいか?」とか言って。
じっとりと汗が染みて、ためしにちょっと匂いを嗅いだが、なんとも言えない匂いがした。煮しめたみたいな匂いだ。
大急ぎで洗濯する。
「洗濯機はだめで。やさしく洗っての。水はだめ、お湯での」と厳しいのせ、ソフランで洗ってやった。
5時からは、もう1本の打ち合わせ。
クウネルの、岡戸さんと鈴木るーみんだ。
打ち合わせが終わり、作っておいた塩豚と人参の味噌スープをお出しする。
ちょうど塩豚もあったので、つい作ってしまったという感じだ。
というか、岡戸さんはいつもとんでもなく忙しいから、食べるものが淋しいことになってないかしらと、母性愛のようなものが沸いてきてしまうんです。
玄米を炊いて、塩むすびも作った。
冷蔵庫にあった、ひじきそぼろを混ぜた玄米おにぎりは、夜食用のお土産に。
スイセイも打ち合わせに出席して同じものを食べたので、わが家の夜ごはんは何も作らないことにした 早めに風呂に入り、布団を敷いて、9時から「風の谷のナウシカ」を見る。

●2004年11月15日(木)快晴、ポカポカ

昨夜は11時に布団に入って、初女さんの本を読んだ。
よく寝たせいか、目覚めは快調だ。
あちこち掃除機をかけ、洗濯をして、昨夜の残りでお弁当を作っておく。
その弁当を、朝ごはんにスイセイとおいしく食べる。
2時からは打ちあわせ。
ちよじは今日、引っ越しの物件を探し回っている。
さっきスイセイは出かけて行った。
ちよじが気になる物件を見て欲しいと、電話があったんだそうだ。
父親のようで笑える。
夕方、試作でつくねと生春巻を作って食べていたら、ちよじがりうを連れて帰って来ました。
私は、買い物に行った時に、おにぎりをなぜか9個も買ってしまい、どうしたもんだろうと思っていたので、ちょうどよかった。
試作品とおにぎりを4人で食べる。
夜ごはんは、スーパーで買った深川飯の駅弁と、鯵のたたき、蕪の浅漬け、菜の花の辛し和え(ゆうべの残り)、卵とわかめのスープ。
考えてみたら、今日は朝からずっと弁当みたいなものばかり食べていたな。

●2004年1月14日(水)快晴、寒い

10時に起きて風呂に入り、病院に行く。
今日は、この間の健康診断の結果が出る日なのだ。
待っている間に、佐藤初女さんの記事をじっくり読む。
この30日に取材に行くので。
初女さんは、青菜を茹でる時に塩を入れないのだそうだ。
塩を入れるといいとか、砂糖を入れるといいとかいろんな人が言うので、両方やってみたところ、どちらもあまり変わらない。
こんどは何も入れずに茹でてみたところ、それでもあまり変わらないことが分かったのだそうだ。
だいじなのは、火を止めるタイミングをじっと観察すること。
大切に茹でておいしく食べたいという気持ちがあれば、塩も砂糖もいらないんじゃないかと思ったそうだ。
料理というと、昔から言われているいろんな約束事があるけれど、頭でっかちにそれを守ることがいったい何になるだろう、と私も思っていました。
料理をする人が、使おうとしている素材を触って、実感で確かめ、理屈を分かり、自分らしい方法を発明すれば、どんなやり方だっておいしいものができると思います。
でも、「塩は入れません」と言える勇気のようなものが私にはまだないので、読みながら少し涙が出た。
病院の待合室で泣く女だ。
さて、検査の結果はぜんぶがAでした。
ただちょっと膀胱炎らしいので、薬をもらって、パン屋さんと図書館に寄って帰って来た。
午後からは、ひたすらレシピ書き。
そして今日の宿題は、次とその次のメニュー案を出すこと、初女さんの本を読むことだ。
宿題が嬉しく楽しみなものだなんて、小学生だった私に教えてあげたい。
夜ごはんは、鷄つくねの甘辛、菜の花の辛し和え、キャベツ浅漬け、蕪の味噌汁、玄米。
ご飯を食べているうちに気分が悪くなり、横になっていたら、何も言わないのにスイセイが後片づけをしてくれた。
目をつぶっていると、台所の音が聞こえてくる。
生ゴミも片づけてくれている音がした。
あとで台所を見たら、残ったおかずは小さいお皿に移してラップをしてあるし、漆器もちゃんと拭いてありました。

●2004年1月13日(火)快晴、風もなく暖かい

午後からはあちこち買い物。
薬局や本屋や靴屋やら回ってすごい荷物となり、それでも「銀だこ」でタコ焼きを買って帰る。
今日はわりに暖かく、店の中にいると汗ばむほどだった。
夜ごはんは、試作でロールキャベツを作る予定。
おいしくできました、ロールキャベツ。
キャベツを茹ですぎないことと、ひき肉は脂が多めのものを使うこと。
そして、具にご飯をひとつかみほど混ぜると、柔らかくジューシーに出来上がる。
男の人ってけっこうロールキャベツ好きだから、ロールキャベツが上手にできるおばさんに憧れていたんです。
スイセイも大好きだから、今夜は喜んでいた。
それにしても今月はどんどん予定が入り、ぼんやりしているうちに後半はぎっしりになってしまった。
だいじょうぶなんだろうか私は。

●2004年1月12日(月)曇りがち

8時に起きて風呂に入ろうとしたら、すでにスイセイが朝風呂をしていた。
仕方がないので、朦朧としながらも一緒に入る。
私は1日に2回風呂に入るのですが、朝は単に目覚ましのためにだけ入る。
体や髪を洗うのは夜。
低血圧だから、本当に目覚めが悪いんです。
なので、顔をこすったり歯を磨いたりしながら、15分くらじっと浸かっているだけだ。
今朝は、体を縮め、ふたりで湯船に入れこになって浸かりながら、スイセイに話しかけられないように、お湯の感覚だけにじっと集中した。
そして、清水さんの畑に行く。
今日は丹治くんと赤澤さんも一緒に、畑の様子を見学したり、清水さんのお話を聞いたりした。
スカパーでお邪魔したのは11月だったんだけど、畑の様子がすっかり変わっていて驚く。
ほとんどの野菜がもうお終いで、キャベツと大根とブロッコリーが、ぽつぽつと残っているくらいだった。
キャベツもブロッコリーも、最近はひよどりがやってきてどんどん食べてしまうのだそうだ。
「奴ら(ひよどり)は、どうやらアブラナ科が好物らしいです」と、清水さんはしょうがねえなーという感じでおっしゃっていた。
私は、八百屋さんに行くようなつもりの頭が、まだ抜けなかったんだなと気がつきました。
畑というものは、いつもいつも野菜が実っているわけではなく、収穫し終わったら耕して、植え替えをして、またそれが大きくなってという循環があるのだ。
もっともっと畑に通って、そういうことを頭でなく、肌で感じたい。
それでも椎茸は、もいで帰ってきました。
だけど椎茸も、11月の時とはぜんぜん違っていた。
気温が低い分、大きくなるのに時間がかかるからだそう。
じっとりと重たくて、つまっている感じ。
柚子の木にもう実はなく、隣の木から姫ゆずというかなり小ぶりの柚子をもいでくださった。これで姫ゆずもお終いだ。
今、八百屋さんに売られている柚子は、どこの地方のものだろう。
帰ってから、餅焼き器(電気の網焼き)で椎茸を焼き、蕎麦を茹でて4人で食べる。
そのままのんびりと打ちあわせをやり、3時にはお開きになった。
紙(書類)に向かって考えるのではなく、浮かんできたアイデアをその都度つかまえてどんどん出してみる、ということをやった。
アイデアは、4人の間の空中にぷかぷか浮かんでいるような感じ。
それが逃げないように、そっと掴まえる感じ。
テーマを感じながら周りから攻めていって、絞り込んでゆくという作業だ。
私の他に3人(スイセイも参加している)分の頭があるので、意見を聞きながら刺激されて、またアイデアが絞り込まれるという感じだ。
陽の当たる部屋で、お腹もいっぱいで、時間もたっぷりある。
そういうのんびりした中で、皆して腹を割って話し合う。
これでいい企画が生まれないはずがない。
皆が帰ってから、干しておいた布団を敷いてスイセイと昼寝。
「私らって、自由だね」とスイセイに言ったら、「仕事をたくさん入れて忙しくしないからこういうことができるんじゃ」と、マネージャー的な意見を述べていました。
今日ちよじたちは、ヤーノの案内で、麻布やら青山やら荻窪やら、いろんな所に行ったらしい。夜8時くらいに帰って来ました。
昨夜、「どこに連れて行ってやったら喜ぶやろか」とちよじに聞かれ、何も答えられなかった私だが、ヤーノに連れてってもらったのは大正解だったと思う。
今だから思いついたが、「岡本太郎美術館」もよかったかもな。
というか、私もこんどぜひ行ってみたい。
夜ごはんは、砂肝とキャベツのマスタード炒め、小松菜の塩ごま油和え(姫ゆずをしぼりながら食べた)、人参(清水さんの)の塩もみ酢醤油かけ、南瓜といんげんの煮物、ふわふわ納豆(蕎麦の残りのとろろを混ぜた)、玄米、大根の味噌汁。
タケちゃん、ちよじ、私ら夫婦でおいしく食べた。
深夜バスに乗るので、タケちゃんは9時40分に帰って行きました。

●2004年1月11日(日)きれいな快晴

11時から撮影。
ものすごく晴れていた。
カット数が少なかったし、料理も単純だったからだけど、1時半には終わってしまい自分でも驚く。
「高山さんちでこんなに晴れたのは始めて。僕ん時はいつも曇りとか雨だったから」と、日置さんが言っていた。
本当にとても陽射しが強く、リビングの奥の方まで光がしっかり届いていた。
ちよじは、「机の端っこが、眩しくて何も見えないくらいやったよ」と言っていたが、それってきっと写真家の目だな。
ちよじの友だち(タケちゃん)が撮影の見学に来ていたので、終わってから飲み会に突入。
スイセイはリクエストにお答えして、モバイル焚き火まで出してきた。
タケちゃんは、大阪でお菓子の仕事をしているのだが、これからの進路について行き詰まっているのだという。
りうと同い年の25歳だ。
お土産で焼いてきてくれた、オレンジのケーキがとてもおいしかったから、それだけで私は(この人はだいじょうぶ)と、思いました。
そのケーキは、手作りっぽいというのではなく、ケーキ屋さんのほど気取ってなく、甘さも風味も飾りも控えめだけど、決して素朴ではないという味と見た目だった。
作り慣れている強さのようなものも、味の中に感じた。
そして何よりも、そのケーキが作った本人と似ていたんです。
撮影の残り物を食べたり、ちよじ土産の海老餅や青のり餅をひと口大に切って、焼きながらつまみにしていたのでお腹がいっぱいとなり、夜ごはんはなし。
タケちゃんも今夜は家に泊まることとなり、11時には風呂に入って、12時には寝た。



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