●2004年5月20日(木)雨
「昨日は明るい雨だったけど、今日は暗い雨ですねー」と、カメラの新居さんが言っていたが、ほんとにそう。
しかも、この寒さはどうだろう。
11時より本の撮影。
私は、春の蕪の姿を写真に写して欲しくて、朝から買い物に行った。
けれど、この間見かけたぷっくりと大きく(縦も長め)ふくらんだ、やわらかそうな蕪が今日は売っていなかった。
蕪は、冬だけのものだと思われているだろうが、春の蕪もみずみずしく、またちがったおいしさがあるので、読者の皆さんにぜひ食べて欲しいと思うのです。
春にも蕪が売られているのは、白菜のように旬でないものを売っているのだと、私自身もずっと思っていた。
料理雑誌も、蕪の特集は秋冬ばかりで、春の号にはやらないものな。
「のらぼう」のメニューにも「春蕪のサラダ」というのがあった。
私は、蕪も蕪の葉も大好きだから、つい力がはいってしまう。
というわけで、今日の撮影は品数が少なかったので、2時くらいには終わってしまった。
楽しかった〜。
撮り終わってすぐに、「味見!味見!」と皆が寄ってくるのも、このメンバーならではだ。
とくにみどりちゃんが積極的。
みどりちゃんは、初めてお仕事をごいっしょした時から、ずっとそうだ。
おいしがりっぷりがすごくいい。
「うーん、これ、おいしいー」と、みどりちゃんに言われる時、私の中で、何かがどーんと腹の底に納まる感じがする。
何かというのは、自信みたいな、喜びみたいな、光ったものだ。
たまに撮影をしていて、味見をしても料理について何も言ってくれずに、別の話題でもちきりみたいな現場な時、私はどーんと沈む。
料理というものに対して、素材というものに対して、申し訳ない気持ちになる。
だから、いい現場の時には、私の料理もピカイチにおいしいものができる。
で、カメラマンさんもいい写真を撮ってくれる。
現場の充実感のようなものは、雑誌や本になった時に、よーく分かる。
そういうものだ。
関係ないけど、「ホームドラマ!」の現場もそうなんではないかな?。
さて、撮影続きの日々は、今日で小さくひと段落した。
あさってまた撮影だけど、もうレシピも作ってあるし、仕込みもしてあるから、明日は買い物をすればいいだけだ。
そして明日は「ホームドラマ!」だ。
毎週金曜日が楽しみになってから、一週間のなんとゆっくり過ぎることよ。
夜ごはんは、ごぼう、大根、にんじん、豚肉の煮込みうどん。
昨日、「ためしてガッテン!」で、お吸い物のおいしい作り方をやっていた。
野菜や肉のおいしい味も汁に引きだすためには、昆布も酒も何も入れずに、水だけで具を煮てゆき、具の味が汁に移ったところで、ほんのちょっとの昆布とかつおぶしを加えるというもの。
あらかじめかつおと昆布でおいしい出汁をとって煮るやり方だと、具のおいしさが出にくいし(科学的に)、全部がおいしすぎると舌の感じ方のバランスが崩れて、おいしく感じないんだそうだ。
ためしにそうやって作ってみたら、ごぼうや大根の味が汁によく出て、ほんとにおいしいものだった。
薄口じょうゆと塩とみりんの控えめな味付けで、とても満足感がある。
これは気のせいではないと思う。
こんどまたやってみよう。
食後、デザートにふと思いついて作ったものがけっこうおいしく、スイセイがものすごく気に入ってくれた。
めずらしく、尊敬の眼差しで私を見ていたほど。
それは、生クリーム1/2カップに、きび砂糖とはったい粉(麦こがし)を各大サジ3くらい混ぜて泡立て(すぐにもっこりする。クリームというよりディップのように固めになる)、スパイシー黒蜜をかけたもの。
スパイシー黒蜜というのは、シナモンとカルダモンのホールを水で煮出し、黒糖とはちみつを加えて作る。
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