2004年6月中

●2004年6月20日(日)ものすごい晴れ、風強し

台風一過みたいに晴れ渡っている。
しかし、私とスイセイは二日酔い。
そして私の目は、お岩のように腫れている。
昨夜、「アボンリーへの道」を見て、大泣きしたからだ。
ついに、最終回だったのです。
朝起きたら、ヒラリンとリーダーはすっかり片づけてくれてあった。
私は畳の部屋でアボンリーをひとり見て寝てしまったから、皆が帰ったのが分からなかった。
だけど昨夜は楽しかったな。
調子にのってヴーヴ・クリコまであけてしまい、乾杯する時に、これからの人生の抱負のようなことをひとりずつ言い合った。
4人とも立ち上がって。バカだなー。
さて、布団の中で、「日々ごはん」の読者カードを読みながら過ごすしあわせ。
丹治くんが送ってくれたコピーを、嬉しいので何度も読む。
5時くらいにやっと起き出し、風呂上に入ってさっぱりする。
夕方の、まだ明るいうちに風呂に入るっていいもんだな。
窓を開けて空を見る。
強い風が大掃除してくれたみたいに、明るい青空。
ベランダに足を投げ出し、風に吹かれながら杏のソーダを飲む。
6時になっても7時になってもまだ明るいこの頃の綺麗さを、手で押さえてここにとどめておきたいけれど、時間は刻々と経ち、景色も刻々と変わってゆく。
夜ごはんは、きしめんパスタ(タリアッテレ)、ベーコンとトマトのソース、クレソンと小松菜のサラダ。

●2004年6月19日(土)晴れ

11時から撮影。
さくさくと進んで、3時くらいに終わった。
料理1品を1枚の写真に撮るのは普通なんだけど、たまに2品や3品を1枚で撮ることがあって、どうも前から思っていたが、私はそれがとても苦手みたい。
作ってすぐに撮ってもらえないと気が気でないから、いちどに3品が仕上がるようにするので、焦ってしまう。
今日の撮影は焼酎のつまみで、編集さんからおいしい焼酎をいただいた。
撮影が終わって、アシスタントのヒラリンとスイセイと飲み始めた。
なかなか陽が落ちない夕方、時々ベランダに出て鳥が集まってくるのを眺めながら。
とちゅうからリーダーも呼んで、本格的な飲み会に。
ヒラリンがつまみをいろいろ作ってくれた。
ヒラリンの作ったものを私は初めて食べたが、包丁さばきもいいし(私よりいいくらい)、丁寧で、なんだかとてもヒラリンぽく、おいしかったな。

●2004年6月18日(金)快晴、さわやかな風

なんとも心地よい天気。
シーツを洗ったら、風をはらんで大きく揺れている。
昨夜の腹痛はいったい何だったのだろう。
お昼はお粥にしようかと思っていたら、スイセイが麺がいいというので、冷麺風のツルツルうどんを作って食べる。
本のまえがきを機嫌よく書いていたら、聞きなれない鳥の鳴き声がしてきた。
「チ一一ジュンジュンジュンジュンジュン」 ジュンジュンのところは、機械っぽいぐるぐる回るみたいな音。
コンピューターゲームで出そうな音。
姿は、黒っぽくスリムで小さく、尾は長めだ。頭も黒くて小さい。
誰なんだろう・・・。
夕方から明日の撮影の買い物に出る。
広告でマックの割引券があったので、なんとなく切り取って財布に入れておいたんだけど、帰りに買ってしまった。
マックグランという新発売のでっかいやつだ。
ポテトと飲み物もついて、スイセイの分まで買ってしまった。
それがアメリカの本物みたいにおいしくて、すごいボリュームだった。
だから夜ごはんは、にんじんときゅうりとレタスのサラダ、鮪の刺し身だけ。
スイセイは玄米に昨夜のなすの味噌汁をかけて食べていた。
ふたりとも、ものすごくお腹いっぱい。
今夜は「ホームドラマ!」と「アボンリーへの道」の2本立てだ。

●2004年6月17日(木)快晴

12時より撮影。
カメラマンは、なんと日置さんのアシスタントをずっとやっていたヒロセだ。
1年前くらいにやめて、独り立ちしたというのは聞いていたが、実際にいっしょにやれるなんて、ちょっと母の気持ちだ。
今日は風がわりに強くて光が変わりやすく、ヒロセがやりにくそうにしていたので、スイセイに雲の様子を見る係をやってもらう。
「はい、ええですよー。このまま10分ほどだいじょうぶです」などと。
「2分曇りで3分晴れです」とか、細かいことまで言ってくれる。
スイセイは昔からヒロセを可愛がっていたから、応援しているのだ。
2時には終わり、そうめんを食べてすぐに仕事。
スカパーのレシピや、あさっての撮影のレシピをさくさく書いてゆく。
昨日ぐらいまで、私は休みボケだったみたい。
冬布団のような厚い殻の中にこもっていた感じ。
だから、体の芯が熱っぽくて、いつでもすぐに眠くなってしまう感じだった。
夕方、米やのおじさんが配達に来た時、「今日はカラッとして気持ちがいい日でしたね。陽ものびたから、なんだかのんびりして眠たくなってしまいますね」と言っていた。
まったくその通り。
夜ごはんは、鷄のパリパリ焼き(蒸し鷄に片栗粉をつけて揚げ焼きする。キャベツの千切りの上にのせ、ねぎじょうゆをかける)、もやしとニラとセロリの塩炒め、なすの赤だし、玄米。
ごはんを食べ終わった頃に、猛烈な腹痛になる。
吐き気もするし、お腹が痛くて震えるほどだった。
トイレの中で痛みをこらえる。
スイセイにたのんで温泉枕をチンしてもらい、梅醤番茶も作ってもらう。
梅醤番茶は今日の撮影で作ったばかりだ。
編集さんに「いいでしょー、これ。体の中から温まるから、調子が悪い時にほんとにびっくりするほど効くんですよー」なんて自慢していたら、自分が助けてもらうことになった。
何かにあたったとしか考えられないようなお腹のこわし方だが、同じものを食べたスイセイはピンピンしている。
いったいどういうわけなのだろう。
5本指の靴下をはいて、毛布をかぶって横になる。
「アボンリーへの道」のビデオをもう一度見ながら。
4作分見て、全部また泣いた。

●2004年6月16日(水)快晴

11時より撮影。
4時に終わって、くーっとくたびれた。
(やっぱビールだろっ)という感じで缶ビールをクーッと飲み、すぐに酔っぱらってしまう。ピタゴラ・スイッチを見ながら寝てしまった。
8時に起きて、残り物で夜ごはん。
今日の撮影は麺ものだったので、のびきった麺をスイセイと食べる。
スイセイは文句を言わないで、満足そうに食べていた。
それにしても、なんだかとても疲れた。
今夜も「アボンリーへの道」(1作残しておいたビデオ)を見て、早く寝よう。

●2004年6月15日(火)快晴

梅雨の中休みで、このところ晴れが続いている。
久しぶりにあちこち掃除機をかけ、雑巾がけをする。
3時からは歯医者へ。今日で治療は終わりだ。
奥から2番目をかぶせたんだけど、保険がきくやつだから、ニーッと笑うと銀色がチラッと見える。
歯医者さんは「5万円で白く、10万円でもっと自然の歯みたいにできる」と言われたが、私は断った。
「2000円だったよ」とスイセイに報告したら、「みいはえらかったのう。ぜんぜん気にならんで、それでええんじゃけ。金持ちになったらの、金でもダイヤモンドでも俺が何でも作ってやるけえ」とほめられた。
明日の撮影用の買い物をし、図書館へ。
夜ごはんは、鰯のなめろう(刺し身用を細かくたたいて、青唐辛子入り味噌、しょうが、ねぎを混ぜる)、かぼちゃのポクポク煮、きゅうりの塩もみ(塩漬けの青じそをさっと洗って塩ぬきし、刻んで混ぜた。最近これがお気に入り。金沢の朝ちゃんの畑のきゅうりだ)、沖縄のもずく酢、わかめのわさび醤油、玉ねぎの味噌汁、玄米。
デザートにと思い、いんげん豆をつぶしたのに、生クリームを泡立て、はったい粉を混ぜてみたんだけど、もっそりしすぎて失敗。スイセイはまあまあ気に入っていた。
早めに風呂に入り、洗濯物をたたみながら、ビデオにとってくれていた「アボンリーへの道」を見る。

●2004年6月14日(月)快晴

ひさびさの良い天気は分かっていたが、どうしても眠たくて、布団にはりついていた。
「ごめんねスイセイ、眠くてたまらんの」とトイレに起きたついでに言うと、「ええで、寝とれ寝とれ」と優しいスイセイ。
自分で朝ごはんを作って皿を洗い、換気扇の掃除までしてくれている。
甘えて3時まで寝てしまった。
夕方、これからの撮影ものの仕入れにあちこち回る。
ナナオちゃんにバッタリ会って、クウクウ跡地の工事の進み具合を見に行く。
マスターも見に来ていたので、誘われるまま蕎麦やに飲みに行く。
9時には帰って来たけど、昨日も一昨日も飲んだから、私はちょっとバテ気味だ。
お酒を飲むとつい楽しくなって忘れてしまうが、やることが先回しになるのが辛い。
ここのところずっとのんびりしていたから、そろそろツケがまわってきたのだ。
帰ってから、大急ぎで夜ごはんを作る。
真だこの刺し身、ショルダーベーコンとキャベツの塩炒め、冷やしトマト、オニオンスライス、玄米。
急いで作ったので、味噌汁はなし。

●2004年6月13日(日)ぼんやり晴れ

ふー、帰って来ました。
今12時です。
なかなかいい結婚式だった。
東京に遊びに来た幼稚園の頃の甥のことを思い出し、なんだか泣けて泣けて。
子供たちがどんどん成長して、いつの間にやら大人になっているのを見ると、それだけでううっ・・・となる。
「アボンリーへの道」と、けっきょくはいっしょなのだ。
フェリックスのチビの頃の記憶がまだ新しいように、私の瞼の裏には、チビの甥っ子がぜんぜん健在なのだもの。
さーて、今夜はもう風呂に入って寝ます。
なんか、ひと晩会わなかっただけなのに、スイセイが懐かしい気持ち。

●2004年6月12日(土)曇り、時々雨がぱらつく

朝起きて、半分寝ぼけながらも、すぐに梅干しを漬ける。
昨日の「アボンリーへの道」、私が見始めてから10年は経っているのだろうか。
フエリックスは高校生、フェリシティーは23歳くらいになっているのだから。
子供たちは今がいちばん盛りの美しさで、大人たちは急速に歳をとった。
そして、女の人たちの服装が微妙に変わった。コルセットをつけなくなったのだ。
日本で、同じドラマを同じ出演者で10年やることってあるだろうか。
「北の国から」か。
今夜も4本分やるけど、私は田舎に帰るので、スイセイがビデオを撮っていてくれる。
では、行って来ます。
姉の息子の結婚式なのです。

●2004年6月11日(金)雨

強くはないが、シャワーぐらいのしっかりした雨が、同じ調子で一日じゅうずっと降り続いている、とても梅雨らしい日。
朝から大豆をゆでたり、時間を計ったり、試作をしたりして過ごす。
途中、電話もいろいろかかってきて、かなり料理家らしい日だった。
今月はあれよあれよという間に、後半から恐ろしいスケジュールになってしまった。
明日から田舎に帰るから、帰ってからの準備がなんとなくいろいろあって、頭の中が慌ただしい。
何かをやっている途中で、ふと思い出したことを書き込み、またもとの事をやっていたら電話があって、ぜんぜん違うことを始めたり。
これって引っ越しの時に、荷物の整理をしているのに、昔の写真とかメモを見始めて、ついそっちに夢中になってしまうのに似ている。
今、ベランダの所に雀が2羽飛んで来た。
雀って薄汚いみたいな色の混じった鳥だと思ってたけど、近くで見ると、顔に黒いところもあるし、羽も模様があってけっこう綺麗だし、頭も丸くてかわいいじゃん。
雨だからか、ぷくっーっと膨らんでいるのも、着膨れみたいでかわいらしい。
ごはんの支度をしながら、昨日の続きの「翼の王国」の原稿を書き上げる。
夜ごはんは、大豆入りハンバーグ、焼き茄子、きゅうりの丸かじり(自家製の味噌で)、落とし卵の味噌汁、玄米。
今、「ホームドラマ!」を見終わったところ。
あちゃー、出産のシーンでしおりちゃんの時を思い出してしまい、ボロボロ泣いてしまった。
うう、和楽・・。
今夜の愉しみは、あと「アボンリーへの道」だ。



日々ごはんへ めにうへ