2004年8月上

●2004年8月10日(火)晴れ時々曇り

窓の外では、青いつなぎを着たおじさんが、鉄柱に立って枝を切っている。
最近、際限なく木が大きくなっていたから心配していたが、やっぱりちゃんと手入れしているのだな。
あの人は市の清掃員か何かで、きっと毎年の作業なのだろう。
初めてその現場を見たというわけだ。
3時からハヅキの家に出掛ける。
今日は和楽の1歳の誕生会で、子供たち、お母さんたちが集まるのだ。
和楽は歩けるようになっていた。
顔つきも、またいちだんと美少年に近づいて、バランスができてきた。
ちいちゃんとこの響は、むちむち君になっていた。
ハヅキのとこのマヒナと半日しか違わないのに、全然大きさがちがう。
響は、男らしさのようなものを感じた。
ひとりずつ抱っこしていたら、赤ん坊っていうのは、皆とてもちがう人格なのだと気がつきました。
顔を見たり、動きを感じたりしていても、それだけではない何かが抱っこしながら伝わってくるような感じがした。
感じとしか言えないのだけど・・・これが、きっと何かなのだと思う。
ハヅキたちが作ってくれた、ちらし寿司とゆで餃子がすごくおいしかった。
いつの間にみんな、こんなに料理上手になったのだろう。
お母さんになったここ1〜2年が、皆にとって、とんでもなくいろんなことがあったんだろうなーというのも感じた。
私は相変わらず仕事ばかりしているから、そんなに大きな変化はないけど・・・なんて、ちょっと人生のスケールの違いのようなのを感じた。
比べるのもおかしいけれど、やっぱり人ひとりこの世にひねり落として、大きく育てるというのは、人類の仕事の中でいちばん尊大なことだよな、なんて。
しおりちゃん作のラタトウユは、懐かしいクウクウの味でじんわりした。
帰ってから、私はひと仕事。
今夜中にお送りしなければならないゲラを、目をしっかり固定して、厳しくチェックした。
これが私の仕事なのだから。
夜ごはんは、コールスロー、塩豚とゴーヤのトマトソース・スパゲッティ。

●2004年8月9日(月)快晴

起きてすぐに、シーツや枕カバー、クッションカバーを洗う。
シーツは、2時間でパリパリに乾いた。
掃除機をかけ、雑巾掛けをする。
そしてまた洗濯の2回戦だ。
そんなことをしながらも、原稿をずっと書いていた。
どんどん形になっていくのが嬉しい。
「日々ごはん2」のレシピやあとがきを、書いているのです。
夕方買い物に行き、また続きをやる。
確かに締め切りは明日だけれど、それに合わせてというわけではなく、書きたくて、どんどんやれている感じ。
明日、和楽の誕生会が昼間からあるのも、関係あるかも。
それで張りきっちゃっているのかも。
夜ごはんは、鰯の梅ねぎたたき、スーパーの鷄の竜田揚げ、めかぶ、卵豆腐、茄子の炒め煮、玄米。
卵豆腐はそうめんの形になっている変なものを買ってしまった。
めんつゆのようなのをかけて食べるのだが、飛行機の機内食の日本そばみたいな趣で、「もう買わんでええけ」とスイセイに言われながらも、つるっと食べました。
そしてスーパーの竜田揚げ、油っこいのは分かっているんだけど、食欲が落ちている時って不思議とジャンキーなものが食べたくなるのだ。
けど食べてみると、やっぱり油っこくてたくさんは食べられない。
風呂から上がってパリパリの洗濯物をたたみながら、これまたパリパリのシーツに寝転がって、サラリーマンの鉄棒クラブのテレビをスイセイと見る。

●2004年8月8日(日)快晴

洗濯物がすぐに乾く喜び。
しかも触るとパリパリしている。
「うちの玄米ごはん」の校正は無事終わり、昨日もいできたトマトやら、キャベツサラダにとうもろこしを入れてお昼にする。
昨夜、玄米の炊き込みごはん(しいたけ煮、塩豚、ごぼう入り)を作っておいたので、それも食べる。
玄米の炊込みごはんは、どうもむずかしい。
うちのフィスラー圧力鍋では、普通の玄米の炊き時間は16分なんだけど、25分でやってみた。
それでもフタを空けたらまだ水分が残っていたので、もういちど10分ほど追加で火にかけてみた。
これでやっと出来たけど、水に油分やら調味料が混ざると玄米に吸い込みにくいみたいで、もっちりというよりもぷちぷちした触感。
スイセイは昨夜、おいしいおいしいと食べてくれたけど。
午後からは、「日々ごはん2」のおまけレシピの原稿を書き始める。
今夜は試作をするつもり。
夕方買い物から帰ってきてざっと台所を片づけ、いつものようにまる子、サザエさんを続けて見る。
波平が双子だとは知らなかった。
ほとんど同じ顔だが、波平は毛が1本、海平は毛が2本であった。
そして、先週のサザエさんの時刻にはまだ外が明るく、青空に雲が流れていたような覚えがあるが、今日はまる子が始まる時点で、もう夕暮れが始まっていた。
じりじりと、日が短くなっているのだな。
夜ごはんは、お刺し身盛り合わせ、ウィングスティックと小松菜の中華あんかけ煮、米茄子のフライパン焼き、清水さんのトマト、オクラ納豆、大根の味噌汁、玄米。
店で働いていた頃は、日曜日も関係なく仕事をしていたから、日曜の楽しみがまったく分からなかったが、それが最近すごく分かってきた。
テレビ番組もスーパーの様子も人々の顔も、全国的に休日っていう感じ。
当たり前に私もそれに便乗していて、サザエさんとウルルンを毎週楽しみにしている。
日曜日でもちょこちょこ仕事はしているけれど、心は休日っていう感じだ。
さあ、早く後片づけをして風呂に入り、ウルルンに備えよう。

●2004年8月7日(土)晴れのち曇りのち雨

もしかして私は夏バテか?。
いくらでも寝てられそうなのをエイッと起きる。
それとも、怠け癖がついたのか?。
お腹が空かないのでヨーグルトと桃を食べる。
午後から、「うちの玄米ごはん」の校正の見直しをやり始めた。
川原さんと清水農園に行くので、3時に出掛ける。
うーん、すごく夏休みっぽい日だ。
行ってきました清水農園。
行きしなに、初めての道ばかり通って迷ってしまい、野川公園まで行ってしまった。
ひとりだと迷わないのに、誰かを連れて行こうとするとなぜかいつも迷う。
畑は、また様変わりしていた。
とうもろこしと枝豆があった場所は、完全にまっさらな状態で、今日はトラクターでうなっている最中だった。
きゅうりもトマトも、そろそろ本当に終わり。
しかし、茄子は背が高くなっているにもかかわらず、ピンピンの絶好調だった。
米茄子、水茄子、ふつうの茄子をもぐ。
トマトもオクラも、名残のをもいできた。
清水さんの親戚のとうもろこしが、ちょうど入ってきていたので、もちろん買う。
帰ってから、とうもろこしをさっそく茹でて食べました。
あー、スーパーでおいしそうなのがあってもずっと我慢していた甲斐があった、という旨さだ。
実がぷりっとして、ひと粒ひと粒がはじける。
ひとりで1本半も食べてしまった。
とうもろこしは沸騰してから3分強で上げたら、ちょうど良かった。
茹で過ぎは禁物です。
ふつうの茄子は、今、くったりしょうゆ炒め煮にしたところ。
くたくたっというより、ぬたっりとおいしくできた。
厚めに切ってごま油でざっと炒め、しょうゆ、酒、水少し、にぼしの裂いたものを加えて落とし蓋をして煮るというもの。
茄子は水分が多いから、煮すぎないのが肝心だ。
火をとめてからも余熱ですぐに柔らかくなるので。
今日は、伏見唐辛子も加えてみました。
だけど、にぼしはいらなかったみたい。
清水さんの畑の茄子は、旨味が強いから充分な気がした。
さて、今夜は夜ごはんはいらないとスイセイが言う。
あとで、焼き茄子と米茄子とピーマンの天ぷらだけを作って食べるつもり。
それまでは、「うちの玄米ごはん」の校正を心おきなくじっくりやろう。
そういえば川原さんを迎えに行った時、「今ちょうど麦茶を入れて準備してるとこ」と言いながら、小さいペットボトルに詰め替えていた。
川原さんて、そういうところがすごくいいなと思う。
清楚な暮し方とはこのことだ、と思う。
それは、川原さんの絵にもにじみ出ているし、ファッションにもにじみ出ている。
誰の真似でもない川原流の暮し方だ。
私も真似しよう・・。

●2004年8月6日(金)快晴、暑い

「チーチーチュイ、チーチーチュイ」とずっとひとりで鳴いている鳥。
姿は見えないが、ムクドリだ。
今朝は朝帰りだった。
斎藤君が車で近所まで送ってくれて、てくてく歩いて9時くらいにスイセイとたどり着きました。
ビカーッと午前中の光が射している中、「蕎麦が食べたいのう」とつぶやくスイセイ。
帰ってからとろろ蕎麦を作ってやり、今朝届いた「うちの玄米ごはん」の表紙の色校を抱きながら寝た。
表紙、すごく良い。
写真は日本画みたいだし、白い帯が、洗い立ての割烹着とか布巾みたい。
「あー、こんなにしてくれて、モッ君ありがとうー」と、東の方を向いて言った。
そして、何度も目が覚めながらもひたすら寝た。
ひと眠りするごとに、お酒が抜けてゆく。
と、これを書いてからもまた寝てしまった。
夜ごはんは塩豚とゴーヤのスパゲッティー、キャベツときゅうりのサラダ。
作ってはみたものの、スイセイも私もほとんど食べられずに残してしまった。
9時から、広島の原爆の番組をスイセイと見る。

●2004年8月5日(木)曇り、涼しい

夕方から桃ちゃんがごはんをご馳走してくれるので、それまでに頑張って本のレシピを仕上げる。
ビデオを見ながら、作り方のコツをよくチェック。
ぎりぎりまでやって、シャワーを浴び、では、行ってきます。
ここからは、6日に書いています。
桃ちゃんに、幡ヶ谷の「チャイナハウス」という店に連れて行ってもらった。
薬膳料理のお店。
決まったメニューがなくて、その日のおすすめがコースのように出てきました。
野菜がたっぷりで、こってりしすぎず、素材の味がいきている中華で、とってもおいしかった。
百合の花と帆立のオイスターソース炒め(生の百合の花は緑色でアスパラみたいな味)、黄ニラと自家製ベーコンの塩炒め(スイセイが黄ニラをとても気に入って、「ハーハーするのんをとってある炒め方じゃ。みいもこうやって作っての」と言う。半生のシャキシャキの状態で辛みを残して炒めてあるという意味らしい)、しらす団子梅肉あんかけ(生しらすでつみれのように作ってある。梅干し、豆板醤のあんかけ)、松茸とイノシシの炒め物、スッポンと干ししいたけとねぎの炒め物、緑色の麺を何かで和えた和えそば。
スッポンは初体験だった。
おいしいというよりも、ゼラチン質で骨がたくさんあり、カーッと顔が熱くなる感じ。
斎藤君は、「これゃ、まいったなー」を連発していた。
若い男の子には相当強いらしい。
真っ赤になっている斎藤君を見てからスイセイを見ると、ぜんぜん変わらず白っぽい顔色であった。
そして桃ちゃんの家にも遊びに行った。
私は早々にダウンして寝転んでしまったが、スイセイと斎藤君と桃ちゃんはけっこう飲んでいたみたい。
楽しそうな話を聞きながら、時々声だけで参加した。
ビールを1本半と紹興酒くらいしか飲んでないのに、なんであんなにすぐに酔っぱらってしまったのだろう。
もしかしてスッポンのせいか?。

●2004年8月4日(水)晴れ

昨夜の「笛吹川」は迫力だった。
孕んだ娘が刀でたたき切られるのだが、切られた瞬間、その股の所で着物がふくらんで動くものがある。
娘は死んだが、赤ん坊は生まれ落ちたのだ。
陰で見ていた娘の母親が走り寄って、娘の顔を「かじるようになでた」。
そして赤ん坊を抱き上げ、へその緒を歯ぎしりして食いちぎった・・・。
今日はピーカンの良い天気。
けれどお盆が過ぎたみたいに涼しい。
猛暑は辛かったけれど、もうちょっと暑くなってもいいのにな。
午後からは、本のレシピの直しをやる。
この間の夏野菜のやつ。
あのテンションを忘れないうちに、文章も書かなければと思いながらも、レシピをじっくりゆっくりやっているうちに夕方になってしまった。
おやつで、スイセイに梨を1個分むき、部屋に持っていったら、「こんなにもらってええの?やさしい人じゃのう」とつくづく私の顔を見て、ボケじいさんみたいに言っていた。
うちの味噌、ちょっと見ない間にずいぶん発酵が進んでいる。
表面に張った膜を混ぜ込んで味見すると、ほんのり酸味が混ざって、ますます複雑な味に熟成してきている。
まだもったいないけれど、今夜の味噌汁に使ってみよう。
夜ごはんは、かぼちゃのポクポク煮、ささげ(平たいいんげん)の炒め煮、ちくわと小松菜の塩炒め、落とし卵の味噌汁、玄米。
味噌って、自分で発酵してどんどんおいしくなっていくところが、頼もしくて感心する。
世話をしなくてもこんなにうまくできるのなら、来年も絶対に作ろう。
さて、今夜もまたオーストラリアの生き物のテレビを見よう。

●2004年8月3日(火)曇り時々晴れ

昨夜は、深沢七郎の「笛吹川」を読んだ。
私は昔「みちのくの人形たち」という本を読んで、この人のトボケたみたいな文章を大好きになった。
トボケてるみたいなのに、野蛮で、ダイナミックなような。
「笛吹川」は、読んでいても今のところ誰が主人公か分からない。
主人公だと思って読み始めた爺さんはさっさと殺されてしまうし、血気盛んで喧嘩に強い死にそうにない若者も、たった2行くらいで死んでしまった。
子供もどんどん死ぬし、だけどそのたんびに赤ん坊が生まれたり、馬の子が生まれたりする。
大地的というのか、生きるとか死ぬとかについて、嘘がないような逞しい感じがする。
読んでいるうちに、なんだか最近考えていたことがぼーっとかき卵がまとまるみたいになってきた。
と、ここまでを朝起きてすぐに書いたのだが・・・。
今(夜)は思い出せない。
夜ごはんも食べて風呂にも入って、台所も片づけた。
あとは、11時から始まるオーストラリアの砂漠の生き物の番組を、スイセイと見る約束をしている。
まあ、またすぐに思い出すだろう。
今日は2時から打ち合わせでした。
新しく本を作るかもしれない人との初顔合わせだ。
3時半までみっちりお話して、夕飯の買い物へ。
スイセイは昨日も市役所でカレーを食べたばかりなのに、「今日はカレーだよ」と言ったら、「よっしゃー、バッチシじゃー」と喜んでいた。
夜ごはんはカレーライスとコールスロー。
そして、8時に赤澤さんがいらして、「天然生活」のゲラの校正をいっしょにやった。
レシピを、少しでもスッキリ分かりやすくしようということで、ふたりでぎゅっと集中してやった。
赤澤さんの陽に焼け方は半端じゃない。
会うたびに濃さが増している。
だから相変わらずお忙しそうだけど、体の芯に海や夏の光が染み込んでいて、とても健康そうに見える。

●2004年8月2日(月)快晴、わりと涼しい

急に暇になったので、窓拭きをする。
やり始めたら止まらなくなり、陽にさらされながら、家中のをぜんぶ磨いた(スイセイの部屋のはやってない。言っても多分やらせてくれない)。
すっきりしてシャワーを浴び、市役所に税金などを払いに行く。
そして8階の食堂へ。
蝋細工の焼きそばや、天津丼や天ぷら蕎麦、カツカレー、コロッケカレー、ラーメン、もやしラーメンを眺めながら、口の中が涎でいっぱいになる。
さんざん迷ってスパゲティ・ナポリタンとアイスコーヒー(私)、コロッケカレーとコーヒーフロート(スイセイ)を食べた。
ナポリタンなんかケチャップで真っ赤だし、パセリかと思ったら青のりがかかっている。
コロッケカレーもおいしい味とは言えないんだけど、ここで眺めの良い景色を見ながらスイセイとふたりで食べると、なんだかとてもおいしいのだ。
帰り道で、農家の枝豆と茄子を買う。
そして私はすぐに図書館に行く。
夏休みの子供たちに混ざってコンピューターで検索したり、気に入った本棚の通路に(絨毯みたいのが敷きつめてある)座り込んで、片っ端から座り読みした。
「オー、すげえ。12万円だって」「これもすげえなー」とか、小学生の男子ふたりも座りこみ、本をめくりながら小さめに盛り上がっていた。
天体望遠鏡の本らしい。
深沢七郎の本を書庫で捜してもらい、庄野潤三の「休みのあくる日」というのも借りる。
本当は「夕べの雲」を借りたかったのだが、書庫にもないみたいだった。
さっそく深沢七郎の対談集「たったそれだけの人生」の武田百合子のところを読んでいたら、風呂上がりのスイセイが裸でやって来る。
ぐーっと力を入れて、ボディービルをやっている。
「歩く時にの、腕にここが触って邪魔なんじゃけえ」。
胸についてきた筋肉を自慢しているのだ。
最近、散歩の最後に鉄棒で腕立て伏せをやっているそうだ。
足腰も、胸から上も鍛えてあるのに、お腹だけがポッコリ飛び出たスイセイ。
夜ごはんは、麻婆茄子春雨、キャベツとにんじんの酢油かけ、わかめのポン酢しょうゆ、塩鮭、きのこの吸い物、黒米入り玄米。
風呂から上がってアイスを食べながら、オーストラリアの海の動物たちのテレビを見る。

●2004年8月1日(日)晴れ、風があって涼しい

このところ、夜も昼間も涼しくて過ごしやすい。
けれどスイセイは食欲がなく、食べられるものが狭まってしまうので、工夫しながらごはんを作らないと、食べてくれなくてたいへんだ。
それに合わせていたら、私まで食欲が落ちてきてしまった今日この頃です。
お昼には、昨日残してしまったラーメンの麺で焼きそばを作ってみた。
オイスターソースと中農ソースで、ねぎ、焼き豚、ピーマン、香菜、ディルを入れ、香港風にした。
午後からは、「うちの玄米ごはん」のゲラをもういちどよーく見直す。
夕方仕上げて無事お送りし、街へ買い物に出た。
スイセイの好きなメーカーの蕎麦やめんつゆ(甘みが少ない)、今晩のごはんの鰻やら刺し身など。
帰り道、欅並木のトンネルで蝉がいっせいに鳴きしぐれ、響いていた。
馬鹿のようになりながら、上を向いて、スイ一一とそこを通る気持ち良さ。
今日のサザエさんは、カツオの声の人が夏カゼをひいているようだった。
そして、手巻き寿司やちらし寿司、いなり寿司など、どこの家でもやっぱり夏のごはんを工夫している様子だった。
さて、家の夜ごはんは冷やしトマト、ピーマンの網焼き(しょうが醤油)、大根の薄味煮、真鯛の刺し身、タコ刺し、鰻の蒲焼き、玄米。
今夜の「情熱大陸」は超おもしろかった。
フランスで活躍している、出張女料理人の話。
彼女はひとりで仕入れをし、人の台所に出掛けてひとりで料理をする。
まるで「バベットの晩餐会」の、バベットを見ているようだった。
おいしい料理を作ること以外の、無駄な感情や言葉がいっさいない爽やかな女の人だった。
お客さんはセレブだろうが何だろうが、彼女にとってはたぶん関係ないのだろうな。
おいしくて美しいひと皿を作ることだけに入り込んでいるから、周りは関係なくて、変に浮き上がりもしないし、仕事が終わってからへたってみたり、くたびれた顔をわざとする必要もない。
カメラに向かって、くたびれた顔をして見せたり、昔は苦労しましたっていうような話を涙ぐみながら語る人って、照れもあるだろうけれど、自分のことをすごい!って思っているんだと思う。
それは、周りと比べてそう思うことだから、純粋に自分のやりたいことにのめりこんでいる人っていうのは、自分のことをすごい!とか、厳しいとか、真面目とか、思わないはずだよな・・・なんて思った。
静かな感動で、私は見終わってからティッシュで目をひと拭きした。



日々ごはんへ めにうへ