2004年8月中

●2004年8月20日(金)快晴

昨夜の風はものすごかった。
雨は降らないけれど、台風なのだ。
その風の中、昨夜も正岡子規を読んでいた。
昼過ぎまでしっかり寝て、床掃除をする。
昨日の大風のせいだと思うが、雑巾が真っ黒になった。
2回拭いてきれいさっぱりしたので、ついでにワックスも塗る。
汗をダラダラ流しながら。
夕方から、アノニマ・スタジオへ。
原稿を届けるのと、表紙の絵ができたらしいので見に行って来ます。
今夜は、終わってから、皆でごはんを食べる予定。

●2004年8月19日(木)快晴、夏らしい日

風はちょっと強いけれど、夏休みらしい日だ。
洗濯物を干す時、まったく雲がない青空だった。
これは、乾燥しているということなのだろうか。
てことは、もう秋ってこと?。
昨夜は、正岡子規の「仰臥漫録」を読んでいたが、途中で愛ちゃんの卓球と、水泳の北島の決勝をスイセイとふたりで応援する。
そしてまた続きを読む。
これは、正岡子規が病床の布団の上で、仰向けで書いた日記だ。
朝、昼、晩に食べたものが書いてあるのだが、それにしてもよく食べるので驚いた。
「朝 粥3腕、佃煮、こーこ少し(茄子と瓜)、牛乳5勺ココア入り、塩せんべい3枚。
昼 かつをのさしみ、粥3腕、みそ汁、西瓜2切れ、梨1つ。間食 菓子パン10個ばかり、塩せんべい3枚、茶1杯。夕 栗飯3わん、さわら焼き、芋煮。」 毎日だいたいこういう感じ。
時々、焼き鰯18尾とかいう時もあるから、まったく驚いてしまう。
この日記の1年後にこの人は死ぬのだが、とにかくそうやって大食いし、「山のごとし」の排便をしたり、お腹をこわして腹痛に苦しんだり、庭の景色を眺めて句をひねったり、スケッチしたりしている。
肺病だから食べ物を贅沢にしているのだろうが、この大量のご飯を作っているのは母親と妹らしい。
尋常でない看病をしてもらっているのに、子規は、妹や母親の悪口がはなはだしい。
病気で苦しいのは分かるけれど、えらぶっていて、ちょっといやーな感じだ。
たまに、夜3人でお菓子を食べたとかいうのが書いてあると、私はほっとする。
自分の誕生日の日に、料理屋から会席の出前をとって、いつも粗末なごはんしか食べていない母と妹に、ご馳走したりもしている。
4時くらいに美容院へ。
美容院で『サライ』をめくっていたら、正岡子規が気に入っていた豆腐屋(現在は豆腐料理の店)が出ていた。
ここの絹ごし豆腐が好物で、「仰臥漫録」の時期にも妹に買いにやらせたりしていたそうだ。
益々食い意地がはって贅沢な感じがするが、どうなんだろう。
「日々ごはん2」が明日提出なので、もういちどざっと見直す。
夜ごはんは、枝豆、豚のしょうが焼き(粉ふき芋添え)、いんげんのくたくた炒め煮、コールスロー、きゅうりサラダ、昨夜の里芋煮、玄米。
今日も味噌汁はなし。

●2004年8月18日(水)快晴、風が強い

うって変わって、ものすごく良い天気。
空気も乾燥して、カラリとした風が吹き渡っている。
昨夜、夜中に「ガッジョ・ディーロ」というルーマニアの映画を見た。
それからは、寝ていても、起きている今も、映画の匂いが全然抜けていかない。
5年前くらいに、クウクウのスタッフの間でも流行った映画で、さんざん薦められたのだが、なんで私は見に行かなかったのだろう。
見る直前まで、深沢七郎の対談集で、昔の子守歌(童謡の様にかしこまったものではなく、農家の子守り娘が唄っていたようなシモネタまじりの泥臭い唄)の話を読んでいたので、偶然にもテーマが重なり、益々はまってしまったのだ。
そして、今日は仕事はしないことに決め、また続きを読んでいたら、8月18日は深沢七郎の命日だと知りました。
椅子に腰掛けてひと休みしたまま、死んだそうだ。
夕方、図書館に行き10冊借りてきた。
深沢七郎の「楢山節考」もある。
夜ごはんは、里芋の薄炊き(いつもの八百屋さんに千葉県産のコロンとした新里芋が出ていたので)、タコ、しめじ、ピーマンのイタリア風炒め、冷やしトマト、玄米。
味噌汁はなし。
里芋がねっとりして、とてもおいしかった。
今日は早めに布団に入って、本を読もう。

●2004年8月17日(火)曇り時々雨、蒸し暑い

朝起きたら、むわっと湿気を感じだ。
雨が降りそうだったが、一瞬晴れ間が出たので、つい洗濯をしてしまった。
たぶん、今日は一日中ぼんやりした天気だろう。
気をとりなおして、昨夜の続きの校正をやる。
5時くらいから、とうとう雨が降り出しました。
窓を閉めて、湿った温かい部屋で、夕方の教育テレビをどっぷり見ていたら、「おじゃる丸」で泣いてしまった。
今朝、新聞を読んでいる時も、何かの記事で泣いたし。
なんか最近、感情が過多になっているなぁと思う。
夜ご飯を食べながら、卓球の愛ちゃんの顔を見るだけで、全然関係ないコマーシャルのおじさんの顔を見るだけで、泣けてくる。
どうしてだろう、湿気が多いのも関係あるんだろうか。
夜ごはんは、カツ丼、スライスオニオン、水菜のお浸し、刺し身のヅケ(昨夜ののり巻きの残りを漬けておいた)、焼き茄子の味噌汁。
トンカツもちゃんと作って、揚げたてをひとりずつ卵でとじたのに、ちょっと煮汁が少なかったのが、スイセイは気に入らないみたいだった。

●2004年8月16日(月)晴れ、涼しい

天気がいいので、大々的に洗濯。
そして掃除機をかけ、雑巾掛けをして、さっぱりしたところで仕事に入る。
「日々ごはん2」の校正だ。
郁子ちゃんにいただいたアルバムを、エンドレスで聞きながらやる。
「ピアノ」という、初のソロアルバムだ。
全体の感情のトーンが、高くもなく低くもなく、聞けば聞くほど心地よい。
言葉も音楽みたい(同化している)。
夕方、暗くなる前に買い物に出る。
久々に「おいしい魚屋」さんに行ったんだけど、お盆休みだった。
仕方がないので街に出る。
いつものお米屋さんで、白米を選んで買う。
新米がもう出ていた。
九州の佐世保産だから、他の地方よりもちょっと早いのだそうだ。
刺し身やらいろいろ買って帰る。
帰り道で、石榴の実が赤くなっているのをみつけた。
石榴って秋のものだとばっかり思っていたが、今頃からなるものなのだな。
今日買った新れんこんも、ずいぶん安くなったから買ったが、まだ小さくしまったものが、すでに6月から出ていた。
新れんこんというと、初秋のイメージがあるけれど、夏なのだ。
今日もまた、夕方の蝉しぐれのトンネルの下を通る時、気が遠くなりながら自転車をこいでみた。
夜ごはんは、巻きずし(本鮪、カンパチ、たくわん)、煮しめ(れんこん、こんにゃく、飛龍頭、ちくわ)、しじみの赤だし。
巻きずし、ご飯が多すぎて割れてしまったり、具が真ん中にこなかったり、大きさを揃えて切るのもなかなか大変だった。
もっと気軽に作れるように、研究してみようと思う。
けど、「酢飯は出前のより旨い」とスイセイに褒められました。
だって新米だし、今日精米したばっかりの銀シャリだものー。
ずっと玄米ばかり食べていたけど、ふたりともイマイチ食欲がないから、軽いものが食べたくなるみたい。
明日も白米を炊いて、カツ丼を作る予定だ。

●2004年8月15日(日)雨のち曇り

秋のように涼しい。
お盆を過ぎると、夏休みも終わりという感じになるけれど、もう秋なのか?。
明太子スパゲッティを作って食べる。
それにしても寒すぎるのではないだろうか。
大急ぎで5本指の靴下をはく。
夜ごはんは、かき玉うどん(水菜をゆでてのっけた)のみ。
サザエさんもないし、ウルルンもやらないなんて。
私はオリンピックを見ないから、とてもがっかりしている。
いつまで続くのだろうか。
今夜から、また「日々ごはん2」の直しを始めよう。
楽しみな作業だし、9月からの日記なので、この涼しさが体感的に調度いいかも。
そういえば、今日久々にハルを見た。
なんか、男らしくなっていた。
犬も、人間みたいに日によって落ち込んだり元気だったりして、顔つきも違ってくるのかもしれないな。

●2004年8月14日(土)どんよりした曇りのち雨

すごい二日酔い。
お腹も空かないし、立ちくらみがするから、扇風機をつけた部屋でずっと横になっていた。
ごはんは、そうめん。
スイセイは、自分で何かを作ったらしい。
夜、桃をむいてがつがつ2個食べた。布団の上で。
冷たくて、すごく欲していた食べ物って感じだった。
この桃は、八百屋の向かいの果物屋で買ったんだけど、前にお兄さんが言っていた「最初は固くて、日がたつと柔らかくなる品種」だなと思った。
見た目は普通の桃だが、よく見ると皮の色がちょっと渋めで、産毛がたくさん生えているというか、固くて色が濃い産毛なのかも。
種のまわりも濃いピンクで、種が小さいような気がした。
30種くらいの桃が市場に出てると、前にお兄さんが言っていたが、本当にそのとおり。
そんなこと、今までまったく知らなかった。
また来年も楽しみだな。
夜中に雨が降り始め、土を掘り起こしたような匂いがする。
久しぶりだ。
きっと地面も、木々も喜んでいるだろう。

●2004年8月13日(金)快晴

NHKのシナリオを見ながら、準備するものをまとめておいた。
今日の仕事はこれだけ。
新しい仕事の電話もパラパラかかってきたけれど、今日からお盆休みだものな。
4時過ぎから、またスイセイの散歩について行く。
昨日と同じように別々に公園まで行くが、私も時々走ってみた。
走っては休み、また走りたくなったら走ったりして。
また走りたい・・と思うのが自分でも不思議だが、体が喜んでくれている気がするのだ。
ずっと運動したかったーと、体が言っているような感じなのだ。
けど、筋肉痛。
足のつけ根がマジで痛い。
夕方から、ヒラリンが来てテレビの打ち合わせ。
続いて丹治くんも、「日々ごはん2」の原稿を持って来てくださる。
そして自然に飲み会に。
ヒラリンが作ってくれた鷄の塩焼きがすごくおいしかった。
弱火で、皮目をひたすらじっくりパリパリに焼いて、ひっくり返したらほとんど焼かないというもの。
フタをするとパリパリにならないから、フタもしないのだそうだ。
新しい鷄肉だったら、裏返したら30秒くらいしか焼かずに、中がサクラ色でもいいくらいで、それがおいしいのだそうだ。タタキみたいで。
途中から川原さんも呼んで、本格的な飲み会に。
ビールビールビール、泡盛泡盛っていう感じ。

●2004年8月12日(木)快晴

午後、ヤノ君が久しぶりに家に来た。
郁子ちゃんがくれた新しいアルバムを持ってきてくれたんです。
なんと、いしいしんじさんが詩を書いている歌もあるらしい。
うわーい。
ヤノ君は仕事の前に寄ってくれたので、あんまり時間がなかったけれど、最近の「日日」の様子などを聞く。
スイセイと3人で西瓜を食べ、ヤーノは「日日」に爽やかに出掛けて来ました。
原稿を書き上げてお送りし、もうひとつ原稿を仕上げ、あまりにも暇なのでスイセイの散歩について行く。
最近は、スイセイは走るようになったらしく、玄関はいっしょに出たけれど、「じゃあの」と言って、どんどん駆けて行ってしまった。
私は、てくてくと早歩きだ。
中央公園に着いてからは、ふたりで歩いた。
とちゅう、歩幅をせまく力を緩めて、ゆっくり走るというのをやった。
コーチはスイセイだ。
ハアハアと息苦しいのも気持ちいいし、止まってからゆっくり歩くのも気持ちがいい。
顔を洗って、腕の付け根まで洗って、水を飲む。
鉄柵のところで懸垂も20回やってみた。
帰りに果物屋で桃を買い、八百屋でピーマン、トマト、ゴーヤ、レタスを買う。
シャワーを浴びた後の一杯の缶ビールが最高だった。
あー、行って良かった。
しかも今日の夕暮れは、特別に綺麗な気がする。
茜色の空のせいで、大気の全体が染まっているのだ。
だから木の葉の緑色にも茜色がかぶさっている。
夜ごはんは、虹マスの塩焼き、ソーセージとピーマンの炒め物、冷や奴、浅利の潮汁、冷やしトマト、玄米。

●2004年8月11日(水)快晴

午後から、「翼の王国」の原稿を書き始める。
今日、キッチン道具についての仕事の依頼がきたが、断ってしまった。
いろんな雑誌で、すでに何度もお薦めしているものばかりだし。
それに私が使っている道具って、これはこうだから使いやすいとか、形がシンプルだからとか、説明しようと思えばできないこともないが、本当はもっとずぼらな気持ちで集まったものを使っている気がするのだ。
けっこう使いにくいんだけど、好きな人からもらったものだし、形もなんだかかわいくて愛着があるから、ずっと長年使っている・・・というような。
包丁だって、特別にそのメーカーのを気に入っているからではなく、売っていた店(合羽橋のいつも行く店)のおじちゃんたちが好きだから、たまたまそこで買ったのだ。
本当は、料理の仕事をしているのだから、いろいろ試してみたりして台所道具の達人みたいにならなければならないのかもしれないけれど、私の生き方はちがう。
だからいいのだ。
なかなか原稿に集中できず、コーヒーを煎れたり、雑誌をめくったりしているうちに、あっという間に夕方に。
「おじゃる丸」を見終わってから洗濯物を入れようと思っていたら、その15分の間にいっぺんに薄暗くなっていて驚きました。
大急ぎで洗濯物をとりこみながら、下を見る。
最近、ハルの姿をずっと見かけない。
暑いからどこか涼しい所にいるのだろうか。
夜になると鳴き声は聞こえているんだけど。
しかし、私は暇だなぁ。
夜ごはんは、塩ダラとじゃが芋のオリーブオイル炒め、パスタ添え(バジルソース和え)、大根とワカメのサラダ。
ずっと買い物に行ってないので、単なる冷蔵庫の整理メニューだが、「ギリシャ風だよ〜」と言いながら出す。



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