2004年11月下

●2004年11月30日(火)曇り、寒い

11時から『翼の王国』の撮影。
斎藤君、桃ちゃんがひとりずつ集まって来る時、家の中がパーッと明るくなるような感じがした。
そしていつものように、楽しく撮影は進んでいった。
私たちのチームに、最近スイセイもなぜか毎回加わっていて、斎藤君のアシスタントのようなことをしている。
家族的な撮影だ。
終わってから、いつもの様にお昼ごはんタイム。
思い立って、ホットプレートでやきそばも焼いた。
「土曜日のお昼ごはんみたい」と、桃ちゃんは喜んでいました。
今日の嬉しいことのもうひとつは、DVDを見る機械を、朝スイセイが買って来てくれたことだ。
早速、後で是枝さんが監督したエレカシのビデオ・クリップを見よう。
川原さんに、ずっと借りっぱなしになっていたもの。
電化製品を新しく買うと、夢が膨らんでワクワクするものだな。
それにしても、今日からいきなり寒くなった。
今までが暖かすぎたのかもしれないが、一気に冬に突入だ。
『クインテット』のオープニングの歌も、冬バージョンに変わっていた。
「明かりが街に灯る頃、聞こえてくるよ夕方クインテット・・・・そら、歌って弾んでのっちゃうぞー、友だちたくさん作っちゃおう、早く明日が来ないかな、気がつきゃ、ほーら冬の星が降る」。
きっと、昨日から変わったのだろう(月曜日だから)。
夜ごはんは、鷄の塩焼き(大根葉の炒め蒸し添え)、しいたけのちょっと焼き(にんにく味噌)、麻婆白菜(一昨日の残り)、あさりの味噌汁、玄米。

●2004年11月29日(月)快晴、暖かい

午後から国分寺に出掛け、準備中のサンの店を見に行く。
シミズタとサンは、ペンキまみれになってやっていた。
駅から程好く近いし、店の大きさも、周りのロケーションも、まったく問題なし。
風水はよく分からないけど、健全な風が、入ったり来たりするいい感じがした。
早く、私はここに来て飲みたい。
ものすごーく楽しみ。
夢のようだ。
そして、武蔵美に立花君の展示を見に行く。
立花君の今までの作品群。
とても見ごたえがあり、やっぱり、私はものすごく好きだった。
そして、その膨大な仕事ぶりやのめりこみぶりを、いやという程感じた。
あんなものを私は初めて見た。
怪物君なことが、益々よく分かった。
今私は、とても幸せで、ばっさりと爽やかな気持ちになっている。
それは、立花君が圧倒的に素晴らしかったからだ。
スイセイは、かなりショックを受けたらしい。
スイセイとふたり、近所のおいしい蕎麦やで腹いっぱい食べ、軽く飲んで、いい気持ちで帰って来ました。
さーて、明日は『翼の王国』の撮影だ。
もうひとりの、怪物君に会うのが楽しみ。
私も、頑張ろう。
何を頑張るのかよく分からないけど・・・。
分かっているのは、自分らしくない仕事はしないこと。
自分の五感だけを信じて、何もかも、ひとつひとつ確かめながらやっていこう。

●2004年11月28日(日)快晴

今日もまた、すっきりと晴れている。
お昼に、スイセイは鮭茶漬け、私はハムサンドとミルクコーヒーをそれぞれで作り、一緒に食べる。
そしてスイセイはまた自分の部屋にもどって、何かを作っている。
私は私で、今日もまた陽の当たる畳の部屋で、昨日の続きだ。
来年12回分の、連載の企画について。
昨夜、考えながら寝たので、どんどんアイデアが沸いてきて、それを紙に書き出す。
旅行の写真や、旅行中の食べ物日記の整理もやる。
もう10年も15年も前の写真なので、懐かしくて、ついつい見とれながら。
6時前には全部終わり、のんびりと『まる子』と『サザエさん』を見る。
夜ごはんは、麻婆白菜、こんにゃくの刺し身(にんにくじょうゆ)、納豆(大根葉の塩もみ入り)、えのきとニラの味噌汁、白いご飯。
今夜もまた白いご飯。
玄米を食べたいのだが、今日は日曜日でお米屋さんが休みなのだ。
今、気になっている本は、『幸福論』春日武彦(講談社現代新書)。
「幸福とは常に断片として表われる」という考えは、私も同感だ。
この本は、著者自身が幸福を感じた時の、断片的な具体例が書いてあるらしい。
人が、どんな時に幸福を感じるのか、けっこう興味がある。
案外、その体験は普遍的なものではないか?とも思うのだが、どうなんだろう。
「入院マニア」「バナナを並べる」「回転する部屋」「多幸症」などのエピソードが書いてあるらしい。
読んでみたい。
たとえば、夕方、買い物袋をぶらさげて、スーパーから帰って来る時。
小学生たちが下校する中を、自転車で通り抜ける時。
図書館で10冊を借りて、自転車で帰って来る時。
心の底から、温かい蒸気のようなのが沸いてきて、いきいきした気分になり、「しあわせだなー」と感じる時がたまにある。
同じシチュエーションの時でも、いつも、そういう気持ちになるわけではない。
そういう時は、忘れた頃唐突にやって来るのだけど、私の場合、自転車に乗っていることがわりと多いような気がする。
なんでだろう。
走っていて軽快だからだろうか。
それとも、自転車の上でひとりっきりだからだろうか。

●2004年11月27日(土)快晴

ポカポカと暖かい。
レシピを仕上げ、赤澤さんにお送りする。
これでちょっと一段落だ。
陽の当たる畳の部屋で、雑誌の整理やら、来年からの仕事の企画をポワーンと考えたりするが、どうも集中できないので、美容院に行く。
自転車で走りながら、家の近所にものすごく赤いもみじを発見した。
陽の光が透き通って、赤く発光しているようだった。
たぶん、今がいちばん綺麗なんだろうな。
またすぐに、どこかしら枯れた葉っぱが混じり始めて、景色にまぎれ込んで、何とも思わなくなるんだろうな、なんて思いながら自転車をこぐ。
夜ごはんは、チゲ鍋(タラ、舞茸、エノキ、ニラ、豆腐)、塩鮭、茹でブロッコリー、白米。
ご飯をよそってスイセイの前に出したら、「ほっー」と思わず唸っていた。
ピカピカの銀シャリは、本当に久しぶりだったから。
玄米も好きだけど、白いご飯って別ものという感じがする。
おめでたい感じさえした。
食卓が、パーッと明るくなるような。
今夜は、7時半から鶴瓶の『家族に乾杯』があるので、早めにごはんにした。

●2004年11月26日(金)晴れ、夜になって風強し

ふうー。
今やっと、風呂に入ってゆっくりしたところ。
今日はずっとレシピをやっていた。
ぐっと集中してやったので、夜の8時10分前にスイセイに言われてハッと気がつき、大急ぎで夜ごはんの支度をした。
20分で晩ごはんどころか、15分で晩ごはんを作った。
食べ始めながら、玄米が炊けるのを待ったが、早くふたを空けすぎて、ねっとりもっちりとしていた。
せっかく今日は、もち米と半々にしてみたのに。
夜ごはんは、キャベツとカリフラワーのサラダ、豆腐ステーキ、鰤の塩焼き、米なすの味噌汁、チャンジャ、もち米入り玄米。
ところで、『帰ってから、お腹が空いてもいいようにと思ったのだ』が、売り切れて何年も経っていたのだが、やっと重版されることに決まりました。
この間、タカシ君から、サードアルバムのタイトルを『帰ってから、歌ってもいいようにと思ったのだ』(だったかな)にしてもいいか?と電話があった。
自宅で録音したからだそうで、もちろん「ぜんぜんいいよ。光栄だよ、嬉しいよ」と即答したのだが、タイミングがあまりに合っていたので、それと関係があって重版されるのかと思っていた。
でも、ちがいました。
偶然に、タイミングが合ったのでした。
でもこういうことって、何かつながりがあるよなきっと、と思う。なんとなく。
とにかく、とても嬉しい。両方とも。
待っていてくださった方々、本当にお待たせしました。
発売は来年になると思いますが、詳しいことが決まり次第、またお知らせいたします。

●2004年11月25日(木)秋晴れ

11時から撮影。
広告の仕事だけど、みどりちゃんと新居さんだから心強い。
クライアントもいらっしゃったが、若い方々だったので、和気あいあいとした雰囲気で撮影は進んだ。
1時には終わり、皆で味見タイム。
昨日から仕込んでおいた、チキンビリヤーニと塩豚根菜スープもお出しする。
それにしても、秋冬の光というのは、なんて特別なのだろう。
夏は、全体的に平たく明るい光だが、秋冬のは、スポットライトみたいに集中して濃く、長く届く光だ。
とろっとして、昼寝したくなる。
2時には全部終わり、ビデオ(『シュレック2』)を返しに行く。
昨夜は、デビット・リンチの『マルホランド・ドライブ』をひとりで見た。
おもしろいような、ワケ分かんないような、半端な感じの映画だった。
さすがリンチだ・・・スイセイはきっと好きだろうから、まだこれは借りておく。
今日は、『E・T』を借りて来た。
実はまだ見てなかったので。
この頃の私は、読書よりもビデオがブーム。
まだ見たいのはいろいろあるから、飽きるまで見続けてみよう。
帰りに「高知や」さんで、柚子とみかん、おいしそうな油揚げや豆腐、「食堂ラーメン」、「はこべ焼きそば」というのを買って帰る。
今夜は、うどんにする予定。
夜ごはんは、白菜、油揚げ、舞茸の煮込みうどん、黒はんぺん、米茄子の油焼き。
夜、ひとりで『E・T』を見た。
ものすごく良かった。
何で私は今まで、いちども見なかったのだろう。
見終わって気がついたのだが、上唇の中側に水膨れができている。
何でこんなところにできたのだろう。
上唇の、富士山のちょうど裏側あたりにぽつんとできている。
最後の展開で、じっと唇を噛みしめていたのかもしれない。正座もしていたし。
こんなのは初めてのこと。
あまりに良かったので、もうしばらくは他のビデオは見たくない気持ち。
風呂上がりのスイセイに、唇をめくって見せに行ったら、「みいがE・Tになっとる」と言われた。
久々にものすごく泣いたので、目も赤く腫れ上っていたのだ。
あぁ、綺麗な映画だった。
明日もう一回見るかも。

●2004年11月24日(水)秋晴れ

天気がいいので掃除機をかけ、雑巾掛けもする。
もちろん洗濯も。
お昼ごはんに、試作でチヂミを焼いた。
本場の屋台の味を思い出しながら、キムチの汁も混ぜて作ったら、ちょっとコクが出過ぎて匂いも強く、不評であった。
やっぱりいつもの生地で作ろうか・・・。
このところ、ひとつひとつ着実に書き物の仕事を終わらせている。
なのでやっと、次回の本のまとめを今日から始められる。
息抜きでベランダに出たら、空がものすごいことになっていた。
いわし雲と言うのだろうか、うろこ雲というのかな?。
とにかく、空いち面にびっしりだ。
飛行機の上から見たみたいに、障害物が何もない。
というか、いつもより空がでっかく、高く見えるのだ。
あまりに綺麗なので、スイセイは出掛けに写真を撮っていた。
夕方から、明日の撮影で集まる皆さんのために、塩豚でスープを煮込みながら、試作でチキンビリヤーニも作りながら、パソコン仕事。
そして今日は、電話もたくさんかかってきました。
仕事の電話が集中する時というのは、何故いつもみな同時なのだろう。
仕事内容について、スイセイ(マネージャーだから)に相談したいのだが、まだ帰って来ません。
夜ごはんは、チキンビリヤーニ(スパイスたっぷりの、リアルなインド風)、塩豚と根菜のスープを、ひとりでぼそぼそと食べる。

●2004年11月23日(火)晴れ

最近、ずっと気持ちの良い天気が続いている。
予定を作らずに、ひたすらパソコン仕事の毎日だが、それが心地よく楽しみでもある毎日だ。
昼ごはんは、かぼちゃと生ハムのリゾット(私、冷凍してあった炊込みご飯で)、アイオリソースで和えたスパゲッティ(スイセイ)。
冷蔵庫の中も、乾物入れも、これで本当に食料が底をついた。
4時までパソコン仕事をし、街へ買い出しに出掛ける。
吉祥寺は、ものすごい人であった。
今日は祝日なのだ。
夜ごはんは、豚の黒ゴマたっぷり焼き、茹でカリフラワー、大根葉の炒め煮(昨夜の残り)、シマアジの刺し身、蕪の味噌汁、玄米。
風呂から上がったら、借りてきた『シュレック2』をひとりで見る予定。
ふふふっ。

●2004年11月22日(月)快晴

昨夜は楽しかった。
マキオ君は、朝早く清水さんのところで野菜を仕入れ、それをいろいろに料理してくれた。
清水さんの野菜の話を直接聞きながら、おいしい料理を満腹食べた。
なんと幸せなことだろう。
清水さんが言っていた、「旬」という言葉についての話がおもしろかった。
旬というのが、上旬、中旬、下旬からきているとしたら、野菜の旬というのも10日間ぐらいじゃないかと思う、という話。
その野菜が、いちばんおいしく食べられる期間は、そう長くはない。
自然界は、どんどん変化していくのだから。
人間も自然の影響を受けているはずだから、10日間ごとに、本当はどんどん移り変わっているのかも・・・なんて心の中で思った。
ほろ酔いで早めに切り上げ、吉祥寺からてくてく歩いて帰って来た。
本当に、いろいろおいしくて、たっぷり食べた。
お土産に、辛み大根(ふさふさの葉っぱつき)と、三鷹産のはちみつまでいただきました。
さて、今日もまた洗濯から始まった。
お昼にカレーラーメンを食べ、夕方までみっちり「日々ごはん3」の校正をやる。
夕方5時半から教育テレビを見て、ちょっと昼寝。
30分ほどで目が覚めた。
夜ごはんは、蕎麦(辛み大根、とろろ芋)、大根葉の炒め煮(ちりめん山椒入り)、じゃが芋と桜エビと青のりのかき揚げ。
かき揚げは、「のらぼう」のを真似して作った。
昨日「のらぼう」で食べたのは、人参、れんこん、そして人参の葉も刻んでたっぷり混ざっていた。おいしかったなぁ。
風呂上がりに、テレビを見ながら、よく乾いた洗濯物をたたむ幸せ。

●2004年11月21日(日)快晴

今日もまた、あっぱれのいい天気。
いろいろかき集め、無理やり洗濯をした。
お昼に、キムチ・チャーハンを作ってスイセイと食べる。
昨夜、韓国ドラマを見ていたら、キムチ・チャーハンを作る場面が出てきて、それがものすごくおいしそうだったのだ。
だが、男も女(「冬のソナタ」の人)も、チャーハンを作る時に、ビニールの使い捨て手袋をしていて、すごく変だった。
午後からは、「日々ごはん3」の校正をやる。
最近、お茶を沸かしたのを水筒に入れておくのが、わが家で流行っている。
パソコン仕事をしている時、いつでも熱いお茶はありがたく、とてもちょうほうしているが、感じのいいポットが欲しいなぁ。
布団を入れる時、景色はまったく初冬の夕方感じだった。
穏やかに鳥が鳴いて、風もなく、白い半月が出ていた。
今夜は、夕方から「のらぼう」でご飯会がある。
清水さんを囲んで、川原さん、ヒラリンも集まる予定です。
では、行ってきまーす。



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