2004年12月中

●2004年12月20日(月)どんよりした晴れ

今日もまたどんよりした天気だが、昨日よりは明るい。
朝起きると、私はいつも風呂に直行し、ぬるい湯に浸かりながら目を覚ますのだが、けっこう長いこと浸かっていることにふと気がついた。
そして湯に浸かりながら、とりとめのないことを考えている。
ぼんやりといろんな考えが浮かんできては、歯を磨いたり、顔をごしごしこすったりしている。
歯を磨いているのを忘れるくらいに、頭の中の方が動いている。
私にとっての朝風呂は、体を清めるとか、目を覚ますとか、事務的な理由のために入っているだけではないのだな。
良美ちゃんたちは、昨日も「トネリコ」でライブをやった。
私は行けなくて見送れなかったけど、今朝の飛行機で沖縄に帰って行きました。
そう言えば、17日の日記に「トリネコ」と書いてしまった。
本当は「トネリコ」だが、サンとシミズタの頭の中には、「トリネコ」という意味も入っているのではないかと私は思う。
だって、ふたりとも鳥と猫が大好きだから。
スイセイはスイセイで、「コムギコ」なんて言って喜んでいる。
さて今日からまた、仕事にもどろう。
5時からはテレビの打ち合わせがあるので、それまでにゲラの校正もやり始めよう。
打ち合わせが終わり、スイセイと街へ買い物に行く。
とうか、スイセイがデジカメのいいのが欲しくて見に行くのに、散歩代わりに私もくっついて行った。
無印や、本屋さんやあちこち回って、近所の蕎麦やでおいしいお蕎麦をふたりで食べる。
スイセイはざる蕎麦(栃木と山形の蕎麦粉の2種)、私は天ぷら蕎麦。
豆腐サラダとだし巻き卵をつまみに、ビールを1本ずつ飲んで、ほろ酔いで帰って来ました。
明日もまた打ち合わせの日々なので、今夜は早く布団に入ろう。

●2004年12月19日(日)どんよりした曇り

久しぶりに2時まで寝てしまった。
それなりにくたびれていたのだろうか。
天気と同じにどんよりして、掃除も仕事もやる気にならない。
夕方、南瓜はなかったけれど、温かいものが食べたくてほうとうを作った。
大根、白菜、人参、舞茸入りだ。
それからはスイセイと、温かいお茶を飲みながら、つもる話をいろいろする。
7時から、ばななさんの『トップランナー』を見て泣き、『夫婦。』(実は毎週見ていた)の最終回を見て泣き、『ウルルン』を見てまた泣いた。
夜ごはんは、明太子スパゲティ、オムレツ、小松菜ともやしと蕪の葉のからし和え。

●2004年12月18日(土)快晴

すり鉢教室。
アノニマ・スタジオは、たっぷりと冬の陽が射しこんでいた。
前回の反省から、早く準備が出来た人は遅い人を待ってから、皆そろったところで一斉にすり鉢を使う、という方式でやってみた。
とちゅう、黒ゴマが足りなくなって、スタッフの南ちゃんがコンビニに走ってくれるのを待つのも、何だかのんびりとしていい時間だった。
たぶん、生徒の皆さんが、前回よりもぐっと打ちとけていたのは、そういうのんびりした時間の流れが、うんと関係あったのかも。
だいたい私が生徒だったら、急かされるような教室の雰囲気の中で、ぜったい皆について行けないはずだものな。
さて、料理が出来上がって試食の時間に、唐突に部屋に入ってきた波照間島の友人たち。
驚いて、一瞬あんぐりと口を開けたり、目を見開いたり、息をのんだりと、いろんな驚き方をしていた生徒さんたち。
秘密にしていたのですが、良美ちゃんと順君が駆けつけて、3曲ばかり歌ってもらった。
だからそれに合わせて、料理は「沖縄風豚の黒ごま焼き」を教えることにしたのです。
夕方、空の色が変わってゆく中で、波照間島のことが思い出され、ちょっと涙が出そうになるのをぐっとこらえた。
今夜も良美ちゃんたちは歌うので、いちど帰ってスイセイのごはんの支度をしてから、国立の「日日」へ。

●2004年12月17日(金)晴れ

昨日はすごく楽しかった。
サンの店は「トネリコ」と言います。
早めに4時頃行ったら、サンと清水田とお手伝いの女の子が3人だけで開店準備をしていたので、ついつい私も手伝ってしまう。
掃除機をかけたり、厨房に入ってサンの助手をやったり。
店に入ると、つい背筋が伸び、テキパキと動いてしまう私の体よ。
店での仕事の癖というのは、本当に体に染みついているのだな。
野菜を切ったり、白身を泡立てたり、揚物をやったりしていたら、どんどん気持ちが高揚してきて、ついスピードが出てしまうような、厨房独特の動き。
店の厨房って、やっぱり特別なものがある気がした。
司っている何かがある。
その何かが、コックさんの腕前をもうひとまわり上げてくれるような。
だから、掃除をしていつも清潔にしたり、包丁を研ぎ上げることや、ゴミの分別をきちんとやることなんかが、その何かを崇めることになるような気がする。
なんとなく。
私はここ2年ほど、家庭の料理の方向に向いていたから、厨房の中のそういう気配がとても懐かしかったし、今自分がやっていることは、同じ料理でも(店の料理とは)まったく別ものなんだな・・・と、強く思った。
厨房仕事は、とにかく楽しくて、興奮した。
サンに、「高山さんもういいですよ、もう上がってください。あとはオレがやりますから」と言われた時、本当はけっこう淋しかった。
良美ちゃんと順君のバンドは、「パナヌファ」と言います。
着物姿で、三線を弾きながら店に入って来た時、皆ざわざわどよめいた。
波照間島の風を連れて来たみたいだったから。
ハヅキは、「ふたりの後ろに海が見える」と言っていた。
私も、ずっと波照間のことが浮かびながら聞いていた。
というわけで、良美ちゃんたちはサンの家に泊まったので、今朝はゆっくり1時まで寝ていた。
本当は今夜も「トリネコ」で歌うのだが、明日はすり鉢教室だから、いろいろ準備をしたり、ちょっとした仕事もあるので、私は行かない。

●2004年12月16日(木)快晴、暖かい

昨夜は、ちよじもちょっとだけ来た。
ちよじは順君の紹介で家に居候に来たから、妹というか、娘というか、まあ里親みたいなものなのだ。
良美ちゃんは、ベランダに出たがる。
順君とスイセイが部屋の中で飲んでいる間、私たちはベランダに座って飲んでいた。
空を見上げながら。
5時まで飲んで、良美ちゃんと一緒に風呂に入って寝た。
さて、今朝は12時に起きた。
スイセイはパソコン教室の先生(生徒は川原さんと青きみ)をやっているので、朝早く出掛けて行った。
お客さんはふたりともとっくに起きていて、それぞれ別々に散歩に出掛けた。
順君は、昔「まめ蔵」によく行っていたそうで、懐かしい街並みを散策してきたそうだ。
「まめ蔵」でカレーを食べてきたのかと思ったら、「みいちゃんが昨夜作ったお粥がまだあるやろ?あれを食べようと思って、匂いだけ嗅いで帰って来た」んだそう。
良美ちゃんは、朝自分で温めて食べた形跡あり。
窓際に座布団を敷いて、外を見ながら食べた形跡あり。
さあ、今日はとても楽しみなことが待っている。
サンの店のオープン企画で、二人が演奏するのです。
クウクウの子たちも、子連れで皆集まるらしい。
うー、皆に会えるのも超楽しみだ。

●2004年12月15日(水)曇り、すごく寒い

朝8時頃に目が覚め、ドキドキして寝ていられない感じだったが、起きてしまおうか・・・と、うろうろ思っているうちに、また寝てしまった。
今夜、波照間の良美ちゃんたちが来るのだ。
そわそわ、わくわくしながら、パソコン仕事をがんばってやる。
夜ごはんは、豚、もやし、蕪の葉の炒め物、冷や奴、わかめの酢醤油、鮪の中落ち、カニカマのマヨネーズ和え、卵スープ、玄米。
良美ちゃんたち用には、トリガラと骨付き鷄でスープをとって、もち米と白菜のお粥を今煮込んでいるところ。
昨日、一昨日と沖縄でライブをしてきたから、きっとお腹も体もくたびれているだろうと思って。
夜の11時半に、スイセイと吉祥寺に迎えに行く。
駅の改札で、良美どんは目立っていた。
山や木や海が、街の中にいるみたいに。
しばし抱き合い、帰ってから、ビールや泡盛など軽く飲む。
あんまり飲まないようにする、と言っていたスイセイがいちばん酔っぱらっていた。
良美ちゃんはさっきまで沖縄にいて、自分たちが吉祥寺にいることが信じられないと言っていたが、私も良美ちゃんがここにいるのが、まだ信じられない気持ち。

●2004年12月14日(火)薄曇り、寒い

昨日も今日も、1日が短い。
パタパタといろんな仕事をやっているからだが、郵便物や宅配便もけっこう多い。
さすがは年末だ。
皆、どうしたんだろう?というくらい慌ただしいが、実は私自身も慌ただしいのだ。
本のための最後の撮影のビデオを見ながら、レシピの最終チェックをする。
夕方、アノニマ・スタジオの南ちゃんが、「日々ごはん3」のゲラと読書カードのコピーを届けてくださる。
寒い中、せっかく来てくれたので、昨日煮ておいた豚バラと大根の梅ナンプラー煮を、温め直してお出しした。
けど、夜ごはんで食べたら、煮詰まっていてけっこうしょっぱかった。
南ちゃんは、全部きれいに、お汁まで飲んでくれたけど、おいしいとも何とも言わなかったから、きっとしょっぱかったのかも。
スイセイは、「ええ子じゃのう。湯飲み茶碗を机に置くのさえ、音をたてないように、こうやっての、やるん」と、感心していた。
南ちゃんは正直な娘だから、「おいしい」と嘘を言わなかったのだ、きっと。
「こんど会うたら、あやまるんで」とスイセイに注意される。
夜ごはんは、豚そぼろと炒り卵の混ぜご飯、小松菜ともやしの辛子和え、もみキャベツの酢醤油、豚と大根の梅ナンプラー煮、かまぼこのお吸い物(柚子風味)。
今夜は早めに台所を片づけて、風呂に入った。
畳の部屋で電気ストーブをつけ、ミルクティーをいれて、じっくりと読者カードを読もう。
それにしても、今夜は冷えるなぁ。
明日、沖縄経由で良美ちゃんと順君が来るのだが、寒さにたまげるだろうな。
あー、明日が楽しみでドキドキする。

●2004年12月13日(月)晴れ、風は冷たい

朝からバリバリ仕事をする。
レシピ書きや、ゲラの直し、買い物に行って試作もやる。
図書館で5冊ばかし借り、病院に行って定期検診の申し込みもしてきた。
うーん、活動的だ。
久々に外に出たら、晴れているのに風が冷たく、キリッとして気分爽快だった。
『エーミールと三人のふたご』を借りたのが、じんわりとたのしみ。
夜ごはんは、豚バラと大根の梅ナンプラー煮込み、牛蒡とひじきのきんぴら、カジキマグロの照焼き(柚子をしぼってみた)、大根葉の塩もみ、あさりの潮汁、玄米。
早めに風呂に入って、ゲラ直しの続きをやる予定。
やる気満々だ。

●2004年12月12日(日)曇り一時雨

12時に目が覚めたが、『帰ってから・・・』を読み直し、そのままずーっと寝ていた。
起きたら5時で、外はもう暗かった。
2000年くらいに書いていた文をまとめた本だから、まだ4〜5年しか経っていないのに、今の自分とは随分違うことに驚く。
今の自分は、あの頃に比べると、何かをあきらめたような感じ。
そしてそのかわりに、どこかが太く肉厚になっている感じ。
まるで自分の昔の日記を、押し入れから出して久しぶりに読んだような感触だった。
たまに昔の写真やビデオを見ると、腰回りが太ってきたとか、皴が増えたとか、体が歳をとったことばかりに目がいって、内面の変化については、詳しく考えたことがなかった。
何しろ、歳をとることを、自分で初めて体験しているわけだから、いろいろびっくりだ。
なんて思いながら、寝ていた。
スイセイは、お昼に自分でうどんを茹でたみたい。
「みいは3日も寝とったんでぇ」と、言われた。
本当に、意識がないみたいに寝込んでしまった。
夜ごはんは、牛丼(玄米ごはんで)、キャベツ、じゃが芋、魚肉ソーセージのシチュー(ハウスのクリームシチュー)、きゅうりの塩もみ柚子風味。
いい加減買い物に行けよ!っていうメニューだ。

●2004年12月11日(土)快晴、空は真っ青

ついに、12月も中盤に差しかかってしまった。
ベランダの掃除や、たまった雑誌の整理などをやる。
少しずつ、大掃除のムードに自分をもっていく。
ふとスイセイの部屋を覗くと、踏み台に乗っかって、棚の上を整理している。
いい感じだ。
けれど、あんまり天気がいいので、ぽーっと眠たいままいろいろやった。
とっておいた2000年の『ミセス』を、捨てようかどうしようか迷いながらも、じっと読み耽ってしまう。
夕方、ごはんの支度を早くから始め、マーラーカオを今蒸しているところ。
夜ごはんは、鷄のパン粉焼き(トマトソース)、にんじんグラッセ、つぶしじゃが芋(マッシュポテトではない。キタアカリでやったので、粘りが強くてマッシュポテトにはならなかった)、オニオン・スライス、玉ねぎの味噌汁、玄米。
今日も買い物に出なかったので、残り物総ざらいメニューだった。
味噌汁とスライスオニオンで玉ねぎが重なったので、すっかりスイセイにバレてしまった。
デザートはマーラーカオ。



日々ごはんへ めにうへ