2005年3月下

●2005年3月31日(木)快晴

昨夜は、校正を3時までやった。
「ポッカポカ日和です」と、天気予報のおねえさんが昨夜言っていたから、今日は早起きしようと思っていたが、12時まで寝てしまった。
布団を干す時下を見ると、ハルが後ろ足を揃えて、柵の向こうをじーっと見ている。
首輪をしていないので、上半身がたくましく、逆三角形になっている。
尻尾をくるんと巻いて、いったい何を見ているのか?。
さて、今日もまた校正を始めるとしよう。
夕方、買い物に行ったら、帰りには風が吹いて寒くなった。
今日から桜が開花したそうだけど、花見をしようとしている人たちは、まだまだ寒くてたいへんだ。
夜ごはんは、焼き肉スパゲッティ(赤ピーマン、菜の花入り)、たたききゅうり、めかぶ。
今日のめかぶは、新ものと書いてあった。
いつもに増して、青々と鮮やかな色だったし、歯ごたえもあっておいしい気がした。
今の時期、できるだけたくさん食べよう。
ごはんを食べてからも、頑張って校正をやる。
夜になっても花粉が飛んでいるのか、すごく鼻がかゆい。
目が痛くなってきたので、そろそろやめて寝ることにする。

●2005年3月30日(水)快晴、暖かい

昨日は家に帰ってから、近所のおいしい蕎麦やに行き、日本酒をけっこう飲んでしまった。
収録がいろんな意味で楽しかったこともあり、なんか刺激されて、これからのことが希望にきらめいているような気持ちになった。
スイセイも私もすでに中高年の粋に入り、いろんなものに目移りしない年代になった。
若い頃には大事だと思っていた、フリルみたいな飾りが必要でなくなり、そぎ落とされて、その分自分たちの真髄みたいなものがどんどん太く育ってきている。
その上で、益々私たちにはやりたいことが出てくるし、いろんな可能性がふくらむ感じ。
来年は、スイセイが免許を取るんだそうだ。
外国でレンタカーを借りて、知らない街や村をひた走ることもできるのだ。
そんなこんなを話しているうちに、すっかり楽しくなってしまった。
収録がけっこうプレッシャーだったから、身も心も軽くなり、お酒も蕎麦もつまみも、全部がとてもおいしかった。
というわけで、今日は1時まで寝コケてしまう。
布団を干そうとして下を見ると、ハルが日向で寝ている。
完全にゴロンと横になり、足を投げ出して、腹もむき出しのまま。
虫が飛んでくると、頭だけ持ち上げてパクッとやったり。
犬でも、「気持ちええなー」とかって思ったりするんだろうか。
いろんなことが落ち着いたので、今日からまた、『日々ごはん4』の校正を始める。
夜ごはんは、塩鯖(千葉産の。脂が少なめでおいしかった)、大根おろし、菜の花の辛しこま和え(しおりちゃんの京都土産の、おいしいいりごまで)、白菜漬け、山椒みそ(これもしおりちゃんのお土産)、鰯つみれの味噌汁(ねぎをたっぷり刻んだ)、玄米。

●2005年3月29日(火)薄曇り、肌寒い

昨夜のてるちゃんの番組、すごくおもしろかった。
本を読んでいたので、文章で読んでイメージしていたものが、そのまま映像になっている。不思議だけど、不思議でない感じ。
てるちゃんは相変わらずだったが、あの人懐っこさには、さらに磨きがかかっていた。
てるちゃんの英語を聞いていたら、私はとても励まされた。
けっこうブロウクンだと思うんだけど、言葉より先に、気持ちの触手みたいなのがうわーっと相手を触っていて、すごく伝わっている。
伝えたい気持ち、聞きたい気持ちが言葉よりも強いから、ペラペラの人よりも、ずっと正確に伝わるんだあと思う。
てるちゃんの英語は、ボディーランゲージというよりも、気持ちランゲージだな。
さて、『きょうの料理』の収録。
テレビの収録の日は、こういうどんよりした曇りか雨の日が、とても多い気がする。
今日も今日とて、今にも雨が降り出しそうな天気だ。
普段は晴れ女なんだけど、収録の日だけ雨女になるのか?。
1時にしおりちゃん、ヒラリンが集合。
ふたりの顔を見ると、どーんと安心する。
仕事的にも強力なアシスタントだし、血がつながっているくらいの強い信頼感があるふたりだから。
では、これからハイヤーに乗って行って来ます。
出掛ける時に玄関口で、スイセイが飴をくれた。

●2005年3月28日(月)雨、肌寒い

雨の中、てくてく歩いて銀行へ。
新しくカードを作りに行った。
区役所や都庁や銀行など、最近続けざまに行っているが、公の場所に行くのはそれだけで緊張するものだ。
今日は待ち時間もけっこうあったので、1時間以上かかった。
かなりくたびれた様子(緊張のため)のスイセイと別れ、私は明日の収録の仕入や、美容院へ。
春の雨の日って、底冷えがする。
すっかり冷えきって、私も帰りついた。
夜ごはんは、鰤の押し寿司、カレーライス、キャベツサラダ。
今日はカレーにする予定だったが、夕方、つい押し寿司を買ってしまったので、変なメニューになったのだ。
さて、そろそろてるちゃんの『銀座OL世界を行く、ダライラマに恋して』が始まる。
朝からずっと楽しみにしていた。
うー、ワクワクだ。

●2005年3月27日(日)快晴、暖かい

隣の杏は、あっという間に満開になって、綿菓子みたいになっている。
うちの杏はというと、北側にあるから、ぽつぽつと地味に開き始めているところ。
今朝は、すごくたくさんうんこが出た。
しかも太いのが。
スイセイに聞いてみると、やっぱり太くたくさん出たという。
昨日の料理のせいにちがいない。
「ともすけ弁当」は、普段はイタリアン弁当のケイタリングをやっているのだが、昨日は特別に、その仕込み現場の自宅に押しかけ、打ち合わせをやらせてもらった。
メンバーは、みどりちゃん、有山君、安原さん、スイセイ、私。
打ち合わせは早々に終わり、雑談などしているところに、ともすけが奥の厨房でコツコツ作った料理を運んできてくれる。
私たちはワインなんか飲みながら、食べた、食べた。
まるでプライベートのレストランにお忍びで来ているような、ぜいたくな感じだった。
料理は、本場イタリア仕込みだ。
あー、いろいろおいしかったなあ。
とにかく野菜がたっぷり出てきた。
ミニ大根(葉っぱつき)や長ねぎや芽キャベツのロースト、山ごぼうをケッパーと何かで和えたカリカリのもの、紫花豆とベーコンのスープ、カリフラワーと芽キャベツのピクルス(まったく甘くなくて、カリカリポリポリ、ぬか漬けみたいな感じがした)、メインの鰤カマのグリルも、みょうがたけやセリがたっぷり。最初に出てきた豚のローストにも、栗みたいに甘いインカじゃが芋がたっぷりついてきた。
野菜だけでお腹がいっぱいになるほどしっかり食べ、ほどほどの肉と魚。
最後にパスタ(トマトのアンチョビー味)を軽めにいただき、おいしいコーヒーで締め。
さっき電話して、ともすけに聞いてみたら(うんこのこと)、「野菜もそうだけど、たぶんオリーブオイルのせいもあると思う。ふふふ」と言っていた。
ともすけもイタリアに住み始めた頃、すごいのが出て驚いたそうだ。
すごいなー、イタリアン。
スイセイは、料理はもちろんのこと、ともすけの人柄にかなり感動していた。
「ずるいことをひとつもやってないみたいな人じゃ。じゃっての、指から下がピンクなんで!」と、わけの分からないことも言っていた。
ともすけの料理は、野性的な姿なんだけど、味はやさしい。
そして、とても食べやすい(食べる人のことを考えてあるのだ。野菜の大きさとか切り方とか)。
家庭の料理では決してないんだけど、レストランの料理ともちがう。
紫花豆のスープなんか、豆の煮汁の滋味と、野菜の風味と、あとはおいしい塩だけみたいな安らかな味で、体にすーっと染み込んでゆく。
豆も、形は残っているのにすごく柔らかくて、全部飲み終わった時には、頬っぺたが赤くなっていた。体が温まったのだ。
10時くらいにお開きになったが、電車に乗っていたら、サンとシミズタの顔が急に見たくなり、国分寺へ。
「トネリコ」を出たのは1時過ぎ。
ご機嫌でタクシーで帰ってきました。
さて、今日は『きょうの料理』の打ち合わせで、午後からヒラリンとしおりちゃんが来た。
今回もふたりにアシスタントをやってもらうので。
鷄の蒸し煮とエスニックライスを作って予習もやる。
いよいよあさってが収録なのです・・・ドキドキ。
夜ごはんは、蒸し鷄のエスニックライス、茄子のオリーブオイル炒め。
茄子は仕上げにビネガーを振ったりして、ともすけに完全に影響されていた。

●2005年3月26日(土)快晴

やっと本物の春がやってきたのか?。
隣の杏の花は、どんどん開いてきている。
布団を干しながらついじっと見て、また頭の中がぼんやりしてしまう。
1時から打ち合わせ。
さくさくっと2時半くらいに終わり、スイセイに大根入りのうどんを作ってやる。
私は玄米餅を磯部焼きにして、うどんの汁を吸い物がわりにおいしく食べる。
ざっとデスクワークなどをやり、これから夕方の打ち合わせに出掛けて来ます。
いざ「ともすけ弁当」へ。

●2005年3月25日(金)晴れのち曇り、夕方になって晴れ

昼まで寝てしまった。
朝はせっかく晴れていたのに、起きた時はすでに薄曇り。
それでも洗濯をし、布団も干す。
次回撮影のメニュー決めや、ゲラの校正など、たまった仕事をどんどんやる。
夕方4時くらいになって、ぐんぐん晴れてきた。
青空に白い雲が浮かんでいる。
昨夜は、雷まじりの大雨が降っていたから、空が洗濯されたのか。
風呂場の下の杏は、まだ2つ3つしか花が咲いてないが、南側にある隣のマンションの杏は、7分咲きくらい。
ポカポカと日が当たった大木は、ぼはーっと咲きほこっていて、目がかすむ感じ。
桜もそうだけど、薄桃色のああいう花というのは、見ていると焦点がぼやけてきて、頭の中に霞がかかったようになる。
それが春のいいところだな。
もうちょっと暖かくなってきたら、昼間っからベランダでビールでも飲みたいものだ。
余り物がいろいろあるので、買い物にも行かずに、6時まではデスクワークに没頭した。
それにしても昨日も今日も、たくさん電話がかかってきて、オフィスのようであった。
夜ごはんは、新じゃがの肉じゃが(撮影の残りのひき肉と舞茸で)、ふわふわ納豆(長いも、大根おろし、おくら、青じそ入り)、トマト、新玉ねぎ、新ワカメ、クレソンのサラダ(ポン酢じょうゆとごま油)、玄米、豆腐のみそ汁。

●2005年3月24日(木)晴れ時々曇り、夜中に大雨

昨夜、『野菜だより』の表紙のゲラを南ちゃんが持ってきてくれたのだが、あまりにいいので、スイセイと盛り上がり、軽くウイスキーを飲んでしまった。
2時までで潔く切り上げたが、今日撮影がなかったら、もっと飲んでしまっただろう。
危ない危ない。
11時から撮影。
いつものように二人で元気に玄関を入って来て、テキパキと準備をする木村さんとアシスタントの安藤ちゃん。
さくさくと、爽やかに料理を作り、気持ち良くどんどん写していただく。
うちのヒラリンも、いつも元気で爽やか。
こういうことって、共同作業においてはとっても大事だと思う。
いつも同じテンションで安定している空気は、よけいな感情を寄せつけない。
「編集さんが持ってきてくれたいちごを出してあげて」と言ったら、ヒラリンはまずボウルに塩水を作って洗い、ペティナイフでへたをひとつずつ切りとっていた。
足を開いて上体を安定させ、いちごにしっかり向かい合い、とてもていねいな仕事ぶり。
それを傍らで見ていて、(ヒラリンて、料理を作って誰かに食べさせるような仕事を絶対にすべきだ!)と強く思った。
今の世の中で、いろんな理不尽をかかえながらも、毎日毎日がんばって働いている、ひとり暮らしの女の子や男の子たちに、ヒラリンの心尽くしの料理を食べさせてあげてくれ・・・と心から思った。
ヒラリンの料理は気取りがなく、頭でっかちに洒落てない。だけど手がこんでいて、気持ちがこもっていて、とてもおいしい。
本当に、食堂やればいいのになあ。
今の若い人たちって、私が若かった頃よりももっと、社会の仕組みや対人関係やいろんなことに、もしかしたらとてつもなく傷つきながら、自我みたいなものを押さえこむのが当たり前に生きているのかも・・・って、最近よく思うのです。
夜ごはんは、撮影で白いご飯と刺し身がいろいろ残ったので、すし飯を作り、手巻き寿司にする。
今日はくたびれてお腹も空かないので、刺し身だけの淋しいごはんにし、勝手にスイセイに食べてもらおうと思っていたが、手巻きにしたらなんだか華やかになった。
ついつい私も食べる。
スイセイは喜んでいた。
夜ごはんは、手巻き寿司、ワンタン卵スープ(残りもののワンタンスープと撮影の卵スープをドッキング)。

●2005年3月23日(水)冷たい雨

12時に出掛ける。
新宿の都庁にパスポートを申請しに行ったのだが、その前に銀行に寄ったり、戸籍謄本を取りに行ったりもする。
新宿に着いた頃には雨だけでなく、冷たい風も吹いてきた。
スイセイの用事でカメラのショールームに行ったり、西口に出てヨドバシカメラに行ったりもした。
吉祥寺に帰ってきたのは5時過ぎ。
土屋商店でかつおぶしやだし昆布、にぼし、胡麻を買い、明日の撮影の仕入もする。
荷物を抱え、バスを待っている間のどっぷりと寒々しい気持ち。
骨まで冷え切ってしまった。
「1日に1個の用事だけすればええ・・・ってオレらはよく言うけどの、雨が降ってるだけで、すでにもう1個よのう。今日はいっぱいやったのう」と、スイセイ。
「帰ったら熱いお茶を飲もうの」とか、「風呂を沸かそうね」とか、老夫婦のように励まし合いながら帰ってきた。
撮影用の仕込みを軽くやりながら、夜ごはんの支度。
こたつがあったら、顔の下までずっぽりもぐって温まりたい気分のまま作る。
夜ごはんは、ごぼうと舞茸と豚こまの炒り煮、鰆のオリーブオイル焼き(焼き汁に酒としょうゆでソースを作り、大根おろしを添えた)、タコの刺し身、しじみの味噌汁、玄米、昨夜の残りのキムチチャーハン(スイセイ)。

●2005年3月22日(火)曇り、風強し

昨日はしっかり休んだので、早起きする。
1時からの打ち合わせ準備や、掃除などのんびりとやる。
赤澤さんにいただいたコーヒー豆がおいしくて、コーヒータイムが毎日楽しみだ。
たぶんこれって、ワニさんのコーヒー豆だと思うんだが。
打ち合わせは4時くらいに終わり、遅い昼ごはんを食べる。
スイセイには広島風のうどん、私はボンカレーだ。
夕方になって、風が吹き荒れている。
時々小雨も混じり、けっこう冷える。
春って、こんなんだよな。
くるくる気温が変わったり、嵐っぽくなったりもする。
夜ごはんを早めに作って、それぞれが食べたい時にいつでも食べられるようにしておく。
キムチチャーハン、もやしの辛し和え、キャベツの塩もみ、ワンタンスープ。
キムチチャーハンを作る時は、韓国のヘインサという村に行った時の味をいつも思い出しながら作る。
食堂と言うよりは、私が子供の頃にあったお好み焼き屋さんみたいな感じのところだった。
玄関のたたきにテーブルがひとつだけあって、家庭の台所で作った料理を、お母さんが運んでくるみたいな。
奥の部屋で子供が宿題をやっていたり、猫が遊んでいたりするような店だ。
そこのキムチチャーハンは、ケチャップが混ざったみたいな懐かしい味がして、目玉焼きがのっていた。
ところで、夜ごはんをなぜ早めに作っておくかと言うと、7時半からねずみの映画をやるから。
そしてそれが終わって、昨夜の続きの『青春の門』を11時までやるからだ。
今夜は、だらだらとテレビを見ながら、畳の部屋で食べる予定。

●2005年3月21日(月)祭日、快晴、まったく春

今日は休業ということにして、目が覚めても寝られるだけ寝ていようとしたら、短編の夢を6個くらいみた。
窓の外は、カーテン越しでもすごく明るい。
それでも1時までがんばって寝たが、飽きてきたので布団の中で昨夜の続きの本を読む。
銀色さんの『ひょうたんから空』だ。
この本て、まさに今読むのにぴったりの本だ。春が来始めの頃に。
何度読んでも、私は大好き。
読み終わったら、この天気がもったいなくなり、ミルクコーヒーをいれて窓辺に座る。
ベランダのすのこに足だけ出して、すっかり本に影響されている。
すのこはすっかり温まり、日が当たるところはパジャマでも暑いくらい。
木に、いろんな鳥が来て、嬉しそうに鳴いている。
雀よりちびっこいのも混ざっているが、あれはメジロだろうか?。
そしてこの牛乳、「常温保存可能品」と書いてあるのを、この間これしかなかったので買ったのだが、エバミルクを薄めたような味がする。
買ってから、あー失敗した!と思ったが、こうやって飲んでみると、案外おいしい。
今の気分にぴったりくる、エバミルク風味の牛乳だ。
うーん、今日は充電の日だが、たぶんバッチリのタイミングで銀色さんの本を読んだから、さらに受電度が増す感じだ。
スイセイは、朝から新宿や渋谷に出掛けている。
たぶんカメラに関係したものを買いに行っているのだろう。
鬼のいぬ間に洗濯だ。
昼ごはんを作らなくてもいいというのは、なんてのんびり気ままなんだろう。
夜ごはんは、イカのフリット(せんキャベツ添え)、もやしのみそスープ、冷や奴、れんこんきんぴら(昨夜の残り)、ごぼうとにんじんと海苔のきんぴら(残り物)、白いご飯。



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