●2005年9月20日(火)
昨夜はよく眠れた。
8時半に起きて、起きたそばから布団の上で母ちゃんといろいろ話す。
若いころの話や、スイセイが3歳の時に亡くなった、父ちゃんの話など。
「まあ、郁ちゃん(スイセイのこと)もあなたも、ええことを言うのう」と、原爆に遭い、女手ひとつで3人の子供を育て、82年も生きてきた母ちゃんに褒められました。
お昼に、ゴーヤチャンプルを作ってやり、鯖の干物(日曜市で享子ちゃんが買ってくれた)を焼いて食べる。
その後、デイサービスの施設へと、兄ちゃん、母ちゃん、スイセイと4人で見学に行く。
母ちゃんは、「私はこんな所に来たくない。たくさんの人と一緒に過ごすのは苦手じゃけえ」と言う。
私だって、そう思った。
母ちゃんは、「それより家で掃除したり、料理をしたりしていた方がずっとええけえ。やることがあるんじゃけえ」と言う。
まったくその通り。
物忘れがあるくらいで、まだそれほどにはボケが進んでいない母ちゃんは、4階アパートの登り降りも、私たちとほとんど同じスピードで足どりもしっかりしている。
スイセイはもうひと晩泊まるので、駅まで送ってくれた。
4時の新幹線に乗り、駅弁を食べていたら、眠くて目がくっつきそうになる。
そのまま新横浜まで爆睡。
夜、9時くらいに帰ってきました。
家に入った時、誰もいない部屋に帰ってきても、ちっとも淋しい気持ちがしなかった。
匂いとか、部屋の中の温度とかが、出掛けたまんまに残っていて。
私が帰ってくるのを、家が、ええ子してじっと待っていてくれて、「おかえり」と迎えてくれたような、そんな感じ。
家も家族の一員だったんだなあ。
洗濯機を回し、風呂にゆっくり浸かって、バスタオルだけ巻いて畳の部屋でくつろぐ。
窓を開けて外を眺め、夜の空気を感じながら、髪の毛を拭いたり化粧水をつけたりする。
そのひとつひとつのことが、すごく幸せ。
この家が大好きというよりも、ベランダから見える空ごと、空気ごと、木ごと大好きだったのだなと気がつく。
そして私には楽しみがある。
それは『沢田マンション物語』を読むこと。
前に川原さんにいただいてから、少し読んでいたのだけど、実は途中でやめていた。
字がいっぱいで、ちょっと説明が多いような気がして、なかなか入り込めずにのろのろ読んでいた。
でも今は、字がたくさんあるところがとても嬉しい。
写真も、見てきた部屋のがあって、隅々までじーっと見てしまう。
享子ちゃんが作ったチョコレートケーキとミルクティーを飲みながら。
チョコレートケーキ、超おいしい。
柔らかいチョコを食べているみたいで、すごい濃厚。
クルミやレーズンがほんのちょっとしか入っていないのが、とてもいい。
夕方、新幹線の中で天むす弁当を食べたので、ひとりの夜ごはんはチョコレートケーキ。
そういえば、読者さんからいただいたカードを読んでいて、夕飯にお菓子を食べて終わらせてしまうという人がけっこういました。
私だって、若い時分にはそんなことしょっちゅうだった。
ひとり暮らしには、ひとり暮らしの食卓というものがある。
なにも、無理して料理を作る必要なんてないし、食べ物というのは心の栄養でもある。
歳をとると体がくたびれてくるから、ちゃんとしたごはんを欲するように自然となっていくものと思う。
そうしたら、作ればいいんだもの。
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