2005年12月下

●2005年12月31日(土)快晴

ついに大晦日です。
今日はリビングと仕事部屋の大掃除をしながら、お正月料理の仕込み。
黒豆をゆでたり、煮豚を煮たり、だしをとったりしながら。
そしてフィッシュマンズの初期のCDを、繰り返しかけながら。
フィッシュマンズ、ある時期からまったく聞く気が起こらず、ずっとそのままになっていた。
でも、何のきっかけもなく最近ビデオを見て、そしたらいきなり体の中にどんどん流れてきた。
すごくいい。
初期の曲のことも前はあまり好きではなかったのだが、今、すごくいい。
なんでだろう。
今、佐藤君が生きていたら、とても会いたい。
会って、聞きたいことがたくさんある。
床はワックスを塗ってピカピカだし、木でできた物(本棚や大テーブルなど)はオレンジなんとかというのを塗り込んでピカピカ。
小さい鏡餅も飾って、カレンダーも新しいのに替えた。
夕方にはぜんぶ終わり、最後に雑巾も洗濯し、風呂に入る。
1年の垢を落とすような気持ちになって、浸かる。
今年の暮れは、忘年会にも出掛けず、家の中で順調に仕事をしたり、片づけ物をしたりして、出来過ぎなくらいだった。
今年、りうはいつ来るのやら。
彼氏がいるし、りうも新しい場所で楽しくやっているのだろう。
そろそろりうも、スイセイに出会った時の私の歳に近づいているのだから。
7時半からは、お楽しみの紅白歌合戦だ。

●2005年12月30日(金)快晴

昨夜、『リンさんと小さな子』を読み終わった。
最後になっていろんなことに気づかされ、胸をぐっと掴まれた。
涙をひと流しし、ほーっと感動しながら眠りにつきました。
素晴らしい世界だった。
もうしばらくしたら、また読もう。
今日は、お昼に弁当を食べ、張り切って街へ買い出しに行く。
まず、「おいしい魚屋」さんで数の子やずわい蟹、お刺し身などたのんで紀伊国屋へ。
ロンロンでお肉を買おうかと思ったが、ものすごい人であった。
魚屋さんしか見なかったけど、お客さんは殺気立ち、お刺し身を奪い合っている。
レジもものすごく並んでいて、皆、何かに憑かれたような顔をしている。
とてもじゃないが、その渦の中に入って買い物する気になれず、そそくさと出てきた。
東急も、少し殺気立っていた。
このところ家にこもって掃除に熱中していて、すっかり独りの世界にはまっていた。
フィッシュマンズばかり聞いていたし。
だから、私はのろい。
紀伊国屋でさえ、レジで袋に入れる係の女の子がムッとしているようだった。
いちばん最後に寄った、「おいしい魚屋」さんの近くにある八百屋さんは、いつもと変わらなかった。
おじさんとおばさんが、2人でのんびりやっている。
里芋も、八頭の他にもセレベスや大きく新しいのがあったし、赤蕪もちゃんとあった。
私は街で、少ししなびているのを焦って買ってしまった。
白菜も100円(正月値段ではない)だし、小松菜もぶりっとしたいいのがあったので買う。
みかんを買ったら、「これ、市場から早めに入ったやつだから、もしかするとまだ酸っぱいかもしれないの。ひとつ食べてみてもし酸っぱかったら、少しおいてから食べてくださいね」とおばさんに言われた。
わざわざ街まで出て、人混みにもまれ、欲望の波に飲まれるように買い物をしなくたって、近所にこんないいお店があった。
お客さんは年配の奥さんがひとりだけ、ゆっくりと選んでいるのも感じがいい。
来年は、忘れずにここで野菜を買おう。
帰ってから汚れてもいい服に着替え、大掃除の続きをやる。
今日は、台所の棚周辺をやった。
掃除機をガーガーかけたり、棚の物をどんどん降ろしていたら、「オレはそうゆうみいがいちばん怖い」と、スイセイは部屋に退散。
スイセイから見たら、私もまた殺気立っているらしい。
夜ごはんは、ロールキャベツ(牛ひき肉、ディル入り。コンソメで煮てトマトソースを少し加えた)、大根のマリネ、トマト、玄米。
ロールキャベツを煮る時に、残りのキャベツでふたをして煮てみたら、バッチリだった。
キャベツもたくさん食べられるし、スープがびっくりするほど甘くなった。
冬のキャベツは、甘くて本当においしい。
夜、数の子の塩抜き、黒豆と干し椎茸を水に浸ける。

●2005年12月29日(木)快晴

ポカポカだ。
スイセイは早くから起きて、何かの機械を分解している。
昨日からずっとやっている。
お昼に、ホテルの朝ごはんみたいなの(ソーセージ、目玉焼き、レタス、トースト)を食べ、スイセイの散歩について行く。
空が青く、雲ひとつない。
この間みたいに頑張りすぎず、私は早歩きでついて行った。
途中、どうしても走りたくなった時だけ走る。
中央公園に着いたら、自由行動だ。
私は、走ったり歩いたり。
スイセイは、スピードを上げて2周走る。
青い空に向かって、紅い実がぴかぴか光っている。
枯れ葉がすっかり落ちた枝が、天をつき刺している。
1週回って、グラウンドの芝生の上に座ってみた。
今日は人もまばらで、犬の散歩をしている人が少しと、吹奏楽の練習をしているグループぐらいしかいない。
遠くを見ても、小さい人が見えるだけ。
あとは、どこまでも空と芝生。
景色の遠近感がなくなって、ふーっと自分もなくなりそうな感じになる。
寝ころぶと、平らな眩しい空。
青の表面には白いミトコンドリアみたいなのがいて、光の粒があちこち飛んでいる。
私は、自分らしくとか、自分の中にある本当とか、そんなレベルの自由ではなくて、もっともっと遠くに行きたい。
自分がなくなるほど自由になりたい。
来年の抱負は決まったな。
(死ぬことではなくて)生きていることの中でそれをやってみたい。
それはいったい何だろう。
来年は、そのことについてちょっと追及してみよう。
というわけで、爽やかに帰ってきました。
今日もまた大掃除だ。
畳の部屋と台所を半分やった。
換気扇の掃除で、スイセイも途中参加。
頭に手ぬぐいを巻いて、今日もまたフィッシュマンズを繰り返し聞きながら、6時までやった。
夜ごはんは、塩鮭、白菜と豚バラの重ね蒸し、蒟蒻のピリピリ、大根の味噌汁、玄米。

●2005年12月28日(水)快晴

昨夜、布団の中で『リンさんと小さい子』を読み始めた。
すごく良い。
ゆっくりのスピード。
言葉で書いてあるのに、言葉にはならないことを読んでいる。
でも、れっきとした言葉になっている。
真ん中へんで、どうしようもなく涙がぼろぼろこぼれた。
本を読んでここまで泣くのはひさしぶり。
本て、なんて素晴らしいんだろう。
こんな、ただの厚みのある四角い紙束なのに。
遥か遠くまで読む人を連れて行く。
そこまでで読むのをやめ、リンさんみたいに横向きになって、ささやかな幸せを抱きながら私も眠った。
今日は、朝から大掃除。
朝風呂に入る前に、風呂場の掃除をやる。
洗面所もやる。
気がつくと、もう3時。
お昼にチキンサンド(この間のローストチキンの残りで)を作って食べる。
さて、これから玄関まわりもやってしまおう。
フィッシュマンズの最後のライブのCDをかけながら、こみ上げながらやる。
たしかこのライブ、12月28日だった。
夜ごはんは、煮込みうどん(白菜、豚肉)、冷やっこ。
ごはんを食べてからも止まらずに、本棚を整理する。

●2005年12月27日(火)晴れ

すばらしい天気。
空はスッコーンと晴れ渡っている。
ヒヨドリもたくさん来ている。
昨夜は、寝る前にフィッシュマンズのビデオを見た。
すごくひさしぶりに。
(あー、やっぱりすごくいいや)と思いながら。
佐藤君の声とか、動きとか、表情とか、すべてがものすごく好き。
いっしょに歌いながら、ハモりながら、調子良く見ていたんだけど、後半の「ウエザー・リポート」のところで、ぐーっと泣きたい気持ちになる。
この人はもう、本当に死んでしまったのだな。
またもう一度、「ウエザー・リポート」を見る。
寝る前に窓を開けると、満天の星空。
オリオンがずいぶん下の方に出ていた。
というわけで、お昼に和風きのこスパゲティを作り、今日からまた『日々ごはん6』の校正を始める。
ポカポカと暖かく、ラジオでは懐かしい曲をいろいろやっている。
本当は、今日から大掃除を始めようとも思ったのだが。
夕方、去年に習って、正月用の野菜の買い物をしてしまう。
白菜、大根、ごぼう、柚子、ほうれん草。
夜ごはんは、牡蛎とごぼうの炊込みごはん(島るり子さんの直火鍋で。キムチと青じそをのせて海苔で巻いてもおいしかった)、春菊と焼ききのこのおひたし、サツマ芋の天ぷら、豆腐入りかき玉汁。

●2005年12月26日(月)快晴、風強し

今日もまたポカポカだ。
ちょっと風が強いけど。
お昼はお弁当。スイセイはオムレツと昨夜のサフランライス。
『やかまし村の子供たち』は、子供の作文みたいでとてもおもしろい。
さーて、そろそろ支度をして、大手町まで打ち合わせに行ってきます。
まず、丹治君に『フランス日記』の原稿をお渡しし、軽く打ち合わせ。
そして、ホテルのロビーで長野君と田中君と3人で軽く打ち合わせをし、サン・アドへ。
葛西さんは、とても親身な方だった。
いばったところがまるでなく、ひと言話すだけで、たくさんのことを理解してくださる。
仕事の上で、新しいことをいつも追い求め、闘っていらっしゃるような、なんか私たちの親分みたいな方だと思った。
私が話をする時、葛西さんはじーっと私の目玉を見る。
私も葛西さんの目をじーっと見る。
眼鏡の奥の葛西さんの目は、求心力があるみたいに、ぐるぐる回っていた。
打ち合わせが終わって、長野君、田中君とホテルのバーで軽く乾杯。
ホテルのロビーも、バーも、昔風でとてもいい雰囲気。
ここへは前に川原さんが連れてきてくれた。
その時に、「バーもいいんだよ」と教えてくれた。
なんだか昭和の匂いがする。
しかし、注意していないとすごく高くつくので、酔っぱらわない程度に飲んだ。
私は、シェリー酒、スプモーニ、カルバドス。
ソーセージやアスパラガスなど、つまみも軽くとった。
うーん、いい気分。
来年から、長野君と組んで仕事ができることが、すごく嬉しい。
また、何かが始まりそうな予感がする。
というわけで、夜ごはんにスイセイは自分でラーメンを作ったそうなので、帰ってから私もサッポロ1番の塩ラーメン(白菜入り)にする。

●2005年12月25日(日)晴れ

クリスマス。
朝から少しワクワクしている。
昨夜は、雑誌のゲラ校正を夜中にやった。
とてもいい原稿だし、写真もデザインも綺麗だったので、校正も楽しく、漏れのないようにじっくりやっていたら、4時になってしまった。
最近、編集さんに言われて(やっぱり…)と思ったのだが、私って、基本的にしつこいらしい。
でもきっと、人よりも作業がのろいということもあるだろうな。
だからといって、自分のやり方を変えようとはまったく思わないけど。
というわけで、今日もういちど見直しをして、無事お送りする。
これで、今年の具体的な仕事はお終いだ。
あとは明日、新しい本についての打ち合わせを2本やれば、仕事納めです。
もう『日々ごはん6』のゲラが届いているけれど、冬休みの間にやれば大丈夫なので、今日は休日にしよう。
誕生日だし。
まだ陽が出ているうちに図書館に行き、リンドグレーンの『やかまし村の子供たち』を借り、そのままスーパーに買い物にいく。
丸鶏を捜していたら、軍鶏の手ごろな大きさのをみつけた。
スイセイとふたりで食べるにはちょうどいい。
今、オーブンの上火機能(金属の棒に刺してぐるぐる回しながら)で焼いているところ。
ターシャ・テューダーさんが、暖炉の火で焼いていたのを思い出しながら焼いている。
「ゆっくり時間をかけて焼くからやわらかくなるのよ」と言っていたなぁ。
夕方、カトキチがバースデイプリン(アムプリンの)を持ってきてくれた。
うう。すごく嬉しい。
鶏を焼きながらだったので、『まる子』も『サザエさん』も、ほとんど見れなかった。
夜ごはんは、グリーンサラダ(トレビス、グリーンカール、人参)、ローストチキン(落ちてくる鶏の脂で、じゃが芋、エリンギ、玉葱、赤ピーマンを焼いてつけ合わせにした)、サフランライス(バジルペーストを少し混ぜて炊いた)。
鶏を、思う存分もりもり食べた。
食後にアムプリンを食べる。
別添えのカラメルソースをたっぷりかけ、周りのクリームと一緒にほおばるおいしさ。
私はおかわりをした。
それでもふたりでは多すぎるので、半分を箱にもどして、スイセイがリーダーの家に届けてくれる。
リーダーはとても喜んで、「あのの、ナメクジに塩をかけたら溶けるみたいになっとった」そう。
ちよじとヤーノから「おめでとう」の電話があり、マスターの展示会場で、やっぱりバースデイプリンを食べたのだそう。
せつ子さん(マスターの奥さん)も今日が誕生日で、カトキチが届けたらしい。
クリスマスの夜に、アムが作ったデコレーションプリンを、皆で食べる幸せ。

●2005年12月24日(土)晴れ

昨夜は、2時過ぎにご機嫌で帰ってきた。
ごはんを食べたら軽く飲んで帰ってくるつもりが、サンの家族(ご両親とおじいちゃん、おばあちゃん)が秋田からいらしていたり、「アムプリン」のふたりが偶然来たりして、ぐっと楽しい気分になってしまい、閉店までいた。
帰ろうとしたら、シミズタとサンも片づけが終わり、一杯飲もうかということに。
けっきょく、もうひと飲みしてタクシーで帰ってきたのです。
とても楽しい夜だった。
アムもカトキチも、サンもシミズタも、スイセイも、何かについて話す時にすごく真っすぐだ。
状況をそのまま素直に受けとめ、自分の感受性を通して、まっすぐに出てきた意見を言う。
そこには世の中の尺度や、常識や、おごりみたいなものが混ざらない。
全部が自分たちの実感の元に成り立っている。
ひと言で言うと「嘘がない」っていうことだけど。
私たちの間柄は、嘘も含みも必要がないのだ。
っていうか、たぶんこれって子供同士の関係なんだと思う。
近所のガキンチョ仲間が、炬燵を囲んでいつまでもだべっている。
馬鹿話と同じレベルで、人生観みたいな話もする。
そんな感じ。
というわけで、帰ってからすぐに寝て、今日は2時までぐっすりだった。
起きる時、目やにで目がくっついていた。
お昼に、昨夜シミズタにもらったバゲットで、生ハムとチーズのサンドイッチを作る。「トネリコ」で出しているバゲットは、国分寺のパン屋さんで買っているそうだげ、とてもおいしい。
フランスで食べたのと、すごくよく似た香ばしさだ。
スイセイが街に出ると言うので、夜ごはんの買い物をお願いする。
私は、カフェ・オレをいれて、『フランス日記』の最後の作業をやる。
夜ごはんの支度までには、ぜんぶ終わってしまった。
夜ごはんは、白菜と厚揚げのくたくた煮、寒鰤の塩焼き、大根とトレビスと生ハムのサラダ、浅蜊の味噌汁、梅干し(ヒラリンの)玄米。

●2005年12月23日(金)晴れ

昨日よりもずっと暖かい。
てきぱきと支度をして、12時に出掛ける。
今日は、スイセイの撮影の手伝いでヒラリンの家へ行くのです。
昨日は風が吹いてあんなに寒かったけど、おかげさまで今日はとても暖かく、歩くのが気持ちいい。
散歩のつもりで、どんどん歩く。
スイセイは発明品のキャリーをひっぱって、黒いジャンパーに黒いズボン、帽子まで黒。
おととい、新宿の街を歩いていたら、警官に呼び止められたそうだ。
テロの警備体制で、荷物検査をされたんだそう。
カメラ屋を出た所から、50メートルくらい後をつけられたらしい。
(確かにスイセイって怪しいものな)と思いながら、後からついて歩く。
キャリーのことをじーっと見たり、振り返ったりして興味を示すのは、男の人と犬。
男っていうのは、車輪が好きなんだそうだ。
子供のころからずっと。
犬は、自分の目線で変な形の荷物が転がって行くので、気になるらしい。
ヒラリンの家は、昼間よく見ても、やっぱり台所がものすごく充実していた。
梅干しも、味噌も漬けているし、山椒の醤油漬けや、おいしそうなお茶の缶、乾物もいろいろあって、うちの台所より豊かな感じ。
撮影が終わったら、ヒラリンは小さい炊飯器で黒米入りのご飯を炊いて、おにぎりを作ってくれた。
自家製の梅干し入りのと、味噌をぬったのと。
そのおいしいこと。
梅干しは、赤じそを途中でぬいてあるので、梅の持つフルーティーな味がしっかり残っている。
味噌も、うちのよりずっと熟れていておいしい。
そのポイントを、いろいろ質問する。
またてくてくと歩いて、「のらぼう」に寄り、カレンダーを届ける。
「のらぼう」は、開店前の準備をしていた。
マキオ君のお姉さんが洗いものをしている後ろで、子供らがごはんを食べている。
マキオ君もアルバイトの男の子も半袖で、店の中は暖かく、いい匂いがして、湯気で窓が曇っていた。
開店前の緊張感みたいなものも、ほんの少し漂っている。
たくさんのお客さんを喜ばせる、おいしい料理が仕込まれている現場で、親たちの働く背中を見ながら、当たり前のようにごはんを食べる子供たち。
「ええものを見せてもらったのう。あの子供らは、大きくなっても忘れんじゃろうの」とスイセイが言う。
本当に。
「のらぼう」のおいしさは、こういうところにも理由がある気がしました。
ダウンのコートを着ていったので、夕方になってもちっとも寒くない。
姿勢を正し、ウォーキングのつもりで爽やかに歩く。
帰ったら、お茶を飲んでちょいと休憩。
スイセイがカレンダーを届けるのにくっついて、これから「トネリコ」に行ってきます。
なので今夜は、「トネリコ」でごはん。

●2005年12月22日(木)曇り時々晴れ

ものすごく寒い。
でも、大雪が降っている地方がたくさんあるみたいで、それに比べたら東京の寒さなど赤ちゃんみたいなものだ。
私なんか部屋の中にこもって、ずっとストーブをつけているんだから。
ハルが鳴くのでベランダに出ると、それはそれは美しい夕焼けだった。
冷たい風がビュービューと吹きすさんでいる。
でも空は、茜色の割合いがいつもよりずっと多いし、色もピンクに近いような赤。
蒼い空とのコントラストが素晴らしい。
昨夜も『フランス日記』の作業を3時過ぎまでやったのだが、なかなか寝つけずに、 朝方ようやく眠れた。
この作業を終えてしまうまでは、こんな感じなのかもと思う。
やる気満々で楽しいし、冴えているんだけど、頭の中が緊張している。
ごはんを食べるのも忘れてしまう感じ。
夜ごはんを作る時間も惜しいので、今夜は出前のお寿司をとることにする。
わかめと三つ葉のおすましだけ作って、「おいしいのう」「たまにはいいよねー」と言い合いながら食べる。
早めに風呂に入り、続きの作業。
耳の後ろが痛くなった(眼鏡のせい)ので、今夜は1時に終わりにする。

●2005年12月21日(水)快晴

今日もまたポカポカではないか。
昨夜は、4時くらいに布団に入ったのだが、ひさびさに眠れない夜だった。
次から次にアイデアが浮かんできて。
普通に目をつぶっていても、ぎゅっと固くつぶった時のようになる。
目と目の間に、メリメリと顔がもぐりこんでゆくような感じになるのだ。
新しいことが始まる前に、いつもこうなる。
それは、いい本が出来ることの前兆。
けっきょくとても浅い眠りで、朝起きた時に首のつけ根が固くなっていた。
さーて、今日もまたいろいろやろう。
実は、『フランス日記』が本になることが、やっと決まったのです。
『日々ごはん』の番外編として、アノニマから発売されます。
昨夜もそれにまつわる作業を3時までしていた。
つい夢中になってやってしまうので、目が痛くなってやめた。
こんな私を見て、「みいは特攻隊じゃのう。ゴーが出たとたんに、一直線につっこむんじゃのう」とスイセイは呆れている。
私の父は戦争中、少年特攻隊にいた。
夜ごはんは、鮭の味噌漬け、白菜と油揚げのくたくた煮、わかめの刺し身、納豆、三つ葉の赤だし汁、玄米。
夜もまた『フランス日記』の作業をやる。
楽しくてたまらない。



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