2006年6月上

●2006年6月10日(土)晴れのち曇り

朝ごはんを食べ終わり、スイセイとちょっと言い争いになる。
うーん。
スイセイは部屋のドアを閉め、こもってしまった。
私は、書類の整理をして、机まわりをシャッキリさせる。
ゲラが届く前に、夜ごはんのハンバーグを錬っておく。
今日は、前からおいしそうだと思っていた、ケンタロウ君のレシピでやってみようと思う。
3時ごろ、お待ちかねのゲラが届きました。
ミルクティーをいれ、目がねをかけ、ぐっと入り込む。
時々ベランダに出て、緑を眺めたり、首をグルグル回したりしてやる。
杏の実が、ずいぶん色づいてきた。
「チーチーチュイ」と、鳥も鳴いている。
夕方のある時間になると、訳もなく、赤ん坊たちがぐずり始めるって、しおりちゃんもちいちゃんも言っていたけど、なんか分かるような気がする。
大人でさえ、そこはかとなく、物憂いような空気が充満しているものな。
さて、続きをやろう。
夜ごはんは、ハンバーグ、新じゃがの鍋蒸し焼き、大根のマリネ、レタスのサラダ。
ハンバーグがふかふかにおいしくできた。
両面を強火で焼いてから、ハンバーグの高さの半分まで水を加え、フタをして蒸し焼きにするというもの。
脂も適度に抜けるし、レストランの洋食風。

●2006年6月9日(金)雨のち曇り

ボタボタ雨。
『日々ごはん7』のおまけレシピの仕上げをやるが、どうも頭がぼんやりしている。
気圧のせいなのか、低血圧になっているのか、それとも貧血か。
でもこんな時、料理だけは作れるから不思議。
しかも、テンションが低い分、ていねいな気持ちでやれる。
そんなわけで、試作をしながら、だんだんに頭の方もはっきりしてきました。
いつの間にやら雨も上がって、ひんやりと清冽な空気。
鰻が残っているから、今日もまたちらし寿司を作ろう。
レシピを仕上げ、あとがきを書く。
夕方には、西の空に晴れ間も出てきました。
今日、関東地方は梅雨に入ったそう。
夜ごはんは、鰻のちらし寿司、焼き茄子(だし汁に薄口醤油で味をつけたのにひたした。おろし生姜)、焼きエリンギ(塩、ごま油)、小松菜のおひたし、ごぼうと糸こんと牛こまの炒り煮、おくらのすまし汁。
風呂から上がって続きをやり、あとがきをお送りする。
明日、『たべるしゃべる』のゲラが届く予定なので、ちょうどよかった。

●2006年6月8日(木)曇り

また変な夢をみた。
課題の内容を私だけ知らなくて、その場で何かを作ればいいのだとばかり思ってのんびり構えていた。
そしたら、他の皆はグループに分かれ、すでにとても手のこんだ作品を作り上げ、発表している。
クラスで私ひとり、まったく何もとりかかってないし、アイデアさえもなく、「うーん、困ったな」という夢。
こういうのを、最近よくみるような気がする。
私はいつも個人で仕事をしているから、自分だけとり残されているような不安が、どこかにあるのかもしれないな。
とくに文を書いたりするのは、ひとりきりで自分の中にダイビングしていくことだし。
そんなのは当たり前だし、やりたいことだからいいんだけど、ふと、無意識の中で不安がよぎるのかもな、なんて思った。
もしかしたら、子供のころからずっとそうなのかも。
足の指をグー、パーさせ(これをやると目が覚める)、えいっ!と頑張って起きる。
あちこち掃除をしたり、ストーブをしまって扇風機を出したり。
11時から撮影。
ひさびさの撮影だし、ちょっと品数が多いし、天気も悪いので、とちゅうで気が遠くなる。
足腰が怠く、プシューーと空気が抜けたような感じになった。
ヒラリンが「ohana」をかけてくれて、聞いているうちにまたぐーっと元気になって、盛り返した。
最後は、3時55分からの『すいか』に向けて、突っ走った。
終わってから、撮影の残りのちらし寿司やそうめんを畳の部屋に並べ、『すいか』を見ながらヒラリンと食べる。
夜ごはんは、ラム焼き肉の葉っぱ巻き、鮪の刺し身、茹でアスパラ、トマト、くずし豆腐の味噌汁、玄米。

●2006年6月7日(水)曇りのち晴れ

早起きの習慣はこのところすっかり崩れ、11時に起きた。
雲行きが怪しくなって、雨が降りそうだったけど、午後になってめきめきと盛り返した。
明日の撮影の仕入れであちこち回っている間に、晴れてきました。
スイセイは古本屋さんへ。
シルバー人材センターで待ち合わせ、自転車のカゴとサドルをつけ替える。
私の自転車は、「クウクウ」のころから乗っているから、たぶん15年以上になると思う。
もうボロボロで、車輪もサビが出て、買い替えようかとも思うんだけど、まだまだ乗れるので買えない。
でも、今日見てもらったら、昔のは本体自体がかなりしっかり作ってあるそうで、修理のおじさんに感心された。
奥で部品を磨いていたおじいちゃんも、寄ってきて、「ほほー」と感心。
「壊れようがないよ。まだまだ、いくらでも走れるよ。車輪が壊れたらまた直してやるからョ」と言われ、私はとても嬉しかった。
サドルも茶色になって、カゴも銀色で大きくなった。
ベルはおまけでつけてくれた。
全部中古の自転車からはずした部品だから、古び度もしっくりくる。
ブレーキも直してくれて、全部で2000円。
さっそくスーパーに買い物に行く。
カゴが大きいから、荷物がたっぷり入るのが、とても悠々とした気持ち。
今日もまた、ふとスイセイが思い出して、『すいか』を見ることができた。
竹ぐしで、青い小梅のへたを取りながら見る。
今年はまだ梅酒が残っているから、小粒のカリカリ梅を漬けようと思って。
夜ごはんは、味噌味のとろろ芋、お刺し身盛り合わせ(大トロ入り。昨日の『すいか』でおいしそうだったから)、茹でアスパラの自家製マヨネース、鯵の干物、冷やっこ、玄米。
夜、小梅を漬ける。

●2006年6月6日(火)曇りのち雨

布団の中でテレビを見たり、眠くなったら寝たり。
1日中だらだら過ごした。
昨夜はとてもとても楽しすぎ、おかげで今日は、胸の中に隙間がたくさんあって、ぽっちりぽっかりとしてしまう。
「クウクウ」のいろんな子たちと話したことを、ひとつひとつ思い出したりして過ごす。
変な時間にテレビを見ていたから、おかげで『すいか』の再放送が見れた。
やっぱり、すごくいい。
笑っちゃうのに、涙がだらだらこぼれる。
夜ごはんは、スイセイは水菜入りラーメンを自分で作って食べていた。
私は、北海道から送っていただいたアスパラを網焼きし、塩と醤油で食べる。
採れたてのアスパラは、根元の皮をむかなくてもいいくらいに柔らかいのだそう。
本当に、甘くて、香ばしくて、とうもろこしみたいにおいしい。
もしも、もう1日早く届いていたら、「トネリコ」に持って行って、皆で焼き立てを1本づつ食べられたのにな、なんて思いながら、皆の分まで味わって食べた。
夜、くず餅を作ってみた。
ぷるっと柔らかいのが、あんがい簡単にできました。
きなこと黒みつをかけて、布団の上で食べた。
夜中、テレビを見ながらカップヌードルを食べる。
布団の上で食べるカップヌードルって、なんか夢がある。
昨夜、「トネリコ」から帰ってくるタクシーの中と、うちに着いてから、私は大泣きしたような気がする。
スイセイに聞いてみたら、「みいの感情の容れ物があっての、そこがいっぱいになって、溢れ出したみたいになっとった。蕎麦を茹でて吹きこぼれるみたいになっとった」。
私は、嬉しかったのだ。
「クウクウ」の皆のことが大好きで。
好きとか、べたべた言うわけじゃあぜんぜんないんだけど、皆のことがすごく好き。
いつもいつも会っているわけではないんだけど、遠くにいても、そういう仲間がいるっていうことだけで嬉しい。
子供たちもすっかり大きくなって、4人が「ウワーーーーーー!」とかって声を合わせて叫んでいた時があったけど、私も同じ気持ちだった。
言葉や歌なんかでなく、声の震えや響で、皆とハモりたい。
それぞれが歳を重ね、育んでいることが、無条件にただ嬉しい。
だから今日は、昨夜が楽しすぎたから、ひとりでぽっつりとしてしまう。
そんな日だった。
明日からまた、私は頑張ろう。

●2006年6月5日(月)曇りのち晴れ

朝ごはんを作ってみた。
目玉焼き、水菜とクレソンのおひたし、キャベツサラダ(昨夜の残り)、にらの味噌汁、玄米。
最近、朝型になってきたので。
ふと気がつくと、雀が2〜3羽飛んできて、ベランダでピチャクチャしたかと思ったら、また飛んでいった。
砂浴びにきたのだ!。
のんびり掃除をし、1時から打合わせ。
『たべるしゃべる』が、いよいよ形になってきました。
今年の始めから、私の好きな人たちの家や仕事場にごはんを作りに行き、インタビューしていた本です。
これからまた、本の作業に入り込めるのが、とても嬉しい。
本の中へと旅に出るよう。
今は、旅に出掛ける前の準備で、もろもろやることをやってしまおう。
晴れてきたので、郵便局に行く。
ついでに、いつもの農家で、葉っぱユサユサのおいしそうな大根を買う。
油揚げや、たらこやら納豆やら、朝ごはん向きのものをスーパーで買う。
今日は、夕方から「トネリコ」に皆が集るので、レシピをやってから出掛ける予定。

●2006年6月4日(日)曇り

曇りじゃん。
新聞の天気予報によると、午後から晴れるみたい。
なので、スイセイの部屋の電気マットみたいなのをゴシゴシ洗ってみる。
クーラーの室外機の上に、何も植わってない土だけの植木鉢が置いてあるのだが、最近、中の土が周りに散らばっていた。
それもきれいに掃除する。
お昼を食べ終わってベランダをのぞくと、また派手に土が散らばっている。
それでやっと気がついた次第。
鳥が砂浴びをしに来ていたのだ。
もう、言ってくれればいいのに。
こっそりと、その姿を見てみたいものだなぁ。
さて、レシピ書きをやってしまおう。
そういえば、ずっと書くのを忘れていたが、「アムプリン」のホームページが、今すごいことになっている。
4月に北海道に移住してからの、ふたりと1匹(犬のコロちゃん)の様子が、「アムプリン冒険」になって見られるのです。
毎週金曜日が更新なので、ものすごく楽しみ。
余計なお金を使わずに、ふたりに出来ること、願っていた夢が、当たり前みたいに実現していっていることのすごさ。
この、当たり前みたいにっていうところが、奇跡みたいに私は思う。
いろいろたいへんなこともきっとあると思うけど、ふたりと1匹でひとつひとつ乗りきって、その場でしっかり考え、答えを出し、体を動かし実行してゆく。
こつこつと毎日、目に見えて開拓が進んでいる。
今は、カトキチのお父さん(大工さん)が加わって、3人と1匹だ。
毎週、読むたんびに背筋が伸びる。
私も頑張るべ、と思う。
夜ごはんは、とうもろこしとひき肉とトマトのエスニック炒め、ゆで上げスパゲティ、キャベツと人参とクレソンのサラダ。

●2006年6月3日(土)曇り

こんな日は、いつまでも眠っていようかとも思ったが、12時ちょうどに起きた。
体の中に、温かい綿がモヤモヤとたまっているようなこの感じ。
まあ、こんな調子の日も悪くない。
いろんなことが小休止の日なのだ、きっと。
というわけで、あちこち掃除をした。
台所の床もスポンジでこすって、ワックスを塗ってピカピカに。
他の床も、念入りに雑巾がけし、ワックスを塗った。
大テーブルの位置もひっくり返した。
スイセイと私が並んで座っているところばかり、木目に味が出てくるので、ぐるっと回したのです。
汗をかきかき、ひとりで全部やった。
夜ごはんは、レバーとピーマンとにらの炒め物、穴子と三つ葉の卵とじ、トマト、大根の味噌汁、玄米。
明日は晴れるらしい。
大物をいろいろ洗濯しよう。

●2006年6月2日(金)曇り

空はぼんやり曇っているけれど、わりと元気。
「小説すばる」から、おもしろそうな仕事がきているので、それについて、昨夜からはまってイメージしていた。
朝から、それを書き出したりして過ごす。
昨日は、ちょうど『きょうの猫村さん2』が発売されているので、楽しみに本屋さんに行ってみたら、すっかり売り切れだった。
猫村さんの粘土で作った人形(実物の猫より少し大きい)の周りに、1巻と2巻が平積みになっていたようだけど、1巻がパラパラと数冊残っているくらい。
すごい人気だ。
仕方がないので、目についた新刊小説を買った。
電車の中で読んだり、続きを昨夜寝る前に読んだのだけど、けっきょく何も残らない話だった。残念です。
お昼には、試作をひとつやる。
午後からはレシピ書き。
夜ごはんは、チキンドリア、レタスとクレソンと大根のサラダ、ラタトウユのオムレツ。
ドリアは、この間『きょうの料理』でやっていた、昔の洋食レシピを、ほとんど忠実に作ってみたら、とてもおいしく出来ました。
生クリームも入らないし、チーズもパルミジャーノを少しふりかけただけなのに、充分コクがある。
鶏肉と玉葱をバターで炒めて、小麦粉(強力粉だったけど、私は薄力粉で)を加えて炒め、温めた牛乳を少しずつ加える。
ぜんぶ加えてから、4〜5分木べらで錬るっていうところがコツだと思う。
ねばりが出るまで、ポッテリするまでしっかり錬るのだそう。
鶏と玉葱から出た旨みがよく煮からまって、コンソメを入れてないのに、ソースにコクが出てとてもなめらかに出来た。
鶏もも肉100g、玉葱薄切り2/3個、バターと小麦粉は各大さじ2、牛乳1カップ。
ご飯の方は、みじん切りの玉葱1/3個と人参(玉葱と同じくらい)をバターで炒め、ひやご飯を加えてざっと炒める。
ご飯が固まっているようなら、酒を少し加えてほぐし(ここがポイント)、塩と胡椒。
バターをしいたグラタン皿にバターライスをしき、鶏肉入りのホワイトソースをかぶせ、パルミジャーノを大さじ2くらいふりかけて、200度のオーブンでしっかり焼く。
こんど、マカロニでもやってみよう。

●2006年6月1日(木)快晴

今日もまたいい天気。
やっぱりこうでなくっちゃ。
昨日はけっこう頑張って走ったけど、筋肉痛はまったくない。
この調子で、週に一度は走りたいものだ。
さて、今年の味噌。
まだ白っぽいけれど、充分に香りもコクもあっておいしいので、タッパーに移して冷蔵庫にしまうことにする。
去年は、どうなるかという実験の気持ちもあり、ずっと室温に置いていた。
室温だとじわじわ発酵が進み、どんどん塩辛さが増して、黒っぽい味噌特有の、田舎っぽい匂いと味になった。
ちょっと赤だし風でそれもおいしいのだけど、たまにだったらいいんだけど、毎日の味噌汁には、ちょっと。
私は信州味噌の白っぽいので育ったし、スイセイもわりとそうらしい。
なので、今年は早めに決断しました。
2月27日に漬けたと紙蓋に書いてあるから、3ヶ月くらいで出来ちゃった。
でも、自分の好みの味に出来上がって、とても嬉しい。
田舎味噌が恋しくなったら、いしいさんの奥さんにいただいたおいしい味噌がある。
お昼を食べて、あとでアノニマ・スタジオに行ってきます。
丹治君は、水色のチェックのシャツがとてもよく似合っていた。
『フランス日記』のサインをして、軽く打合わせをし、買い物をして5時前には帰ってきた。
前は、早く帰りたくてすぐにタクシーに乗ってしまったものだが、最近は、歩くようにしている。
というか、暇になってきたのだ私は。
朝も早く起きるようになったし、1日が長くて、余裕たっぷりなのだ。
夜ごはんは、サザエの壺焼き、ゴーヤと椎茸の炒め煮、中落ちの梅醤油和え〔青じそと海苔添え)、鯵の開き、大根葉の味噌汁、玄米。
デザートは、よもぎ麩のねり餡のっけ。



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