2006年7月上

●2006年7月10日(月)曇り

旅行が明日からだったか、あさってからだったか分からなくなって、起きてすぐの寝ぼけた頭で考えていた。
あさってでした。
冷蔵庫の残り物を使い切ってから出掛けたいので、それによって、今日何を作るかが決まってくる。
そういえば、このところ玄米をずっと食べてないから、旅行の前にはぜったいに食べておこう。
でも、カレーを作ったら、やっぱり白いご飯だしな。
というわけで、昼ごはん用に、起きてすぐカレーを作った。
昨夜のドラマ『誰よりもママを愛す』で、カレーが出てきたせいと、ユミちゃんが置いていった、インドカレーが少しだけ残っているのと、いつだったかの夏野菜トマトソース煮込みが残っているのと、清水さんのズッキーニと茄子が残っているから。
夏野菜たっぷりの、トマトっぽいやさしい味のチキンカレーが出来ました。
天気は冴えないけれど、旅行前にやらねばならない仕事を、サクサクと今日は片づける予定。
洗濯もたっぷりして、そろそろ荷物も作ろう。
午後になって、晴れ間が出てきた。
夜ごはんは、冷やし中華、冷やしトマト、セロリとレタスとみょうがのサラダ、白いかのお刺し身。

●2006年7月9日(日)曇り

ぐっすり眠って、10時に起きました。
あちこち掃除をし、ベタベタになった床を雑巾がけする。
昨日は、ものすごく楽しかった。
夏休みに皆が帰省して、実家に集ったみたいな、そんな会だった。
子供たちは、ベランダと畳の部屋とリビングを元気に走り回っていた。
中でも、ユミちゃんのところのトモ君がいちばん体が大きくて、やんちゃ盛りで、いろんな遊びを発明しては、率先して思う存分遊んでいた。
ベランダの室外機はバイクだそうで、上に座りながら、ジュースやお茶をストローで飲むのがお気に入り。
「お店屋さんで買ってくる」なんて言うから何かと思ったら、冷蔵庫にいっぱい並んでいるのを、自分で選んでとり出していた。
お中元でいただいた、紙パックのお茶と野菜ジュースだ。
大人の体にミニカーを走らせ、放っておいたら、顔の上まで走らせる。
洗濯ばさみを誰かの耳に挟んだり、ベランダから下に落としたり。
ちいちゃんのところの響は、おとなしいんだけど、意志はものすごく強いみたいだった。
お喋りをしても、声が小さくて、人の顔をじーっとみつめている。
内向的みたいだけど、でも、イヤなことはぜったいにイヤ。
もしかしたら、芸術家肌かもしれないなあ。
アイちゃんのところの優君は、頬っぺたが大きくて、いっつもニコニコ笑っていて、何か食べ物をあげると、皆にも分けてあげ、いっしょに食べようとする。
名前の通り優しいんだけど、たまに男の子らしく、ニコニコしたままバッチーンとひっぱたいたりして、ちゃんと野蛮なところもあっておかしかった。
洗濯ばさみを落としたのも、どうやら優君らしい。
ハヅキのところのマヒナは、いつもちんまり座っていて、男の子たちとはあんまり遊ばない。
時々、マハロ(ハヅキが産んだ二人目)が寝ているところに行って、そっと触ったりして、可愛がっている。
畳の部屋に、布団を1枚敷いておいたのが大正解でした。
子供らはもちろん、大人たちも、くたびれた人は勝手にゴロンと昼寝したり、お母さんたちがおっぱいをあげたり。
マスターは、何度もビールを買いに行ってくれた。
普通だったらマスターなんだから、誰か若い子に「おまえ買ってこいよ」とかって命令するもんだと思うけど、うちのマスターは、えばったことをぜったいにしない。
「クウクウ」の時も、頼むとすぐにレタスとか買いに走ってくれた。
でも、高いお店で買ってきちゃったりして、リーダーに怒られたりしてた。
マスターは、いつものように早々とつぶれてしまい、布団の部屋で熟睡し、シーツの跡が顔についたまま、次の飲み会に出掛けて行きました。
マハロは、ほとんど泣かずに、スヤスヤとよく寝ていた。
それにしても、梅雨だというのによく晴れて、人がたくさんいるからか(大人15〜6人、子供5人)、汗がだらだら出た。
夏全開で、チビチビ飲んでいるビールもワインも、どんどん蒸発していくようだった。
子供らが始終動いていて、大人たちも勝手に皆楽しんで、わさわさと空気が動き、自分のことを気にしている暇がないような、とても健全な空気。
玄関の扉を開ければ、涼しい風が吹き抜け、皆の顔もほころぶ。
だんだん陽が落ちて、夕方になって、楽しい時間がこくいっこくと過ぎてゆく。
子供らが順番にお風呂に入り、裸んぼになって出てきたり。
おっぱいをあげるちいちゃんの隣で、パリパリに乾いた洗たく物をたたんだり。
子供らがスクスク育っているのも嬉しいし、皆が持ち寄った料理がおいしくて、いつの間にこんなに料理上手になったんだろうと感じ入ったり。
お母さんたちは、リビングの方で夢中で話をしていても、自分の子供の声にはすごく敏感なこととか、エバ子がマヒナを抱っこしながら、子供たちと遊んでいる様子とか。
二人目を孕んでいるアイちゃんも、いきいきと美しくて。
二日酔いのせいで気持ちが繊細になっていたせいもあると思うけど、実は、いろんなシーンで私は何度も泣きそうになって、口がヘの字になった。
なんか、いろんなことが明るく開け、ゆられ、育まれ、繁茂していることが、とてもありがたい。
最後にハヅキの家族が帰る時、どうしても我慢できなくて泣いてしまった。
ただ単純に、離れ離れになるのがすごく淋しかったのだ。
近くにいたって、いつもいつも会うわけではないのに、波照間島にまた帰ってしまうと思うと、胸が締めつけられる。
もう、完全に実家の母親状態になっていた。
子供らは8時くらいに次々と帰り、ご近所仲間のリーダー、ナツコ、ちよじ、よう子ちゃんが最後の片づけをしてくれて、梅酒やグレープフルーツ酒などを軽く飲み、10時半にお開きとなった。
ぐったりくたびれ、風呂に入った。
シャワーをひねったら、水音の中に、さっきまで響いていた皆の笑い声や話し声、子供らのざわめきが重なっていた。
耳の中に残っていたのか何なのか分からないけど、まざまざと聞こえて、デジャブーみたいにクラッとなった。
きっと、あまりにくたびれ過ぎて、脳の感覚が動物的になったのかも。
というわけで、今日は、何もやらずにゆっくり過ごそう。
テレビも、『まる子』『サザエさん』『誰よりもママを愛す』『ウルルン』『情熱大陸』とめじろ押しなので、夜ごはんはちょっと早めにする予定。
『まる子』で冷やし中華がものすごく食べたくなったが、買い物に行く元気もないので、蕎麦を茹でる。
とろろ蕎麦、小松菜のおひたし、油揚げのカリカリ焼き、ズッキーニのごま油焼き(辛子酢醤油)。

●2006年7月8日(土)曇りのち晴れ

ちょっと二日酔いでフラフラするけど、10時には起きて、準備をする。
今日は、12時から、お楽しみの子供会がある。
ハヅキが2人目を産んだし、もうすぐ波照間島に帰るので、もと「クウクウ」のお母さん連中が子供連れで集るのです。
マスターも来てくれる。
残念ながら、しおりちゃんは和楽がおたふく風邪で、マッキーのところも、マホちゃんが風邪をひいていて、来られなくなった。
でも、残りの4人のお母さんは、全員集ることになっている。
料理は、ひとり1品持ち寄りだ。
昨夜は、「横尾」のかおるちゃんと、かわしまよう子ちゃんと、スイセイと、エバ子のイベントに行き、偶然来ていたリーダーとちよじも合流して、飲み屋の方の「横尾」にごはんを食べに行った。
しっとりと落ち着いたお店で、おぼろ豆腐と水菜のサラダとか、小夏のリーフレタス巻き(豆腐の味噌漬けを何かで伸ばしたソースにつけて食べる)、地鶏と野菜のオリーブオイル炒め、ホタルイカの干物、秋刀魚の稚魚の干物、おいしいお刺し身の盛り合わせ、などをいただいた。
どれも繊細で、じーんと心に響くおいしさでした。
お酒もおいしかったなあ。
そして、調子に乗って、そのまま皆でカラオケにも行った。
仕事が終わったヤーノと、別のところで飲み会をしていたりうと、りうの友だちのキムさんも合流。
楽しくて楽しくて、そのままいったら朝になりそうな勢いのところを、私が仕切って終わりにした。
リーダーは朝から仕事だし、うちでは子供会があるのだから。
最後に、スピッツの「ロビンソン」を皆で熱唱した。
立ち上がって、肩を組み、ジャンプしながら。
りう、キムさん、かわしまよう子ちゃんは、うちに泊まった。
りうたちは朝帰ってしまったけど、よう子ちゃんは、子供会に参加することに。
ちらし寿司を手伝ってもらって、一緒に作った。
ご飯を炊く時にのせておいた昆布を、よう子ちゃんはどうしても捨てられない様子。
なので、細かく刻んですし飯に混ぜてもらう。
サランラップも、いちど水洗いをして干している。
さすがは、ゴミについて強い考えを持っているよう子ちゃんだ。
それにしても、昨夜のよう子ちゃんのカラオケにはたまげた。
八代亜紀の「舟歌」とか、鳥羽一郎の「兄弟船」とかを、コブシを回して歌っていた。
小さい体をピョンピョンして歌い上げる、演歌っ子であった。
なんか分からんけど、私は感動した。
ふだんからひとりでカラオケに行き、ウーロン茶を飲みながら歌っているんだそう。
本当に、歌が大好きなんだそうだ。
というわけで、そろそろ皆が集ってきます。
私の料理は、鰻のちらし寿司、ベトナム風たたき胡瓜。
あとは、清水さんのズッキーニや茄子やトマトで、皆が来てから何か作る予定。

●2006年7月7日(金)曇り

昨夜、ゲラの直しのファックスが少しだけ届いていて、見て見ないふりをして寝たので、なんとなく夢の中までひきずってしまった。
夢の中のファックスは、とてつもなく長いものだった。
辞典のページとか、古典の教科書の引用とかがプリントされていて、最後の方は、油絵みたいなのがはりつけられ、オブジェみたいになっているものだった。
それを見て、うわーっと頭を抱えている夢。
それでもめげずに10時まで寝た。
せっかく、いろいろ終わったのだから。
起きてすぐにファックスを確認する。
現実のものは、ぜんぜん、あっさりと終わってしまった。
ゆっくり風呂に入り、髪も洗う。
ベランダに足を投げ出して、清水さんのプラムを頬張る。
曇ってはいるけど、地が明るいというかなんというか。
ポツポツと、時たま雨が落ちてくる中、電線に鳩が2羽とまっている。
ちょっとだけ間隔をあけ、毛繕いをするでもなく、首も動かさずにじーっととまっている。
夫婦だろうか? 友だちだろうか。
お互いそっぽを向いているんだけど、片方が毛づくろいを始めたら、もう片方も、なんとなしに毛づくろい。
そのうち片方が飛び立って、ほどなくもう片方も同じ方向に飛んでいった。
さて、私も動き始めるベ。
この2日間、たくさんの人が部屋の中を出入りしていたから、またあちこち雑巾がけをして、さっぱりしよう。
きれいになったところで、ついでにヨガをやり、またシャワーを浴びる。
3時から、桃ちゃんと打ち合わせ。
終わったら、明日のパーティーのために、買い出しに。
夕方から、エバ子たちがやっているイベントに行く予定。

●2006年7月6日(木)曇り

おかげさまで、曇りです。
だんだん明るくなってきてるみたい。
ありがたいことです。
今日はテレビの収録で、10時にタクシーで清水農園へ行く予定。
清水さんに会えるのも、畑に会えるのも、ちょっとワクワクしている。
だから、あんまり緊張してないみたい。
昨夜もよく眠れたし。
ヒラリンがいっしょなのも、すごく心強い。
では、これから行ってきます。
くー、くたびれた。
お天気は、ずっと曇りだったけど、外にいるだけで、何もしなくても体は消耗するのだな。
普段、家の中にばかりいるので、エネルギーの消費量がずいぶん違うことに気がついた。
陽に当ったり、風に吹かれたりするだけで、汗がたくさん出たりひっこんだりする。
蚊に刺されたり、煙の匂いがしみ込んだりもする。
外で体を動かして働いている人は、新陳代謝がずっと激しいんだろうな。
夏野菜を収穫する様子や、畑の脇で料理を作ったり、清水さんと食べたりするのを収録した。
3時前に終わり、帰ってからもインタビューなどを収録。
4時くらいにすべて終了したけど、皆が帰ってから、赤紫蘇を梅に加えるのまでやって、やっとすべて終わった感があった。
水風呂に入り、窓をいっぱいに開けて、ヨガ。
夜ごはんは、水茄子の焼き茄子、ピーマンと青唐辛子の網焼き、トマト2種、米茄子の炒め煮、たたききゅり(まつのはこんぶ和え)、豚の塩焼き(出てきた脂でエリンギを焼いた)、ゴーヤカレー(スイセイだけ)。野菜はすべて清水さんの。
ああ、今これを書いていても、眠くてたまらない。
パソコンも、間違えてばかりいる。
くたびれたー。
陽に焼けたし、肉体労働の心地よい疲れです。
食器も洗ってないし、8時半だけど、もう寝ます。

●2006年7月5日(水)雨

あいにくの雨で、畑の収録は延期になった。
今日は、うちの中での撮影。
11時半に集合です。
けっきょく1日中雨ふりの、梅雨らしい日だった。
終わったのは、5時くらい。
ヒラリンとビールで軽く乾杯する。
スイセイもどこからか帰ってきて、参加。
だんだん雨がやみ、明るくなってきた。
これが、明日までもってくれればいいんだけど。
つまみで、残りもののおにぎりやメンチなどを食べたので、夜ごはんはなし。
たいしたことはやってないのに、どっとくたびれた。
今夜も、早く寝ねよう。

●2006年7月4日(火)曇り時々晴れ

ゲラの確認。
暗記するほど読み込んでいるのに、まだまだ誤字をみつけてしまう。
こればっかりは、人間がやっている作業だから、仕方がないのです。
でも、何度もふるいにかけ、最後に残ったのを見て、やっと間違いに気づくことができたみたいな、そういう細かい誤りなのだ。
下に落ちた文字は、なめらかでふふわしたキメの細かい完全なもの。
校正って、手作業のような、工作のような心地よさがある。
3時に、編集さんがいらしてお渡しする。
これで、いよいよ手が離れました。
こういうの、「脱稿」というらしい。
明日の収録用の買い物に行ったり、荷物をまとめたり、あちこちワックスを塗ったり。
夕方、暮れかかっている中で、ガラスも磨いた。
あんまりよく見えないけど、陽に焼けないし、涼しくて丁度よかったな。
夜ごはんは、かき揚げ蕎麦(ほうれん草のっけ)、たたき胡瓜の梅和え、お刺し身盛り合わせ(たこ、カンパチ、コンニャク〕、冷やっこ。
明日は清水農園で収録なので、ちょっとワクワクしている。
夏野菜をいろいろ採らせてもらうのも、ひさしぶりでとっても楽しみ。
梅酢が上がってきてるから、赤紫蘇も収穫させてもらおう。
今夜は早めに風呂に入って、前回の『きょうの料理』のビデオの自分を見、テレビ向きの精神状態にして、早く寝よう。

●2006年7月3日(月)曇りのち晴れ

今日もまた、雑巾がけから始まった。
1時からはテレビの打ち合わせ。
雷がゴロゴロ鳴って、薄暗くなってきたかと思ったら、ザーッとにわか雨が。
最後は天気雨になり、雨が上がりの気持ちいい晴れ間が広がった。
こういうのが夏の好きなところ。
潔くて後くされがない、気持ちのさっぱりした市場のおばちゃんみたい。
さて、今日と明日は、テレビの収録の準備にすべてを使おう。
あちこち掃除をしたり、買い物に行ったり、頭をまとめたり。
精神統一っていったらすごくオーバーだけど、なんとなくテレビのテンションに自分を持っていく感じ。
夕方、買い物に行く。
「東急」で、築地のお寿司屋さんと、京都の卵焼き屋さんの出店が出ていたので、思わず買う。
夜ごはんは、ばら寿司、だし巻き卵、焼き茄子、小松菜と水菜のおひたし、めかぶのヌルヌル(昨夜の残り)、豆腐のおすまし。
私としては手抜きの夜ごはんだったのだが、スイセイは、「今日が誕生日みたいじゃの」と喜んでいた。
夜、『たべるしゃべる』の最後のゲラが届いた。
テレビの収録モードに入る前に、大事なもうひと仕事がありました。
早めに風呂に入り、アイスコーヒーを飲みながら、もういちど集中して読み始める。

●2006年7月2日(日)雨のち曇り

昨夜は、倫ちゃんの夢をみたな。
どこかに一緒に行くんだけど、途中で私ひとりになり、道に迷ったりした。
きっと、寝る前に『りんこ日記』を読んだからだ。
もったいないから、少しずつゆっくり読めばいいのに、ついダーッと最後まで読んでしまった。
パリ、ニューヨーク、イタリア、ソウル、スイスやら、出掛けては帰ってきて、また出掛け、とても忙しく、濃い時間だった。
今日は、昨日よりもっと涙もろい天気。
しかも、シャワーみたいにたくさん降る。
でも、風があって空は明るめ。
お昼にまたお茶漬けを食べ、台所の掃除に精を出す。
タイルの壁やら、ガスレンジや、鍋磨きやら。
そろそろテレビの収録があるので。
4時半にはひととおり終わった。
指先はしわしわだ。
でも、晴れ間も出て、雨上がりのいい風が吹いています。
さて、シャワーを浴びて、買い物行って、『まる子』と『サザエさん』だ。
『サザエさん』で七夕のことをやっていて、ふと、スイセイの誕生日が今日なのを思い出した。
ぎりぎりセーフだ。
急いで「おめでとう!」を言いに行き、食べかけのチョコボールをあげた。
夜ごはんは、金目鯛の煮つけ、めかぶとオクラとみょうがのヌルヌル和え、トマト、ポテトサラダ(スーパーの)、ゴーヤ(清水さんの)とピーマンの炒め煮、玄米、味噌汁はなし。
金目鯛がとてもおいしく、残った骨と煮汁にお湯を注いで、骨湯にした。
味噌汁を作らなくて大正解のおいしさだった。

●2006年7月1日(土)曇り時々雨

今日は、涙もろい人の天気。
明るく曇っているのに、ふとした拍子で、ポツポツと降り始める。
泣きやんだかなと思ったら、また降っている。
お昼に、お茶漬けをサラサラ食べる。
みどりちゃんにもらった「まつのはこんぶ」と、エバ子の京都土産のしば漬け、小梅のカリカリ漬けで。
食べ終わったスイセイは、「さーて、今日もまた事務をやるどー。ジム・キャリー… 」と 言いながら部屋に入っていった。
私は、原稿書き。
この秋に、『フィッシュマンズ全書』という本が出るのだそうで、そこに寄稿する仕事がきているのです。
おととい、夢の中で書いていた文は、けっきょくボツにした。
窓を開け、機嫌よく書いていると、秋みたいに涼しい風が入ってくる。
もう少しで仕上がりそうだから、あとで、倫子ちゃんが送ってくれた日記の本を読もう。
『りんこ日記』。
装丁が白っぽい。
倫子ちゃんて、私も白だと思っていた。
湯気とか、雲とか、雪とか、なんか無垢なもの。
私はたぶん、生成りとか茶色だろうと自分で思う。
小さくて、ちょっと縦長で、紙が薄べったくすべすべした感じも、倫子ちゃんのイメージ。
装丁はアリヤマ・デザインだ。
さっすがだなーと、とても感心しました。
『りんこ日記』、夕方の光の中、寝ころんで読み始めた。
凸版印刷の渡辺さん(たぶん職人のおじさん)が、「この色、好きだよな、倫子ちゃん。な、わかってっから」。
と言うところで、ぐっときた。
木内さんという人が、倫子ちゃんの出来立ての写真集を見ている場面でも、ブハッと涙が吹き出した。
1日いっこの小さい写真と、長かったり、ひと言だったりする倫ちゃんの言葉は、ときどき痛い。
過ごしてきた人の日々を読むのって、薄いページをめくるように、儚なくて切ない。
ホームページでいつも読んでいたのに、本になると、またぜんぜん違う空気が伝わってくるし、初めて読んだような気がした。
肌に直接きて、内蔵にしんみり入ってくる感じ。
きっとこういう伝わり方をするのは、装丁の力もうんとあると思う。
本という物質は、本当にありがたい物だなあ。
夜ごはんは、海老とピーマンの炒め物、人参塩もみ、水菜とみょうがのサラダ、陳さん印の焼売、にらの味噌汁、玄米。



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