2007年8月上

●2007年8月10日(金)快晴

鼻水は、起きてすぐに出るけど、あとは止まっている。
今日もまた、あっついな〜。
夏ってこんなんだったっけと、毎年思う。
毎日いい天気で、毎日同じような暑さで。
食べるものも、そうめんやら胡瓜やトマト、わかめを冷やしたのや、代わり映えしなっくて。
でも、同じ一日なんか、ありえないんだけど。
これが永遠の夏。
そしてそこがまた、夏のいいところ。
暑いから、スイセイと話していても、細かい話題や暗い話題はよけて通る。
ラジオをつけると、クラッシックがかかっていて、暑っくるしい。
夏は、ハワイアンがいちばんぴったりくる。
ハワイアンって、どこかから、涼しい風がふら〜っと吹いてくる。
というわけで、梅干しの世話をしたり、ゆかりをすり鉢ですって作ったり。
クーラーはつけずに、汗をかきながらやる。
ふと思いついて、保冷剤をタオルで包み、首に巻いてみた。
5時から外で打ち合わせなので、夜ごはんがてら、牛丼を試作する。
いつも作っている汁だく牛丼の味を思い出しながら。
牛丼て、あんまり上等なお肉で作らない方がいいみたい。
打ち合わせは1時間ほどで終わり、7時前に帰ってこれた。
電車の冷房が、すごく寒かった。
打ち合わせに出掛けてみて、今日は通勤の人たちの1日を想像した。
皆、たいへんだなあ。
それをスイセイに言ったら、「それもそうじゃけどの、今いちばんたいへんなのは、炎天下で働かんにゃならん人よ」。
夜ごはんは、シュウマイ(崎陽軒の)、ゴーヤとみょうがと胡瓜のサラダ、たこブツ、冷やしトマト、わかめのおひたし、牛丼、焼き茄子の赤だし。

●2007年8月9日(木)快晴

昨夜は薬を飲んで寝た。
けっこうスッキリしているので、普通に起きる。
鼻水はまだ出る。
風邪というよりは、鼻がムズムズして鼻水が出る。
花粉症みたいな感じ。
でも、気持ちは元気。
暑いさなか、窓みがきをやった。
美容院にも行った。
帰ってから、試作をひとつやって、夕方の散歩。
スイセイと並んで、ぽつりぽつりと喋りながら歩いた。
最近、夕方の外というものを満喫している。
オレンジ色のスジが浮かぶ空や、涼しい風や。
腕を直角に曲げて、汗ばんだわきの下に風を通す。
この気持ちよさは、走ったり、歩いたりして汗をかき、ほどよく体がくたびれないと味わえない贅沢なこと。
帰ってからのお風呂がまた、超気持ちいい。
細かいことは考えず、あとくされのない感じ。
好きだなあ。
夜ごはんは、ドライカレー(目玉焼きのっけ)、サラダ(セロリ、ロメインレタス、ルッコラ)。

●2007年8月8日(水)曇りのち晴れ

早起きして、大豆をゆでたり、掃除をしたり。
11時から撮影。
そろそろ皆が集まってきます。
本の撮影のポラが、壁にずらっと貼ってあるけれど、そのままにしてある。
いつものメンバーだし、料理は1品なので。
皆、遠慮してあまり見ないようにしていた中、ヒロセだけはじーっと眺めていた。
日置さんの写真だというのを、私が言う前から分かっていたらしい。
部屋に入って、しばらく出てこなかったのが、なんだか私は嬉しかった。
ヒロセは、長いこと日置さんのアシスタントをしていたのです。
12時には終わり、いつものように皆でお昼ごはん。
撮影の料理が玄米チャーハンだったので、私は簡単なサラダを作り、鷲尾さん(編集者)が自宅で作ってきてくれたサツマ芋のレモン煮を、デザートでおいしくいただいた。
川原さんは今日、ちょっとだけ遅刻した。
私たちは、打ち合わせやら準備をしているからぜんぜん大丈夫なのに、「すみません。遅れました」と、ひとりひとりに謝っていた。
いかにも、この炎天下を自転車で突っ走ってきましたっていう汗だらだらの様子で。
様子を聞いたら、何か忘れものをしたそうで、途中でひき返し、自転車を「かっ飛ばしてきた」そうだ。
この撮影は、NHK「きょうの料理」テキストの連載です。
先月の撮影の様子を、「きょうの料理」のホームページに鷲尾さんが書いてくれたそうなので、よろしかったら見てください。
毎月、メンバーが集まって、1品か2品ずつのんびりとやっています。
*きょうの料理テキストのサイト
そういえば、今流れているウーロン茶のCMに、料理班で参加しました。
その時のことを、サントリーのホームぺージ(めにうから飛べるようになっています)に書きました。
夜ごはんは、豚肉のしぐれ煮ご飯、ミニトマト、白菜とクレソンのサラダ、おぼろ豆腐(柚子こしょう)、茄子といんげんの丸煮(冷やして)。
撮影が終わり、雑誌などめくりながらくつろいでいたら、たらたらと鼻水が。
夕方、走りにいった時にも、鼻水を拭きながら走った。
夜になって、どうも怠いので熱をはかると、7度2分。
風邪でもひいたのだろうか。

●2007年8月7日(火)晴れ

高いはしごに登って、水色のつなぎを着たおじさんが、木の枝を切り落としている。
うちは3階なので、部屋の窓からちょうど目の前に見えるのだけど、おじさんはぜったいにこちらを見ない。
同じ人かどうか分からないけど、毎年、この暑い時期に枝を切り落としてくれることを、とてもありがたく思う。
そして、部屋の中をぜったいに覗いたりしないのにも、毎年感心する。
朝ごはんを食べ、スイセイと打ち合わせ。
あれよあれよという間に、大きな仕事がたまってしまった。
全部が心からやりたい仕事だし、すぐにできるようなことでもない。
ひとつひとつに、たっぷり時間をかけてやりたい。
スケジュール調整をやって、ちょっとひと安心。
明日はひさびさにNHKの撮影なので、今日もまた、一歩一歩始めよう。
夕方、涼しくなってから図書館&買い物へ。
帰り道、夕陽が落ち始め、欅並木のところで蝉がいっせいに鳴いていた。
帰ったら、スイセイが留守だった。
こんないい夕方に、ひとりで走りにいくなんてずるい。
私もすぐに追いかけるが、もう帰ってくるところで出くわした。
仕方がないので、ひとりで走る。
夜ごはんは、冷やしトマト、もずく、おぼろ豆腐、姫サザエの塩ゆで、サラダ(水菜、レタス、胡瓜、ポン酢醤油+ごま油+かつおぶし)、焼き茄子、玄米チャーハン。
今日は一日中、鼻血が出そうな、のぼせているような、血が昇っているような変な感じだった。
暑いからだろうか。

●2007年8月6日(月)快晴

あまりに暑いので、洗濯物は部屋の中で物干しハンガーに干してから、ベランダに出す。
ベランダのすのこは、焼けるように熱い。
大家さんの木、どんぐりの実がなり始めているのを発見。
ベレー帽もまだ白っぽく、黄緑色もクリンと固く、小学生のどんぐりだ。
そして、ミニバラはもうひとつ蕾をつけている。
こんなに暑いのに、えらいもんだな。
梅干しの土用干しも、今日で終わりになりそうだ。
今年は、半分を赤梅酢に漬け、残りは白梅のままでやってみようと思う。
さーて、今日からまた、レシピ書きと試作を頑張ろう。
夜ごはんは、地鶏のすき焼き(地鶏、舞茸、麩、焼き豆腐、水菜、白菜、白滝)、冷やしトマト、枝豆。

●2007年8月5日(日)快晴

梅干し、塩の点々が吹き出してきた。
これが土用干し完了の合図なので、出てきたものから梅酢にもどす。
この暑さで、残りのもどんどん乾くだろう。
夏も本番だな。
洗濯物を干していたら、隣のマンションの上の方から、津軽三味線の練習の音が聞こえてきた。
夕方によく聞こえてくることがあるけど、今日は朝からやっている。
これがまた、プロ並みに上手なのだ。
っていうか、本物のプロなのかも。
蝉時雨と津軽三味線の音が、競争している。
そして今朝は、嬉しい宅配便が届いた。
「エゾアムプリン」だ!。
うわ〜〜〜い。
近所の皆にも食べさせてあげてと手紙に書いてあったので、リーダー&ナツコのとこ、ちよじ&ヤーノのところへ配達に、スイセイはいそいそと出掛けていった。
今日は皆で、「エゾアムプリン」祭りだ!。
夕方、スイセイに誘われて、ひさびさに走りに行った。
汗をたっぷりかいて、風呂上がりに『サザエさん』を見ながら、洗濯物をたたむ。
夜ごはんは、カレーライス(この間の塩豚スープの残りで)、サラダ(キャベツ、人参、玉葱)。
食後に、畳の部屋でテレビを見ながら、プリンをちょっとずつ食べた。
「ほ〜、やっぱりうまいのう」「う〜ん。やっぱ、おいしいねー」と言い合いながら。
焼き皿のまわりのクッキーみたいにじっとりしたところとか、表面の茶色い香ばしいところとか、中のねっとりしたとことか、食べるごとにいろんな味わいがある。
はちみつのおいしい味もするし、牛乳のおいしい味もちゃんとする。
アムプリンの牛乳は、搾りたてのを買いに牧場に行っているから、夏の牛乳と冬の牛乳では脂肪分の多さが変わるんだそう。
夏は、あっさりめになるそうだ。
そういえば中の方の味が、スッキリとなめらかかも。
冬は牛も太るから、脂肪分が増えて濃厚になるんだって。
それを聞いて、「へえ〜〜」と私は感心した。
魚といっしょなんだ。
鰯とか、鰹とか、イカも、季節でぜんぜん味が違うものな。
人間だって、暑いのは牛といっしょだから、夏に食べたいくらいの味の、ちょうどいいプリンが自然にできるなんて、便利だなあ。
私は、明日から、また少しずつ食べられるのが、すごーく楽しみ。
*エゾアムプリン

●2007年8月4日(土)快晴、ものすごく暑い

朝起きて、洗濯。
強烈な陽射しで、ベランダのすのこもアッチッチ。
梅干しもよく乾きそう。
「アッチー!アッチー!」と言いながらつま先で立ち、洗濯ものを干した。
桃をむき、そうめんを食べたら、あとはひたすら布団にはりつく。
二日酔いなので。
昨日は、ドライブがとても楽しかった。
スイセイの運転の仕方を、私はとても好きだった。
スイセイは、「すんません。お先に失礼します」とか、「いちど止まって、ここで、右、左」とか、「ほいじゃけど、ここで曲がらしてもらいますよ、っと」とか、独り言を言いながら運転していた。
初めは私も隣で緊張し、いきなり車が出てきたり、自転車の人が車道を走っていたりするたんびに、「ハッ!」とか、「ビックリしたー!」と、口の中で言った。
声に出したり、大声になったりすると、スイセイの運転の邪魔になると思って。
カーナビの使い方もよく分からなかったけど、私たちには目的地などないから、現在地だけを確認しながら、景色のよさそうな道を走った。
時々、方向を間違えたり、行き過ぎたりするたんびに、道路の端っこに車を停めては、本の方の地図でスイセイが確認する。
間違えたら、また戻ってやり直せばいい。
そういう時に、スイセイはイライラしないし、カッコつけたりしない。
同じ道をぐるぐる回っても、それもなんだかおもしろい。
コンビニの駐車場に車を停めて、トイレを借りたり、お茶を買ったり。
そういういちいちが、全部おもしろかった。
多摩川を遡って、水源地のところまで着いた時には、晴れ晴れとした気持ちになった。
冷たい水に足を浸けたり、顔や首を洗ったり。
ゴーゴーと流れる水音を、ずーっと聞いていたかった。
今まで、何も考えずに車に乗っていたけど、運転というのは大変なことなんだなーと分かった。
スイセイは、車と自分との間に厚めのゴムが挟まっていると言っていたけど、運転するにつれて、自分の体が車と重なっていったそう。
そういうこともまた、興味深い。
実家の方では、男の子が免許をとるのは当たり前のことだったから、高校生の時につき合っていた子も、普通に車に乗っていた。
だからデートの時は、私も当たり前のようにして隣に乗った。
「白糸の滝」とか「朝霧高原」とかに連れていってもらった。
けど、私は車なんかちっとも好きじゃなかった。
狭いし、空気がこもるし。
景色だって、別にたいしたことないし。
今思うと、本当には車に乗っていなかったんだなと思う。
そういうムードみたいなものに、乗っていただけだ。
この歳になって、やっと車のおもしろさやすごさが分かった。
まるで、うちのリビングにいる時のくつろいだ気持ちのまんま、移動する景色が眺められるなんて。
寝転がったまま、外の景色を体感できる、実物版ハイビジョン映像みたい。
最近、飛行機にちょくちょく乗るようになってから、飛行機のすごさも分かった。
山々の濃い緑や、蛇みたいな河の流れ。
はるか下で暮らしている人間たちの営みを、シャンパンなど飲みながら、味わい、感じることができるなんて。
リクライニングシートにうずもれたまま、雲海の上の、生きているのと死んでいるの境目みたいな、あんな儚い世界を移動できるなんて。
車も、同じようにすごい。
両方とも、命と引き換えで、尊いものを味わえる。
夜ごはんは、冷や汁(白ごま、豆腐、味噌、青じそ)、ゴーヤと豚こまの味噌炒め(柚子こしょう風味)、人参の塩もみ、納豆(私だけ)、玄米。

●2007年8月3日(金)快晴

早起きして、サンドイッチを作った。
今日は、レンタカーを借りて、初ドライブです。
車の中にいる自分を空想しながら、必要そうなものをカバンに詰めている。
おしぼりとか、首に巻くものとか、帽子とか。
では、行ってきまーす。

●2007年8月2日(木)曇りのち晴れ

朝方、シャワーのような雨が降っていたようだけど、今日もまたいい天気。
東京は、昨日やっと梅雨明けしたそうだ。
梅干し干し日和が続いています。
スイセイは、朝から部屋の片づけをしている様子。
私はこづかい帳をつけたり、スープを煮込みながらレシピ書きをしたり。
夜ごはんは、塩豚と野菜のスープ(キャベツ、にんじん)、南瓜のおかか煮、たたき牛蒡、刺し身こんにゃく、冷やご飯。
夜、風呂上がりに窓を開けると、青黒い空を雲がぐんぐん流れている。
気がつくと、いちめんに雲だらけになった。
よく見ると、雲だらけのまま流れているみたい。

●2007年8月1日(水)晴れ

あれよあれよという間に7月が終わり、やっと夏らしい日々がやってきたかと思ったら、もう8月だ。
新しい布団は、とても気持ちがよかった。
今まで、せんべい布団すぎて、仰向けで眠れなかった。
夜中に何度も目が覚めて寝返りを打っていたことが、新しい布団になって分かった。
昨夜は、ほとんどぐっすりだった。
あちこち掃除をしたり、梅干しを干したり。
今年の梅は、赤じそが少なめだったので、下の方は茜色くらい。
でも、干している間に、にじわじわと紅色に染まってきている気がする。
大きさもほどよく、とても愛らしい。
レシピ書きの続きをやり、3時から打ち合わせ。
編集の方おふたりと、『ブローチ』の渡邊良重さんがいらっしゃった。
ここにはまだ詳しくは書けないけれど、新しい仕事が始まります。
終わってから、街へ買い物。
スーパーから出たら、もう薄闇だった。
いくスジも広がる茜色の雲に向かって、自転車をこぐ。
夜ごはんは、混ぜご飯(ひじき、干し椎茸、にんじんん、ひき肉、いんげん)、いかの刺し身、目鯛の刺し身、冷ややっこ、小松菜おひたし、胡瓜もみ、焼き茄子の冷たいおすまし(昨夜の残り)。
なんだか、夏祭りみたいな献立だった。
これで枝豆でもあったら、まさに花火大会の夜だ。
混ぜご飯とお刺し身と冷ややっこのせいなのか。
土用干しの梅干しが、ざるのまま食卓にのせてあるからなのか。



日々ごはんへ めにうへ