2022年     めにうへ

●2022年12月30日(金)快晴

陽の出とともに目覚め、枕もとの母の絵に向かって、「お母さんのところに行くよ」と声をかけた。
帰ってきたときに気持ちがいいように、あちこち掃除。
洗濯もした。
今朝の海も金の鏡だ。
さて、そろそろ出かけよう。
神戸のひとりの年越しも、静かで大好きなのだけど、今年は久しぶりに帰省することにした。
母が逝った年に帰ったのが最後だから、3年ぶりになるのかな。
1月は原稿書きの仕事が詰まっているので、お正月中も仕事をしたいし、日記も書きたいのでパソコンを持っていく。
だから、いつもはリュックなのだけど、スーツケースにした。
ゴロゴロと大きな音をさせながら転がして、坂を下りた。
母の看病で通っていたときにも、よくこのスーツケースで往き来していた。
目の前は、金色に光る海。
振り返ると、紅葉が終わりかけの山。
バスに乗っても、左を見れば光る海、右には山。
私は、ひとつ手前の停留所で下りそうになって、「新幹線の駅はここですか?」と運転手さんに確認した。
そしたら、下りるときに「そこの高層マンションの角を入ると、新幹線の駅まですぐです」と、親切に教てくださった。
私は本当に、いいところに住んでいるな。
「ひかり」号はとても空いている。
3人席にひとりで座って、こうして日記を書いている。
14時くらいに新富士駅に着いたら、みっちゃんが車で迎えにきてくれる。
いちばん上の兄の息子、力土(りきと)が29日から泊まりにきているそうで、ひさしぶりに会えるのも楽しみ。
力土と最後に会ったのは、確か3、4歳のころだったから、20年ぶりになるんだろうか。
大きくなっただろうな。
夜ごはんは、中学時代の同級生、坂本君がやっているイタリアンレストランで、みっちゃん、力土と。
ミックスサラダ、サーモン(富士産)のカルパッチョ、ムール貝のワイン蒸し、フォアグラのパテ、パスタ・アラビアータ、ゆで立てハーブソーセージ、ピザ(トマトソース、自家製ベーコン、椎茸)、白ワイン。

●2022年12月27日(火)曇り一時晴れ

10時に起きた。
ぐっすり眠って、目が覚めたらもうこの時間だった。
まだまだ眠れそうな感じ。
きのうの夕方に、中野さん宅から帰ってきた。
六甲駅でタクシーを待っているときにはけっこう寒かったのだけど、部屋の中に入ったとたん、温かくて驚いた。
そして、祭壇の母のお水が干上がっていた。
ごめんね、お母さん。
ここは、そんなに乾燥しているんだな。
中野さんちでは、楽しいことがたくさんあった。
毎年、そう思っているかもしれないけれど、今年がいちばん楽しいなあと思った瞬間があった。
なんか、じんとした。
今日は、どうしてもやらなければならない仕事があるので、落ち着いたら日記に書こうと思うのだけど……忘れないうちに、ひとつだけ。
今年のクリスマスプレゼントは、ユウトク君には『だれも知らない小さな国 コロボックル物語1』を、ソウリン君には「世界一周かるた(双六つき)」をあげた。
ユウトク君はあまり本を読まないみたいだから、どうかなあと思っていたのだけど、包装紙を開いて本が出てきたとき、一瞬だけ顔が輝いた。
その場で本を開き、真剣な顔でページをめくって、挿絵を見たりしていた。
夏に、庭を見ながら、コロボックルの話をしたことを憶えていたのかな。
そのあとで、「なおみさん、めーつぶって、くちあけて」とユウトク君に言われ、その通りにして待っていると、口の中に小さなビスケットを入れてくれたのだった。
ソウリン君も真似をして、「なおみさん、めーつぶって、手え出して」と言った。
そしたら、きらきら光る、ピンクの小さな丸い飾り(あとで中野さんに伝えたら、この間道で拾ったものらしい)がのっていた。
そのあとも、ユウトク君が同じようにして石をくれたり、銀色の丸い物をくれたり、キラキラ光るガラスの滴(お兄さんが言うには、それはプラスチック製で、前の家についていたシャンデリアから落ちたものだそう)、小さい懐中電灯みたいなもの、スーパーボールもくれようとした。
ソウリン君は、ポチ袋に入った、家の形に小さく折り畳まれた紙や、自分のおやつのキャンディー。
懐中電灯とスーパーボール以外はすべてもらって帰り、母の祭壇に供えてある。
中野さんちは、ものすごく寒かった。
このところ六甲も寒かったけど、比べものにならない寒さ。
きーん、しーんとした空気が気持ちよかった。
クリスマスの次の日だったかな、中野さんとユウトク君と自転車でいつもの池に行った。
帰りに、ユウトク君が畑の道で待っていてくれたとき、思い切り体を反らせ天を仰いでいた。
自転車の後ろの荷台にヘルメットの頭をつけ、Uの字になって。
空を見ていたのかな。

朝ごはんを食べて、洗濯。
ゆっくり、ゆっくり動く。
留守の間にいただいていた村上さんからのメールを確認し、『帰ってきた 日々ごはん⑬』と『暦レシピ』の原稿の質問にひとつひとつ答えていった。
午後にもまた続き。
村上さんと電話で相談。
そのあとようやく落ち着いて、「となりのオハコ」のエッセイの続き。
半分くらい書けたみたい。 
続いて、「きょうの料理」のレシピ書き。
六甲は今日、とても暖かい。
2階の窓を開けていても、大丈夫なくらいに。
太陽が沈むころ、ぐんと寒くなった。
それでも、電気ストーブさえつけていたら、温かく過ごせることのありがたさ。
夜ごはんは、ハムと水菜の炒め物、はんぺんのかき玉汁(ゆうべの残り)、蓮根と鶏肉の炒り煮(いつぞやの)、おにぎり(野沢菜ふりかけ)。
明日は、お姉さんたちの家族を新神戸駅まで送りがてら中野さんが車でいらっしゃり、1泊するとのこと。

●2022年12月23日(金)ぼんやりした晴れ

6時前に起きた。
寒い、寒い。
まだ暗いので、電気をつけて英語のラジオ。
カーテンをめくると、曙の空。
雲が紅い山脈みたいになっていた。
明るくなって分かったのだけど、うちの前の建物にうっすらと雪が積もっている。
初雪だ。
朝風呂から出たら、ラジオでクリスマスの音楽をやっていた。
ウィーン少年合唱団が「きよしこの夜」を歌っているとき、太陽の光の梯子が海に広がり、金色に輝いた。
そのあとで、女の人の「アベマリア」。
曇っているくらいの方が、海の金色は輝く。
今年もまた、中野家でクリスマス。
洗濯物を干したら、そろそろ出掛けよう。
美容院と図書館、今日子ちゃんがメロンをくださるそうなので「MORIS」にも寄って、行ってきます。

●2022年12月21日(水)晴れのち曇り一時雨

6時前に目覚め、英語のラジオの学習。
今朝は、クリスマスに雪が降った話だった。
寒いし、まだ暗いので、ラジオを消してゆらゆらと二度寝し、7時に明るんできたので起きた。
陽の出は今朝も、大阪の生駒山の上から。
パジャマのまま、ベッドの上で編み物をはじめた。
今日は私の休日だから。
きのうは『暦レシピ』の校正ゲラを送り出し、「MORIS」に寄ってりうの蓮根をおすそ分けし、三宮に行ってお目当ての毛糸を買ってきた。
だから、部屋にこもって編み物。
今日子ちゃんにいただいた、たまらなくおいしいブラウニーもある。
なんという贅沢。
朝ごはんを食べ、窓辺の腰掛けで編み物。
ラジオでは、ユーミンの懐かしい曲がかかっている。
ユーミンて、どうして年末の感じがするのだろう。
曇ってきた。
対岸に霧が出ている。
黄色いのは、黄砂だろうか。
お昼も夜も、ゆうべのお鍋の残りがあるので、味を変えて楽しむつもり。
今日は編み物だけしていよう。
空模様はめまぐるしく、晴れたり曇ったり、とちゅうでしっかりとした雨も降った。
一日中窓辺に腰掛け、眩しいのをよけて椅子の位置を替えながら、そして、間違えてほどいたり、また編み直したりしながら。
年末の幸のような日。
夜ごはんは、白菜と豚肉のミルフィーユ鍋にいろいろ加えたお鍋(大根おろし、酒粕、白味噌、細ねぎ)、蓮根の炒り煮(鶏肉)。

●2022年12月19日(月)快晴

なんと、9時半に起きた。
6時前に目覚め、ラジオの英語は聞いたのだけど、また、そのまま寝てしまった。
ベッドに敷いたふかふかマットが温かく、放っておいたらいくらでも眠れる。
きのうは『暦レシピ』がかなり進んだから、脳みそも首もコリコリで、寝る前にしっかりめにストレッチをしたのがよかったのかも。
朝ごはんのとき、海の鏡がまん中へんにきていた。
一面金色。
眩しいのだけどつい見てしまい、目を逸らすと、黒い残像が見える。
目にとっては、あんまりよくないんだろうな。
でも、冬の海のこの光は今しかないから。
今年もりうから茨城のレンコンが届いた。
今夜、食べよう。
さて、『暦レシピ』の続き。
きのうは8月まで終えたので、9月から。
あと、4ヶ月だ。
そうか。
夏が終わると、あっという間に冬になるなあとつねづね思っていたけれど、年末まで4ヶ月しかないのだな。
そりゃあ早いわけだ。
夜ごはんは、蓮根づくし……煮物、じりじり焼き、すりおろしのお焼き、ご飯はなし。

●2022年12月16日(金)晴れときどき曇り

朝ごはんを食べてからは、『暦レシピ』の校正にずっと向かっていた。
お昼ごろ、村上さんとお電話にて確認ごと。
1時間近く話していた。
なんだか、村上さんが近所に住んでいて、呼んだらすぐに自転車で駆けつけてくださり、隣に座って打ち合わせをしているような、そういう近さがあった。
iPhoneのおかげで、電話の声がくっきりしているせいもあるだろうけれど、打てば響くような受け答えをしてくださるから。
ここ何ヶ月もずっと、『暦レシピ』という、まだ形にならない本の霊みたいなものをふたりで共有しているからだ。
電話を切って、続きをやっているうちに、また相談したいところが出てきた。
あとで、5時半くらいにお電話をくださるとのこと。
ふー。
ありがたいなあ。
今気づいたのだけど、日めくりカレンダーがきのうのままになっている。
祭壇のお水もかえてない。
ごめんね、お母さん。
遅くなったけど、これからかえるね。
明日は朝早くから、「となりのオハコ」の取材で奈良に出かけるので、いそいそと支度する。
雨みたいだし、寒いかもしれないな。
夜ごはんは、お昼ごはんに詰めておいたお弁当(ちくわの蒲焼き、ソーセージ炒め、蕪の葉のマスタード炒め、チーズ入り甘い卵焼き、たらこ)、赤蕪&白蕪の塩もみサラダ(ディル、フレンチマスタード、マヨネーズ)、ゆうべのお味噌汁(ねぎ)。

●2022年12月15日(木)快晴

7時半に起きた。
今朝の海も、光のたまり場になっている。
10時を過ぎたころ、台所から眺めていたら、一面が金色に見えた。
火曜日の夕方から中野さんと過ごし、さっき、早お昼を食べて帰られた。
ポストまでお見送り。
せっせと坂を上って帰ってきた。
お昼には、海老とたらこのレモンバタースパゲティーを作った。
海老はお刺身用を買ったので、レモンと塩でマリネしておいて、軽く火を通しただけ。
バターソースにレモンの皮をすりおろし、仕上げにディルと青ねぎをたっぷり刻んでからめたのも大正解だった。
こういうの、もういちど作ろうと思っても、二度とできないんだろうな。
さーて、宿題をがんばろう。
何はなくとも、『暦レシピ』の校正。
もう、何度目の校正になるんだろう。
日が暮れて、ぐんと寒くなってきた。
夜ごはんは、海老の頭でとっただしの味噌汁(大根、豆腐)、ハムエッグ、クレソンとミニトマトのサラダ(ポン酢醤油、ごま油、すりごま)、ゆかりおにぎり。

●2022年12月9日(金)快晴

ものすごくいいお天気。
海のまん中に、光のたまり場ができている。
きらきらちらちらちかちか。
洗濯物を干すとき、顔が暑く、眩しくて目がくらんだ。
今朝は7時少し前に、霧のベールをかぶった太陽が顔を出した。
大きくてまん丸い、ぽっかりとしたオレンジの玉。
まだ暗かったけれど、ラジオをつけてみたら、「古楽の楽しみ」をやっていた。
バッハのクリスマス・オラトリオ。
6時から英語を聞いて、空がだんだん明るんできて。
曙の時間もとてもきれいだった。
ゆうべ寝る前に読んだ『しろいゆき あかるいゆき』がとてもよく、ベッドの中でまた読んだ。
いいなあ。
ほしいなあ。
買おうかなあ。
そして、二度寝した。
朝の陽射しを浴びながら、毛布をかぶってうたた寝するのがたまらなく、やめられない。
けっきょく8時に起きた。
さて今日は、「おまけレシピ」の試作とレシピ書き。
夜ごはんは、土鍋肉豆腐(牛コマ切れ肉、舞茸、しらたき、絹ごし豆腐)、大根の塩もみ(塩桜風味)、キムチ、海苔、ご飯。
明日は、つよしさんと、「アラウンド・コーヒー」という、出張珈琲屋さんのイベントで、『ふたごのかがみ ピカルとヒカラ』の朗読をする。
寝る前に練習しておこう。

●2022年12月8日(木)快晴

6時50分に起きた。
やっぱり、太陽が昇ってからでないと起きれない。
きのうも英語のラジオが聞けなかったので、夜9時に聞いた。
朝ごはんを食べ、「毎日のことこと」の校正をし、お戻しした。
さて、今日の仕事はひとまずおしまい。
ひさしぶりに街へ下りよう。
美容院と、淡河生活クラブ。
図書館にも行って、コロボックルの次の巻と、クリスマスの絵本を借りてこよう。
「MORIS」にも寄ろう。
今日子ちゃんとヒロミさんは元気かな。
風もなく、海がぼーっと発光している静かな日。
ラジオからはユーミンの懐かしい曲が流れている。
なんか、クリスマスが近い感じ。
6時前に帰ってきて、すぐに夜ごはんの支度をした。  今日子ちゃんもひろみさんも、とても元気だった。
それぞれが話したいことをいっぱい話して、3人で笑い合った。
なんだか、親戚の家みたい。
クリスマスの物語ではないけれど、『しろいゆき あかるいゆき』という絵本を借りてきた。
あと、コロボックル物語の3巻『星から落ちた小さな人』。
寝る前に読もう。
夜ごはんは、お味噌汁の残りでスンドウブチゲ風雑炊(キムチ、コチュジャン、牛コマ切れ肉、白菜、豆腐、卵、青ねぎ、冷やご飯)、大根の塩もみ(塩桜風味)。

●2022年12月6日(火)快晴

ひさしぶりに、6時前に起きた。
まだまっ暗で驚いた。
英語のラジオを聞いているうちに、空がだんだん明るくなってきた。
オレンジと水色。
そして、カーテンを開けたまま二度寝した。
クラシックを聞きながら、ゆらゆら。
ゆうべは、『グレーテルのかまど』を見た。
自分が映っているテレビを見るのは、どきどきする。
自分から話したことだけど、若いころの話が出てきて恥ずかしいし、年をとったなあとかいろいろ思うし。
でも、とてもやさしい感じのする、クリスマスにぴったりの番組になっていていた。
ほっとした。
朝起きたら、清里の正子さんからメールが届いていた。
とっても喜んでらした。
ああ、よかった。
いちばん嬉しい。
みっちゃんからも届いていた。
少し切なくなるような、とってもいいメールだった。
なんだか今日は、やけに海が眩しい。
空の青さが映っているんだろうか。
きのうは、「森岡書店」の展示でお貸ししていたいろいろが、アノニマの村上さんから戻ってきた。
大きなダンボール箱2つ。
小さなものまでひとつひとつ、ていねいに梱包されていて胸が熱くなった。
きのうのうちにほどいておいたので、あとであちこち掃除機をかけ、部屋に戻そう。
そして、きのうの続きの「毎日のことこと」に向かうつもり。
かなりいいところまで書けているので。
4時くらいに書けた。
今日はやけにカラスが騒がしい日だな。
夕焼けもまた、騒がしい日。
東の空には丸い月。
満月が近いんだろうか。
夜ごはんは、大かぶら煮のグラタン、小鯵の南蛮漬け、菊菜と柿の白和え、大根の塩もみ(桜の花の塩漬けで和えた)、ご飯はなし。
白和えは、ごまを切らしていたので、代わりにごま油をほんのちょっと。クリーミーで、柿にはかえって合うみたい。

●2022年12月4日(日)曇りのち晴れ

6時半に起きた。
ひさしぶりの早起き。
雲に隠れていて陽の出は見えなかったけれど、雲の間から差し込むオレンジの光を見届け、起きた。
今日は、年にいちどの検診の日。
朝ごはんを食べないから、支度がとても楽。
だんだん晴れてきた。
しばらく部屋にこもっていたから、お出かけ気分だ。
8時10分。 
そろそろ、出掛けよう。
では、行ってきます。
川沿いを歩いて行こう。
日曜日だからか、受診する方たちがいっぱいだったけれど、それほど待たずにスイスイと進んでいった。
海を見ながら血圧を計り、山を見ながら採血した。
今年は胃の検診をしなかった。
代わりに、乳がんのマンモグラフィーを受けた。
11時過ぎにはすべて終わり、また歩いた。
水道筋商店街の豆腐屋さんで、豆乳を買ったり、喫茶店でシフォンケーキを買ったり。
市場の魚屋さんではピチピチの小鯵を買った。
今日子ちゃんとヒロミさんに教わったお店で、鰆と鮭の西京漬も買えた。
川沿いに戻り、また歩く。
「コープさん」とパン屋さんで買い物。
六甲駅まで歩いて、また少し買い物。
そして、タクシー。
今日はよく歩いたなあ。
夜ごはんは、小鯵の南蛮漬け、ゴボウとちくわのサラダ(白ごま、フレンチマスタード、練り辛子。マヨネーズ、ごま油)、春菊のお浸し(ごま油、塩)、しじみの味噌汁、ご飯。 

●2022年12月1日(木)曇りのち晴れ

このところしばらく、ラジオの英語の学習を聞いていない。
今朝もまた、ラジオをつけたときにはもう終わっていた。
カーテンを開け、ニュースを聞き、クラシックを聞き、寝ぼけ眼で流れる雲を見上げ、ようやく目が覚めた。
月曜日から中野さんがいらしていた。
私は仕事(『帰ってきた 日々ごはん⑬』の校正)をし、その間中野さんは、絵本の束見本に絵を切り貼りしていた。
つよしさんの『ふたごのかがみ ピカルとヒカラ』の展示も、見にいった。
そして、きのうは朝から、中野さん宅に日帰りで遊びにいった。
神戸電鉄の車窓からは、紅葉の深い山々が見えた。
お姉さんが迎えにきてくれて、スーパーでお総菜を買い、お弁当みたいにいろいろ並べ、お昼ごはんを家族で食べた。
新しい絵を見たり、軽く散歩したり。
寒波がやってくるから、お父さんと中野さんが炬燵を買いにいって、みんなで組み立てた。
ユウトク君、ソウリン君が駅までお見送り、4時台の神戸電鉄で帰ってきた。
それだけなのだけど、なんだか胸があたたまるようなひとときだった。
六甲ではスーパーをはしごし、「おまけレシピ」の試作の食材をしこたま買って帰り着いた。
さて、今日からまた私はがんばろう。
朝ごはんを食べてすぐに、『帰ってきた 日々ごはん⑬』の校正の続き。
お昼には終わり、アルバム写真のキャプション書き。
夕方、ゲラをお送りしにポストまで散歩。
ぽつりぽつりとオレンジ色に灯る、海の灯りを見ながら坂を下った。
帰りは荷物がないのでスイスイ上れた。
それはもう、びっくりするほどスイスイ。
西の空は茜色。
白い半月が出ていた。
夜ごはんは、鶏ひき肉のカツレツ(白菜の塩もみサラダ添え、ディジョンマスタード、ウスターソース)、ほうれん草のお浸し、海苔の佃煮、ご飯。

●2022年11月25日(金)快晴

ただいま。
今はもう11時。
海のきらきら光っているところに、「おかえり」と言われている感じがする。
ゆうべは、10時くらいに神戸に帰ってきた。
東京にいる3日間は、お腹がずっと膨らんでいたけれど、家に着いたとたんに腸が動き、トイレに入ったらスーイッと出た。
自分の場所にようやく帰ってこれた。「だから、もう出てきてもいいよ」と脳からの指令が出て、ようやく体が安心し、「もういいのか」と分かったんだと思う。
そして、お風呂から出て、倒れ込むようにパタンと寝た。
深く、深く眠れた。
今朝は9時に目覚め、ベッドのなかで「森岡書店」でのインスタライブをiPhoneで見た。
前から薄々知っていたけれど、私はこんなにゆっくり喋るんだな。
ひとつひとつの質問に答えようとするとき、体をひと巡りした言葉が、脳を通って出てくるまでに時間がかかるんだと思う。
私にとってはふつうの時間の流れなのだけど、お相手が清水さんだったから、いつものままできたんだと思う。
清水さんはこちらに呼吸を合わせてくださるから。
40分の予定が、1時間以上も話していた。
そして、翌23日のトークイベントでのスイセイ。
このようにゆっくりな私など足下にも及ばないほど、もっともっと、ゆっくり。 
脳で深く考え、体をひと巡りし、また脳で反芻し、言葉が出てくるまでのじっくりとした時間。
ああ、スイセイはそうだったなと、思い出した。
一緒に暮らしていたとき、私はその時間を、待っていてあげられなかった。
それは、スイセイという心を持ったひとりの人を、体を、尊敬していなかったということだ。
6年たって私は、ようやく「待つ」ことができた。
そういうトークだったと思う。
ひさしぶりに会ったスイセイは、まったく変わっていなかった。
私は神戸に来てから、自分の体が年を重ねていることをよく知っている。
会わずにいた6年という時間。
スイセイは病気をしたから、痩せたかもしれないし、太ったかもしれない。
私よりも5歳上なのだから、それなりに年をとっているだろうなと思っていたのだけれど、そんなことはなかった。
はじめ、先に着いていたスイセイが「森岡書店」のガラス越しに見え、マスクをしていたから、そのときにはまだ分からなかった。
それに私はどきどきしていて、スイセイをきちんと見ることができなかった。
でも、そのあとで「MUJIホテル」に移動し、トークの打ち合わせで目の前に座ったとき。
いや、話しはじめたときだったかな。
会わなかった6年間がきゅーんと巻き戻され、スイセイが、私のよく知っているそのままの人になった。
あれはいったい、どういう原理なんだろう。
長い間一緒にいた人だから、だろうか。
それとも本当に、スイセイの体はまったく年をとっていないんだろうか。
そのくらい奇跡的に、変わっていなかった。
私自身は神戸に来て、心も体もうんと変わったと思う。
トークの会場にいらした方々は、私とスイセイの対話を、一心な目で見守っていてくださった。
私もスイセイも、『日々ごはん』シリーズを20年続けてこられたことの感謝を、アノニマ・スタジオと読者の方々に伝えたくて、後半はそういう話になった。
そしたら、進行をしてくださっていた村上さんの声が聞こえなくなって、見ると、マスクの上の目が泣いていた。
私ももらい泣き。
隣を見ると、スイセイがとてもやさしい顔をしていて。
また泣けてきて。
会場のお客さんたちも泣いていた。
私は最後に、20年の節目の年に気づいたことがあって、そのことを話した。
それは、このところのトークでも2度くらい話していること。
「日々ごはんは、私が生きていくために書いている。ウソを書いているわけではないけれど、私が生きたい世界を書いている。だから、自分のためで、読者のみなさんのために書いているわけではないんです」
そこまでは言えたのだけど、今朝ベッドのなかで思っていたのは、その続きの言い足りなかったこと。
(それでも、私が生きるために書いたそんな日記を、どうして書き続けられたかというと、読者の方たちが待ち望んでくださったから。そして、長い間読み続けてくださった。そのおかげで、アノニマのスタッフと力を合わせ、20年も本作りを続けることができた)
それが今朝、ようやく言葉になった。
トークに来られなかった方々にも、伝えたいです。
スイセイは話しながら汗をかき、タオルで何度も拭いていた。
そのタオルはくたびれ、薄くなって、土の色に染まっていた。
きっと、農作業のたびに首に巻き、何度も洗濯され、干されたものなんだろう。
会場が銀座だからといって、きれいなものに新調したりせずに、堂々と見せているスイセイ。
そういうところも変わっていなくて、胸に迫った。
タオルはどんなものよりも清潔で、きれいに見えた。
私は、あのタオルのこと、お客さんたちの食い入るような目、音響やカメラスタッフたちのまっすぐな目、会場に渦巻いていた熱を、忘れないと思う。
今日は、ここまでの報告で精いっぱい。
さっき、光る海を見ていたら、涙がはらはらとこぼれた。
いろいろな思いがぐるぐるしていた。
ありがたくて。
気持ちは元気なのだけど、私はとてもくたびれているみたい。
明日からまた仕事をがんばります。
夜ごはんは、お粥(卵、海苔の佃煮)。

●2022年11月20日(日)曇りのち晴れ、のち曇り

曇り空なのでまた寝坊。
部屋が暗くて、時計が見えないのが悪いのかもしれない。
6時15分前なのかな?と思ったら、9時半だった。
ゆうべは夢をいくつもみて、それにひきづられるように寝ていた。
蛇の夢もみた。
野道を歩いていたら、太くて大きな黒い蛇(ガラガラ蛇と呼んでいた)が出てきて、体に巻きついてきたので、蛇の首を私がぎゅーっと締めている夢。
ゆうべ、『コロボックル物語④ 』を読んで寝たから、そんな冒険っぽい夢をみたのかも。
朝風呂から上がると、海の光はもうまん中にきていた。
白いすじがいくつもできている。
朝ごはんの支度をしながら、台所の流しから見ていたら、白いすじが光りはじめた。
白銀。
曇っているくらいの方が、眩いことってあるんだな。
ラジオのピアノ曲にぴったりな光。
『暦レシピ』は、きのう書けたと思っていたのだけれど、まだまだだった。
また今日も、向かおうと思う。
曇り空に輝く海。
文を書くのにぴったりな日。
夜ごはんは、『ちびまる子ちゃん』を見ながら。クリームシチュー(クリームスープの残りに人参とブロッコリーを加え、シチューの素でまとめた)、人参の塩もみサラダ(玉ねぎドレッシング)、ご飯。

●2022年11月19日(土)晴れのち曇り

きのうは、区役所、図書館、美容院やらいろいろな用事をすませ、『ふたごのかがみ ピカルとヒカラ』のつよしさんの原画展が開かれている三宮のホールに出掛けた。
合唱団の先生が絵本から生まれた歌を作り、子どもたちが歌ってくださるというので。
小学1年生から5年生、高校生……背丈のいろいろな子たちが10人ほど、1列に並んでマスクをして歌った。
素直な声のハーモニーで、とてもとてもよかった。
つよしさんは、「クリスマスの夜に家々をまわって、玄関で歌ってくれる子たちみたいやった」と言っていた。
会が終わって、あたたかい気持ちで三宮の夜の街を歩き、駅前のカフェのテラスで、淡路産しらすのピザを食べた。
私は白ワイン、つよしさんは果物のドリンク。
まわりの席からは英語やスペイン語が聞こえてきて、なんだかどこかの国を旅しているみたいだった。
阪急電車のボックス席に座って帰り、ホームから手を振りながら別れたのも、なんか、すべてがよかった。
うちにこもって原稿書きばかりしていたら、出会えないような人たち、出合えないような時間だった。
今朝は、あちこちひさしぶりに掃除機をかけ、すっきりしたところで『暦レシピ』のまえがき。
午後になって雲が多くなり、いっぺんに寒くなってきた。
4時くらいに、書けたかも?!
夕方、今年はじめてヒーターをいれた。
猫森もすっかり紅葉し、窓を開けると冬の夜の匂いがする。
夜ごはんは、きのこあんかけうどん(豚肉、しめじ、おろし生姜、ワカメのせ)、ひじき入り卵焼き。

●2022年11月17日(木)曇り

6時半に起きた。
カーテンの隙間から光が漏れ、陽の出とともに目覚めると、この時間。
だから、6時からの英語のラジオがどうしても聞けない。
5時からの「古楽の楽しみ」も、もっと聞けない。
困ったものだけど、目が覚めないのだから仕方ない。
朝から『暦レシピ』の校正の続き。
ああ、やっと終わった。
村上さんがうちにいらしたのはいつだったっけ。
その翌日からひたすら向かっていたのだけれど、『暦レシピ』は日々ごはんと違って、とても頭を使う。
一日が終わると、脳みそがくたびれているのが分かる。
日々ごはんの校正は、脳みそよりも心を使う。
午前中に荷物を作って、コンビニに届けにいった。
パン屋さんでおやつも買った。
帰りの坂道は、ほとんど荷物がないのでスイスイ。
紅葉の山を仰ぎながら上った。
きのうも下りたのだけど、桜の葉っぱがさらに赤くなったような気がする。
今、ピンポンが鳴って、管理人さんがいらした。
今日からうちの建物全体に、セントラルヒーターが入ったとのこと。
今年もまた、冬支度がはじまった。
夜ごはんは、サーモンフライ(タルタルソース)、クリームスープ(いつぞやのグラタンの残りに、蒸し鶏、蕪、キャベツを加え、牛乳でのばした)、パン。

●2022年11月13日(日)曇りのち雨

朝、汽笛が3回鳴った。
薄暗いので、まだ7時くらいなのかと思ってカーテンを開けたら、もう8時半をまわっていた。
ゆうべは、ラジオの聞き逃し配信を聞いていて、それでも10時過ぎには寝たのに。
寝過ぎ!
寝ぼけ眼で窓を見たら、雲間から薄陽が差し、海に淡いスポットライトが当たっていた。
楕円形の白い光。
しんみりと光っている。
そのうちに雨。
ひさしぶりの雨。
このところ秋晴れが続いて、カラッカラに乾いていたから、海も空も木々も私もみんな喜んでいる。
ゆうべ聞いていたのは、NHK第2「カルチャーラジオ文学の世界」という番組内の、「生きていくための現代短歌」。
このところ私は、「中学生の英語1」を聞き逃すと、夜9時からの再放送を聞くようになっていて、木曜日の夜にちょっと早めにラジオをつけたら、たまたま東直子さんが短歌を詠んでいらした。
その1句と、解説の言葉が心に残り、どうしても気になるので調べてみたところ、NHKラジオの聞き逃し配信をみつけたのだった。
それは東さんの句で、第6回「命をよむ 動物とともに」の最後に出てくる。
「鳩は首から 海こぼしつつ歩みゆく みんな忘れてしまう眼をして」
海をこぼすという表現、なんていいんだろうと思った。
東さんがおっしゃっていた解説を思い出しながら、私なりにここに書いてみます。
鳩は歩くとき、頭を前後に動かしながら前に進む。
首のつけ根がカククと動き、動くたびに襟足の羽がきらりと光り、中から蛍光色のような青緑色がのぞく。
それが、東さんの記憶のなかにある海の色に似ていた。
クリッと見開いた鳩の丸い目は、あんまり何も考えていないように感じられ、あんな色を首からちらちら光らせ、あんなに綺麗なものを無頓着にこの世にふり巻きながら、街中でもどこでも、人がいてもいなくても、何も気にせず堂々とそこにいる鳩があっぱれのようにも感じられる。
みんな忘れてしまうような鳩の目。
そんな鳩を見ているうちに、主客が逆転し、自分のことになる。
いつかは私のことも、忘れられてしまう。それは切ないことです……。
と、そんなようなことをおっしゃっていた。
ゆうべは寝る前に、枕もとにiPhoneを置いて、第2回の「人生をよむ 恋と生き様」と、第3回の「人生をよむ メメント・モリ」を聞いた。
小佐野彈という方の短歌も、とてもよかった。
東さんの声はやわらかく澄んで、ほんの少しあどけなさも感じ、言葉の意味がよどみなく体に入ってくる。
ときぞき雑音が混じる、夜のラジオの声はもっといいから、来週の木曜日は「命をよむ 食と生活」を忘れずに聞こう。
さて、今日はアノニマから『暦レシピ』のゲラが届く予定。
届いたら校正に勤しもう。
ひとつひとつ読み込んで、前に進んでいくのは、雨の日にぴったりだ。
2時半。
気づけば雨はやみ、霧に包まれている。
真っ白。
音がしない。
夜ごはんは『ちびまる子ちゃん』を見ながら、生クリームと卵ソースのパスタ(リガトーニ)、白菜の鍋蒸らし煮(なたね油、塩)。
夜になって、びっくりするほどの大風。

●2022年11月11日(金)晴れ

今日もとても暖かい。
海は霞がかかり、空気中が白っぽい。
なんだか、のほほんとしたお天気。
こういうのを小春日和というんだろうな。
朝から、「気ぬけごはん」に集中。
きのう、いいところまで書けたので、もうひと息。
とちゅうで、「毎日のことこと」の校正をし、新しい頭でまた戻ってきた。
ふー。
今は2時半。
書けたかも。
気づけば、肩がコリコリ。
「暮しの手帖」の村上さんにお送りし、これから坂を下りる予定。
「MORIS」へサインをしにいく。
きのうだったかな、朝、窓を開けて布団を干していたら、それは大きな蜂が入ってきた。
足の先まで入れると、体長5センチくらい。
ブルブルいいながら床を這ったり、飛びまわっているかと思ったら、網戸に張りついてジリジリ。 
大きいから迫力がある。
窓の柵にしがみつき、こちらを見ている。
目も大きく、怖いので、しばらく放っておいた。
何度目かに2階に上ったとき、窓の方を見てじっとしていた。
私は心を落ち着け、後ろからそっとタオルで包み、ゆっくりと窓の外で払った。
すると、ブーーーンと嬉しそうに飛び立っていった。
じっとしているところを後ろから狙い、やさしく包んで放つのがコツかも。
忘れないようにしよう。
では、行ってきます。
ヒロミさん、今日子ちゃんと、お互いの近況を思う存分おしゃべりして、おいしいミルクティーとよもぎ餅をいただき、たっぷり買い物をして帰ってきた。
ああ、ひさしぶりに楽しかった。
明日からまた、家にこもって仕事をする予定。
夜ごはんは、お魚セット(「いかりスーパー」のお総菜セット。銀だら、塩鮭、大根と人参のなます、ほうれん草のごま和え、だし巻き卵)を、セイロで温めたご飯と共に、お弁当箱に詰めた。即席お味噌汁(ワカメ)。

●2022年11月9日(水)晴れ

寝坊した。
ゆうべは、なんとなくよく眠れなくて。
柱時計が1回、2回、3回、4回鳴るまで聞こえていた。
月食だったから、どこかが昂っていたのかな。
そう。
ゆうべの月食は、とてもよかった。
夜ごはんを早めにすませ、6時くらいからベッドの端にかしこまり、スタンバイしていた。
下の方がもやもやしてきて、そのうちに黒い影が、少しずつ。
私はなんとなく丸いものを食べないとと思い、アノニマの村上さんにいただいた「DEMEL」のクッキーをかじりながら見ていた。
全体が赤黄土色になってきて、途中、栗まんじゅうのようにもなった。
あれは何時ごろだったんだろう、完全に食になったとき、汽笛がヴォーーーーーッと鳴った。
厳かで、大晦日みたいだった。
その音を聞いて安心し、お風呂に入ったんだった。
今日は、朝から「毎日のことこと」と「きょうの料理」のテキスト校正。
ゆっくりと向かい、お送りした。
さて、次は「気ぬけごはん」。
この間、村上さんが打ち合わせでいらしたときに試作ができたので、あとは書くだけ。
紅茶をいれて勤しもう。
それにしても今日は暖かいな。
海の水が膨らんで、空と海の境がない。
秋だということを忘れてしまうと、春霞のように見える。
4時まで集中し、「気ぬけごはん」は半分書けた。
陽が落ちたら、急に冷え込んできた。
電気ストーブをつけて夜ごはん。
あたたかなものを。
夜ごはんは、ワンタンメン(「出前一丁」、ディル塩麹ひき肉のワンタン、煮卵、白菜)。
今夜は、ゆうべとは打って変わって、地味な満月(少し欠けているけれど)。

●2022年11月5日(土)晴れ

6時に目覚め、ラジオ。
今朝は 教会音楽の合唱だった。
天気予報を聞いて起き出した。
朝ごはんを食べ、きのうの続きの「毎日のことこと」。
海の光っているところが、だんだん西にずれていくのを、時折立って見ながら書いていた。
もしかすると、書けたかも。
2階の部屋に掃除機をかけ、衣替えもして、アノニマの村上さんが送ってくださった、「無印くらしのラジオ」の最終回を聞いた。
窓をいっぱいに開け、海と空を眺めながら。
第4話のテーマは、「生きること」。
私はとてもくつろいで、質問に答えていた。
母の最期のころのことも、たんたんと静かに、なめらかに。
ときに笑いながら。
自分で話したことなのだけど、なんだか身にしみた。
聞き終わったとき、なんだかとても長い時間が過ぎたように感じた。
そして、母の死のことも、自分で選んで神戸に出てきたことも、いろいろなことが空に昇華されたような感じがした。
軽やかに、すがすがしく。
私はいちどもつっかえたり、吃ったりもしていなかった。
こんなふうに、体からそのまま言葉が出てくるように話せたのは、お相手の清水さんのおかげ。
感謝の気持ちでいっぱいになった。
この回は、来週の金曜日に公開されます。
4時くらいに、散歩がてらパン屋さんと「コープさん」へ。
まだ青い海を見ながら、てくてくと下った。
東の空には、白い大きな月が出ていた。
軽く買い物し、帰り道はひんやりした風に吹かれながら、スーイスーイと坂を上った。
とちゅうで、落ち葉を燃やしているような、香ばしい匂いがしてきた。
切なくなるような匂い。
立ち止まり、「コープさん」で買ったレモン風味の炭酸を飲んだ。
海を振り返りながら。
今は本当にいい季節だなあ。
帰り着き、坂道で拾った桜の赤い落ち葉を、母の祭壇に供えた。
明日は、京都・山科の「MUJI BOOKS」で、宮下さんとトークイベントがある。
アノニマの村上さんも、東京から来てくださる。
あさっては、打ち合わせで村上さんがうちにいらっしゃるので、なんとなくごちそうの用意をしながら、夜ごはんを食べた。
夜ごはんは、ブリのお刺身、牡蠣のオリーブオイル蒸し、きのこカレーナン(パン屋さんの)、浸し黒豆とセロリとサラダ(ゆで卵、玉ねぎドレッシング)。
ブリのお刺身は2切れを食べ、残りは酒と塩を合わせたものに漬けた。牡蠣のオリーブオイル蒸しは、トマトソースに加えてパスタにする予定。

●2022年11月4日(金)曇りのち晴れ

5時に起きた。
今朝の「古楽の楽しみ」はリクエスト特集。
聞きながら目を覚まし、カーテンをめくるとまだ真っ暗。
6時に電気をつけ、ラジオの学習。
曇っているからか、なかなか陽が昇らない。
7時少し前に、雲の間から大きいのがぬるーっと顔を出した。
あんまり眩しくて、平らに見える。
黒い鏡のよう。
そのうちに、真下の海はオレンジ色に光り出した。
光が映っているというよりも、太陽が海にあるみたい。
とても珍しいことなので、1階の窓から見たり、2階に駆上がって見たりした。
シーツなど、白いものばかり洗濯。
朝ごはんを食べ、きのうから書きはじめた「毎日のことこと」の続きをがんばる。
夜ごはんは、牛肉とセロリの炒め物(にんにく、玉ねぎ、オイスターソース)、白いスープ(豆腐、だし昆布、牛乳、味噌、溶き卵)、海苔のつくだ煮、雑穀ご飯。

●2022年11月3日(木)快晴

寝坊した。
わざと。
なんと、8時半に起きた。
ずいぶん前から明るくなっているのは分かっていたのだけど、どうしても起きられなかった。
おかげで、疲れがとれたみたい。
スッキリシャッキリ。
カーテンを開けたら、きらきらを通り越し、海そのものが発光しているみたいになっていた。
眩くてたまらない。
ものすごくいいお天気。
日曜日の「FARM to FORK」のトークは、生産者の方々もご登場くださったので、私が農園や港で感じ入ったお話を、お客さんたちにも聞いてもらえたのが嬉しかった。
カセットコンロの調理実習も、「FARMSTAND」のユカさんの絶大なるアシストのおかげで、とてもうまくいった。
試食の新米ご飯と、須磨の塩海苔、ユカさん作のスパイスちりめん、ハーブ入りごぼう味噌も、小さな紙皿に花のように可愛らしく盛りつけられ、みなさんに食べてもらうことができた。
宮下さんが京都からいらしてくれたのも、すごく嬉しかった。
私は今年もまた、ユウトク君、ソウリン君と浜で遊んだ。
中野さんは今回、ポスターの絵を描いたので、家族と一緒にいらした。
ああ、楽しかったな。
植田さんのライブペイントも、とてもよかった。
折り重なる緑の山々と、静かな水面。
最後に見たら、光る風が絵の中にひと吹き。
夕方のフィナーレまではいられなかったけれど、お姉さんたちと「いかりスーパー」で買い物したり、デパ地下で夕飯のお総菜(KYKのトンカツ)を買ったり、お母さんたちのお土産に中野さんと甘いものを選んだりするのも、じんわり楽しかった。

朝ごはんを食べ、「天然生活」連載「となりのオハコ」の原稿の仕上げ。
レシピも仕上げて、宮下さんにお送りした。
ああ、書けてよかった。
ほっとして、買い物がてら坂を下りた。
祝日なのに、ほとんど人がいない。
銀の穂すすき、赤茶色の穂のすすき。
セイタカアワダチソウは、いつの間にやらなくなった。
桜の葉っぱも、ずいぶん赤くなっていた。
帰りは、わりかし荷物があったけれど、坂を上った。
暑くもなく寒くもなく、ほとんど汗をかかなかった。
帰り着き、2階の窓を開けると、南東の空に白い半月。
夜ごはんは、秋刀魚の押し寿司(「いかりスーパー」の)、黒豆の甘煮、蓮根ときく芋のきんぴら(ごま油で炒め、酒と薄口醤油で薄味に)、小松菜のセイロ蒸し(オリーブオイル、塩)、湯豆腐(大根、白菜、ニラ醤油、潤ちゃんとアムの手作り味噌)。

●2022年10月29日(土)快晴

6時に起きた。
陽の出のオレンジ色が、母の絵に当たって、顔の色が白く光っているのを見届けてから起きた。
カーテンを開けると、猫森の葉がさわさわと揺れ、隙間からのぞく海の光がざわめいている。
朝ごはんのヨーグルトは、りんご、柿、ホウズキ。
すごく眩しい。
ものすごいいいお天気。
海がきらきら。
今日は、明日のトークの下ごしらえ。 
ファーマーズマーケットで、どんな野菜が売られているか見にいこうと思う。
ある野菜を使って、デモンストレーションをするつもりなので。
植田さんのライブペイントも楽しみ。
須磨の海もきっと、光っているだろう。
では、行ってきます。
行ってきました。
海が一面、きらきらちかちか光っていた。
早めの夜ごはんは、たまたま「FARM to FORK」に来ていた、北九州の建築家ご夫婦と。
椎茸のフライパン焼き、ひたし黒豆とパセリのサラダ(玉ねぎドレッシング)&神戸産のスモークサーモン、水菜と油揚げのサラダ(炒りごま、黒酢、醤油、ごま油)、ぽりぽり人参(味噌2種)、塩ゆで落花生、じゃがいも入りフジッリ(生しらすのアヒージョ、焼き海苔)、人参葉とおかかのおにぎり、白ワイン。

●2022年10月26日(水)晴れ

7時にカーテンを開けたら、もう海は金ぴか。
朝の海が本格的に光るようになった。
今朝のヨーグルトは、きのう農園の息子さんがたくさん摘んでくれた食用ホウズキを、柿と取り合わせてみた。
うーん。
柿の甘みに、酸っぱくて小さな実がぷちぷちとアクセントになって、とってもおいしい。
今日は、午後から中野さんがいらっしゃる。
車で三宮に寄ってから来るのだそう。
私も朝のうちに出掛け、美容院や銀行など、用事をすませてしまおう。
このところ仕事をずっとがんばっていたから、ひさしぶりに息抜きしよう。
まだ明るいうちから、窓辺でビール&ナッツ。
海や空を眺めながら。
夜ごはんは、すき焼き(牛肉、しらたき、椎茸、下仁田ねぎ)、新米(中野家の)。

●2022年10月25日(火)快晴時々雨

5時に起き、「古楽の楽しみ」を聞きながらゆらゆら。
今週は、私の好きな関根敏子さん。
きのうは、3時半に村上さんからお電話をいただき、『暦レシピ』の校正のすり合せを6時までやっていた。
慌てて夜ごはん(豚まんを蒸したのとスープ)を食べ、お風呂に入ってすぐに寝た。
今朝は、農家さんを訪ねる秋の遠足第二弾。
亜由美さんが9時にお迎えにきてくださる。

行ってきました。
ころころと移り変わる空模様のなか、紅葉がはじまりかけている山や、山の間から光る海を眺めながらのドライブ。
片側には黒い雲が固まっているのに、青空も見える。
そんななかを、亜由美さんの運転で走り抜けた。
帰ってきて、収穫したばかりの野菜でお昼ごはんを作った。
撮影をしてもらいながら。
神戸産のスモークサーモン、弓削牧場のカマンベールチーズ、イタリアンパセリ、パクチー、ルッコラ、紫玉ねぎのオープンサンド(パンは自家製の全粒粉で、農家さんの奥さんが焼いてくださった)、粒マスタード、自家製マヨネーズ。
黄色い食用菊、紫の茎の水菜、焼き油揚げのサラダ(炒りごま、黒酢、米酢、醤油、ごま油)は、この間、潤ちゃんの家で教わったことをいかして作ってみたら、時間がたってもずっとおいしかった。
菊の花弁をちぎって、新米に炊き込むのもやってみた。
炒りごまをたっぷり。
菊の花の香りがして、ほんのりとした酸味も感じ、ごまのぷちぷちもいき、とてもおいしかった。
大浦ごぼうで、おかず味噌も作った。
これは、30日に須磨海岸で開かれる「FARM to FORK」のトークイベントで、お客さんたちに食べていただくためのもの。
今回は調理のデモンストレーションをしながら、亜由美さんとおしゃべりする。
農家さんや、漁師さんにも登場いただくとのこと。
いいお天気だといいな。
お昼にお腹いっぱい食べたので、夜ごはんはなし。

●2022年10月22日(土)曇り

わざと寝坊して、7時に起きた。
カーテンを開けると、白い空のひとつところが光っている。
きっと、あそこに太陽があるんだ。
今日もはもう土曜日か。
取材から帰った翌日から、ずっと原稿を書いていた。
潤ちゃんと、台所と、十八番料理があんまりよくて。
見えたもの、感じたことを早く体から出したくて。
新しい仕事をはじめるときは、いつも気持ちが昂る。
書けるかどうか不安にもなる。
でもそれは、いい兆し。
締め切りはまだ先なので、今日はちょっとねかせておいて、別の原稿を書こう。
今朝から(ゆうべだったのかな?)「無印良品くらしのラジオ」で、夏に東京に行ったときのインタビューが公開される。
全部で4回。
1回目の今日は「住まうこと」。
詳しくは「ちかごろの」をご覧ください。
3時には、「きょうの料理」テキストのエッセイが書けた。
よかった!
さて、買い物がてら散歩に出掛けよう。
坂道では、ススキやセイタカアワダチソウが盛りだった。
ネコジャラシの穂も、紫がかっているところと緑のコントラストがとてもきれい。
図書館の帰りに、珈琲豆を買って出てきたら、「六珈」さんが踏切の方まで「高山さーん」と追いかけてきた。
まっ白い卵をひとつ手に持って。
「ゆで卵、食べますか?」
「今朝ゆでました」
きっと、モーニングでひとつだけ残ったんだと思う。
私はすごく嬉しかった。
ご近所さんみたいで。
そして、大荷物でタクシーに乗り、マンションの前で下りたら、いつも仔犬の散歩をしているご夫婦に声をかけられた。
「柿いらん?柿。今、山でたくさん採ってきたんです」と。
普段、挨拶を交わすくらいで、そんなにおつきあいがないのに。
私はじーんと嬉しかった。
今日は、ご近所さんからいろいろもらった日。
食料もいっぱい買い込んだので、明日からは『暦レシピ』の校正に集中するつもり。
夜ごはんは、秋刀魚の塩焼き(大根おろし)、味噌汁(豆腐、大根の皮)、雑穀ご飯、茄子の漬け物。

●2022年10月19日(水)快晴

5時半に起きた。
朝方はちょっと肌寒く、毛布を体に巻きつけた。
今年いちばんの寒さ。
ラジオを聞いているうちに、陽の出となった。
英語もひと通り聞いた。
朝のヨーグルトの果物は、みかん。
海がよく光っているのを眺めながら食べる。
雲ひとつない青空。
秋晴れだ!
朝ドラを見て、さあ、そろそろ出掛けよう。
今日から新しい仕事がはじまる。
「天然生活」で隔月連載をすることになったのです。
台所におじゃまして、その方の十八番料理を教えていただく。
名づけて「となりのオハコ」。
第一回目は、「メリーゴーランド」の鈴木潤ちゃん。
相棒は、編集の宮下さんと、カメラのわたなべよしこさん。
では、京都へ行ってきます。
島さんの栗で作った栗ジャムをお土産に。

7時過ぎに帰ってきた。
ああ、楽しかった。
夜ごはんは、五穀ご飯(せいろで温め直し、潤ちゃんの手作り味噌をのせた)、白和え(小松菜、ちりめんじゃこ)、豆腐と白菜の卵とじ。

●2022年10月17日(月)雨

6時少し前に起きた。
まだ暗い。
このごろの陽の出は、何時ごろなんだろう。
ずいぶん遅くなったな。
英語のラジオをひと通り聞き、うつらうつらして7時半に起きた。
雨の朝、窓を開けると、甘い匂いがする。
梅のような甘酸っぱい匂い。
金木犀だ。
今朝は霧がこもって、一面白い。
10時過ぎに出て、歯医者さんへ。
「コープさん」で買い物をして、帰ってきた。
さらさらと降る雨のなかを。
油断してたくさん買い物をしてしまったので、休み休み上った。
リュックが重くてけっこう息が上がった。
午後はメールを書いたり、11月に東京で開くイベントのアイデアを考えたり。
現金出納帳もつけた。明日、パソコンに入力するつもり。
今日はずっと窓が白かった。
夜ごはんは、鯖の煮つけ(生姜たっぷり)、人参のきんぴら、冷や奴(にらダレ)、納豆、キムチ、みそ汁(もやし、コーン)、雑穀ご飯。
残ったご飯はお弁当箱に詰め、島さんからいただいた梅干しをのせた。
もう、そんな季節になったんだな。
ごはんを食べ終わったころ、花火の音が聞こえた。
2階に駆け上がると、三宮の方で大きいのが揚がっている。
5分ほどでもうおしまい。
神戸港の花火、今年は何回かに分けて揚げることになったと、美容師さんが言っていたっけ。

●2022年10月15日(土)快晴

7時ちょっと前に起きた。
陽の出のとき、カーテンがオレンジ色に染まっていた。
太陽の位置、ずいぶん動いたんだな。
朝から海がきらきら。
おとついは「きょうの料理」のテキスト撮影で、ちよじが1泊した。
それできのうは、ふたりで新開地に行った。
気ままに歩く秋の遠足。
湊川の商店街や、その先の湊山水族館、川沿いを歩いて山のお寺にも上った。
前にアムとカトキチを連れていった、商店街のはずれの串カツ屋さん(立ったまま食べる)にも行けたし、焼豚のおいしいお肉屋さんもみつけた。
たまに服を買っていた洋服屋さんで、ちよじは黒の帽子(チェコのものだそう)をみつけて買った。
私はちよじに薦められ、冬のジャケットを買った。
なんだか、姉妹で買い物にきているみたいだった。
それにしてもよく歩いたなあ。
ちよじは立ち止まっては、写真を撮っていた。
今日は、夏の終わりのように暑いので、半袖のワンピースがちょうどいい。
海は霞がかかり、なんだかぼわんとした土曜日。
さ、そろそろ『帰ってきた 日々ごはん⑬』の粗校正の続きをやろう。
夜ごはんは、豆乳味噌スープ(中野家からいただいて帰ったいつぞやの「ホルモン鍋」の残りに、蒸した大根と人参を加え、豆乳でのばした)、人参の塩もみサラダ(玉ねぎドレッシング)、バターナッツカボチャのサラダ(手作りマヨネース、パセリ、ディル)。
豆乳スープが濃厚で、びっくりするほどおいしかった。

●2022年10月11日(火)晴れ

7時に起きた。
ぐっすり眠れた。
朝までいちども目が覚めなかった。
でも、英語のラジオをまた聞き逃してしまった。
雨や曇りが続いている間、干しっぱなしだった旅の洗濯物がようやく乾いた。
今朝はシーツも洗う。
干しているとき、海が光っていた。
幅広く、きらきらちかちかしている。
いつの間にこんなに光るようになったんだろう。
そうか。
もう、海が光る季節になったんだな。
朝ごはんを食べ、『帰ってきた 日々ごはん⑬』の粗校正の続き。
集中してやっているのだけれど、何度も窓を見てしまう。
ときどき窓辺に立って見た。
海の光が気になって。
まっ青な空に、飛行機雲がすーっと伸びていく。
さあ、続きをやろう。
4月までが終わった。
2時に出て、郵便局と「コープさん」へ。
遊びながら上っている小学生たちを追い越し、えっさほいさと帰ってきた。
もう、夏の緑とは違う山を仰ぎながら。
うっすらと汗をかいて帰り着く。
ああ、いい運動になった。
夜ごはんは、和風ハンバーグ(大根と人参のグラッセ添え)、南瓜の煮物、人参と白菜のサラダ(ちりめんじゃこ)、ご飯。

●2022年10月10日(月)曇り時々雨

東京から帰ってきたのは、いつだっけ。
なんだか自分の歴史を辿るような、深めの旅をして、帰ってきた。
清里でのロケが終わった日は、急きょ川原さんの家にもう1泊させてもらい、朝から水戸に出かけた。
東京駅からバスに乗って、水戸芸術館現代美術ギャラリーというところへ。
立花君の展覧会を見るために。
冷たい雨の降り注ぐ日、展覧会場はとても静かで、私はひとつひとつ息をつめて見た。
ものすごくよかった。
いなくなったたくさんの人たちは、いなくなったことで、見えなくても「ある」んだということを、ずっと思いながら見ていた気がする。
ところどころに貼ってあった立花君の言葉も、すごくよかった。
立花君の作品のなかに、自分のルーツをみつけたような旅でもあった。
神戸に帰って、翌日は「MORIS」で島るり子さんに何十年ぶりかでお会いした。
その次の日は「スス」にて、島さんの耐熱の器を使った調理実習の会。
そしてきのうは、島さんが朝からうちに遊びにきてくださった。
おしゃべりしながらお昼ごはんの支度をし、一緒に食べた。
食べながらもずっと話していた。
お昼ごはんを支度しているときだったかな。
島さんは窓辺に腰掛け、私が手渡した『智恵子抄』を開いていた。
それは、知恵子の切りぬき絵がたくさん載っている本で、島さんも同じのを持っていた。
「あ、あったあった。私が好きな詩を読みますね」と言って、台所にいる私に聞こえるようにとうとうと朗読をはじめたときも、すごくいい時間だった。
ここに詩を引用させていただきます。

――三畳あれば寝られますね。
これが水屋。
それが井戸。 
山の水は山の空気のやうに美味。
あの畑が三畝、
今はキャベツの全盛です。
ここの疎林がヤツカの並木で、
小屋のまはりは栗と松。
坂を登るとここが見晴らし、
展望二十里南にひらけて
左が北上山系、
右が奥羽国境山脈、
まん中の平野を北上川が縦に流れて、
あの霞んでいる突きあたりの辺が
金華山沖といふことでせう。
知恵子さん気に入りましたか、好きですか。
うしろの山つづきが毒が森。
そこにはカモシカも来るし、熊も出ます。
知恵子さん斯ういふところ好きでせう。――

知恵子が亡くなって12年後に書かれた、高村光太郎の「案内」という詩だ。
今、本を見ながら書き写していたら、あのときの島さんのすっきりとよく通る声を思い出した。
ああ、楽しかったな。
今朝は6時に起きて、英語のラジオをひと通り聞いて、クラシックの番組で二度寝。
ゆらゆらしたり、深く眠ったり。 
気づけば10時。
ようやく疲れが取れた気がする。
あんまり空気がヒンヤリするので、起きてすぐに扇風機を片づけ、電気ストーブを出した。
ずっとできていなかった、メールのお返事。
午後からは、「きょうの料理」のレシピを集中して書いていた。
木曜日に撮影だから、明日は買い物をして、試作をひとつすれば準備完了。
続いて、『帰ってきた 日々ごはん⑬』の粗校正の続き。
はー。
ようやく追いついた感じがする。
この1週間、なんだか時間の方が、私よりも先に進んでいる感じがずっとしていた。
日暮れどき、西の空の雲が薄れ、灰銀色に光っているところがあった。
思わず2階に行き、窓を開けて深呼吸。
ああ私、やっと神戸に戻ってきた。
神戸のひとりの時間に。
もう、大丈夫。
夜ごはんは、川原さんのレシピで豚の生姜焼き(玉ねぎ)、南瓜のサラダ、ひじき煮の白和え、味噌汁(落とし卵)。
今夜はぴかぴかの満月。
リンリンジジジジ、秋の虫が鳴いている。

●2022年10月3日(月)曇り

9月に入ってからずっと、部屋にこもって仕事ばかりしていたのだけれど、いろいろなことがあって、気づけばもう10月。
摩耶山に行った翌日は、亜由美さんがまた車で外に連れ出してくださった。
西区の椎茸農家さんのところに行ってお話を聞き、そこから長田港にまわって、漁師さんにとれたての生しらすをたくさんいただいた。
「FARMSTAND」の奥にある「レピス」のキッチンをお借りして、店主のたえちゃんといろいろ料理したのも、とても楽しかった。
私は、釜揚げしらすを、漁師さんに教わった通りにはじめてやってみた。
ふんわりと、とてもうまくいった。
あと、生しらすのアヒージョらしきものも作り、瓶詰めにした。
「FARMSTAND」の栗をゆで、手の空いた人が実をかき出して、ふつふつと煮込み、栗ジャムも作った。
予定よりずいぶん長いことみんなと一緒に過ごし、すっかり暗くなってから、また亜由美さんが車で送り届けてくださった。
そしてきのうは、中野さんの家へ。
朝、電話をいただき、急に決まった。
中野さんは今、新しい絵本の追い込みでとても集中しているので、うちに来られないかわりに、誘ってくださった。
家族みんなと、庭でバーベキュー!
私は椎茸と、とろ茄子を持っていった。
3時半くらいから牛肉をガンガン焼いて、野菜も焼いて、缶チューハイを飲んで。
食べ終わって片づけてから、ゆうとく君とセキセイインコとの時間。
インコはピーちゃんという。
夏に会ったときよりも羽の黄色が白っぽく、少しふっくらとし、鳥かごの中を元気に動きまわるようになっていた。
子ども部屋で鳥かごの入り口を開けても、なかなか出てこない。
少しずつ、少しずつ、前に出てくる。
しばらくして、ゆうとく君の頭に乗り、くちばしをつっこんで髪の毛を引っ張ったり、頭の上できょとんとしていたり。
そのうちに、指に乗った。
その一連の様子が、静かな時間のなかにあった。
私は見とれていた。
このときのこと、私はきっと忘れないだろうな。
そのあとで急に、部屋中をぐるぐる飛び回った。
3周か4周くらいしたあと、ふいっと私の頭にも乗ってきた。 
それで、右手を頭の近くに持っていったら、指に乗った。
ときどき噛まれるけれど、痛くてもがまんした。
細くて小さな骨みたいな足が、私の人差し指にそっとつかまっているだけなのに、あたたかい。
お腹を抱っこしているみたいだった。
ピーちゃんの体温。

そして、夜8時5分発の電車に乗って帰ってきたのだった。
ゆうべは寝るまで、ずっと幸せだった。
明日から私は東京。
村上さんと『暦レシピ』の打ち合わせをして、川原さんちに泊めていただく。
そしてあさっては、朝からロケバスに乗って清里へ。
テレビのロケのために。
まだ詳しいことは書けないのだけれど、9月にうちで撮影をした、思い出のケーキの続きのロケだ。
この番組は、クリスマスの前くらいに放送予定だそう。
また、日にちが近づいてきたら「ちかごろの」でお知らせします。
夜ごはんは、ドリア(いつぞやの冷凍していたヤリイカの墨の炊き込みご飯を耐熱皿で炒め、豆乳とチーズを加えてオーブンへ)、南瓜のサラダ。
温かいものがおいしい季節になってきた。

●2022年9月29日(木)晴れ

朝、パソコンでニュースのページを開いたら、水色の空を背景に、水色の蝶が飛んでいるのが目に入った。
「秋空ひらり」というタイトル。
「越冬のため、長距離を移動する渡りのチョウ『アサギマダラ』が神戸・摩耶山の天上寺に飛来している」とのこと。
私はそわそわしてしまう。
お弁当を詰めて、行ってこようか。
摩耶ケーブル入り口までは、「コープさん」のところからバスが出ているんだから。
おべんと持って、秋のお散歩だ。

行ってきました。
摩耶山頂の展望台で、大きな大きな景色を眺めながらお弁当(栗ご飯のおにぎり、鶏肉の塩焼き、ゆで卵、南瓜の甘辛煮、干し椎茸の甘煮、ピーマン炒め)を食べた。
空、海、大阪の街、紀伊半島のどこかの山々……神戸空港、埋め立て地、神戸の街、緑、そして山々。
道を辿っていって、うちのアパートの建物を探したら、すぐに分かった。
街からはずいぶん離れたところ、ずーっと先の山にさしかかったところにあった。
うちはこんなに緑の森に囲まれているんだ!
そして、廊下の窓からいつも見ている山はほんの一角にすぎず、そこから続く高い山々が後ろに控えていることも分かった。
アパートの屋上から私は、摩耶山の展望台をよく見ていた。
その場所を、反対側から見たということ。
展望台からしばらく歩いたところにある天上寺も、すがすがしくて、清らかで、とってもいいお寺だった。
天空のお寺という感じがした。
明石大橋と、淡路島までくっきり。
その向こうの四国も、うっすら見えていた。
摩耶山はずっと近くにあったのに、7年目にしてはじめて山頂に登り、自分がどういう場所に住んでいるのか見せてもらえた。
アサギマダラは、フジバカマの花壇にものすごくたくさんいた。
じっと座って見ていると、近くまで飛んできて蜜を吸う。
あまり羽ばたかず、ふわふわひらひらと飛ぶ。
写真を撮っている方が3人くらいいたので、別のところに行ってみたら、白いフジバカマがひっそりと咲いている斜面があった。
しばらくひとりきりで味わう。
頭の上を、2羽のアサギマダラがふわふわと横切っていったとき、私はすーっとした。
天上時の階段は急で長かったし、山道も少し歩いた。
とてもいい運動になった。
夜ごはんは、お昼のお弁当をしっかり食べたので、豆乳汁(切り干し大根、豆腐、味噌)だけ。

●2022年9月24日(土)快晴

秋晴れ。
空は青く、高い。
あちこちきらきらしている。
朝のヨーグルトは、梨。
海の光っているところに、「おはようございます」。
洗濯物を干しているとき、ツクツクボウシの声がした。
たぶん1匹。
がんばって鳴いている。
今日から私は、『帰ってきた 日々ごはん⑬』の、パソコン内での粗校正をはじめる。
名残の茄子は皮が硬そうな大きい方をむいて、縦長に切り、ザルに並べて干しているところ。
もう1本は半分に切ってから、厚切り。
お昼にオリーブオイルで炒めて食べようと思う。
皮をむいた方は、夜ごはんの炒め物にしよう。
これもまた、『ふしぎな島のフローネ』に影響されているな。
今日の夕方、最終回を見るのが楽しみ。
夜ごはんは、干した茄子と豚ロース肉の黒酢炒め(豚ロースの厚切り肉は、きのうのうちから塩をして、即席塩豚のようにしておいたのがよかった。まず、にんにくと茄子をよく炒め、茄子がくったりしていちど吸った油が出てきたら→「ウーエンさんの本で勉強した」いちど取り出し、その油で薄力粉をまぶした豚肉をカリッと焼いた。そして黒酢、醤油、きび砂糖をフライパンに合わせて熱し、からめた。めっちゃおいしかった!)、中華風焼きそば(生姜、白菜の白いところ、甘唐辛子、香菜、オイスターソース、ウスターソースを少し)、オクラの冷やし煮浸し。

●2022年9月23日(金)雨のち曇り

あんまり静かな雨なので寝坊した。
なんと8時半に起きた。
ラジオは早くからつけていたのだけど、ずっとうつらうつらしていた。
寝ぼけながらクラシックをかけていると、よく聞こえる。
耳の奥の感覚が開いて、体ごと響き合っているような。
何の曲がかかっているのかは分からない。
でも、これが本物の音楽という気がする。
それが気持ちよくて、つい寝坊した。
きのうは、出掛けようとしたらまた雨が降ってきた。
折りたたみは持っていたのだけど、大きな傘を取りに部屋に戻った。
ざわざわと降る雨のなか、海を見ながら坂道を下るのは、みずみずしい空気の粒をかき分けて進むようで気持ちがよかった。
明るい雨だったし。
神社のあたりで止み、ウワーッと晴れてきた。
そして私は、傘を差したまま歩いた。
日傘として。
なんか、愉快だった。
「MORIS」でのサイン本作りも、楽しかったな。
ふたりのお喋りをひさしぶりに聞いて、笑い、私もよく喋った。
「淡河生活クラブ」で栗を買ったので、サインした本を掲げ、今日子ちゃんが秋の日の記念撮影をしてくれた。
ほかに買って帰った淡河の野菜は、小さなピーマン、甘唐辛子、育ちすぎた茄子、オクラ。
名残の夏野菜で、朝からいろいろ作っている。
甘唐辛子のおかか炒め、茄子の炒め煮、オクラの冷やし煮浸し。
今、栗をゆでているところ。
あとで栗ジャムを作ろうと思って。
栗ご飯用の栗は、皮がむきやすくなるように水に浸してある。
「今日の料理」テキスト用の新しいイラストを描いて、今日の仕事はお終い。
夜ごはんは、茄子の炒め煮、甘唐辛子のおかか炒め、ひじき煮の白和え、栗ご飯、味噌汁(たたきオクラ)。

●2022年9月22日(木)曇り時々雨、のち晴れ

ラジオをひと通り聞いて、カーテンを開けたら曇り。
そして雨。 
シャワーみたいに降っている。
でも、すぐにやんだ。
朝の水浴びみたいな雨だった。
今は、青空が見えてきている。
天気予報では雨だと言っていたけれど、今日は晴れるんだろうか。
『ちむどんどん』を見ながら朝ごはんを食べた。
あれ? また曇ってきた。
どんどん暗くなる。
しばらくして、窓が白くなるほどのしっかりとした雨。
今日は出掛けようと思っているんだけどな。
『暦レシピ』の初校ができたから、出しにいきたいし、「MORIS」にもサインをしにいかなくちゃ。
まずは、10時から村上さんとお電話で打ち合わせ。
小1時間ほど話しているうちに、どんどんいいアイデアが浮かんできた。
11時半からは、「今日の料理」テキストの千葉さんと打ち合わせ。
すいすいと終わった。
しばらくしてまた晴れてきた。
お昼は食べず、1時過ぎに家を出る。
パン屋さんでサンドイッチを買って、「MORIS」で食べさせてもらおうと思って。
考えてみたら私は、ここ1週間外に出ていなかったのだな。
このところ部屋で仕事をしながら、冷蔵庫にあるものをいろいろに工夫して食べていた。
サバイバルみたいで、食べ尽くすのが楽しかった。
Amazonプライムで、『ふしぎな島のフローネ(漂流したスイスの家族が無人島で暮らす物語)』を見ていたから、ちょうどよかった。
でも、もうあと2話で終わってしまう。
『ちむどんどん』もそろそろ最終回だし。
のり巻き&お稲荷さん(「いかりスーパー」の)、ひじき煮、干し椎茸の甘煮、焼き茄子、味噌汁(切り干し大根、ワカメ)。

●2022年9月20日(火)曇りのち快晴

ゆうべは暴風。
ひと晩中、窓がガタガタしていた。
雨はほとんど降らなかったみたい。
6時前に起き、カーテンを開けた。
台風は過ぎていったみたいだけれど、まだ強い風が吹いている。
びゅーーびゅーーぼぅーーぼぅーー!
窓を少しだけ開けてみたら、葉っぱをちぎったような濃い緑の匂いがした。
木の葉を巻き上げ、木々は盛大に揺れている。
そのあと、ミストのような霧雨が一面に。
風で横に流れているんだろうか。
英語の番組がひと通り終わったころ、高いところの雲がどんどん流れていくのが見えた。
西に向かって。
そのうちぐんぐん晴れてきて、朝ごはんのヨーグルトを食べているときには、東の海がとんでもなく光っていた。
台風一過だ!
でも、油断をしているとまた暴風。
そのたびに驚き、窓を閉めてまわる。
今日も、『暦レシピ』の校正の続き。
夜ごはんは、カレイのムニエル(塩麹ディルを塗って冷凍しておいたカレイに、小麦緒をまぶしてオリーブオイルで焼いた。オーブンで蒸し焼きにしたら、表面は香ばしく中はふわふわ。とてもうまくいった)、白菜の塩もみサラダ、パン。

●2022年9月17日(土)晴れのち

ゆうべはとても涼しかったので、窓を開けて寝たのだけど、夜中に大風が吹いて目が覚めた。
1階の窓も開けていたから、窓際の絵が傾いていて、わ!となって慌てて閉めた。
台風が来ているんだ。
今朝は、あちこち眩い。
窓を開け放ち、ベッドの上でしばし空を眺めていた。
白と銀が作った、光る砂漠のような雲。
銀にはいろいろな色がある。
窓辺に立つと、明るいところと暗いところがくっきりしすぎて、目がくらむ。
朝のヨーグルト(いちじく)を食べながら気がついた。
東の海が光るようになった。
そして、とても涼しい。
これこそ秋の風。
さて、今日はきのうからの続きの仕事。
『日々ごはん』『帰ってきた 日々ごはん』全巻の「おまけレシピ」を、1冊にまとめようとしている。
お正月くらいからだったかな、少しずつ計画が進んでいた。
名付けて『暦レシピ』。
このところ、アノニマの村上さんとお打ち合わせを重ねているのは、この本のこと。
レイアウトが上がってきたので、きのうから校正をはじめたのだけど、これが楽しくてたまらない。
ひとつひとつのレシピに息づいている18年間の記録。
季節の食材を感じながら、月ごとに遡っては、現在に近づいていく。
初期のレシピは、原始人が書いたみたい。
拙いながらも、一心に作り方を伝えていて、とてもいい。
最近の私の「おまけレシピ」は、ちょっと洗練されすぎているなあ。

さっきから、薄暗くなってきた。
向こうの海が黒っぽい。
それにしても風が強い。
山から海から通り抜ける荒々しい風に吹かれながら、18年前からついこの間書いたばかりの『帰ってきた 日々ごはん⑫』のレシピを通しで読んでいくのは、めまぐるしく、心が躍動する。
何だろう、これ。
ひとりの知らない人の人生を、猛スビードで駆け抜けながら、生活を垣間見ているような感じ? だろうか。
11月の末には皆さんのもとに届けられるよう、がんばります。
夜ごはんは、ビール、大粒落花生(去年見学をした浅川さんの畑の)の塩ゆで、サッポロ一番塩ラーメン(もやし、コーン)。

●2022年9月16日(金)晴れ

今日はおもしろい一日だった。
しばらく誰にも会わず、ひとりで過ごしていたところに、風穴が空いたような日。
まず、朝の9時前に中野さんからお米が届いた。
ダンボールの切れ端の絵の裏に、お便りが書いてあった。
午後からはアノニマの村上さんと、1時間ほど電話で打ち合わせ。
今とりかかっている新しい本のこと、東京で収録したラジオ番組の内容について。
そして、夕方には突然メールがあり、亜由美さんが訪ねてきてくださった。
いちじく、大粒の落花生、青いみかんをお土産に。
私は、香ばしい地面のような落花生の匂いをかいで、眠っていたどこかがぐーんと開いた。
鼻の穴の奥が開いて、心がかきまわされたという感じかな。
旅先で、市場に足を踏み入れたときと似た感じ。
やっぱり地元の野菜の力はすごいなあ。
去年の今ごろにも、「FARMSTAND」の野菜を亜由美さんがいろいろ持ってきてくださり、私の鼻の穴は一気に開いたんだった。
ちょうど夜ごはんの餃子を作っていて、包み終わったころに亜由美さんがいらした。
それで、1袋分の量の肉ダネが残ってしまったので、お土産に持って帰ってもらった。
「『コープさん』には駐車場があるから、餃子の皮を買って帰ってね」と言って。
てっきり私は、ご主人の小泉さんとふたりで夕食に食べるのだとばかり思っていた。
そのあとに送られてきた写真には、「FARMSTAND」の若いスタッフたちが、焼きたての餃子(ホットプレートで焼いたみたい)を囲んで嬉しそうに映っていた。
熱々を頬張っている男の子もいた。
まさかや(『ちむどんどん』風に)!
テレビを見ながら白菜、ニラ、にんにく、生姜を細かく刻んで、豚肉の薄切りが冷凍してあったから、それも細かくたたいてひき肉と混ぜ……自分ひとりのために、3時くらいから部屋の中でひっそりと作っていた肉ダネを、若者たちが包み、閉店後のお店でみんなで食べてくれたなんて!
なんだかとっても嬉しかった。
私はといえば、餃子を焼く前にいちじくを3個も食べてしまった。
あまりにみずみずしく、おいしくておいしくてやめられなかった。
夜ごはんは、焼き餃子、昆布の薄味佃煮、カクテキ、ご飯。

●2022年9月15日(木)晴れ

陽の出から5分後くらいの太陽を見ることができた。
ゆうべは何度も目が覚めた。
クーラーをつけっ放しにすると寒いし、消して寝るとしばらくたってから暑くなり、目が覚める。
その繰り返し。
でも、おかげで、そのたびにいろいろな夢をみた。
思ってもみない夢をみることで、自分の内側を旅しているような。
目覚めるたびに、ねぼけた頭で「ああ、そういうことか……」と思ったりした。
洪水の夢もみた。
朝からあちこち掃除機をかけた。
汗をかきながら。
洗濯物を干したら、今日から新しい仕事に向かおう。
今日の海は靄がかかっている。
春霞みたい。
暑いけれど、きのうよりはずっと楽。
さーて、まず「きょうの料理」テキストの、次の撮影のメニュー出しから。
早い夕方、「コープさん」とパン店さんまで散歩がてら買い物に出た。
キッシュ(「コープさん」の隣のケーキ屋さんの)、人参サラダ(手作りマヨネーズ)、焼き茄子マリネ(オリーブオイル、塩)、白パンサンド(チキンのスモークハム)、白ワインの炭酸割り。
6時半にはもう暗い。
ずいぶんと日が短くなったこと。
秋の虫たちが鳴いている。
いろんな声が混ざっている。

●2022年9月14日(水)晴れ

朝の天気予報で 、神戸の最高気温は35度だと言っていた。
確かに、とても暑い。
洗濯物を干しているとき、ツクツクボウシが鳴いていた。
また夏が戻ってきて、嬉しそう。
午前中は、アノニマの村上さんと電話でお打ち合わせ。
明日からまた、新しい本のいろいろが届く。
このところ、たっぷり休んでいたから、がんばろう。
お昼ごはんを作って、ひと口食べたところで胃が痛くなった。
おかしいなあ。
5本指の靴下をはき、腹巻きをしてベッドへ。
2時間ほどお昼寝したらよくなったけれど……これって、夏バテの一種なのかな。
夜ごはんは、おうどん(大根おろし)、人参塩もみ(じゃこ、ごま油、酢)、モロヘイヤのおひたし(大根おろし、ポン酢醤油)。
7時近くになって、山から風が下りてきた。
クーラーみたいに涼しい風。

●2022年9月11日(日)快晴

6時半に起きた。
もう、とっくに明るい。
起き抜けのベッドの中で、久しぶりに『ふたごのかがみ ピカルとヒカラ』を読んだ。
自分が書いたとはとても思えない。
よくこんなお話が書けたなあ。
みんな、つよしさんの絵のおかげだ。
続いて、『帰ってきた 日々ごはん⑫』を読む。
きのうは、あちこち掃除をして清め、『帰ってきた 日々ごはん⑫』のサイン本作りをはじめた。
端正で、おとなしい感じのする静かな表紙。
帯をはずすと、賑やかなこの世の色がいきなり転がり出てくるようで、どきっとする。
それは、私が道端で拾ったいろいろ。
亡くなってすぐのころ、たまたまうちに泊まりにきていたちよじが、母の祭壇を撮影してくれた。
月扉は、何年か前に私が撮ったスカシユリ。
月を追って、硬い蕾が少しずつ開いていく。
それで、サイン本にはスカシユリのオレンジ色の花を添えることにした。
1冊1冊、ゆっくり描いていった。
3時までやって、散歩がてらつよしさんの展覧会を甲子園口のギャラリーに見にいった。
『ふたごのかがみ ピカルとヒカラ』の原画が飾ってあって、久しぶりに対面した。
ギャラリーの方が選んでくださった絵本の中の言葉が、ところどころ絵の下に貼ってあった。
それが、とってもよかった。
ああ、こういう本だったんだなあと思った。
つよしさんも元気そうで、絵のことを話しているとき、目がキラキラしてはった。
帰ろうとしたら、突然の雨。
あっという間に土砂降り。
雨宿りをしながら、玄関口でつよしさんといろいろお喋りできたのもよかった。
このところ私は、あることについてずっと思い詰めていた。
それは日記を書き続けることにも、私の生き方にも関係のあること。
自分のだめなところをひとつひとつ検証していたので、いやな夢もみるし、胃のあたりが重たくて。
ごはんが食べられず、ケーキとアイスクリームだけの日もあった。
このままいくと、まずいなあ……と思って、つよしさんの展覧会に出掛けたのだった。
今朝は、久しぶりにすっきりと起きられた。
元気になっている。
戻ったかも。
『帰ってきた 日々ごはん⑫』にサインをしているときにもそうだった。
そして、『ふたごのかがみ ピカルとヒカラ』。
何年もたってから、自分のやってきた仕事に励まされることってあるんだな。
それにゆうべは見事な満月で、光を浴びながら寝たから。
でも、解決したわけではない。
考えるきっかけをくださった方に感謝し、これからも向き合っていこうと思う。
私の宿題だ。
さあ今日も、サインの続き。
110冊!
夜ごはんは、チキンソテー(生クリーム、フレンチマスタード)、ご飯。

●2022年9月9日(金)曇り、時々雨

起きて、カーテンを開けたら、雨は上がっていた。
電線に水玉。
洗濯物を干しているときには、薄陽が差していた。
ふくらはぎが筋肉痛なのは、きのうひさしぶりに坂を上ったからだ。
きのうは、「気ぬけごはん」を一日中書いていて、4時過ぎに坂を下り、試作用の材料を買いにいった。
雲が厚かったけど、海を見ながらてくてくと坂を下るのは、すっとしてとても気持ちがよかった。
仙人草の白い花が咲いていた。
帰りはバスに乗って、坂を上った。
涼しかったけれど、今にも雨が降り出しそう。
汗だくだくとなり、すぐにお風呂に入った。
さて、今日もまた「気ぬけごはん」の続き。
試作をしながら書こう。
夢中で書いていて、ふと見ると、窓が真っ白になっていた。
突然の雨。
向こうが見えない。
2階の窓を開けて見た。
ざーざーと、まっすぐに降っている。
雨は、ほどなく止んだ。
「気ぬけごはん」は3時には書け、お送りした。
締め切りに間に合った。
夜ごはんは、ワカメうどん(いつぞやの残りを温め、溶き卵)。

●2022年9月6日(火)晴れ、風強し

5時半に起きた。
曙の空。
蒼にオレンジ色が混ざっている。
このごろは、陽の出の時間が少しずつ遅くなってきているみたい。
ラジオからはバッハのカンタータ。
「中学生の基礎英語1」を聞いて、そのあとの英語も聞いて、天気予報を聞いて、起きた。
洗濯物を干しているとき、遠くの海がさざ波立っていた。
向こうは風が強いんだ。
よく晴れているけれど、わりに涼しい。
ああ、よかった。
今日はテレビの撮影だから。
撮影チームは、台風の影響で新幹線が1本遅れるとのこと。
12時くらいにいらっしゃることになった。
今は風がとても強く、カーテンが膨らんでいる。
部屋中の布という布がはためいている。
お母さん、見ていてね。
19歳のころに、毎日焼いていたチーズケーキを作るよ。
ラジオではビートルズ。
撮影は6時過ぎにぶじ終わった。
きれいな映像をたくさん撮っていただいた。
貧乏で、銭湯にも満足に行けなかったあのころ。
小さな小さな自信の欠片を握りしめ、毎日を過ごしていた頼りない私に教えてあげたい。
夜ごはんは、今日子ちゃん、ヒロミさんと。
しめ鯖の巻き寿司&海老といくらの箱寿司(ヒロミさんが「いかりスーパー」で買ってきてくださった)、にんじんの塩揉みサラダ&ゆで卵(手作りマヨネーズ)、きゅうりの甘酢漬け(今日子ちゃん作)、みょうがの味噌和え、焼き椎茸(タークのフライパンで軽く焼いた)、ひじき煮の卵焼き、撮影で作ったチーズケーキ。
10時くらいまで楽しい時間。

●2022年9月3日(日)晴れ

秋晴れ。
私はちょっと、ふくらはぎが筋肉痛。
きのうは「MORIS」のお手伝いで、「一日大坊珈琲店」の会のあとの夕ごはんを作った。
4階の「スス」で。
それで、階段を何度も上り下りしたからだ。
私は煮豚、ひじき煮の白和え、甘唐辛子のきんぴら、お刺身用のごまヅケのタレを作り、土鍋でご飯を炊いた
宮下さんとバスに乗って、水道筋のおいしい魚屋さんへお造りを受け取りにいったのも小さな旅みたいだったし、窓の大きな「スス」で空を眺めながら料理したのも、とてもいい時間だった。
会が終わって、今日子ちゃんが「スス」に上ってきて、支度した料理を宮下さんと3人で「MORIS」に運び込み、パタパタとお皿に盛りつけて。
その間中、なんだか幸せだった。
今日子ちゃんの胡瓜の甘酢漬け(蛇腹の切り込みが繊細な、ヘタつきの丸まる1本漬け)と、焼き茄子のマリネ(ワインビネガー、ローリエ)もおいしかったなあ。
土鍋で炊いたご飯にスダチを搾りかけ、焼き海苔をちぎってのせたら、めいめいが小皿のヅケだれにお刺身を浸しておき……しばらくしてから浸かったお刺身でご飯を巻いて、即席のお寿司みたいにして食べる。
「はー、おいしい!」と、あちこちから声が上がった。
大坊さんも「これは、おいしいですねえ」とおっしゃり、おわかりしてはった!

というわけで、今日は「毎日のことこと」の続き。
ツクツクボウシ、耳を澄ませると、1匹か2匹しか鳴いていない。
そしてひんやりとした風。
陽射しの感じが、確実に変わった。
窓から入ってくる角度が違うのだ。
そういえば、ゆうべだったかな、夜中にツクツクボウシが鳴いている声がした。
もう、夏も終わりだから、残り少ない生を謳歌していたんだろうか。
夜ごはんは、いつぞやの魚介のリゾット(バジルペーストを加えた)、椎茸のオイル焼き、蛇腹胡瓜のサラダ(黒酢玉ねぎドレッシング)。
夜、ゴミを出しに出たら、秋の虫の合唱!

●2022年9月2日(金)快晴のち雨

雨上がりの朝。
電線についた雨粒が、朝陽に当たっている。
緑も建物も海も空気も、あちこちキラッキラ。
東京と山梨の旅から帰ってきたのは火曜日。
そうか、もうそんなに日にちがたったのか。
とても楽しく、刺激を受けた旅だった。
私は影響されやすいから、神戸に帰ってからも思い出にどっぷりはまり込んでいた。
今日からようやく、いつもの体と心に戻った気がする。
なんだか前よりも元気になった。
今朝は、祝福されているような眩しい空。
いいんだよね、これで。
私、がんばるよお母さん。
「What will you do today」。
今日の日めくりカレンダーは、「たいせつなのは、じぶんのしたいことを、じぶんで知っているってことだよ」by スナフキン。
さあ私は、「毎日のことこと」を書きはじめよう。
その前に『帰ってきた 日々ごはん⑫』の、書店さん用のパネルとPOPの絵と言葉を書こう。
空が高いな。
そして、涼しい風。
このまま秋に入ってくれればいいんだけれど。
来週の火曜日は、テレビの撮影(まだ詳しくは書けないけれど、思い出のチーズケーキを作ります)だから、スタッフのみなさんが少しでも涼しいように。
夕方、中野さんから絵の画像が届いた。
いいなあ。
今日描いたんだろうか。
思わず缶ビールを空けた。
パソコンに映し出し、絵を眺めながらビール。
大阪の方の海だけ、灰色にさざ波立っている。
空も暗くなってきた。
雨がやってこようとしてるんだ。
夜ごはんは、肉うどん(豚肉、干し椎茸、みょうが)、ひじき煮、コンニャクのお刺身。
雨。そして雷。
雨が止んでも、ときおり稲妻が光る。
遠くの方で。

●2022年8月25日(木)曇り

5時半に起きた。
カーテンを開けると、東の空がオレンジに染まっていた。
陽の出は建物に隠れていて見えないけれど、朝の海の光り方が真夏とは違ってきている。
ラジオの英語は、「Will」の復習。
「What will you do 」
私はこの、「ウィルユードゥー」という言い回しの音が大好き。
「あなたは何をするつもりですか?」
さて、今日は何をしよう。
お裁縫の続きと、現金出納帳つけ。
あとで、銀行と買い物にも行ってこよう。
日記に描くのを忘れていたけれど、3泊目の夕方、中野家にセキセイインコがやってきた。
レモンイエローで、お腹と尾が白っぽい。
目は赤く、嘴がピンク。
嘴の上には、小さな穴がふたつ空いている(鼻の穴だそう)。
シュッとした体つきで、とまり木にとまったままほとんど動かないけれど、私たちが見ると首をかしげたり、羽をふくらませたり。
ときどき、「くちゅくちゅじゅくじゅく」と、何か言っているみたいだった。
お義兄さんによると、生後3ヶ月くらいではないかとのこと。
私は、小鳥がこんなにも可愛らしく、美しいものだとは知らなかった。
美しいというよりも、神々しい。
あんまり近くで見たり、息をかけたりしたらいけない気がする。
ゆうとく君は最近、セキセイインコをほしがっていて、王子動物園に行ったのもそのためだったんだそう。
はじめはブルーの羽のをほしがっていたのだけど、鳥屋さんに行ったらこのインコに出会って、とてもきれいだと思ったんだそう。
だから「なおみさん、何色やと思う?」と私に聞いたとき、にやにやしていた。
その日の夜ごはんは、お姉さん特製のホルモン鍋(ホルモン、手羽先、厚揚げ、玉ねぎ、人参、キャベツ、もやし、〆のラーメン)、揚げ生春巻き(新しくできたベトナム食材屋さんで買った、海老が1匹ずつ包まれた冷凍)だった。

銀行と買い物、行ってきました。
暑かったー!
うちから坂を下って、海に向かってどんどん歩いてチーズ屋さんに行き、「ナノリウム」のきさらちゃんのご両親と川原さんにお土産を買ってきた。
ここのミックスナッツは超おいしいから。
日曜日は、朝早くに出て東京だ。
無印の銀座のホテルでラジオの収録と、青山ブックセンターで『帰ってきた 日々ごはん⑪』発売記念のイベントがある。
医師の稲葉俊郎さんとのトーク。
人が体を使い切り、命をまっとうすること。
ずっと不思議に思っていたいろいろなことを聞いてみようと思う。
詳しくは「ちかごろの」をご覧ください。
まだ、席があるようですので、よろしかったら夏の終わりの夕暮れに、お散歩がてらいらしてください。
夜ごはんは、鳥天&卵焼き弁当(スーパーの)、ヒラメの西京漬(ゆうべの残り)、白和え(ひじき煮)、カクテキ、浅蜊の味噌汁。

●2022年8月24日(水)曇り

6時に起きた。
英語のラジオがひと通り終わると、「名曲スケッチ」。
いつもクラシックが2曲だけかかる。
勉強のあとの褒美みたいに。
今朝は7時10分くらいに起き出した。
なんとなく、しっとりとした朝。
風がひんやりしている。
曇りなのだけどグレーではなく、空にオレンジ色が少し混ざっている。
海も、ところどころ黄色く光っている。
なんか、秋めいた色。
今、ツクツクボウシの大きな声がして、見ると1匹網戸にはりついているのだった。
ツクツクボウシは声のわりに小柄。
小さい体で一心に鳴いている。
「チュクチュクボーーーチュクチュクボーーーチュクチュクチュクチュク」
中野さんの家から帰ってきたのは、おとつい。
六甲はきのうもけっこう暑かったけれど、1日中1階にいて、「気ぬけごはん」の校正をしたり、縫いものをしたりしていた。
水をゴクゴク飲みながら。
私は暑さに体が慣れたような気がする。
中野さんちでは、朝も昼も夜も、蝉よりも秋の虫の声がよく聞こえていた。
フィリリリリと鳴く虫は、クサヒバリ。
「マダラコウロギもいるで」と、ゆうとく君が教えてくれた。
アジサイの葉の陰に、小さなアマガエルをゆうとく君がみつけ、私が近寄ろうとしたら、「なおみさん、今あんまり近寄ったらあかんで」「うるさくしたらだめで」と注意された。
そういうとき私は、嬉しくてにやにやしてしまう。
「カメ吉の散歩しよ」
カメはずいぶん大きくなっていた。
4センチほどだったのが6センチくらいになった。
前には怖がってすぐに首を引っ込め、エサも食べてくれなかったのに、とても懐いている。
私も、エサをあげた。
頭を上げ、口を大きく開けて、ひっくり返りそうになりながら待っている。
首の下を触ると、やわらかい。
とてもかわいい。
庭の池にはいろいろな種類の水草が生え、ピンクの蓮の花も咲いていた。
そして、ゆうとく君もそうりん君も、3ヶ月の間に本当に大きくなっていた。
そうりん君は、前には乳歯の抜けたところがスカスカしていたのだけど、大人の大きな歯が生えていた。
下の歯もぐらぐらしているらしい。
身長も体の厚みも顔もすべてが大きくなり、腕なんかムチムチだった。
ゆうとく君はひとまわり顔が小さくなり、筋肉がひきしまって、子どもというよりも少年に近づいている感じがした。
二日目だったかな、なかなか暗くならない雨上がりの夕方、中野さんとゆうとく君、そうりん君と庭に出てビールを飲んだ。
アマガエルをみつけたのは、そのときだった。
中野さんが塀に描いた、花の絵や虫の絵を眺めたり。
大きな蝶(夏アゲハだそう)が飛んできて、いなくなったと思ったら、また戻ってきたり。
雨に濡れると絵は濃くなり、庭の植物に混じる。
ホタルイカの干したのを、庭石にのせてチャッカマンで炙って食べた。
そういうときに、フィリリリリと秋の虫が鳴いていた。
そのあとでまた雨が降りはじめ、大降りになった。
夏祭りの夜ごはんは、巻き寿司、いなり寿司、焼きそば(ゆうとく君、そうりん君がホットプレートで作った)。
みんな、食べたいときに適当に食べた。
お姉さんの友だちの家族が来ていたので、私は中野さんの部屋で雨の音を聞いていた。
iPhoneの天気予報では、花火がはじまる8時は雨マークで、どんどん雨脚が強くなる。
花火大会はもう無理かもしれないと思って、諦めかけていた。
8時少し前に「なおみさん、行きますよ。雨は上がります。今、(頭の中で)花火が見えました」と中野さんにうながされ、みんなで田んぼの方に歩いていったとき、雨は本当に上がった。
そして、どこかから「3、2、1……」とカウントダウンの声が聞こえ、大きな花火が揚がった。
そこからは夜空の饗宴。
最後は、金のしだれが落ちてくる、何重もの大きな花火で終わった。
昼間の田んぼは、すがしい緑。
あぜ道の方まで夏草が生い茂り、歩いていると息ができないほどだった。
あんまり暑いので、どこへも出掛けずにほとんど家の中で過ごしていたのだけど、外を感じたかったら、庭に出るだけでよかった。
そこにはたくさんの生き物たちがうごめいているから。
夜ごはんは、カレイの西京漬け、ひじき煮(干し椎茸、豚肉)、甘唐辛子のじゃこ炒め、ゆかりおにぎり、味噌汁(とうもろこし、豆腐、みょうが、落とし卵)。

●2022年8月19日(金)晴れ

ゆうべは涼しかったな。
何度か目が覚めたのだけど、クーラーみたいなひんやりした風が網戸から入ってきていた。
7時に起きた。
今日は9時半に家を出て、美容院。
そのまま王子動物園に行き、中野さん、ゆうとく君、そうりん君と落ち合うことになっている。
前回会ったのはゴールデン・ウィークだったから、3ヶ月ぶり。
ふたりとも大きくなっただろうな。
動物園のあとは、4人で電車に乗って中野さん宅へ。
中野さんたちが暮らしている町は、明日から夏祭り。
今年は3年ぶりに花火大会もある。
3泊か4泊して帰ってくる予定。
お盆を過ぎて、蝉の声が小さくなったような気がするけれど、今日からが私の本格的な夏休みだ。
英語のドリルも持っていこう。
夜ごはんは、カレーの合いがけ(タイカレー・鶏肉、茄子、黄色ピーマン、トマト・私作)&(チキンカレー・お姉さん作)、らっきょう。

●2022年8月17日(水)雨

きのうは鰻を食べ、三宮の街を歩いているとき、体の中がポカポカして、なんだか力が抜けるような感じになった。
ぼわーっと、いい気持ちだった。
土砂降りのなかタクシーで帰ってきて、すぐにお風呂に入り、ベッドに倒れ込んだ。
ラジオではクラシックがかかっていて、ゆらゆらと聞きながら。
9時にラジオを消して寝た。
ひさしぶりにぐっすり眠れた。
なんか、おもしろい夢もみたような気がする。
鰻はすごいなあ。
食べ物の力が体に及ぼす影響は、やっぱり相当のものだ。
そして、山下清の貼り絵は、本当にすばらしかった。
木や緑の微妙な感じ、空や雲の光。
目に見えたままを、忠実に再現してあることが分かった。
細かくちぎった紙や、小さなこよりを1本1本貼り合わせ、横から見たら、表面が膨らんでいた。
私は、技術的に上達していった後期のものよりも、初期のころの拙い感じのする絵が大好きだった。
とくに、植物の貼り絵。
あんなの、はじめて見た。
「アキノキリンソウ」の絵がとても好きで、何度も見にいった。
あと、オレンジ色の百合が出てくる貼り絵もとてもよかった。
テーブルの上に、西洋風のクロスが敷いてあるのだけど、本物の布のよう。
刺繍なのかパッチワークなのか、花の模様が愛らしい。
離れて見たり、近くで見たりした。
有名な花火の絵も、見物している大衆ひとりひとりの後ろ頭が、小さく小さくちぎった紙で、ぎっしりと貼りめぐらされていた。
黒い紙を貼り合わせた空、空気も、まるで本当の夜のようだった。
あと、清の持ち物がショーケースに少しだけ並んでいたのもよかった。
黒い塗りに、花の絵が描れている、外国のお土産みたいな手の平に乗るくらいの小さな置き時計。
清はこの時計を、とても大切にしていたと書いてあった。
やっぱり、美しいものが好きだったんだな。
私はとても真剣に、ひとつひとつをじっくりと見てまわってから会場を出た。
だから、ヒロミさんと今日子ちゃんをお待たせしているんじゃないかと気になったのだけど、そんなことはなかった。
ずいぶんたってから今日子ちゃん、そしてまたしばらくしてヒロミさんが出てらした。
三人で「よかったですねえ」「ねえ」「いいわあ」と言い合いながら、歩いた。
今日子ちゃんは、清みたいなリュックが欲しいと言っていた。
私は花の絵が描かれた、小さな木の置き時計が欲しい。

今朝は大雨。
空が白く膨らんで、下の方は薄くなり、街全体をぼんやりと覆っている。
海、建物、高速道路、煙突。
また、清の貼り絵に見えてくる。
さ、今日は「毎日のことこと」と「きょうの料理」の校正からはじめよう。
夜ごはんは、豚肉とオクラの黒酢炒め、味噌汁(とうもろこし、ワカメ)、昆布と椎茸の薄味佃煮、ご飯。

●2022年8月16日(火)曇り

6時に起きた。
ゆうべはちょっと寝苦しく、何度も目が覚めた。
クーラーをつけたり、消したり。
「中学生の基礎英語1」の再放送は、ココたちのサマーキャンプのはじまりの回だった。
今朝は空も海も白い。
下の方にも雲がたれ込めているけれど、蝉たちは懸命に鳴いている。
ミンミンワンワンシャンシャンジリジリ……クマゼミ、ミンミンゼミ、アブラゼミの大合唱。
あ、ツクツクボウシが今加わった。
今日は、今日子ちゃん、ヒロミさんと六甲ライナーに乗って遠足に出かける。
六甲アイランドで開催している山下清展を見にいく。
そのあと、三宮にまわって、憧れの「ベニマン」さんにも行く!
12時に六甲駅で待ち合わせ。
なので、『ちむどんどん』は朝のうちに見ておいた。
早お昼を食べて、出かけよう。
それまで、英語のドリルをやろう。

山下清展は、とてもよかった。
「ベニマン」さんで桃パフェを食べ、海まで3人で散歩して、夜ごはんは元町の「青葉」で鰻重。
六甲駅に着く直前で大雨。
タクシーに飛び乗って、帰ってきた。
ああ、大満足のおいしくて楽しいゴージャスな日だった。
明日からまた、つましい自炊の日々に戻ろう。
夜景の光が、山下清の貼り絵に見える。
遠くの海でちらちらしている光や、対岸の山裾の、ちちちち。
黒い海、雲、空。
清がこの家に来たらきっと、貼り絵にしただろうなあ。

●2022年8月15日(月)曇りのち

6時10分前に起きて、ラジオ。
このところ暑くてよく眠れないため、寝過ごしてしまう日々が続いていたけれど、ようやくいつもの時間が戻ってきた。
「古楽の楽しみ」の次は、天気予報と「中学生の基礎英語1」。
8月の英語のレッスンは、これまでの復習のため再放送がかかるので、気が向いたときにしか聞いていなかった。
そのかわり、夏休みのドリルがある。
テキストを買ったら付録でついてきた。
重要文法&重要フレーズの「完全マスター練習帳」。
まだ、1ページもやっていない。
やらなくちゃ!
今朝は空が白く風はないけれど、いくらか涼しい。
さて、「毎日のことこと」の続きをやろう。
暑くなってきたら、また2階に避難するつもり。
「毎日のことこと」は1時くらいにだいたい書けた。
雑誌の校正ゲラも、ふたつ確認した。
今日は、おかげさまで暑さもほどほど。
ずっと1階で仕事ができた。
ありがたい。
今は6時を過ぎたところなのだけど、風がクーラーみたいにひんやりしている。
そして、ツクツクボウシ。
夜ごはんは、春雨サラダ(牛そぼろ、ピーマンの塩もみ、とうもろこし)、美茄子(ビーナスという皮が黄緑色の茄子)のフライパン焼き、ごぼう味噌、ご飯。

●2022年8月14日(日)曇り

空も海も白い。
今朝は少しは涼しいみたい。
助かるなあ。
このところあまりにも暑く、頭がぼんやりして、日記を書くのを忘れていた。
中野さんが山梨の展覧会の帰りに立ち寄ったのは、火曜日。
2泊された間に、お土産話をたくさん聞いた。
そこは、きさらちゃんのご両親が開いている画廊「ナノリウム」。
森の中にあって、避暑地のように涼しく、広々として、なんだかとってもいいところのようだった。
中野さんは母屋から離れた小屋に寝泊まりしながら、外で大きな絵を描いていた。
夕暮れには絵を見ながら、お父さんとビールを呑んだのだそう。
ご両親の楽しい話もいっぱい聞いた。
きさらちゃんのお母さんの料理、おいしそうだったな。
いいなあ。
食べてみたいな。
朝いちばんで、「シンスケ」のゲラの最終校正をした。
これは、8月26日(金)の秋田の新聞「秋田魁新報」に掲載されます。
ウェブでも無料公開されるのだそう。
リトルモアを辞めて秋田に移住した熊谷さんとの、ひさしぶりの仕事。
詳しくは、「ちかごろの」をご覧ください。
さあ、今日から私は「毎日のことこと」を書きはじめよう。
あんまり暑いようだったら、2階に机を持っていってやるつもり。
文を書いていると、暑いのを忘れてしまう。
それは、「あたま」だけになって、体が置き去りになっているということ。
5時半まで2階で書いていた。
夜ごはんは、ポテトサラダ(いつぞやのにとうもろこしを加えた)、冬瓜と豚肉のおつゆ(干し椎茸)、日清焼きそば(とうもろこし)。
今日もまた、蒸し暑い一日が終わった。

●2022年8月13日(土)晴れ

きのうの夜ごはんは、中野さんの山梨土産のとうもろこし4本をぜんぶゆで、1本半食べた。
ほかには何も食べなかった。
日暮れどきで、雲の縁が茜色に光っていた。
移りゆく雲の色を見上げながら、私は夢中でとうもろこしにかじりついた。
首筋に汗がしたたる。
歯にめっちゃ挟まるし、顔には汁が飛び散るし、手もべたべたになる。
それでもいいやと思って、無心でかじりついていた。
蝉も鳴いていたと思う。
そのとき私は、なんだか恍惚としていた。
最後、お醤油をちょっとつけて食べたら、お祭りの味がした。
この暑さとゆでたとうもろこし、いいなあ!
残りのとうもろこしは粒をはずし、半分は冷凍、半分は冷蔵庫に入れた。
お味噌汁にするのも楽しみだ。
今朝は、朝ごはんのあとで絵本のテキストを書いていた。
これは、詩なんだろうか。
おととしくらいから書いては消し、書いては消していた「なつのやさい」。
いつか、ずっと先になってもいいから、誰か絵を描いてくれないかな。

今、2階にクーラーを入れたところ。
さっきまでリビングでお裁縫をしていたのだけど、夢中になってやっていたらクラッときた。
危ない、危ない。
夕方になって、ようやく涼しくなった。
夜ごはんは、ぶっかけ素麺(オクラ、みょうが、ワカメ)、蓮根と鶏肉の甘辛味の煮物。

●2022年8月6日(土)雨のち晴れ

朝、ラジオの天気予報で、淡路島の上空に発達した雨雲があると言っていた。
それが、東に向かって流れているのだそう。
カーテンを開けると、淡路島の辺りは本当に灰色で覆われ、何も見えない。
しばらく見ていたら、海の上をぐんぐんこちらにやってくる。
雲というより、黒灰色の長い煙。
黒灰色の龍。
そのうち、大粒の雨が降り出した。
横殴りの大雨。
あちこち窓を閉めてまわる。
今は8時。
小雨になり、少し明るくなってきた。
さあ、今朝は、2階に掃除機をかけるところから。
1階もかけて、雑巾がけをして、『帰ってきた 日々ごはん⑫』の最終ゲラをお迎えしよう。
ところが、待てど暮らせど荷物は届かず、けっきょく夕方の4時半に着いた。
もう遅いので、明日からとりかかろうと思う。
夜ごはんは、とうもろこしの冷やし中華、きゅうりのキムチ風、スイカの白いところのサラダ。
日暮れどき、ツクツクボウシの大きな声。
網戸の外側に、1匹はいつくばっている。
ツクツクボーーツクツクボーーツクツクツクツク……
今日は私、何をしていたんだっけ。

●2022年8月5日(金)晴れのち夕立、のち晴れ

このところずっと、ああでもないこうでもないと考えていた本の帯の言葉が書けたみたい。
河出書房新社の高野さんにお送りし、お返事を待ってから、「FARMSTAND」へ。
ランチを食べたいし、亜由美さんとお打ち合わせもしたかったので。
窓から見ると、御影あたりの上空にグレーの雲がかたまっている。
街が見えないくらいに。
あそこはきっと、大雨が降っているんだ。
雲はみるみる近寄ってきて、大粒の雨がぽつぽつ。
これから大雨になるかもしれないので、やりすごしてから出掛けようと思っていたら、亜由美さんが車でビューンと迎えにきてくださった。
うちの近所の角を曲がったところで、空の色が変わった。
眩しい光、雨なんか降っていない。
青谷にある米粉のパン屋さんに寄って、おいしそうな食パンと白パンを買った。 
暑い、暑い。
1時半くらいに、お腹ぺこぺこで「FARMSTAND」に着いた。
ランチを待っている間、店内をうろうろと見てまわっているとき、スタッフの若い女の子ふたりが、農家さんから届いたばかりの野菜に値段をつけながら、棚に並べていた。
それぞれが自分の仕事に集中し、ちゃっちゃと動いていた。
お店の中は涼しくて、広々としていて。
厨房で料理を作っている子も、レジを受け持っている子もみんな清々しく、気持ちのいい笑顔を向けてくれる。
自由な空気が流れているのだけど、それだけではない。
「FARMSTAND」はいいなあ、やっぱりいいお店だなあ。
ランチのとうもろこしのパコラも、南瓜と何かの葉っぱのカレーも、夏野菜の酢の物も、モロヘイヤとトマトのスープもとってもおいしかった。
このところ私は食欲が少し落ちているような気がして、お昼に何を食べたいのか分からなかった。
きっと、誰かが作った料理を食べたかったんだと思う。
打ち合わせはランチを食べながら。
冬瓜、ニラ、ツルムラサキ、ずっとほしかった神戸産ちりめんじゃこと、淡路のワカメも買えた。
下のワイン屋さんでオレンジワインも買えた。
おいしいものをいっぱい持って、電車で帰ってきて軽く買い物し、タクシーに乗って、家に着いたとたんに土砂降りとなった。
窓の外はまっ白で、向こうが見えないくらい。
大雨の間をぬって、さっぱりとした楽しい時間を過ごし、3時くらいにさーっと帰ってくることができた。
中野さんから電話。
2時間くらい前、小野でも土砂降りだったそう。
ユウトク君と駅まで電車を見にいっていたら、急に空が暗くなり、雷が轟くなか(まだ雨は降っていない)、フロントガラスから眺めながら帰ってきたのだそう。
入道雲と入道雲の間で稲妻が光っていて、ラピュタの空のようだったそう。
中野さんたちもまた、帰り着いたとたんに土砂降りになったとのこと。
今は、雨上がりの涼しい窓辺でお裁縫。
寝室のレースカーテンの、やぶれたところを繕っている。
教会の鐘が6つ鳴って、蝉もジリジリジリジリ。
暗くなるまでやっていた。
ヒグラシがカナカナカナカナ。
東の空には白い半月。
夜ごはんは、茄子のフライパン焼き、スパイスちりめんじゃこ(にんにく、甘唐辛子、スパイス屋さんのカレーパウダー)、キムチチャーハン(中野さんが作ってくれたお昼ごはんの残り)。

●2022年8月3日(水)晴れのち夕立、のち晴れ

今、クマゼミが飛んできて、網戸のこちら側(部屋の中)にとまった。
わ!
布でくるんで出してあげようとしても、暴れる。
ジリジリミンミンジジジジ!
私がどきどきしているからだ。
蜂じゃないんだから、刺したりはしないんだからとお腹に力を入れ、「ほらほら、よしよし」と言いながら、しっかりとくるんでやったら、落ち着いた様子で今、ようやく外に飛んでいった。
日曜日から中野さんが泊まりにきていて、さっき帰られた。
車で来ていたので、1日目は「コープさん」へ。
2日目は「IKEA」に行ってお昼を食べたあと、ぐるりとひと通り見てまわった(布団の上に敷くひんやりマットを買った)。
3日目は八幡さまに車を停め、電車に乗って、朝から三宮の阪急デパートに買い物にいったり。
夕方はいつも、3時か4時くらから呑みはじめ、おいしくて栄養のあるものをしっかり食べた。
何を作ったんだっけ。
1日目は、あんまり暑いので2階にクーラーを入れ、焼き茄子(オリーブオイル、塩)、鶏レバーの醤油煮(粒マスタード)、デザートチーズ&レーズン、ビール、シャンパン。
この日はお腹がいっぱいで、あまり食べられなかった。
2日目は、バイ貝のガーリックソテー(バジルペースト添え)、鶏肉のスパイス焼き、スイカの白いところときゅうりのサラダ、ビール、赤ワイン、焼酎の水割り、ご飯(中野さんだけ)。
3日目は、牛肉ステーキ(中野さんが焼いた)、明石の川津海老フリッター(天ぷら粉を炭酸水で溶いてみたら、とてもうまくいった)、ヒイカのトマトソースパスタ、ビール、赤ワインの炭酸割り、焼酎の水割り。
毎日、びっくりするほど暑かったけれど、海の近くの道をはじめてドライブしたり、ちょっとだけ迷ったり。
緑の夏山がくっきりと、迫ってくるように見えたり。
「暑い、暑い」と言いながら、山の入り口まで散歩したり。
早いうちから料理の支度をはじめ、窓辺で氷入りのビールを呑んだり。
スーパーやデパ地下で、「あれがおいしそう」「こっちの方がおいしそう」なんて買い物するのも、なんだかとても普通で。
楽しかったな。
夜ごはんは、焼き茄子、焼き甘唐辛子(ごぼう味噌添え)、冷たい味噌汁(オクラ、みょうが)、納豆、ご飯。
食べ終わると、突然の雷鳴と大粒の雨。
雨、雨、のちヒグラシ。
夕立のあとの、ひんやりした風がありがたい。

●2022年7月30日(土)晴れ

このごろは9時には眠たくなって、5時前に起きる。
蝉が鳴きはじめるくらいに。
今朝は起き抜けに、リトルモアの大嶺さんが送ってくださった『ポール・ヴァーセンの植物標本』を読みはじめた。
植物標本の百枚近い写真と、堀江敏幸さんが綴る物語。
映画のように美しい本。
紙の手触りが粉っぽい……というか、うっすらと花粉がついているように感じる。
フランスのポール・ヴァーセンさんという女の人が、100年ほど前に作った標本なのだそう。
野山に生えていたままを貼ったような、飾りなく、清楚なもの。
学術的な標本というよりも、ヴァーセンさんが自分の喜びのために集めた、押し花という感じがする。
刺繍の模様のようにも見える。
本のおしまいには、花の名前が記してある。
ウスベニアオイ、ヤグルマギク、オオアカバナ、フランスギク、エゾヘビイチゴ……
植物図鑑のようにも楽しめる。
堀江さんの文章も、端正で、静かで、とてもいい。
朝の光のなかで読むのに、ぴったりな本をいただいた。
毎朝、少しずつ読もうと思う。
100年前の植物標本はこの世にひとつしかないけれど、本になったら私たちも味わえる。
この世に本というものがあってよかった。
朝から「シンスケ」のコラムの推敲。
午後からは、先日取材された雑誌の原稿の校正。
3時過ぎにぐんぐん暑くなり、2階にクーラーを入れて避難した。
夜ごはんは、ハムエッグのせトースト、きゅうりとスイカの白いところのサラダ(玉ねぎ黒酢ドレッシング)。
6時半を過ぎたころ、ようやく涼しい風が吹いてきた。
まだ青さの残る空に、刷毛でなでたようなまっ白な雲。
ヒグラシが鳴いている。
今日も暑い一日が終わった。

●2022年7月26日(水)曇りのち晴れ

曇っていたので、朝ごはんの前にポストまで散歩。
『帰ってきた 日々ごはん⑫』の原稿をすべて送り出した。
頭の真上から蝉時雨が降ってくる。
帰りの坂道を、ゆっくりゆっくり上った。
表が銀で、内側がオレンジの小さな蝶がいた。
ひさしぶりに夏休みの坂道を上ってみた。
今年もゴーヤーの黄色い花が咲いている。
南瓜もひとつぶら下がり、青いパッションフルーツも。
この坂は、畑の作物を横目で眺めているうちにてっぺんに着く。
滝の汗で帰ってきた。
シャワーを浴びて、髪まで洗って、洗濯機をまわす。
これぞ夏!
さて、「シンスケ」のコラムを仕上げよう。
お昼には終わり、お送りすることができた。
今日は、きのうよりずっと涼しくて助かった。
風があったから。
夜ごはんは、枝豆と蒸し鶏の炒め物(粉山椒)、ひじき煮の卵焼き、モロヘイヤとオクラのポン酢醤油、ご飯はなし。

●2022年7月25日(火)快晴のち夕立

今朝も早起き。
きのうは、本当に暑かった。
息ができないくらいだった。
パソコンに向かって文を夢中で書いていて、いちどクラッとしたことがあった。
はっ!となって、水をぐんぐん飲んだ。
3時くらいに2階にクーラーを入れ、しばしお昼寝。
今日もまた、蝉たちが絶好調。
海は白っぽく霞んでいる。
暑くなりそうだな。
あんまりひどいようだったら、2階にパソコンを持ち込んで続きを書こう。
さ、今日も「スンシケ」の作文。
夏休みの宿題だ。
7時。
書けたかも。
もくもくと、燃えるような入道雲。
中から灯りが透けているみたいに赤い。
海にも映っている。
ヒグラシ、ヒグラシ。
部屋の中まで赤くなった。
そのうち雷鳴が轟き、雲の中から稲妻が。
夜ごはんは、豚肉の生姜焼き(ゴーヤーを炒めて加えた)、ビール。
お風呂に浸かっていたら、大きな音を立て雨が降り出した。
どしゃぶり!

●2022年7月24日(日)快晴

ゆうべも、その前も、クーラーをつけなくても涼しくて、ぐっすり眠れた。
今朝は、蝉が気持ちいいほどに鳴いている。
シャカシャカジャンジャン。
降ってくるように、鳴いている。
空は青く、海も青く、風がひんやり。
床に敷いていたマットを、今洗濯しているところ。
このところせっせと書いていた「おまけレシピ」も「あとがき」も、そろそろ終わりが見えてきた。
きのうは、アノニマの村上さんから章扉のデザインが送られてきたので、3校のゲラに挟み込みながら、もういちどはじめから眺め直そうと思う。
たまらなくいい扉なので、すごく楽しみ。
コーヒーをいれて、静かに向かおう。 
午後からアルバムのキャプション書き。
2時には、終わったー!
ごぼう味噌を持って「MORIS」へ。
今日子ちゃんは、「スス」で何かの教室だったのだけど、抜け出してきて、しかもマスカットのショートケーキを私とひろみさんのおやつに!
このところずっと根をつめて仕事をしていたので、ご褒美のケーキみたいだった。
おいしかったなあ。
私たちが食べている間、今日子ちゃんは教室のみなさんのおやつのマスカット・ショートケーキの仕上げをしていて……ちょうどグリーンのワンピースを着ていた私は、でき上がったホールのケーキを抱え、白壁をバックに写真を撮っていただいた。
束の間の撮影会。
楽しかった!
たっぷり買い物をして、帰ってくる。
夜ごはんは、鶏レバーの醤油煮(粒マスタード)、モロヘイヤのお浸し、卵焼き、おにぎり(しそワカメ)。
ひさしぶりに『ちび丸子ちゃん』を見ながら食べた。
6時半。
ヒグラシ。
海も空も、まだ青い。

●2022年7月22日(金)晴れ

もう6時半なのかと思って起きたら、5時半だった。
ようやくぐっすり眠れた。
カーテンを開け、空を見ながら「古楽の楽しみ」を聞き、「中学生の基礎英語1」。
いろいろなことがあって、長いこと日記が書けなかったけれど、おとついの雑誌の取材で外まわりの仕事はすべて終わった。
あとは体の内側の仕事。
たまっていた宿題の原稿を、今次々に書いている。
ああ、今朝はいい風。
海から山から、秋のようなひんやりした風が吹き抜ける。
なのに蝉はミンミンシャンシャン。
夏と秋が混ざったような朝。
ここ数日のこと、少し思い出して書いてみよう。
まず日曜日には、1時くらいに東京からアノニマ・スタジオの村上さん。
2時に渡邊良重さん、川原さんがやってきた。
良重さんは部屋に入るなり、「はーーー」「ふーーー」と言って、両手を広げたり上を向いたりしてらした。
言葉にならないみたいだった。
私は、もう充分に、嬉しかった。
そのあとで、「なんていいところなんでしょう」とおっしゃった。
前もって良重さんが送ってくださった、果物みたいな香りのするオレンジワイン(アルゼンチンのナチュール)とともに食べはじめた遅いお昼ごはんは、人参の塩もみサラダ(今日子ちゃんの真似をして極細切りにした・玉ねぎドレッシング)、メイクインの新じゃがサラダ(手作りマヨネーズ、玉ねぎ、ディル)、鶏レバーの醤油煮(すばらしくレアにできた・生姜のかわりに黒粒こしょうとにんにくを入れたのもよかった)&みょうがスライス&粒マスタード(川原さんの手作りのものと、村上さんのお土産「エゴマスタード」を混ぜた)、スイカの白いところのサラダ、蒸した黄色ピーマンのマリネ(バルサミコ酢、オリーブオイル)、とうもろこしの炊き込みご飯&南インド風チキンカレー&ガパオ(合いびき肉、赤ピーマン、玉ねぎ、生バジル)、紫玉ねぎのピクルス、香菜添え。食後にちょっと甘めのデザートチーズと枝つきレーズン。
窓辺に4人で腰掛け、変わりゆく空の色や海を眺めながら、おしゃべりしながら。
月曜日は、「FARMSTAND」の2階の「キタノマド」で、良重さんと『帰ってきた 日々ごはん⑪』の刊行記念のトーク。
主にはお互いの母を見送ったときの話。
最後に、良重さんが書かれた「母について」という文章を朗読した。
この文章は、5月に届いた良重さんからの手紙に同封されていた。
「暮しの手帖」に寄稿した私の「母を送る」を読んで、「なんだか、ちょっとだけ重なる部分があるなと思いました」と、送ってくださった。
良重さんのお母さんも一昨年に亡くなり、お姉さんと二人で看取ったとのことだった。
はじめて読んだとき、時間が止まったようになった。
声に出して読むと心がしんとするので、私は寝る前に枕もとの電気だけつけ、朗読していた。
母のことを思い出し、涙が出ることもあった。
良重さんの手紙には、「忘れないようにと思って書いた作文」とあったけれど、長い詩のようでもあり、絵のない絵本のようでもあり、物語のようでもあり、私の想いを代弁してくださっているようにも感じた。
誰の心にもしみ渡る言葉。
深く、明るく、軽やかな、ひろびろとした物語。
だから、集まってくださったみなさんにも、その物語を届けたかった。
とちゅうから私は、読んでいることを忘れ、体から出てくる声と言葉がひとつになるような感触があった。
そうそう。
「石井ゆかりの星読み」という星占いを、私は毎朝楽しみに読んでいるのだけれど、何日か読むのを忘れていた。
それで、いろいろ終わって、ひさしぶりに読んでみだら、トークイベントが開かれた日の全体の言葉として(星座に関わらない、今日という日についての星読み)、こんなことが書いてあった。
「普段一番光の当たらないものに、一番強い光を当てるような精神の作業」
どの星座の人にとっても、そんな一日だったんだ。

さあ、今日も『帰ってきた 日々ごはん⑫』「あとがき」の続きをやろう。
「おまけレシピ」も試作をして、続きを書かなくちゃ。
そのあとは、『帰ってきた 日々ごはん⑫』の3校。
まだまだ宿題は終わらない。
海が青いな。
風が吹いてくる。
夜ごはんは、この間川原さんに教わった豚の生姜焼き(玉ねぎ)、ゴーヤーのフライパン焼き、おにぎり(しそワカメ)。

●2022年7月15日(金)小雨、一時晴れ

明け方、ヒグラシの声で目が覚めた。
5時にラジオ。
「古楽の楽しみ」のあとは、「中学生の基礎英語1」。
まだぐっすりとは眠れないけれど、ようやくいつもの時間が戻ってきた。
起きて、窓を開けたら、雨上がりの電線にツバメが4羽並んでとまっていた。
みんな羽づくろいをしたり、どこかを見たり、羽をバタバタさせたり。
1羽だけ、上の電線にとまっている。
私はどうしても、そういうツバメが気になる。

おとついは東京での打ち合わせのあと、もういちど「シンスケ」に出掛け、カウンターでひとりで呑んだ。
お客さんにならないと、とてもじゃないけれど文など書けないことが分かったから。
途中から川原さんも来てくれて、終電のぎりぎりまで呑んだり、食べたり。
「シンスケ」は、本当にいいお店だということがよく分かった。
楽しかったな。
けっきょく、新大阪までの終電しかなく、六甲道までのJRも終電だった。
それでも12時半くらいには家に着き、お風呂に入ってパタンと寝た。
そんなわけで、きのうはまだ使い物にならなくて、どうしてもやらなければならないことだけ仕事した。
『帰ってきた 日々ごはん⑫』の三校もやっていたのだけど、母が亡くなった日で緊張がとけ、たまらなくなってお昼寝もした。
ごはんもあまり食べたくなく、夜ごはんはアイスクリームだけだった。
東京から帰ってきたら、蝉が本格的に鳴き出した。
小雨のなか、リジリミンミン鳴いている。
雨が多いのも涼しくてとても助かる。
夜ごはんは、茄子のオイル焼き(淡河の茄子を厚めの輪切りにしてふたをし、米油でじっくり時間をかけて焼いたら、とろとろにできた!)、鶏レバーの醤油煮、味噌汁(豆腐だけ)、ご飯、即席しば漬け、アイヌ葱の醤油漬け(アムとカトキチが作って送ってくれた)。
ちょっと早いけれど5時に食べた。
今は6時。
ヒグラシ鳴いて、空はまだまだ明るい。

●2022年7月12日(火)大雨

ゆうべの雨と雷鳴はすごかった。
でも、ゆらゆらしているうちに眠ってしまった。
ああ、よく寝た。
夜中、トイレに下りてくると、百合の花の濃厚な匂いがした。
5時半に起きて、ラジオ。「古楽の楽しみ」そして「中学生の基礎英語1」。
雨はまだ降っている。
百合の花は満開。
さあ、タクシーを呼んで、東京へ行ってきます。
東京駅で熊谷さんと待ち合わせ、湯島の「シンスケ」という居酒屋に取材にいく。
帰ってきたら、熊谷さんが担当している新聞の紙面に文章を書くという宿題をいただいている。
お店を取材してエッセイを書くなんて、生まれてはじめて。
どきどきする。
次の日の水曜日は、「ポレポレ坐」のカフェで、アノニマの村上さん、川原さんと、新しい本のための打ち合わせ。
終わったら、白木さんと河原さんが来てくださり、テレビの打ち合わせもする予定。
きさらちゃんにも会える。

●2022年7月10日(日)雨のち曇り

ゆうべは、月を見ながらベッドに寝そべっていて、『生と死の境界線』を読んでいたら、雨が降ってきた。
明け方にも降っていた。
ザーーーッと、何もかも洗い流すような雨。
朝風呂から上がったら、やんでいた。 
よかった。
今日は選挙だから。
静かな日曜日。
来週は火曜日から東京に出張なので、それまでにやることをやってしまおう。
まず、「気ぬけごはん」の仕上げ。
3時ごろ、日傘を差してゆらゆらと坂を下り、選挙に行った。
帰りに、「コープさん」でアイスクリームを買った。
ドライアイスをもらったから、歩いて坂を上ろうかなあとも思ったのだけど、やっぱりタクシーにした。
おかげであっという間に行ってこれた。
今は5時。
海が青い。
夜ごはんは、春雨とトマトのスープ(蒸し鶏、溶き卵)、カレーパン、ゆでとうもろこしの予定。

●2022年7月9日(土)晴れ

母の命日。
祭壇の上のレースを洗濯した。
きのう「いかりスーパー」で買っておいた百合の花は、白いのが咲くんだとばかり思っていたら、ぷっくり膨らんだ蕾にピンクと黄緑のすじ。
とても綺麗。
開きかけた花は、中からピンクがのぞいている。
すごくいい香り。
きっと母は、白よりもピンクがよかったんだな。
朝から耳鼻科、美容院。
お昼を過ぎたころ、「MORIS」に寄ってサイン。
ひろみさんがお買い物から帰ってきて、「あら、ちょうどよかった。なおみさんに、いいものがあるんです」と言ってくださったのは、鰆の西京漬。
水道橋筋の市場のおいしいの。
わー、嬉しい。
帰ってきて、西京漬を焼いて、遅いお昼ごはんを食べ、あちこち念入りに掃除。
祭壇もきれいに並べ替えた。
早めの夜ごはんを食べながら、『トムソーヤの冒険』を見ていたら、開け放った玄関からひんやりした山の風が吹いてきた。
海からも吹いてくるので、窓辺のカーテンはもちろん、玄関口のレースも、食器棚の布も、本棚の布も、部屋中の布という布がいっぺんに膨らんだ。
風は、いいな。
なんだかあの世から吹いてきたみたいだった。
明るいうちにお風呂に入ってしまう。
今は7時20分。
汽笛がボーーーーッ。
空はまだ青く、ミンミン蜩が鳴いている。
窓から腕を出すと、今日の風はやけに涼しく、高いところから吹いてきている気がする。 「お母さん、私、元気にやってるよ」
夜ごはんは、生とうもろこしのイタリア風卵焼き、ミニトマト(日向夏のジュースをふりかけた)、南瓜のマッシュ、人参の塩もみサラダ(玉ねぎドレッシング)。
お昼をしっかりめに食べたので、ご飯はなし。

●2022年7月7日(木)晴れ

今日は七夕。
気づけば、あっという間に木曜日。
おとついは「天然生活」の撮影だった。
「きょうの料理」のテキスト撮影の日は、最高の暑さだったけれど、雨が降ったおかげでずいぶん涼しく、助かった。
宮下さんとよしこさんのいつものチームだし、東京から八幡さんもいらしてくれたので、とてもスムーズに楽しく撮影が進んでいった。
4時前には終わった。
そのあと、みんなで「MORIS」に行った。
今日子ちゃんの梅ミルク(青梅のジャムを牛乳に加えて、スプーンでよくよく混ぜ、とろとろにして飲む)をごちそうになり、私は『帰ってきた 日々ごはん⑪』のサイン。
2台のタクシーに別れ、ねぎラーメンを食べにいったのも楽しかった。
みんなでシェアした料理は……レバニラ炒め、卵春巻き、蒸し鶏とねぎの辛い炒め物、海老と鶏肉のオイスターソース炒め。
帰りは別々のホームに別れ、線路を挟んで手を振り合った。 
みなさんとお別れしても、ひろみさん、今日子ちゃんと私は同じ電車で帰れる。
なんだか家族みたいで幸せだった。
賑やかな楽しい時間を過ごしたので、おかげできのうは集中でき、「毎日のことこと」の校正と、現金出納帳をせっせとつけた。
今日は朝から出納帳をパソコンに入力し、「気ぬけごはん」をずっと書いている。
海は青く、涼しい風が吹きぬける。
そういえばきのうの夕方、はじめてヒグラシの声を聞いた。
夜ごはんは、蒸し南瓜のオリーブオイル焼き(一味唐辛子、塩)、人参の塩もみサラダ(玉ねぎドレッシング)、紫玉ねぎのピクルス、ビール。
夜ごはんを食べながら、『トムソーヤの冒険』をまた1話から見はじめた。
空を仰げば、あちこちに飛行機雲が伸び、高いところには白い半月。
今は6時半、まだまだ明るい。
『トムソーヤの冒険』は、12歳のトムとハックの6月から夏休みが終わるまでの物語。
今、だからいいんだな。 
ミンミン蝉が鳴いている。
今年もまたトネリコの白い花が咲きはじめた。
夏の山の匂いが下りてきている。

●2022年7月3日(日)雨が降ったり止んだり

ようやくの雨。
涼しくて、とても助かる。
緑も、地面も、私も、うれしい。
朝から少しずつ宿題をやる。
まず「毎日のことこと」を仕上げた。
たまっていたメールのお返事。
おとついの撮影のレシピ修正。
なんとなく頭がぼーっとするので、お昼寝。
おとついの撮影の日は、これまででいちばん暑かった。
お昼を食べようと思って屋上に上ったのだけど、あまりにもカンカン照りで、熱中症になりそうなりそうなので下りてきた。
3時半くらいに終わり、編集の千葉さんとちよじと3人で北野に行き、スパイス屋さんで小さな撮影。
みんなしてインドのスナック菓子や、スパイスを買っていたら、レジのおじさんがインドのアイスをくださった。
チャイ味の棒アイス。
めちゃくちゃ濃厚で、おいしかったなあ。
ちよじは1泊し、朝からパジャマトーク。
体操を教わったり、くんじとヤーノにテレビ電話をかけたり。
そして、また撮影。
黒い服を着たちよじが、黒い絵を集中して撮っている様子が美しく、思わず私もiPhoneで撮った。
海は青く、空も青く、その青が床に映り込んでいた。
4時くらいだったかな、六甲道に出て、「丸徳寿司」でお土産を買い、ちよじは実家に帰っていったのだった。
今日は5時前にお風呂に入ってしまう。
窓辺で夜ごはんを食べながら『トムソーヤ』。
ついに、最終回まで見てしまった。
茄子とズッキーニのサイコロ炒め(撮影の残りのスパイシー肉だんご、ディル入り塩麹)、南瓜のマッシュ、冷やしトマト。ご飯はなし。

●2022年6月28日(火)晴れ

ゆうべも寝る前に『生と死の境界線』を読んだ。
もう、ほとんど最後まで読んでしまった。
なんという凄まじい本だろう。
しばらくしたら、またはじめから読もうと思う。
朝から「毎日のことこと」。
海も空も青い。
海からは風。
涼しいけれど、風が吹くたびにカサカサと緑のこすれる音がする。
見ると、なんとなくしなだれて、白っぽい。
雨が降ればいいのに。
と、思っていたら、お昼のニュースで近畿地方も梅雨明けしたとのこと。
「観測がはじまって以来、いちばん早い梅雨明けです」とのこと。
「毎日のことこと」はずいぶん書けた。
さあ、今日もちくちくと『トムソーヤ』。
そうめんのフォー(蒸し鶏、香菜、青じそ、みょうが、赤唐辛子の酢漬け)、スイカの皮の塩もみ。

●2022年6月27日(月)晴れ

今日もまた晴れ。
梅雨だというのに、こんなに晴れの日が続いていいんだろうか。
洗濯物がよく乾くのはありがたいけれど。
ゆうべも、寝る前に『生と死の境界線』を読んだ。
おもしろくて止められず、もうずいぶん読んでしまった。
柱時計の音が11回聞こえ、仕方なく電気を消した。
目をつぶったら風が強く、窓のカーテンが大きく膨らんだり、また戻ったり。
それが心地よく、ゆらゆらと眠りに落ちた。
夢も何かみたと思うのだけど、ぐっすり眠った。
今朝は洗濯ものをたっぷり干し、リビングに敷いていたマットも干し、あちこち掃除機をかけたらもう12時だ。
「毎日のことこと」の書きたいことが上ってきているので、午後からとりかかろうと思う。
その前に、お楽しみの『ちむどんどん』。
お昼ごはんは「気ぬけごはん」の試作のカレイの煮つけ。
ふっくらとおいしそうに煮えた。
白身をよく泡立てたふわふわ納豆と、炊き立てご飯。
このごろはお昼をしっかりめに食べ、夜軽くがちょうどいい感じ。
けっきょく今日は、「毎日のことこと」の冒頭だけ書き、7月の予定を立てて一日が終わった。
7月はなんだかとても忙しい。
撮影やら、取材が目白押しで、トークイベントもある。
先週くらいから私は、夕方になるとAmazonプライムで『トムソーヤの冒険』を見ながら窓辺で裁縫をしているのだけど、きのうは旅回りの芝居小屋の女の子リゼットとハックの物語だった。
リゼットの見送りには行かなかったハックが、木の上の小屋から船を見ている場面。
あのハックが泣くものだから、私ももう涙がぼろぼろ。
今日もまた日が暮れる前に、ちくちくと『トムソーヤ』。
麻の白いブラウスを2枚同時に縫っている。
夜ごはんは、蒸し鶏(ごちそうラー油)、南瓜のマッシュ(手作りマヨネーズ)、茄子のフライパン焼き、小さなおにぎり(しそワカメ)。
きのうから、夕方に蝉が鳴きはじめた。

●2022年6月22日(水)曇りのち晴れ

今、青い空と海に向かって、「おつかれさま!」とビールを開けたところ。
今日はがんばったから。
『帰ってきた 日々ごはん⑫』の再校正が終わったし、『帰ってきた 日々ごはん⑪』のサイン本も100冊作った。
明日も晴れのようだから、ヤマトさんに集荷の予約をしておいた。
雨に濡れずに東京へ届けてもらえるように。
『帰ってきた 日々ごはん⑪』は、母を見送っていたころの記録。
今年のはじめから熱を入れて向き合ってきた本が、みなさんのところにぶじ届きますように。
乾杯!
つまみは、塩サバをカリッと焼いて、鬼おろしをたっぷり(レモン汁を搾った)。
南瓜(りうが送ってくれた)のマッシュ、スイカの皮のサラダ、ワカメのポン酢醤油。
これが夜ごはん。
今朝は、ラジオの英語のあと、『生と死の境界線』を読みはじめた。
とてもおもしろい。
精神分析のこともたくさん書いてある。
岩井寛というひとりの人が、人生をかけて学んできたことを、洗いざらい、体を張って伝えてくれる最後の講義みたいでもある。
これまで私がずっと知りたかったこと、思ったり考えたりしていても、確信がなくて言葉にならなかったこと。
そういうことが、すっきりと分かりやすい言葉になって、きめ細かく紙に書いてある。
はじめて出合ったのに、前から知っていたみたいな馴染みのある世界。
不誠実なものがひとつも見当たらない本。
手に持った重さと、中身の重さが釣り合う本。
こんな本があるなんて。
今夜も寝る前に読むのが、とても楽しみ。

今日は、ちよじから電話があった。
「きょうの料理」の撮影は7月1日。
もう来週なのだな。
ちよじは何泊かすることになった。

●2022年6月21日(火)雨

梅雨らしい雨。
でも、うっすらと明るい雨。
静かな、静かな。
金曜日の夕方からきのうまで、中野さんと過ごしていた。
梅雨の晴れ間の3泊4日、買い物に出掛けたり、坂を上って汗をかきかき帰ってきたり、体操したり。
黒い絵の具の絵も3つ描いた。
呑んでいるときも、いないときも、ぽつりぽつりといろいろな話をした。
深い話も、嬉しい話も、くだらない話も、少し痛い話も。
いいこともよくないことも溶け合って、これからやってくる眩しい夏の、前夜祭みたいな日々だった。
考えてみたら、中野さんの絵に出合ったのはちょうど今ごろの季節。
『帰ってきた 日々ごはん』を遡ると、2015年の6月13日だ。
ご本人に出会えたのは7月23日。
ということは、今年は8年目の夏。 『帰ってきた 日々ごはん⑫』のなかに、「キチム」の奈々ちゃんがインタビューをしてくれた日記が出てくる。
そのときの記録は、「Live-rally」というリーフレット(「キチム」で販売されています)になっているので、思い出して読んでみた。
母を見送ってすぐだったから、感覚の皮がむけたようになり、いろいろなことを包み隠さず話していて自分でもおもしろかった。
インタビューの相手が奈々ちゃんだったからというのも、大きいと思う。
少し長くなるけれど、最後の箇所をここに引用させていただきます。

   ・
原田 小さい頃から言葉にしたくないと思っていたけれど、言葉にすることを仕事にしているんですね。言葉にできない世界を言葉にするということをやりたいんですかね?
高山 そうそう。それをずっとやりたいの。料理もそうだし、文筆も絵本もそう。言葉まみれ。言葉の音とかリズムとか、余韻とか、点の入り方とか、すきまとか。紙の質感とか書体とか、匂いもとっても関係がある。私は本を作るのが仕事だと思っているんだけど、言葉は見えるし読めるでしょ。だから、目に見えないものを目に見えるようにしたいんだと思う。目に見えるっていうのが言葉だと思ってる。
(中略)
高山 私は、まだ何者にもなっていないと思っていて。料理家っていうのにも当てはまらないし、文筆家も絵本作家も当てはまっていない。かなり出てきてると思うけど、まだ出てきてないものがありそうな気がする。神戸に引っ越したのは、そのせいだと思っていて。
原田 へえ。吉祥寺から、なんで神戸だったんですか?
高山 きっかけは、絵描きの中野(真典)さんだと思う。中野さんが兵庫に住んでいるから。一冊目の絵本『どもるどだっく』を作っていた時期に、あまりにも、私が言葉をしゃべり始める以前のことを、正確に描ける人に出会ってしまったんだよね。私は、どもりとか、人と違うっていうコンプレックスに対して、異端というか、暗いイメージを持っていたんだけど。あんなに明るくて、キラキラしたものだったんだって、思い出したの。目の前でパッと見せられた感じがした。確かにそうだったって、思い出したの。そこは自分にとって一番大事な世界だったのに、ずっと押さえ込んでいたから、体の表と裏がひっくり返っちゃったくらい、激しい出来事だった。
原田 すごいですね。
高山 それと、今住んでいる家の建物と立地もある。ネットでその外観の写真を見つけたんだけど、何十年も前に見た夢を思い出したの。高台にある、すごく頑丈ないい感じの建物で、そこにまた行きたいんだけど、道に迷ってどうしてもたどり着けないという夢を、そのあとも何度か見てるんです。不動産屋さんを通して下見に行ったとき、ここだなってわかった。窓から海と空がいっぱいに見えて、裏には山があって、自然の大きいスケールの中にいると、言葉がしゃべれなかった頃に戻っていく感じがある。自分が自然と一体化するみたいな、境がないみたいな感覚に近くなる。長いこと埋もれていた種が、神戸に引っ越してきたことで、芽を出しかけてる感じがしてる。でもね、ようやく出てきてはいるんだけど、作ることをまだしてないなって。『どもるどだっく』は、かなりのところまで行けたけど、まだまだだと思う。
原田 まだ、これからなんですね。何ができるのか楽しみです。
高山 ね。
  ・

今日は夏至だそう。
一年でいちばん昼間が長い、光のいちばん多い日だ。
雨が降っても、夏至は夏至。
さあ、今日からまたひとりに戻って、仕事をがんばろう。
まずは「気ぬけごはん」の校正と、『ははとははの往復書簡』の書評の校正。
そして『帰ってきた 日々ごはん⑫』の再校正の続き。
とても楽しみ。
夕方、中野さんに薦められてAmazonで買った本が届いた。
『生と死の境界線』岩井寛(口述)・松岡正剛(構成)。
精神科医で大学の先生だった方が、自分の亡くなるぎりぎりまで、体のこと、心のことなどを話し、記録した本らしい。
文字がぎっしり詰まった、とても立派な厚い本。
今夜から読みはじめよう。
夜ごはんは、スパイシー肉だんごサンド(玉ねぎ、香菜、辛いケチャップ)、茄子とピーマン焼き。
明るいうちに、お風呂に入ってしまう。
7時半。
まだ明るいけれど、霧に包まれている。
青白いような霧。
ラジオを聞きながら、お風呂上がりの体操。

●2022年6月15日(水)小雨のち晴れ間のち雨

朝、玄関の方から「ピッピョッピピッピチョピチョピッチョ」と大きな声がした。
テレビの中で鳴っているのかと思ったのだけど、消してもまだ聞こえる。
見にいくと、声は聞こえど姿は見えず。
しばらくして、「ホーーーホケキョケキョケキョケキョ」。
わ、ウグイスだ!
そういえば、越してきたばかりのころ、このウグイスのさえずりにいちいち驚いていた。
いつも山の方から聞こえてくる。
東京では聞いたことがなかった声。
大きく高い澄んだ声。
今日は1時から、テレビ番組のためのZoom取材があるので、8時に『ちむどんどん』を見ておいた。
続けて『朝いち』を見ていたら、ウグイスの声……というわけ。
さあ、いつもみたいに動き出そう。
きのうはピロリ菌の検査だった。
除菌されているとのこと。
病院の帰りに、亜由美さんに会いたくなり、三宮に行って「FARMSTAND」でおいしいランチを食べた。
たまたまお友だちと待ち合わせをしていたとかで、松田素子さんにも会えた。
そのあと、北野阪の上の方を亜由美さんの案内で散策した。
帰りに、インドのスパイス屋さんに寄って買い物。
「ユザワヤ」さんで縫い糸とバイヤステープを買って帰ってきた。
3時くらいから雨。
天気予報の通りになった。
朝から夕方まで、めいっぱい外出していたのは久しぶり。
近畿地方はきのう梅雨入りしたとのこと。
今日は、次回の撮影の試作をしながらレシピを書こうかな。
あ、明るくなってきた。
夜ごはんは、スパーシーだんご、焼売(スパイシーだんごのタネで作ってみた)、焼きサンド(スパイシーだんご、トマト、新玉ねぎ)。
今は6時。
音を立て、雨が降ってきた。
木々の緑のこちら側で、まっすぐに降っている。
海にも街にもまっすぐに、ひろびろと、降っている。

●2022年6月11日(土)小雨

6時に起きた。
天気予報によると、関西の梅雨入りは今日か、または来週の火曜か水曜日くらいだそう。
明日と月曜日は晴れるから、まだ決められないとのこと。
今朝のラジオは、フィンランドの合唱曲だった。
ベッドの上でストレッチをしながら聞いていた。
窓の外は小雨。
なんとなく肌寒い。
お昼前、「オギョギョギョギョ」という甲高い鳥の声が聞こえ、探しても姿は見えず。
鳴き声で調べてみたらホトトギスだった。 
ヒヨドリくらいの大きさの鳥なのだそう。
そうか、ウグイスとホトトギスは違う鳥なのだな。
なんだか明るい雨。
今、ツバメがつ――っと空を横切った。
今日は、ここ数日のことを思い出しながら日記を書いている。
そして、朝からずっとやっているのは、ホウロウの調理器具の汚れ落とし。
大きなボウルに重曹と油を2、3滴落とし、ヤカンやボウルなどをひとつずつ1時間ほど煮ては冷まし、水で洗う。
スポンジで軽くこするだけで、こびりついた油汚れが落ちピカピカになる。
玄関を開けると、山からの風がびっくりするほどひんやり。
夜ごはんは、蒸し鶏(細かくほぐして、きゅうりと和えた。黒酢、オイスターソース、ごま油、練り辛子)、いんげんの鍋蒸し煮、焼き茄子のナムル、ご飯。

●2022年6月9日(木)快晴

今日もいいお天気。
海が青い。
きのうは朝から掃除をしながら、川原さんに長いメールを送ったり、そのあともなんとなくショートメールでやりとりしていた。
楽しくて、でもそれだけでは飽き足らず、「夕方からZOOM呑み会をしない?」と誘ってみた。
それで「いいねえ!」ということになったのだった。
それぞれ料理をつまみながら、呑みながら、近ごろ思っていることやお互いのこと、くだらない話もたくさんした。
私は缶ビール2本と、缶チューハイの小さいのを1本、焼酎の水割りを2杯。
川原さんはビール1本半と、そのあとウイスキーのロックを2杯呑んでいたみたい(バカラのグラスで!)。
私が作ったのは、新じゃが2種のジャーマンポテト(新玉ねぎ、新にんにく、粒マスタード)、キャロットラペ(いつぞやの)、焼き茄子(米油、醤油少し)だけ。
川原さんは、野菜の盛り合わせ(しめじのバスサミコ酢炒め、焼きグリーンアスパラ、焼きトマト)、ピーマンの塩もみ、人参の塩もみ、スパイシー・カレー(しおりちゃんの本のレシピで作ったと言っていた)。そして、デザートには葡萄2種の盛り合わせもあった。
豪華!
食事が終わってからは、ビンに入ったミックスナッツ。
私は袋から出してきたピスタチオ。
ミックスナッツをビンに詰めておくの、私も真似しよう。
楽しかったなあ。
なんと、夕方5時半から11時までやっていた。
おかげで私は今朝、寝坊した。
ぐっすり眠れた。
おもしろい夢をたくさんみたし、川原さんちに泊まっている夢もみた。
ゆうべ話していたいろいろな断片が、夢の中に混ざっていたような気がする。
私は単純だなあ。
今日は「毎日のことこと」の校正と、次回撮影用の「きょうの料理」のレシピ書きをのんびりやった。
きのう、ZOOM呑み会の前に、ワックスがけをしておいたおかげで、とても気持ちがいい。
今は5時。
海はまだまだ青い。
夜ごはんは、プルコギ(牛こま切れ肉、新玉ねぎ、人参、ピーマン、ねぎ、手作り焼き肉のタレ、いりごま)、モズク酢(きゅうり)、新じゃがのみそ汁、ご飯。

●2022年6月7日(火)快晴

起きたらものすごくいいお天気。
海は青く、あちこちキラキラしている。
きのうの雨で洗濯されたみたい。
光は強いけれど、空気がひんやりしているので、涼しい夏という感じ。
朝ごはんを食べながら、青い海を眺めた。
日曜日に能登川から帰ってきたとき、なんとなく腰や背中が硬くなっていて、あれ?どうしたんだろうと思っていた。
きのうもまだ痛くて、寝る前に熱を計ったら7度2分あった。
帰りの電車の中が寒かったし、冷たい雨のなか六甲駅まで歩いたせいだろうか。
もしかしたら、風邪のひきはじめだったのかも。
きのうは、アノニマの村上さんと電話で打ち合わせをしたほかは、まったく仕事をしなかった。
ベッドで生姜湯を飲みながら、澤田さんの『いくつもの空の下で』をひたすら読んでいた。
とってもいい本。
京都新聞の朝刊で毎日連載されていた、「新暮らし歳時記」という短いコラムと、日曜日のエッセイ。
2020年5月から翌年の3月いっぱいまで、約1年分を少し整理し、収めてあるらしい。
一話一話じんとしたり、ぷっと吹き出したりしながら読んでいると、私はとても安らぐ。
歳時記っていいな。
一日にひとこまずつ進んでいく双六のよう。
週にいちど挟まるエッセイも、身近な話題ばかり。
私は子どもたちや奥さんが出てくる話、澤田さんが子どものころの話がとくに好きだ。
滋賀弁がところどころに挟まる澤田さんの文は、楽しくてやさしい。
北原白秋の「からたちの花」や、「ゆりかごの歌」「あめふり」など、童謡の歌詞についてのコラムがある。
「天才の歌詞は無邪気で楽しく思いやりがあり、幼い日を思い出させる」と書かれているのだけれど、澤田さんの文こそが「思いやりがある」と思う。
イラストも色がきれいで、楽しく、ときどきぷっと笑ってしまうものもある。
こんな記事が毎朝読む新聞に載っていたら、一日が明るくなるだろうな。

ところで私は、誰かに会って共に過ごすと、すぐに影響される。
ひとりになってからもいろいろ反芻し、夢にも出てくるし、夢と現実との境がなくなるようなこともある。
それはふだん、あまり人に会わないからだろうか。
もとに戻るまで何日かかかる。
それが今日。
さて、いつもの暮らしに戻って、仕事をしよう。
今日は「毎日のことこと」を仕上げるのと、「あまから手帖」のゲラの校正。
「毎日のことこと」は午前中に書き上げ、お送りした。
3時ごろに「コープさん」へ。
夕方、夜ごはんの支度をしながら窓を見た。
西陽が当たって白く光っている建物。
対岸の山は、峰々の凹凸までくっきりと見える。
山のふところに広がる、小さな集落も見える。
風がひんやり。
いつの季節か分からないような夕方だ。
夜ごはんは、ラタトウユ(にんにく、新玉ねぎ、茄子、ズッキーニ、人参、ミニトマト)&フジッリ(パルミジャーノ)。
ラタトウユに一味唐辛子を振って食べるのが、好き。
夜ごはんのあとは英語の時間。
7時を過ぎてもまだ明るい。
茜紫の空の写真を撮った。

●2022年6月6日(月)雨

きのうは、とても楽しかった。
会場の能登川図書館も、歴史を感じる落ち着いた建物で、いいところだった。
能登川駅で下り、iPhoneを頼りに駅から歩いていて、ちょっと心配になったので、向こうからやってきた高校生くらいの男の子2人組に尋ねてみた。
気の弱そうな男の子が「図書館って、あそこのことよなあ」ともうひとりの子に聞き、聞かれた方の男の子が私に向かって、「ここをまっすぐに歩いていくと、田んぼが見えてくるので、そしたら左にあります」と教えてくれた。
そのすぐあと、気の弱そうな子が、「ずっとまっすぐに行ってください。田んぼの左です」と重ねて教えてくれた。
いい子たちだったな。
そして、澤田さんと白木さんのトークもまた可笑しかった。
写真を映し出しながら、子どものころから二十歳くらいまでの澤田さんのエピソードを白木さんが滋賀弁でつっこんで、澤田さんがそれに答える。
「なんでやねん」「だれがやねん」「しょうもないなあ」「いいかげんにせえ」
『いくつもの空の下で』に出てくる幼なじみのS君というのは、白木さんのことだ。
そのあと、トークにも出てきた木村君(山登りで遭難しかかった3人組のひとり)との打ち上げに、私も誘ってくださった。
同級生がやっているお寿司屋さんで、おいしいお刺身やだし巻き卵、日本酒をいろいろごちそうになり、そこでも「だれがやねん」「いいかげんにせえ」。
楽しくて、けっこう呑んでしまった。
9時くらいの電車で帰ってきて、家に着いたら11時を過ぎていた。
今日はちょっと二日酔い。
あまりお腹が空かない。
そして、秋のように肌寒い。
夜ごはんは、小さいおにぎり(昆布の佃煮)、かぶの葉のおひたし、カップラーメン。

●2022年6月5日(日)曇りのち快晴

きのうの打ち合わせは、とても楽しかった。
まず、屋上に3人で上り、ビールを飲みながらのディスカッション。
緑の山や空を仰ぎながら。
とってもいいお天気で、首筋がじりじりするほど。
帽子をかぶっていても陽に焼けそうだった。
海と山からの風、あっけからんとした青空。
広い屋上に、距離をとりながらぽつんぽつんと3人で座り、母のことや死についてなど、おふたりに質問されるままつらつらと答えていった。
言葉が口(というよりお腹)からひとりでに出てきた。
なんだか自分でも不思議なほど集中していた。
プロデューサーの白木さんは、もと「暮しの手帖」編集長の澤田さんの幼なじみで、私はおふたりより1級下。
昔からいいなあ、好きだなあというNHKの番組ばかりを作ってらっしゃる方だった。
『世界街歩き』とか『課外授業 ようこそ先輩』とか。
河原さんは『人と暮らしと、台所』を作ってくださった、信頼しているディレクター。
吉祥寺にいたころには、『グレーテルのかまど』でお世話になった。
白木さんにお会いするの、私ははじめてだったのに、ちょっとお話を聞いただけでいっぺんに安心した。
それで、最初はリビングの薄暗いところで話していたのだけれど、「ビールを持って、屋上に行きましょう」ということになったのだった。
部屋に下りてきてからは軽くつまみを作り、氷入りのビールを呑みながら、窓辺で続きの打ち合わせ&雑談。
何を作ったのだっけ。
キャロットラペ(作りおきしておいたもの・塩もみ人参、練り辛子、ディジョンマスタード、おろし玉ねぎ、バルサミコ酢、オリーブオイル、ディル)、新じゃが芋2種のサラダ(キタアカリと紫の皮のじゃがいもをセイロで蒸し、手作りマヨネーズで和えた)、水瓜の皮(白いところ)のサラダ、いんげんの油炒め(新にんにく)、インディアン・チキン(タンドリーチキンのようにヨーグルト、カレー粉、サフラン、おろしにんにく、カレーリーフでマリネしておいたのを焼きつけ、この間作った「南インド風カレー」の残りをちょっと混ぜてオーブンで焼いてみた)。
そして今日は、滋賀県能登川の図書館で、澤田さんと白木さんの対談がある。
澤田さんの新刊『いくつもの空の下で』の発売記念イベントとのこと。
「毎日のことこと」はずいぶん書けたし、澤田さんにもお会いしたいので、行ってこようと思う。
能登川という駅を調べたら、六甲道から1本で行けることがわかった。
芦屋で新快速に乗り換えれば、1時間半くらい。
小さな旅だ。
おにぎりを持って、もうちょっとしたら出掛けよう。

●2022年6月3日(金)晴れ

あっという間に6月。
なんだかずっと日記が書けなかった。
中野さんは3泊された。
1日目は海へ。2日目は川へ。
毎日出歩いていた。
明石の古い商店街に行ったり、夙川沿いを歩いて、あてもなく苦楽園を散策したり。
なんとなく買い物をし、おいしいものを作って、食べて、呑み、よくおしゃべりした。
おかげで私は少し太ったみたい。
絵も描いた。
黒い絵の具だけで描いている。
まだ描きかけなので、1枚ずつ描き足している。
だんだんできてくるのが楽しみ。
きのうは、「毎日のことこと」を1日中やっていて、だいたい一通り書けた。
締め切りはまだ先なので、しばし寝かせておこう。
そして今日は、いよいよピロリ菌が除去されたかどうかの検査。
朝いちばんで予約をしたので、8時になったら出掛ける予定。
さあ、どうかなあ。
朝ごはんを食べてはいけないらしく、水だけ飲んで過ごしている。
明日は東京から、テレビのプロデューサーとディレクターが打ち合わせにいらっしゃる。
美容院にも行っておかなくちゃ。
帰ってきました。
ピロリ菌の検査結果が分かるのは、今日ではなく来週とのこと。
夜ごはんは、カレイのムニエル(人参サラダ、かぶとかぶの葉の鍋蒸し)、油揚げとピーマンの薄甘煮、味噌汁(大根、落とし卵、青じそ)、ご飯。
夜、ゴーゴーと風。
猫森の木々が大きく揺れている。
夜景は、いつにも増してピッカピカ。

●2022年5月29日(日)晴れ

6時に起きた。
このごろの陽の出は、何時くらいなんだろう。
ずいぶん前から明るいし、小鳥たちの声もする。
ゆうべ、寝る前にラジオをつけたら、ちょうど「中学生の英語」の時間だった。
毎週土曜日の9時から、1週間分をまとめてやるらしい。
ベッドに横になりながら復習していて、最後の回で眠りに落ちた。
朝からあちこち掃除。
今日は午後から、ひさしぶりに中野さんがいらっしゃる。
いろいろな仕事が終わったから、ちょうどよかった。
しばらくいいお天気みたいだし。

●2022年5月28日(土)晴れ

あ、また来てる。
お腹の赤いイソヒヨドリ。
ヒ、ヒ、ヒ、ヒと、澄んだ声で鳴いている。
午前中は現金出納帳をつけ、『ちむどんどん』を見て、散歩がてら坂を下りた。
「コープさん」に行って軽く買い物し、まだ歩き足りなかったのでパン屋さんへ。
帰りに、途中の坂道で女の子とすれ違った。
ずっと前、海の見える公園のすべり台でよく遊んでいた女の子。
紫色の水筒の子だ。
多分、6年生くらいだろうか。
大きくなったなあ。
海の見える公園でひと休み。
ネズミモチの小さな花が満開で、草のような花のような匂いがする。
みおっちと追いかけっこをしたときにも、咲いていた。
私はこの花のあまり花っぽくない姿も好きだし、匂いも好き。
この匂いをかぐと、引っ越してきたばかりのころを思い出す。
しっとりと汗をかいて帰り着き、シャワー。
海が青いな。
そういえばこのところ、朝と夜はカエルの声がよく聞こえる。
そして、ウグイス。
越してきたばかりのころ、ウグイスの声に驚いていたっけ。
まわりの音が聞こえないから、よく響くのだ。
夜ごはんは、もやしたっぷり焼きそば(豚バラ肉、ズッキーニ、目玉焼き)。

●2022年5月25日(水)晴れ

5時半に起き、6時から「中学生の基礎英語1」を聞いて、そのままうとうとしているうちに、9時になってしまった!
ものすごく眠たかった。
起きたら、とってもいいお天気。
先週の土曜日から月曜日のお昼まで、京都の友人ミキちゃんが、小学二年生の息子のみおっちを連れて泊まりにきていた。
ミキちゃんは、中野さんの古くからのお友だち。
私が会ったのは最近だけど、すぐに大好きになった。
娘くらいの年代の、若い友人。
みおっちは虫が飛んでくると立ち止まってじっとみつめ、大きなアリをみつけると腹這いになって手にのせ、塀によじ上って高いところを歩いたり、側溝(水が流れていない)を駆け上がったり。
いちど、コンクリートの橋の下もくぐった。
まるで、『くんじくんのぞう』のくんじくんみたい。
いっしょにごはんを作って食べたり、夕暮れの散歩をしたり。
公園で追いかけっこしたり、ブランコに乗ったり。
クローゼットから『くんじくんのぞう』のジオラマを出してきて、部屋の中に並べ、出しっ放しにしておいたら、次の日の朝、みおっちはお話の順に並べていた。
くんじくんが冒険した道のり。
側溝が長く長く、トンネルみたいに続く先にある、夜の公園。
お父さんが迎えにくる場面では、月が出ていて、お父さんのパンツがずり落ちていて、みおっちもミキちゃんも私も、そのジオラマがいちばん好きだった。
2日目はいいお天気だったので、お弁当を持って川へ行った。
みおっちは水着になり、ミキちゃんも私も川に入った。
そのままケーブルカーで六甲山に登り、ソフトクリームを食べ、帰りは歩いて山を下りた。
みおっちは走って下るので、私の童話「うさぎの子」の、うさぎの子にそっくりだった。
しかも「ゆるい道」ではなく「きつい道」を選んで通る。
3人で本当によく歩いたな。
おかげで私は筋肉痛。
ごはんは、何を作って食べたんだっけ。
1日目の夜ごはんは、空豆の春巻き、グリーンピースの春巻き、じゃがいものお焼き、ポテトサラダ(手作りマヨネーズ、新玉ねぎ)、山ウドのきんぴら、人参サラダ。
ミキちゃんと私が料理をしていると、みおっちも自然に寄ってきて手伝ってくれた。
空豆をさやから出しているとき、みおっちは内側のフカフカしたところを触りながら、「(空豆は)こんなところで過ごしとったんか」「みおっち、この家に住みたい」と言っていた。
空豆の春巻きは、今日子ちゃんから教わったレシピ。
春巻きの皮を4等分に切り、ひと粒ずつ(薄皮はむかない)包んで揚げる。
これが、ふたりに大好評だった。
翌日のお弁当は、おにぎり(ミキちゃん作)、ひじき煮入り卵焼き、ソーセージ炒め、ピーマン丸焼き、グリーンピースのさやの甘辛煮(宮下さんに教わったレシピ)。
2日目の夜ごはんは、煮込みハンバーグ(緑さんのレシピ)、蒸しブロッコリー、豆ご飯。
ミキちゃんとのおしゃべりも楽しかったな。
話していると、いろいろなことが蘇ってきて、話しているそばからあちこちに飛躍し、また戻ってきて、また飛んで。
何かをしながら、また話したり。
ミキちゃんも私も早口ではないし、ぽつりぽつりと、ひとつずつ話しているのに、頭の中ではいろんな景色が動いて、早口みたいになっていた。
家の中でも外でも、体を動かしてよく遊んだけれど、頭の中でもよく遊んだ。
そんな、夏休みみたいな日だった。
楽しかったなあ。
みおっちが『ムーミン』のDVDを気に入って、よく見ていたのだけど、「母ちゃん、これなんだ」と言って、にょろにょろの真似をしたとき。
あと、散歩中に道路で、急に十字架の真似をしたときもおもしろかった。
両手を伸ばして、カチンカチンの棒立ちになり、無表情。
ミキちゃんも真剣にやっていて、めっちゃおもしろかった。
あちこち歩いたけれど、どこかしこでスイカズラの甘い香りがしていたっけ。
今は、そういう季節。
さて、今日は何をしようか。
筋肉痛もずいぶんよくなった。
そういえばきのうは、イソヒヨドリ(お腹が赤い青い鳥)が電線に止まって、澄んだ声でさえずっていた。
恋の季節なのかな。
夜ごはんは、紫玉ねぎのじりじり焼き(バルサミコ酢)、豚の生姜焼き、トマトサラダ(紫玉ねぎ)、南風荘ビール。

●2022年5月18日(水)晴れ

5時半に起きた。
6時からは「中学生の基礎英語レベル1」。
天気予報によると、朝はきのうよりも寒いけれど、午後から気温が上がって暑くなるのだそう。
空気が乾燥し、洗濯物もすぐに乾くそうなので、シーツを洗った。 
海は白く霞んでいる。
さっき、アムとカトキチからチルドの荷物が届いた。
山ウドだー!
箱を開ける前から、濃い緑の匂いがしてきた(開けたらそうでもなかったから、気のせいだったのかも)。
出てきたのは、茎が緑色の野性的なウド(濡れた新聞紙と紙で2重に包まれ、さらにビニール袋に入っていた)。
さすがは北海道の大地、という感じのウド。
今年も届いた!
そして、小さなクモも出てきた。
テントウムシみたいにころんとした、神戸ではあまり見かけないクモ。
平沢から生き続け、うちまでやってきたんだな。
アイヌネギの醤油漬けと、小豆の味噌も入っていた。
味噌は去年漬けたものだそうだけど、小豆の紫色がとてもきれい。
ウドにつけて食べてみた。
うま〜〜い!
何これ〜〜!
小豆の豆の味がちゃんと残っていて、おいしいのだけれど、麹のうまみがまたたまらない。
私は近ごろ塩麹にはまっているから、分かる。
カトは小豆味噌マヨネーズが好きなんだそう。
お昼にポテトサラダ(手作りマヨネーズで作った)と盛り合わせて食べるのが楽しみだ。
その前に、ひと仕事してしまおう。
『帰ってきた 日々ごはん⑪』の三校だ。
小豆の味噌は、小豆と麹のディップのよう。
皮をむいた山ウドにつけて、もりもり食べた。
夕方、はっと気づく。
今日は引っ越し記念日だ。
『帰ってきた 日々ごはん⑪』の三校ゲラを出しに、ポストまで散歩。
ゆっくりと坂を下り、帰りは一歩一歩、足の後ろを伸ばしながら上った。
そうか私は、緑がそよぐこんなに気持ちのいい季節に引っ越してきたのだな。
遠回りして、夏休みの坂道を上った。
白い野イバラが咲いていた。
ジャスミンも咲いていた。
しっとりと汗をかいて帰ってきた。
夜ごはんは、ウドづくし。
山ウドのきんぴら2種(切り方を変えてみた)と、ウドの葉の天ぷら、南風荘ビールで乾杯。

●2022年5月14日(土)曇りのち晴れ

5時に目が醒めたので、珍しくコーヒーをいれた。
窓を開け放ち、ベッドで飲んだ。
雨は上がったけれど、海の上にはまだ灰色の雲がある。
綿を引きちぎったような薄い雲もあり、海面に触れている。
あそこだけ霧が出ているんだろうか。
それとも、雨?
コーヒーのあと、『ははとははの往復書簡』の続きを読んだ。
あともう少しで読み終わってしまうのが惜しい。
それでも、読まなければ。
書評を書く仕事をいただいているので。
これは5月の最後の宿題。
いちばんむずかしいのが最後になった。
その前に、息抜きをしよう。
午後から晴れてくるようなので、海を見にいこう。
行ってきました。
ぐずぐずしていて出掛けるのが遅くなってしまったけれど、12時半前には須磨海岸に着いた。
海を見ながらカレーを食べ、クラフトビールを呑んでいるうちに、ぱーっと晴れてきた。
暑いくらいだった。
苺、シフォンケーキ、りんごのバターケーキ、スナップエンドウ、ねぎなどを買って、六甲道で下りて図書館に寄り、軽く買い物して帰ってきた。
3時ごろに着いて、『ははとははの往復書簡』を読んでいるうちに、たまらなく眠たくなって昼寝。
海でビールを呑んだからだ。
目が覚めたとき、ぽかーんとした青空に雲が浮かんでいた。
まだまだ明るいけれど、もう6時。
私がいくら寝過ごしても、待っている人は誰もいない。
このよるべのない気持ちも、けっこう嫌いではなくなった。
さて、夜ごはんの支度をしようかな。
お昼のカレーをしっかり食べたし、帰ってからむぎちゃんのはちみつシフォンケーキも食べてしまったので、おだしを真面目にとって味噌汁を作った。
夜ごはんは、味噌汁(スナップえんどう、豆腐、ぶつ切りにしたねぎをたっぷり)だけ。
スナップえんどうは、ぷりっと膨らんで、噛むと中から甘い汁が出てきた。
ねぎもシュッとまっすぐに伸び、刻んでいるとき跳ね返るようだった。
ああ、みずみずしくておいしいなあ。

●2022年5月13日(金)降ったり止んだりの雨

朝から雨がしとしと。
それでも洗濯をして、干した。
窓の外が白い。
パソコンに向かいながら、ときどき止むと窓を開け、外を眺める。
きのうはアノニマから、『帰ってきた 日々ごはん』⑪と⑫のカバーまわりのデザインが届いた。
2冊とも素晴らしく、私はしばらく体が動かなくなった。
胸がいっぱいで。
スイセイはすごいなあ。
きのうと今日で、これまでにやったいろいろな仕事の校正紙が、次々に戻ってきた。
宮下さんから届いた荷物は、封を開けるときに、ふわーっと緑の濃い匂いがした。
ハッカみたいな、柑橘類みたいないい匂い。
青い山椒の実が入っていた!
庭で摘んでくださったのだそう。
さっそく塩ゆでにし、水にさらしているところ。
小さなパックに詰めて、冷凍しよう。
校正はメールで返事ができるものから、ひとつずつ向かう。
窓辺のテーブルでやった。
どれも最後の段階なので、落ち着いた気持ちでやれる。
いろいろな仕事がひとつ、またひとつと終わりに近づいていく。
粛々とした気持ち。
静かな雨だし。
今日は、電話もたくさんあったな。
原稿書きの宿題は、あとひとつを残すのみ。
締め切りは来週の水曜日だから、ちょっと息抜きをして、明日は街に下りようか。
須磨海岸でファーマーズ・マーケットをやっている。
どうしよう。
夜ごはんは、焼きそば(豚バラ肉、小松菜、ピーマン、目玉焼き)。

●2022年5月11日(水)雨のち晴れ

朝からずっと、グールドのピアノがラジオでかかっている。
静かな雨の日。
きのうも今朝も、「中学生の英語」が聞けた。
じつはテキストも買って、聞き逃した日には夕方の放送を聞いている。
主人公のココが元気でとてもいい子なので、今日は何が起こるかなあと、物語を楽しみにしている感じ。
小雨のなか、電線にツバメが2羽とまっている。
羽を広げたり、ぬぐったり。
今、1羽が片方の頭を軽くつついて、飛んでいった。
すぐにもう1羽も追いかけた。
つがいなのかな。
きのは、年にいちどの、マンション全体の排水溝の掃除の日だった。
流しの方で「トンタントンタン」と音がして、何かと思ったら、台所の天井から水滴が落ちているのだった。
すぐに管理人さんに知らせると、上の部屋の台所の配管に問題があるとのこと。
管理会社の方も駆けつけてくださり、天井を開けて、渡してある板を切ったり、配管のひび割れをボンドのようなもので覆ったり、朝から夕方までいろんな人が出たり入ったりしていた。
その間私は、パソコンに向かって仕事をしていた。
今はお昼休み。
『ちむどんどん』も見られた。
さて、今日から「気ぬけごはん」を書こう。
午後には業者さんがまたいらっしゃるので、それまで集中して向かおう。
夜ごはんは、冷やご飯(お弁当箱の)、ソーセージとアスパラ炒め、ひじき煮入り卵焼き、とろろ昆布の即席味噌汁。

●2022年5月8日(日)晴れ

ぐっすり眠って、6時半に起きた。
いいお天気。
朝からずっと、「あまから手帖」の原稿書き。
今日はなんだか肌寒く、足下がひんやりする。
あんまり冷えるので、途中で窓を閉めた。
洗濯物がすぐ乾いて、驚く。
朝9時過ぎに干したのが、一時半にはもう乾いていた。
気温が低くても、陽射しは強いということなのかな。
原稿は何度も書き直し、夕方、ようやく形になってきた。
これでひと安心。
それにしても海、青いなあ。
夜ごはんは、白パンサンド(塩麹鮭のグリル、クリームチーズ、ディル、粒マスタード)、小蕪の鍋蒸し炒め。
『サザエさん』を見ながら、どんなことも受け止める家族のゆるぎなさについて思う。

●2022年5月7日(土)快晴

ゴールデン・ウイークを中野さんの家で過ごし、きのう帰ってきた。
いろいろなことがたくさんあって、はじめから思い出していくと、もうずいぶん前のことのように感じる。
緑もわさわさ、昆虫もわさわさ、地面もわさわさ、子どもたちもわさわさ。
そんなところにずっといたから、なんだか部屋が殺風景。
私はなんて、静かなところにいるんだろうと思う。
六甲のこの部屋は海や空が近いけれど、ただ近くに見えるだけで、本当は自然界から遠いところにあったんだなあと感じる。
田んぼの草刈りを手伝ったり、水がたまっているところの土を掘り、泥だらけになって水路を作ったり。
さっきまで晴れていたのに、いきなり大粒の雨が降ってきて、ソウリン君とユウトク君と自転車で突っ走って帰ってきたのもすごく楽しかった。
その日の晩ご飯は、揚げ物大会。
オニオンリングフライ、えびとスナップえんどうのフリッター、空豆とチーズの春巻き、鶏の唐揚げ。
次の日のお昼には、残った揚げ物と新玉ねぎの薄切りを甘辛く煮て、卵でとじて天丼風にした。
玉ねぎがけっこう入っているから、子どもたちは食べてくれないかなあと気にしていたのだけど、「なおみさん、これなに? めっちゃおいしい。おかわりしたいくらいやで」とソウリン君にほめられたり。
「なおみさん、明日もまたカメの散歩しよな」とユウトク君に誘われたり。
そういうのがじんわりと嬉しかった。
クサガメを手の平にのせ、歩かせたとき。
草むらでつかまえたカナヘビが、手の平を歩いたとき。
小さな足がひたっと張りついて、生きている、と感じた。
私がいた5日の間に、池の水草は増え、花壇の若葉が大きくなり、沼ガエルが太った(毎朝夕、中野さんか子供たちが原っぱでバッタの小さいのをつかまえてあげていた)。
六甲の部屋に帰ってきて、いちばんよかったのは、姫白丁花の花がひとつだけ咲いていたこと。
この鉢は2年前くらいに買ったのだけど、いくら待っても花が咲かないから、そういう品種なのかと思ってあきらめていた。
大きな鉢に植え替えをしてから、ずいぶん元気になったなあとは思っていたけれど、留守の間には水をあげられなかったから、大丈夫だったかなあ……と、帰りの電車で安じていた。
なのに、まさか花が咲くとは!
小さな小さな、白百合みたいな花だ。
夜ごはんは、鮭の塩麹漬け(蕪の葉を炒めて添えた)、洋風みそ汁(新玉ねぎ、小蕪、人参、絹さや、ソーセージ)、ご飯。

●2022年4月29日(金)雨のち晴れ、嵐。

大雨が降って、水槽の中にいるみたい。
風も強く、窓がガタガタ揺れている。
そんななか「毎日のことこと」をずっと書いていた。 
ますます風が強くなってきた。
あれ?薄陽が差してきた。
お天気雨だ。
また、「毎日のことこと」。
次に窓を見たとき、枯れ葉が盛大に舞い上がっていた。
ピュルルルルルル〜〜〜〜!
カラスが乱舞しているのと同じ動き。
窓を開けると、笑けてしまうほど風が強い。
ゴーゴーと音がする。
猫森の木々が枝をしならせ、裏葉を見せながらものすごい勢いで揺れている。
葉っぱを揉んだときみたいな、緑の濃い匂い。
みどりのあらしだ。
と思ったら、 わ、虹だ!
嵐が去った夕暮れ、青い空に雲の行列。
西陽の当たった街や船が白く光っている。
そのうち雲に色が混ざり、移ろいゆく。
黄色、茜色、赤紫、バイオレット。
なんというドラマチックな空模様。
ごはんの支度をしながらも、食べながらも、目が離せない。
夜ごはんは、焼き肉味の春雨炒め(豚こま切れ肉、しめじ、新玉ねぎ、絹さや、自家製焼き肉のタレ)、水菜のサラダ(ごま、ミックスナッツ、ポン酢醤油、ごま油)、味噌汁(お麩、絹さや、ねぎ)、ご飯。

●2022年4月27日(水)曇りときどき晴れ

朝からずっと、『帰ってきた日々ごはん⑪』の「あとがき」を書いていた。
おとついあたりから書きはじめたのだけれど、夜中にいろいろと考えてしまい、ゆうべはよく眠れなかった。
そう。
ゆうべは大雨だった。
風も強く、船に乗って、大海原を航海しているようだった。
夜中に窓を開けたら、雨はもうやんでいて、真っ白な霧に包まれていた。
まるで、雲の中にいるみたい。
それからもなんとなく寝つけず、いつの間にか眠って、そして寝坊した。
ラジオをつけたら、「中学生の基礎英語」はもう終わっていた。
また、聞き逃してしまった!
「あとがき」はお昼には書き上がり、村上さんにお送りした。
「おまけレシピ」もきのうのうちに送ったし、『帰ってきた 日々ごはん⑪』の再校、『帰ってきた 日々ごはん⑫』初校も終わった。
ああ、これでひと段落。
しばらくこもっていたので、さすがに冷蔵庫には何もない。
塩麹を塗った鯖が1切れ冷凍してあったので、室温に戻した。
にんにく、新たまねぎ、春キゃべツを合わせ、何か洋風のひと皿にしようと思う。
さあ、ビールを呑もうかな。
明日は、阪急の十三(じゅうそう)に映画を見にいく。
『杜人』というドキュメンタリー映画。
そして、その足で美容院へ。
ひさしぶりに「MORIS」にも寄ろう。
ヒロミさんと今日子ちゃん、元気かな。
夜ごはんは、塩麹鯖のムニエル(粉をまぶして、にんにくで香りをつけたなたね油で焼き、器に盛ってからバルサミコ酢とオリーブオイルをかけた)、新玉ねぎと春キャベツのじりじり焼き添え(仕上げにクリームチーズを溶かし込んだ)。

●2022年4月23日(土)晴れ

のほほんとしたいいお天気。
海は霞がかかり、空との境がない。
若葉が増え、どこもかそこも青々としているのが、もう当たり前のようになっている。
いつの間にこんなになったんだろう……という感じ。
水曜日に中野さんの実家に遊びにいって、一晩だけ泊まって帰ってきた。
束の間だったけれど、とても楽しい旅だった。
中野さんの家は、新開地から神戸電鉄に乗り換えて、1時間ほどのところにある。
六甲とはまたぜんぜん違った土地。
図書館、市役所、公園、大型スーパー、車でちょっと走れば温泉まであるとても便利なところなのだけど、丘みたいな低い山に囲まれ、ほとんどが田畑なので、空がとても広い。
季節の移り変わりがくっきりとして、今は生き物も植物もむんむんわんわん動いている感じがした。
ちょっと草むらを歩いただけで、バッタの赤ちゃんや、カエルがみつかる。
田畑にはレンゲが花盛り。
あとはクローバーと、キンポウゲのような黄色い花、そしてうちの近所にも咲いているツルニチニチソウ。
この間行ったときには、カラスノエンドウが最盛期だったけれど、すっかり背丈が伸び、豆のさやもいっぱいできていた。
会わなかった一ヶ月弱の間に、ユウトク君は小学4年生に、ソウリン君は1年生になった。
ふたりとも体つきが変わり、確実に大きくなっているのが分かる。
家の中でユウトク君が側転するのは前からだったけど、床と直角に、ピーンときれいにできるようになったんだ……と感心していたら、片手でもできるようになっていた。
アイスを食べながら、何でもなくやっていた。
中野さんも知らなかったし、本人もなんとなくできてしまったみたいで、何の感慨もないみたいだった。
多分、アイスを持ったまま側転したから、なりゆきでできたんだと思う。
次の日には、アイスを持たずにやっていた。
もう完璧!
なんか、すごいな。
さあ、私もがんばろう。
今日は「おまけレシピ」を書くのと、『帰ってきた 日々ごはん⑫』の初校の続き。
5月中旬までの締め切り原稿も1ついただいているので、連載の分と合わせたら4つ。
あと、『帰ってきた 日々ごはん⑪』の「あとがき」もあるから、全部で5つ!
食料はいろいろあるから、しばらく家にこもり、ひとつずつ向き合っていこうと思う。
夜ごはんは、そぼろ弁当(お昼に作った残り)、ひじき煮(いつぞやの)、キャロットラペ(ゆうべ作った)、筍とトマトとかき卵のサンラータン。

●2022年4月19日(火)晴れ

もう7時半かと思ったら、まだ5時半だった。
ラジオからはクラシック。
そして、「中学生の基礎英語レベル1」。
このところしばらく聞いていなかったから、また三日坊主になっちゃうのかなあと思っていたのだけど、まだ大丈夫。ついていける。
今朝は、主人公の中学一年生の女の子が、生まれてはじめてスクールバスに乗る場面だった。
「ココ」という名前のその子は、カッパと人間のハーフ。
お父さんがカッパで、お母さんは人間なのだそう。
そういうところが、とてもおもしろい。
1話目でココが、友だちになったばかりのエミリーと、ミネソタの湖の畔でおしゃべりしていたとき、バシャンと水の音がして、「ハーイ、ココー!」と叫びながらお父さんが突然飛び出してきたところ、最高におもしろかった。
レベル2でも、まあまあ大丈夫。
「中高生の基礎英語」になるとからきしだめだけれど、聞いているうちに耳慣れて、何について話しているのかなんとなく分かってくる。
そのうち窓も明るくなってきて、カーテンを開けた。
さて、今日は何をしよう。
きのうは、おすすめの絵本2冊の推薦文を書いた。
一日中ずっとやっていた。
締め切りがきのうだったので、ぎりぎり間に合った。
まだやらなければならないことは、いくつもある。
それがとてもありがたい。
まずは、『帰ってきた 日々ごはん⑪』の余韻が体に残っているうちに、『帰ってきた 日々ごはん⑫』の初校に向かおうと思う。
夜ごはんは、納豆(卵、粒マスタード)、ひじき煮(人参、厚揚げ、切り干し大根)、しじみの味噌汁、ご飯。

●2022年4月17日(日)晴れ

13日から2泊で、中野さんが来ていた。
14日は、日記を書くことについての取材。インタビュアーは宮下さん。
その日は中野さんも三宮で打ち合わせがあり、夕方に六甲のスーパーで待ち合わせた。
食べたり、呑んだり、よく喋ったりの3日間。
中野さんは15日の午前中に、帰っていった。
私も元町までお見送りがてら、夏のワンピースの生地を買って帰った。
そんなわけで、きのうからまたひとりの生活がはじまった。
今朝は5時半くらいに目覚め、ベッドの中で本を読んでいた。
本は『庭とイスキース』。
7時を過ぎたので、起きる。
猫森の若葉がいろんな緑色。それぞれの色がくっきりはっきりしている。
きのうの大風のせいで、空気が澄んでいるのかな。
きのうは一日中、めちゃくちゃに風が強かった。
窓を開けると紙が飛ばされそうだったし、花粉もずいぶん舞っていそう。
なので、閉めたり、開けたりしながら、『帰ってきた 日々ごはん⑪』の再校に向かっていた。
集中が途切れると窓辺に立ち、強風にもみくちゃされている猫森の裏返る若葉を見た。
粛々とした気持ちで向かっていたのだけど、途中で涙がふき出し、どうしようもなくなった。
それは、母の病室に泊まったあくる朝、もう何も分からなくなっているはずの母が、私の目をみつめたまま逸らさなかったときのこと。
赤ん坊のようでもあり、惚けた人のようでもあり、何もかもお見通しのようでもあったまっすぐな目。
母の前で泣いたことのなかった私も、あのときばかりは涙が噴き出した。
それは、あの部屋にあった空気としか言いようがないのだけど、日記を読んでいると、そのときの薄明るいような光や、湿気の感じ、匂いとか、いっぺんに立ち現れる。
母の目と、私の目。
空気というより、時間というのかな。
あのときにはまざまざと、そこに在った時間。
今はもう、なくなってしまった時間。
それが、たまらないんだろうか。
なくなってしまうのがたまらないから、私は日記を書くんだろうか。
『帰ってきた 日々ごはん⑪』の再校は、暗くなる前に終わった。
そうだ。
きのうのことで、もうひとつ思い出した。
日暮れどき、小鳥の黒い影が窓のすぐそばをなめるように飛び立ち、また急降下。
激しい風とつながっているみたいな、予想のできない動き。
「わっ、ツバメ?!」と思ってよく見ると、葉っぱなのだった。
生きているとしか思えないような、躍動感のある動きだった。
さて、今日は何をしよう。
『帰ってきた 日々ごはん⑫』の初校をやりはじめようか、それとも休日にしようか。
夜ごはんは、たまごサンド(コッペパンで作ったお昼の残り)、ホットドック、キャロットラペ(潤ちゃんの真似をして作った)、肉だんごと野菜の北欧風スープ(ディル入り肉だんご、新玉ねぎ、新じゃが、春キャベツ)の予定。

●2022年4月12日(火)曇りのち晴れ

5時半に起きた。
今日からまたいつもの生活に戻る。 
『帰ってきた 日々ごはん⑪』の再校正の続き。
だし昆布が冷凍庫にたまっていたので、小さく切って、今煮ているところ。
途中で干し椎茸も加えた。
頭が詰まってくると、開け放った窓辺に立つ。
一日の間にも、若葉がじわじわと伸びているのが、目で見て分かる。
『帰ってきた 日々ごはん⑪』は、4月までが終わった。
楽しかった土曜日のこと、少しだけここに書いてみよう。
対談のあとは、徳正寺の奥の間でささやかな打ち上げとなった。
メンバーは松田素子さん、渡邊良重さん、宮下さん、村上さん、潤ちゃんと私。
潤ちゃんの野菜中心の料理が、いつもながらおいしくて、おいしくて。
隣に座っていた良重さんが、腰を上げて何度もおかわりをしていて、私はとても嬉しかった(自分が作ったわけではないのに)。
あの日の献立も、思い出しながら書いてみよう。
キャロットラペ、新玉ねぎの甘酢和え(ピクルスよりずっとおいしい)、焼き万願寺唐辛子のカリカリじゃこのせ、ミニ帆立の酒蒸し、生ほたるいかと菜の花のオリーブオイル炒め、皮をむいた小さな茄子の蒸し物(すりごまと味噌のタレ)、水菜のサラダ(すり鉢ですったごまのドレッシング)、出し巻き卵(錦小路のお店の)、きのこ炒め(軽く干したきのこを、オリーブオイルで炒め、ロメインレタスをちぎった皿の上に盛りつけ、粉チーズをかけていた)、カレー(茄子の皮や豆など、細かな野菜がたくさん入っていた)&雑穀ご飯。
潤ちゃんが仕込んでおいた料理を、私が器に盛りつけたり。潤ちゃんが作っている横で洗い物を手伝ったり、ちょこっとだけ料理を手伝ったり。
そういうのもとても楽しかった。
夜ごはんは、ワカメたっぷりうどん(卵、天かす)。
7時ごろ、洗い物をしながら窓を見ると、どこもかしこも青の世界。
何色と言ったらいいんだろう。
濃い紫がかった青。
瑠璃色、ラピスラズリ?
とてもきれい。

●2022年4月11日(月)薄い晴れ、のち曇り

きのうおとついと、たくさんのおもしろい人たちに会ったし、その場にいられた。
楽しくてたまらなかった。
いろいろなことを反芻してしまうので、浅い眠り。
それでも7時には起きた。
朝から興奮覚めやらずで、あちこちにメールをお送りしたり、電話をかけたり、かかってきたり。
アノニマの新しい本のためのゲラを読んで、アイデアが閃いたり。
午後に、宮下さんからお電話をいただき、木曜日の撮影の打ち合わせが終わったら、急にくたっときた。
お腹があまり空かないのは、このところの食べ過ぎのせい。
だって、垂水のファーマーズ・マーケットでは、鯛うどん(ワカメ、筍、鯛の天ぷら)をおつゆまで残さずに食べ、しらすと筍の散らし寿司も今日子ちゃんと半分ずつたいらげた。
そしてきのうのお昼は、「FARMSTAND」のおいしいランチだけでなく、スパイスちりめんおにぎりも追加で買って、半分食べてしまったのだから。
ベッドにもぐり、しばしお昼寝。
夜ごはんは消化のいいものを。
生のり雑炊(筍ご飯、香菜)、ほうれん草とささ身のナムル(いりごま、塩、薄口醤油、ごま油、海苔、じゃこ)。
お風呂から上がると、空の真上に半月が。
ぼんやりと靄がかかっている。

●2022年4月9日(土)快晴

今朝も5時に起きた。
「古楽の楽しみ」ではなく、「音楽の泉」という番組をやっていた。
週末だから。
そして土曜日は、6時からの英語をやらないのだな。
これまでと同じように、合唱の番組。
音楽を紹介する人だけが、新しく変わっていた。
今朝はブルガリアの合唱曲の特集だ。
しばらくは、世界の合唱曲を流すらしい。
さて。
今日はお楽しみがふたつある。
ひとつは、垂水のファーマーズ・マーケットに今日子ちゃんと出掛けること。
もうひとつはその足で京都に行って、「メリーゴーランド」の潤ちゃんが企画するトークイベント。
『うたをうたうとき』という、まどみちおさんの詩の本を作った渡邊良重さんと松田素子さんの対談!
松田さんは絵本の編集者で、前からお話を聞いてみたいとずっと願っていた方。
良重さんは、『アンドゥ』のとき以来だから、15年ぶりくらいにお会いできる。
東京からアノニマの村上さんもいらっしゃる。
「メリーゴーランド」の潤ちゃんにも久しぶりに会える。
宮下さんにも会える。
嬉しいなあ。
徳正寺で開かれるイベントなのも、とても楽しみ。
ラジオの天気予報によると、今日は初夏の陽気だそう。
コートはいらないかも。
9時になったら出掛けよう。

●2022年4月7日(木)晴れ

今朝は5時半くらいに目覚めた。
「古楽の楽しみ」のクラシック音楽のあとは、英会話。
中学生のレッスン1と2までがちょうどいい。
今日はきのうよりさらに暖かいな。
久しぶりに坂を下りる。
美容院と図書館、そして「MORIS」にサインをしに。
桜はどうなっているだろか。
暗くなる前に帰ってきた。
うちの近所の桜はちょうど満開で、花弁がちらほら舞っているくらいだったのだけど、坂の下では歩いていると桜吹雪。
道路の端に薄桃色の花弁がたまっていた。
サツキの蕾も、もうピンクに膨らんでいた。
うちの坂の途中のは、蕾がまだ白い房のようなもので包まれている。
夜ごはんは、カレイの煮付け、きのこ(しめじ、えのき茸)の酒蒸し煮、塩味のひじき(ちりめんじゃこ、しょうが)、菜の花炒め、筍ご飯(いつぞやのをセイロで温め直した)。

●2022年4月6日(水)晴れ

きのうに比べ、ずいぶん暖かい。
海も空も霞がかかって、白っぽい。
ピチュピチュと、鳥の声。
なんだか静かな日だな。
このところ私は5時に目覚める。
ラジオの「古楽の楽しみ」が、5時からになったので。
そしてそのままなんとなく、中学生向けの英語講座も聞いている。
ベッドの中でぶつぶつつぶやいたり、繰り返したりして。
朝ドラ(『カムカムエブリバディ』)の影響もあるに違いない。
今朝は、起きてすぐに、絵本のテキストを書き直した。
誰にも頼まれていないけれど、忘れないうちに。
そして、おとついから書いていた「毎日のことこと」の仕上げ。
10時にはお送りできた。
ダンボールを片付けたり、台所の掃除もした。
朝6時台に起き出すと、午前中にいろいろできる。
今、ピンポンが鳴って、アノニマから『帰ってきた 日々ごはん』11巻と12巻の書類一式が届いた。
しばらく休んでいたけれど、またはじまるぞー。
夕方、窓を開けると、
この間まで枯れ木だったところに、若葉が。
きのよりも、おとといよりも、伸びているのが分かる。
夜ごはんは、牛肉とキャベツのハーブ塩麹(パセリ、ディル)炒め&バター炒めご飯。

●2022年4月3日(日)曇りのち小雨

お昼ごはんを食べ、中野さんは帰っていった。
さて、今日は何をしよう。
「毎日のことこと」の締め切りを伸ばしていただいたので、少しでも書いておこうと思うのだけど、ぽかんとしてしまって何もできない。
きのうまで毎日、よく遊んだなあ。
春休みのような日々だった。
おとついは、はちみつ農家のしんちゃん、むぎちゃんのところに行った。
家で飼っているニワトリを締めてさばくという、家族のイベントに誘ってくださった。
締めるのは庭でやった。 
合鴨のときと同じように、しんちゃんは左手でニワトリの体をしっかり抱え、手の平で目を覆う。
首の毛をゆっくりとむしっている間も、よく研いだ包丁で首にそっと切れ目を入れたときにも、ニワトリは静かにしていた。
お椀に血を落としているとき、少しの間羽をバタバタさせ、足で蹴ったけれど、すぐにおとなしくなった。
羽の下に手を入れたら、ニワトリも合鴨と同じようにやっぱり温かく、穏やかで、眠っている猫みたいだった。
羽はつやつやとして、張りがあり、触った感じがとてもきれい。
血は、合鴨のときよりも多く、こと切れるまで長い時間がかかった気がした。
子どもたちが見にきたり、来なくなったり、好きなようにしていた。
むぎちゃんが運んできた熱湯のお鍋は、ニワトリの体が半分しか浸からない小さいものだったけど、お尻を浸けたり、背中を浸けたり、順番に浸けていくだけで充分にゆきわたり、簡単に羽根が抜けた。
ああ、これでいいんだなあと思った。
しんちゃんとむぎちゃんがしているのを見ていると、本当にいつか、私にも、ニワトリを締めることが何でもなくできそうな気がしてくる。
でも、鶏小屋の中にしんちゃんが入り、足をぐっとつかまえた瞬間、ニワトリは聞いたことのないような叫び声を上げた。
生き物の最後の声。
私は押し黙り、胸に力を入れた。
少し辛かったのは、そのときだけだった。
さばき方は家の中で教わった。
まず、ボンジリについている小さな脂壺を切り落とす(ここを傷つけると、肉にイヤな匂いがつく)。 
次は、肛門を傷つけないようにしながら包丁を入れ、手でひねってももをはずす。
もも肉の骨のまわりに包丁を入れ、骨をきれいにはずす。
これで、1枚のもも肉ができる。
そのあとは、しんちゃんがやるのを見ていた。
首の皮をはがす。
左側から手羽を離す(右側に内臓が入っているので、傷つけないようにするため)。
胸肉、ササミ、内臓。
中野さんはその間、子どもたちと将棋をしたり、近所の駄菓子屋さんに行ったり、餃子の皮を伸ばしたりしていた。
しんちゃんがさばきながらひと口大に切ってくれる皮や肉、レバーや心臓を、私はフライパンで焼き鳥にした。
焼きたてを立ったままつまんだり、みんなに出したり。
子どもたちはご飯にのせて食べたり。
そのあとで鶏鍋(くず肉とノビルの餃子、白菜、椎茸、ねぎ)にし、みんなで食べた。
いいお天気の日で、外は寒いけれど部屋はぽかぽかと温かく、なんだかすべてのことが穏やかで、普通で、おいしく、楽しかった。
夜ごはんは、すき焼きうどん(いつぞやの「ひとりすき焼き」の残りに椎茸と春菊を加え、溶き卵)の予定。山椒と七味をふって、『機関車トーマス』を見ながら食べよう。

●2022年3月30日(水)晴れ

のどかなお天気。
チ、チ、チ、チと小鳥。
海も穏やかに光っている。
中野さん宅から帰ってきた日、六甲も寒くて驚いたのだけど、桜は出掛ける前よりもずいぶん咲いていた。もう七分咲きくらい。
中野さんちの庭は、春の花がいろいろ植えてあった。
ムスカリ、ルピナス、マーガレット、いろいろな種類のミント、フェンネル、チャービル。
中野さんち、楽しかったな。
1日目は「めっちゃ夕陽が見える」という丘に、自転車で連れていってもらった。
そこは、いつものあぜ道を抜け、道路の下のトンネルの坂を超特急で下り、また上ったところにあった。
一面の田畑の向こうには低い山が連なり、大きな空が広がっている。
ふり返ると、自然のままの池。
ユウトク君は、自分で作ったフクロウを自転車に乗せてきていた。
とても大切にしている様子。
夕陽には、まだまだ時間が早かったので、帰ってから缶ビールを持って家の裏の空き地へ。
厚い雲に隠れてしまって、けっきょく夕陽は見られなかったのだけど、自然と演芸会みたいになった。
私と中野さんはあぜ道に座っていて、ユウトク君とソウリン君が順番にステージ(空き地のこと)に立ち、おもしろいことをする。
私は大笑い。
そして私は、ビール1缶だけで酔っぱらうようになってしまった。
ピロリ菌がいなくなったせいもあるんだろうか。
雨の日にドライブした「へそ公園」のプラネタリウムも、とてもよかった。
規模が小さく、心がこもっていて。
帰り道、ものすごい大雨になった。
車窓から見える、風にゆらめく雨のことを、誰かが「雨のカーテン」と言った。
帰る日はいいお天気だったので、電車の時間ぎりぎりまでサイクリングをした。
私の好きなあぜ道(どこまでも真っすぐ)を自転車で通り抜けようとしていたとき、「なおみさん、競争せえへん?」とソウリン君が誘ってきた。
「いいよー」とその気になっていたら、「ユウトクは競争なんかせん。ゆっくり走らんと、景色がよう見えんから」とユウトク君が言った。
けっきょく、ソウリン君は中野さんと競争することになり、私とユウトク君はふつうのスピードでそれぞれ走った。
走りながら私は、目に入ってくる花の名前を唱えていった。
オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、カラスノエンドウ、スミレ、菜の花、レンゲ、タンポポ、キツネノボタン、ペンペングサ、シロツメクサ、ハクモクレン、ユキヤナギ……
桜はまだだったけれど、地面も木も花盛りだった。
毎日のごはんを記録していたので、書いておこう。
25日(金)夜ごはん。 チキンとじゃがいものカレー(お姉さん作)、淡い色のサフランライス、ブロッコリーのサラダ(かつお節、レタス)、レバーの醤油煮(私作)。
26日(土)昼ごはんは大皿弁当。じゃがいものお焼き(冷凍しておいたのを持ってきた)、チキンカレーの残り、いかなごの釘煮(お姉さん作)、レバーの醤油煮、ご飯、。夜ごはんは、酢豚(お姉さん作)、エビチリ&子どもエビチリ(私作)。食後にレモンクッキー(お姉さん作)。
27日(土)昼ごはんはチーズクリーム・スパゲティ(牛乳を温め、ゴルゴンゾーラとカマンベールを溶かし込んだ。庭のフェンネルとチャービル入り。私作)、ゆうべの酢豚&エビチリ、ご飯。夜ごはんは、ノブさんの手打ちうどん、温かいつけ汁(おろし生姜)、南瓜の煮物(私作)、小さなおにぎりいろいろ(塩昆布とごま油、うま塩、焼きおにぎり。お姉さん作)。
というわけで、今日は夕方から中野さんがいらっしゃることになった。
西脇にある、アンティーク村みたいなところで買った電気のカサなどを、車で運んでくださる。
夜ごはんは、サヨリとアオリイカのお刺身、ワカメ、ホタルイカのオリーブオイル炒め(にんにく)、ご飯、焼きおにぎり、ビール、焼酎水割り。

●2022年3月22日(火)雨のち曇り

ゆうべは雨がひと晩じゅう降っていた。
しとしとしとしと、音を聞きながら寝た。
このところ、寝る前に『ムーミン谷の十一月』を読み続けていて、ゆうべが最後の章だった。
本の中でも雨が降っていたから、ちょうどよかった。
今朝は6時半に起き、ラジオをつけて、フセンの貼ってあるところをまた読んだ。
「ムーミン」シリーズに出てくる言葉について、小さな原稿を書く仕事をいただいたので。
「ムーミン」には好きなセリフやフレーズがたくさんあるから、迷ってしまうのだけど、なんとなく決まってきたかも。
起きて、すぐに書きはじめた。
今朝は寒いな。
ほかほかルームソックスに、冬のセーターに逆戻り。
それでも首もとがスースーする。
東京も今日、とても寒いらしい。
お昼前には書け、お送りした。
さて、今日は何をしよう。
「気ぬけごはん」の校正と、あさっての撮影のレシピ書きだ。
午後、晴れ間がでてきた。
少しずつ気温も上がってきたような。
今週私は忙しい。
あさっての木曜日は撮影で、東京のちよじがカメラマン。
ちよじはひと晩泊まり、翌朝に伊勢に行くのだそう。
私も一緒に家を出て、ひさしぶりに中野家に泊まりにいく計画。
ゆうとく君も、そうりん君も春休みだから。
夜ごはんは、厚切り豚ロース肉(塩麹を塗って冷凍しておいた)の陶皿焼き、出てきた脂で焼いた椎茸と蕪、ご飯はなし。食後に回転焼き。
毎晩楽しみに読んでいた『ムーミン谷の十一月』が終わってしまい、ちょっと淋しい。

●2022年3月19日(土)曇りのち雨

ゆうべの風は、ものすごかった。
ひと晩中、窓を揺らしていた。
明け方にもまだ吹き荒れていた。
怖かったわけではないのだけれど、なんだかよく眠れなかった。
それでも6時半にはラジオをつけ、7時に起きた。
さあ今日も、続きをやろう。
『帰ってきた 日々ごはん⑪』の初校。
とちゅうでやめることができない。
きのうも、買い物から帰ってきてすぐに続きをやり、あとひと月分のところまできた。
ピロリ菌の薬も今日で6日目。
粛々とした気持ちで飲んでいる。
なんか厳か。
なんとなく、母の病床日記の校正に向かう気持ちと対になっている。
夜ごはんは、アサリとズッキーニのフジッリ(にんにく、ディル)、南瓜のサラダ(ねり辛子、フレンチマスタード、マヨネーズ)。
7時半ごろ、オルガンみたいな汽笛が鳴り響いた。
「ヴオーーーーーォ」
霧笛だ。

●2022年3月16日(水)晴れ

このところ、とてもよく眠れる。
眠たくてたまらず、目覚めるともう7時前という感じ。
陽の出もしばらく見ていない。
朝からパソコンにかじりつき、『帰ってきた 日々ごはん⑫』の粗校正。
母が亡くなったのが2019年の7月で、その年の暮れまでの日記だ。
母との濃厚な日々を過ごしているうちに、何もかもが新鮮に感じられ、目に映っていたんだと思う。
なんだかこの巻の私は、いろいろなことごとに感動していて、自分でも恥ずかしい。
でも、本当にそうだったんだから仕方がない。
そういえば、しばらく外に出ていないなあと思って数えてみたら、4日間だ。
先週の土曜日にファーマーズ・マーケットに行ってから、坂を下りていないので。
その間ずっと、『帰ってきた 日々ごはん⑫』に向かっていた。
4時ごろ、ようやく終わり、村上さんにお送りした。
海が青いな。
貨物をいっぱい積んだ、宝船みたいな船が向こうからやってきて、ゆっくりとカーブした。
白い波の跡が光っている。
こんな夕方はビールでも呑みたいのだけど、がまんの日々。
ピロリ菌の薬を飲んでいるので。
薬は今日で3日目、ようやく慣れてきた。
明日からは、紙の原稿の『帰ってきた 日々ごはん⑪』初校に向かう予定。
夜ごはんは、鯖の塩麹漬け(冷凍しておいた)のフライパン焼き、皮をむいた茄子の甘酢炒め、トマトソース、じゃが芋餅。
鯖の塩麹漬けは、冷凍してから焼いた方がだんぜん旨みが濃くなることが分かった。
甘みとコクが出て、塩鯖とはちょっと違うおいしさ。
冷凍している間に熟成されるんだろうか。

●2022年3月14日(月)曇りのち晴れ

ゆうべはとても楽しかった。
寝る前に、「ああ、楽しかった」とつぶやいて、ベッドに入った。
自然に声が出てきた。
そして今朝も、ベッドから起き上がるとき、「楽しかったなあ」とつぶやいていた。
まだ余韻に浸っていたくて、テーブルはそのままにしてある。
台所に立って、海や空を遠くから眺めたり。
どんな味が好きだろうかと思いながら、いろんな料理をみんなのために支度して。
お客さんを待つのも、もてなすのも、やっぱりとてもわくわくする。
それに私は、今日子ちゃんの3人家族が好き。
ヒロミさんと今日子ちゃんが似ていないのは前から知っていたけれど、佐知子さんもまた誰にも似ていなくて、みんなぞれぞれ。
でも、どこかが同じ。 
一緒にいると、おもしろい。
今日は3人で、お父さんのお墓まいりに出掛けるのだそう。
私は、今朝からピロリ菌の薬を飲みはじめた。
飲んですぐは、なんとなく目の前がもわっとしている。
何種類も飲まなければならないし、除菌のための抗生物質だからきっと強いんだろうけれど、そのうち慣れるだろう。
それでも『帰ってきた 日々ごはん⑫』の粗校正を、1ヶ月分やった。
夜ごはんは、オムレツ(トマトソースの大根入りフジッリとピーマンの具)、蒸しブロッコリー。

●2022年3月13日(日)晴れ

今、間違えて4月と書きそうになった。
本当に、そのくらい暖かい。
春というよりも初夏の気候。
海は靄がかかっている。
今日は、今日子ちゃん一家が夜ごはんを食べにいらっしゃるので、朝からいそいそと支度をしている。
佐知子さんがはるばるイギリスから帰ってきているし、ヒロミさんと今日子ちゃんにはお世話になりっぱなしなので。
掃除をしながら料理の仕込みをするのって、楽しいな。
あんまり暖かいので、冬のマットも片づけた。
テーブルをふたつつなげ、クロスもかけた。
メニューは、人参の塩もみサラダ(米酢、バスサミコ酢、フレンチマスタード、オリーブオイル、ディル)、切り干し大根煮(ちくわ、干し椎茸、昆布)、蕪の間引き(ファーマーズ・マーケットで買った)の鍋蒸し、じゃがいものお焼き(クリームチーズ、ディル)、豚肉と大根のベトナム風煮込み(豚肩ロースブロック→塩麹を一晩まぶしておいた。ゆで卵、大根、梅干し、にんにく、生姜、オイスターソース、薬味の香菜&青ねぎ)小松菜の間引き(セイロで蒸した)添え、ご飯の予定。
夕方になって、肌寒くなってきた。
もしかして暑苦しいかなあとも思ったのだけど、主菜を煮込みものにしてよかった。

●2022年3月11日(金)晴れ

6時半に起きた。
今週の「古楽の楽しみ」は関根敏子さんだったのだけど、ほとんど毎朝聞くことができた。
今朝はずいぶん暖かいな。
朝、姉からメールがあった。
きのうの明け方、父の夢をみたのだそう。
私が父の看病をしていて、「なーみが来てくれた」と嬉しそうに言っていたらしい。
若いころの母も出てきたのだそう。
お彼岸が近いから、そんな夢を見たのかも。
ひさしぶりに私の日記を読んだら、胃カメラ検査を受けることになっていたので、心配しているとのこと。
胃カメラの結果はピロリ菌。
逆流性食道炎ではないらしい。
月曜日から1週間、除菌の薬を飲み続けることになった。
のんびり返事を書いていたら、今日は、歯医者さん(歯石のクリーニング)だ!
11時に予約をしているので、支度をして「気ぬけごはん」の続きを書こう。
30分ほどで終わり、「コープさん」で軽く買い物をし、坂を上って帰ってきた。
荷物が少ないので、スーイスーイと上れた。
寒くもなく暑くもなく、とてもいい陽気。
春はもうそこまできている。
帰ってから「気ぬけごはん」に集中して向かい、4時には終わって、お送りした。
明日は休日にして、ファーマーズ・マーケットに出掛けよう。
野菜もないし、今年は苺をたくさん食べたいので。
夜ごはんは、トマトソースのフジッリ(にんにく、ベーコン、カマンベールチーズ)、人参の塩もみサラダ。

●2022年3月8日(火)晴れ

よく晴れている。
窓を開けていても寒くない。
きのうは、「神戸サンボーホール」に行った。
ホールはとても広く、つい立てで分かれたラインごとに、100人くらいの人たちが申告をしていた。
分からないことだらけで、最初私は緊張していた。
間違えたらいやだし。
でも、オペレーターの方たちはみんなとても親切だった。
マンツーマンというわけではないけれど。
私は書類をもういちど書き直し、それを持ってパソコンのブースに行って、また別のオペレーターにひとつひとつ教わりながらキーボードに打ち込んだ。
9時半に予約して、終わったのは11時を過ぎていたと思う。
出てきたら、両手に杖をついた小さいおばあさんが声をかけてきた。
「お尋ねしたいのですが……向かいのあのバス停で下りて、申告に来たんですけど、反対側のバス停がないんです。ひよどり台に帰るにはどこから乗ればいいのでしょうか? 66番のバスに乗れば、1本で着くんです」
とても困っている。
おばあさんにはそこで待っていてもらって、私は向こう側の道を見にいったり、警備員さんに尋ねてみたり。
どこにもバス停はない。
iPhoneで調べようとしても、ちっともうまくいかない。
郵便配達のお兄さんに尋ねると、「上りのバスが停まったら、運転手さんに聞くのがええんちゃいますか?」
バスがやってきた。
運転手さんに尋ねてみたら、終着駅なので、またここから発車するとのこと。
私は喜び勇んでおばあさんに伝えにいった。
おばあさんは横断歩道を渡るにも、ひと足ひと足杖をついて、ゆっくりとしか進めないので、ものすごく時間がかかる。
一緒に歩きながら、「ひよどり台というのは、電車だとどの駅なんですか?」と聞いたら、おばあさんはすぐに「しあわせ村の近くです」と、ひときわ高らかな声で言った。
このおばあさんは、自分の住んでいるひよどり台が大好きで、誰かに伝えるときにはいつも、「しあわせ村の近くです」という言うんだろうなと思った。
バスの後ろの掲示板には、「しあわせ村」と書いてあった。
おばあさんとはそこで別れたのだけれど、ひとりでバスに乗り込めるだろうかと気になって、しばらく遠くから見ていた。
そしたら杖を2本合わせ持った右手で、バスの手すりをぐっとつかみ、ちゃんと体を持ち上げタラップを上っていた。
私は安心し、帰ってきた。
確定申告は大変だったけど、おばあさんに会えてよかった。
おばあさんの言う「しあわせ村」は、バスの終点だろうか。ひよどり台は、どんなところだろう。
なんだか、「ムーミン谷」にありそうな村だ。
それにしても、ああいうおばあさんがバスに乗ってはるばるやってきて、混雑に混ざって申告をしなければならないこと、なんだかへんてこりんだと思う。
申告の会場には車いすの方もいた。
灘区民をひとつところに集めるんじゃなくて、ひよどり台の公民館とか学校の体育館とか、近所でも申告ができるようにすればいいのに。
今日は朝からあちこち掃除。
午後から、3度目のワクチンを受けにいくので。
それまで『帰ってきた 日々ごはん⑫』の粗校正の続きをやろう。
夜ごはんは、オムライス(三宮の名店の。ヒロミさんがテイクアウトし、ごちそうしてくださった)、浅蜊のみそ汁。
食後に紅茶とチョコ・デニッシュ。
おいしかったー!
オムライスは均一の厚さの卵できっちりと包まれ、とても丁寧に作られていることが分かった。
ヒロミさんが三宮まで行って、私の分まで買ってきてくださったんだなあと思いながら食べた。
ひと匙ひと匙食べながら、私はものすご幸せだった。

●2022年3月6日(日)晴れ

陽が昇るとき、小雪が舞っていた。
窓を開けて布団をかぶり、梅干しみたいな太陽(きさらちゃんがそう言っていた)を見た。
それほどには寒くないけれど、また冬が戻ってきたような朝。
きのうは、散歩がてら「MORIS」に行った。
ボルシチがおいしくできたので、イギリスから帰ってきている佐知子さん(今日子ちゃんのお姉さん)と、ヒロミさん、今日子ちゃんの分を抱えて。
佐知子さんはお出掛けてしていて会えなかったけれど、お客さんを交えての楽しいおしゃべり。
そして、今日子ちゃんのおみかんジャムをお湯で溶いた、ホットおみかん。
軽く買い物をして帰ってきた。
今日からまた、母の病室へ飛ぼうと思う。
村上さんにお願いし、『帰ってきた 日々ごはん⑫』のテキストを送っていただいたので。
2時半、母が息を引き取った日までの粗校正が終わった。
途中、いちどだけ涙がにじんだけれど、大丈夫だった。
なんだか母のお葬式をもういちどして、この部屋に帰ってきたみたい。
「お母さん、終わったよ」
窓を開けたら、すーっと冷たい風が入ってきた。
途中で小雪が舞ったりもしていたけれど、今は青空がのぞいている。
海も青い。
ゴミを出しにいくついでに、山の入り口まで走って上った。
けっこう寒かったけれど、爽快だった。
夜ごはんは、ボルシチ(もち麦ご飯添え)、ほうれん草のオリーブオイル炒め。

●2022年3月4日(金)ぼんやりとした晴れ

朝から「毎日のことこと」を書いている。
窓を開けてしばらくすると、寒くなる。
暖かいのか寒いのか、分からないような日。
うちの前の木を、きのうから切っている。
ウィーンという電気ノコギリの音を聞きながら、ひたすら書く。
ビーツやじゃがいもを、ゆっくりゆでながら。 
ボルシチを作ろうと思って。
台所から窓を見ると、海が白い。
空との境がない。
きさらちゃんはきのう、「船が空に浮かんでいるみたい」と言っていた。
あと、街がぼんやりとして、「幻みたいに見える」とか、「あるけどないみたい」とも。
きさらちゃんはよく外を見ていたっけ。
「いつまででも見ていられる。ぜんぜん飽きない」と、ひとりごとを言いながら。
きのうは(泊まった翌朝)、陽の出を見たらしい。
私が起きたとき、下で絵本を呼んでいた。
「柱時計の音がいいなあと思って。ひとりでいると、よく聞こえます」
きさらちゃんといるの、楽しかったな。
一緒にいると、もう何十年も前からの友だちみたいに、あとからあとから話したいこと聞きたいことが湧いてきた。
そして、姫路でもよく歩いたし、帰りは六甲道までてくてく歩いて、スーパーをはしごした。
地元らしいスーパーでお土産を買いたいというので、ふだんはあまり入らないスーパーをひさしぶりに覗いたのだけど、関西ならではのめずらしいものがいろいろ目についた。
きさらちゃんの目が移ったのかな。
知らない街で、小さな旅をしているみたいだった。
夜ごはんは、ボルシチ(シチュー用牛肉、玉ねぎ、人参、蕪、白菜、じゃがいも、ビーツ)、ご飯。
ボルシチがとてもおいしくできた。
小さなビーツをふたつ入れただけなのに、濃い薔薇色で。
やっぱりビーツの甘みが、たまらなくおいしい。
しんちゃんの蜂蜜をほんのちょっと加えたのも、よかった。
キャベツのかわりに白菜を入れるのも、いいな。
途中からご飯にかけて食べた。
さらさらとしたこういうシチュー、大好き。

●2022年3月2日(水)雨のち曇り

今朝も雨。
窓が白い。
6時前に起きてカーテンを開けたのだけど、朝焼けも陽の出も見られなかった。
雲が厚い。
でも、午後から晴れるみたい。
今日は「ポレポレ坐」のきさらちゃんが東京からやってきて、1晩泊まる。 「姫路文学館」というところで、長谷川集平さんの展覧会をやっているそうなので、私も見にいくことになった。
きさらちゃんのメールには、「集平さんの絵本は体にしみ込むほどに読んだので、展示を見ておきたく、スケジュールとにらめっこしていました。とりあえず行くことだけ決めて、あとはまだ何も決めてなくて」とのこと。
それで、急に決まった。
きさらちゃんはひとり旅が好きそうだし、私もひとりが好きだから、現地集合にした。
展覧会はひとりで見てまわるのがいちばん。
めっちゃ方向音痴だけれど、iPhoneがあるからきっと大丈夫。
ちょっと早めに出て、三宮で毛糸を買って、姫路行きのJRに乗ろう。
きさらちゃんに会えるのはひさしぶり。
姫路に行くのもはじめて。
うれしいな。
あ、空が明るくなってきた。
夜ごはんは、蕪&ミニトマト&生チーズ(「共働学舎」のが、「いかりスーパー」に売っていた!)小エビのスペインバル風(ミニトマト、パエリアミックススパイス、にんにく、オリーブオイル)、じゃがいものお焼き、ブリの塩麹焼き(大根おろし)、ビール、白ワイン、焼酎お湯割り。

●2022年3月1日(火)曇りのち雨

霧に包まれている。
窓の外が真っ白。
「毎日のことこと」を朝から書いている。
こんな日は、文を書くのにぴったり。
窓を開けると、霧が立ちこめ、木々が透けているのが見える。
山の中にいるみたい。
小鳥が鳴いている。
きのうはふと思い立ち、朝早くから支度して、確定申告の書類を提出しに、バスに乗って「神戸サンボーホール」というところに行った。
9時45分に着いたのに、建物の外は長蛇の列。
私の整理券は、253番だった。
しかも、予約をしている人がこれから80人やってくるとのこと。
予約をするには、ラインで申し込まないといけないらしい。
並んで待っている人たちの動きがないようなので、私はあきらめ、帰ってきた。
現金出納帳をあんなに真面目につけてきたのに。
ようやく、申告の書類を書くことができたのに。
スマートフォンを持っていない人や、私みたいにラインの意味さえ知らない人はどうすればいいんだろう。
おいしいパン屋さんがあったら買って帰ろうと思っても、道すがらには何もない。
がっくりと肩を落として六甲に帰り着き、今日子ちゃんに会いにいった。
「MORIS」は定休日で、今日子ちゃんは床掃除をしていた。
事情を伝えると、「やってあげますよ」と言うのだけれど、ラインの設定をするのにも、パスワードを書いたノートはうちに置いてある。 「じゃあ、今から私もなおみさんのところに行って、一緒にやりましょう」と言われたとき、ありがたくてありがたくて、目の前がパーッと明るくなった。
今日子ちゃんは、自分がお昼に食べようとしていたじゃがいものドフィノアの残りと、カリフラワーを蒸したものを器ごと持って、ふたりでタクシーに乗った。
うちの冷蔵庫には、ポルトガル風に鰯を焼いたのと人参の塩もみサラダがあったので、ドフィノアをオーブンで温め直し、小蕪とまほろばほうれん草のオイル蒸しを添え、ぜいたくなお昼ごはんとなった。
私がお昼の支度をしている間に、今日子ちゃんはラインを繋ぎ、「神戸サンボーホール」の予約もしてくれた。
なんとかショットというので、画面の写真も撮ってくれた。
当日の受付で、これが必要なのだそう。
あっという間にできた。
そのあと私は、宮下さんと電話でゲラの校正。
今日子ちゃんは2時半から取材があるそうで、「じゃあ、また」と言って爽やかに帰っていった。
そんな、ありがたい日だった。
夜ごはんは、おでんカレー(いつぞやの。ゆで卵添え)、塩もみ人参とワカメのポン酢醤油。

●2022年2月27日(日)ぼんやりした晴れ

朝の寒さはずいぶん緩んだような気がする。
床の冷たさが違う。
今朝は、ほかほかルームソックスをはかなくても、充分に暖かいもの。
霞がかかって、春の海みたい。
きのうは、旧居留地最後のファーマーズ・マーケットに行った。
いいお天気で、お客さんたちも多く、なんだか春の匂いがした。
亜由美さんとあちこちゆっくり見てまわり、お昼ごはんに竹と野菜の田舎寿司を買った(細い竹を煮含めた中に、混ぜ寿司が詰めてある。コンニャクに包まれたのや、椎茸、菜の花がのったお寿司も詰め合わせてあった)。 
帰ってから即席味噌汁を作り、お昼ごはんに食べた。
おいしかったー!
買った野菜は、小さい種類のほうれん草(「まほろば」)、ルッコラ、ベビーリーフ、小蕪。
はっさく、淡河竹の子と牛すじのカレーパン、ねぎと干しえびのチーズパン。
亜由美さんとふたりでいたから、「テレビを見ました」と、声をかけてくださる方が何人もいた。
私の肩に指で軽く触れ、「見たわヨ」と微笑みながら通り過ぎていった、年配のおしゃれな奥さん。
そのとき私は、とても嬉しかった。
私のファンというわけではなく、たまたまテレビを見た方だ。
なんだかとっても普通で、親密な感じ。
遠い親戚のおばさんに、褒められたような感じ。
今日はベッドに腰掛け、青い空を見ながら川原さんと長電話して(気づいたら1時間たっていた)、「毎日のことこと」のタイトルまわりの絵を描いたら、一日が終わってしまった。
川原さんはとても元気そうだった。
夜ごはんは、ポークソテー(ゆうべから塩麹をまぶしておいた。ベビーリーフ添え)、長茄子のオイル蒸し、ハーブ味噌、スンドゥブチゲ(いつぞやの。落とし卵、生のり)、ご飯。

●2022年2月22日(火)曇りがちの晴れ

眠たくて、眠たくて。
8時に起きた。
太陽はとっくに昇り、部屋中光がいっぱいで眩しかったけれど、布団をかぶって寝ていた。
きのうの胃カメラ検査は、寝台に仰向けになって、どの麻酔をし、麻酔注射を打って左側を向いたところまでは覚えているのだけれど、そのあとのことはまったく記憶がなかった。
気づいたら、クリーム色のカーテンに囲まれた寝台の上で寝ていて、ここはどこ? 状態だった。
検査室から休憩室まで、手を引かれて歩いたようなのだけど、覚えていない。
夢の中で「もう、終わったんですか?」と、誰かに向かって聞いたような気もする。
詳しい検査結果は2週間後に分かるのだけど、どうやらピロリ菌がいるらしい。
組織を採ったので、アルコール、コーヒー、紅茶は2日間控えるようにとのこと。
先生からピロリ菌の話を聞いているとき、画像がちらっと見えた。
粘膜に覆われたピンク色。
私の胃って、あんななんだ。
ゆうべは胃の上に手を当てて寝た。
63年間ご苦労さまです、と思いながら。
今朝は何でもよく噛んで、ゆっくり食べている。
さて、『帰ってきた 日々ごはん⑪』の粗校正に向かおう。
4時。
終わった。
締め切りはまだ先だけど、村上さんに今お送りしたところ。
明日が祝日だから、ちょうどよかった。
夜ごはんは、煮込みうどん(ゆうべの残りを温め直した)、ゆでワカメ(亜由美さんにいただいたもの・大根おろし、ポン酢醤油)、厚揚げと白菜の甘辛煮(鰈の煮つけの汁で煮た)。

●2022年2月21日(月)晴れ

5時半に目が覚めた。
黒い山並みに沿って、濃いオレンジ色の帯。
陽の出は6時40分。
ひさしぶりに見ることができた。
お白湯をゆっくり飲みながら見た。
朝風呂から上がって窓を開けたら、風花が舞っていた。
海は金色。
さあ、いよいよ胃カメラだ。
朝ドラを見たら、出掛けよう。
夜ごはんは、鰈の煮つけ(焼きねぎ)、めかぶ(かつお節、薄口醤油)、ご飯。

●2022年2月20日(日)晴れ

8時半に起きた。
部屋の中はすでに光でいっぱい。
5時から目醒めていたのに、ラジオを聞きながら目をつぶっているうちに寝てしまった。
なんか、おもしろい夢をみていたような。
明日は、朝から胃カメラの検査を受けにいくので、食べ物に注意しないと。
乳製品がだめらしい。
野菜、海藻、きのこ類も控えめにとのこと。
なので、朝ごはんは果物(伊予かん、りんご)と紅茶だけ。
今日は、亜由美さんが須磨海岸で収穫したてのワカメを届けてくださるのに、あまり食べられない。
始末して、冷凍しておこうと思う。
そういえば、日記に書くのをずっと忘れていたけれど、今私は塩麹を作っているところ。
麹は「FARMSTAND」で買った。
3日後くらいに仕込んだから、12日目くらいだろうか。
麹の粒を指でつまむと、すぐにつぶれるようになったので、ゆうべのうちに「コープさん」で買ってきたサーモン(お刺身用)のサクを漬けておいた。
今夜、焼いてみよう。
「夕食は消化のいいものを20時までにすませてください」とのこと。
冷やご飯があるから、お粥にしようかな。
卵は食べてもいいんだっけ。
食べていいもの、悪いものが決められているのって、緊張する。
さっき、風花が舞った。
午後からあちこち掃除。
絵を描いたり、アイロンがけをしたりしているうちにもう4時だ。
これは来週の撮影の支度。
今日は、『帰ってきた 日々ごはん⑪』は休もう。
海が青いな。
5時過ぎに、亜由美さんがワカメを届けてくださった。
よく洗って、メカブをゆでてみた。
茎ワカメもゆでてみた。
ちょっとつまんでみたら、ぷりぷりしこしこ。
あんまりおいしくて、ワカメも少しだけゆでて食べた。
香りがあって、歯ごたえもあって、なんともいえないやわらかさもあり、生きている感じ。
たまらなくおいしかった!
夜ごはんは、採れたてワカメ(大根おろし、ポン酢醤油)、塩麹サーモンソテー、お粥(卵、だし汁)、ハーブ味噌。

●2022年2月19日(土)曇りのち雨

今朝も寒い。
木曜日からまたひとりの暮らしに戻り、『帰ってきた 日々ごはん⑪』の粗校正の続き。
6月1日に母が再入院してからは、私の付き添いも本格的となり、頻繁に帰省して病院に通っている。
1日1日の日記がとても長い。
毎日違う母の様子。
ひとつひとつを思い出しながら、ゆっくりと向かっている。
思い出すというよりも、パソコンに向かっている間は病室に飛んでいっている。
さて、はじめる前に、「コープさん」に行ってこようかな。
野菜はたくさんあるけれど、牛乳も卵もないので。
帰り道で雨がぽつぽつ。
途中まで坂を上っていたのだけど、たまたま来たタクシーに乗った。
お昼ごはんは、「コープさん」の白身魚のフライと、「ポエム」の白パンでサンドイッチにした。人参サラダ(塩もみしてフレンチマスタードで和えたもの)もたっぷり挟んだ。
雨が静かに降っている。
しめやかに、という感じ。
さて、はじめようかな。

もうじき4時半。
6月の日記は、あと3日を残すところまできた。
途中で胸が詰まり、涙がにじんだ日もあったけど、だんだん大丈夫になっていった。
日ごとに変わる母の変化を、じわじわと受け止められるようになっていく、日記の中の私みたいに。
窓を開けると息が白い。
ピーツク ピーツク ピーツク ピーツク……
雨のなか、シジュウカラが鳴いている。
夜ごはんは、煮込みハンバーグ(「気ぬけごはん」に書いた緑さんのレシピをもういちど試作した)、ほうれん草のなたね油炒め、人参サラダ、ご飯。

●2022年2月16日(水)晴れ、ときどき雪

おとついから中野さんがいらしている。
綿をちぎったような雪が風に煽られ、山の方からやってくる。
お天気雪。
午後から、六甲山上にある山荘へ見学にいく。
「ROKKONOMADO ロコノマド」”泊まれる森のシェアオフィス”というところ。
大きな海が見渡せ、朝焼けがものすごくきれいだそう。
「コープさん」の前で待っていたら、亜由美さんが車でビューンと連れていってくださる。
もうしばらくしたら、坂を下りよう。
けっきょく、亜由美さんはうちの前まで迎えにきてくださった。
「ROKKONOMADO ロコノマド」は、標高780メートル。
空気がきーんと冷たくて、澄んでいる。
木造の建物にはいろいろな部屋があって、昔、夏休みになると住み込みでアルバイトをしていた八ヶ岳の山小屋を思い出した。
眼下に横たわる大きな海と空。
目の前は森。
広々としたウッドデッキ。
海と空と森に抱かれているような感じがする。
霧が出ると、この建物は雲の中にいるみたいになるのだそう。
ここで暮らしながら山荘の管理をしている3人家族が、とっても気持ちのいい人たちだった。
キッチンは厨房みたい。
窓から海も見える。
こんなところにパソコン持参で泊まり込んだら、私の書くものはどんなふうになるんだろう。
ベランダで飲むコーヒーも、おいしいだろうな。
すぐにどうこうというわけではないけれど、ロープーウェイに乗って訪ねたら、楽しいかもしれない。
六甲山のロープーウェイ乗り場は、うちから歩いて30分もかからないところにあるんだから。
帰り際、2棟あるコテージを見学しているとき、雪が降ってきた。
けっこうなぼたん雪。
あれよあれよと降ってくる。
ついさっきまで陽が差していたのに。
山の天気は本当に変わりやすいんだな。
帰りは亜由美さんがまた車で、家の前まで送り届けてくださった。
なんだか北国に行って、帰ってきたみたいな、束の間の小旅行だったな。
夜ごはんは、ビール、ふぐヒレ酒(去年の11月、朱実ちゃんと樹君が小倉駅でお土産に買ってくれたもの)、あるものすき焼き(牛の切り落とし肉、豚の薄切り肉、丹波しめじ、岩津ねぎ、白菜、ミニほうれん草、豆腐、もやし、お麩、生卵)、〆はうどん。
中野さんが鍋奉行をしてくれた。
すき焼きにもやしなんか合うのかなあとはじめは半信半疑たのだけど、最後、肉や野菜のエキスが染み出た煮汁にもやしだけ加え、ふたをしてシャキッと仕上げたのがおいしくてびっくり。

●2022年2月12日(土)晴れ

6時前に起きて、朝焼けを見た。
明けの明星が光っている。
2本の煙突の煙はまっすぐに上り、相似形。
風がないのだ。
空の高いところは青く、黒い山々のシルエット、そして濃い茜色。
この時間がいちばん美しい。
陽の出の時刻が近づくと、空は明るんで、いちどすべてが白っぽくなる。
そうしてまた昇る直前には、山の上の雲が薔薇色に染まる。
今朝の雲は、盛り上がっているところとへこんでいるところの陰影が皺になり、ピンクの大地のようになった。
そのなかに強烈なピンクのところが1箇所あって、あそこから昇るのだなと分かる。
眩しい玉の端っこが、顔を出した。
雲の間からなので、縞模様の光。
さて、今日子ちゃんとファーマーズ・マーケットだ!
てきぱきと支度しよう。
朝ごはんは、ヨーグルト(八朔、バナナ)と紅茶だけ。
9時になったら出掛けるつもり。

ああ、楽しかった。
ビーツ、小さい種類のほうれん草、菜の花、ブロッコリー、岩津ねぎ、生のり、味噌などを買ってきた。
岩津ねぎの黒焼きも、ぬるっと甘くておいしかったな。
スンドゥブチゲも、本場の味でたまらなくおいしく、ボリュームたっぷりで、体がぽかぽかした。
最後はご飯を混ぜ、落とし卵をくずしながら食べた。
帰り道、「マスクの下は、ねぎとチゲの香りがこもってます」と今日子ちゃん。
今日子ちゃんとの買い物は、やっぱり楽しい。
朝のマーケットは、やっぱりいいな。
お昼前に帰ってこられるなんて。
買ってきた野菜の始末をしたり、ビーツをゆでてマヨネーズを作ったり。
生のりは、夜ごはんで使う分をのぞいて冷凍した。
仕事の電話もふたつかかってきたので、今日は『帰ってきた 日々ごはん⑪』はお休み。
明日は雨のようだから、またじっくりと勤しもう。
夜ごはんは、切り干し大根煮(いつぞやの)、茹でたビーツと蒸しブロッコリーの茎のサラダ(手作りマヨネーズ)、蒸しブロッコリー(何もつけずに)、生のり雑炊(白菜、ほうれん草、卵)。
ファーマーズ・マーケットで買ってきたスパイスクッキーが、とてもおいしい。

●2022年2月11日(金)曇りのち晴れ

朝ごはんを食べ終わったころ、晴れてきた。
太陽が顔を出すと、とたんに暖かくなる。
今日も朝から、『帰ってきた 日々ごはん⑪』のパソコン校正。
忘れかけていたことを、きのうのことのように思い出す。
母の体が、近くに戻ってくる。
きのうは、校正をしながら涙が吹き出したりして、このまま私は進めていけるんだろうかと不安だったのだけど、なんだろうこの感じ。
1日、また1日と、読み込みを進めていけばいくほど、あのころに起こったすべての出来ごとに、今ここにいる私があたたかく包まれる。
母の病気はどんどん進行し、悲しい言葉や切ない言葉もたくさん出てくるというのに。
今日はなんだか静かな日だな。
連休の初日だからかな。
明日は、今日子ちゃんと「ファーマーズ・マーケット」に行く約束をした。
朝から出掛けるのが、とても楽しみ。
さあ、もう少し、できるところまでがんばろう。
2ヶ月分が終わった。
あとは、5月と6月。
ここからが正念場。
入退院を繰り返す、大変な日々に入っていくので。
今は4時半。
海が青い。
窓を開けると、地面が濡れている。
なんとなく春の匂いもする。
あ、ジョウビタキだ。
夜ごはんは、じゃがいも入りフジッリ(にんにく、ちりめんじゃこ、海苔)。
フジッリがとてもおいしくできた。
じゃがいものゆで加減もどんピシャ。

●2022年2月10日(木)小雨

曇っているのかと思いきや、目をこらすと小雨が降っている。
寒いなあ。
東京は今日雪が降るのだそう。
きのうニュースを見ていたら、食料品をいっぱい買い込んでいるお母さんが映っていて、なんだか嬉しそうだった。
雪が積もったら川原さんやリーダーはきっと、井の頭公園に散歩にいくんだろうな……と思いながら、私はなかなかベッドから出られない。
ふわふわぬくぬくの敷き毛布を買ってから、朝のラジオを聞きながらうとうとする時間が至福となった。
今朝は、ベッドの中で読書。
それでも9時には起きた。
今読んでいるのは、奥山淳志さんの『動物たちの家』。
ゆうべからまた読みはじめた。
「&premium」に書評を書いたときには、3分の2しか読めていなかった。
後半もまた、ぐんぐんと引き込まれる。
やっぱりものすごくいい。
きのうは、美容院の帰りに図書館と「MORIS」に寄った。
本にサインをし、よく喋り、よく笑い、今日子ちゃんが焼いてくれた苺のケーキをひろみさんと3人で食べた。
おいしかったなあ。
帰りがけ、今日子ちゃんとふたりで買い物にいった。
「100ショップ」で小さな買い物をして出てきたとき、「なおみさん、1位になってます」と今日子ちゃんが教えてくれた。
それは、六甲駅の書店「ブックファースト」の週間ランキング。 『帰ってきた 日々ごはん⑩』が、ショーケースに立てかけられていた。
いちばん近所にある、馴染みのある本屋さんで1位になれたことがとても私はとても嬉しく、写真を撮った。
こういうとき、スマホはありがたい。
上手に撮れるし。
撮っている私を、今日子ちゃんが後ろから撮影。
そのあとで植物屋さんに行って、私はサイネリア(マーガレットを小さくしたような白い花。花芯が紫と紺の間の不思議な色をしている。「MORIS」に飾ってあるのを見て欲しくなった)を買い、今日子ちゃんはプラムの枝ものと、アネモネの蕾、緑色の丸い花のような植物を1輪ずつ買った。
ケンちゃんに「どんなの(状態)がいいですか?」と聞かれたとき、今日子ちゃんは「何気ないのを」と言った。
白い包装紙に包まれているアネモネは、ブルーベリーのような濃い紫色だったので、プラムの花の蕾が赤いベリーの実みたいに見えた。
今日子ちゃんの花の選び方、いいなあ、素敵だなあ。
そしてそのあと、「いかりスーパー」にも寄ったのだった。
私はおでんが食べたかったので、入り口近くにあるおすすめのショーケースに並んでいた牛スジ(ゆでてある)と、絹厚揚げ、串に刺してあるお団子みたいな3色さつま揚げ(白、ピンク、茶色)を買った。
今日子ちゃんは豚肉の薄切りだけ。
「今夜は飾りつけが遅くまでかかりそうだから、「MORIS」で白菜の塩漬けとお鍋にするんです」とのこと。
今日子ちゃんと買い物をするのは、とても楽しい。
なんだかこういう日常が今、私はたまらなく楽しい。

地面が濡れている。
さあ、やりますか。
今日からまた、『帰ってきた 日々ごはん⑪』のパソコンでの粗校正。
今巻は2019年1月から6月分の日記。
今はまだ、病気のことを知らない元気なころの母が出てくる日々なので、切なく、ゆっくりとしか進まない。
それでもがんばって、夕方には2ヶ月分が終わった。
夜ごはんは、豚の生姜焼き(蕪のフライパン焼き&蕪の葉とニラのサッと炒め)、塩むすび、味噌汁(切り干し大根、豆腐、ワカメ)。

●2022年2月4日(金)晴れ

6時半に起きた。
朝焼けを見ながら、「古楽の楽しみ」。
7時に陽の出。
今朝は大阪の山の上から、朱い果物みたいな太陽が顔を出した。
じりじりと燃えている。
天気予報の次は、「今朝のニュース」。
ああ、ようやくいつもの朝が戻ってきた。
背中のコリもなく、すっきりしている。
ぐっすり眠れたし、おもしろい夢もみた。
太陽の真下の海は、金の池。
池の畔でちかちかと小さく光っているところは、小魚が跳ねているよう。
やっぱり早起きはいい。
たまには誰かと思い切りおしゃべりしたり、遊ぶのも楽しいのだけど、早寝早起き快食快便。
洗濯物を干しているとき、ツクピー、ツクピーと盛んにシジュウカラが鳴いていた。
シジュウカラは春を呼ぶ小鳥。
そういえば今日は立春だと、ラジオの天気予報で言っていた。
さて、「MORIS」にサインをしに出掛けよう。
銀行や買い物も。
そのつもりで、もう朝ドラも見ておいた (福引きでラジオが当たった!)。
3時くらいに帰ってきた。
今日子ちゃん、ヒロミさんとたっぷりおしゃべりし、思う存分買い物をして帰ってきた。
早めに出かけるのって、いいな。
帰ってからひと仕事。
「天然生活」の最終校正を、目を皿にして。
夜ごはんは、焼き穴子と蒸しの穴子のお弁当(「いかりスーパー」の)、菜の花のおひたし(薄口醤油、ごま油、炒りごま)、かぶとかぶの葉の味噌汁、たくあん。
残さず食べて、お腹いっぱい。

●2022年2月3日(木)晴れたり曇ったり

9時に起きた。
わざと寝坊した。
起きたときには海も街も靄に覆われ、白一色だった。
ベッドの上でぼんやり眺めているうちに、雲に太陽が透け、だんだん明るくなってきた。
それで、ようやくエイッと起きた。
煙突の煙が金色に光っているのを見たのは、きのうだったっけ。
煙の後ろから陽が差し、光った綿をひきちぎったみたいになっていた。
「おおー」と思わず声が出た。
今朝は、首や背中がコリコリ。
このところいろいろな仕事がいっぺんにやってきて、ぱたぱたとしていた。
打ち合わせに、原稿書き、校正などなど。
その上、遊ぶのもしっかりやっていた。
日曜日にはひさしぶりにつよしさんに会い、散歩がてら芦屋のソーセージ屋さんとパン屋さんに行ったり、三宮に出てレストランのテラスでワインを呑んだり。
おとついは、打ち合わせのあと、宮下さんとワインを1本開けてしまったし。
「毎日のことこと」は、早めに書きはじめていたので、きのう仕上げてお送りできた。
そしてきのうは、新しくはじまるかもしれないテレビのお話もいただいた。
東京時代からお世話になっている、信頼しているディレクターさんだし、楽しみな気持ちもたくさんあるのだけれど、大丈夫なんだろうか私。
そんなこんなで、しばらく日記が書けなかった。
気づけばもう木曜日。
さあ、ぼちぼち仕事をしよう。
夜ごはんは、大根入りフジッリのトマトソース和え、ほうれん草とビーツの葉のじゃこバター炒め。

●2022年1月28日(金)晴れ

7時半に起きた。
太陽は雲で隠れていたけれど、海が丸く光っていた。
あたり一面白く霞み、そこだけ金色に発光しているのだった。
しばらく眺め、エイッと起きる。
今朝は、目が腫れている。
父親ゆずりの瞼の下のたるみ、それでなくても大きいのに。
ゆうべ寝る前に、『エール!』というフランス映画を見たからだ。
(昼間いちど見て泣いて、お風呂から出て、もういちど見た)
聾唖の家族と、健聴者の娘の話。
明るくて、哀しくて、大笑いしながら泣けてくる。
娘の歌声が胸に残り、忘れられない。
今日は、あちこち掃除機をかけ、部屋を清めた。
『帰ってきた 日々ごはん⑩』のサイン用の本が届く日なので。
『日々ごはん』と『帰ってきた 日々ごはん』は、今年で20周年を迎える。
全国のいくつもの本屋さんで、記念のフェアをしてくださるのだそうで、たいへんありがたい。
だから私もがんばって、サインをしている。
すでに130冊をしたのだけど、追加で50冊することになった。
どんまい、どんまい。
今巻の表紙カバーは、ぱっと見ると、影が薄暗く映り込んで、もしかすると古い本のように見える方もいるかもしれない。
でも私は、それがとってもいいなあと思う。
小さな人が無垢な心で描いたみたいな花の絵と、影と、にじみ。
この世界はいいことばかりではない、綺麗なことばかりではないという、日々ごはんの芯のようなものが見え隠れしているから。
こんなアート・ディレクションは、スイセイにしかできない技だと思う。
20周年という記念の巻でこういう本を出せることが、私はとても嬉しく、誇らしい気持ち。
そういえば、この間みっちゃんから電話があり、『帰ってきた 日々ごはん⑩』の感想を言ってくれた。
週末の読書がみっちゃんの楽しみなのだけど、原田マハさんの本をすべて読み尽くしてしまったので、たまたま読んでみたら、止まらなくなったらしい。
「いやー、一気に読んじゃったよ。いいねえ、おもしろかったなあ」
今巻は2018年の大晦日の日記で終わるのだけど、「1冊の本としても、最後に相応しい終わり方だね」と言っていた。
あと、「高山なおみ 日記もの(いつの日記が、どの本になったか)年表」にも、いたく感じ入っていた。
「方眼紙で、あんなふうになっていて、あれはスイセイさんにしかできないね!」と。
みっちゃんはふだんから、建築の製図と向き合っているから、細かな目盛りの大切さ、ありがたさが分かるんだと思う。
『日々ごはん』のシリーズは、いつも、姉や子どもたちが途中で借りにくるので、1冊を通してちゃんと読んだのがはじめてだったんだそう。
私のささやかな日常を綴った、つましい日記を読んでくださっているみなさんへ。
いつも、楽しみに見守り、買ってくださる方々のために、心をこめて、1冊1冊サインをしよう。
夜ごはんは、おうどん(白菜、ほうれん草、さつま揚げ)。

●2022年1月25日(火)曇り

6時半に起きた。
ラジオを聞きながら、うとうとしているうちに陽が昇り、みるみる部屋が光でいっぱいになった。
眩しい!
きのうは鈴木さんとの打ち合わせのあと、散歩がてら一緒に坂を下りた。
鈴木さんは阪急電車で帰られ、私はそのまま歩いて六甲道へ。
このところの胃もたれが気になるので、病院に行ってみた。
去年の11月(だったかな?)の市の健康診断で、胃炎という結果が出ていたし。
何も症状がなければ、来年まで放っておいても大丈夫とのことだったのだけれど、近いごろ朝起きると、みぞおちのあたりがなんとなくむーんとしていた。
先生の見立てでは、逆流性食道炎かもしれないとのこと。
「いちど、胃カメラで調べてみましょう。膵臓も見ておいた方がよいので、エコーもしましょう」ということになった。
ヒロミさんにも前から薦められていたので、胃カメラ、飲んでみることに決めた。
「予約していただくんですが、胃カメラ検査は今、めっちゃ混んでいます」と、看護婦さんが真剣な表情でおっしゃった。
「めっちゃ」と、確かに言った。
ここの病院、私は大好き。
ヒロミさんも今日子ちゃんも、たいへん信頼しているお医者さん。
帰りに「MORIS」に寄って、盛り上がる。
主には胃カメラの話と、ジョーとサッチモちゃんについて。
今日は、美容院。
六甲道まで歩いて、バスで阪神御影にも出掛ける予定。
「無印」で文房具の買い物があるので。
みぞおちは、ずいぶんいい感じ。
いただいた薬が効いているみたい。
そういえばきのう、病院の待合室で待っていたら、ヒサコさん(ヒロミさんのお友だち。前に、天ぷらをごちそうになった、〆鯖名人)が入ってきて、私はとても嬉しく、コショコショと小声でおしゃべりした。
ヒサコさんのマフラーの巻き方が素敵だったので、やり方を教わった。
教わったというより、巻いているところを見せてもらった。 「えー、こんなんでいいの?」とヒサコさんは言っていたけれど、私はこの年まで生きてきて、マフラーのうまい巻き方をはじめて取得した。
コツは、巻きはじめの布を短すぎるくらいにとっておくこと。
首に巻いたら、長い方をくぐらせて、適当に結ぶ。
そうすると、ゆったりとできる。
これまでいろいろな人に教わってきたような気がするのだけど、いまいち理屈が分からなかった。
そのあとに寄ったスーパーで、またバッタリお会いし、ヒサコさんはバスに乗って帰られた。
ひとりで坂を上り、「MORIS」に向かっていたら、こんどはふたば子ちゃんに会えた。
ふたば子ちゃんは、『みそしるをつくる』のころよりずいぶん背丈が伸び、顔も小さく、足も長く、全体的にシュッとした、伸びやかで可愛らしい少女に成長していた。
面影が残っていたので、もしかしたら……と思って声をかけたのだけど、やっぱりふたば子ちゃんだった。
それがとってもうれしく、別れてから涙がにじんだ。
六甲という小さな町での出会いや、ささやかなできごと。育まれ、重ねてきた時間。そういう目に見えないものたちが私の人生を支え、確かにしてくれている。
夜ごはんは、スーパーのお寿司、ほうれん草のかき卵汁。

●2022年1月19日(水)晴れのち曇り、一時雪

朝焼けはいつも素晴らしい。
今朝は、陽の出前の雲がバラ色に染まった。
そして海も、染まった。
にゅうっと顔を出した太陽は、まん丸の大きな鏡のようだった。
ずっと見ていたら目に悪いんだろうなと思いながらも、目が離せない。
ベッドに寝そべり、壁を見ると、窓柵の影が青く見える。
はじめは黒いのだけど(脳みそでは、黒いものだと思っているから)、だんだんに紫がかり、そのうち青に。
もう、青としか見えない。
そしてこのごろの朝はいつも、小さな粒のような雪がふらふらと舞い、朝陽に照らされている。
とてもきれい。 
さて、今日はいよいよ「天然生活」の撮影。
11時になったら、宮下さん、鈴木さん、カメラマンのよしこさんがいらっしゃる。
夜ごはんは、みなさんと。撮影したおかずいろいろ&ビール。

●2022年1月18日(火)降ったり止んだりの雪

起きて、カーテンを開けたら、粉のような雪が舞っていた。
太陽が上るまで、もう少し。
台所に下り、インスタントコーヒーをいれて戻ってきたら、綿をちぎったような雪になっていた。
ずっと見ていると、天に上っているみたいに見えてくる。
太陽は雲の上から。
眩しいのでまた布団にもぐった。
天井のガラス玉が、燃えるようなオレンジ色になった。
ものすごく寒いので、部屋が光でいっぱいになってから起きる。
雪はいっときやんで、また降ってきた。
ヒマラヤスギの葉に、積もっている。
白くて眩しい窓。
台所から眺めながら、明日の撮影の支度をゆっくりやった。
夕方、暗くなってきたころ、屋上で走ろうかどうしようか迷った末、帽子をかぶってポストまで散歩。
小雪が舞うなかを山に向かって坂を上り、夏休みの坂道を下り、遠回りして。
夏休みの坂道は、葉が枯れ落ちてすっかり冬景色。
角を曲がったとき、海が見えた。
何度も通っている道なのに、こんなところから海が見えるって知らなかったな。
枯れ木だらけになったから、見通しがよくなったんだろうか。
そして帰りの坂道は、お尻の上の筋肉が痛かった。
走っているのと関係があるんだろうか。
帰ってきて、手を洗うときに鏡を見たら、まつ毛が濡れていた。
ここよりもっともっと寒い地方では、これが凍るのだろう。
六甲の寒さなんか、大したことはない。
夜ごはんは、洋風お粥(ゆうべの残りにトマトソースとほうれん草を加えて、粉チーズ)、蒸し南瓜のサラダ。
風呂上がり、晴れ渡った夜空に、ぽーんと放り投げたみたいな満月。

●2022年1月17日(月)曇り

ゆうべはぐっすり眠れた。
このところのテレビ祭り(自分が出ている番組の放送が続いた)で、いつもより夜更かししたり、普段見ない時間にテレビをつけたり。
楽しみな気持ちは大きいのだけど、テレビの音や、時間の流れに取り込まれそうになって、落ち着かなかった。
きのうでそういうのもようやく終わり、いつもの生活が戻ってきた。
『帰ってきた 日々ごはん⑩』のサインを、1冊1冊書いているうちに、心が平らになってきた。
いちど、背中が固まってきたので、屋上ランニング。
戻ってきて、続きをやった。
全部で100冊書いた。
だからかな、明け方の夢に母が出てきた。
私は何かの用事で実家に帰っていて、母は私の縦縞スカートと、緑色のセーターを着て、昔の家の居間で本を読んでいた。
私は『帰ってきた 日々ごはん⑩』が出たばかりだったことを思い出し、「本を持ってくればよかったな」と言った。
すると母は、「そう。『日々ごはん』はもう、22冊にもなるのね」と微笑んだ。
私は実家に泊まろうかどうしようか迷っていて……「でもお母さん、消えちゃうんでしょ?」と聞いてみた。
そしたら、「そうねえ。もうしばらく、いようと思うのよ」と言ったのだった。
(そうか、まだここにいるんだ)と思って、起きた。
今朝は、母が着ていたのと同じスカートと、緑のセーター。
タートルネックの襟もとを、多めに折り込んでいたのを真似してみた。
今日は、阪神・淡路大震災の日。
雲が厚く、街は白っぽい光に覆われている。
9時に「口笛文庫」さんが、古本やCDを引き取りにきてくださった。
いつものように1冊1冊じっくりと見て、鉛筆で紙に書き込んでらした。
静かな時間。
その間私はパソコンに向かって、日記を書いていた。
ちょうど晴れ間が出て、海が光っているときでよかったな。
アパートの玄関までお見送りをしたとき、「次の方に、ちゃんとお渡しするようにします」と静かにおっしゃって、帰っていった。
「口笛文庫」さんに任せておけば、安心。本もCDも幸せだ。
お楽しみの朝ドラを見ながらお昼ごはんを食べ、さあ、そろそろ買い物に出掛けよう。
夜ごはんは、お粥(ほうれん草、卵、生姜)、浸し豆(黒豆)。

●2022年1月15日(土)晴れ

ゆうべは眠くてたまらなかったけど、がんばって起き続け、11時30分からのテレビ「ビーツとゆずの手作りマヨネーズ」を見た。
5分なので、あっという間に終わってしまい、でも私は、とても安心して寝た。
今日は朝から、いろいろなことをした。
主には部屋の中の整理整頓。
古い書類をどんどん片づけた。
棚に並べてあった前の箱は、きのう「無印」で買ってきた新しい箱に取り替えた。
月末に税理士さんが指導にいらっしゃるので、12月分の現金出納帳の記録をエクセルに入力した。
「天然生活」の試作と、レシピ書き。
鈴木さんと電話でお打ち合わせもした。
お昼のテレビ、「焼きしいたけのスパイスちりめん」も見た。
すごくよかった。
4時を過ぎたころ、屋上に走りにいった。
夕陽に向かって走り、コーナーを曲がって、こんどは白い月に向かって走った。
20周。
ちょっと前まで、この時間は太陽が山に沈みかけていたのだけど、ずいぶんと日が長くなってきたな。
そのまま1階まで下り、郵便を見て、4階まで駆上がった。
ランニングしたあとは、関節に油を差したみたいにスイスイ上れる。
夜ごはんは、野菜たっぷりスープ餃子(白菜、人参、ごぼう、切り干し大根、ワカメ、香菜)、いなり寿司(きのうの残り)。
さて、いよいよ9時半から「高山なおみの神戸だより 海の見える小さな台所から”六度めの冬”」の放送がはじまる。
大丈夫かな、私。
ちゃんと写っているかな。

●2022年1月14日(金)晴れのち雪

まだ暗いけど、カーテンを開けたら朝焼けだった。
6時半。
オレンジと青の、見ている間にも動いていく空、ひさしぶりに見られた。
7時に起きて、朝風呂にゆっくり浸かって戻ってきたら、太陽はもうとっくに昇っていた。
今朝は、8時からの朝ドラを見なくちゃ。
歯医者さんの日なので、お昼には見られないから。
今日子ちゃんとひろみさんにも会いにいきたいし、あちこち買い物にもいこう。
火曜日に中野さんが帰られてから、いろいろな宿題に包まれている感じがして、ずっと日記が書けなかった。
「早くあれをやらないと……」というような気持ち。
締め切り間際だったので、とにかく「気ぬけごはん」をずっと書いていた。
柱時計は中野さんが直してくださった。
私はネジをいっぱいに締めすぎてしまったようで、そうするとゼンマイも硬くなり、振り子がうまく動かないことがあるそうだ。
振り子がひっかけてある小さな針金を、指でカチカチ動かして、少し休め、また動かし、それを2日ほど続けているうちに、動きがなめらかになった。
音もやわらかく、前よりも静かなくらい。
日曜日には、清荒神さんに初詣に行き、月曜日にはリビングを大きく模様替えした。
壁に貼っていた大きな板絵をはがし、床に敷いていたベニヤ板もはがし、絵本の本棚を真ん中に移動させ、絵の道具は引き出しに全部しまった。
絵を描くための板は、これまでの半分の広さになったけれど、なんだか絵本がとても近くなった。
これまではリビングがアトリエのようだったけど、落ち着く部屋がもうひとつできたみたいな感じ。
2022年の幕開けっていう感じ。

さっき、盛大に雪が舞っていた。
気づかずに日記を書いていて、慌てて布団を入れたのだけど、今はもう晴れて、小鳥たちが盛んにさえずっている。
それで、また布団干した。
ほどなくまた雪。
お天気雪だ。
歯医者さんに出掛ける前には、やんだ。
ありがたいことです。
夜ごはんは、助六寿司(スーパーの)、きのうの白みそのおみそ汁(里芋、しめじ、春菊)。
今日の11時過ぎからのテレビ、はじまるまで起きていられるだろうか。

●2022年1月8日(土)快晴

今朝の陽の出は、厚い雲の上から。
寒いけれど、7時20分くらいにエイッと起きたら、太陽の真下の海に金色の太い道ができていた。
洗濯物を干し、布団を干し、あちこち掃除。
今日は中野さんがいらっしゃる。
いろいろ運びたいものがあるので、車でいらっしゃるとのこと。
それまでにひと仕事してしまおう。
小さな試作をしながら、「天然生活」のレシピを書き。
海のちょうど中央に太陽の光が反射して、きらきらぴちぴちちかちか。
そこに、大きな船が一艘。
あそこから海は、どんな風に見えるんだろう。
窓を開けていてもちっとも寒くない。
なんだか、お正月みたいに清々しいお天気の日だ。
4時くらいから、窓辺でビール&フライドポテト(アムとカトキチが送ってくれたじゃがいもで・亜衣ちゃんの本を見て作った)。
夜ごはんは、焼き肉(山椒塩、島さんの焼き皿で中野さんが焼いた)とご飯だけ。
ビールを呑んでいるとき、大阪の阿部野のあたりで小さな花火が揚がっていた。
冬の花火だ。
ここで、お知らせです。
来週の土曜日(15日)に、関西のNHKで「神戸だより 海の見える小さな台所から”6度めの冬”」が放送されます。
同じ日の朝には、去年9月に放送された夏編が放送されるそうです。
今回もまた、濱田英明さんのカメラで、ディレクターも技術さんもみな同じスタッフです。
詳しくは、「ちかごろの」をご覧ください。

●2022年1月6日(木)曇りのち晴れ

まだ暗いけようだったけど、ラジオをつけたら6時半だった。
久しぶりの「古楽の楽しみ」は、関根敏子さん。
カーテンを開け、ヨーロッパの少年少女合唱団の歌声を聞きながら陽の出を待った。
厚い雲が空全体を覆っており、けっきょく太陽は少しも顔を出さなかった。
それでも確実に明るくなっていった。
朝ごはんのヨーグルトの果物は、ボンタンとキウイとバナナ。
小雪が舞っている。
寒いけれど、窓を開けて食べた。
キウイがものすごく酸っぱくて、凍えそうだった。
でもそれが、とても気持よかった。
さあ今日は何をしよう。
「天然生活」の撮影のメニュー案もきのうお送りしたし、「毎日のことこと」もほとんど書けたので、1日早いけれど推敲をしてお送りしよう。
あとは、現金出納帳をつけるつもり。
お昼の支度をしていたら、晴れてきた。
太陽が出て、暖かくなってきた。
ポストに手紙を投函しにいきがてら、「コープさん」に行こってこよう。
「コープさん」の隣の小さな洋菓子屋さんで、モンブランをひとつだけ買った。
仕事はじめの原稿書きが終わったご褒美として。
坂道をがんばって上って帰り着き、紅茶をいれて、おやつの時間。
ああ、おいしい〜。
夜ごはんは、蒸しちらし(お正月のお刺身をヅケにしたものと伊達巻きなどで、3日に作ったちらし寿司をセイロで温め、カニカマをのせた)、かき玉汁(えのき、溶き卵、ねぎ)。
お風呂上がり、西の空に三日月が光っている。

●2022年1月4日(火)晴れのち曇り、一時雨

7時過ぎに起きた。
このごろは、とてもよく眠れる。
シーツの上に、タオルケットを敷くようになったせいかな。
暖かさに包まれ寝ていると、「ねぐら」という言葉がぴったりくる。
きのうは「MORIS」の壁塗りを手伝いにいくので、新年になってはじめて坂を下りた。
朝10時半くらい。
歩いている人もほとんどいなかったし、よく晴れ渡り、海がきらきら。
坂の途中のいつもの神社で、年はじめのお参りをした。
駅前のスーパーをのぞいたら、新鮮なお刺身や魚の切り身がピチッと並べられていて清々しかった。
まだ3日なのに、漁場が近いからなのかな。
棚まわりも掃除がゆき届き、白い光で満ちていて、いかにも新らしい年という感じがした。
「MORIS」では、展示用の壁に空いた釘の穴を今日子ちゃんがパテで詰め、その上から白いペンキを塗っていった。
ヒロミさんは窓の方から、私は入り口の方から。
ローラーにペンキをしみ込ませ、体を伸ばしたり縮めたりしながら。
角の細かいところはハケで。
気持いい〜!
今日子ちゃんがとってもおいしいお昼ごはんを作ってくれた。
ヒロミさんと集中して壁を塗っていると、トントンと包丁の音が聞こえてきたり、いい匂いがしてきたりした。
ガテン作業をしているときに、誰かがご飯を作ってくれているのって、いいもんだな。
おやつには、お善哉(小豆、白玉、おみかんジャム)もいただいた。
そして、誕生日プレゼントに、今年もまたおみかんジャムの大きな瓶をいただいてしまった!
今日は朝から「毎日のことこと」。
書きたいことが上ってきていたので、ぎゅっと集中した。
おかげで4時には、いいところまでできたみたい。
外の空気が吸いたくなって、屋上に上ってみるも、小雨が降っている。
ちょっと走ってみたのだけど、床が濡れていて滑ったり転んだりしたらいやだし、寒いので、ゆっくり歩いて2周だけ。
夜ごはんの前、ふと窓を見ると向いの建物の屋根に雪がうっすら積もっていた。
いつの間に?!
夜ごはんは、ロールキャベツのカレー、サラダ(白菜、人参、きゅうり、青じそ、ちりめんじゃこ、黒酢ドレッシング)。

●2022年1月1日(土)晴れ

新年、明けましておめでとうございます。
ゆうべは6年ぶり(7年ぶりかな?)に、「紅白歌合戦」をしっかり見た。
興味のない人が出てきたときだけ、チャンネルを変えたりしながら。
まったく知らない歌手やグループもたくさんいたのだけど、バンドの人たちが真面目に音楽をやっていて、とてもよかった。
朝早かったから眠くてたまらず、福山雅治さんの曲の途中でベッドに入った。
眠りこけないよう電気をつけたまま。
多分、12時ちょうどに、教会の鐘の音が本当に聞こえてきた。
カランコロンカランコロンカランコロン……
飛び起きて窓を開けると、「ヴォーーーーー」と、長くて太い汽笛が1回だけ響き渡った。
お腹に響くような低音。
おお!
今日子ちゃんとひろみさんが去年言っていた通り。
鐘の音も、汽笛もすぐに終わって静寂が戻った。
神戸の年越しは清々しいな。
枕もとのオレンジ色の絵に、「お母さん、明けましておめでとう」と声をかけ、安心して眠った。
今朝は6時半に起きた。
空の真ん中に細い細い三日月が光っている。
小雪が風に舞っている。
陽の出は厚い雲の間から。
小雪が舞い、光の粒がちらちらきらきら。
窓を開け、部屋に入れた。
朝ごはんはヨーグルト(ポンカン、バナナ)と紅茶だけ。
お昼を早めにして、元旦のごちそうを食べようと思うので。
お雑煮(白菜、大根、里芋、ほうれん草、焼いた丸餅)、帆立お刺身(柚子の絞り汁と薄口醤油でヅケにしておいた)&甘海老のお刺身、黒豆の薄甘煮、銀ダラの西京味噌漬け、伊達巻き、大根の紀ノ川漬け。
テレビを見たり、とりとめもなく掃除したり、暮れの日記を思い出しながら書いたりしている間に、もう暗くなってきた!
夜ごはんは、お正月のサラダ(白菜、人参、きゅうり、ハム、ホワイトアスパラの水煮、手作りマヨネーズ)、月見蕎麦(ゆうべの残りのかけ蕎麦に卵を落とした)。

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