2023年     めにうへ

●2023年12月31日(日)小雨

起きたら7時半だった。
よく寝たなあ。
朝から台所まわりをなんとなく掃除しはじめたら、本格的になった。
箸立てやカトラリー立ても洗って、この1年間使わなかった物はしまう。
レンジもきれいにする。
このレンジは、吉祥寺の家に引っ越した年に買ったから、今年で23年間使い続けている。
「私の人生に寄り添ってくれて、ありがとうございます」と唱えながら、ホーローの白いところをこすった。
ロジェールのガスレンジはとても単純な作りだから、ちょっとやそっとでは壊れない。
まだまだ頑張ってもらわないと。
外は見えないくらいの雨。
いかにも大晦日、というようなお天気。
大掃除をしながら、おだしを取り、数の子も浸けた。
お昼ごはんを軽く食べたら、バスに乗って阪神御影に買い物に行こう。
夜ごはんは、白菜と油揚げ(亜由美さんのお土産)の煮物、牛すじと大根の煮物(コンニャク)、かけ蕎麦(ねぎ)。
いつもの時間に夜ごはんを食べ、テレビを見ながら編み物。
9時ごろ、猛烈に眠たくなったけれど、『紅白歌合戦』を見てがんばった。
しかし、福山雅治が出てきたところで耐えられず、ベッドへ。
寝過ごしてしまわないようにカーテンを開けて。
12時、ついに教会の鐘が鳴った。
窓を開けて音を聞く。
月夜の大晦日。
停泊している船が、いっせいに汽笛を上げた。
さっきまで風が強かったから、夜景もきらきらだ。
神戸よ。今年もたいへんお世話になりました。 

●2023年12月30日(土)晴れ

ぐっすり眠って、起きたら7時半だった。
おもしろい夢をみていた気がする。
窓を開けていても、ぽっかぽか。
大掃除日和だ。
まずは、クリスマスの飾りの片づけから。
母の祭壇は、古道具屋さんで買ったレースにとりかえた。
多分、フランスの古いもの。
とてもシンプルな楕円形。
細々とした飾りも片づけ、ソウリン君が作った折り紙のピンクのバラを飾った。
そのあとは本棚、取り皿やグラス(すべて洗った)の食器棚と責めていって、台所のスパイス棚。
のんびりと、気ままな大掃除。
鍋やフライパンの棚も掃除した。
冷蔵庫まわりと食器棚は、明日買い物から帰ったらしようと思う。
今は4時半。
グラスがピカピカだ。
2階の窓から仰ぐと、水色の空に刷毛で描いたような雲。
今日はビールを飲んじゃおうかな。
ひとりの年末。
いいなあ。
夜ごはんは、焼き厚揚げ(亜由美さんにいただいた。生姜醤油で)、蓮根と鶏の炒り煮(いつぞやの)、味噌汁(切り干し大根)、卵かけご飯。
後片づけをしながら昆布を水に浸け、数の子も塩出ししておく。

●2023年12月29日(金)曇り

ぐっすり眠って、6時から英語のラジオ。
暗いので二度寝して、7時半に起きた。
8時にテレビをつけたら、『ブギウギ』の総集編をやっていた。
中野さんの家に行っている間は見られなかったので、パジャマのまま見て、弟の六郎が出てくるたびに泣く。
六甲に帰ってきたのは、27日の夕方。
けっきょく、ソウリン君もインフルエンB型にかかり、お姉さんは看病で忙しいので、私がずっとおさんどん。
「なおみさん、ごめんねえ」と、お母さんにもお姉さんにも言われたけれど、私はずっと楽しかった。
帰る日には、熱が下がってきたユウトク君に、『誰も知らない小さな国』をこたつで読んであげた。
私も読みたかったので。
おもしろかったかどうかは分からないけれど、ユウトク君はときどき身を乗り出して私に寄りかかり、本をのぞき込んだりしていた。
やっぱりこの本はすばらしい。
ちょっとした風景や、泉に当たる光の加減など、細かな描写がとてもいいので、物語の世界にすっと引っ張られる。
文字だけが続くページは、子どもにとっては少し退屈かもしれないけれど、著者の佐藤さとるさんは、あえてそのようにしている気がする。
おかげで、挿絵が出てくるページがとっても楽しみになる。
細かいところまで、じっと見てしまう。
ユウトク君は、「泉が小さすぎへん?」と言っていた。
想像していたよりも、小さく描かれていたんだろう。
でも、そういう食い違いも、すごくいいと思う。
主人公がコロボックルをはじめて見たところまで読んで、しおり( ソウリン君の折り紙の花)を挟んで、終わりにした。
楽しいクリスマスだったな。
思い出すと、胸がぽかぽか温かくなる。
もうひとつ。
忘れないように書いておこう。
前回行ったのは10月だったのだけど、わずか2ヶ月の間に、ユウトク君はますます顔が小さく、足も長くなった。
ソウリン君は背が伸びて、いかにもスポーツをしている子みたいな体つきに。
そして、折り紙の上達のめざましさといったら。
きのうも私は、一日中編み物をしていた。
お母さんにベストをお願いされたのが、嬉しくて。
ファビオのも編みたいのだけれど、先にお母さんのを編んでしまおうと思う。
今朝も『ブギウギ』の総集編を見ながら、ずっと編んでいた。
おかげでもう半分以上編めた。
午後からは、宮下さんと「となりのオハコ」のやりとり。
これで仕事納めだ。
夜ごはんは、チキンのトマト煮(いつぞやの)スパゲティ。
6時半くらいに、亜由美さんがお正月飾り(農家さんの手作り)を持ってきてくださった。
搗き立ての丸餅、大きないちご、小さな大根、椎茸、さつま揚げ、厚揚げ、油揚げもくださる。
思ってもみないお土産。
数の子はもう買ってあるし、文子さんが煮てくれた丹波の黒豆もある。
お正月の支度が整ってしまった。
ありがたいなあ。

●2023年12月26日(火)晴れ

6時半に起きた。
ゆうべ、ユウトク君は49度の熱が出た。
朝からまた病院へ。
お父さんとお母さんは仕事場の片づけがあるので、中野さんと私、ソウリン君でお留守番。
「おばけやしき双六」を1回してから、私はソウリン君の算数の宿題を見て、お昼の支度をゆっくりする。
ユウトク君はきのう、ケーキ屋さんでアイスクリームを選んでいたとき、寒がって車の中にいた。
河原にいたときから寒かったとのこと。
お昼ごはんは、クリスマスのもも焼きチキンのタレの残りに、砂糖とみりんを加え、肉そぼろを作った。
セロリの葉とじゃこを炒めたものと、いり卵で、三色丼。
大根を角切りにして塩もみし、柚子の絞り汁、らっきょう酢、柚子皮を加えて漬け物にした。
ユウトク君は、インフルエンザB型とのこと。
ソウリン君も熱が出てきた。
中野さんと夜ごはんの買い物がてら、古道具屋さんへドライブ。
夜ごはんは、白菜と豚肉のミルフィーユ鍋(大根おろし、ねぎ、ポン酢醤油)、ご飯。

●2023年12月25日(月)曇りときどき晴れ

寒い、寒い。
でも、空気がキンとして、すがすがしい朝。
クリスマスの朝。
朝起きたら、枕もとに小さな木の箱が置いてあり、開けると兄妹の人形が入っていた。
赤や青の銀紙に包まれた、チョコレートみたいなオーナメント。
妹はアコーデオン、お兄さんは賛美歌を開いて歌っている。
箱に敷かれた梱包材のプチプチが光って、箱の中に雪が降っているみたい。
とても嬉しい。
中野さんはいつまでも、「サンタクロースからです」と言い張るけれど、これは中野さんからのプレゼント。
ゆうべのごちそうは、毎年変わらない味の、お姉さんの甘辛いチキンだった。
ひとり1本ずつ。私はかぶりついた。
おいしかったなあ。
「ポタージュは何が入っているでしょう?」と聞かれ、蕪はすぐに分かったけれど、里芋が入っているのを当てたのは、義兄さんと私だけ。
さつま芋も少し入っているとのこと。
里芋の自然なとろみ、じんわりとしてとてもおいしかった。
ケーキを食べているとき、ソウリン君から誕生日プレゼントをもらった。
折り紙でこしらえた花束。
アネモネのような、蓮の花のような。
とても精巧に作ってある。
その花束を、私にあげようとしていたときの、ソウリン君の顔が忘れられない。
お姉さんと手をつないで2階から降りてきて、私に手渡したときには、もうお姉さんの手を放していた。
首をかしげ、今にも泣き出しそうな、でも、口元はにゅーっと笑っていていて。
頬を染めた嬉しそうな顔。
自分の手でこしらえた物を、誰かにあげる。
言葉でもお金でもなく、心と心がやりとりをする神聖な喜びを、もう知っているんだな。
そういう顔をしていた。
私からのクリスマスプレゼントは、ユウトク君とソウリン君には、お菓子の詰め合わせと靴下。
あと、「おばけやしき双六」をふたりのためにあげた。
家族には、冬の靴下。
お姉さんとお母さんから、とてもすてきな黒いセーターをいただいた。
編み目模様の浮き出た、浅めのVネック。
質感も形も大好き。
大切にしよう。
10時に、コウタ君とお母さんのヒトミさんが来て、誕生日プレゼントに手作りの石鹸をいただいた。
嬉しいなあ。
2台の車に分かれ、加西のお店にランチを食べにいく。
食べ終わって、加古川べりで川遊び。
河原に下りるには、狭い堤防を歩き、飛び降りないとならないので、私は遠くから見ていた。
中野さんと子どもたちは石投げ。
ソウリン君は2回。
コウタ君は3、4回。
中野さんがすると、大きくジャンプしながら、8回くらい遠くまで飛んでいく。
ユウトク君は、最高10回も飛ばせるようになっていた。
帰りに西脇の「へそ公園」に寄った。
「お誕生日なので、なおみさんも何でもしてみてください」と言われ、子どもたちがするのと同じことを私もやってみる。
林を通り抜ける長いすべり台。
蟻地獄の坂上り、トランポリンも1回だけ飛んだ。
帰りの車の中では、後ろの座席で3人の子どもたちが、『森のくまさん』の替え歌を延々歌っていた。
ノリのいいふざけた歌詞。
あんまりおもしろいので、私は覚えてしまった。
帰り着き、コウタ君、ソウリン君、中野さんと空き地でサッカー。
帰ってきたら、ユウトク君が熱を出していた。
お姉さんは病院に連れていくので、私が夜ごはんの支度。
夜ごはんは、ノブさんのきつねうどん(ゆでた菊菜と小松菜、ねぎ、おろし生姜)、炊き込みご飯(鶏肉、ごぼう、人参、コンニャク)。

●2023年12月24日(日)快晴

6時半に起きてカーテンを開けた。
今朝の太陽の出は、7時2分。
雲と雲の細い隙間から。
そのあと、オレンジ色の透き通ったカーテンが、海に落ちるように広がり、海にはオレンジ金の太陽が映っていた。
今日はクリスマスイブ。
中野さんの家に出かける。
文子さんとファビオと「ユザワヤ」さんに行くので、三宮まで車に乗せてもらえることになった。
11時半になったら、お迎えにくる。
では、行ってきます。

●2023年12月21日(木)快晴

5時半にカーテンを開け、ラジオ。
そして、英語の学習番組をひと通り聞いた。
山の上に雲がかかっているせいで、陽の出は見られなかったけれど、7時半には顔を出した。
寒いけれど、えいっ!と起きる。
おとついのひどい鼻水は、どうやら急に下がった気温のせいで、体が驚いてしまったみたい。
7度以上気温が下がると、自律神経が乱れることがあるのだそう。
お風呂から出たとき、おでこが冷たくで驚いたもの。
怖くて計れなかったけれど、もしかすると体温が下がっていたのかもしれない。
でも、毛布を1枚増やし、ものすごくあたたかくして寝たら、きのうはすっきり。
葛根湯を飲んだのもよかったのかも。
美容院の帰りに「MORIS」に寄り、のヒロミさんのお話を聞きにいった。
「となりのオハコ」でヒロミさんのことを書いているので。
2度も取材ができるなんて、なんて贅沢なんだろう。
今朝は、半身浴をしてみた。
いい調子。
このところの急激な寒さには、汗ばむくらいに厚着をして、だんだんに慣らしていくのがいいような気がする。
靴下も2重、スパッツにレッグウォーマーを重ね、下半身を温めている。
今は、「となりのオハコ」の文を書くのが楽しくてたまらないので、ぜったいに風邪をひきたくないと思って。
窓が眩しい。
遠くの海がさざ波立って、まん中は銀のスケートリンク。
窓辺に立つと暑いくらい。
みっちゃんが来た日は曇りだった。
こんなに青い海を見せてあげたかったな。
さあ、続きをやろう。
夕方、ようやく全貌が見えてきたみたい。
もうひとがんばり。
夜ごはんは、チキンのトマト煮(にんにく、玉ねぎ、セロリの茎、ローズマリーをオリーブオイルでよく炒め、赤かぶのさいの目切りも加えた。大きめに切った鶏もも肉を上にのせてふたをし、蒸し焼き。白ワインがなかったので日本酒をふって、トマトの水煮、サフランピラフミックスで煮込んだ)、 ポテトサラダ(いつぞやの)、ライ麦パン。
今夜、六甲は零度。
窓を開けると、きーんと冷えた空気。
夜景がぴかぴか。

●2023年12月19日(火)晴れ

ゆうべは3時くらいに目が覚め、「となりのオハコ」に書きたいことが上ってきた。
忘れたくないので、ベッドの中でメモをした。
どこかが覚醒していて、そのあとも眠れず、6時の英語のラジオを聞いて二度寝。
7時半に起きた。
きのうの天気予報では曇りだったけれど、なかなかのいいお天気。
今日は、みっちゃんが同級生の山出君とお昼を食べにくる。
ふたりは3日前から車で旅をしているらしく、ゆうべ三宮のホテルに泊まったので、そんなに近くにいるのならと誘ったのだった。
煮込みハンバーグを作りながら、「となりのオハコ」にいそしもう。
海が白く光っている。
窓を開けていても、それほどには寒くない。
なんだかのんびりとした、いい日だな。
それにしても、鼻水がとめどもなく出てくる。
何かの花粉だろうか。
みっちゃんと山出君とのランチは、煮込みハンバーグ、ポテトサラダ(ゆで卵、ディル、手作りマヨネーズ)、ケールと紫チコリのサラダ、ライス添え。
夜ごはんは、卵焼き、ししゃも、ちぢみほうれん草炒め、ゆかりおにぎり、味噌汁(大根、赤味噌)。
この鼻水のひどさは、もしかしたら風邪なのかも。
お風呂でたっぷり温まって、靴下を2重にし、首にもタオルを巻いて寝よう。

●2023年12月17日(日)快晴

陽の出とともに起きた。
まぶしいオレンジ!
ゆうべは、赤澤さんが出てくるいろいろな夢をみた。
ちょっと冒険チックでもあった。
私の話を聞いているときの赤澤さんの目つきや表情、動きの感じ。
そういうものが、きのう一日一緒にいる間に、私の体に注入されたんだろうな。
ベッドの中でぼんやりし、朝風呂に浸かって。
いつものように冬の光る海を見ながらヨーグルトを食べ、紅茶とパンを食べ。
そのうちに、ふつふつと湧いてきた。
私がずっとしたかったこと。
これまでどういうものに惹かれ、引っ張られ、体に根付いてきたのか。
何をやっても、ついそこに戻ってきてしまう何か。
人が生きているということにとても関係のある、ぼわっとした熱いもの。
言葉にするのはむずかしいけれど、れっきとしてあるもの。
赤澤さんたちが来たら、話してみよう。
そのあとで、文子さんとふたりでよく行っているスーパーに車で連れていってもらい、赤澤さんと森さんとワインを飲みながら次々料理を作ろう。

(ここからは翌日に書いています)
何を作ったかというと……牛レバーのソテー2種(つぶしたにんにくを米油で炒め、バターを加えてじゅくじゅくと焼いた。塩と黒こしょう、カリカリにんにく&強力粉をまぶして焼き、ロゼワインとバルサミコ酢)、紫チコリとセロリ(亜由美さんが持ってきてくださった)のサラダ(塩、レモン汁、オリーブオイル)、肉厚しいたけ炒め(オリーブオイル、にんにく、アンチョビ)、サルシッチャ(粗い合いびき肉に、コリアンダーシード、クミンシード、フェンネルシード、フェヌグリークをつぶして混ぜ、小さく丸めて焼いた。デーツと一緒に食べるとモロッコ風、グリーンソースをつけたらインド風になった)、蒸しビーツ(塩&手作りマヨネーズ。葉の茎の太いところもやわらかく蒸してみたら、とてもおいしかった)、ステーキ2種(牛の腕肉の塊を厚めに切って。塩と黒こしょう&玉ねぎのすりおろし、白ワイン、醤油、バターのソース)、焼き飯(残ったステーキとソースで。雑穀ご飯、サラミソーセージ、レンコン、セロリの葉)。
私はキッチンでひたすら作り、カウンターで呑みながら、食べながら、立ち飲み屋さんみたいに。
ふたりは8時の新幹線で、東京に帰っていった。

●2023年12月16日(土)曇り時々雨

6時前に目覚め、カーテンを開けて、ラジオ。
今朝は日本の古い合唱曲がかかっている。
ゆらゆらと眠ったり、覚めたり。
雲が厚く、7時になってもまだ太陽は見えない。
下の方は雲が厚いけれど、上は水色の空。
そのうちに上の空の雲だけが、オレンジ色に染まってきた。
羽毛が波打っているみたい。
陽の出の光が、雲に当たっているんだ。
最高に赤くなったとき、小鳥たちが騒いでいた。
7時のニュースを聞いて、ピーター・バラカンさんの番組をちょっと聞いて、えいっ!と起きた。
今日は、きのうよりもさらに暖かい。
窓を開けていても、もわんとする暖かさ。
天気予報によると、お昼過ぎから気温が下がり、夜から明日にかけては真冬の寒さになるのだそう。
なんだか信じられないけれど。
今日は東京から、赤澤さんと、朝日新聞出版の森さんがいらっしゃる。
次の料理本について、2日間かけての打ち合わせ。
打ち合わせというよりも、『自炊。何にしようか』のあと、私がどんな食生活をしているのか、飲食を共にしながら今日と明日を過ごそうとしてらっしゃるみたい。
ふたりは元町のホテルに泊まるんだそう。
青唐辛子が残っていたので、さっき、グリーンソースを作った。
本当は香菜があればよかったのだけど、なかったのでケールを刻んでみた。
カシューナッツもないから、ピスタチオで。
なかなかおいしいのができた。
もうじき2時。
そろそろ、いらっしゃるかな。
風はとても強いのだけど、巻き上げられる枯れ葉がもうあまりないみたい。
猫森の木も、いつの間にこんなに裸になったんだろう。
ちょうど今日みたいな日に、冬のごはんの撮影をしたんだっけ。
なんだか、これから赤澤さんたちに会えると思うと、『自炊。何にしようか』の撮影の日々にすっと戻され、連れていかれそうになる。
不思議だな。
夕方になったら、いつも私がしているように、文子さんとファビオの部屋にもおじゃまするつもり。
さーて、どうなることやら。
ファビオたちの部屋でごちそうになったのは、文子さんのサワードゥーのパン、ペストー(バジルの代わりにフェンネルの葉で作ってみたのだそう)、チキンハムのツナソース(ツナ、ゆで卵、手作りマヨネーズ、ケッパー)、ペペロナータ(赤と黄色のピーマンのマリネに、アンチョビがのせてあった)、シャンパン&白ワイン(赤澤さんと森さんのお土産)。
部屋に戻って、ささっと作った夜ごはんは、カレー(いつぞやにこしらえた豚肉とキャベツのポットローストに、スパイスいろいろとトマトペースト、カレールウを加えた)の残り、雑穀ご飯(煎り大豆入を加えた)、人参の塩もみサラダ(レモン汁、レモンの皮、赤ワインビネガー)、グリーンソース(ピスタチオ、にんにく、ケール、レモン汁、ヨーグルト、オリーブオイル)添え。
ふたりは10時半くらいに、タクシーに乗ってホテルに帰っていった。

●2023年12月15日(金)曇り一時雨

7時に起きて窓を開けると、太陽は隠れているけれど、雲の隙間から陽が射していた。
海と空の間の色が、刻々と変化していく。
紫のような、藤色のようなところと、クリーム色のような、金色のようなところ。
ふたつの隙間から、別々の色の光が射して、透明な山みたいになっていた。
台所に行って、戻ってきてもまだ綺麗。
コーヒーを飲みながら、普通の光になるまで見ていた。
ゆうべは雨が降ったみたい。
道路が濡れている。
水曜日から中野さんが車で来て、一緒に過ごしていた。
よく食べ、よく眠り、よくおしゃべりをした3日間だった。
きのう私は絵も描いた。
離れたところから中野さんが見ていて、でき上がった絵を私が手渡すと、ふたつの場所に分けて並べる(いいものと、そうでないもの)。
「なおみさん、次はこれを描いてください」と、部屋にある小さな物を手渡され、私がまた描く。
また、並べる。
ときどき私が質問をすると、ていねいに答えてくれる。
中野さんが言うのは、絵のことなんだけど、ほかのことにも当てはまるので、とてもおもしろい。
朝ごはんを食べ、10時前に帰っていった。
さあ、今日からまたひとりの生活がはじまる。
まずは、「となりのオハコ」の原稿を書きはじめよう。
今は5時。
半分くらい書けただろうか。
でも、書きたいことはまだまだこれから。
夜ごはんは、白菜と鶏肉のお鍋の残りを雑炊にした(溶き卵、三つ葉、ねぎ)、卵黄の醤油漬け、べったら漬け。

●2023年12月10日(日)晴れ

9時に起きた。
わざと寝坊した。
旅の疲れを取ろうと思って。
カーテンの隙間の光があまりに眩しく、暑くなってきたので起きたのだけど、もうちょっと寝ていたかった。
神戸に戻ってきたのは金曜日の夜。
きのうは、午後から文子さんと買い物に出かけ、帰ってきてすぐに6階に上がって、山に沈む太陽を見ながらアペリティーボをした。
文子さんはキッチンに仁王立ちになり、真っ正面から沈むところを見ていた。
黄色い光でいっぱいのキッチンの真ん中で、さらに強いスポットライトを浴びて。
その姿はなんだか、アフリカかどこかの原住民が太陽を敬っているみたい。
とてもかっこよく、私も真似をしてみたのだけれど、あまりに眩しくて正視できない。
今しかない光。
陽の出と同じくらい明るかった。
そのあとで私は、マッシュポテトとポークソテーを作り、文子さんはビーツとケールのサラダをこしらえた。
ファビオはサラダに加えるチーズをおろしたり、ハイボールを作ってくれたり。
陽が沈んでからもなお、刻々と移り変わる空の色。
夕焼けに反射する紅葉。
いい夕方だったなあ。
8時には戻ってきて、お風呂に入り、10時には寝た。
今回は2泊3日の短い旅だったけれど、なんだか濃かった。
セミナーの日は川原さんちに泊めてもらい、翌朝ふたりで電車に乗って、国立のつよしさんの展覧会と、荻窪の「title」へ。
「title」では、マメちゃんが展覧会の飾り付けをしているところだった。
トンカントンカンと金槌の音を遠くで聞きながら、好きな本を選んだり、カフェでケーキをいただいたり、ワインを飲んだり。
マメちゃんも途中で下りてきて、合流した。
川原さんとは荻窪駅で分かれ、夕方の新幹線で、新富士に行ったのだった。
その晩はみっちゃんと呑み屋に行き、新居に泊めてもらった。
ふたりとも、いろんな話をしたなあ。
これまでのこと、現在のこと、これからのこと。
呑み屋で過ごしたのは2時間ほどだったけれど、なんだか3年分くらいおしゃべりした。
次の日は、姉と3人で、リフォームされた実家を見学に行き、お墓まいりもした。
このことは、またゆっくり書こうと思うけれど……私の実家は、この12月でなくなることになった。
今年の夏、姉が中心になって母の家財道具を片付け、みっちゃんも家を出てひとり暮らしをはじめた。
これからは姉夫婦が大家さんの、賃貸の家になる。
姉が鍵を忘れ、義兄のよっちゃんが届けてくれるまで外で待っていたとき、玄関脇の母の花壇に鳩が1羽いた。
赤い目の、すらりとしたきれいな鳩だった。
花壇の中をとことこ歩き、近くに寄っても逃げない。
「お母さんかもしれないね」と私が言うと、「そうだね」と姉。
玄関の鍵が開き、「おじゃまします」と入ったら、「ようこそ。どうぞ、どうぞ」と、姉はちょっとかしこまった声を出した。
そのとき私は、どうしてか泣きそうになった。
中に入ると、どこもかしこも白っぽく、トイレもお風呂もとても清潔で。
母とみっちゃんが暮らしていた跡は何もないし、空っぽなのだけど。
でも、どこかが変わらない。
2階にあった母の部屋や、私がいつも泊まっていた畳の部屋に立って、窓を開けたり、壁を触ったり。
もう何の匂いもしないのだけど、ゆっくりとお別れができた。
東京での仕事がなかったら、私はわざわざ帰省しなかったと思う。
そんな旅だった。
今日は、あちこち掃除機をかけ、母と桃ちゃんの祭壇もきれいにし、ささやかにクリスマスの飾り付けをした。
なんと、姫白丁花の緑の枝がツリーに!
これは旅の間にひらめいた。
夜ごはんは、ひとりすき焼き(神戸牛のこま切れ肉、しらたき、白菜、菊菜、しめじ、豆腐、麩)、ご飯はなし。

●2023年12月4日(月)快晴

6時ちょうどに起きて、「中学生の基礎英語1」。
まだ暗く、夜景の灯りがついている。
そして、だんだんに曙の時刻となる。
陽の出を見ることができた。
今朝も大きい!
グレープフルーツだ。
時計を見ると6時48分。
やっぱり、7時近くに昇るのだ。
朝から「毎日のことこと」の校正の見直しをし、お送りした。
日記もスイセイにお送りしたところ。
洗濯物も干し終わった。
海のさざ波が銀色に光っている。
ラジオからは邦楽が流れ、なんだか元旦みたいな晴れやかな日だ。
さあ、『帰ってきた 日々ごはん⑮』校正の最後の見直しをして、コンビニに持っていこう。
これで、もうお終い。
あとは野となれ山となれ。
『帰ってきた 日々ごはん⑮』は、来年の1月末にみなさんのもとに届くそう。
どうぞ、楽しみにしていてください。
さて、『ブギウギ』は朝のうちに見ておいたので、図書館にでも出かけようかな。
お昼を食べて、出かけた。
けっきょく図書館へは行かずに、電車に乗って三宮へ。
本屋さんに行き、絵本を買って帰ってきた。
楽しそうな双六も買った。
これは、ソウリン君へのクリスマスプレゼント。
六甲からバスに乗り、坂を上って帰ってきた。
このごろは坂にもずいぶん慣れ、気候もいいので、楽に上れる。
夜ごはんは、雑炊(鶏手羽元とじゃがいもの韓国風スープ煮に冷やご飯を加え、サラッと煮た。仕上げに牛乳と、黒こしょう)、キャベツのサラダ(ちりめんじゃこ、ポン酢醤油)&ポテトサラダ(手作りマヨネーズ)。

●2023年12月3日(日)曇りときどき晴れ

今朝の陽の出は密かにすごかった。
薄曇りだったけれど、山の上からちゃんと顔を出した。
みかんくらいの大きさかと思っていたら、グレープフルーツくらい。
あんまりきれいだったので、写真を撮りたくてiPhoneを取りに下りたら、窓辺の絵にも映り込んでいた。
そのあと、雲の中に隠れてからがまたすごかった。
山々は茜紫にかすみ、雲と海の間が薔薇色に輝いていた。
朝ごはんを食べていたときには、すっかり雲に覆われ、部屋の中まで灰色だった。
冷えるので、はじめて朝ヒーターを入れた。
そのうちに、パーッと明るくなったり、また暗くなったり。
そのたびに光と影が部屋まで入ってくる。
鳥たちもやけに鳴いている。
そんななか私は今、『帰ってきた 日々ごはん⑮』の「あとがき」と「おまけレシピ」の最終校正の確認をしている。
なんだか厳かな気持ちになる。
ひとつひとつやっていこう。
ざわざわざわざわ。
小鳥たちが集まってざわめいているのかと思い、窓辺に見に立つと、葉擦れの音。
赤や黄色の葉っぱが風に揺れ、乾いた音を立てている。
また太陽が顔を出した。
いっぺんに暖かくなる。
窓を開け放しても寒くない。
さ、続きをやってしまおう。
2時には終わり、11月のレシートのまとめと、くつ下のダーニングの続き。
5時半を過ぎたらもう真っ暗、夜景もぴかぴかだ。
いつの間にやら、ずいぶん日が短くなった。
夜ごはんは、カレー(いつぞやにこしらえた豚肉とキャベツのポットローストに、スパイスいろいろとトマトペースト、カレールウを加えた)、コールスロー(手作りマヨネーズ)、ゆで卵。
『まる子』を見ながら食べる予定。

●2023年12月2日(土)快晴

ひさしぶりに、陽の出を見ることができた。
雲の上からだったけれど、ものすごく大きかった。
オレンジ色なのに、ずっと見ていると黒く光る。
鏡みたいにぴかぴかしていた。
ラジオではまだ合唱の番組をやっていたから、6時50分くらいだったと思う。
陽の出の時刻が、ずいぶん遅くなってきた。
今は、正面の海が金色。
窓を開けていてもちっとも寒くない。
クマノミズキの枝先が紫がかっている。
夏の間にはクリーム色の小さな花を咲かせていたところ。
つややかな緑の葉と紫のコントラストが、とてもきれい。
今日の仕事は「となりのオハコ」の校正と、「きょうの料理」の次の撮影メニューを決めること。
そのあとは、窓辺に腰掛け、暗くなるまでくつ下のダーニング。
日暮れどき、対岸の湾にある小さな棒(ビル)が1本だけオレンジ色に光って、消えた。
クリスマスのロウソクみたいだった。
紅葉がきれいだこと。
夜ごはんは、鶏手羽元とじゃがいもの韓国風スープ煮。丸ごとのメイクインがごろごろ入っているので、ご飯はなし。

●2023年11月30日(木)晴れ

6時半に起きて窓を開けた。
陽の出は雲に隠れて見えなかったけど、ベッドの中でぬくぬくしながら空を見ていた。
雲がいろいろに移り変わり、高い空をカラスが渡る。
今は、朝ごはんを食べ終わったところ。
ゆうべの雨で屋根が濡れているからか、あちこちぴかぴかしてとても眩しい。
海ももちろん光っているし。
ラジオではフォーレのレクイエム。
なんだか、のどかだ。
それは私が仕事に追われていないから。
東京に出かけるまでにやらなければならないことは、ほとんど終わった。
きのうはようやく衣替えもできた。
さて、今日は美容院に行って、ひさしぶりに「MORIS」に寄ろう。
今日子ちゃんとヒロミさんは元気かな。
ふたりともとても元気だった。
お客さんも、私の知っている方が入れ替わり立ち替わり。
特別に挨拶をし合うわけではないけれど、なんだか年末みたいなあたたかさがあった。
帰り道でお誘いメールがあり、夜ごはんは文子さんちにおよばれ。
カヴァが冷えているとのこと。
やった!
インド風じゃがいものお焼き(ミント、ハラペーニョ、香菜)、ポーク&ゆで卵のスパイシーカレー、グリーンソース、らっきょう。
ああ、おいしかったなあ。
8時半くらいに戻ってきた。
空気が澄んで、夜景もクリア。
大阪の方を見ると、本当に宝石箱をひっくり返したみたい。

●2023年11月28日(火)曇りときどき晴れ

今日もまた、のほほんとしたお天気。
風は少しあるけれど、窓を開けていても寒くない。
海の半分が光っている。
そして、カメちゃんがきのうからずっと網戸に張りついている。
今朝は6時半過ぎに起きた。
少しずつ、早起きモードに戻ってきている。
『中学生の基礎英語1』を聞けるようになるには、もう少しがんばらないと。
朝から、次の「きょうの料理」で何を作ろうかと考えながら、スケッチしているところ。
きのうは、マヨネーズを作っているときに米油がなくなって、もしや?と思って文子さんにメールをしたら、すぐに下りてきてくださった(マヨネーズを作っていることはお伝えしてない)。
文子さんは、私と同じ米油をいちどに何本か注文しているので、ときどき譲ってくれる。
打てば響くような受け答えに、とても助かった。
ジンジャーエールのハイボールで乾杯し、しばしおしゃべりした。
今日は、12月6日(水)に開かれる、東京でのトークイベントの資料作り。
「住まい価値総合研究所」というところが主催しているセミナーで、子どものころに住んでいた家や、東京で住んできた家、神戸での今の生活、これから住んでみたい家についてなど、インタビューに応えながらお話しする予定。
「高山なおみの住い考、家、人、そして暮らしについて」。
会場のお客さんは、住宅業界の方に限られているのだそう。
はじめてのことなので、ちょっとどきどき。
有料なのですが、一般の方もオンラインで参加できるそうなので、ご興味のある方はお申し込みしてみてください。
https://store.sohjusha.co.jp/product/live231206/

お昼ごはんを食べていたときには、上の方の雲が灰色だった。
気づけば眩しい光が。
今は暑いくらい。
風のせいで、くるくる変わる空。
あ、雷だ。
西の方は、雨が降っているみたい。
海も黒くなっている。
大風がひと吹きし、落ち葉が空に巻き上げられた。
天気予報では西風と言っていたから、これから雨がくるのかも。
けっきょく雨は降らなかった。
午後は「毎日のことこと」をずっと書いていた。
できたみたい。
夜ごはんは、ベイクドビーンズ(この間の残りを温めた)、トースト、キャベツ、パプリカ、椎茸、玉ねぎのスープ(いつぞやの残り)。
お風呂上がりに丸い月(きのうが満月だった)。

●2023年11月26日(日)晴れ

今朝もカメちゃん(カメムシ)が1匹、床を歩いている。
とことことことこ。
そんなところにいたら、踏んでしまうよ。
窓を開けていても寒くない。
のほほんとした日曜日。
猫森はすっかり紅葉し、海もよく光っている。
あんまりきれいで、ぼうっとしてしまう。
ゆうべは文子さんとファビオがうちに来て、夕方から相撲観戦をした。
文子さんがしおりちゃんの本のレシピで砂肝の香港煮をこしらえ、持ってきてくださった。
「クウクウ」の懐かしい味。とってもおいしかった!
私は白菜とワカメのサラダ(玉ねぎドレッシング)と、冷蔵庫にあったミートソースで、ベイクドビーンズ(玉ねぎ、水煮大豆、福耳唐辛子、人参、南瓜、スヴァニティソルト。パン粉とおろしたチーズをふりかけてオーブンで焼いた)を作った。
お相撲はひとりで見るのも好きだけど、みんな真剣に応援するから、やっぱりすごく楽しい。
さあ、気を引きしめて『帰ってきた 日々ごはん⑮』に向かおう。
校正(三校)は金曜日に終わったのだけど、もういちど見直しをする。
3時前に終わり、荷物を作ってコンビニへ。
女子大の通りの紅葉がきれいだったので、いつもと違う道からぐるりと遠まわり。
歩きたかったし。
パン屋さんと「コープさん」で少しだけ買い物し、帰りはいつもの坂を上った。
龍の神社の桜も、すっかり赤く色づいていた。
海の見える公園を過ぎた辺りから、自分でも驚くほどスイスイ上れた。
最後は早歩き!
しっとりと汗ばんで帰ってきた。
このごろはいつも、4時を少しまわるころになると、猫森の紅葉に西陽が当たってパーッと輝く。
臙脂はもっと臙脂に、黄色はもっと黄色に。
きのうもそうだった。
ベッドに腰掛け、じっと見た。
千秋楽なので、夜ごはんの支度をしなくてもいいようにお弁当を作っておく。
夜ごはんは『まる子』を見ながら。お弁当(白身魚のフライ(コープさんの)、蓮根のきんぴら、ほうれん草のお浸し、福耳唐辛子のおかか炒め、ゆで卵)、具だくさんの味噌汁(里芋、人参、椎茸、ねぎ)。

●2023年11月23日(木)晴れ

7時半に起きた。
なんとなく薄暗いせいで、早起きができなくなっているみたい。
陽の出の時刻が遅くなっているのかな。
しばらく日記が書けなかった。
今日は木曜日。
海が白く光っている。
カレンダーを見て気づいたのだけど、朱実ちゃんと樹君がうちに来たのはちょうど1週間前。
そうか。まだ、1週間しかたっていないのか。
なんだか時間の流れがおかしい。
中野さんが来たのは金曜日。
もっともっと前のような気がする。 
朱実ちゃんたちは2泊し、次の日にはみんなで電車に乗って、京都に行った。
そして、その次の日には亜由美さんが、ファビオと中野さんと私を車であちこち連れていってくれた。
北野のおいしいカレー屋さんにも入った。
中野さんが帰ったのは、いつだっけ。
確か、きのうから私は完全にひとりになった。
そして、いつからだったか、仕事をバリバリやっている。
『帰ってきた 日々ごはん⑮』の最終校正だ。
詩も書いている。
朱実ちゃんに歌ってほしい、ワルツの歌詞。
今朝もなんとなくやっていて、お昼前にできた。
今、朱実ちゃんに送ったところ。
さあ、校正の続きをやろう。
夕方には、3ヶ月分と「あとがき」が終わった。
夜ごはんは、ウズベキスタンのスープ餃子(文子さん作のウズベキスタンのダンプリングを冷凍しておいたものを、キャベツ、パプリカ、椎茸、玉ねぎのスープでゆでた。ディルと粒マスタード)。
おいしかった!

●2023年11月17日(金)曇りのち晴れ

7時少し前に起きた。
ゆうべはずっと雨が降っていて、音を聞きながら寝た。
とてもよく眠れた。
朝は、何時なのか分からないような薄暗さだったけれど、今は海がよく光っている。
風が強く、雲の切れ間から陽が差して、海もきらきら。
きのうから、朱実ちゃんと樹君が泊まっている。
今朝10時くらいに、中野さんもやってきた。
今、私の後ろでは樹君がギターの練習、朱実ちゃんと中野さんは台所でお昼ごはんの支度をしてくれている。
きのう私は、バスに乗って新神戸までふたりを迎えにいき、タクシーで帰ってきた。
うちに着いてすぐ、樹君はギターを弾いていて、そのうち朱実ちゃんが歌いはじめた。
明日、京都で樹君の友だちの結婚式があるらしく、その練習。
朱実ちゃんはチリの歌を歌っていた。
「グラシャス・アラ・ビータ( 人生よありがとう)」。
私は料理をしながら台所にいて、ときどき窓辺のふたりを見た。
歌が胸にやってくる。
白い空と、境のない白い海に、船が浮かんでいて。
涙がつーっと流れた。
5時前くらいにオジャフリの支度ができ、3人で文子さんとファビオの部屋に行った。
(続きの日記は書けませんでした)

●2023年11月14日(火)晴れ

ぐっすり眠って起きたら、7時だった。
このごろは、夜9時からの「中学生の基礎英語1」を聞いて、そのあと「朗読の世界(今やっているのは江戸川乱歩の「少年探偵団」)。
眠たかったらそのまま寝てしまう。
きのうは、今年いちばんの寒さだった。
太陽が出たら、少しは暖かくなったけれど。
朝から『帰ってきた 日々ごはん⑮』の「あとがき」と「おまけレシピ」の仕上げ。
村上さんにお送りして出かけた。
バスに乗って御影へ。
ほしかったものがいろいろ買えた。
帰りは日が暮れて、またいちだんと寒くなっていた。
バスに乗って帰り、ひさしぶりに坂を上った。
買ったばかりのセーターを首に巻いて。
私は在宅で仕事をしているから分からなかったけれど、外に働きに出ている人たちは、この気温の変化についていくの、大変だろうな。
今朝は打って変わって暖かな朝。
海もよく光っている。
ああ、真ん中にきた。
目が眩む。
さあ今日は、税務のことをやろう。
まずは、レシートの整理から。
夜ごはんは、じゃがいもと鶏肉の重ね蒸し焼き、きのこ汁。 

●2023年11月11日(土)晴れ

ゆうべはものすごい風だった。
ピュールルルルルピュールルルルルの繰り返し。
なかなか寝つけなかった。
窓はガタガタしなかったから、海からではなく、山から下りてくる風だったのかな。
整体で頭や首まわりをよくほぐしてもらったから、ぐっすり眠れるのかと思いきや、その逆で体が覚醒しているみたいだった。
それでも、ゆらゆら眠っていたんだろうか。
5時くらいからラジオをつけ、うとうと。
ピーター・バラカンさんの番組で、ジョニ・ミッチェルがずっとかかっていた。
それで、けっきょく寝坊して、8時半に起きた。
さっきからパーッと明るくなったり、暗くなったり。
雲は多いのだけど、空の上の方には青空がある。
海には光の水たまり。
木漏れ日でなく、雲漏れ日だ。
金とも銀とも言えないような、ただただ眩しい水たまり。
雲が多いくらいの方が、影のある分、よく光るんだろうか。
そこに船が一艘浮かんでいるので、ついぼうっと見てしまう。
眩しすぎて、光の残像が残る。
朝から、「おまけレシピ」の試作をしたり、洗濯ものを干したり。
こうして日記を書いていたりしているうちに、海の光はどんどん西に動いていってしまう。
さっきまで目の前にあったのに。
早くて、追いつかない!
今日は一日中、「おまけレシピ」と「あとがき」を書いていた。
あと、もう少し。
夜ごはんは、寄せ集めスープ(白っぽい肉じゃがとほうれん草のスープに、しめじとくずした豆腐を加えた)、パン。

●2023年11月8日(水)晴れ

海がキラキラ。
そして、暖かい。
海のまん中までよく光って、洗濯物を干しながら、うっとりとしてしまう。
さて、今日からは『帰ってきた 日々ごはん⑮』のことをしよう。
神戸についてのエッセイで、何を書こうか考えながら。
「おまけレシピ」を書いていたら、文子さんからメールが届いた。
栗おこわが蒸し上がったそう。
きのう、3人で殻をむいた栗だ。
お弁当にして持ってきてくださった。
わー!
がぜん頑張る気が沸いてきた。
試作もひとつしよう。
夜ごはんは、栗おこわ弁当(蕪と葉の塩もみ)、豆腐入りかき玉汁、白っぽい肉じゃが。
文子さんの栗おこわは、たまらなくおいしかった。
大きな栗がごろごろ入っていた。
洗練されていて、料亭で出てきそうなおいしさ。
私にはぜったい真似できないおいしさ。
ごはんを食べ終わったら、中野さんから絵が届いていた。
ふー。
力がぬけていくような凄い絵。
白百合が匂い立ってきそう。

●2023年11月7日(火)晴れ

ゆうべは大風だった。
横なぐりの雨も降っていた。
窓ガラスが盛大にガタガタするなか、ゆらゆらと眠った。
朝ごはんの前に、山の入り口まで散歩したら、緑の濃い匂いがしていた。
ゆうべの嵐で、葉っぱが揉まれたみたいな匂い。
小枝があちこちに落ちていた。
一歩一歩、足首を伸ばしながら坂を上った。
オジャフリは大成功。とってもおいしくできた。
文子さんのショルティも、すごくおいしかった。
アムに簡単なレシピと写真を送ったら、「再現度高い!それは、現地のよりおいしいかも」とメールが届いた。
やった!
朝から「気ぬけごはん」の続き。
集中してやった。
4時少し前に書き上げ、島崎さんにお送りしたちょうどそのとき、文子さんが器を抱えてやってきた。
それは、オジャフリの夜に忘れていった耐熱皿。
洋梨もひとついただいた。
キーボードも貸してくださって、私はさっそくきのうから繋いでいる。
私の右腕の痺れは、もしかするとこれまで使っていたノートパソコンのキーボードのせいかもしれない……ということで、貸してくださった。
「私はもう使わないから、ぜんぜん気にしなくてええねんで。なおみさん、好きなように使ってね」と言って。
片仮名とアルファベットの変換が、私のとは違うので、教えていただいた。
わあ、なるほど。
白くて薄いAppleのキーボード、とっても素敵。
文子さんのおかげで、仕事机まわりがまたひとつ進化した。
本当にありがたい。
そして、牛乳を譲ってもらいに6階のお部屋に行き、「なおみさん、何か飲まへん?」ということになり、そのままアペリティーボになったのだった。
裏山は、紅葉がずいぶん進んでいた。
夕陽が沈む前の黄色い光が溢れたキッチンで、白ワインとビールを一杯。つまみはなし。
栗の皮むきを手伝いながら、おしゃべり。
6時くらいに、また文子さんと部屋に戻ってきて、トムヤムクン風の肉だんごスープ(大根、蕪、パプリカ、トマト)をあげた。
自然とオジャフリのスヴァニティソルト(ミックススパイス)の話になり、また味をみながら、代用のためのスパイスについて、ああだこうだと知恵を出し合った。
匂いやら味の印象の話。
私たちのは経験と感覚だけ。
そんな料理談義楽しくてたまらない。
夜ごはんは、イタリア風ワンタンスープ(合いびき肉、玉ねぎ、グラナパダーノ・チーズ、ナツメグ、蕪、パプリカ)。

●2023年11月5日(日)晴れ

海がキラキラ光っている。
洗濯物を干すとき、太陽が背中に当たって暑かった。
パソコンに向かうも、あまりに眩しいので、カーテンを二重にした。
朝から、バリバリ原稿書き。
「毎日のことこと」の仕上げと、「気ぬけごはん」もいいところまできた。
あと、もう少し。
「気ぬけごはん」の試作をするので、文子さんたちとアペリティーボの約束をしている。
アムとカトキチが送ってくれた、ジョージアのミックススパイス「スヴァニアンソルト」を使った肉とじゃがいもの料理、オジャフリ。
ふたりの旅のインスタグラムを見ていたときから、ずっと作ってみたかった。
きのうは、文子さんに豚肉を買ってきてもらい、ゆうべのうちにマリネしておいた。
アムたちは、平沢のじゃがいもや玉ねぎ、南瓜も送ってくれた!
今、じゃがいもを蒸しているところ。
それにしても今日は喉が乾く。
今、「♪ゆーきやこんこ あられやこんこ」の歌を流しながら、灯油の車が通った。
朝晩は、ストーブが必要な家もあるだろうけれど、運転手さんはランニング姿。
ちぐはぐな季節。
夜ごはんは、文子さん&ファビオと。
オジャフリ(豚肩ロース肉、じゃがいも、玉ねぎ、パプリカ、イタリアンパセリ)、ショルティ(ジョージアのパン・文子さん作)、ジョージア産ワインの予定。
オジァフリ、うまくいくといいな。

●2023年11月3日(金)晴れ

きのうは、整体の施術が終わって、腕の痺れもなくなり、体も軽く、とても元気になったので、帰りにパン屋さんやカフェに寄った。
「MORIS」にも寄って帰ってきたら、急にぽーっとしてきた。
体が熱く、微熱もある。
これはいつもの感じなので、すぐにベッドへ。
いちど起きて夜ごはんを食べ、お風呂に入らずに寝た。
7時半にはベッドの中。
うろうろと寝たり目覚めたり。
夢をいくつもみて、今朝はスッキリ。
私の体は、あちこちの連絡が途絶え、ばらばらになっていたのだそう。
先生のおかげで、ひとまずつながった。
言葉や頭をよく使う人は、土のものを食べたり、足腰を丈夫にするのがいいそうだ。
来週、また診ていただくことになった。
さて、今日からまた原稿書き。
昼間は暑いくらいだったけれど、夕方になって急に冷えてきた。
「毎日のことこと」は、どうやら書けた模様。
やった!
ひとつ終わった。
夜ごはんは、バターナッツかぼちゃのポタージュ(干し椎茸と昆布のおだし、しょうが、黒こしょう)、レーズンパン、チーズトースト。
きのう行ったカフェでいただいたスープがとてもおいしかったので、真似してこしらえてみた。

●2023年11月2日(木)晴れ

カーテンの隙間の光が、今朝も壁に当たって目が覚めた。
「はなのようなもの」の斜め上。
オレンジ色が濃い。
カーテンを開け、朝陽が猫森から昇るところが見られた。
トイレから戻ってきて、「はなのようなもの」の絵を見ていたら、母の面影が浮かんだ。
微笑んでいる顔だ。
朝の天気予報は、萬木敏一さん。
日中は23度くらいになるそう。
「海の風が届かない内陸部では、もっと上がって25度から26度くらいの夏日になるところもあるかもしれません。それでも夏と違っているのは、空気が乾燥しているところ。秋はカラッとしているので、日影に入れば涼しいですし、このごろは日も短くなっていますから、油断はせずに羽織るものを用意してお出かけください」
やっぱりいいことを言うなあ、萬木さんは。
テレビの天気予報を見ていると、夏日ということだけが強調されている気がする。
そうすると、もう11月なのに……という負の気分が入ってくるもの。
ゆうべはぐっすり眠った。
でも、まだ背中が痛い。
首もつっぱっている。
いつもなら、夜体操をしてぐっすり眠れば、朝にはスッキリしているのだけど。
持ちこたえられない体になっているんだな。
するすると流れていた、体の中の小さな玉が、どこかで詰まって、前に進めなくなっているような感じ。
今、こうして日記を打ち込んでいると、右の手首が痺れてくる。
それが、肩の方までいっている。
整体は11時から。
急だったのに、診てもらえることになって、本当によかった。
今日は、仕事を何もしないぞ。
しっかり休んで、また明日からがんばるために。
洗濯物を干すときに見たら、「はなのようなもの」はもう母は浮かんでこなかった。
寝ぼけながら見ると、いいのかも。
身支度をして、10時には出かけよう。
夜ごはんは、蕪入りお粥(文子さんの梅干し)、焼き飛龍頭(下ゆでをしっかりして、丸ごとフライパンで空焼き。生姜じょうゆ)、大根葉のおかか炒め。

●2023年11月1日(水)晴れ

今朝は、6時前からカーテンを開けていた。
おかげで、曙の空と陽の出を見ることができた。
曇っていたので、それほど強い光ではなかったけれど、ベールを被ったようなオレンジ色がきれいだった。
太陽が昇る位置が、ずいぶん海の方に移動していた。
猫森の上から出た。
ぽかぽかとした小春日和。
玄関を網戸にしている。
おとついの夕方、「となりのオハコ」のエッセイを宮下さんにお送りできた。
それできのうは、写真選びやレイアウトの相談などを、電話でやりとり。
レシピを書くのも夕方までめいっぱいやって、5時から試作をした。
文子さんに食べてほしくて、お呼びした。
ファビオは風邪をひいていたので。
すごくうまくいったし、食べながら文子さんがいいことを言ってくれた。
ふたりで味わったことで、新しく気づいたことがたくさんある。
サッとこしらえ、持ってきてくださったプリンのおいしいこと!
甘みも、なめらかさも、カラメルの焦げ具合も、完璧なプリンだった。
ああいうのが気軽に作れるなんて、すごいなあ。
さあ、今日も「となりのオハコ」まわりの仕事。
ひとつひとつ進めていこう。
宮下さんが写真入りのラフを上げてくださったので、気分が盛り上がる。
まずは、エッセイの仕上げから。
落ち着いて、落ち着いて。
お昼ごろ、中野さんから新米が届いた。
今年からお父さんは田んぼをやめて、どなたかに貸すことにした。
だから、町内の田んぼで採れたお米。
貴重な新米だ。
大切にいただこう。
「となりのオハコ」が終わり、すべてまとめてお送りできた。
ああ、首がつっぱる。
肩も重たい。
ずっと調子がよかったのだけれど、夏から秋にかけ、遊びも仕事も詰めすぎたからだ。
明日、整体の予約をした。 いちどゆるめ、続きの仕事をしようと思う。
あと、抱えている原稿は「毎日のことこと」、「気ぬけごはん」、『帰ってきた 日々ごはん⑮』の「あとがき」と「おまけレシピ」。
それから、神戸についての短いエッセイ。
書きたいことは決まっているので、しっかりと向かい、こつこつと進めていけばきっと間に合う。
大丈夫。
夜ごはんは、肉だんごと大根の中華風煮物(粗挽きの豚ひき肉で肉だんごを作って揚げ、ほろふき大根の残りと合体させた。トリガラスープの素、酒、オイスターソース、きび砂糖、醤油、黒酢。何かが足りない気がしてナンプラーをちょっと加えたら、ピタッと味が決まった。水溶き片栗粉であんかけに。チンゲン菜をセイロで蒸して添えた)、大根おろし(ちりめんじゃこ)、味噌汁(ワカメ、ねぎ)、ご飯。

●2023年10月28日(土)晴れ

朝、枕もとの絵に朝陽が当たった。
今朝は、花弁の部分が指のように見える。
母がよく、チューリップを表すときに、両手首をつけ、手の平をぽっかりと花のように開いていたのを思い出した。
本当に母は、「はなのようなもの」になったんだな。
朝方は寒いくらいだったけれど、ポカポカしてきたので、玄関の扉を網戸にした。
2階の窓も開けにいったら、目の前の木から2羽の小鳥が飛び立った。
開いた羽がパッと白い、ハクセキレイ。
向かいの建物の屋上で、チュクチュクと囀りながら遊んでいる。
きのうもこの辺りで遊んでいた2羽だ。
「となりのオハコ」の続きに夢中になっていたら、文子さんからアペリティーボのお誘いが。
5時まで集中し、生ハムを持って、夕焼けを見におじゃました。
海の上では雲が茜色に染まり、東の空の下の方には、白い大きな月が昇りかけたところ。
紙のような月。
明日は満月だ。
ファビオが、カンパリグレープフルーツ・ソーダを作ってくれた。
ひとしきりおしゃべりし、バゲットにオリーブオイル&バルサミコ酢。ちぎった生ハム(コッパ)をのせて食べた。
文子さんとふたりでいても、ファビオが加わっても、ふたりの部屋だと英語らしきものが自然に出てくる。
中野さんと4人でうちで話すと、私はしどろもどろ。
どうしてかな。
夜ごはんは、文子さんからいただいた神戸の豚まん、人参のサラダ(塩もみしたのを赤ワインビネガーで和えておいた)、ワカメのねぎ醤油かけ(白ごまたっぷり)。
大満足のおいしさ!

●2023年10月27日(金)曇りのち晴れ、一時雨

今朝もカーテンの隙間から、光が絵に当たっていた。
7時少し前なのに、まだオレンジ色をしている。
きのうは、この時間にはもう白っぽかった。
曇っているから光が強いのかな。
カーテンを開けると、太陽の下の海が、雲の木漏れ日みたいになっている。
雲間から漏れた、光の水たまりみたい。
天気予報によると、今日は大荒れの天気だそう。
12月のはじめのような寒い大気が、空の高いところに発生するので、地上の暖かさとぶつかって、雷や竜巻、雹が降るところもあるかもしれないとのこと。
このところ私は、いつも誰かしらのそばにいて、それもまたとても楽しかったのだけど、今日からようやくいつもの生活に戻る。
ひとりはやっぱりいいな。
ゆうべは、ぐっすり眠れたもの。
アムとカトキチも、長い旅から富良野に帰ってきた。
おかえりー。
さて、仕事をバリバリ頑張ろう。
「となりのオハコ」のエッセイを夢中で書いていて、気づけば、空の高いところに黒い雲が渦巻いている。
三宮の空は灰色。
あ、雷!
すごい風。
そして、寒い。
「西から強い風が吹いてきたら、雷が落ちる心配があるので、頑丈な建物に入るように」と、天気予報で言っていた通りになった。
夕方、雨がやんだ。
今は5時。
海も空も青い。そして、ものすごく寒い。
大阪の街に西陽が当たって、オレンジ色に光っている。
空は茜紫。
一瞬だけ虹も出た。
中野さんのところは大嵐が去って、今、ものすごい夕焼けだそう。
写真を送ってくださった。
空全体が、オレンジと黄色のグラデーション。
同じ時間でも、こんなに違うんだ。
夜ごはんは、洋風雑炊(白菜、大根、いんげんをスープで煮て、ゆうべの「蓮子ダイとえびのアクアパッツァ風」の残りと牛乳、チーズ、ディルを加えた)。

●2023年10月26日(木)晴れ

陽の出のとき、カーテンの隙間から漏れたオレンジ色の光が、枕もとの絵の斜め上に当たっていた。
もうひと眠り。 
光は白っぽくなってじりじりと動き、「はなのようなもの」の茎のところにぴたっと当たった。
スポットライトのよう。
それを見届けてから、カーテンを開けた。
台所から、コーヒーのいい香り。
朝ごはんを食べ、中野さんは9時過ぎに大荷物(画材屋さんで買った紙など)で帰っていった。
坂の上までお見送り。
今朝もいいお天気。
海が光っている。
さあ私も、仕事の続きをがんばろう。
『帰ってきた 日々ごはん⑮』アルバムのキャプション書きの続きと、「となりのオハコ」のエッセイだ。
夜ごはんは、「おまけレシピ」の試作で、蓮子ダイとえびのアクアパッツァ風、プチフランスパン。
パンは、夕方お買い物に出かける文子さんにお願いして、買ってきてもらった。
試作もうまくいき、大満足のおいしさだった。

●2023年10月23日(月)晴れ

朝、洗濯物を干していたら、文子さんからメールがあり、お土産を持ってきてくださった。
私が中野さんの家に行っている間、文子さんとファビオも「ケハレ」に泊まりに行っていたのだそう。 
亜由美さんが連れていってくれた、淡河の「道の駅」で買った野菜のおすそわけ。
翡翠茄子、里芋、オクラ、いんげん、甘唐辛子、ラデシッシュ。
みんな半分にずつに分け、袋に入れてくださった。栗の渋皮煮も!
しばし、お互いの旅の報告をし合った。
きのうは早めの夕方に、中野さんの家から帰ってきた。
前回泊まりにいったのは、8月のはじめだったろうか。
ソウリン君はそれほど変わっていなかったけれど、ユウトク君は顔がひとまわり小さく、体もシュッと引き締まり、大人っぽくなっていてドキッとした。
回転寿司は、お店に出かけるのではなく、注文をしておいたのをお義兄さんが仕事帰りに取りにいってくださり、いつもの食卓でみんなで食べた。
ネタが新鮮で、どれもとてもおいしかった。
生のエビ、ハマチ、タイ、コハダ、イカ、あなご、まぐろ、イクラの軍艦巻き(もっとあったかも)。
卵の巻き寿司(ツナとカニカマ)と、五目太巻き、いなり寿司もおいしくて。
お腹いっぱい食べ、ロウソクを吹き消したケーキも、大きいのをいただいた。
ソウリン君にプレゼントをあげたのだけど、ちっとも興味がないみたい。
そのかわり、ユウトク君がたいへん気に入って、もらってくれた。
それは、大人用の文房具売り場でみつけた。
筆箱よりも大きな、何を入れるか分からないような黄色い長方形の容れ物。
スーツケースみたいな素材だから、パソコンまわりの備品をしまうものなのかも。
ユウトク君は、その黄色い容れ物をいつもそばに置き、寝る時にも、温泉にドライブにいくときにも持っていった。
「なんで、持っていくの?」と聞いたら、「当たり前や!」と言われた。
前に、中野さんと作ったフクロウも、自転車に乗せ、一緒にサイクリングに行った。
大好きで大切なものとは、ずっと一緒にいたい。
すごく、いいなあ。
ソウリン君は今、サッカーに夢中なので、サッカーボールやウェアーが嬉しいみたいだった。
中野さんは、昔ながらのサッカーゲームをあげていた。
家の前のお宮さんで、サッカーの練習。
思い切り走るのも、またやった。
折り紙もした。
帰る日には、3人(子どもたちと私)でサイクリング。
透き通った水がたまっているのを見に、ユウトク君が田んぼに連れていってくれたり、いつもの池にも行った。
私ははじめて、青サギが飛び立つのを見た。
白サギはよく見るけれど。
池の水に石を投げ、何段か飛ばす遊びが、ユウトク君は大きな石でもうまくできるようになっていた。
2日目の夜だったろうか。
夢で、「ここは、毎日が楽しい」という声がどこかから聞こえてきた。
「ここは、生きているだけで、楽しいところ」という意味だと思う。
仕事をして、子どもたちが学校から帰ってきたら一緒に遊び、ごはんの支度をし、みんなでわいわい食べ、お風呂に入って眠る。
子どもたちは食べた分だけ、遊んだ分だけどんどん大きくなる。
育っていく人たちと、一緒にいられること。
それだけで生きている感じ。
今日から、「となりのオハコ」を書きはじめた。
『帰ってきた 日々ごはん⑮』の「おまけレシピ」の試作をしながら。
今は5時を過ぎたところ。
一艘だけ浮かんでいる船に、西陽が当たり、強烈に赤く光っている。
対岸の山に沿って、長く長く続く茜と青紫のグラデーション。
そのうち、じわじわと薔薇色に。
秋の夕暮れって、こんなにきれいだったろうか。
空の真上には、ちょっと膨らんだ半月。
夜ごはんは、薄味の白っぽい肉じゃが、翡翠茄子のフライパン焼き、巻き寿司(きのうのお土産の残り)。デザートは栗の渋皮煮。

●2023年10月20日(金)晴れのち曇り

6時半に起きた。
まだ、少しだけ疲れが残っているみたい。
そして、きのうから右の肘が痛い。
ゆうべ湿布を貼って寝たら、少しはよくなっているけれど。
知らない間に、どこかをひねったのかな。
カマキリは、カサッと軽くなっている。
よかった。
ようやく神戸に戻ってきたところなのだけれど……今日は、ソウリン君のお誕生日会。
子どもたちの希望で、家族みんなで回転寿司に行くのだそう。
私も招待された。
秋は忙しいけれど、うれしい忙しさ。
午前中めいっぱい仕事をして、美容院へ。
六甲道から三宮にまわり、新開地から神戸電鉄に乗って出かける予定。
ひと月ちょっとしか会っていないのだけど、ユウトク君もソウリン君も、大きくなっているだろうな。
今の時期、子どもたちはどんどん変わるから。
私もたくさん遊んで、ぐんぐん仕事をしよう。
夜ごはんは、回転寿司の予定。

●2023年10月19日(木)晴れ

秋晴れ。
香ばしいようなお天気。
ゆうべは早めにお風呂に入り、8時半にはベッドに入った。
たっぷり眠ったおかげで、今朝は6時過ぎに目覚めた。
「中学生の基礎英語1」も久しぶりに聞くことができた。
私、ようやく、神戸に戻ってきた。
ギャラリー「sana village」のある多気町五佐奈というところは、のんびりとしたとてもいい里山だった。
ほんとうによい気が流れているところなんだなあと思いながら、毎日過ごしていた。
朝晩は寒く、日中は陽射しが強くて暑く、夜は真っ暗になるからびっくりするほど星がよく見えた。
ほとんど晴れていたけれど、ぼそぼそと一日中雨が降り続いた日もあった。
そんな日も、古民家を改装した家の中はなぜかじめじめした感じにはならない。
どうしてなんだろうと不思議だった。
私は近くの「スマイル」というスーパーまで、橋本さん(中里さんの同級生。私よりも二つ年上ののおじさん)の車に乗せてもらって出かけては、地元で採れた野菜や魚、お肉を買って帰り、夜な夜な自然に開かれる飲み会のごちそうの支度を昼間からしていた。
台所には塩、きび砂糖、醤油、甘口醤油、ワサビ(お刺身やお寿司についてくる小さな袋をたくさんとってあった)しかなかったけれど、おいしい日本酒があったので、ごま油を買い足すだけで、充分にいろいろな味の料理ができた(何日目かに、米油と地元の味噌を買った)。
何を作ったんだっけ。
思い出して書いてみよう。
1日目はお刺身(マグロの赤身→トンボという名前だった、ハマチ)、冬瓜の塩もみ(ごま油、スダチ、青じそ)、たたきオクラ(やわらかくゆでたのを包丁でたたき、とろとろにした)、舞茸とニラの炒め物、さつま芋の炊き込みご飯と、あと何か(忘れてしまった)。
2日目はカツオのお刺身(みょうが、青じそ、しょうがなど薬味たっぷり・にんにく醤油にレモンを搾ったタレ)、焼き茄子、手作り焼売、ヒラタケの炊き込みご飯と、何か。
3日目は蒸し豆腐(ニラ醤油ダレ)、焼売、卵焼き(焼きヒラタケあんかけ)と、何か。
4日目はホタテの酒蒸し、フライパン焼き椎茸、松坂豚ヒレ肉とにんにくのじりじり焼き(塩、レモン汁、米油でマリネしておいた)、大根ときゅうりの塩もみ(青じそ)、有精卵の卵かけご飯。
朝ごはんのあとは、いつでもお腹が空いてもいいように、新米を炊いておむすびをにぎり、ひとつひとつラップに包んで大皿に並べておいた。
裏に自生していた蕗を摘んで、蕗みそを作ったら、みんなびっくりして、お酒のあてにもおにぎりにも喜ばれたことがあったっけ。
3日目のお昼には、チキンカレー(冬瓜、ゆで卵)と白菜と人参のコールスロー。
何日目だったろう。
受付をしていた近所のおじさん(中里さんの高校のときの親友だそう)と橋本さんのお昼ごはんに、卵とちくわのねぎチャーハンを作った。
お皿を返しにきたおじさんは、何度も頭を下げて、「おいしく作ってくだすって、ほんまにありがとうございます。ごちさうさまでした」とおっしゃった。
私は、じーんとした。
会場に掃除機をかけ、雑巾がけをしたり、トイレ掃除をしたり。
中野さんのワークショップの、場所作りの手伝いをしたり。
そんな裏方仕事が、楽しくて、楽しくて。
夕方になると外に出て、夕陽に染まる雲を見ながらひとりでビールを飲んだ。
いちど、中里さんが出てきたと思ったら、「夕方になると、金木犀が濃い色になるなあ」とぼそっとつぶやいて、すぐにいなくなったこともあった。
中野さんが「のぞき箱」のワークショップをしている間、私はひとりで散歩した。
それが、とてもよかった。
ギャラリーの前の田んぼの小道を、山に向かって歩いていくと、柿園がある。
笹林の角を曲がって、その先のこんもりとした草むらのようなところに、小さな墓地があった。
立派な墓石はなく、長方形の杭みたいな小さな石碑が、ぽっこり、ぽっこりと地面に植わっている。
この辺りは、土葬の風習が残っていて、中里さんのお祖父さんの代までは、膝を抱えるような姿でこの墓地に埋まっているのだそう。 「もう朽ちて、土になっているだろうから、おじいさんの体は井戸水にも溶け出して、僕らはそれを毎日飲んでいるんやろうなあと思います」と、中里さんがおっしゃっていた。
自分が生きてきた家が見える、自然のままの地に埋められるということ。
緑色のサカキだけが供えられた、ぽっかりと陽が射すお墓は、なんて清潔で、かわいらしいんだろうと思った。
帰り道にすれ違った、軽トラを運転しているおばちゃんのカッコイイこと。
陽焼けした笑顔で、よそ者の私に軽く会釈してくださった。
たぶん、このあたりで畑をやっているおばちゃん。
私も、あんなふうになりたいなあ……目標がひとつできた。
というわけで、今日はひとまず、たまっていた日記を書くだけでせいいっぱい。
夜ごはんは、卵チャーハン、冬瓜と豆腐のスープ。
カマキリを母の祭壇に供えた。

●2023年10月18日(水)晴れ

おとついの夜に、三重から帰ってきた。
帰りには、多気の線路沿いにある大きな楠木を見にいき、伊勢神社にも行った。
伊勢神社は観光客もいたけれど、前に桃ちゃんが、「緑がいっぱいで、神聖な空気があった」と言っていた通りのところだった。
門の近くの小屋に白い馬がいて、なめらかな白銀の毛並みも、筋肉の隆起も、この世のものでないように美しかった。
私はそこに佇み、しばらく見とれていた。
「sana village」での4泊5日。
楽しい旅だったなあ。
落ち着いたら、少しずつ日記に書いていこうと思う。
中野さんはうちに2泊し、今朝帰っていった。
駐車場までお見送りしたあと、小さなカマキリが道路でペタンコになっているのをみつけた。
拾い上げると、緑色の羽が陽に透けていて、『ほんとだもん』を書いたときのことを思い出した。
部屋に戻ったら、手の平に何か感じる。
カマの先がかすかに動いている。
まだ生きていたんだ!
2階に駆上がり、植木鉢の土にそっと置いた。
レースのカーテンで日影もつくった。
後ろ足を、ピンと伸ばしたりしている。
跳んでいる夢をみているのかな。
お昼ごはんを食べ、洗濯物を干すときに見たら、まだ少し動いていたので、土にほんのちょっと水をあげてみた。
ひくっ、と動く。
生きている。
私は、旅の疲れで頭がぼんやりしているけれど、やれそうな仕事をひとつひとつしていこうと思う。
夜ごはんは、伊勢うどん(ねぎの青いところをたっぷり、一味唐辛子、溶き卵)。伊勢神社の近くのうどん屋さんで食べたのが、とってもおいしかったので、お土産屋さんで買って帰った。
夜ごはんを食べ終わって見たら、カマキリはもう動かなくなっていた。
触れると、硬い。
東の空に金の三日月。

●2023年10月11日(水)晴れ

ぐっすり眠って、8時半に起きた。
今朝はちょっと筋肉痛。
起き抜けに、枕もとの絵を眺めていた。
「はなのようなもの」という絵。
そこには、黒の線で大きな花が一輪描かれている。
枕もとに飾った日から、私には十字架やお墓に見えるようになったのだけど、今朝はまた違う。
形は花なのだけど、つま先を交叉させた女の人に見える。
それは、これまで階段のところに飾っていたときと同じ見え方。
母は亡くなって、ようやく「はなのようなもの」になったのかもしれない……と思った。
私がそう思えるようになったから、絵もそう見えるんだろう。
絵は、私にいろいろなことを伝え、教えてくれる。

きのうは、「となりのオハコ」の取材で、岡山の伊里というとこに行ってきた。
朝、JRが遅れているという連絡があったので、私は三宮で特急に飛び乗った。
それで、宮下さんたちとは別々の電車になってしまい、ひとり旅となった。
姫路まで特急で行って、芥子色の山陽本線に乗りかえ、山里の秋の景色のなかをとことこと進んだ。
播州赤穂駅でまた乗り換え。
さらにまた、山に囲まれた景色。
伊里は無人駅。
小高い山と海に挟まれた、とても穏やかなところだった。
そして、とてもいい取材だった。
たくさんたくさん、抱えきれないほどいいお話を聞いた。
私、書けるだろうか。
ひとまずねかせておいて、レシピの手順だけはまとめておこうと思う。
明日からは、三重県の多気というところに出かける。
絵本『かしわばやしの夜』の立体画を撮影した写真家・中里和人さんと、中野さんの展覧会。
中里さんの生家を改装したギャラリー、「sana village」で開かれる「宮澤賢治 二つの世界」。
私もギャラリーに泊めていただけるそうなので、みなさんの賄いを作ろうと思う。
4泊5日の旅。
なので今日は、ゆっくりゆっくり支度をしながら、にんにくやスパイスをつぶし、カレーのマサラを作る。
それにしても、いいお天気。
明日は、10時くらいに中野さんが車で迎えにきてくださる。
はじめての土地、はじめての人たち。
どんな旅になるだろう。
とても楽しみだ。
夜ごはんは、たぬき蕎麦、みかん。
今夜は風がとても強い。

●2023年10月8日(日)曇りのち雨

7時半にいちど起きたのだけど、まだ眠れる、まだ眠れると思いながら寝ていた。
9時半に起きた。
大寝坊!
冬の布団にしたから、こんなによく眠れるんだろうか。
きのうは、おもしろい日だった。
朝から、『帰ってきた 日々ごはん⑮』の校正に集中し、3ヶ月分が終わった。
そして、現金出納帳をつけ、パソコンにも打ち込み、5時過ぎに終わったちょうどそのとき、文子さんからメールがあった。
中野さんの新しい絵を見せてほしいとのこと。
下の道を歩いていたら、壁にかけてあるのがちらりと見えたのだそう。
ファビオとふたり、白ワインとマスカットを手にやってきた。
私は、窓辺に飾った「Yin and Yang」と、階段の踊り場の「タマゲイトウ」の絵を見せた。
2階の寝室の絵も。
うちには何もなかったけれど、亜由美さんにいただいたロゼを開け、椎茸を焼いたり(鉄のフライパンにごま油を薄くしき、軽く焼くだけ・粗塩で)、冷蔵庫にあったいつぞやの茄子のグラタンをオーブンで温め直し、パンにのせて食べた。
ファビオが部屋から、チーズ(銀紙に包まれたQBBの四角いチーズと、雪印のカマンベールチーズ)を持ってきてくれたり。
「What did you do today?」(今日は何をしていましたか)なんて、世間話。
私がキッチンのオーブンを開け、グラタンの温め具合を見ていたとき、窓辺で呑んでいた文子さんは「わー、ブルックリンみたいや。ほんとに、ちょうどこんな感じやったの」と、懐かしがっていた。
茄子のグラタンの焼ける匂いと、窓辺で呑んでいるというシチュエーションで思い出したんだそう。
あるもので楽しむ、気楽な夜の会。
アペリティーボのつもりが、気づいたら10時を過ぎていた。

さて、今日もまた、アムとカトキチの旅のインスタグラムを見てから、『帰ってきた 日々ごはん⑮』の校正に集中しよう。
足下が冷たいので、スリッパをはいている。
温かいミルクティーがおいしい季節になったな。
午後からは雨。
目をこらさないと見えないくらいの、雨。
あんまり寒いので、薄手のセーターを重ね着した(下は半袖のワンピース)。
きのうとは打ってかわって、静かな日曜日。
『帰ってきた 日々ごはん⑮』の校正は、あともうちょっと。
明日は、「あとがき」を書きはじめよう。
夜ごはんは、手羽元とゆで卵の中華煮込み(いつぞや作ったものに、蒸した冬瓜を加えた)、赤軸水菜のお浸し、しらすおろし(「夜明けのしらす」で)、雑穀ご飯。
「まる子」を見ながら食べる予定。

●2023年10月6日(金)晴れ

11時から歯医者さん。
待合室の窓から山が見えるってなんていいんだろう……と思いながら待っていたら、受付の人に「高山さん」と呼ばれた。
一瞬どきっとした。
「え?誰?」と思った。
名字が変わってから、はじめて公共の場でそう呼ばれた。
なんだか不思議な気持ち。
八幡さまでサンドイッチを食べ、銀行やコンビニでの支払い。
そのあと、「六珈」さんでコーヒー豆を買い、六甲ライナーに乗って、年金事務所にも行った。
住吉からの六甲ライナーは、いつもいちばん後ろの山が見える席。
うちのマンションも見えた。
年金証書も「高山なおみ」になる。
変更の書類は、郵送してもよかったようだったけれど、窓口でやりとりするのがいちばん早いから。
それに私は、ここが好き。
相談窓口に来ているのはご年配の方ばかりだし、受付ものんびりしていて。
帰りは、住吉川沿いを歩いた。
だーだーどーどーと流れる澄んだ水。
草むらでは鈴虫が鳴き、黄色くなりかけた数珠玉も発見。3粒もらった。
せっかく住吉まで来たので、「コープさん」で「やわらか煮穴子めし」のお弁当を買った。
ふっくらとやわらかい穴子のお弁当。
私はこれが、大好き。
3時過ぎに帰ってきて、「毎日のことこと」の校正。
今は5時。
海が青いなあ。
夜ごはんは、カレイ(即席塩鮭のやり方で、塩水に漬けておいた)の和風ムニエル・カボス添え、「やわらか煮穴子めし」弁当、赤軸水菜のお浸し(生姜じょうゆ)、ツルムラサキとオクラの塩お浸し。
夜ごはんを食べていたら、亜由美さんから電話があり、今年初穫れの椎茸を持ってきてくださるとのこと。
「夜明けのしらす」とカボスも!
エサを食べる前の透明なしらすを収穫し、窯ゆでにしたものだそう。
はじめて食べる。
明日、焼いた椎茸とこのしらすを炊き立てのご飯にのせ、いただこう。
文子さんとファビオにも、同じものを持ってきてくださったので、今、玄関のノブにぶら下げてきたところ。

●2023年10月5日(木)晴れ

8時に起きた。
大寝坊。
コーヒーの匂いで起きた。
涼しいからか、とてもよく眠れる。
朝ごはんは、秋のヨーグルト(ぶどう2種、いちじく)とチキンハムのトーストサンド。
掃除をしてから、届いたばかりの絵を箱から出し、中野さんと飾った。
絵は、展覧会場で見るのとまた違う。
親密な感じがし、新しい色や線が見えてくる。
そして絵が変わると、部屋の空気も変わる。
秋の模様替え。
お昼を食べ、中野さんは2時くらいに帰っていった。
私は「毎日のことこと」の仕上げ。
それにしても、今日は寒い。
5時過ぎ、きのう借りたグラスをお返しするために、文子さんたちの部屋へ。
スパイシーチキンカレーがちょうどふたり分残っていたので、おすそわけ。
そして、3人で軽くアペリティーボ。
朱実ちゃんのマルベリーソースのカクテル(ウォッカ、トニックウォーター、ローズマリー、いちじく・文子さん作)、いちじくとパン&バルサミコ酢、オリーブオイル、塩。
帰ってきてすぐに夜ごはん。
ゆで落花生、コーカサス風スープ(塩豚、大根、白菜のスープにヨーグルトとディルを加えた)。
お風呂上がり、鈴虫の声が聞こえる。
今日私は、寝室の枕元に飾っていた母の絵をしまった。
これまで階段の踊り場にあった、墨一色の「はなのような」という絵と取り替えたのだけど、なんとなく十字架に見える。
心の十字架。
母はもう、私のなかで成就したのかなあ。

●2023年10月4日(水)雲りがちの晴れ

このところ5時半くらいに目覚め、「古楽の楽しみ」を聞いて、「中学生の基礎英語1」。
うとうとしながらのときもあるけれど、そういう日は、夜の再放送で英語の学習。
そして、たいてい7時には起きる。
今朝も聞けた。
今週の「古楽の楽しみ」は、関根敏子さんだ。
朝のヨーグルトは、海の光っているところを見ながら。
まだ眩しくはないけれど、秋の光だ。
夏からの習慣で、このごろはなんとなくトーストを食べなくなった。
果物とヨーグルトだけが調子いいみたい。
あっという間に水曜日。
風はひんやり、秋の光。
さすがにツクツクボウシの声も聞こえなくなった。
今日は「FARMSTAND」の亜由美さんが、はるかちゃんとさわちゃんを連れて、1時から撮影にいらっしゃる。
「毎日のことこと」がいいところまで書けているので、それまで続きをがんばろう。
3時からは、文子さんとファビオの部屋で撮影の続き。
とても楽しみ。
撮影は、6時ちょうどに終わった。
夜ごはんは、用事の帰りに立ち寄った中野さんと。
樹君作のチキンハム(朱実ちゃんはハムではなく吊るし肉というけれど、ほとんどハム。炭火の香りがしてとてもおいしい)、きゅうり、チキンカレー、ビール。

●2023年10月1日(日)雨のち曇り

ゆうべは雨が降ったみたい。
朝、地面が濡れていた。
窓を開けて寝ていたのに、雨音にちっとも気づかなかった。
よほどぐっすり眠っていたのかな。
カーテンを閉め、もうしばらくうとうと。
8時に起きた。
起きたらなんだか筋肉痛。
今日から10月。
また、ひとりの生活がはじまる。
3時に美容院を予約しているので、それまで「毎日のことこと」を書こう。
靴下をはかないと、つま先が冷える。
ひと息に秋になったみたいな日。
なんだかとても、静かな日。
夜ごはんは、カレイの煮付け、なめこおろし、モロヘイヤとオクラのだし浸し、味噌汁(くずし豆腐、ねぎ)、たくあん、ご飯。
お風呂上がり。
信じられないけれど、もしかして、寒い?

●2023年9月28日(木)曇り時々雨

6時半に起きた。
ゆうべ中野さんは、9時半過ぎに帰ってきた。
まだ片付けが終わっていなかったけれど、ギャラリーのスタッフたちに任せて。
200点もの絵や立体を片付け、もとの姿のギャラリーに戻すのはそうとう大変だろう。
朝のコーヒーの匂いがするころ、ザーーーッと音がして雨が降り、すぐにやんだ。
締めくくりの雨だ。
濃い灰色の雲のところと、薄い灰色のところがある。
青空が見えているところもある。
部屋の中まで、黄色がかった薄陽が届いたりもする。
不思議なお天気。
中野さんは今日も、続きの作業があるのだそう。
8時ごろタクシーで出かけるときに、太陽が一瞬だけ顔を出した。
そしてまた、お天気雨。
そのあとぱーっと晴れてきたので、布団を干した。
不思議なお天気。
ザワザワザワーッと大きな音がして、またお天気雨が降ってきたのかと思い、慌てて2階に駆け上がると、猫森の葉擦れの音なのだった。
そんなことが2度あった。
海が光っている。
お昼前に帰ってきた中野さんは、出ていくときよりもずっと元気になっていた。
手伝ってくれたスタッフみんながとても元気で、力が移ってきたのだそう。
早めの夕方に、涼しい廊下でビール(スダチ入り)と柿ピー、ゆでオクラ。
明日が満月の月を眺めながら、テーブルに移って、冷や奴2種(おろししょうが、ねぎ醤油)。
夜ごはんは、いわしの蒲焼き、モロヘイヤのお浸し、とろろ芋、ご飯。

●2023年9月27日(水)曇りのち晴れ

ゆうべは窓を開けて寝た。
風がヒンヤリ、扇風機と合わさってとても気持ちよかった。
7時に起きて、コーヒー。
ツクツクボウシがまだ鳴いている。
秋の虫も鳴いている。
きのうの夕方は、ツバメもたくさん飛んでいた。
まだ夏なのか、もう秋なのか……未分化の季節だ。
今日は展覧会の最終日。
中野さんと一緒に10時過ぎに家を出て、バスに乗った。
『かしわばやしの夜』のジオラマも、絵も、見納めをしようと思って。

ジオラマは、絵本のページをめくりながら、順番に見ていった。
会場には私ひとりだったので、しゃがんで目線を低くしたり、片目でのぞいたり。
1階の絵も、地下の絵もじっくりと見た。
うどん屋さんでお昼を食べ、先に帰ってきた。
「MORIS」に寄って、『暦レシピ』にサイン。
今日子ちゃんもひろみさんも、とても元気だった。
今夜は、中野さんが片付けで遅くなるので、ハンバーグだけ作り、あるものを詰めてお弁当にした。
夜ごはんは、ハンバーグ弁当(ポテトサラダ、ソーセージ、ピーマンのきんぴら、モロヘイヤのお浸し、えごまの醤油漬け)。
お風呂から上がって、久しぶりにアムとカトキチのインスタグラムを見たら、ふたりはイタリアの旅を終え、今はモロッコにいた。
びっくり!
ジョージアを発つところで、中野さんの展覧会がはじまり、それはもういろいろな人たちが家に来たから。
私もまた、旅をしていたみたい。
新月だった月が、ずいぶん丸くなってきているもの。

●2023年9月24日(日)晴れ

ゆうべの大風で、空気が入れ替わったみたいな朝。
今朝、はじめて海が光った。
秋がやってきたんだな。
きのうはおもしろい一日だった。
まず、北九州の「うらんたん文庫」の美由紀さんと学さんに会うために、文子さんとファビオと3人で、「ギャラリー島田」に行った。
お昼ごはんは5人で「いたぎ家」さんへ。
おまかせの10種盛りは何を食べてもおいしく、滋賀のお酒もいろいろ選べて、日本酒が大好きなふたりはとっても喜んでいた。
切り干し大根のにんにく炒めと、白いゴーヤーの甘酢を食べたファビオは、「ビューティフル」とつぶやいていた。
しょうが味噌ののったコンニャクの田楽も、南高梅のポテトサラダも、おいしかったなあ。
あと、赤毛瓜(モーウィ)をだしで煮含め、米粉で揚げたものが、びっくりのおいしさだった。
あまり時間はなかったのだけど、大皿のおつまみに箸を伸ばし、みんなが同じ料理を味わえたのも、とってもよかった。
1時間ほどゆっくりし、三宮駅までお見送り。
ふたりは京都に出かけていった。
そのあと、文子さん&ファビオとギャラリーに戻り、こんどは「のぞき箱をつくろう」のワークショップに参加していた、金ちゃん、鳴海さん、絵を見にきていた加藤さんと6人で、「FARMSTAND」でお買い物。
私は文子さんたちと先に家に戻り、そのあと4時過ぎくらいに、加藤さん、金ちゃん、鳴海さんがワインを持ってうちにやってきた。
とても強い風が吹いていて、海も空もまだ青かったので、せっかくだからと2階の寝室にそれぞれ椅子を運び、柿ピーやするめをつまみに飲んでいたら、そのうち中野さんが帰ってきた。
そして、夜景がぽつぽつ灯りはじめたころ、「なおみさ〜ん」と声がして、こんどは文子さんとファビオが日本酒を手にやってきた。
そのまま2階で、飲み会となった。
そのうちみんな床にぺたんと座り、車座になって。
ファビオと文子さんはベッドに腰掛けて。
総勢7人が、今いちばん話したいことを、話したい声と言葉でおしゃべりしていて。
そこにいるひとりひとりが際立ち、私はずっとにやにやしながらそこにいた。
大風が、カーテンや間仕切りの白い布を揺らし、空には白い半月が光っていて、きれいだったな。
加藤さん、金ちゃん、鳴海さんは、7年前に出会った私にとっても大切な友人たち。
彼らは、中野さんが学生のころからの古い友人で、そこにファビオと文子さんもいて、私もいて。
みんなが対等に、英語と日本語が飛び交いながら、当たり前のようにおしゃべりしているのがちっとも不思議じゃなかった。
夜ごはんは、いちじくと水菜のサラダ(鳴海さん&文子さん作)、秋野菜のオーブン焼き(文子さん作・バターナッツカボチャ、ビーツ、人参)、モロヘイヤのだし浸し(蒸し鶏の皮を刻み入れた)、ハムの盛り合わせ&ポテトサラダ(ディル)、カレー3種盛り(ひよこ豆のキーマカレー&レンズ豆のカレーは文子さん、チキンカレーは私作)。
11時にはお開きとなり、中野さんは泊まった。
今日は、東京から、アノニマの村上さんが展覧会を見にくる。
宮下さんも見にきてくださるとのこと。
そのあと、村上さんは3時くらいにうちにいらっしゃり、『帰ってきた 日々ごはん⑮』の打ち合わせ。
私は朝から、「きょうの料理」のエッセイの続きをしたり、料理の支度をしたり。
さて今日は、どんな日になるだろう。
千秋楽だから、ファビオは夕方から相撲観戦だろうか。
村上さんが文子さんたちにも会いたがっているから、もしかしたら打ち合わせが終わったら、ビールを持ってお部に訪ねにいこうかな。
夜ごはんは、村上さん、中野さんと3人で。
モロヘイヤのだし浸し、蒸し鶏のねぎ醤油かけ、ポテトサラダ(ゆで卵、きゅうり、ディル)、豚角と冬瓜の中華煮込みかけご飯(梅干し、オイスターソース、しょうゆ)、ビール。

●2023年9月22日(金)曇り時々晴れ、時々雨

4時に目が覚めてしまった。
ゆうべは8時にはベッドに入り、ある方の新刊のゲラをずっと読んでいた。
すごーくおもしろい。
おかげでいろいろな夢をみた。
帯の言葉が浮かんできたので、5時に起きてしまう。
パソコンに向かって、ああだこうだとやっていた。
このところずっと、誰かしらが家に泊まりにきていて、しばらく日記を書けなかった。
中野さんは、きのうひとまず家に帰り、きさらちゃんも大阪のイベントに出かけていった。
急に誰もいなくなって、なんだか私は体がふわふわ。
ひとりでいることの方が珍しく、誰かと一緒にいることが普通、という体になったみたい。
窓を開け、続きのゲラを読む。
もしかすると、できたかも?
締め切りはまだ先だから、寝かせておこう。
さあ今日は、「きょうの料理」のエッセイを書きはじめなくては。
展覧会は後半戦。
明日からまた中野さんが泊まりにくるし、お客さんもいらっしゃる。
それできのうは、なんとなく仕込みをしていた。
牛肉のしぐれ煮、蒸し鶏、即席塩鮭。
今日はチキンカレーを作っておこう。
明るくなったり、雲行きが怪しくなったかと思ったら、サワサワと雨が降り出したり。
夕方は、びっくりするほど肌寒い。
夜ごはんは、黒パンを焼いて卵ハムサンド(ルッコラ)、ミルクティー。
夜になって雨。
沁み入るような雨。

●2023年9月14日(木)曇りがちの晴れ

5時半過ぎに目覚めた。
空はうっすら茜色。
窓を開けて陽の出を待っていたら、ファビオが下の道をゆっくりと歩きはじめたところだった。
大きくない声で、「Good morning」と手を振り合う。
そのあと、ファビオが坂の上まで行き着いたちょうどころに、太陽が昇りはじめた。
ランニング、行ってらっしゃい。
私も、ひさしぶりに見た。
昇る位置が、ずいぶん海の方に移動してきていた。
6時の英語を聞いて、えいっ!と起きる。
きのう迷い込んできた蜂は、どこに行ったんだろう。
どこにもいない。
そう。
きのうは、台所で午前中にカポナータを作っていたら、蜂が迷い込んできた。
2階に入ってくることはよくあるけれど、1階で見るのは引っ越してきて2度目。
黒っぽい、はじめて見る蜂で、私が動くと向かってくる。 
先週の日曜日は、裏のどんぐりの木にかかっていた、ズメバチの巣を駆除したばかり。
そのあとも何日か、木があった辺りを小さい蜂が飛んでいたから、その蜂が入ってきたんだと思い、私は焦った。
どうしよう、どうしようとなって、姿勢を低くし、ひとまず2階に避難した。
蜂の種類を、iPhoneで調べてみた。
刺されたときの対処法も調べた。
もしかすると、黒っぽい服を着ていたせい?
すぐに白っぽいワンピースに着替え、白い帽子もかぶって階下に下りた。
大丈夫、向かってこない。
スズメバチはまっすぐに飛んでくるらしいけど、この蜂はふらふらと飛んでいる。
それで、落ち着いてよく観察したら、いつも2階に入ってくるアシナガバチだということが分かった。
アシナガバチはおとなしいから、こちらが何もしなければ向かってこない。
それできのうは、一日中アシナガバチと一緒にいた。
夜になったら見えなくなったので、蜂も眠るのかなあと思ったり。
もしかしたら、2階の窓から出ていったんだろうか(1階の窓はすべて網戸)と思ったり。
だといいんだけど、と思ったり。

今日は、展覧会の搬入を終えた中野さんが夕方から泊まりにきて、明日は飾りつけ。
私は明日、「きょうの料理」の撮影なので、ひとつ、ひとつ支度をしているところ。
今は12時。
朝早くから動き出すと、時間がゆっくりだな。
もう真夏とは違う種類の暑さ。
ツクツクボウシの声も聞こえないし、このごろは、チュルチュル鳴く小鳥の数が増えている気がする。
さて、そろそろバスに乗って、御影まで仕入れに出かけようかな。
明日は、北九州から朱実ちゃんと樹君が泊まりにやってくる。
「きょうの料理」の撮影が終わったら、ちよじも泊まるから、5人で合宿。
あさっては、いよいよ展覧会の初日。
しあさっては、鎌倉から小野さんと洋子さんがいらっしゃる。
中野さんの展覧会のおかげで、私の大切な友人たちがいっせいに神戸にやってきて、共に過ごすことができる。
文子さんとファビオも、朱実ちゃん&樹君が来るのをとても楽しみにしている。
だから今夜は、中野さんとふたりで、お祭りがはじまる前の静かな前夜祭。
夜ごはんは、ビール、柿ピー(ワサビ)、ハイボール(私)、お刺身どんぶり(本まぐろ、えび)、なめこ汁。 

●2023年9月11日(月)晴れのち

6時。
「中学生基礎英語1」をぶつぶつ復唱しながら聞いて、起きた。
ツクツクボウシが鳴いている。
朝、ヨーグルトだけ食べて、あちこち掃除していたら、「おはよう〜、なおみさーん」と声がして、文子さんが焼きたてのパンを持ってきてくださった。
ソーセージ入りのパリッとした細長いパン。
玄関の椅子に腰掛け、緑の山を眺めながら食べた。
すごーくおいしい!
こんなのが焼けるようになれたら、いいな。
ユウトク君、ソウリン君に作ってあげたいな。
いい朝のはじまり。
今日は、11時からお醤油についてのインタビューがある。
ひさしぶりのZoom。うまく接続できるだろうか。
インタビューは、1時間ほどでぶじに終わった。
朝は青空が見えていたので、布団を干したりしていたのだけど、だんだん雲行きが怪しくなってきた。
風は、ひんやりを通り越し、ちょっと寒いくらいなので靴下をはいた。
さあ、『帰ってきた 日々ごはん⑮』の初校の続き。
もう少しだから、やってしまおう。

塩豚でスープを煮込みながらやっていたのだけれど、今日は、空の色がいろいろに変わった。
そのたびに2階に駆け上り、布団を取り込んだり、洗濯物を窓から離したり。
5時ごろに初校が終わったので、荷物を作った。
今の空は、水色とグレーのだんだら。
山の入り口まで散歩。
サルスベリのピンクの花をひとつ拾い、ヤマブドウの緑の実が赤紫になりかかっている枝も、一枝いただいた。
母と桃ちゃんの祭壇に供えた。
夜ごはんは、ポテ(塩豚、玉ねぎ、キャベツ、大根、白菜、ソーセージ)。

●2023年9月9日(日)晴れのち雨

6時半に起きた。
ようやくいつもの調子が戻ってきたみたい。
おとついは、文子さんのところで夜ごはんをごちそうになり、ワインを3本開けてしまった。
あんなに呑んだのは久しぶり。
なんだかすごく楽しくて。
チキンコートレット、おいしかったなあ。
部屋に戻ってきた私は、歯も磨かずに、そのままリビングでコトンと寝てしまったのだった。
夜中に目が覚めてベッドに倒れ込み、またぐっすり。
おかげできのうは二日酔い。
それでもめげずに、「めぐみの郷」へドライブ。
文子さんと約束していたので。
秋の果物がたくさん出ているのが嬉しく、私はいちじく、二十世紀梨、りんごを買った。
名残の夏野菜は、茄子、ピーマン、きゅうり、ズッキーニ、トマト。
あとレモン、水菜、小松菜。
業務スーパーでもいろいろ買った。
文子さんとカートを押しながら、それぞれの買い物をするのがじんわり楽しくて、1時間以上もいた。
帰って、中野さんから届いた新作絵本『かしわばやしの夜』をベッドのなかで。
半分まで読んで、お昼寝。
どこまでも奥行きのある世界に、分け入っていくような感じになって、とてもいっぺんには見られなかった。
すごい絵(絵というか立体)だなあ。
いろいろな不思議さが、お話の不思議さに溶け込んでいる。
すごいなあ中野さんは。
今日は、「きょうの料理」の撮影のためのレシピ書き。
あとでコーヒーをいれて、『帰ってきた 日々ごはん⑮』の初校の続きをがんばろう。
ツクツクボウシもがんばって鳴いている。
けっきょく、校正の前にあちこち掃除機をかけ、雑巾がけした。
さっぱりしたところに、さわさわと音がしてお天気雨。
東の空に、薄いけれど大きな半円の虹が。
夜ごはんは、ツナチキントースト、豆苗のオイル蒸し、いちじく&カマンベールチーズ。
『まる子』を見ていたら、大雨が降ってきた。
風もあり、窓に打ちつける。
ひとしきり降って止んだ。
雨上がり、窓を開けると地面の濡れた匂いがする。
この匂い、何かに似ているなあと思ったら、ハヤトウリだ。

●2023年9月7日(木)ぼんやりした晴れ、のち雨

ゆうべは夜中に強い風が吹き、慌てて起きて窓を閉めてまわった。
ものすごくひんやりした風。
寒いくらいの風。
今朝も、クーラーをつけているみたいな風だ。
部屋じゅうの布が膨らんで、はためいている。
おとついの夜も、きのうの昼間も、あんなに蒸し暑かったのに。
あれ?
そういえば、ツクツクボウシの声が今朝は聞こえないなあ。
今朝も、朝いちばんにアムのインスタグラムを見た。
すっごくいい!
感動した。
ふたりは明日、ウシュグリ村を発つのだそう。
私はもっとその村にいたい気持ち。
それにしても、ふたり分のインスタグラムを、いちどに見てしまうのがもったい。
カトキチのは夕方に見ることにしよう。
仕事終わりのご褒美だ。
カトキチのは写真が多く、ストーリーズでは動画も見られる。
彼らの旅は、まだはじまったばかりなのだから、私もゆっくりした気持ちでついていこうと思う。
今日は、「気ぬけごはん」の仕上げ。
お昼ごろに、山の方からツクツクボウシの声がした。
1匹で鳴いているみたい。
そして夕方、ジューーッという大きな音がして、ヅクヅクヅクヅク……ツクツクボウシだ!網戸に止まって鳴いている。
声は大きいけれど、体が小さい。
「気ぬけごはん」を仕上げ、窓辺でお裁縫。
綿毛布のほつれたところの繕い。
洗濯もしておいたので、これは樹君に使ってもらおう。
来週は、中野さんの展覧会で、いろんなお客さんが来たり、泊まったりして賑やかになる予定。
なので、寝具の支度をゆっくりしながら、今のうちに宿題を進めている。
ひとつ、またひとつと終わっていく。
ひとりで過ごす時間。
落ち着いた心に包まれている。
夜ごはんは、ボルシチ(おとついの残り)、ツナチキントーストサンド(豆苗、コールスロー添え)。
ざざーーっと音がして、雨が降りはじめた。
地面の生臭い匂いが上ってくる。
ああ、いい匂い。
ひとしきり降っていちどやみ、夜景が灯りはじめたころにまた降りはじめた。

●2023年9月5日(火)晴れ

6時半に起きた。
ゆうべも少し蒸し暑く、なんとなく寝苦しかったので、ちょっと寝坊。
起きてしまえば、元気、元気。
きのうだったか、朝起きたときにクーラーみたいなひんやりした風が、海から山から吹いてきていたけれど、夏はそう簡単には終わらない。
ツクツクボウシもがんばっている。
朝から、映画のコメントの仕事。
ゆうべ考えながら寝ていて、いい言葉が上ってきたのでメモをしておいた。
それをもとに推敲。
「気ぬけごはん」も書きはじめた。
きのうのうちに買い物にいっておいたので、午後からは、「きょうの料理」のレシピ書きと試作。
暑いけれど煮込みものをしなくちゃ。
海が青いな。
文子さんとファビオをお呼びし、エビの試作をした。
Amazonで注文していた、ランブルスコも届いたし。
誰かに食べてもらえるって、それだけで料理の腕が上がる。
夜ごはんは、文子さん&ファビオと。
エビのタパス風、鶏レバーの醤油煮(文子さん作。部屋から持ってきてくださった。八角の代わりにターメリックとクミンが入っているんだそう。ねっとりとして、とてもおいしい)、パン、ランブルスコ、ビール。食後に黒豆の甘煮(文子さん作)。
煮込んでおいた私のボルシチは、お土産に。

●2023年9月3日(日)晴れ

ゆうべは少し蒸し暑く、夜中にクーラーを入れた。
なんだか変な夢をみて、寝苦しかった。
仕事仲間とどこかへ旅に出て、集合時間にいつも遅れてしまう夢。
はじめて出合うものごとにいちいち驚き、うっとりとして、まわりが見えなくなる。
気づくと誰もいなくなっていて、焦って駅まで走ると、みんながあきれた顔をして待っている。
そんな夢。
毎朝、アムとカトキチの旅のインスタグラムを楽しみに見ているから、そんな夢をみたんだろうか。
めげずに今日も見る。
だって、ものすごく楽しいし、うらやましくてたまらないから。
彼らは今、ジョージアのウシュグリ村というところにいる。
石積みの古い塔や、石積みの家々、小さな教会、遠くにはコーカサスの山々が見える。
食べてみたい料理がいっぱい。
ツナとチキンと玉ねぎのサラダや、ハチャプリ(チーズが焼き込まれたパン)、ハチャプリと同じ生地にひき肉が包んであるパン、ヌードルスープ(トマトや香草が入っているみたい)、何かのペーストがこってりと塗られた田舎っぽい厚切りパン、きゅうりとトマトを切って並べただけのサラダ。
そして、ペットボトルのホームメイドワイン!
いいなあ、うらやましいなあ。
今日は、暑さがぶり返したみたいな日。
きのうのうちに、いいところまで書いた「毎日のことこと」の仕上げをした。
できたかも。
ツクツクボウシの声が聞こえる。
がんばれ、がんばれ。
まだまだ暑いなあ。
お昼ごはんの前に、冷たい水であちこち雑巾がけをして、さっぱり。
今日から、『帰ってきた 日々ごはん⑭』の初校に向かおうと思う。
コーヒーをいれて、ぎゅっと集中。1ヶ月分ができた。
今は5時。
海がまっ青。
夜ごはんは「きょうの料理」の試作。
ゆで餃子鍋(白菜、えのき)、ねぎ醤油、ポン酢おろし醤油の予定。
暑いから冷まして、『まる子』を見ながら食べようと思う。

●2023年8月31日(木)曇の多い晴れ

ゆうべは蒸し暑く、クーラーをつけたり消したりして、よく眠れなかった。
今日は、子どもたち最後の夏休み。
朝いちばんで、アムとカトキチの旅のインスタグラム。
午前中は、事務関係のメールをあちこちにせっせとお送りし、午後からは「毎日のことこと」を書きはじめた。
まっ昼間、あんなに賑やかだったミンミンゼミ、クマゼミ、アブラゼミの声は、まったく聞こえなくなった。
ツクツクボウシの声も小さくなり、ときおり途切れて静かになるときがある。
風も止まり、蒸し暑く、ただただぽっかりと明るい夏の昼下がり。
今年の夏は、いろいろなことがあったなあ。
ノブさんが、冷やしきつねうどんセットを送ってくださった。
文子さんとファビオの分もある。
わーい!
ありがたいなあ。
しばらく部屋にこもって書き物をするつもりなので、とても嬉しい。
冷凍庫を整理し、すっきりと収まった。
さあ、続きの原稿を書こう。
今夜は、月がいちばん地球に近づく満月だそう。
だから、いつもより大きく見えるのだそう。
近ごろ暦のことを勉強しているリーダーが、メールで教えてくれた。
楽しみだな。
夜ごはんは窓辺で。蒸し鶏&トマト&青じそ(ごまダレ+ワサビ+山椒の塩漬け)、ビール(氷入り)、素麺。

●2023年8月29日(火)晴れ

5時に起きた。
ゆうべは涼しくて、クーラーを消して寝た。
夜中に窓を開けたので、今朝は陽の出前の空を見ることができた。
茜色の雲。
なんとなく寝ていられずに、起きてしまう。
アムとカトキチが旅に出た。
ふたりは今ジョージアにいて、それぞれのインスタグラムで旅の写真を上げていると、朝メールが届いた。
すぐにパソコンで開く。
ああ、いいなあ。
パン屋さんに1種類しかない塩味のパン、食べてみたいなあ。
ちょっと、トルコのクイマルピデに似ている。
パン屋さんの造りも、パンを受け取るための小窓も似ている。
「クウクウ」のころに本で見て、ずっと憧れていたパン。
「となりのオハコ」のレイアウト案の確認をしていたら、「こんにちはー」と声がして、文子さんが来た。
ヒロミさんから預かっていたワンピースを受け取りに。
そしてまたすぐに、文子さんがそのワンピースを着て、見せにきてくださった。
ワンピース、すごく似合う!
私はとても嬉しく、すぐにヒロミさんに電話。
お昼を食べて2時からは、アノニマの村上さんと電話で打ち合わせ。
餃子の皮を練り、アンを作って、4時からは「きょうの料理」の千葉さんと打ち合わせ。
片栗粉を切らしていることに気づき、メールをしたら、文子さんが持ってきてくださることになった。
赤ワインのジンジャーエール&炭酸割りを飲みながら、ふたりで餃子の皮を伸ばした。
生地とアンは半分ずつ。自分の分は自分で伸ばし、包むようにした。
包んだ餃子を冷蔵庫にしまい、窓辺でビール。
夏の終わりの空に乾杯!
餃子の半分は、ファビオと食べるよう、文子さんに持って帰ってもらった。
そういえば、朝と午後の2回、中野さんに電話をかけたり、かかってきたり。
なんだか今日は、コミュニケーションの日だったな。
去年の今ごろは私、こんなに賑やかで楽しい日がくるなんて、夢にも思っていなかった。
どこにも出かけずに、家にいるだけなのに。
夜ごはんは、ゆで餃子(豚ひき肉、椎茸、ニラ)、ねぎ醤油、黒酢しょうゆ(ラー油)、トマトダレ(トマト、オリーブオイル、塩)。
窓の外には、あと何日かで満月の大きな月。
中野さんの満月の絵に、映り込んでいた。

●2023年8月28日(月)晴れ

6時に起きた。
ツクツクボウシの声も、日に日に小さくなってきている。
11時に家を出、川沿いをてくてく歩いて税務署へ。
このところの暑さが弱まったので、日傘を差して。
川の水は澄んでいて、たぷたぷと流れる。
うっすらと水をかぶっている飛び石を、ひとつ、またひとつ超え、向こう岸に渡った。
手を浸すとひんやり。
ああ、いい気持ち。
しばらく来るのを忘れていたけれど、やっぱりここはいいところだなあ。
税務署では名義変更の手続き。
川の道にまた下り、ちょっと歩いてホームセンター「コーナン」へ。
ほしかった物がぜんぶ買えた。
六甲道まで歩き、銀行の本店へ。
混み合っていたので手続きはせず、駅前からバスに乗った。
けっきょく、六甲の銀行で名義変更をした。
すべての用事を終え、「MORIS」に行ったら、今日子ちゃんがアイスクリーム(お手製のあずきのせ)を出してくれた!
買い物の荷物、ヒロミさんから預かった文子さんのワンピースを抱え、タクシーで帰り着いたのは夕方の6時。
なんだか遠足みたいだった。
夜ごはんは、鶏胸肉の細切りとピーマンのこしょう炒め、切り干し大根とかき卵の味噌汁(きのうの残り)、ハラペーニョの味噌漬け、ご飯。

●2023年8月27日(日)晴れ

木曜日から中野さんがいらしていて、さっき帰られたところ。
青い空に雲がもくもく。
陽射しは強いけれど、風がひんやり。
ツクツクボウシの声が、弱っちい。
もう、夏も終わりの空だ。
ゆうべは、文子さん、ファビオと4人でアペリティーボ。
私は、アマゾンで注文しておいた辛口のランブルスコと、ナンコツの唐揚げを作って持っていった。
青い空にまっ白な夏雲。
部屋の中まで空が入ってきているようだった。
そのうち大阪の方から厚い雲がやってきて、雷鳴が轟き、あれよあれよという間に大雨となった。
まっ白な窓に、稲妻が銀色の龍のように光る。
森羅万象がうごめいているような感じ。
そんな大パノラマを眺めながら、おしゃべりにも花が咲き、大きなグラスでビールをぐんぐん。
文子さんは丸徳寿司の巻き寿司と、お手製のきゅうりのキューちゃん&新しょうがの甘酢漬け&摘果メロンのぬか漬けを出してくださった。
中野さんは、自作の紙芝居『あなのはなし』を英語で披露した。
なんだか、9月からはじまる、中野さんの展覧会の前夜祭みたいな夜だった。
おとついは中野さんと、塚口の古い映画館に『君たちはどう生きるか』を見にいった。
ものすごくよかった!!
川原さんも帰京し、中野さんもいなくなり、今日からまた私の日常がはじまる。
夏休みももうお終い。
夜ごはんはあっさりと。ビー茄子のくたくた炒め煮、切り干し大根のお味噌汁(かき卵)、練り梅、ご飯、焼き海苔。

●2023年8月22日(火)晴れ

川原さんが帰ったのは20日。
夕方、諏訪の友だちチームと一緒に、車でうちに寄ってくれた。
総勢5人(川原さんを入れて)。
みんな、さまざまな表し方で、部屋のいろいろなところを褒めてくださった。
それが清々しく、とっても嬉しかった。
早朝に車で諏訪を出、お昼に神戸に着いた彼ら。
旅はまだまだ続き、これから舞鶴まで走るという。
少しでもスッキリしていただきたくて、シャワーをすすめた。
夜景を眺めながら、窓辺で茄子のキーマカレー。
みんな、お昼にもカレーを食べたらしいのに、雑穀ご飯の大鉢も、カレーの鍋もすっからかん。
すっきりとたいらげてくださった。
「おいしい、おいしい」と言って。
束の間の時間だったけれど、楽しかったなあ。
いつか川原さんと一緒に、みんなのところを訪ねてみたい。

今朝は6時に起き、朝ごはんの前の涼しい時間に仕事をしてみた。
「となりのオハコ」の続き。
とってもいい。
集中できる。
もうじき11時。
そろそろお昼の支度。
午後からはクーラーを入れた2階でやろう。
きのうは、ベッドを背もたれにして書いていたのだけれど、文机が低すぎて、どうも具合が悪かった。
それで今朝ひらめいた。祖父が作った、ライティングデスクがあるではないか!
ふだんは鏡台にしているのだけど、扉を開けると小さなテーブルになる。
書き物をはじめると、ついつい夢中になって暑さを忘れてしまう私。
この間微熱が出たのは、熱中症の手前だったんだと思う。
それを教えてくれたのは、数日の間共同生活をしていた川原さん。
「高山さん、気をつけた方がいいよ」と、怒ったみたいに真剣な顔で言ってくれた。
ヒロミさんは、いざというときのために、経口補水液を1本分けてくださった。
ありがたいなあ。
離婚届けや台風のいろいろで、原稿がずいぶん遅れてしまっているので、がんばらなければ。
お昼ごはんは、焼きそばの残りでそばめしに。
『らんまん』を見ながら食べる予定。
夕方、亜由美さんから電話があり、出はじめたばかりのいちじくを持ってきてくださるとのこと。
そのあと、「MORIS」までドライブ。
亜由美さんも一緒に、今日子ちゃんがこしらえた桃のショートケーキをごちそうになった。
マンションの前まで送っていただき、いちじくのおすそわけを文子さんのお部屋に持っていったら、でっかい夕空。
ハイボールをいただきながら、2種類のいちじくの食べ比べ。
サラミソーセージ、チーズ、クラッカーを出してくださった。
ふつうの品種もフレッシュでたまらなくおいしいのに、バローネという品種はさらに、ピンクの花の部分が大きく、濃厚な甘みだった。
ケーキといちじくで大満足なので、夜ごはんはなし。

●2023年8月19日(土)晴れ

ゆうべは窓を開けて寝た。 
夏とはもうあきらかに違う、秋の空気。
おかげで5時に目が覚めた。
夜が入れ替わる、靄にかすんだ新しい朝の匂い。
曙の空は、薔薇色だった。
「トゥ タ タ トゥ トルル トゥ タ タ トゥ トルル」
また、きのうの小鳥の声がする。
向かいの建物の角にとまっているみたい。
双眼鏡で覗くと、ころんとした丸い背中。
鳴いてる、鳴いてる。
横向きになったとき、流れるようなカーブのほっそりとした姿だった。
何の鳥だろう。
そのあと、明るくなっていく空をベッドに寝そべって仰いだ。
上の雲はとどまったまま、下の雲が流れていく。
なんだか空が近い。
飛行機の窓から見ているみたいな雲だ。
朝ごはんを食べ終わるころ、ぐんぐん晴れてきた。
今日は洗濯日和。
シーツやタオルケットを洗って干した。
さ、「となりのオハコ」の続きを書こう。
3時ごろ、風が止まって頭がぼんやり。
しばし、おやつ休憩。
夕方、玉ねぎを持ってきてくれた文子さんと、ハイボール(ジンジャーエール割り)を飲みながらおしゃべり。
帰られてから、玉ねぎを炒めてマサラを作った。
明日の夕方、もしかすると諏訪から展覧会を見にきた友だちを、川原さんが連れてきてくれるかもしれないので、カレーを作ろうと思って。
夜ごはんは、スパイシーチキンのサンドイッチ(グリーンソース、きゅうり、ハラペーニョの塩漬け)、アイスミルクティー。

●2023年8月18日(金)曇りがちの晴れ

きのうは、散歩がてら川原さんをバス停までお見送り。
わりと涼しい気がしていたのだけど、帰りの坂道がけっこうきつく、汗をいっぱいかいて帰り着いた。
お風呂から上がったら、なんだかくったり。
パソコンに向かっても、ちっとも仕事にならない。
そのうち微熱が出てきた。
7度2分。
お昼寝しているうちに、6度台になったけれど。
きっと、暑気に当たったんだと思う。
おとついの区役所までの道のりも、そうとう暑かったし。
文子さんとファビオが「MORIS」の展示を見にいくそうなので、「帰りに、スイカとアイスクリームを買ってきてください」とお願いした。
そうしたら、文子さんは梨も買ってきてくださった。
シャクシャクとみずみずしい豊水。
今年初の梨だ。
風邪をひいたときやくたびれたとき、梨はとってもいいんだそう。
体を冷やしてくれる気もした。
ぐっすり眠って、今朝は元気。
朝のヨーグルトは、半分とっておいた梨で。
さあ、今日から「となりのオハコ」を書きはじめよう。
ここ2、3日、聞いたことのない小鳥の声がする。
書き物を休憩し、ベッドの上で洗濯物をたたんでいたら、また聞こえてきた。 「テュラル ティー テュラル ティー チュルチュル」みたいなさえずり。
窓から顔を出し、木のところばかり探していたのだけど、視線の上の電線からパッと飛び立った。
思ったよりも大きな鳥。
ヒヨドリよりは小さいけれど。
「おまんは誰じゃ?」
また、戻ってきたら、双眼鏡で覗いてみよう。
夜ごはんは、素麺(みょうが、ねぎ、青じそ)、ゆでオクラ(ゆうべの残り)、ピーマンの網焼き。
もうじき7時。
ツクツクボウシの大合唱。
夕焼けが海に映って、茜色に染まっている。
そして、幕が下りたようにすとんと暗くなった。
ツクツクボウシはやみ、鈴虫の声。

●2023年8月16日(水)曇りのち晴れ


今朝は、きのうの台風で空気が入れ替わったように、ひんやりと涼しかった。
曇っていた空に、青空がじわじわと増え、今はよく晴れている。
さっき、お昼ごはんに、川原さんとノブさんのざるうどんをいただいた。
つるつるしこしこ。
つけ汁もおだしが効いていて、たまらなくおいしかった。
台風一過の今日、これから区役所に離婚届けを出しにいく。
その前に「MORIS」に寄って、ヒロミさんに証人の署名をしていただく。
川原さんも一緒に坂を下りる。
さあ、そろそろ出かけよう。

区役所での用事は5時までかかり、川原さんの待つ「MORIS」へ。
抹茶アイスをごちそうになりながら、今日子ちゃんのおもしろ話を聞いた。
そして、「そうや、記念写真を撮りましょう」と言って、帰り際に「MORIS」の前で、ヒロミさんと川原さんに挟まれた写真を撮ってくれた。
タクシーで7時くらいに帰ってきた。
部屋に入って、書類を片づけているとき、大きな汽笛が鳴った。
なんだか、新しい世界に迎え入れてもらえたみたいな感じがした。
私は本名も高山なおみ、本籍は神戸になった。
夜ごはんは、窓辺で川原さんと。
スイカの皮の塩もみサラダ(オリーブオイル、結晶塩、黒こしょう)、チーズ(川原さんの富良野のお土産)、北欧風じゃがいものお焼き、スパイスチキンのじりじり焼き、赤ワインの炭酸割り。
昔のこと、今のこと、これから先のこと。
おしゃべりはあちこちに飛びまわり、大笑いしたり、じんわりしたり。
対岸で、小さな花火が揚がっているのが見えた。
赤やクリーム色の丸い花火。
音のない花火。

●2023年8月15日(火)台風

雨風が強くなってきた。
窓の向こうはまっ白。
海も空も何も見えない。
窓が水族館みたいになっている。
さっき、窓際の雨漏りがはじまり、ボロ布を敷いてボウルをふたつ並べた。
ポツン、ポツンと音がする。
スイセイからの返信が、きのうようやく届いた。
祝日やお盆が重なって郵便が遅れ、さらにこの台風。
今日は朝からその書類を開いて、向き合っている。
私たちの離婚届け。
本当は今日、区役所に出向こうとしていたのだけれど、暴風雨でとても外に出られない。
「終戦記念日」にしようと決めたのは、スイセイ。
先週の月曜日に、「ほいじゃあこれから近所の温泉に行きがてら、ポストに投函するから、よろしく頼みます」という電話をくれた。
「本当ならオレも揃って役所に行って、届けを出さんにゃならんのんじゃけど。遠いんで、勘弁してもらって。15日はオレもこっちで感じながら、一日をすごそうと思います」
証人の欄に、川原さんが署名をしてくれた。
厳かなその時間。
だから、やっぱり、今日が記念日という気がする。
台風だし。
なんだかスイセイと私の記念日には、相応しい気もする。
出会って、27年をともに過ごし、離れた。
その間のいろいろは、忘れてしまったことも、覚えていることも私の体に刻まれ、今がある。
HPのこの日記は、これからもボイラー室のスイセイが更新してくれるし、『帰ってきた 日々ごはん』を通じての仕事も、これまで通り。
メールを送っても、めったに返事はこないけれど、年に一度か二度、長電話をするような関係。
正式に別れても、このような関係でいられそうだとお互いに思えるようになったこと。
スイセイは持病を抱えているので、手助けが必要だったら、またりうと相談しながらやっていこうと思う。
「日々ごはん」の読者の方々には、長い間ご心配をおかけしましたが、ようやく発表できるようになりました。
離れることになったわけを、ひとつひとつ振り返るには、8年の時間が必要でしたが、私は今とても嬉しく、晴れ晴れしく思っています。
スイセイと私をいちばんよく知っている、長年の友人川原さんに立ち会ってもらえたことも、本当にありがたい。

今日は5時半から、川原さんと一緒に文子さんとファビオの部屋へおよばれに行く。
門出のお祝いをしてくださるんだそう。
私のリクエストで、文子さんはパンを焼いてくれている。
楽しみだなあ。 夜ごはんは、生ハムの盛り合わせ、サラダ2種盛り(キャロットラペ、摘果メロンの塩もみ、ルッコラ添え)、エビとタコのマリネ(セロリ、ケッパー、レモン、イタリアンパセリ)、ペペロナータ(赤黄の焼きピーマンのマリネ、イタリアのアンチョビーのせ)、水牛のモッツァレラチーズ、パン・コン・トマト(文子さんが焼いたサワドゥーのカンパーニュで)、ニョッコ・フリット(ひし形の小さな揚げパン・尖ったところに生ハムをぐるぐる巻いて食べた)、ティジェッレ(専用の焼き器で手焼きした、イングリッシュマフィンを小さくしたようなカリッとしたパン・焼きたてを半分に割って間にモッツァレラを塗り、生ハムの脂身の多いところとルッコラを挟んで食べた)、とうもろこしとじゃがいもの冷たいスープ。スプモーニ(カンパリ、グレープフルーツジュース、炭酸)、スプマンテ(フェラーリの)、薄いハイボール。
何もかもがたまらなくおいしく、私は目を丸くしながら食べた。
味わうのに夢中で、写真を撮るのがせいいっぱい。メモをとるのを、すっかり忘れてしまった。
嵐の夜の白い窓辺に並んだ、いくつものガラスの器。
そこに落ちる、雨漏りの滴の音を聞きながら。
文子さんの心づくしの手料理と、おいしいお酒。
ありがとう、文子さんとファビオ。
おかげで忘れられない夜になりました。

●2023年8月13日(日)晴れ

ゆうべは風が涼しかったので、窓を開けて寝た。
クーラーをつけないとぐっすり眠れるし、薄明かりが差してきたころに陽の出とともに目が覚め、うとうとできるのもよかった。
今は7時半。
セミ時雨がシャワーのよう。
ワンワンシャンシャン、気持ちいいほどリズミカルに鳴いている。
さっき、廊下に出て歯磨きをしているとき、青いどんぐりが実っているのをみつけた。
ひとつ、ふたつ、みっつ……。
今年はどんぐりの青い帽子がならないなあと思っていたのだけど、いつもの年よりぐっと少ないだけで、ちゃんと秋の支度をしているんだな。
さあ、そろそろ仕事をはじめよう。
きのうから書きはじめた「毎日のことこと」の続き。
お昼ごはんを食べながら、「のど自慢」を見ていたら、文子さんが「こんにちはー」とやってきて、小型食パンといちじくの手作りジャムをくださった。
さっき、おいしいパン屋さんに行ったら食パンがあったので、私の分も買ってきてくださったそう。
うれしい! グリーンソースを塗った、きゅうりのサンドイッチが作れる。
さっき、玄関に出たとき、通路にペッチン虫がいた。
近寄ると、ペッチンとひっくり返り、そのまま死んだふりをする。
そんなところにいて、誰かに踏まれないといいのだけれど。
2時ごろ、あまりに蒸し暑く、ぼおっとしてきた。
2階にクーラーを入れ、文机とパソコンを持ち込んで続きをやった。
窓からは、青い空。もくもくと入道雲。
もうじき4時。書けたかも。
4時半ごろ、和歌山の方から灰色の靄のようなのがこちらに向かってきている。
雨がこちらに迫ってくる?
雷も鳴っている。
東の空には虹。
そのあと靄は、三宮の方に流れていった。
ヒグラシ、ヒグラシ、今日も一日が終わる。
夜ごはんは、トマト焼き(鉢植えのバジルを加えた)&小型食パン。
川原さんは今夜からうちに来て、泊まることになった。
「MORIS」でごはんをよばれてから来るので、8時くらいになるそう。

●2023年8月9日(水)曇りがちの晴れ

きのうの夕方に、中野さん宅から帰ってきた。
4泊5日の夏の旅。
このたびも、いろいろな楽しいこと、おもしろいことがあった。
なんだか深かった。
「かもめ食堂」さんのところでも、背中が焼けつくくらいのものすごい暑さだったけれど、中野さんちも同じ種類の暑さで驚いた。
毎朝、5時半くらいにセミの声で目覚め、6時には起きて、中野さんがいれてくれるエスプレッソを飲んで。
顔を洗って身支度し、台所に行くとお姉さんが朝ごはんの支度をしていた。
お母さんは、夏の家族の大量の洗濯。
中野さんは9月の展覧会の支度で忙しいので、私はほとんど子どもたちの予定に合わせ、一緒に動いていた。
それが、たまらなく楽しかった。
朝からソウリン君のサッカー教室を見にいったり、午後には中野さんの車に乗って、お姉さん&子どもたちと温泉に行ったり。
平日の午前中は、カーテン屋さんの仕事場で宿題。
お父さん、お母さん、お姉さんが働いているすぐそばで、子どもたちと夏休みの宿題をやった。
ユウトク君は去年まで、漢字の宿題をしていてもすぐに気が散り、別のことをはじめたりしていたのに、ほとんどの漢字をスラスラ書けるようになっていた。
ソウリン君はまだ2年生なのに、かけ算をひとりでぐんぐん解いていく。
すごいなあ。
2日目だったかな、夜ごはんを食べたあと、夕涼みの散歩をしたときのこと。
中野さんがゲタをはいて歩いていたら、ユウトク君が「あんまり好きやない」と言った。
「えー、どういうところが?」と私が聞くと、「うーん」と考えてから、「耳の中で鳴っているみたいな音がするところが」と言っていたのが可笑しかった。
きのうは、タクシーを下りたとき、アパートの窓からファビオが手を降って迎えてくれた。
ちっとも大げさな感じでなく、やわらかい笑顔。
出かける前に会ったよりも、少し陽焼けして見えた。
部屋に帰ってきて、ひと息ついて、植木鉢を受け取りにいった。
お土産を持って。
ふたりは私が戻ってくるまで、アペリティーボを我慢してくれていたのだそう。
「おかえりなさい」は、英語で「welcome back」。
ハイボールを飲みながら、旅の報告。
そして、文子さんとファビオも、その間の出来ごとについて報告。
私は陽焼けして、少しくたびれていたのに、ふたりに会ったらぐんぐん楽しくなっていった。
中野家でもさんざん楽しい時間を過ごしたのに、帰ってきたらまた、自分の居場所に親しい友人がいるというのは、なんて幸せなことだろう。
これまではずっと、誰もいない家に帰ってくるのが当たり前だったから。
そうして今日は、川原さんが東京からやってくる。
10日から20日まで、「MORIS」で展覧会を開くので。
今ごろきっと、飾りつけをしているころだと思うので、もうちょっとしたら覗きにいこう。
出かける前に、汗びっしょりになって床の掃除をした。
「ウタマロ」をシュッシュッとやって、ブラシでこすり、雑巾で拭き取る。
それだけでずいぶんきれいになる。
裸足で歩くと、キュッキュッとして、とても気持ちがいい。
では、そろそろ行ってきます。
夜ごはんは、カップヌードル、丸ごとピーマンの甘辛煮、卵豆腐(スダチ、ワサビ)。

●2023年8月3日(木)曇りのち晴れ

ゆうべはクーラーをつけたり消したり。
眠れたんだか、そうでもないんだか。
7時少し前に目が覚め、しばらくぼんやりしていたのだけど、ゴミの日だ!と思い出し、慌てて起きた。
階段のところで、ランニングから帰ってきたファビオに会えた。
曇っていたけれど、洗濯物を干すころには晴れ渡り、セミたちの大合唱。
朝のこのくらいの時間がいちばん賑やかなのは、羽化したてのセミや、夜休んでいて一日のはじまりを待ち焦がれていたセミたちが、短い生を精いっぱい謳歌しているのかもしれない。
セミの鳴き声は、求愛の声なのだそう。
そうか、朝っぱらから愛の歌を歌っているのか。
今日は、「となりのオハコ」の校正をしたら、もう仕事はお終い。
明日は、西脇の「かもめ食堂」さんのところに取材に出かけるので、その支度をしなければ。
取材が終わったら、加古川線に乗って、中野さん宅に泊まりにいく予定。
2回目の夏休みだ。
3時ごろ、文子さんとファビオが来てくれた。
今回も留守の間、植木を預かってくださる。
ありがたいなあ。
3人で植木鉢を持って6階へ。
ふたりの部屋は、光でいっぱいだった。
大きな窓の外には、ひろびろとした、大きな大きな青い海!
夏になってから、この時間におじゃましたのははじめて。
ホテルの最上階の、いちばんいい部屋からの眺めみたい。
人の部屋なのに、うっとりとしてしまう。
海からの風の爽やかなこと。
戻ってきて、窓辺でお裁縫。
今は、ウズベキスタンで買ったワンピースの、薄くなってしまった肩のところに当て布をし、刺繍でぐるぐる繕っている。
夜ごはんは、ノブさんのざるうどん&つけつゆ(ねぎ、青じそ、スダチ)、スイカの皮の塩もみ。

●2023年8月1日(火)快晴

朝、カーテンを開けたら、ラジオ体操の匂いがした。
新鮮な朝の、夏の空気の匂い。
あー、とてもいい匂い。
ゆうべは小雨が降っていて、地面から生臭い(有機的という意味)匂いが上ってきていた。
夜の間に、緑も地面も水分をたっぷり吸い込んでいたんだな。
今日は、朝から海がまっ青。
洗濯物を干すころには、セミの大合唱。
というか鳥も、ほかの虫たちも、ありとあらゆる生き物たちが合唱しているみたい。
耳が痛いほど。
きのうもおとついもそうだったけど、一日に1回か2回、網戸にセミが張りついて、大声で鳴く。
そのたびに私はそうっと近づき、セミのお腹をじっと見る。
お腹の向こうに、青い空と海がある。
さ、今日は「あ」の絵本をやろう。
朝、直したいところが浮かんできたので。
海からの風がひんやりとして、いつもより涼しい。
きのう雨が降ったからだろうか。
「あ」の絵本をやりはじめるも、いちばん書きたいと思っているところでつまづいてしまう。
言葉がまだ出たがっていないんだ。
もう少し寝かせておこう。
それで、7月分の現金出納帳をつけ、パソコンにも打ち込んだ。
レシートもすべて整理。
新しい月のはじまりに、何もレシートがないって気持ちいい。
じゃがいもを蒸しながら、窓辺でちくちく。
猫森の緑が揺れ、葉っぱが翻る。
セミの声は朝よりも鎮まってきた。
蒸し立てのじゃがいもに、お塩だけつけて味見した。
うーん、ねっとり、ほくほく。
このじゃがいもは、「めぐみの郷」で買った、シンシアという品種。
メイクインを太らせたような形で、中が黄色っぽい。
熱いうちにつぶし、クリームチーズとディルを刻んで混ぜ、丸くまとめた。
夜ごはんは、北欧風じゃがいものお焼き、長なすのとろとろフライ、塩もみキャベツのサラダ。
7時半。
大きな大きな満月。
本当にお盆みたい。
海がオレンジ色に光っている。

●2023年7月28日(金)快晴

今朝もセミの声で目が覚めた。
ゆうべはそれほど暑くなく、クーラーを消して寝たから、ぐっすり眠れた。
いつものようにラジオを聞いて、7時前にエイッ!と起きた。
朝早くから、セミがぐわしぐわし。
ゆうべは、片山令子さんの『夏のかんむり』の詩をふたつ読んで寝た。
この季節になると、読みたくなる。
毎年読んでいるのに、いつも違って、はじめて読んだような気持ちになる。
どうしてなんだろう。
植物も昆虫も鶏も、みないきいきと漲る、夏のこの空気。
毎年同じようでいて、やっぱりはじめてのような感じがする。
朝ごはんを食べ、1階を雑巾がけ。
2階の床は、熱くなっていて、とても拭けないので。
汗だらだらとなり、水をぐんぐん飲む。
ちよじから電話。
「東京は暑そうだねえ、大丈夫?」と聞くと、「うん。でも私、暑いのが好きだから。汗をいっぱいかいているうちに、だんだん気持ちよくなってくるの」。
言われて気がついた。
私もそうかも。
1階はクーラーがないので、きのうも保冷剤を包んだ手拭を首に巻いて、仕事をしていた。
喉がかわくので、びっくりするほどお茶や水を飲む。
着ていた服やタオルは、毎朝洗濯し、午後にはパリッと乾く。
その爽快さ。
汗をいっぱいかいて仕事して、夕方になると、お風呂!
そして、茜色に染まる入道雲を見ながら夕涼み。
夏は、空までいきいきしている。
やっぱり好きだなあ。
さあ、そろそろ坂を下りよう。
銀行に行かなくちゃ。
今日は3時から亜由美さんがいらっしゃる。
軽く打ち合わせをして、4時からは文子さんとファビオの部屋へ。
ふたりの窓からの夏の夕暮れ、どんなだろう。
夜ごはんは、文子さんとファビオと3人で。
米粉の焼き餃子(相撲観戦の日に食べられなかったので)、ゆでツルムラサキ(細かく切って、ごま油、塩)、フォカッチャ(文子さん作)、チーズ(パルミジャーノ、ミモレット)、赤ワイン。

●2023年7月26日(水)晴れ一時曇り

カーテンの隙間が薄明るくなるころから、ヒグラシが鳴いていた。
6時に起きて、英語のラジオ。
終わるころにはもうすっかり明るく、セミたちも大合唱。
ミンミンジリジリワンワンジャージャー。
今年もまた六甲に、本格的な夏がやってきた!
うちは山に近いからか、街よりも涼しくて助かる。
ふだん、扇風機はふたつとも山側に置いて、仕事机に向けていたのだけれど、今朝はひとつを窓の近くに置いてみた。
ときどき、海からひんやりした風が届く。
いい感じ。
さあ、10時。
そろそろ仕事にとりかかろう。
『帰ってきた 日々ごはん⑮』の粗校正の続き。
今日は海が白いな。
3時までがんばり、やめにする。
目が疲れたし、あと半月を残すばかりとなったので。
セミがわんわん。
夕立がきそうだったけれど、ポストまで散歩。
遠くの海を眺めながら坂を下りると、目の痛みがやわらぐのが分かる。
行きは無風で、帰りは山からの涼しい風。
それでも汗びっしょりで帰り着き、お風呂!
風呂上がりにハイボール。
対岸の街が白く光り、山の稜線まで見える。
海が青くなってきた。
大阪の街の方は、紫色の雲に覆われている。
雨が降っているんだろうか。
夜ごはんは、窓辺で。生春巻き(きのう作ったガパオの残り、きゅうりのせん切り、えごまの葉、スイートチリソース)、きゅうりのせん切り(生春巻きの巻き残し)、人参の塩もみとピンクグレープフルーツのサラダ、雑穀ゆかりおにぎり。
2階の窓から夕涼み。
夏の空は、なかなか暮れない。
大きな入道雲が茜色に染まり、白く光る半月のまわりを、ツバメが飛び交っている。
20羽くらいいるかも?!
そして、ヒグラシの合唱。
夏は早めにお風呂に入るのがいいなあ。

●2023年7月23日(日)

朝からセミの大合唱。
ジリジリジリジリ、油を炒める音のアブラゼミ。
ワシワシワシワシ、クマゼミ。
ミンミンミンミン、ミンミンゼミ。
きのうは、久しぶりに「ファーマーズマーケット」に出かけた。
坂を下りきり、コンビニの前で12時の教会の鐘が鳴った。
家々の隙間から見える海を眺めながら、冷房のきいたバスにのんびり乗った。
暑いなか、日傘を差してようやく会場に着いたのだけど、もうみんな片づけはじめていた。
1時半までかと思っていたのだけど、サマータイムは12時半までとのこと。 
それでもちょっとだけ野菜を買えた。
間引きメロン、えごまの葉、韓国の青唐辛子。あと、きなこクッキー。
去年、畑を訪ねた農家さんにも会えたし、亜由美さんとヒロさんにも会えた。
ハーブの花束や、食用ホウズキをいただいたり、福耳(耳の形の青唐辛子)をいただいたり。
そのあと、三宮のスパイス屋さんをはしごした。
三宮の街は人がとても多く、うちの方に比べてものすごく暑かったけれど、ザ・夏!という感じだった。
そして、夕方には文子さんとビールを呑みながら相撲観戦。

今日は千秋楽。
文子さんによると豊昇龍は今日、大関をかけた初優勝になるかもしれないとのこと。
なので、ファビオも一緒にごはんを食べながら、うちでテレビを見ようということになった。
そしてなんと相撲観戦のあとは、夕涼みをしに亜由美さんが六甲山頂までドライブに連れていってくださる!
それまで、『帰ってきた 日々ごはん⑮』の粗校正をがんばろう。
相撲観戦をしながらの早めの夜ごはんは、カヴァ(文子さんたちの差し入れ)、間引きメロンのスライス&ミニトマト(結晶塩)、大根のアルザス風マリネ(ディル、レモン汁、おろしにんにく)、人参の塩もみサラダ(黒酢玉ねぎドレッシング、すりごま)、チキンの焼き肉(キムチ、青唐辛子、えごまの葉、韓国のコチュジャン、自家製焼き肉のタレ)、米粉の焼き餃子(この間、今日子ちゃんたちが来た日に焼かなかった分を冷凍しておいた)。

●2023年7月21日(金)快晴

朝の涼しいうちに、ポストまで散歩。
登校中の男の子と一緒に坂を下りた。
私が手に持っている手紙を見て、ポストの場所をていねいに教えてくれたので。
小学校3年生だそう。
歩いては立ち止まり、坂のとちゅうの草ぼうぼうの家のことやら、老人ホームのことやら、ぽつりぽつりと自分の考えを教えてくれる。
私はそういう子が好きなので、一緒に立ち止まって話を聞いたり、私の思うことを言ったりしながらのんびり下りた。
この男の子は、建物や家のことが好きみたい。
夏休みは明日からなんだそう。
「小学校には、大きい図書館がある?」と聞いたら、「生徒用と、○○用がある」と教えてくれた。
○○のところは聞き取れなかったけど、たぶん、近所の人たちも利用できる図書館があるんだと思う。
旗を持った、交通整理の父兄の方たち(男の子のおじいさん、おばあさんの年代の方)が、「おはよう〜○○君」と手を振ったり、通りすがりに話しかけたり。
みんなに可愛がられているんだな。
ポストのところでお別れ。
別れ際に手紙を渡したら、ポストに投函してくれた。
私はこのことを、忘れないだろうな。
それは、とても大切な手紙だったから。
あのとき、坂の下の海が青かったなあ。
帰りはちょっと遠まわり、ひさしぶりに夏休みの小径を通って帰ってきた。
セミの声はまだ小さく、ゴーヤーと緑のパッションフルーツがぶら下がっていた。
帰ってから、朝ごはんと洗濯。
きのうの続きの、『帰ってきた 日々ごはん⑮』の粗校正の前に、絵本のテキストを直した。
「なつのやさい」。
ずいぶん前から書いていて、去年の夏、とうもろこしを食べた日に書き直していたもの。
誰に頼まれたわけでもなく、勝手に書いているだけの、詩みたいな、歌みたいなテキスト。
つい夢中になり、お昼ごはんのために煮ていたカラスガレイの鍋を、焦がしてしまった!
夕方は、お相撲見ながら、缶チューハイのソーダ割り。ヒグラシが鳴いている。
私は豊昇龍を応援している。
夜ごはんは、具だくさんのぶっかけそうめん(焼き茄子、焼きピーマン、焼きパプリカ、ワカメ、天かす、おろし生姜、青ねぎ)。

●2023年7月20日(木)快晴

今日から、『帰ってきた 日々ごはん⑮』のパソコン内での粗校正。
もうじき1月分が終わる。
さっき、文子さんがちょっとだけ部屋に来て、『帰ってきた 日々ごはん⑭』の感想を伝えてくれた。
「いいなあ、なおみさん。開いたら、本の空気が上がってきて、自分が本の中に入っていく感じがするねん。すごくいいねん」
それは、HPの日記を読むのとはぜんぜん違うのだそう。
HPと文子さんとの間には距離があり、離れたところから、のぞき見しているような感じだったのだそう。
本は、「わかるわかる、こういう景色のことあるし、こういう気持ち分かるわあ」となって、自分とひとつになれる。
「だからみんな、本を買うんやなあ」と言っていた。
そうなんだ。
私はとてもうれしかった。
今は夕方の4時なのだけど、海が真っ青。
大阪の街が、くっきりと見える。 
近畿地方は今日、梅雨明けしたそうだ。
ああ、ついに六甲に夏がやってきた。
子どもたちは、今日から夏休みなんじゃないかなあ。
さあ、もうひとがんばり、校正の続きをやってしまおう。
夜ごはんは、野菜たっぷりナシゴレン(ピーマン、しし唐、ニラ、雑穀ご飯、ゆで卵)、缶チューハイの炭酸割り。

●2023年7月18日(火)晴れ

渡辺さんが置いていってくださったラープが、冷蔵庫にある。
あの、ライムの甘酸っぱいタレと合わさった、水まんじゅうみたいな食感のトゥルンとした生春巻きがどうしても食べたくて、8時半くらいに家を出、「コープさん」に生春巻きの皮を買いにいった。
日傘を差して。
海からの風がひんやり。
太陽が照っていても、朝は涼しいんだな。
いつもの龍の神社でお参りし、郵便局にも寄った。
「コープさん」で、軽く買いもの。
帰りはさすがにじりじりと暑く、歩いて坂を上り切る自信がなかったので、タクシーで。
水風呂を浴びて清め、午後からは『帰ってきた 日々ごはん⑭』のサイン本作り。
今回のカバーの絵はユウトク君の、昆虫や魚、鳥の絵。
おかげで、夏にぴったりな本になった。
ジリジリシャンシャン、蝉が鳴いている。
暑いなあ。
今日が、これまででいちばん暑いかも。
3時過ぎにコーヒーをいれて休憩。
また続きをがんばった。
自分で書いた帯の言葉、「ひとつひとつ やっていこう。」に励まされながら。
85冊すべて書き終え、本屋さんで飾ってくださるポップも書いて梱包した。
『帰ってきた 日々ごはん⑭』がみなさんのところに届くのは、8月の頭だそう。
どうか、楽しみにしていてください。
今は5時半。
昼間の海は靄がかかっていたけれど、青くなってきた。
さあ、生春巻きを巻こう。
ビールも飲んじゃおう。
夜ごはんは、生春巻き(渡辺さんのラープにパプリカ、香菜を加えて巻いた。ライムときび砂糖の甘酸っぱいタレ)、空芯菜のにんにく炒め(豚コマ切れ肉、オイスターソース)、ビール。
夜ごはんのあと、2階の窓から見上げた日暮れ前の空は水色。
刷毛で描いたみたいな雲は、縁のところが茜色。
カナカナカナカナとヒグラシ。
カラカラカラと、氷入りのビール。
日中はいくら暑くても、夕暮れには涼しい風が吹き抜ける。
梅雨明けはまだのようだけど、これはもう六甲の夏。

●2023年7月16日(日)快晴

朝から掃除をしたり、料理を作ったり。
今日は、文子さんとファビオもお誘いすることにした。
神戸に来たばかりで右も左も分からないころ、いちばんに仲良しになった今日子ちゃんとひろみさん。
これまでたくさん助けてもらったおふたりに、親しい隣人となった文子さんたちのことを、きちんと紹介したかった。
渡辺康啓さんも、イタリアに住んでいたことがあるそうだから、きっと、楽しいんじゃないかと思って。
海がことのほか青く、何度も何度もハッとする。
ああ、本当に青いなあ。
群青に近いような、深い青。
夏って、こんな色になるんだっけ。
台所に立って、海を見ながらごちそうの支度。
このマンションを下見に来たとき、流し台のところに立って、洗い物をするふりをしながら海を見た。
あの日は本当に不安でいっぱいだったけれど、ここだったら、東京から越してきてもいかもしれないと思った。
これからやってくるお客さんたちのために、海を見ながら、昼間からのんびり料理を支度する。
8年前のあのとき私は、まさにこの感じを想像していたのかもしれない。
今のところのメニューは、トマト丸ごとピクルス(「クウクウ」の人気メニュー。スタッフたちはみなトマピクと呼んでいた)、ピーマンの丸ごと煮(甘辛薄味、実山椒入り)、スイカときゅうりのサラダ、鶏ナンコツのにんにく炒め(渡辺さんがほんのりスパイス風味の、カリカリ唐揚げにしてくれた)、たたききゅうり(細くて小さな四葉きゅうりで)、米粉の皮の餃子(米粉を水で溶いて流し入れ、香ばしい羽つきにする予定)、とうもろこしご飯の合いがけプレート(黒豆のカレー、ガパオ、グリーンソース、紫玉ねぎのピクルス)。
今日子ちゃんたちは料理教室が終わって片づけてからいらっしゃるので、文子さん&ファビオと夕方の5時半くらいから、いつものようにビールを飲みながら、のんびり支度をする予定。

●2023年7月15日(土)曇りのち晴れ

朝のラジオの天気予報は、萬木敏一さん。
「沖合の海では、白波が立つかもしれません。そういう日は波の引きが強く、浅瀬にいても流されやすいことがありますので、海水浴に出かけられたら、小さなお子さんの近くにいてあげるようにしてください」というようなことをおっしゃった。
心からの天気予報士、萬木さん。
こういう具体的な情報が、いちばんありがたいと思う。
10時からは、文子さんが迎えにきてくださり、「めぐみの郷」へドライブ。
同じ建物内の「業務スーパー」でも、おもしろいものがあって、いろいろ買った。
それにしても、野菜、買い過ぎ?!
何を買ったかというと、トマト、ミニトマト(赤とオレンジ)、ニラ、オクラ、パプリカ(赤と黄色)、きゅうり(小さめの)、空芯菜、つるむらさきの葉、玉ねぎ、じゃがいも、白いとうもろこし、茄子、水茄子、バジル。
冷蔵庫が大きいって、すばらしい。
明日は、「MORIS」で料理教室をしてらっしゃる渡辺康啓さんを、今日子ちゃんとひろみさんが連れてきてくださる。
なので、そろりそろりと仕込みをしている。
きのうは新しょうがをきかせた、カレーのベースを作っておいた。
文子さんにいただいた丹波の黒豆があるから、明日ゆでて、黒豆カレーにする予定。
ああ、海が真っ青。
セミが鳴いている。
夜ごはんは、焼きうどん(豚バラ薄切り肉、ピーマン、つるむらさきの葉、かつお節)、カラスガレイのムニエル(サルサソース)。
近ごろ、白身魚のムニエルには強力粉をまぶしている。
薄力粉よりもずっとカリッと、香ばしくておいしいので。

●2023年7月13日(木)曇りのち雨

きのうはふと思い立って、美容院に行ってきた。
2時過ぎに外に出たら、ものすごい暑さ。
小学生の子どもたちが、坂を上って帰ってくるのだけれど、みんな心配になるくらいぐったりしながら歩いていた。
「あつい〜 あつい〜」と言いながら。
重たそうなランドセルに水筒、傘を持って。
私は思わず、「大丈夫?水を飲んでな」と、何人もに声をかけた。
街が蒸し暑くて驚いた。
山の方は、やっぱり涼しいのだな。
「淡河農園クラブ」で、おいしそうなトマトがあったので買った。
ひさしぶりに会った今日子ちゃんも、ひろみさんも、とっても元気そうだった。
今朝は、6時には目が覚め、英語のラジオも聞いていたのだけど、どうしても起きられずに8時半に起きた。
体が怠く、「どっこいしょ」という感じ。
街で暑気にあったのかも。
なので今日はゆっくり動いて、「あ」の絵本の続き。
3時。
もしかして、できたかも?!
朱実ちゃんに送った。
ノブさんのおうどんのおすそわけをしに、文子さん&ファビオの部屋を訪ね、戻ってきたらどしゃどしゃの雨。
向こうが見えないくらいの雨!
ざざーーーっと降って、小降りになった今、地面の生ぐさいような匂いが上ってくる。
ああ、いい匂い。
夕方、スイセイとひさしぶりに長電話。
4時半から7時近くまで。
いろいろな方面に広く、深く、たくさんの話ができた。
声の向こうに、山の家の夕暮れを思いつつ、六甲の雨上がりの空を仰ぎつつ。
そして、長年の懸案だった大切なことも、ひとつ前に進められた。
夜ごはんは、トマトソース・フジッリのミルクスープ(チョリソー)、バタートースト。

●2023年7月12日(水)雲の多い晴れ

6時ちょっと過ぎに目覚め、「中学生の基礎英語1」。
ほかの英語のクラスも一通り聞いて、起きた。
今朝はちょっと涼しいな。
きのう、文子さんは大阪の実家に帰られていたそうで、近所のおじさんの畑の野菜を持ってきてくださった。
しし唐、甘唐辛子、ピーマン、茄子、人参。
お昼のおかずが何もなかったので、さっそくしし唐のきんぴら(かつおぶし)と、茄子とピーマンの甘味噌炒めを作った。
ちょっとつまむと、夏の採れたて野菜のみずみずしい。
こういうのが、いちばんおいしいな。
雑穀ご飯を今炊いているところ。
ポカンと時間が開いたので、今日は「あ」の絵本。
書いていたらピンポンが鳴って、こんどはノブさんからの贈り物が、クール宅急便で届いた。
「暑気払いに“冷やかけ“用のトマトつゆと細うどんをお届けします」
ときどき、ノブさんのインスタグラムをのぞいては、おいしそうだなあと思っていた「冷やかけトマトうどん」。
どんなに澄み切ったおだしなんだろう……と想像し、真似をして作ったこともある。
ついに、本家本元が届いた!
手打ちうどんの細めのものがたくさん。
なんと、私の大好物のふっくら甘い大きなお揚げさんと、きつね用のおつゆも!
つけつゆも入っている。
ああ、うれしいうれしい。
冷凍庫が広くなったので、さっそく詰め込んだ。
うれしくて、写真も撮った。
おいしいトマトを買いにいきたい。
夜ごはんは、コロッケ(スーパーの)、しし唐のきんぴら、冷や奴、冷やしトマト、雑穀ご飯のおにぎり(味噌)。

●2023年7月11日(火)曇りのち晴れ

5時半に起きて、「古楽のたのしみ」。
6時からは、寝ぼけながら「中学生の基礎英語1」。
いつもの私の時間が戻ってきた。
朝7時にはパーッと太陽が照り、わ!夏がやってきたと思っていたのだけれど、急に雲に覆われ、霧が出たりもする。
そうかと思うと、また明るくなったり。
何度も何度も。
めまぐるしい空模様。
天気予報は萬木さんだった。
湿気が多いと何度も言ってらしたけど、その通り。
「外で働く方、現場監督さんは、蒸し暑さでたいへんだと思います。熱中症に気をつけ、いつもより多めに休憩をとるようにお願いします」
「お願いします」と言うところが、いいなあ。
10時ごろ、ようやく青空が安定してきた。
ジリジリジリジリ、まだ小さな声だけど、今年はじめてのアブラゼミ。
おとといの夕方には、はじめてヒグラシが鳴いた。
やっぱり洗濯をしようかな。
今日はのんびり、『わたしが山おくにすんでいたころ』を辞書で調べながら、英語に訳すのをやっていた。
半分くらいできた。
明日もまた、続きをしよう。
夜ごはんは、窓辺で。
近ごろは、赤ワインのトニックウォーター割りが気に入っている。
ちょっとサングリアみたいな味になる。
フジッリ(トマトソース、パルミジャーノ)、人参の塩もみサラダ、きゅうりのサラダ、グリーンソース(カシューナッツ、青じそ、バジル、香菜、にんにく、ヨーグルト、レモン汁)添え。
7時。
ヒグラシが鳴いている。
カナカナカナカナ……
ちょっと鳴いてはしばらく休み、また少し鳴く。
まだ明るい空、雲の縁は茜色。
海から涼しい風が吹いてくる。

●2023年7月9日(日)雨

中野さんは、朝9時前に帰っていった。
窓の外は霧でまっ白。
今日は、母の命日。
ゆっくり、ゆっくり静かに過ごそうと思う。
中野さんがいる間は、ずっといいお天気で、蒸し暑かった。
朱実ちゃんたちの御用達スーパー「ラ・ムー」が、新在家にあることが分かり、車で出かけた。
「みのりの郷」でも、夏野菜をたっぷり買って帰ってきた。
中野さんはお土産に、スイカを丸ごと買った。
「ラ・ムー」は北九州と同じく魚が新鮮で、びっくり価格。
ピチピチの小鯵を買ってきて南蛮漬けにしたり、お頭つきの赤エビでパエリア風リゾットを作って食べたり。
冷蔵庫が新しくなって、台所仕事がとても楽しい。
たくさん入るから、たくさん買い物ができる。
私の料理は変わりそうな予感。
実家にあった「満月」の絵(中野さんが母に贈ってくれたもの。『どもるどだっく』が生まれるきっかけになった絵)を、姉が送ってくれたので、飾る場所を考えているうちに、きのうはリビングの模様替え。
ちょっと動くだけで汗が流れるなか、ベニヤ板に描かれた絵を中野さんとふたりで移動させ、本棚の整理もした。
ほかの絵の配置も変えてみた。
おかげで台所に続き、リビングも新しくなった。
寝室のカーテンも素敵になったし。
さて、今日は現金出納帳をつけよう。
夜ごはんは、チゲ風雑炊(お昼のみそ汁に、コチュジャン、キムチで味をととのえ、豆腐、みょうが、オクラ、雑穀ご飯)、なすのフライパン焼き、ニラと水菜のお浸し(辛子しょうゆ、ごま油)の予定。

●2023年7月6日(木)快晴

5時半に目覚め、「古楽の楽しみ」。
「中学生の基礎英語1」を聞きながら、口に出し、目を覚ました。
朝、いいことを考えた。
シンシア・ライアントの『わたしが山奥にすんでいたころ』をベッドに運び込み、英語に訳しながら読んでみた。
ゆっくりだし、めちゃくちゃだけど、調べながらすれば、できるようになるかもしれない。
こっそり練習をして、いつかファビオに読んであげよう。
7時には、もうすっかり青空。
梅雨の中休みだ。
今日は、中野さんが三宮で夕方から打ち合わせがあるそうで、終わってから車でいらっしゃる。
この間、寝室の薄手のカーテンがあまりにボロボロなので、ぜんぶ繕ったのだけど、やっぱりまた裂けてしまったので、先週中野さんちに遊びにいったときに、お母さんとお父さんに注文した。
それがもう縫い上がったとのこと。
ひと筆書きみたいな大きなの花の刺繍が散らばった、レースのカーテン。
車で持ってきてくださる。
きのうはずっと、「気ぬけごはん」を書いていた。
今日が締め切りなので、続きをがんばろう。
最近覚えた英単語「締め切り=deadline(デッドライン)」。
とちゅうで目が痛くなってきたので、目薬を差してしばし休憩。
また続きに集中。
「気ぬけごはん」は5時15分ころに仕上がり、お送りすることができた。
定時までにはできなかったけれど、ぎりぎりで間に合った。
夜ごはんは、焼き肉(豚肉、せん切りキャベツ、ズッキーニの薄切り、青じそ、自家製焼き肉のたれ)、冷たい味噌汁(ニラ、豆腐、みょうが)。

●2023年7月4日(火)快晴

5時に起きた。
「古楽の楽しみ」の、バッハのオルガン小曲がとてもよかった。
昔見た、タルコフスキーの映画でかかっていた曲。
『惑星ソラリス』だったかな。
いちばん好きな曲かもしれない。
冷蔵庫が大きくなってから、私は早起き。
なんだかわくわくして、あちこち掃除をしたり、整理したくなる。
あれを買おう、これも買って、作りおきしておこうとなる。
引っ越してきたばかりみたいな感じ。
新しい生活がはじまったみたい。
「毎日のことこと」には、壊れた冷蔵庫のことを書いた。
原稿はお昼前には仕上がり、お送りできた。
きのうも今日も、下の道からとてもいい匂いが風にのって届く。
緑がかったクリーム色の、小さな花の集まり。
ずっとトネリコだと思い込んで、日記にもそう書いてきたのだけれど、調べてみたら、クマノミズキという木らしい。
秋には、黒紫の実がなる。
トネリコもよく似た花が咲くのだけれど、実は、しゃらしゃらとした簪みたいな房。
2年前、ユウトク君がうちに来たときに、散歩のとちゅうでみつけ、私が触ろうとしたら注意された木だ。
さて、お昼を食べたら、「気ぬけごはん」を書きはじめよう。の、つもりでいたのだけれど、文子さんが六甲道の方で用事があるというので、車に一緒に乗せてもらい、私は六甲から電車で夙川へ。
「成城石井」でワインやヨーグルトなどを買って帰り、八幡さまで待ち合わせ。
また、文子さんの車で帰ってきた。
夜ごはんは、文子さん&ファビオと。
小さなズッキーニのフライ(塩、レモン・文子さんとふたり作)、カツオのタタキ(山芋、きゅうり、みょうがなどを甘酢で和えたものを添えて・文子さん作)、焼き餃子(この間作って冷凍しておいたもの)、カヴァ、ハイボール。
ファビオが子どものころの、おばあちゃん(ノンナという名前)とおじいちゃんの思い出話をしてくれた。
イタリアの田舎道、森、川、小さな牧場。
目の前に情景が浮かんだ。
文子さんがノンナの真似をしてくれたのも、すごくよかった。
ファビオは文子さんを見ながら、ちょっと涙目になっていた。
ひと昔前のイタリアの、田舎の料理が出てくる話。
少年とおじいさん、おばあさんの話。
そんな絵本のお話を、いつか書いてみたいなあと思った。

●2023年7月1日(土)小雨

朝起きたら、霧が出ていた。
トネリコの緑がかったクリーム色の花が薄く透け、とてもきれい。
きのう、冷蔵庫が壊れた。
冷凍庫は大丈夫そうだったけれど、冷蔵庫が冷えなくなった。
吉祥寺時代からずっと使ってきた、ヤーノにもらった冷蔵庫だ。
あのころは、キッチン用のが別にあったので、仕事部屋に置いていた。
本の撮影のときなんか、たっぷり食材を入れられて、とても助けてもらった。
普段はビールやアイスクリーム専用にしていた。
「クウクウ」をやめたのが、2002年。
もらったのはその前だと思うから、もう20年以上使っている。
もう寿命なのだと思うのだけど、壊れたことが、まだよく理解できない。
冷蔵庫への気持ちが後を引き、どうしていいか分からない。
とりあえず卵だけは救おうと、ゆで卵を8個作り、そのあとで文子さんにメールをした。
文子さんとファビオの冷蔵庫がまっ白で、大きくて、シンプルで、素敵だなあ思っていたので。
メーカーや品番を教えてもらい、御影の電気屋さんに買いにいった。
売り場でもうろうろし、なかなか決められなかった。
ここで決めずに、三宮の電気屋さんも、見ておいた方がいいのかなあと思ったり。
そしたら、レジの近くに、とても好きな形の冷蔵庫がぽつんと立っていて、ひと目惚れ。
しかも、期間限定(きのうまで)のバーゲン価格。
文子さんたちのものとはメーカーが違うけれど、しっかりとした造りだし、私のキッチンにはぴったりの大きさだったので、即決した。
帰りに「MORIS」に寄って、冷蔵庫の報告をすると、ひろみさんが発泡スチロールの箱を探してくださった。
保冷剤を入れれば、小さな冷蔵庫ができるから。
帰ってすぐに、野菜類を救出した。
ひき肉だけ買って帰ったので、「カルマ」のキーマカレーを思い出しながら、にんにく、しょうが、黒こしょう、クローブ、カルダモン、コリアンダー、唐辛子(文子さんにいただいたのをお湯でもどして)をすり鉢でつぶし、粉のスパイスもいろいろ調合した。
ゆで卵入りキーマカレーを作ろうと思って。
煮込みながら、冷蔵庫を掃除して、カレーができ上がったのは7時過ぎ。
文子さんに電話し、カレーの半分をおすそわけがてら、ジャムなどのビン詰め類を冷蔵庫に避難させてもらった。
というわけで、今朝はきのうに引き続き、冷蔵庫の掃除。
「ありがとうございました」と唱えながら、すみずみまで掃除した。
大きめの氷ができる製氷皿や、野菜室の仕切り箱は、好きだったのでとっておく。
もしかすると、新しい冷蔵庫でも使えるかもしれないから。
さあ、2時過ぎにやってくる。
ああ、まっ白で、これまでのよりもずっと大きな冷蔵庫。
私、新品の冷蔵庫なんて、生まれてはじめて自分で買った。

ここからは、冷蔵庫がやってきてから書いています。
新しい冷蔵庫は、背丈がありすぎて、ドアを開けるときに天袋にぶつかってしまうことが分かった。
それで、業者さんのおふたりに手伝ってもらいながら、急きょ配置換え。
これまで冷蔵庫があったスペースに、食器棚を移動してもらった。
ふたりが帰ってから、ステンレスのテーブルの向きも変えてみた。
米びつや布巾入れも、取りやすい位置に移動。
食器も取り出しやすいし、なんだかとても広くなった。
大きな冷蔵庫に圧倒されながら、食材をしまったり、あちこち掃除機をかけたり。
そしたらピンポンが鳴って、文子さんとファビオがビン詰め類を持ってきてくれた。
ハワイに引っ越したばかりのニューヨークのお友だち、かずみさんと一緒に。
かずみさんは、はじめて会ったのに、前から知っていたみたいな方。
部屋を案内しているうちに、ビールでも飲みましょうかということになった。
そのうち、料理を作りたくなり……文子さんは、かずみさんに食べてもらおうと用意していた牛肉、ズッキーニなどの食材を取りにいき、とても自然な流れで「バー高山」がはじまった。
しばらくしたら、中野さんもいらっしゃり(打ち合わせで三重に行っていたそう)、8時くらいに、かずみさんのパートナーのハカちゃんもやってきた。
総勢6人。
みんな朝型なのに、11時過ぎまで飲んだり食べたり。
新しい冷蔵庫にも乾杯してくださった。
何を作ったんだっけ。
塩豚(ヒレ肉の切り身に軽く塩をし、冷凍しておいた)の焼いただけ、ピーマンの丸ごとオイル蒸し、ズッキーニとトマトのパセリたっぷりサラダ。
文子さんが焼いてくれた牛肉(モモとランプ)のステーキが、ものすごくおいしかった。
あんなに、絹みたいになめらかなお肉を、私ははじめて食べた。
文子さんはお肉を焼くのがとっても上手。
とちゅうで見にいったとき、ホイルに包んでしばらく寝かしておいたのを(肉がふくらんでいた)、もういちど香ばしく焼いていた。
そして最後に、ゆで卵のスパイシーカレーをみんなで分け合って食べた。
デザートはチョコレートケーキ。
あれ?文子さんがいない、と思ったら、手作りのチョコレートケーキをクリームと果物で飾りつけ、カッティングボードにのせて現れたのだった。
はじめて逢った人たちと、逢って間もない友人たち、逢って8年がたった人と過ごした夜。
新しい冷蔵庫がやってきたのは、英語と日本が飛び交い、それぞれの醸し出すいろとりどりの気配がからまる、忘れられない日となった。

●2023年6月28日(水)雲り一時嵐

5時くらいに目覚め、ラジオ。
寝ぼけた頭で「中学生の基礎英語1」。
ところどころ、眠りに誘われながら聞いていた。
洗濯物を干すとき、ムシムシじめじめ。
灰色の雲が垂れ込めている空を、ツバメが1羽スーッと渡っていった。
こういう雲とツバメって、なんて似合うんだろう。
今日は、1時から朝日新聞の取材がある。
「わたしのみっつ」という企画で、自分をつくってきた3つについて話す。
その下準備のために、『ウズベキスタン日記』を窓辺で読んでいるところ。
情景が目の前に広がり、体ごとの記憶が蘇る。
いつ読んでも、なくならない記憶。
日記に残しておいて、本当によかった。
なんだか日記って、永遠な感じがするな。
お弁当も詰めておいたので、早めにお昼を食べよう。
3時くらいに取材が終わって、記者の方が帰られてから、ざーっと大きな音を立て雨が降りはじめた。
窓が真っ白。
そして、雷。
しばらくすると明るくなり、雲がぐんぐん流れていく。
このまま晴れるのかと思いきや、また大雨に。
窓は真っ白。
そしてまた明るくなり、こんどは完全に晴れた。
雨上がりの空を、ツバメが飛び交っている。
バタバタと翼を動かし、そのあとすーっと風にのる。
尾羽が短いから、きっと今年巣立った若ツバメだろうな。
窓辺が気持ちいいので、夜ごはんは早めに。
皮をむいて片栗粉をまぶしたゆで茄子とトマト、青じそ、蒸し鶏の冷やし大鉢(ごまダレ)、おにぎり(たらこ)。

●2023年6月27日(火)雲の多い晴れ

5時過ぎに起きて、半分寝ぼけながら『古楽の楽しみ』。
今週は関根敏子さんだ。
古いオペラがかかっているようだった。
英語のラジオも、夢うつつ。
中野さん宅から帰ってきたのは、月曜日のお昼過ぎ。
出かける前にはなんとなく肌寒く、昼間でも靴下を重ねばきしていたのに、戻ってきたら六甲も夏。
むしむしとして、季節が確実に動いていた。
中野さんちも、真夏のように蒸し暑かった。
それでも陽が翳ってくると、ユウトク君、ソウリン君、中野さんがお宮さんで遊んでいるのに私も加わった。
土曜日はサッカーのパスの練習に、あてっこ(ドッジボール)。
全力で走るのもやった。
そうだろうとは思っていたけれど、私は鉄棒の逆上がりがまったくできなくなっていた。
日曜日は、朝ごはんを食べずに、中野さん、お姉さん、子どもたちとドライブ。
植物がたくさん植わっているパン屋さんの庭の東屋で、焼きたてのパンと、搾り立てのクリームがたっぷり詰まったコルネとコーヒー。 お昼ごはんは、家族分の大根をすりおろして、ぶっかけ冷やしうどん。
おろし生姜に、ねぎもたっぷり。
中野さんとソウリン君は、卵を落として食べていた。
私は、冷凍してあった卵と大根葉のチャーハン(中野さん作)も食べた。
中野さんの部屋は、とても静か。
たまに風鈴がちりんと鳴るくらい。
昼下がり、植物図鑑を見ているうちに、寝てしまいそうになった。
夕方の涼しくなったころに、またサッカー。
ユウトク君は、お義兄さんとテニスの練習。
ソウリン君と私で組になり、中野さんのボールを奪い取って、パスをするというゲームが楽しくて。
ちっともうまくいかないし、奪えても、とんでもないところに蹴ってしまう。
「何やっとんねん、なおみさん。ソウリンがおらんところにボールをけってもしゃあないやろ」と、ソウリン君にぶつぶつ言われるのも、なんかうれしくて。
飛んできたボールを、確実にキャッチする方法を、中野さんに教わった。
飛んできたら、土踏まずのあたりをほんの少し引いて、ボールの勢いを吸収するみたいにする。
だんだんうまくなっていくのが楽しく、ずっとやっていたかったのだけど、ソウリン君にはもの足りないらしい。
首の後ろが汗だらだらになり、ごはんの前にお風呂。
西陽の差す明るいお風呂って、いいなあ。
夜ごはんは、韓国風すき焼き(お姉さん作・牛肉と豚肉に、おろしにんにく、酒、醤油、すりごまをたっぷりもんでおく。割り下は酒、みりん、砂糖、醤油、コチュジャン、水を合わせてひと煮立ち。フライパンで肉を軽く焼いたら、土鍋の中央に。ささがきにしたごぼう、キャベツ、ニラ、玉ねぎ、もやしを肉のまわりに並べ、割り下を加えてグツグツ煮ながら食卓で食べる。とちゅで中華そばも加えた)。 〆は汁だけ残しておいて雑炊に。溶き卵とピザ用チーズをたっぷりふりかけ、ふたをして、チーズが溶けたらねぎ&ちぎった焼き海苔。
濃厚で、あとをひくおいしさだった。
食後に夕涼みして、8時には寝てしまった。
そして、月曜日。
朝はみんな忙しい。
お義兄さんは仕事、中野さんは朝ごはんの洗い物、お父さんは床に掃除機をかけ、お母さんは山ほどの洗濯。
お姉さんは子どもたちを学校に車で送り、みんなで手を振って見送る。
日曜日だったか、中野さんが庭でゴミをまとめているところも見た。
家族と暮らすのは、大変さもあるけれど、生活の基本的なものごとを、みんなで分担しているところがなんだか羨ましかった。
私は早くに実家を出たので、大家族で暮らすことをしてこなかった。
今ごろになって、大切なことだと気づきはじめているみたい。
子どもらは学校、大人はみんな仕事で、なんだか私も早く帰って仕事をしたくなった。
なので、朝ごはんのあとに、道の駅のようなところへ中野さんに連れていってもらい、野菜をいろいろ、また別のお店で巻き寿司も買って、駅まで送ってもらって帰ってきたというわけ。

ゆうべは、寝る前のストレッチのとき、太ももが筋肉痛だった。
サッカーで、普段使わないところを使ったからだ。
夜ごはんは、即席塩鮭のムニエル、紫小粒じゃがいも蒸し焼き、ほうれん草間引き菜の塩炒め、ミニトマト焼き。
お風呂に入って、ストレッチをして、ことんと寝てしまう。

●2023年6月24日(土)曇りのち晴れ

きのうの夕方は、ファビオのおばあちゃんの白ズッキーニ料理を文子さんに教わりながら、赤ワインをごちそうになった。
文子さんは、スタッフ・ド・オリーブフライ(オリーブにソーセージの中身を詰めて揚げたおつまみ)を支度していて、揚げたてを食べた。
はじめて食べた!
白花豆のガーリック・オリーブオイル(パセリ)は、パンにのせて。
白ズッキーニはきのう、「おうご農業クラブ」で買っておいたもの。
玉ねぎとズッキーニの厚切りに、バターと塩、ほんの少しの水を加えて圧力鍋で。
蒸気が上ったら、弱火にして15分ほど。
くったりと煮えた白ズッキーニと新玉ねぎ、とろとろでおいしかったなあ。
どれもこれも、本当においしかった!
そして、なんだか幸せな夜だった。
今朝は5時に起きた。
いつもみたいにラジオを聞きながら目を覚ます。
なんとなく、湿気の多い朝。
ヒンヤリとした山の空気。
トネリコの花穂が、ずいぶん白くなってきた。
玄関の方にまわると、山にうっすらと霧がかかっていた。
今日と明日は、晴れの予報だったので、原稿も書き上がったことだし、中野家に急きょ遊びにいくことになった。
2泊して、月曜日に帰ってくる予定。
あちこち掃除機をかけ、ゆっくりゆっくり支度して、今は11時半。
ちょっと早いけれど、そろそろ出かけようかな。
「おうご農園クラブ」の白と緑のズッキーニを、お土産で持っていこう。
夜ごはんは、カツオと夏野菜の揚げ浸し(お姉さん作・茄子、白と緑のズッキーニ、いんげん)、ポテトフライ(まわりがカリッと香ばしく、とてもおいしい。片栗粉と強力粉を混ぜた粉をまぶして揚げたのだそう)、川海老の唐揚げ(残りの粉をまぶして私が揚げた)、ご飯。
揚げたカツオの味が想像できなかったのだけど、クジラの立田揚げみたいで、すごくおいしかった。浸け汁は甘辛でほんのりとした酸味、にんにく、唐辛子。炊き立てのご飯にのせて、思う存分食べた。

●2023年6月22日(木)雨

明け方、ザザーーッと音がして、雨が降りはじめた。
カーテンを開け、音を聞きながらしばらくうとうと。
ラジオをつけ、「古楽の楽しみ」を聞きながら、またうとうと。
英語のラジオがはじまるころには目を覚まし、ひと通り聞くことができた。
今朝の天気予報は、萬木敏一さん!
「ザーザー降りの雨」と、2回くらい言ってらした。
実感のこもった天気予報。
ベタベタしたところがなく、いつもみずみずしい。
やっぱりこの方はいいなあ。
「となりのオハコ」のエッセイ、宮下さんが喜んでくださったので、今日はちょっとだけ修正を入れて仕上げよう。
そして、夕方からは「いたげ家」さんで打ち上げ。
ひと足先に刊行された雑誌を、お渡しにいく。
どきどきするなあ。
夜ごはんは「いたぎ家」さんで。
南高梅のポテトサラダ、イタドリのきんぴら、ビーツの塩炒め、花クレソンのおひたし、大葉きく菜の白和え、きゅうりのフーチャンプル、焼き茄子の天ぷら、ズッキーニの天ぷら、きゅうりのリゾット、モヒート、ハイボール、日本酒。

●2023年6月21日(水)雲の多い晴れ、のち小雨

気づけばもう水曜日。
日曜日から毎日、朝から晩まで「となりのオハコ」の文を書いていた。
夕方になると、ご褒美のように窓辺でちくちく。
間仕切りカーテンができたので、今は、ずっと気になっていた寝室のカーテンを繕っているところ。
晴れの日が続いていて、天気予報では「梅雨の中休み」と言っていた。
そうか。
「梅雨の晴れ間」ではなく、中休みと言うんだな。
そして、ぼんやりした晴れの日のことは、「雲の多い晴れ」と呼ぶことも知った。
「となりのオハコ」のエッセイは、朝ごはんを食べずに書いていた。
きのう、骨組みがほとんどでき、なんとなく考えながら寝ていたので。
あとは、いちばん大事なところ。
そろそろ11時。
お腹が空いたなあ。
まずは柱時計のネジを巻いて、あちこち掃除機をかけよう。
エッセイとレシピは3時くらいに仕上がり、宮下さんにお送りした。
夕方は、また窓辺でカーテンの繕い。
今日が夏至だということをすっかり忘れていたけれど、そういえば、ずいぶん長いこと暗くならずにちくちくができたから、やっぱり日が長かったんだな。
夜ごはんは、ぶっかけ稲庭うどん(トマト、お揚げさんの山椒煮、椎茸の甘煮、青じそ)。 

●2023年6月17日(土)快晴

このごろは一日が終わると、ベッドに沈み込むようにぐっすりと眠れる。
そして、陽の出の時刻をちょっと過ぎたころ、すいっと起きられる。
朝陽は建物に隠れて見えないけれど、東の窓の隙間が明るくなるから。
今朝は、オレンジの光がいつもより強かった。
朝、洗濯物を干していたら、チュクチュクと賑やかな声がした。
電線に小さなツバメが7羽も!
みな1列に並んでいる。
翼を広げたりしながら、落ちそうになっているツバメをいる。 
上空では2羽のツバメが、今のこの風、空を謳歌しているみたいに、とても気持ちよさそうに旋回している。
サッと方向転換するも、猛スピードで急降下。
わっ、ものすごく上手!
電線にやってきて、羽ばたきながら1羽にちょっと触れると、子ツバメたちがガヤガヤと大騒ぎする。
最初私は、早くに巣立ったお兄さんツバメなのかと思っていたのだけど……どうやら親ツバメみたい。
飛び方を見せているんだろうか。 
ツバメの小学校だ。
親に比べると、子ツバメたちはまだ尾羽が短く、ほっそりとして翼も小さい。
エサはあげていなかったから、もう自分で虫を捕まえられるようになったんだろう。
うちのツバメ劇場。
きのうも、2羽のツバメが絡まり合うように空を上ったり、急降下したり、ひらりふわりとと翻って、まるで、蝶のような動きをしていた。
あれもきっと親ツバメだったんだな。
空の高いところに、トンビみたいに旋回しながらぐんぐん上っていく親ツバメが見える。
3羽いる。
しばらく眺めていたら、「わー!」と下から声がして、文子さんとファビオがお散歩に出掛けるところだった。
手を振り合い、私はすぐに、電線の子ツバメたちのことを伝えた。
偶然、同じ景色を一緒に見られるとき。
こういうときがいちばん嬉しい。

きのうは、おもしろい一日だった。
まず、亜由美さんがセイヨウアジサイを1枝持って、寄ってくださった。
六甲の「植物屋さん」に用事があったそうで、ふと私のことを思い出してくれたそう。
エルブドフラワーのコーディアル(丹治君にいただいた。美佳さんの手作り)の炭酸割りを飲みながら、しばしおしゃべり。
そして夕方には、文子さんとファビオがカクテルの材料を持って、下りてきてくれた。
カンパリ、グレープフルーツジュース、炭酸の、ルビー色のロングカクテル。
そのあと、この間の取材で教わった料理を、もういちど細かなところまで教えていただいた。
キッチンに立ち、肉を漬け込むところを一緒にやった。
それを今、フライパンでじわじわ焼きながらレシピを書いているところ。
ああ、いい匂い。
至福の時間だなあ。
文子さんの言った通りにしていったら、びっくりするほどうまく焼けた。
これまで作ってきたなかで、いちばんおいしい。
私、極意が分かったかもしれない。
さてこれを、どうやってみなさんにお伝えしようか。
明日からエッセイを書きはじめよう。
夜ごはんは、文子さん&ファビオの部屋で私が作った。パエリア風のフライパン雑炊(エビ、即席塩鮭、トマト、ズッキーニ、エビの頭とカラでとったトマトスープ、サフラン、オリーブオイル)、塩もみ人参のサラダ&きゅうりのディルサラダ(玉ねぎ黒酢ドレッシング)。

●2023年6月15日(木)小雨のち晴れ

小雨がさわさわ降る窓辺で、一日中お裁縫。
間仕切りカーテンがうまくいかず、ほどいては縫い、縫ってはほどき、ああでもないこうでもないとやっていた。
続きは明日にしよう。
気づけば雨が上がっている。
今は5時。
空も海も青く、日暮れまでにはたっぷり時間がありそう。
玄関の廊下に出て、肩と首の体操。
山の上を雲が流れる。
同じ姿勢で縫い物をしていても、首が痛くなることはなくなった。
私、治ったのかも。
本当に、整体院の先生のおかげだ。
そよそよと風。
雨に洗われた緑がぴかぴか光っている。
ツバメが1羽、さっきから空を旋回している。
パッと翻り、急降下。
スイーッと風にのって距離を伸ばしたかと思えば、お腹を見せて1回転。
中野家のちび助たちも、上手になっただろうか。
今日やった仕事は、「となりのオハコ」のレシピ書き。
もうちょっとしたら、エッセイも書きはじめようと思うけれど、今はちくちく。思う存分に。
夜ごはんは、豚汁(豚コマ切れ肉、玉ねぎ、人参、じゃがいも、ニラ)に、豆腐、山ウドの若葉、牛乳を加えたスープ。

●2023年6月13日(火)曇りのち晴れ

6時前に起きた。
今朝も、「中学生の基礎英語1」を聞くことができた。
『帰ってきた 日々ごはん⑭』の最後の校正は、きのう終わった。
あとで、コンビニに出しに行こう。
朝はむしむししていたけれど、涼しい風。
ツバメが2羽、空をいったりきたり。
風にのって、スイスイ。
今年巣立ったばかりのツバメなのかな。
近づいて交叉したとき、ちょっと翼が当たったみたい。
まだ、あんまり上手ではないんだ。
朝から窓辺でお裁縫。
寝室の扉をはずしたので、きのうから間仕切りカーテンを縫いはじめた。
ちくちくちくちく。
朝からこんなことができるなんて、ものすごくひさしぶり。
近ごろよく見ている「YouTube」のアニメーションは、『Little bear』。
森の近くの小さな家に暮らすクマの3人家族と、そのまわりで起こるささやかな出来ごと。
はじまりの曲がとてもいい。
英語の勉強にもなるので、窓辺で夜ごはんを食べながら、何話も見たりしている。
さて、お昼ごはんを食べたら、コンビニにゲラを出しながら、街へ出掛けよう。
「ユザワヤ」さんに、カーテンを通すつっぱり棒は売っているだろうか。
つっぱり棒はいいのがみつからなかったけれど、縫い糸やバイヤステープを。トンカツ屋さんの「KYK」で、お弁当も買えた。
六甲で軽く買い物をしてタクシーに乗ったら、下りる間際に運転手さんから「高山なおみさんですか?」と聞かれた。
内気そうで、お客さんに話しかけるような感じの方ではないのに、神戸新聞の「毎日のことこと」を楽しみに読んでくださっているみたい。
「ハンカチはみつかりましたか? みつかるといいですね」と、声をかけてくださった。
私は、なんだかちょっとじんとした。
夜ごはんは、トンカツ&エビフライ弁当(KYKの)、山ウドのきんぴら、即席しば漬け、味噌汁(なめこ、豆腐)。

●2023年6月11日(日)曇り

なんだかとても静かな日。
雨でも曇りでも晴れでもない、その隙間にあるようなぼんやりとした日だ。
ちょっと疲れが残っているような、そうでもないような。
でも、7時前にすっと起きられた。
きのうはまず、朝の9時半くらいに、木曜日から泊まりにきていた中野さんが帰っていった。
そして、10時半からは「となりのオハコ」の取材。
宮下さん、わたなべよしこさんと、文子さん&ファビオの部屋へ。
とてもいい取材ができた。
いろいろ、おいしかったなあ。
4時くらいに終わり、5時半からはなんと、丹治君がいらっしゃった。
丹治君は関西方面の書店さんをまわるために、神戸にも来ていて、せっかくだから会いにきてくださった。
ふたり、差し向かえで呑んだり、食べたりするのは、何年ぶりのことだろう。
でも、会えばすぐに、昔の感じが戻ってきて、一緒に本作りをしていたころの丹治君になった。
不思議なほどに。
丹治君は、あのころのように衿の詰まったシャツを着ていたし、話し方も、声も、笑顔も、ちっとも変わっていなかった。
とてもおもしろいことを考えているのに、静かな抑揚で、なめらかに話す。
ビールを呑みながらピーナッツ(ベトナムの生ピーナッツをオーブンでから煎りした)&柿の種。
今日子ちゃんにもらった間引きスイカがあったので、皮をむいて薄くスライスし、白いお皿に並べてみた。
塩をパラパラとふって、少しだけ水分が出てきたところに、レモンをちょっと搾り、おいしいオリーブオイル(ほんのり甘みがあって、シャキシャキして、とてもおいしかった)。
あとは、人参のサラダ(ディル)、白ズッキーニと間引きスイカのオイル蒸し、ポテトサラダ(きゅうり、玉ねぎ、ゆで卵、手作りマヨネーズ)、ピーマンの丸煮(山椒、酒、みりん、しょうゆ)、剣先小イカと新にんにくの炊き込みご飯(中野さんがいるときに作った残りをセイロで蒸した)、かき玉汁、きゅうりと青じその浅漬け風、ビール、ハイボール。
丹治君は8時過ぎに帰っていった。
私は、カトキチとアムが送ってくれた山うどのきんぴらで、白和えを作ろうと思っていたのに、すっかり忘れてしまった。
でも、短い時間だったのに、いろいろな話ができた。
また、丹治君との本作りがはじまりそう。
なんと嬉しいことだろう。
今日は、ゆっくり動いて、『帰ってきた 日々ごはん⑭』の3校に向かっている。
もう、ほとんど直すところがないところまできている。
なめらかな紙の上に並ぶ、やわらかな文字の並び。
とても心地いい。
3ヶ月分が終わった。
夜ごはんは、ゆうべの残りの、剣先小イカと新にんにくの炊き込みご飯、ポテトサラダ、かき玉汁。
あと、ピーマンの丸煮を、ズッキーニを加えてまた作った。
ワタが入っているので、ねっとりとしてとてもおいしい。
オリーブオイルと塩で作る鍋蒸しの、和風バージョンだ。

●2023年6月7日(水)晴れ

5時前に目が覚めた。
もう、空は明るい。
ラジオで、関東地方の陽の出は4時半くらいだと言っていた。
そんなに早いのか。
『古楽の楽しみ』と『中学生の基礎英語1』。
とちゅうで窓を開けたら、向かいの屋上の水たまりに青空が映っていた。
今日やることは、校正を3つ。
「いたぎ家」さんのと、「きょうの料理」と、『帰ってきた 日々ごはん⑭』の「おまけレシピ」と「あとがき」。
目薬のおかげで、目の調子がいい。
きのうのうちに眼科に行っておいて、ほんとによかった。
今日は一日じゅう、パタパタといろいろなことをしていた。
じっと座っているのではなく、校正して写真を撮ってお送りしたり、メールを書いたり、そんなこと。
ひとまず、『帰ってきた 日々ごはん⑭』以外で、急ぎの校正はすべてお戻しすることができた。
早めに夜ごはん。
豚肉とピーマンのオイスターソース炒め、ゆかりおにぎり、きゅうりとみょうがの塩もみ、味噌汁(麩)。
今は6時半。
海が青く、対岸の青い山と空との境目がない。
そんななか、遠くの方で白いイルカみたいな船(サンフラワー号)が、ゆっくりと進む。

●2023年6月6日(火)

6時過ぎに起きた。
「中学生の基礎英語1」は、後半だけ聞くことができた。
左目の瞼が、このところ違和感がある。
普段は何でもないのだけれど、化粧水を塗るときにちょっと痛い。
今朝は、ひどくなっているみたい。
ちょっと腫れはじめている。
メバチコ(モノモライのこと)のできはじめ?
午前中に眼科に行ってこよう。
コーヒー豆も買おう。
行ってきました。
メバチコの小さいのができかかっていた。
このままいくと、大きくなって、切らなければならなくなるところだった。
早めに行って、ほんとうによかった。
今の状態なら、目薬で治るから。
帰りにコーヒー豆を買おうと思って「六珈」さんに寄ったら、ヒロミさんがコーヒーを飲んでいらした。
嬉しくて、私もカウンターの隣に腰掛け、しばしおしゃべり。
こういう偶然が、いちばん楽しい。
そのあとふたりで「MORIS」へ。
今日子ちゃんの蒸したてのお赤飯(山椒の塩漬けのせ)と台湾のお茶と、砂糖衣に木の芽が透けた、きれいな和菓子をいただいた。
ああ、おいしかったな。
ひさしぶりに会ったので、おしゃべりが尽きず、写真を見せ合いっこしたりして。
スイカやお菓子などいただいて帰ってきた。
やらなければならないことはあるのだけれど、今日はお休みにしよう。
目の休息日ということで。
このところ原稿書きをがんばったご褒美に、「いかりスーパー」で大好きなお弁当を買ってきた(今日子ちゃんに教わった)。
夜ごはんは、「お魚のおいしい西京漬のお弁当」、昆布の薄味佃煮(文子さん作)、山うどのきんぴら、ポテトサラダ、きゅうりの浅漬け(みょうが、青じそ)、味噌汁(麩)。
夜、中野さんから電話。
その後のツバメ劇場。
きのうはユウトク君、ソウリン君とサイクリングに出掛けようとしたら、電線にちびすけばかりが10羽くらいとまっていて、それぞれの親鳥(多分)が、自分のヒナにエサを上げにきていたそう。
なんだか幼稚園みたい!
中野家のヒナは小さくて、羽がぼさぼさしているから、3人ともすぐに分かったのだそう。
ほかのヒナは、地面すれすれに飛ぶやり方を、親から習っていたのもいたらしい。
親は畑すれすれに飛んで見せているのに、ヒナはやたらに翼をバタバタして、ぬかるんだ畑につっこみ、泥んこになっていたそう。
特訓だ。

●2023年6月5日(月)ぼんやりした晴れ

6時に起きて、朝から原稿の仕上げ。
「いたぎ家」さんの文の後半で、寝ながら考えていたことがあったので。
10時前には完成し、お送りできた。
これで大丈夫だろうか。
どきどきするなあ。
続いて、「毎日のことこと」の仕上げ。
こちらもお昼前にお送りすることができた。
「となりのオハコ」を校正し、宮下さんにお戻しする。
『らんまん』を見ながらお昼を食べ、さて、こんどは『帰ってきた 日々ごはん⑭』の最後の校正だ。
その前に、座布団カバーのほつれたところを繕っていたら、中野さんから電話があった。
私が日記に書いたツバメの話は、ずいぶん間違っていたそうだ。
もういちど詳しく教えてくれたので、ここに書いておこう。
巣に戻そうとしたヒナは、電線まで飛んでいったのではなく、パタパタと不器用に飛んで、勝手口(その軒下に巣がある)の正面の、すぐ近くのトタン屋根にとまった。
頭をあちこちにまわし、でも、慌てているふうではなく、見えるものをひとつずつ、しっかりと見ているような感じだったそう。
中野さんはその様子を、1時間くらい見守っていた。
カラスも近くを飛んでいたし、上空50メートルくらいのところにはトンビがいて、狙っているように見えたから。
虫取り網をまわして、追っ払いながら。
中野さんは、そのときのヒナの顔が忘れられないと言ったのだ。
私も知っているそのトタン屋根は、目の高さくらいしかなく、手が届きそうに近い。
そして、再び羽ばたこうとして、トタン屋根から停めてある車の間に落ちた。
そのときには親ツバメも一緒にいて、ヒナのそばにいたという。
中野さんが助けようとして、脚立を取りにいったほんの10秒くらいの間に、ヒナも親ツバメもいなくなっていた。
それから何日か、どこを探してもみつからなかったから、もう死んでしまったのかもしれないと思っていたのだそう。
そのうち、巣に残っていたもう1羽も巣立ち、数日後に最初のヒナが電線に止まっているのをみつけた。
雨に濡れながら、親ツバメがエサをあげていたのだそう。
私も、六甲のクリーニング屋さんの隣の軒先で、巣から顔を出しているヒナ(体の半分がはみ出していた)を、この間見ていたのだけど、本当に頭が大きく、のどのところの茶色が鮮やかで、目もクリッとして、たまらなく可愛らしかった。

今日はけっきょく、窓辺で繕いものをちくちくしていた。
ちょっと、息抜きがしたくて。
『帰ってきた 日々ごはん⑭』の校正は、明日からしよう。
夜ごはんは、トマト焼き(人参の塩もみサラダ、グリーンソース、ポテトサラダ)。
トマト焼きのソースを合いびき肉で作ったので、残ったものにトマト缶とトマトペーストなど加え、ミートソースを作っておいた。

●2023年6月4日(日)晴れ

梅雨の晴れ間。
朝から、シーツやら布団カバーやら、大きな白いものを洗濯した。
今日は、「いたぎ家」さんの原稿を仕上げよう。
『帰ってきた 日々ごはん⑭』の3校ゲラも、きのう届いた。
私は文を書くことが楽しい。
私にとって書くことは、好きな世界を自分でこしらえ、その心地いい空気のなかで、ああでもないこうでもないといつまでも遊んでいるような感じなのかも。
4時。
書けた〜!
長い旅だった。
ようやくできたので、きのうのことを忘れないように書いておこう。
きのうは、「毎日のことこと」と、「いたぎ家」さんの原稿をせっせと書いていたら、文子さんからアペリティーボのお誘いがあった。
緑がさわさわとして、海も空も青く、それでもパソコンにずっと向かってがんばっていたから、文が途中でも行きたくなった。
冷凍しておいた黒豆と豚ロースの厚切り肉をもどしてあったので、即席塩豚を作り、フェイジョアーダみたいな煮込みにして、ひとりで食べようと思っていたのだけど。
煮込んでいるうちに甘みが出て、思っているのと違ってきたので、スパイスをたっぷり放り込んでカレーにした。
あと、ココナッツミルク入りのターメリックご飯。
文子さんとファビオの部屋は、本当にすごい。
夏みたいな光が広々と当たって、緑も海も空も、うちの部屋の何倍も光って見える。
私はビールを呑みながら、人の家なのにうっとりとしてしまう。
とちゅうで下りて、ご飯のスイッチを入れ、また戻ってきて、白ワインをごちそうになった。
ご飯が炊け、右腕に炊飯器の把手をハンドバックのように持ち、左腕には人参の塩もみサラダと、スイカの皮の塩もみ、香菜の入ったカゴをぶら下げ、階段をひとりで上っているとき、可笑しくなってきた。
そして、なんだか幸せだった。
ターメリックご飯は、ちょっと硬めに炊いたのが丁度いい具合だった。
文子さんがご飯の上にレーズンをのせ、デーツも添えてくれた。
黒豆、豚肉、ズッキーニの入ったサラサラのカレーと、ターメリックご飯、人参とスイカの皮のサラダ、みょうが&香菜のワンプレート。
ファビオが、「ベリーおいしい」と、何度も言いながら食べていて、嬉しかった。
そして、食べているときに、まん丸の大きな月が。
上に昇り、黄色く光るにつれ、月光の照り返しが、海にできた湖のようになっていた。
照り返しは、reflection。
夜景もいつもより光っていた。
大阪の方が宝石箱をひっくり返したみたいで、たまらなくなり、iPhoneで写真を撮った。
もうひとつ。
スイカの塩もみを食べたファビオから教わった、おじいさんがよく言っていたイタリア語。
ラングリア・ラ・サ・デ・スドラウン.
The watermelon's taste like cucumber.
「スイカはきゅうりと同じ味がする」
夜ごはんは、人参の塩もみサラダ(バルサミコ酢、オリーブオイル)、切り干し大根の味噌汁(落とし卵)、焼き納豆、ご飯。

●2023年6月2日(金)雨

ゆうべはけっこう雨が降っていた。
そして、何度もトイレに起きた。
朱実ちゃんが作った薬草茶がおいしくて、寝る前にも飲んだからだ。
体の中が洗われるようで、とてもいい感じ。
ピーピーマメ(カラスノエンドウ)、スギナ、ヨモギ……あとは、何が入っていると言っていたっけ。
北九州に行っていたとき、部屋の中に緑の髪の毛みたいなスギナが干してあり、清々しい匂いがしていた。
さて、今日も「いたぎ家」さんの原稿を書こう。
おとといから書きはじめたのが、いいところまできているので。
窓はまっ白。
雨と霧。
文を書く日和だ。
きのうは、夜ごはんを食べ終わって窓を開けたら、とてもいい匂いがした。
緑の葉の匂いに、六甲中で今咲いているジャスミンの香りが混ざり、海からのやわらかい風に運ばれてきているみたいだった。
そしてそのあと、めずらしく中野さんから電話があったのだった。
ツバメのヒナが巣から落ちるのをみつけ、中野さんが何度も巣に戻した話。
下に新聞紙を敷いているので、落ちたときにカサッという音がするのだそう。
朝かかってきた電話では、そこまでだったんだけど、電話を切ったそのあとで、また落ちて、巣に戻そうとした瞬間に飛び立ったこと。
まだ羽の生えそろってないヒナ。
尾羽も短くて、頭が大きく、雀みたいにぷっくりしたヒナが、パタパタと不器用に羽ばたき、風にも乗れずに飛んでいったときのこと。
電線に止まったツバメは、はじめて世界を見たように、キョロキョロと首を動かしていたそうだ。
中野さんは1時間ほど見守っていて、飛び立ったとたんに、向かいの家の隙間に落ちた。
探しにいったのだけど、みつからなくて、そのあと黒猫が出てきて。
学校から帰ってきたユウトク君とまた探しまわり、そしたら、お姉さんが「ツバメが私に何かを言いたがっているみたい」と言う。
2羽のツバメ(親ツバメだということがあとで分かった)のあとを追っていったら、中野家の雨樋にとまり、首を上下していて……中野さんが屋根に上るとヒナがいた。
羽がどこかに引っかかっているみたいだったのを、助け出したら、また飛び立ったこと。
今度は親鳥に挟まれて、必死で翼をバタバタさせて。
「飛び立ったときのヒナの顔が、忘れられません」
長い長い、ツバメ劇場。
私はそれを、ジャスミンの香りのなかで聞いていた。
さあ、私も自分の宿題をしよう。
まっすぐに雨が降っている。

ぐっとがんばり、七割方書けた。
あともう少し。
いちばん大事なところ。
小降りになってきたので、4時くらいに山の入り口まで散歩した。
薄い霧のなか、山から水がごうごうと流れていた。
夜ごはんは、鯖の糠炊き(北九州のスーパーで買った。おいしい!)、焼き茄子&焼きピーマン(ごま油、生姜、醤油)、スイカの皮の塩漬け、ホタルイカの沖漬け、グリーンアスパラ(アムとカトキチが送ってくれた)の味噌汁、ご飯。
7時。
霧に包まれた蒼の世界。
街はまったく見えない。

●2023年5月30日(火)雨のち曇り

ゆうべは雨の音を聞きながら寝た。
風もちょっと吹いていたみたい。
ガタガタして、子守唄みたいだった。
いろんな夢をみていた気がする。
6時に目覚め、「中学生の基礎英語1」。
今は小降りの雨。
霧も少し出ている。
それでも洗濯。
干すころにはすっかり上がっていた。
あちこちメールのお返事をして、歯医者さんへ。
雨上がりの坂を下りているとき、ムラサキシジミがふらふらと、前を行ったり後ろからついてきたり。
道案内をしているみたいだった。
薄紫色の、しじみの貝殻を開いたくらいの小さな蝶。
私は蝶のなかで、シジミチョウがいちばん好きかも。
緑が濃く濡れて、とても豊か。
今の時季は、あまり花を見かけない。
スズランみたいな釣り鐘状の、白い小さな花が枝にいくつも並んでいる木がある。
濃い緑の葉っぱ。
何の花だろう。
そしてこの季節の緑には、紫色がとてもよく似合う。
これは、吉祥寺に住んでいたころに、上水沿いの散歩道でよく思っていたこと。
この季節になると、毎年思い出すような気がする。
歯医者さんは、2ヶ月にいちどの歯石クリーニング。
ツルツルさっぱりとして、「コープさん」で軽く買い物し、汗をかきながらせっせと坂を上って帰ってきた。
ああ、お腹がすいた!
『らんまん』を見ながらお昼を食べ終わったら、『帰ってきた 日々ごはん⑭』の「おまけレシピ」。
残すところ、あと1品。
夜ごはんは、塩鯖のムニエル(ズッキーニ、トマト、バルサミコ酢)、かき玉スープ、太巻き(お昼の残り・「コープさん」の)。

●2023年5月29日(月)雨

ゆうべから雨。
私は8時に起きた。
大寝坊。
中野さんは6時半くらいに起きたみたい。
コーヒーをいれている音がしていた。
朝ごはんを食べ、雨が強くならないうちに、9時半くらいに帰っていった。
中野さんは金曜日から、車でいらしていた。
文子さんとファビオの部屋のカーテンができたので。
とりつけた夜は、ファビオがラグーを作ってくれた。
朝、ママに電話をしてレシピを聞いたのだそう。
スパゲティをゆでたのは文子さん。
ラグーは麺と合わせるのではなく、上にのせていた。
チーズもたっぷり。
おいしかったなあ。
文子さんが作ったレモンチキンと、鯵の南蛮漬け(紫玉ねぎ、トマト、スダチの輪切り)も、とってもおいしかった。
きのうはどこかにドライブに行きたくて、「神戸ゆかりの美術館」に行った。
帰りに、文子さんに教わった甲南漬けの小さな博物館へ。
お蕎麦を食べ、甲南漬けのお店に入ったら、ついこの間、転職したと聞いていた中野さんの友だちが働いていて、びっくり仰天。
買い物して帰り着き、4時くらいから窓辺でビール。
3泊だけだったけれど、なんだか1週間くらい一緒にいたみたいな感じがした。
今日からまた、ひとりの生活がはじまる。
まずは、『帰ってきた 日々ごはん⑭』の、「おまけレシピ」の原稿をひとつひとつ仕上げていこう。
午後になって、雨が本格的になってきた。
霧も出て、窓が白い。
近畿地方は、今日から梅雨入りしたのだそう。
夕方、今日子ちゃんから写真つきのメールが届いた。
うちのマンションは、霧に隠れて見えないのだそう。
夜ごはんは、サンラータン(ズッキーニ、トマト、おろし生姜、青唐辛子の麹漬け)、納豆そぼろのチャーハン。
窓を開けると、雨がまっすぐに、気持ちいいほど降っている。
緑は喜んでいるように見える。
こちらから見ると、街の方こそ霧に包まれ、オレンジ色の灯りだけがちらほらと透けている。

●2023年5月24日(水)晴れ、風強し

ゆらゆら眠って、7時に起きた。
よく眠ったのか、そうでもなかったのか分からないけれど、わりとスッキリ。
きのうは、日暮れ前に帰ってきた。
ああ、とても楽しい取材だったな。
龍神村は、想像以上に山深いところにあった。
大きな川の流れる渓谷沿いの山道を、うねうねと走った。
帰りは取材チームの車で、うちの前まで送っていただいた。
窓からいつも眺めている紀伊半島の海沿いを、西陽が光る海を眺めながら延々走って帰ってきた。
3時間半くらい?
家に着いたら、船に長いこと乗っていたみたいに、体がゆらゆらした。
とても遠いところから、帰ってきたという感じがした。
新幹線や電車とはまた違う移動。
車というのは、自転車の次に人の体に近いものなのかも。
移り変わる場を、景色を、体に取り込みながら移動していた。
取材原稿の締め切りはまだ先なので、ほかの仕事を終わらせてから、じっくり向かおうと思う。
あちこち掃除機をかけ、洗濯。
今日は、「きょうの料理」のエッセイを書こう。
4時過ぎに仕上げ、お送りした。
今は4時半。
海がやけに青いなあ。
今日は風が強かったからだろうか。
夜ごはんは、スパイシー・チキン(鶏肉から出てきた油でズッキーニとパプリカを焼き、器に取り出して、冷やご飯も炒めた。グリーンソース添え)。

●2023年5月23日(月)曇り

ゆうべは雨が降ったみたい。
道路が濡れている。
5時半に起きて、ラジオ。
「中学生の基礎英語1」。
朝風呂に浸かって、支度をする。
今日はこれから、和歌山県の龍神村に取材に出掛ける。
六甲道まではバスで、JRで大阪駅へ。
大阪駅から特別急行に乗って南部へ。
3時間くらいの道のり。
取材チームとは南部駅で合流し、そこからは車での移動。
今朝の天気予報も、萬木敏一さんだった。
気持ちがこもっているのに、風通しよく、爽やか。
森羅万象に対して、敬いの感覚を持ってらっしゃる。
そういうことが分かる声と言い方。
だから好きなんだな。
7時15分。
大阪駅での乗り換えが、なんとなくむずかしそう。
ちょっと早めに出よう。
では、行ってきます。
夜ごはんは、九州の棒ラーメン(小松菜、シナチク)。

●2023年5月21日(日)晴れ

7時半に起きた。
なんだかよく眠れなかったのは、きっと、新しいことが待っているから。
おとついは「きょうの料理」の撮影で、ちよじが泊まった。
中野さんも、つよしさんとの用事で木曜日から泊まりにきていて、金曜日はちよじと共に泊まった。
撮影のあと、廊下で山を仰ぎながらビールを呑んだり、窓辺に移ってからは中野さんがお肉やスッキーニを焼いてくれたり。
私は、ちよじに教わった体操をしているうちに、気持ちが悪くなったりもしたけれど(日本酒を呑んだあとだったので)、久しぶりに、3人で楽しい夜だった。
そしてきのうは、新神戸までタクシーでお見送り。
私と中野さんは、そのまま地下鉄で三宮に出て、元町やメリケンパーク、中華街まで歩いた。
土曜日の観光地はすごい人だったのに。
陽射しが強く、そのうちにふたりともクラクラしてきて、花隈公園で休み、中野さんは新開地方面、私は六甲方面へ。

今日は、ある雑誌の取材で、三宮の「いたぎ家」さんに行く。
長野君がご紹介くださった仕事。
「いたぎ家」さんは、「FARMSTAND」の小泉さんから「おいしくていい店ですよ」と薦められていて、ずっと前から行ってみたいと思っていたところ。
バスに乗って行けるのが、とっても嬉しい。
長野君とも久しぶりに会える。
あさっては、「いたぎ家」さん畑の取材で和歌山の龍神村というところに出掛ける。
原稿を書かなければならないから、緊張しつつもとても楽しみ。
これが、新しい仕事。
では、そろそろ出掛けよう。
今日も暑くなりそうだな。
日傘をさして行こう。

●2023年5月17日(水)晴れ

6時に起きた。
まだぼんやりしていたかったので、英語のラジオはつけない。
7時前、今朝の天気予報は、関西弁のニュアンスが残る、萬木(ゆるぎ)敏一さんだった。
気持ちがこもっていて、声も爽やかで、ラジオの天気予報士さんのなかでいちばん好きな方。
今日は夏日になるそうだ。
これまででいちばん気温が上がるのだそう。
「暑いようでしたら、ためらわずに、クーラーをつけてお過ごしください」
海には霞がかかっていて、空気まで白い。
朝から、小鳥たちがよく囀っていて、騒がしいほど。
今、あんまり大きな声が聞こえたので、2階に上ってみたら、もの干し台のてっぺんにとまっていた。
わ!窓から入ったんだ。
近くに寄ると、驚かせてしまうから、そっと踊り場からのぞいていた。
何の鳥だろう。
ヒヨドリくらいに大きいけれど、ヒヨドリではないみたい。
嘴が細く、長く、少し赤みがかっている?
尾羽が長めのスマートな鳥。
逆光でよく見えないけれど、翼の色は茶色?でも、お腹の方は違う色に見える。
あ、飛び立った!
向かいの建物の屋上のずっと先で、もう1羽が待っていた。
インターネットで調べてみた。
アカハラかも。
囀りは「キョロンキョロン チー。キャラン キャラン ツリー…と、2拍半の明るい声」と書いてある。
お腹はそれほど赤くなかったから、メスだろうか。
あさっては「きょうの料理」の撮影。
支度をひとつづつする。
クロスやエプロンのアイロンがけ。
仕入れのまとめ。
ビーなす(黄緑色の茄子)のイラストを描き、包丁も研いだ。
玄関を開けておけば、風が通るけれど、やっぱりこれまでで今日がいちばん暑いかも。
ちょっと、むわっとする暑さ。
4時を過ぎ、涼しい風が吹いてきた。
ふと窓を見ると、猛々しい緑。
もう、若葉ではない。
いつの間に、こんなに大人葉になったんだろう。
夜ごはんは、塩鯖のムニエル焼きトマト添え(にんにく、バルサミコ酢、バター)。

●2023年5月16日(火)晴れ

5時に起きた。
陽の出の前。
窓を開け、枕を窓の方に移動して目をつむっていた。
小鳥たちが騒がしい。
北九州から帰って、ようやく早起きできるようになった。
文子さんとファビオも言っていたけれど、このごろは陽の出の時刻がずいぶん早くなってきたのだな。
そしてもう、隣の建物に隠れてしまい、まったく見えない。
コーヒーを温め直し、またベッドに戻ってきて、「中学生の基礎英語1」。
ストーリーは去年とまったく違うのだけど、学習内容はほぼ同じなので、復習のつもりでただ聞いているだけ。
ふと気づいたのだけど、今日は、吉祥寺から神戸に荷物を送り出した日。
明日は、ここでの暮らしがはじまった日。
そうか、あの日からもう7年がたったのだな。
きのうで、『帰ってきた 日々ごはん⑭』の再校が終わったので、今日はアルバムのキャプションを書こう。
あと、買い物。
お昼の支度をしているとき、「ピチョピチョピチヨ」と囀りが聞こえた。
ラジオから聞こえているのかと思って、急いで窓辺に走ると、猫森に響くような大きな声。
そのあと、「ホーホケキョ」と鳴いていたから、ウグイスなんだと思う。
まだ鳴いている。
午後から買い物。
まず夙川に行って「成城石井」で軽く買い物、戻ってきて御影で下り、JAのお店で野菜を買い、阪神御影まで歩いてみた。
けっこう近いんだな。
阪神御影の「クラッセ」で、撮影の支度や「おまけレシピ」試作用の買い物。
バスに乗って六甲に戻ってきた。
「いかりスーパー」で足りないものを買い、タクシーで5時半に帰り着く。
ああ、お腹が空いた。
夜ごはんは、焼き厚揚げ(生姜醤油)、絹さやの薄甘煮、納豆(アカモク)、ゆかりおにぎり、切り干し大根の味噌汁。

●2023年5月14日(日)ぼんやりした晴れ、のち雨

きのうの夕方は、文子さんの焼いたパン(カンパーニュ・文子さんは「サワードゥ」と呼んでいた)と、芦屋のおいしいハム屋さん(今日子ちゃんに教わったところ)のプロシュートやパテ、コッパ・ディ・テスタ(いろいろな部位がモザイクみたいに集まった丸い大きなハム)、カリフラワーの丸焼きをごちそうになった。
ファビオが作ってくれたカクテルは、ルビー色のネグローニ(カンパリ、ベルモット、ジン、オレンジの皮)。
何もかもがおいしかった。
カリフラワーの丸焼きは、オリーブオイルを全体に塗って、オーブンで焼くのだそう。
丸のまま盛りつけてあるのを、食べたいだけめいめいナイフで切り取り、緑のソースをつけて食べた。
カリフラワーはやわらかすぎず、硬すぎず、芯のところまでおいしかった。
文子さんの緑のソースは、バジルやパクチーと、カシューナッツ、ヨーグルトをフードプロセッサーにかけて作るそうだけど、きのうのは、冷蔵庫に少しずつ残っていた緑の野菜を全部加えてみたんだそう。
セロリの葉、イタリアンパセリ、青じそ、パクチー、にんにく、カシューナッツ、ヨーグルト。
アンチョビも残っていたので、ちょっと。
すべてがうまく混ざって、ひとつになって、クリーミーでとってもおいしかった。
残りものは、英語で Left over(レフトオーバー)。
私はノートにメモをした。
小雨降るキッチンの窓からは、緑の青々とした匂いが入ってきていた。
リビングの大きな窓は、雨にけぶる白い街、海、空。
うちよりもはるかに、天上から見下ろしている感じ。
遠くの灯りが灯るころ、7時くらいに帰ってきた。
今朝はなんと、10時に起きた。
大寝坊。
朝ごはんを食べ、すぐに「あ」の絵本。
今、さわさわと音がして、お天気雨が降ってきた。
窓は真っ白。
本格的に降ってきた。
ちょっと寒い。
夜ごはんは、チキンコルマ(インドのカレーソースで)、茄子のなたね油焼き、卵焼き(チーズ入り)、塩トマト、豆苗。

●2023年5月13日(土)晴れ

7時ちょうどに起きた。
少しずつ、いつもの時間が戻ってきたみたい。
ゆうべは夜ごはんのあと、いい気になってポテトチップスを食べてしまったので、なんとなく胃が重たかった。
なので、朝ごはんはヨーグルトと紅茶だけ。
植物に水をあげていたら、タイムの鉢から、ムカデみたいなゲジゲジした虫が元気そうにはい出してきた。
慌ててシャベルとクマデではさみ、窓の外に放り投げた。
おお怖い。
でも、土の中には、そりゃあ虫がいるだろう。
洗濯物を干しながら、そよそよと風。
緑の葉が風にそよいで、裏返っている。
それで思い出した。
私たちは雨の日に、ひと晩だけ若松の街で外食をした。
やきとり屋さんから出てきたら、向かいの居酒屋の前で、おじさん、おばさんたちが20人くらい並んで、同窓会のあとの集合写真を撮っていた。
ガヤガヤと動いていた全員が、こちらを向いて、パッと花が開いたみたいな瞬間があった。
それは、撮影しているおじさんが、カメラのシャッターを押したときなのだけど、全員の顔から溢れ出ているものが、あまりにも同じだった。
それは、キラキラとした明るいもの。
陽の当たった、緑の葉っぱ1枚1枚がそよぎ、連なって、ひとつの大きな木になっているみたいだった。
その一瞬のあと、みんなバラバラになった。
私はとても感動した。
さあ今日は、きのうの続きの「あ」の絵本の仕上げをしよう。
ゆうべ、お風呂に入る前に、どうしてもやりたくなって、はじめてしまったのだ。

●2023年5月12日(金)晴れ

7時半に起きた。
まだまだ眠れる、と思いながら。
朱実ちゃんの家で過ごした時間は、どこかの国へ旅をしていたみたいだったから、時差ボケなんだと思う。
でも、やりたい仕事がたくさんあるから、エイッと起きた。
留守の間、フアビオと文子さんに世話をしてもらっていた植木が、元気になっている。
土もふわふわ。
なので、もっと陽当りのいいところに置こうと思い、きのうから2階の窓際へ移動した。
ここは本当に、サンルームのよう。
土もすぐに乾くので、朝と夕方の2回水をあげている。
これまで、かわいそうなことをしていたな。
あちこち掃除機をかけ、座卓を出して、今日からまた『帰ってきた 日々ごはん⑭』の再校正をはじめる。
樹君のCDをエンドレスで聞きながら。
午前中には、7月分が終わった。
窓を開けていると少し肌寒いけれど、よく晴れて風もなく、のほほんとした日。
小鳥の囀りのほかは、音がしない。
あとで、お昼ごはんを食べながら『らんまん』を見たら、アノニマの村上さんと、「きょうの料理」の千葉さんから電話がかかってくる予定。
4時ごろ、『帰ってきた 日々ごはん⑭』の校正は、9月までできた。
早めの夜ごはんは、絹さやの薄甘煮、納豆(あかもく、卵白、ねぎ)、味噌汁(茄子の皮、パプリカ)。
デザートは、ヨーグルトアイスクリーム(朱実ちゃんの友だちのマリリンに教わった)。
ごはんを食べ、2階の窓を開けた。
水色の空、水色の海、若々しい緑の葉。
チューイチューイと小鳥が鳴いている。

●2023年5月10日(水)晴れ

10時に起きた。
大寝坊。
ゆうべは11時には寝たのに、どうしても起きられなかった。
元気なのだけど、やっぱり体はくたびれていたのだな。
北九州からは、おとつい帰ってきて、中野さんはひと晩泊まった。
きのうは新開地までお見送りがてら、試作用の買い物をして帰ってきた。
楽しい、楽しい旅だった。
パソコンを持っていったのに、私はほとんど日記が書けなかった。
後半の2日間は、絵本のテキストをずっと書いていた。
朱実ちゃんとの絵本。
何年前にも日記に書いた、「あ」の絵本だ。
私がパソコンに向かっていると、隣の部屋では、樹君が延々とギターを練習していて、1階からは朱実ちゃんの笑い声が聞こえてきた。
いちど下りたら、中野さんがガラス戸の桟を塗ったり、ガラスに色を塗ったり。
朱実ちゃんはその様子を撮影していた。
しばらくしてまた下りたら、色を塗ったところに絵が削り出され、ステンドグラスみたいになっていた。
朱実ちゃんも描いたそう。
ほかにもいろいろな楽しいことがあったのに、やっぱり日記はほとんど書けなかったな。
私は、朱実ちゃんと樹君とあの家と、タヌちゃん(雌猫)、プリン(雄猫)、中野さんのおかげで、本当にゆっくりできた。
首の痛みがまったくないし、心も体もやわらかくなっている。
今日からようやく仕事モード。
連休前に提出した原稿の校正が戻ってくるので、それを、ひとつずつやっている。
来週の撮影の試作をしたいので、「コープさん」に足りないものを買いにいこうと思う。
風がそよそよ、とってもいい天気。
しっとりと汗をかいて帰ってきた。
夜ごはんは、ガパオとチキンカレーの合いがけごはん、塩トマト(若松の八百屋さんで買った)。

●2023年5月3日(水)快晴

7時15分に起きた。
朱実ちゃんと話していたら、朱実ちゃんが文子さんになっている夢をみた。
じわじわと変わるのではなく、声も体もパッと変わった。
朝ごはんは、樹食堂。
鯵の干物(樹君作)、鰯の丸干し、かぶおろし、ゆでブロッコリー、ハチクの木の芽みそ(朱実ちゃん作)和え、納豆、舞茸の味噌汁、玄米。
何を食べてもぜんぶおいしい。
3人でバスに乗って、戸畑駅へ。
街路樹は、ジャスミンだろうか。
シュロの木もある。
ここは、植物も暑さも神戸とはまったく違う。
南国の感じがする。
戸畑からは、電車で福津駅へ。
特別急行に乗ったら、東京の通勤電車のように混んでいた。
朱実ちゃんたちも、はじめてのことだそう。
恐るべしゴールデンウィーク。
赤間駅で、普通に乗り換えた。
電車は両方とも7分ずつ遅れていたけれど(九州では、電車の遅れはよくあることなのだそう)、ホームでアイスを食べたりしながら、のんびり向かった。
旅をしているみたい。
今日は、いよいよ「うらんたん文庫」で、中野さんの野外公開制作がある。
朱実ちゃんと樹君も参加するし、鎌倉から小野さんと洋子さんがいらっしゃる。
とても楽しみ。
公開制作は、「うらんたん文庫」の薮にできた、ぽっかりとした小さな広場のようなところで繰り広げられた。
入り口に、木の門が立ててあった。
門は観客の方を向いている。
そこに、中野さんが彫刻刀で彫りつけ、描く。
広場を取り囲む、少し低くなったところに、小野さんと洋子さんと3人で腰掛け、学さんが朝摘んでくれた、みずみずしいサクランボや、ヘビイチゴをつまみながら見た。
何が起こるか分からなくて、目を見張っていた。
小鳥の囀り、カラスの声、蜂の羽音、遠くから猫の鳴き声。
中野さんが彫る音。朱実ちゃんが薮を歩き、枝と遊ぶ音、こもったような歌声。
いろいろなところから届く、樹君のギター。
みかんの花の香り、蚊取り線香の匂い。
朱実ちゃんと樹君は、服装のせいもあるだろうけど……、熱帯雨林のどこかの国の原住民が、婚礼のための儀式を担っているみたいに見えてきた。
木の根元に朱実ちゃんが座って、ぐっと寄りかかった背中が見えたとき、木そのものになったみたいだったし。
そして広場は、がしゃむしゃの緑の屋根に覆われたお祈りの場のようでも、人の手で作られた、円形劇場のセットみたいにも見えた。
夜ごはんは、みんなで電車に乗って、隣の駅のうどん屋さんへ。
いろいろな日本酒と、いろいろなつまみ。
何を食べたのだっけ。
ぜんぶがとてもおいしかった。
最後は、うどんで〆。
明日もまた、公開制作の続きがある。
中野さんは「うらんたん文庫」の学さん、美由紀さんと、小野さんと洋子さんは博多のホテルに、私は朱実ちゃん、樹君と一緒に帰った。
同じクラスの友だちみたいに、「また、明日ね〜」といい合って、別れた。

●2023年5月2日(火)快晴

パソコンを持ってきたので、新幹線の中でこの日記を書いている。 
いいお天気。
窓からは緑の山が見える。
走っても走っても、どこもかしこも緑、緑。
小高い山、また山。
緑のなかに、ところどころ白っぽい色が見えるけれど、何の花が咲いているんだろう。
今、備前という文字が見えた。
きのう「MORIS」で偶然お会いした、陶芸家の森本さんは、この辺りに住んでらっしゃるんだろうか。
いいところだなあ。
いつか、行ってみたいな。
朱実ちゃんちの近所のバス停に着くのは、13時4分の予定。
前に、戸畑から若松まで、渡し船では行ったことがあるのだけど、バスははじめて。
さて、ひとりでたどり着けるだろうか。
それもまた楽しみ。
乗り遅れたら、また次のに乗ればいいんだから。
中野さんは今日、「うらんたん文庫」に移動するのだそう。
タッチ交替で、こんどは私が朱実ちゃんちに泊まる。
新幹線の窓からぼんやり景色を見ていると、昔のいろいろなことを思い出す。
暇だからというのもあるだろうけれど、行き過ぎる景色と、移動している体がそうさせるんだろうな。
情緒的というよりも、物理的なことでそうなるのかも。
広島を超えたら、山の色が変わった。
緑のなかに黄土色のような、茶色がかったぼわぼわとした植物がある。
きっと、生態系が違うのだ。
小倉からのバス停が分からなくて、スーツケースを持ったままうろうろし、予定のバスを逃してしまった!
けれど、次のバスで、3時前には朱実ちゃんちに到着した。
樹君はギターの練習。
せっかくいいお天気なので、朱実ちゃんとぶらぶら海の方まで歩く。
古い市場をのぞき、八百屋で長なすと空豆を、アーケードのベトナム食材店で生のピーナッツを買った。
海岸通りで、海を見ながらビール&ナッツ。
風が強くなってきたので、日暮れ前に帰ってきた。
夜ごはんは、囲炉裏を囲んで、焼き鳥などなど。砂肝、ささみ(ターメリック、コリアンダー、カルダモン、ヨーグルトで樹君がマリネしておいたもの)、椎茸、ししゃも、空豆、ベトナムのピーナッツ(鉄のフライパンを囲炉裏の端にのせ、箸でときどき炒りながらつまんだ)、ひよこ豆のディップ(文子さん作)&ゆでブロッコリー、ビール、赤ワイン。
何をしても、何を食べても、何を喋っても楽しくて、おいしい。

●2023年5月1日(月)晴れのち雨

5時過ぎに目覚め、「古楽の楽しみ」。
「中学生の基礎英語1」は、先週の再放送だった。
復習の復習のつもりで聞きながら、カーテンを開けると、ものすごくいいお天気。
白い橋のところに、サンフラワー号は到着しているけど、ファビオのフェリーはまだ見えない。
6時半くらいに窓を開けたら、文子さんがちょうど下の道を歩いていて、お迎えにいくところだった。
手を振り合う。
「おはよう〜」
「見える〜?」
「ううん、まだ。サンフラワー号は見えるんだけど」。
そのあとで、ファビオのフェリーをみつけた。
遠くの湾を通り過ぎていく。
ファビオはきっと、甲板に出ているだろうな。
早起きして、朝陽を見ただろうか。
私も明日から、北九州。
今日はまず、「気ぬけごはん」を仕上げてお送りしなければ。
あと、「六珈」さんにコーヒー豆を買いにいこう。
街は初夏の陽気だった。
うちの方とは、3度か4度くらい違うんじゃないだろうか。
帰りのタクシーの中で、灰色の雲が見えた。
帰り着き、しばらくすると雨。
あっという間に窓がまっ白。
天気予報の通りになった。
ゴールデンウィーク前にやらなければならない仕事は、すべて終わったのだけれど、パソコンを持っていこうかどうか迷っている。
日記も書きたいし、朱実ちゃんと絵本のことをしたいので。
夜ごはんは、大きな卵の海苔巻き(「いかりスーパー」の)、アボガド(文子さんにいただいた・ワサビ醤油)、ほうれん草のおひたし、ゆで大豆の味噌汁(缶詰のコーン)。

●2023年4月28日(金)晴れ

5時半に起きて「古楽の楽しみ」。
久しぶりに早起きができた。
このごろの陽の出は、隣の建物に隠れてしまっていてもう見えないのだな。
でも、ベッドに立ち上がって覗いたら、オレンジの光のすそが見えた。
このところ書き物仕事が忙しく、そしてなんだかやたらと眠たくて、二度寝の習慣がついていた。
きのうは9時まで寝ていた。
そして、カーテンを開けるといつも、緑のきらめきにハッ!と驚くのだ。
霧に包まれていた朝もあったし、雨の朝もあったけれど、緑はいつもみずみずしく、溌剌としていた。
文子さんがうちに来たときに聞いたのだけど、雨上がりの夕方、真っ正面の空に大きな虹が出たこともあるんだそう。
太くてまっすぐな虹は、海と繋がっていて、海に落ちる七色の滝のようだったそう。
私はその日、「毎日のことこと」をずっと書いていて、夕方に書き終え、ふと見ると西陽の当たった街が白く光っていた。
雲も茜色で、対岸に西陽が当たった建物があって、そこだけ線香花火みたいに光っていた。
その光がなくなるまで、2階の窓から見ていたのだけど、虹には気づかなかった。
海のまっ正面に出ていたんだそう。
「写真を撮った?」と聞くと、文子さんはそういうとき、じっと見ているだけで、写真のことなど忘れてしまうんだそう。
そうだよねえ。
気づけばもう金曜日。
今週はまったく日記が書けなかった。
あちこち緑、緑で、私は浮かれてしまい、毎日があっという間に過ぎていった。
ゴールデンウィーク前までに仕上げないとならない、書き物の宿題に向かっていたせいもあるけれど、日記のことを忘れていた。
ちょっと思い出して書いてみよう。
ハンカチを落とした次の日は、文子さんとファビオと「FARMSTAND」でランチを食べ、そのまま車で「コーナン」へ。
屋上の駐車場から私たちのマンションを眺め、「関西スーパー」で買い物をした。
帰ってきて、うちの冷蔵庫にあるものを持って文子さんたちの部屋におじゃまし、西陽の眩しい時間から、またアペリティーボ。
買ってきたばかりのオレンジワインを3人で。
次の日から私は、「毎日のことこと」を書きはじめたんだった。
明日から、福岡の「うらんたん文庫」で、中野さんの展覧会「はじまりのうた ぼくはうたう」がはじまる。
中野さんは今朝、新幹線で旅立った。
そして今夜、ファビオが六甲アイランドから阪九フェリーに乗って向かう。
日本語をほとんど話せないファビオが、展覧会を見たくて、ひとりで出かける。
はじめての日本ひとり旅。
私まで、どきどき。
でも、向こうに行けば中野さんもいるし、あさってはオープニングで朱実ちゃんと樹君が演奏するから、ふたりにも会える。
「うらんたん文庫」の美由紀さんは、福津駅からの言葉の道案内を、ファビオのために中野さん経由で送ってくださった。
船は8時出航だから、早めにお風呂に入って、六甲アイランドの白い橋のところを双眼鏡で見守ろうと思う。
夜ごはんは、アスパラガス、しいたけ、空豆のフリット、中華風アボガド奴、ひじき煮、ハイボール、おせんべい。
お風呂から出て窓を開け、うちの前を通り過ぎるまで見ていた。
阪九フェリーは、サンフラワー号みたいに出航のときに大きな汽笛を鳴らさないけれど、細長い光が、夜のなかを静かに進んでいく様子は厳かな感じがした。
前に、今日子ちゃんとひろみさんが大分に行ったときにもそうだったけれど、さっきまで一緒にいた人が、あの船のどこかの窓にいると思うと、もう、その人のことを懐かしんでいるような、愛しいような、胸が温かくなるような。

●2023年4月22日(土)快晴

今日もまた、風が強い。
朝から『帰ってきた 日々ごはん⑭』の校正の続き。
あと2ヶ月で終わる。
3時には終わり、ポストまで散歩。
そのまま「コープさん」へ。
若々しい緑でいっぱいだ。
帰り道、サツキの花の蜜を吸ったり、山を仰いだり。
坂の途中の家の白い壁に、木漏れ日が映って、きらきらしていた。
部屋に帰り着き、ハンカチを落としたことに気づく。
バスケットの上にかぶせておいたのが、風で飛ばされたんだと思う。
私は慌てて外に出て、今来た道をたどってみた。
すぐにみつかるかと思ったのだけど、ない。
けっきょく「コープさん」まで引き返し、また坂を上って帰ってきた。
どこにもない!
Disapper(ディサピアード)!
それにしても、風で飛ばされたときに、どうして気づけなかったんだろう。
サツキの花とか、緑の山とか、木漏れ日とかばかりに夢中になっていたからだ。
大好きなハンカチだったので、がっくり。
そして、とてもくたびれた。
海が青いな。
風が強いから、空気が澄んでいるのかな。
夜ごはんは、ちらし寿司(「コープさん」のばら寿司を買ってきて、ねぎとろをのせて食べた)、はんぺんのすまし汁、塩もみ人参のじゃこのっけ(酢、ごま油、薄口醤油)。

●2023年4月19日(水)降ったりやんだりの雨と霧

ゆうべは3時くらに目が覚め、カーテンを開けたら、糸のように細い三日月が出ていた。
太陽が昇るくらいの位置に。
空のずいぶん下の方だから、とても大きく。
そして、よく見ないとわからないくらいの細さ。白さ。
しばらく見ているうちに薄らいで、空にまぎれてしまった。
でも、もういちどよく見ると、やっぱりある。
新月が近いんだと思う。
今朝は、6時過ぎに起きた。
「中学生の基礎英語1」を聞き逃してしまった。
続きのレッスンを一通り聞いて、天気予報もニュースも聞いて、ようやく起きた。
パジャマのまま窓を開け、ぼんやり猫森の緑を見ていた。
すると、笑い声が聞こえ、中学生の男の子とギター(多分男の子が学校で使うものだと思う)をかついだ元気なお母さんが下の道を通り過ぎた。
ずいぶん遅れて、小学1年生(多分)の女の子が、重そうなランドセルをしょって、下を向きながらしぶしぶとついてきた。
そしたらお母さんが、女の子に向かって笑いながら声をかけて……その様子が可愛らしく、上からこっそりのぞいていた。
男の子も女の子も、この4月に入学したんだろうなあと思って。
そしたらなんと、ファビオが左側から登場し、ゆっくりと歩いてきた。 「ファビオ!」と声をかけたのだけど、小さな声だったから、届かなかったみたい。
ファビオはジョギングの帰りだろう。
ファビオもきっと、マンションに向かって歩きながら、この親子の様子を見ていただろうな。
そう思うと、とても嬉しかった。
きのうは、今日子ちゃんがレッスンで焼いたというケーキを、ホールで持ってきてくださった。
山羊のチーズで作ったチーズケーキ。
なので、ヒロミさんと3人で夜ごはんを食べた。
今日子ちゃんと一緒にハリッサを作り、ハーブのフリット&カリフラワーのフリット、鶏の中華風おかゆ(春キャベツを大きめに切って、一緒に煮た)。
山羊のチーズは、私ひとりでは食べきれないので、文子さんとファビオにおすそわけ。
メールをしたら、すぐに私の部屋に取りにきてくれた。
クリーム色のモッコウバラ(今日子ちゃんの庭の)もおすそわけ。
文子さんと話しながら、窓の向こうの霧が、風で流れていくのが見えた。
ふたりとも目が離せないのだけど、おしゃべりもしたくて。

さて、今日は2時から神戸新聞のインタビュー。
霧が晴れて、緑が見えてきた。
3時半くらいに終わって、大豆をゆでながら、「きょうの料理」の次回のメニューをまとまた。
霧がまた出てきた。
静かな夕方。
夜ごはんは、目玉焼き納豆(きのうヒロミさんに教えていただいた)のせご飯、ブロッコリーのじゃこ醤油(ごま油)、ゆで立て大豆とゆで汁の味噌汁、ふきの葉の自家製佃煮。

●2023年4月17日(月)晴れ

ゆうべは雨が降っていたみたい。
なんとなしに音を聞きながら寝ていた。
6時に起きて、英語のラジオ。
ほかの番組のレッスンも聞いて、7時に起きた。
10時半からは、裁縫箱の小さな撮影。
写していただいている間に、私は「となりのオハコ」レシピの仕上げ。
おかげで、宮下さんにお送りできた。
カメラマンと編集さんのタクシーに便乗し、六甲へ。
しばらく見ない間に、といっても、部屋にこもっていたのは3日くらいだと思うのだけど、さらにまた緑が増えていた。
このごろは日に日に伸びているんじゃないかな。
サツキも満開。
銀行や、コンビニでの支払いを済ませ、切らしているのにずっとがまんしていたヨーグルトと牛乳も買うことができた。
「MORIS」に向かおうと、踏切を渡り、甲南の方の山を見たら、ものすごく黄緑色。
こんなに黄色っぽい緑は、よっぽどの若葉だっていうこと。
今だけなんだろうと思うと、いてもたってもいられないような気持ち。
「MORIS」に着くと、今日子ちゃんとヒロミさんがちょうど出掛けるところで、本のサインを1冊だけし、3人で六甲道に向かって歩いたのも楽しかった。
ちょっと会わない間にも、おしゃべりしたいことがたまる。
目は痒いし、鼻もぐずぐずしてたいへんだけど、今は一年の間でいちばん気持ちのいい季節。
見ている間に伸びていく若緑。
目が離せない。
ウグイスの囀りもずいぶん上手になってきて、毎朝、涼やかな清水のような声が緑に響き渡る。
たっぷり買い物をして、帰りのタクシーの窓から六甲の山を仰いだ。
本当に、今しかない景色!
帰ったらまだ1時半だった。
遅いお昼ごはんを食べ(スーパーのコロッケ、おにぎり(おかかを混ぜたもの)、ブロッコリー(ごまダレ)、ふきと豆腐の薄味煮、ふきの葉の佃煮、切り干し大根の味噌汁)、先月分のレシートをまとめ、現金出納帳をつける。
そうだ。
今日はじめて見たのだけれど、六甲駅の巣にもツバメが帰ってきた。
夜ごはんは、ラーメン(ほうれん草、ゆで卵、ワカメ、シナチク、ねぎ)。

●2023年4月15日(土)雨のち曇り

ゆうべは目がかゆくて、夜中に目が覚めた。
黄砂のせいかな。
それからはなかなか寝つけず、二度寝して、寝坊した。
もう8時半!
きのうは、「となりのオハコ」の原稿を書き上げ、ビニールゴミを出しにいこうとしたら、トン、トンと階段を下りてくる音がして、ファビオにばったり会った。
これから文子さんと、「JA兵庫御影店」でお買い物し、お好み焼きを食べにいくとのこと。
私はさっき、また文子さんと一緒に「JA兵庫御影店」買い物したいなあと思ってメールをし、お返事を待っていたところだった。
「うちのリフリジエーターは今、カラッポ」と言うと、ファビオが「カラッポ、カラッポ」と繰り返し、気に入ってくれた。イタリア語みたいなんだそう。
そのあとでけっきょく、私も一緒に車に乗せてもらって、買い物&お好み焼きを食べにいくことになった。
住吉の住宅街にあるお好み焼き屋さん。
元気なお姉さん二人が、目の前で焼いてくれた。
豚天(塩で食べた)とねぎ焼きがおいしかったな。
ちょっと食べすぎたので、今朝はヨーグルト(甘夏、いちご)だけ。
そして今日はまた、夕方から文子さんとハリッサを一緒に作ることになっている。
4時半くらいにうちにいらっしゃる。
それまで、「となりのオハコ」の続きをがんばろう。
3時過ぎ、ひとまず書き上げ、宮下さんにお送りしたところ。
雨上がり、窓を開けるとみずみずしい緑の匂い。
さ、文子さんがいらっしゃるまで、レシピを書こう。
夜ごはんは、文子さん、ファビオと3人で。ハーブとラディッシュのフリット、しいたけのフリット、スパイシーシチュー(文子さん作・豚肉、玉ねぎ、じゃがいも、いんげん)&クスクス&ハリッサ、ハイボール、ワイン。

●2023年4月12日(水)雨、一時晴れ

6時に目覚めて英語のラジオを聞き、二度寝。
まだまだ寝ていられそうだったけど、8時に起きた。
小雨のなか、ウグイスが鳴いている。  
澄んだ水のような声。
とても上手に鳴いている。
窓を開けると、いろいろな色の若葉が雨に濡れながら揺れている。
葉っぱに水がしみ込んで、葉っぱの方から青々とした香りの粒を発散している。
ああ、いい匂いだな。
長袖のTシャツだけでは肌寒いので、カーディガンを羽織った。
さあ、今日から「となりのオハコ」の原稿を書きはじめよう。
お昼ごろに晴れ間が出てきた。
そしてまた、雨。
「となりのオハコ」は半分くらい書けた。
夜ごはんは、焼きそば(白菜、牛コマ切れ肉、きのこのオイスターソース風調味料)。

●2023年4月11日(火)薄い晴れ

ぐっすり眠って、7時半に起きた。
旅の洗濯物をたっぷり干していたら、強い風。
肌寒いけれど、海が青い。
小鳥たちが盛んにさえずっている。
聞いたことのない澄んだ声。
若いウグイスかな。
中野さんちからは、きのう4時15分の電車で帰ってきた。
タクシーがなかなか来なかったので、家に着いたのは6時過ぎ。
どうも顔がひりひりすると思ったら、私は陽に焼けていた。
ユウトク君たちが始業式から帰ってくるのを待って、お宮さんでまた野球をしたり、自転車で池に行ってサッカーをしたり。ぎりぎりまで遊んだから。
中野さんとソウリン君がふたりでサッカーをしている間、私はユウトク君と池の畔で遊んでいた。
遊ぶといっても、ふたり並んで池の中をのぞきこんでいただけ。
「小さい魚がおるなあ」とか、「5匹になった」とか、「あ、1匹になった」とか。
私「カメが首を出してる」「あ、また出した」とか。
私「水、冷たいかな」
ユ「触ってみてもいいで」とか。
ただそれだけなのに、いつまでもそうしていられそうだった。
楽しかったな。
中野さんちのまわりは今、生きものでいっぱい。
子どもたちはもちろん、セキセイインコのピー助もぐんぐん成長しているし、空き地にはクローバー、シロツメクサ、アカツメクサ、カラスノエンドウ、キツネノボタン、タンポポ、レンゲ。
親ツバメは夜になると、巣にかぶさって眠る。
部屋の中もまっ暗で、とても静かなのだけど、かえって生きものに囲まれている感じがした。

今日は、あちこち久しぶりに掃除機をかけた。
たまっていたメールのお返事と、思い出しながら日記を書いているうちに、もう5時。
うちの窓も、気づけば若緑でいっぱいだ。
夜ごはんは、肉じゃが(いつぞやのを温め直し、ゆでた絹さやを加えた)、ひじき煮とじゃこのすりごま和え、茎ワカメの佃煮(ヒロミさんにいただいた)、お粥。

●2023年4月9日(日)晴れ

明日から新学年なので、春休み最後の日。
6時45分に起きた。
(中野さんちは、生きものに囲まれているなあ)と思いながら寝ていた。
朝方に、いろんな夢をみた。
朝ごはんを食べ、9時半に中野さん、お姉さん、ソウリン君と4人でお肉屋さんへドライブ。
今日は庭でバーベキューをするので。
いろんな種類の牛肉、豚肉、レバー、味つけされたお肉、骨付きソーセージなどたっぷり買った。
揚げたてのコロッケも。
お昼ごはんのあと、お宮さんでサッカー、野球。
私はバットが苦手だと思い込んでいたのだけれど、以外と球が当たり、けっこう遠くまで飛んだ。
ボールがやわらかいから、気が楽。
なんだ、こんなに楽しいんじゃん。
3時くらいから炭を起こし、庭でバーベキュー。
お肉いろいろ、椎茸、長ねぎをタレにつけながら食べ、焼きおにぎりも食べてお腹いっぱい。
夕陽が沈むまで、ユウトク君、ソウリン君は、空き地で演芸会(変な顔をしたり、変な動きをしてふざけているところを私たちに見せる)。中野さんと私はビール。
大きなまん丸が、屋根に隠れるまで見ていた。
帰りのあぜ道で、「やさしい色のアマガエルがおるで」とソウリン君。
つかまえて、庭の池に逃がしてやった。 
カエルのつかまえ方で思い出した。
きのう、私が上から手をかぶせてつかまえようとしたら、「なおみさん、生きものをつかまえるときは、上からしたらだめです。下からそっと手を出すと、自分から乗ってきます」と中野さん。
何度教わっても、すぐに私は忘れてしまう。
このことは、人や物、出きごとに対しても同じだよなあと思うのだ。
夜、お風呂の前に、ユウトク君とお義兄さんとピー助に餌付け。

●2023年4月8日(土)晴れ

雨上がりの朝。
6時に起きて、英語のラジオ。
お昼過ぎの電車で、中野さん宅へ。
急に泊まりにいくことになった。
選挙は、木曜日のうちに不在者投票に行っておいたし。
ユウトク君とソウリン君の春休みに、すべり込みセーフ。
セキセイインコのピー助の餌付けが終わってしまう前に、ユウトク君があげるところを見たかったので。
週明けの月曜日が始業式で、ユウトク君は5年生、ソウリン君は2年生になる。
神戸電鉄の車窓は、青空に雲がぽっかり。
夏の雲みたいにくっきりしている。
淡いピンクの山ツツジが、とてもきれい。
電車の中は陽当りがよく、志染駅に停車していたとき、ふと、どこか外国を旅しているような気分になった。
とことこと、ゆっくり進む。
ユウトク君、ソウリン君、中野さんが車でお迎え。
スーパーでお姉さんに頼まれた買い物をした。
ココナッツミルクの缶詰がどうしてもみつからず、うろうろ。
二組に別れて探し、私とユウトク君がみつけた。
家に着いて、今年植えた庭の花やハーブを見ているとき、ピーちゃんのお墓の前にかがんでいるとき、お天気雨がぽつぽつ降った。
そして、裏口からいつものように入ろうとしたら、親ツバメが飛んできてエサをあげていた。
ツバメの雛は、孵ったばかり。
どうして分かるかというと、親がエサをやるたびに、ヒナがピャアピャア鳴くから。
台所の窓から声が聞こえるので、「いつの間に卵を生んだんやろ。ぜんぜん分からんかった」と、お姉さん。
「あ、あの子(親ツバメのこと)がまた来てる」と言っていたから、中野さんだけは気づいていた様子。
ゆうべ、孵ったのではないかとのこと。
ピー助は水色。
思ったよりもずっと大きくなっていた。
26日に鳥屋さんで買ったと聞いていたから、まだ2週間くらいしかたっていないのに、日に日に育っていったのだそう。
薄力粉と炭酸水を買いに、近所のスーパーへ。
寒いけれど、陽射しはたっぷり。レンゲ畑、クローバー畑に挟まれた道を自転車で走り抜けた。
きのうの取材のあと、北野のスパイス屋さんで買ったパパドを揚げたら、みんな大好きだった。
ユウトク君、ソウリン君は、揚げたてパパドを紙に包んで、私と中野さんは缶ビールを持って、沈みかけた夕陽をいつもの空き地に見にいった。
夜ごはんは、キーマカレー&タイカレー(お姉さん作。茄子、ゆで筍、しめじ、ミニトマト。お姉さんはいつも水1カップ分増やし、トリガラスープの素、砂糖、はちみつも少し多めに加えて作るのだそう。サラッとしているのにコクもあり、とてもおいしかった)、ディル、ルッコラの花、春菊のかき揚げ風フリットと椎茸のフリット(私作)。
夜、ピー助の餌付け。
ユウトク君の指にとまって、とても小さな声で鳴く。
ふだん鳴いているのとはまったく違う声。
甘えているのだそう。
お義兄さんがエサをあげると、カカカカと首を動かしてよく食べる。
私の肩にもとまって、なつっこい。
首筋の生え際あたりにもぐって、つついたり、噛んだりしている。
ピーちゃんは噛むと痛かったけれど、ピー助のはちっとも痛くない。
つかまっている足の指の温かさ、頭や体のほの温かさ。
小さくて儚いけれど、すごく生きている。

●2023年4月7日(金)雨

ゆうべから降り続いている雨。
しっかりとした雨。
6時に起きてラジオをつけた。
「中学生の基礎英語レベル1」「レベル2」、そして、英語だけしか話さない「中高生の基礎英語」。
クラシックの小さな番組、天気予報を聞いて、ニュースを聞くのがこのところの日課。
そのあと、これまではクラシックの好きな番組をやっていたのだけれど、4月から時間がずれた。
そのかわりに、ビジネスマン向けの英会話の番組がふたつある。
むずかしいので、この時間にお風呂に浸かって、身支度しながらまたラジオをつけて聞いている。
うすぼんやり分かったり、まったく分からなかったり。
なんとも英語三昧の朝。
それにしてもしっかりとした雨。
雨粒が窓に当たって、水族館みたいになっている。
霧も出ている。
雨の音しかしない。
いろいろな音がこもって聞こえる。
今朝いただいた文子さんからのメールには、「海の中にいるみたい」と書いてあった。
本当にその通り。
今日はこれから、「となりのオハコ」の取材で、三宮に出かける。
バスで行こうと思うのだけど。
雨雲レーダーで調べたら、そろそろ小雨になるようなのだけれど……10時を過ぎたら、家を出ようと思う。
夜ごはんは、味噌スープ(いつぞやのショートパスタ、ブロッコリー、豆腐、牛乳)。

●2023年4月5日(水)曇りのち雨

朝から「毎日のことこと」。
北九州でのことを書いている。
きのう、りうと風子に洗濯物を干してもらっている間、1時間ほど集中したおかげで、10時半には仕上げ、お送りすることができた。
締め切りに間に合った!
風子は4月から4年生。
大きな声で騒いだり、はしゃいだりしない子だった。
興味のあるものをじっとみつめ、淡々としている。
そして、言うことがおもしろい。
私の『神戸だより』の番組が気に入って、何度も見ているそうで、好きなシーンのナレーターの口まねをしたりして。
ほとんど暗記していて、びっくり。
朝ごはんに、ヨーグルトをクリーミーにするのをやりたいとか、ヤカンをのせて焼いたはちみつトーストが食べたいとか。
窓辺にちんまりと腰かけ、同じようにして食べていた。
りうによると、学校の成績はオールAとのこと。
お風呂から上がって、「風子の髪の毛は、いつもくしゃくしゃなの」と自分で言うので、からまっているところをクシでといてからドライヤーで乾かしてあげたら、シャンプーのCMみたいにサラサラになった。
それをすごく喜んで、きのうも出かける前に髪をとかし、ゴムで結んであげた。
ふたつで結んで髪飾りをつけたりするよりも、下の方でひとつに結ぶと、すごく可愛らしい。
あごと頬っぺたの線が出るからだろうか。
それに、生え際の初々しさといったら!
りうは、子どもたちに何でも自分でさせていて、あまりかまわない。
そういうのもいいなあと思うのだけど、私は自分の娘の髪をとかしたり、結んであげたりするのが夢だった。
そして、いちばん驚いたのは、りうも風子もものすごくよく食べること。
一日に5食。
うんちも日に3回出るんだそう。
よく食べ、よく笑い、体を動かし、ぐっすり眠る。
くったくのない母と娘。
誰に似たんだろう。
きのうは、六甲駅までバスに乗り、JRで須磨海岸に行った。
駅前で揚げもの(りうはざっくりしたパン粉のミンチカツ、風子はチーズコロッケ、私は玉ねぎ串カツ)を買い、海を見ながら揚げたてを食べた。
おにぎり(いかなごの釘煮)、白パンの卵サンド、ハンバーグの残りもぺろりと食べていた。
靴下をぬいで、私もりうも風子も砂浜で遊んだ。
りうと私が話し込んでいる間も、風子はひたすらきれいな貝殻を集めていた。
2時間くらい。
帰りもまたJRに乗って、私は三宮で下り、ふたりは新大阪に向かっていった。 「楽しくておいしくて気持ちのいい、むちゃいい旅だった!やば ありがとうみい。お弁当、ちょーいいの買った。牛タン弁当塩味 わたしと風子に1個ずつ。ウニカニいくら弁当、じーじ家と、とーとにお土産で1個づつ。あとは、本屋でわたしは流行の恋愛小説を 笑、風子は心理テストとポケモンのクイズを買ってゆっくりしてるとこー」と、りうからメールが届いたのだった。
今日は、海に霞がかかっている。
窓を開けると肌寒いけれど、閉めていれば長袖のTシャツで充分過ごせる。
ああ私、ようやくいつもの暮らしに戻ってきたみたい。
夜ごはんは、醤油ラーメン(ゆで卵、ちんげん菜)、ゆで小松菜(ひじき煮を和えた)。

●2023年4月3日(月)曇りのち晴れ

朝起きて、ラジオをつけたら、「中学生の英語講座レベル1」がちょうどはじまったところだった。
6時に起きることができた。
とても久しぶり。
今日から、新しいストーリーがはじまった。
今年もまた、最初のステップに戻って、復習のつもりで英語の学習を続けよう。
朝ドラも、今日が1回目。
そして今日は、りうが風子と茨城からやってくる。
風子に会うのも、はじめて。
どんな子だろう。
楽しみでならない。
さっき、神戸空港に着いたとメールがあったけれど、私は10時半に家を出て歯医者さんに行かなければならない。
そのあと八幡さまで落ち合い、「MORIS」へ。
なんと、今日子ちゃんがランチをごちそうしてくれる!
出かける前に、「毎日のことこと」の続きをがんばってやってしまおう。
今日子ちゃんのランチは、ベビーリーフと文旦のサラダ(梅酢)、コッテージパイ(マッシュポテトの下には合いびき肉と刻んだ牛肉、小さなレンコンもたくさん入っていた)、ノンアルコールの白ワイン。
コッテージパイは、お肉の部分がしつこくないのにこくがあり、マッシュポテトもふんわりねっとり。
いくらでもおかわりしてしまいそうだった。
ああ、おいしかったなあ。
軽く買い物をして帰り、夜ごはんを作りながら、窓辺でりうとビールを飲んだ。
そんな気はちっともしないのだけど、私たちは5年ぶりに会ったのだそう。
つもる話があちこちに飛びまわり、つまみはポールウィンナー、塩豆、「いかりスーパー」の海苔巻き2種(マグロ、鯛と大葉)。
夜ごはんは、煮込みハンバーグ(緑さんのレシピで)、ゆでブロッコリー、ご飯をひと皿盛りに。
今日子ちゃんのところで、ナイフとフォークをはじめて使った風子は、夜ごはんでもまた挑戦していた(主にフォークで食べていたけれど)。
順番にお風呂に入って、10時には寝た。
風子に「みいばあ」と呼ばれることが、うれしくも、いやでも、恥ずかしくもない普通の気持ち。
多分、スイセイと別れても、りうの子どもたちには、これからもずっと「みいばあ」と呼び続けられることだろう。
そのことは、じんわりとうれしいような。

●2023年4月2日(日)晴れのち曇り

きのうはひと月ぶりの整体。
早めに夜ごはんを食べ、顔だけ洗って、6時半にはベッドに入った。
ごはんのあと片づけをしている辺りから、体が熱っぽく、動くのがたいへんだった。
そのまま熱を帯びながら、沈み込むように眠り込んだ。
夜中に何度か目覚めたけれど、そのたびにまた眠りの方に引き込まれた。
今朝起きてみたら、体がやわらかくなっている。
北九州でちょっと無理をしてしまったので、首がカチカチだったのも、膝が痛かったのも、とても楽になった。
ほとんど治った。
すごいなあ。
さ、今日から「毎日のことこと」を書かないと。
明日は、りうが次女の風子を連れて泊まりにくるので、今のうちにもぐっておかないと。
窓辺に立つたびに、若緑が伸びていて驚く。
季節の方が早く、とてもついていけない。
でも、中野さんがいる間に、夙川にお花見に行けたし、その日の夕方には、文子さんとファビオと4人で、山桜を見ながらアペリティーボもできた。
楽しかったなあ。
夜ごはんは、フジッリ(ブロッコリーも一緒にゆで、文子さん作のラグーで和えた、パルミジャーノ)。

●2023年3月30日(木)晴れ

春爛漫。
桜も満開。
北九州ではいろいろな、たくさんの楽しいことがあって、向こうにいる間はまったく日記が書けなかった。
メモもとれなかった。
写真も、ほとんど撮れなかった。
帰ってきたのは、一昨日の夜だったのだけど、翌朝起きてみたら体がばらばらになっていた。
あちこち痛くて、大量の洗濯物を洗って干したらパタンと力つき、お昼寝。
そのあと、朱実ちゃんと作ろうとしている絵本のテキストに向かっていた。
はじめて書いたのは2015年(テキストに記録があった)。
この絵本が、また動き出した。
今日あたりからようやく、神戸に帰ってきたなあという感じがする。
荷物が届いたり、たまっていたメールのお返事を書いたり、掃除機をかけたり。
ひとつひとつやっている。
春は、なんだかめまぐるしい。
「オペレーション・テーブル」でのこと、忘れないうちに少しずつ書いていこうと思うのだけど、まだ無理みたい。
まわりの方が早くて、追いついていけてない。
今日はこれから、中野さんがいらっしゃる。
文子さんとファビオも、大阪のご実家から帰ってきたみたい。
夜ごはんは、穴子丼(森本さんが送ってくださった、備前の焼き穴子。ゆで小松菜、紅ショウガ、のり)、スナップえんどうの味噌汁。

●2023年3月22日(水)晴れ

6時半に目覚め、ラジオ。
もうとっくに明るくなっている。
このごろの陽の出は、6時くらい。
海の光もずいぶん変わってきた。
今日は、初夏のはじまりみたいな日。
これから気温がぐんぐん上がり、23度くらいになるのだそう。
ラジオからは邦楽が流れていて、それがぴったりののんきさ。
さて、少し早いけれど、美容院と図書館へ出かけよう。
桜はどんな具合かな。
神社のあたりで、小学生が坂を上ってきた。
工作がはみ出した袋を持ったりして、なんとなしにみんな荷物が多い。
明日から春休みなんだろうか。
マスクをはずしている。
大人たちも、マスクをはずして歩いている人の方が多い。
私もそのひとり。
こんな日がやってくるとは、去年はとても思えなかった。
桜は一分咲きくらいだった。
ユキヤナギが満開、レンギョウの黄色い花も満開、コブシも満開。
帰りに「MORIS」に寄った。
今日子ちゃんもヒロミさんも、とっても元気そうだった。
夜ごはんは、炊き込みご飯(油揚げ、しめじ、鶏胸肉)、味噌汁(スナップえんどう、油揚げ)、鶏胸肉のオイル焼き、出てきた油で小松菜を炒めた、人参サラダ(バルサミコ、オリーブオイル)。

●2023年3月21日(火)曇りのち雨

肌寒い朝。
今日は春分の日だそう。
しばらく坂を下りていないけれど、桜は咲いているだろうか。
なんとなく、静かな感じのする日。
でも、嵐の前の静けさのような感じもする。
きのうは、『帰ってきた 日々ごはん⑭』の粗校正をがんばり、あとひと月を残すところとなった。
早い夕方に、赤澤さんとのトークイベントのアーカイブ動画を見た。
窓辺でワインを飲みながら、にやにやしながら。
赤澤さんと会話が噛み合っていないところがあり、ぷっ!と吹き出したところがいくつかあった。
これは、いつもの私たちの感じ。
画面の中の私は、鼻水をすすってばかり。 「花粉症なので、鼻がぐずぐずしていてごめんなさい」と挨拶しておけばよかったな。
でも、私は思っていたよりも早口でなく、安心した。
今日もまた、『帰ってきた 日々ごはん⑭』の粗校正の続き。
23日(木)の朝に、北九州へ旅立つので、ゆるりゆるりと支度をしながら動こうと思う。
なんとなくお腹を壊しているみたい。
窓の外は霧で真っ白。
『帰ってきた 日々ごはん⑭』の校正は、4時くらいに終わった。
冬の日記がとてもよかった。
コロナのせいもあり、神戸に残ってひとりで迎えることになった大晦日の日記で終わる。 
大晦日の日記を読み終わったがとき、このところのいろいろな出来ごともぶじに着地し、しめやかに幕を閉じようとしているみたいな気持ちになった。
夜ごはんは、かき玉お粥(百合根、干し椎茸、おろし生姜)。

●2023年3月19日(日)晴れ

10時ちょっと前に起きた。
まだ眠れる、まだ眠れると思いながら、いくらでも眠れる感じだった。
朝風呂にゆっくりと浸かり、身繕いをして窓を開けると、文子さんが縦長の紙袋をふたつ抱え、どこかから帰ってきたところだった。
なんというタイミング。
嬉しくて、「おはよう〜」と手を振り合う。
文子さんは、焼きたてのバゲットがあったからと、「トレプチ」で私の分まで買ってきてくださった。
まだ温かいパンを受け取り、 バターをつけて朝ごはん。
ああ、おいしい!
きのうのトークイベントは、楽しかったな。
なんだか東京を思い出した。
赤澤さんといると、いつも小さな竜巻が起こる。
面食らいながらも、私はぐるぐると巻き込まれるままを楽しんだ。
トークのとき、私は少し、早口になっていたんじゃないだろうか。
イベントが終わって、阪急梅田の駅中の飲み屋さんで、ビール&ハイボール。
おいしいお刺身やレバ刺し、鰻の肝の炙り焼き、白子の天ぷら、カキフライ、ワサビ菜の甘酢和えなどいろいろいただいた。
阪急電車のホーム近くのカフェで、コーヒーとケーキを食べ、10時には六甲に帰ってきたのだけれど、週末の大阪は溢れんばかりの人の多さだった。
夜遅くに出歩くことも、めったになくなった私。
六甲駅に着いたら、静かで、暗くて、ほっとした。
ああここは、私の居場所だなあと思った。
お風呂に浸かってすぐに寝たのだけど、なかなか寝つけなかったのは、どこかが昂っていたんだと思う。
今日はすみずみまでよく晴れ、小鳥たちも盛んにさえずっている。
ツクピーツクピーとシジュウカラ。
風はひんやり、海が青い。
どこかから、花の香りが漂ってくる。
ああ、六甲はやっぱりいいところだなあ。
今日の仕事は、「となりのオハコ」と、「気ぬけごはん」の校正。
あとは何もしないことに決める。
夜ごはんは、ほうれん草の炒め物、味噌味のインスタントラーメン(白菜、ゆで卵)。

●2023年3月18日(土)小雨のち晴れ

ゆうべは3時くらいにいちど目が覚め、うとうとしながら雨の音を聞いていた。
また眠って、起きたら7時半だった。
寝坊した!
でも、今日のトークイベントは3時からだから、ゆっくり、ゆっくり。
雨だから洗濯もしないぞ。
10時くらいに朱実ちゃんから電話。
久しぶりにいろいろ話す。
主には北九州「オペレーション・テーブル」での3日間のイベントについて。
ああ、がぜん楽しみになってきた。
まだ席が空いているようなので、詳しくは、アノニマ・スタジオのHPをご覧ください。
『帰ってきた 日々ごはん⑭』の粗校正をやっていたら、晴れ間が出てきた。
雨の予報だった気がするけれど。
赤澤さんは、強力な晴れ女なのかも。
久しぶりに会えるのが、じんわりと嬉しい。
お昼を食べたら、のんびりと坂を下りよう。

●2023年3月17日(金)曇りのち雨

6時前に目覚め、「古楽の楽しみ」。
そして、英語のラジオ。
今朝は曇っていて、陽の出が見えない。
カーテンを開けたら、ファビオと文子さんが下の道を歩いていて、ちょうどうちの窓を見上げたところだった。
「おはよう〜」と、手を振り合う。
ふたりは朝のお散歩。
と、ここまで日記を書いていたら電話があり、文子さんがみりんを持ってきてくださることになった。
灘の酒粕で仕込んだ本みりんなのだそう。
お茶をしながら、30分ほどおしゃべり。
文子さんは車で出掛けていった。
そうそう。
きのうは、4時まで『帰ってきた 日々ごはん⑭』の粗校正をして、郵便局まで散歩した。
坂の途中の桜は、ほとんどの蕾がほころんで、ピンク色がのぞいていた。
龍の神社でお参り。
大きい方のお社で祈っているとき、ぽつん、ぽつんと雨が頭に当たった。
お天気雨が降ったということは、私の願いは天につながったということ。
ここにはまだ書けないけれど、おとついもきのうも神社でお祈りしていることがある。
そうか、叶いますように。
帰りは往きよりもさらに蕾が割れ、ピンクがたくさん。
ゆうべは雨が降ったようだけど、今日あたり、もしかしたら開きはじめているかも。
さて、今日もまた『帰ってきた 日々ごはん⑭』の粗校正の続きをやろう。
この巻は、2020年の7月から12月までの日記なのだけれど、いろいろなことを忘れていて驚く。
とくに、ひとりでいるときのことをすっかり忘れている。
中野さんの家族や、東京の友人たちと一緒にいたときのことはよく覚えているのだけど。
どういうことなんだろう。
明日は、赤澤さんとのトークイベントなので、今日は早めにお風呂に入って寝よう。
なんだか肌寒いし。
夜ごはんは、ひじき煮の白和え、人参の塩もみサラダ(ファビオのバルサミコ、オリーブオイル)、ごぼうと人参のサラダ(玉ねぎドレッシング、ねり辛子、マヨネーズ、ディル)、卵サンド(コッペパン)、豚汁スープ(いつぞやのに牛乳を加え、黒こしょう)。
夜になって雨。とても静かな雨。
今夜は、雨の音を聞きながら眠ろう。
文子さんとファビオも聞いているかな。

●2023年3月15日(水)晴れ

7時15分に起きた。
このところすっかり夜型になってしまい、朝寝坊が続いていた。
陽の出は見ていないけど、それでも少しずつ早起きできるようになったきた。
ゆうべは夜中に目が覚めてしまい、柱時計が1回から4回まで聞こえていた。
明け方、寝室に黒い煙が渦巻いていて、「出ていけー」「出ていけー」と私は叫んだ。
寝言を言うときの、言い方で。
ものすごく低い声が出ているのを自分で知りながら、大声で何度も、何度も。
怖かったけれど、それは私の不安の影だと分かりながら。
黒い煙はツヤがあり、長い毛を持った動物の尻尾みたいにうねっていた。
半分は夢うつつだったけど、多分本当に見え、声を出したのも現実だと思う。
消えていったのが分かり、疲れ切って、コトンと寝てしまった。
今朝はすみずみまでよく晴れ、窓を開けていても暖かい。
海は霞がかかり、洗濯物を干しているとき、太陽の下の海が広く平らに光っていた。
さざ波立って、細かく細かく光っている。
いつのころからか、もう鏡のようには光らなくなった。
季節は確かに動いているのだな。
さ、今日こそは、『帰ってきた 日々ごはん⑭』のパソコン内での粗校正をはじめよう。
そして午後からは、もしかしたら「MORISS」へ。
次の展覧会の設営のお手伝いに、馳せ参じるかも。
きのうのうちに眼科に行って、目薬をもらってきたおかげで、目の痒みが治まっているのもとてもありがたい。
「MORISS」から、6時くらいに帰ってきた。
坂の途中の桜の蕾はまん丸、六甲の交差点のハクモクレンの大木は、満開だった。
紫色の方は、ぼちぼち。
今日子ちゃんのお手伝い、さんざんおしゃべりし、そのあとで集中しながらひとつひとつの器を取り出していった。
口も体も思い切り動かして、楽しかったな。
作家さんの器を見ていたら、どうしても豚汁が食べたくなったので、ごぼうとコンニャクだけ買って帰ってきた。
夜ごはんは、豚汁(豚バラ肉、大根、人参、ごぼう、コンニャク、さつまあげ)、即席塩鮭、手作り昆布の佃煮、大根のキムチ、ご飯。

●2023年3月13日(月)曇りのち晴れ

ゆうべは雨と風の音を聞きながら寝た。
春の嵐のようだった。
今朝届いた文子さんのメールには、雷がゴロゴロ鳴って、稲妻も白く光っていたのだそう。
私は気づかなかったのだけど、冒険チックな夢をみていたのはそのせいだったのかも。
朝には雨が上がっていて、窓を開けたら寒くて驚いた。
コーヒーをひと口飲んで、ハーッとしたら、息が白かったもの。
そのうちに晴れ間が出て、中野さんは朝ごはんを食べ、10時半くらいに帰っていった。
お見送りしながら坂を下り、久しぶりに夏の小径を通って帰ってきた。
最後の坂が、ものすごく急に感じた。
文子さんにメールを送る。
「今日は、JA御影のキャベツで、ロールキャベツを作りたいなあと思います。ディルもあるし。
文子さんとファビオは、ロールキャベツが好きですか?
私のは、キャベツを2重に巻いた、あっさりめ。
少なめのスープ&キャベツから出る水分でコトコト煮ます。
残ったら、ホワイトソースとチーズでグラタンにしてもおいしいんです。
今日、夕ごはんでこしらえるので、よかったら、おしそわけします。
でも、うちには今、チキンブイヨン(私はマギーブイヨンを使っています)とバターがありません。
もしも文子さんのキッチンにあるようでしたら、お借りしてもよろしいですか?」
文子さんは、淡路島の玉ねぎや人参、セロリ、キャベツ、にんにくなどが入っている神戸産のパックのおだしと、バター(バターケースのまま)を持ってきてくださった。
2時半からは、アノニマの村上さんと『帰ってきた 日々ごはん⑭』についての打ち合わせ。
ロールキャベツを久しぶりに作った。
今、煮込んでいるところ。
6時前に、ファビオと文子さんがお鍋を持参でやってきた。
しばしおしゃべり。
夜ごはんは、ロールキャベツ、ひじき煮(いつぞやの)、納豆(卵)、切り干し大根の味噌汁。
ロールキャベツがとてもジューシーに、おいしくできた。
お肉がふわふわなのは、豚ひき肉150gに、牛コマ切れ肉を細かく切ったのを150g加えたからかも。
ディルを刻み、スタッフィングに加えて練ったのもよかった。

●2023年3月11日(土)晴れ

今朝はきのうよりも、さらに暖かい。
そして私は、一昨日あたりから鼻がぐすぐす、目も痒い。
今年もまた花粉症の季節がやってきた。
もしかして治ったのかも……と楽観していたのだけど、そんなことはなかった。
さて、今日から私は、『帰ってきた 日々ごはん⑭』の粗校正をはじめよう。
夕方には中野さんがいらっしゃる予定。
けれど、『帰ってきた 日々ごはん⑭』はファイルを正しく開けられず、けっきょく校正はできず仕舞。
週末なのだから休みなさい、ということかも。
きのうは「Happy Friday!」だったのだし。
あちこち掃除をし、文旦の皮で今、マーマレードを作っているところ。
部屋じゅうがいいにおい。
今日は初夏のように暖かく、玄関を網戸にしているくらい。
早い夕方に、「スペース草」から中野さんが帰ってらした。
夜ごはんは、ポークソテー(ワサビバター醤油ソース)、ルッコラ(ファビオの実家のバルサミコ、オリーブオイル、塩)、かぶと油揚げの甘辛煮、大根キムチ。

●2023年3月10日(金)晴れ

午前中は「となりのオハコ」のデザインが上がってきたので確認し、宮下さんとお電話。
そして、「毎日のことこと」の校正。
2時にピンポンが鳴って、文子さんとお買い物。
「JA兵庫御影店」というところに、車で連れていってくださった。
そこは、小さな「道の駅」みたいなところ。
兵庫県産の野菜や果物はもちろん、神戸ポークや神戸牛もある。
私はルッコラ、蕪、ニラ、ほうれん草、キャベツ、玉ねぎ、じゃがいも、苺、神戸ポークの厚切りロース肉を買った。
ステーキ用の赤身もとてもおいしそうで、値段も手ごろなものがあったのだけど、ぐっと我慢。
そのあとで「MORIS」に寄り、ひろみさんと今日子ちゃんに文子さんをご紹介した。
「六珈」さんにも寄った(文子さんとファビオは、すでに何度かコーヒーを飲みにきていたそう)。
帰ってからつまみをささっと支度して、お盆にのせ、またふたりの部屋でアペリティーボ。
玄関のドアを開けた途端、文子さんはスマホを手にすごく真剣な顔をしてらした。
「なおみさん、早く早く、入ってください。夕陽が沈むところやから、今ちょうど電話しようとしていたところやねん!」と迎えてくださった。
キッチンではレモンチキン&ポテトの焼けるいい匂い。
コンロの前に立って窓を見ると、山だけでなく神戸の湾まで見渡せる。
私はそこに腰掛け、ビールをごちそうになった。
「Happy Friday!」と乾杯。
文子さんのサラダは、新たまねぎ&セロリの薄切りとラディッシュの細切りの甘酸っぱいサラダ(米酢とメープルシロップで和えたそう)。
私が持っていったのは、大根とかぶのアルザス風サラダ(おろしにんにく、ディル、レモン汁、オリーブオイル)、ワカメのだし浸し(生姜のせん切り)、甘くないひじき煮(いつぞやの)、ゆうべ作っておいた牡蠣の酒炒り(器に盛りつけてから、オリーブオイルをかけた)。
ブリーチーズ&バゲットと、メインは文子さんのレモンチキン&ポテト。
手羽元6本はレモン汁2個分を搾って、朝のうちからマリネしておいたそう(搾り入れたレモンの皮もいっしょに、塩もしっかりめに)。
皮つきのじゃがいも(セイロで蒸したものを、皮ごとくし型切りに)と共に、オリーブオイルをたっぷり敷いた深めのフライパンでホイルをかぶせながら、じりじりと蒸し焼きしてらした。
チキンもじゃがいもも、まわりがカリッと焼けて、すっごくおいしかった。
みんな手羽元の軟骨まで、きれいにかじって食べた。
私は小さなノートを持っていき、聞いたことのない単語や、忘れたくないフレーズをメモした。
そして、8時に帰ってきた。
楽しかったなあ。

●2023年3月8日(水)ぼんやりした晴れ

今、気づいたのだけど、日めくりカレンダーが7日のままになっていた。
祭壇の水も替えていなかった。
ごめんね、お母さん。
きのうの朝、中野さんが帰ってから、「気ぬけごはん」をずっと書いていた。
本当は今日が締め切りだったのだけど、明日に伸ばしていただいた。
奇数の月は連載の原稿が3つ重なるから、早め早めに書きはじめていたのだけれど。
でも、「となりのオハコ」も「毎日のことこと」も、ぶじに仕上げることができてよかった。
中野さんが泊まっている間、朝ごはんを食べたら、10時過ぎに中野さんは出かけ、私は家でずっと原稿を書いていた。
夜になると帰ってきて、遅い夜ごはん。
1日目はハンバーグを作り(私は先に食べておいた)、2日目は寒かったので、白菜のミルフィーユ鍋にした。
6日はちらし寿司をこしらえて、10時すぎに私も一緒に出かけ、「スペース草」の陽子さんと3人でお昼に食べた。
ファビオと文子さんにも、おすそわけした。
その日は、鎌倉から小野さんと洋子さんがいらっしゃり、「スペース草」で待ち合わせをして、夕方から梅田にある和食のお店でごはんを食べた。
丁寧にこしらえられた料理が、ひとつひとつ出てきて、小野さんが見立ててくださったおいしい日本酒といただいた。
ああ、本当においしかったな。
小野さんたちがいらっしゃる前、「スペース草」の周辺を、あてもなく散歩したのも楽しかった。
あちこちで椿の花が咲いていた。
大きな池のある公園には鴨や亀がいて、コンクリートの橋桁のところで、子亀が3匹甲羅干しをしているのを中野さんがみつけたり。
その亀は、首のところに赤いスジのある、ミシシッピーアカスジガメだそう(ユウトク君に教わったらしい)。
もうじき5時。
「気ぬけごはん」は、ずいぶん書けたみたい。
明日、仕上げをして、島崎さんにお送りしよう。
さっき、アノニマの村上さんから連絡があったのだけど、去年の11月に銀座の無印良品で開いた、スイセイとのトークイベントの動画の公開が、今日からはじまったそうです。
私とスイセイの現在の境地。
みなさんに見ていただけたら、とても嬉しく思います。
詳しくは「ちかごろの」をご覧ください。
夜ごはんは、スナップえんどうの卵焼き、ベーコンとアンチョビとブロッコリーのフジッリ(いつぞやの残りに菜の花と牛乳を加え、温め直した)。

●2023年3月2日(木)

ゆうべはベッドに入った途端、ことんと寝てしまった。
夜中に目が覚めたら、ものすごい大風だった。
びゅーびゅーごーごーがらがらびゅんびゅん。
ずっと止まなかった。
私は半分寝ぼけたまま眠っていて、首の痛みがなく寝返りを打てるのを、あれ?あれ?と思いながら、柱時計の音は1回から4回まで聞こえていた。
朝起きたら、首の張りがまったくない。
痛みもない!
朝から「となりのオハコ」のレシピの仕上げ。
10時半に税理士さんがいらっしゃった。
小1時間ほど説明を聞いたり、分からないことを質問したり。
今年の確定申告は、税理士さんがパソコンで書類を提出してくださることになった。
間違えて覚えていたことや、記録をしておくべきことなどいろいろ教わったので、紙にまとめた。
また、新たな気持ちで、ひとつひとつ記録をしておこう。
新年度から、間違わないようにしなければ。
午後からは、えんどう豆をゆでながら、レシピの続きを仕上げ、宮下さんにお送りした。
今は、にんにく、しょうが、粒こしょう、カルダモン、赤唐辛子(はちみつ屋さんのしんちゃんの出店で買った)をすり鉢でつぶし、クミンと共にみじん切りの玉ねぎと炒め、カレーを作っているところ。
赤唐辛子は小鍋でゆで、やわらかくしてからすり鉢でつぶした。
コリアンダー、ターメリック、チリパウダー、パプリカ、クミンパウダーしか加えてないのに、驚くほど辛い。
辛いスパイスは何も入れてないのに。
多分、赤唐辛子のせいだと思う。
3本だけで、こんなに辛くなるのか。
ゆで汁も加えたから? 
パプリカも加え、煮込んでいるところ。
めちゃくちゃいい香り。
ファビオはお豆のカレーが好きだと言っていたから。
おいしくできたら、おすそわけしようと思う。
夜ごはんは、えんどう豆のカレー(パプリカ、ミニトマト)、ゆで卵、かぶの甘酢漬け。
夜、文子さんがお鍋を手にカレーをもらいにきてくださった。
お茶をいれ、しばしおしゃべり。
お互い普段着のまま。いろんな話を。大笑いしながら。
こういうの、夢だった。
明日から中野さんが泊まりにくるのも楽しみ(豊中の「スペース草」で、展覧会が開かれるので)。
そうだ。
料理本を長年一緒に作ってきた編集者の赤澤かおりさんと、それぞれの新刊発売を記念して、トークイベントを開くことになりました。
3月18日(土)15時から16時半。「MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店」。
詳しくは、「ちかごろの」をご覧ください。

●2023年3月1日(水)晴れ

今朝の陽の出は、昇りはじめ、光がふたつあった。
どうしてだろうと思いながら見ていたのだけど、多分、枯れ木の小枝に挟まれるように出はじめたから。
このごろは、陽の出時刻がずいぶん早くなった。
そして場所も、移り変わった。
今朝は「古楽の楽しみ」の後半を聞き、ラジオの英語学習も聞くことができた。
どちらもものすごく久しぶり。
冬の間は暗くて起きられなかったから。
今日から3月。
薄めのセーターで、窓を開けていても寒くない。
おとついは、文子さんから「今日もいいお天気。17時辺り、もしもお時間よろしければ一緒に夕陽を見ながらアペリティーボいかがです?」とメールが届き、キッチンで赤ワインをごちそうになった。
つまみはスペインの生ハム&サラミとブルスケッタ(パンににんにくをすり込み、オリーブオイルを塗ってフライパンでカリッと焼いてあった)。
国産チーズの盛り合わせ(ファーマーズ・マーケットで買ったのだそう)。
あと、グリーンピースとじゃこの小さくて丸いおにぎり。
軽い食前酒のつもりが、文子さんとファビオとのおしゃべりが楽しく、気づけば9時。
夜でもすぐに部屋に帰ってこられる幸せ。
楽しい人たちが引っ越してきて、私は本当にうれしい。
今日は、整体。
ちょっと早めに出て「MORIS」に寄り、今日子ちゃんとひろみさんに会ってから、隣町の図書館に行こうと思う。
きっと整体を受けたあとは、体がふわふわとして、何もしたくなるだろうから。
それにしてもいいお天気。
なんだか空気が軽やか。

4時くらいに帰ってきた。
ほわ〜んというより、ふわふわしている。
体が大きくなり、ぼんやりと広がっているような感じ。
前のときよりも動けるので、あちこち寄って買い物をして帰ってきたのだけれど、夜ごはんの支度をしていたら、熱で包まれているような感じになった。
眠たい。
ゆっくりとしか動けない。
それでもごはんを食べ、顔だけ洗って、8時半にはベッドへ。
夜ごはんは、あなご寿司(「コープさん」の)、小松菜とじゃこの鍋蒸らし炒め(いつぞやの)、蕪の甘酢漬け(いつぞやの)、味噌汁(切り干し大根、コーン)。

●2023年2月26日(日)晴れたり曇ったり、ときどき小雪。

今朝も陽の出を見ることができた。
6時40分くらいだったかな、山と雲の間からオレンジの光が見え、じりじりと昇って雲の上から顔を出した。
朝陽に照らされ、雪の粉が光りながら舞っていた。
きらきらちかちか。
そのうち風花になった。
きのうの朝、洗濯物を干しながら、6階に引っ越してきたご夫婦のことを考えていた。
一緒にファーマーズ・マーケットに行きたいなあ、でも突然誘いにいったりしたら、おかしいだろうか……するとピンポンが鳴って、ふたりが挨拶にいらしたのだった。
ちゃんとお会いするのはじめて(下見をされているとき、私から声をかけた)。
彼らは先週の金曜日に引っ越してきた。
私はそれを、心待ちにしていたのです。
ああ私、日本語がおかしくなっている。
ゆうべも寝ながら、頭の中は英語でいっぱい。ぐるぐるしていた。
ニューヨークに長いこと住んでいた、大阪出身の文子さんと、イタリア人のファビオ。
きのうの朝は、おふたりを招き入れて部屋の中を案内し、お茶をし、そのあと私はひとりで六甲道のファーマーズ・マーケットへ(彼らは先週行ったそうなので)。
帰りに「MORIS」に寄って、彼らが挨拶にきてくださったことを報告。
帰ってきて、心を落ち着かせるためにあちこち掃除機をかけた。
太陽が傾きはじめ、空の色が移り変わって、いてもたってもいられずに文子さんにメールをした。
「よろしかったら、晩ごはんを一緒にいかがですか?」
「うわ〜 ぜひ、晩ごはんをご一緒させてもらいたいです」
「わー やったー!今、上に上ってもいいですか?」
「Yes!Please!! 夕日が綺麗です!」
私はすぐに階段を駆け上り、今にも山に沈もうとしている夕陽をキッチンの窓から見せていただいた。
わあ、こんなふうに見えるんだ!
裏山がとても近く、いい匂いがする!
文子さんがハイボールを作ってくださり(レモンの皮が浮かんでいた)、おふたりの引っ越しと、夕方の空に乾杯し、私の部屋に3人で下りた
何を作ったか、思い出しながらここに書いてみます。
豆苗のクミンシード入りタヒーナソース(サンのお店「ホーキ星」のオリジナル・ビン詰め)和え、生ゆば(ファーマーズ・マーケットの。ワサビ、塩、オリーブオイルをつけて食べた)、かぶとかぶの葉のオイル蒸し(米油、塩・ファビオの実家で作っているバルサミコを、ちょっとつけて食べてみた)、枝豆入りさつま揚げ(ファーマーズ・マーケットで買ったのをフライパンで炙った。ふたりは「フィッシュケーキ」と呼んでいた)、ビール。
そして、スパゲッティ・マーレ・エ・モンティ(海と山のスパゲティ・アンチョビ、ベーコン、にんにく、唐辛子、野性的な菜の花)。
この名前は、ファビオがつけてくれた。
ファビオの英語はとても分かりやすく、聞いているとほとんど意味が分かる(気がする)。
文子さんは日本語が混ざった英語を話し(多分私のために)、ときどき通訳をしてくれる。
私の口(体)は、英語を話したくてたまらないのに、脳みそが混乱し、日本語さえもカタコトになり、英単語と日本語でしゃべった。
でも、楽しかったなあ。

さて、今日はこれから宮下さんがいらっしゃり、「となりのオハコ」の打ち合わせ。
エッセイの原稿とレシピをもとに、写真を選んだり、ページづくりをしたりする予定。
お昼を一緒に食べよう。
サフランライス(無農薬の柚子の皮をむき、加えて炊いてみた)、ガパオ(合いびき肉、玉ねぎ、トマト、カレーリーフ、赤唐辛子、ナンプラー、オイスターソース、砂糖、バジルペースト)、チキンカレー(いつぞやのに蕪をゆでて加えた)、赤玉ねぎ、イタリアンパセリ。
夜ごはんはなし。
お昼が遅かったし、宮下さんのお土産のりんごのタルトと、タルトタタンをいただいたので。
それに、夕方にまた文子さんをお呼びして(サフランライスとガパオとカレーをおすそわけした)、3人で軽くビールを呑んだので。

●2023年2月24日(金)曇りのち雨

朝は雲が厚く、太陽が見えなかった。
空も海も街も白灰色。
今は雨、霧も出てきたみたい。
街から見たらうちのマンションは、霧の中に隠れているんだろうな。
こんな日は、書き物日和。
「となりのオハコ」のエッセイの続きに向かおう。
午後にはだいたい書けた模様。
よしこさんの写真を見ながら、レシピ書きもした。
雪が降りそうに寒い。
上着を着、足下にストーブをつけて頑張る。
3月の初旬は、連載原稿の締め切りが3つ重なるから、集中して頑張った。
おかげで、背中と首がこりこり。
4時には終わり、しばらく休んでいた現金出納帳をつけた。
今日は、7時から『おさるのジョージ』だ。
夜ごはんは、リガトーニ(小松菜とソーセージをオイル蒸しにして、イイダコのトマトソース煮の残りを加え、ピザ用チーズと共に和えた)、白菜とコーンのサラダ(玉ねぎドレッシング)。

●2023年2月21日(火)快晴

朝、窓を開けたら、向かいの建物の屋上の隅に、雪の粉の吹きだまりができていた。 
ほんのちょっとだけ。
目をこらすと、そこかしこに光の粉が舞っている。
ちらちらちかちか。
雪の粉だ。
先週の土曜日の夕方から、中野さんがいらしていた。
とっても久しぶり。
窓辺でスペインのワインを呑んだり、カキフライを作って食べたり、イイダコのトマトパスタを作って食べたり。
日曜日の朝、ユウトク君のインコのピーちゃんが死んでしまったという連絡が届き、きのうの朝、中野さんは帰っていった。
ユウトク君とソウリン君が学校から帰ってきたとき、家にいられるように。
私は、その日の朝から、稲葉先生とのトークイベント(去年の夏に青山で開いた)のテキスト校正の続き。
そして、「となりのオハコ」の原稿も書きはじめた。
今日は、またはじめから新しい気持ちで続きを書こう。
まずは掃除機をかけて、部屋をすっきりさせてから。
宮下さんからメールをいただいたのだけど、京都は今日は、雪景色なのだそう。
ぼた雪が降っているのだそう。
そうか、そんなに陽気が違うんだな。
洗濯物を干しているとき、お天気雪が舞っていた。
風花なのかな。
盛大に舞っていた。
海もまた銀色にさざ波立ち、盛大に光っている。
さ、そろそろ向かおう。
夜ごはんは、しめ鯖のお寿司(柚子こしょう)、白菜と油揚げの煮物、味噌汁(豆腐、油揚げ、豆苗)。

●2023年2月17日(金)快晴

7時半に起きた。
ゆうべはカーテンを少し開けて寝たから、光が入ってきて、自然に目が覚めた。
このごろは暗いし、寒いしで、ちゃんと起きられない日が続いていた。
そうすると自然と夜更かしになって、夜型の人みたいになっていた。
図書館で借りた『シェル・コレクター』という本がおもしろくて、気づくと12時になっていたり。
このとところ、毎朝胃がもたれていたのも、関係があるのかな。
今朝はすっきり。
そして、暖かい。
『シェル・コレクター』は、『すべての見えない光』と同じ著者の短編集。
言葉がとても多く、読んでいると早口になる(声に出しているわけではないから、早読み?)。
でも、ひとつひとつの物語の世界が色濃く、何度も繰り返し読みたくなる。
今朝は午前中に出掛けるので、「朝ドラ」を見ておいた。
今、いいところなので。
舞ちゃんとタカシくん、よかったなあ。
あちこち掃除機をかけ、そろそろ出掛けよう。
図書館にも行くつもり。
またホウジロに会いたくて、「コープさん」の近くの民家まで遠まわりしてみたのだけど、家の人が玄関先で立ち話をしていて、小鳥はいなかった。
図書館ではまた英語の絵本を借りてきた。
今度は、ジョン・バーニンガムスの『ALDO』。
『シェル・コレクター』も延長で借りてきた。
続きを読んでみて、どうしても欲しくなったら、アマゾンに注文しようと思う。
夜ごはんは、いつぞやの春雨炒め(豚コマ切れ肉とセロリ)にほうれん草を加えて炒め直した、玄米おにぎり(スーパーの)、鯵フライ(スーパーの)、味噌汁(蕪と蕪の葉)。
明日は3回目の「おはこレシピ」の取材。
朝早いので、早めにベッドに入ろう。

●2023年2月14日(火)曇り時々晴れ、一時雪

ゆうべはものすごく風が強かった。
ちょうど寝る前の時間、竜巻なんじゃないかというような風が吹いて、ちょっと怖かった。
ぐるぐるびゅーびゅーごーごーがらがらーと、ひとしきり吹いたら、急に静かになった。
そんなのが2回あった。
そのあとで、夜のラジオの英語。
つよしさんが絵本『しろいゆき あかるいゆき』を送ってくださったので、半分くらいまで読んだところでぐーっと眠りに誘われ、寝た。
お正月に実家で読んだ母の絵本『ゆき』にも重なり、どちらがどちらか分からなくなった。 
かこさとしさんのは、日本の雪。
アルビン・トレッセルトさんのは外国の雪だけど、どこか、同じ匂い。
絵本の中に流れている、風情のようなもの?
雪って外国も日本も、みんな同じような大変さや歓びがあるんだな。
おもしろいなあ。
雪が積もるとどこもかしこも真っ白で、しんとして、天がくださった贈り物みたいに美しいけれど、大変なこともたくさんある。
だからこそ、次にはじまる何かを楽しみに待つ心があったかい。

今朝もまた大寝坊、8時に起きた。
カーテンを開けると、海は白銀のスケートリンク。
きのうは、税理士さんがいらっしゃって、1年間やってきた宿題の結果報告みたいな時間になった。
計算が合わないところが出てきてしまい、書類を持ち帰っていただいた。
今朝確認してみたら、表計算のパソコン入力の位置がひとつずれていて、「あちゃー!」となる。
私の注意力散漫は、脳みその悪さも関係していると思う。
子どものころから、算数が苦手だったから。
算数というより、数字。
数字の並びを見ると、必ず間違える。
それで、午前中は税理士さんにメールしたり、書類の画像を送ったり。
今日の空はいろいろに変わる。
曇りかと思っていたら、パーッと晴れ、急に冷えるなあと思ったら、粉雪が舞っていたり。
2階を掃除しているとき、海の広い範囲がちかちかとさんざめいていた。
さて、ようやくお昼ごはん。
朝ドラの再放送を見ながら食べたら、今日こそは落ち着いて『帰ってきた 日々ごはん⑬』にサイン本をしよう。
80冊!
サイン本を半分終え、坂を下りて買い物へ。
「コープさん」から出て、てくてく歩いていたら、桃の木に小鳥が集まっていた。
雀よりも小さい、お腹からお尻にかけて、ぷっくりと丸い小鳥。
下から見上げると、お尻のふくらみがたまらなく可愛らしい。
帰って、インターネットで調べたら、ホウジロだった。
ホウジロ、私ははじめて近くで見たかも。
夜ごはんは、サーモンのムニエル(生クリーム、粒マスタード、パセリ)、小松菜とかぶのオイル蒸し、金美人参の塩もみサラダ(いつぞやの。レモン、パセリ)、ご飯はなし。

●2023年2月12日(日)晴れ

ぐっすり眠って、まだ眠れる、まだ眠れると思いながら起きたら、なんと10時だった。
大寝坊。
ゆうべの「バー高山」が、楽しくて、楽しくて。
きのうの日記に書いておいた予定のメニューは、ずいぶん変わった。
まず最初にお出ししたのは、ルッコラと紫の茎の水菜のタヒーナソース和え。
みな口々に「おいしい〜!」と言い、渡辺さんは「うーん、クミンがパチパチしてます」とおっしゃった。
南瓜の塩蒸し(玉ねぎドレッシング)も好評で、次はじゃがいももちを今日子ちゃんに手伝ってもらいながら焼いて出した。
米油が多めだったので、思ったより表面がカリッと焼け、中はもちもち。
小さなガレットみたいになった。
お皿に残っていた玉ねぎドレッシングをじゃがいももちにつけると、「プリングズのポテトチップスのサワークリーム&オニオンの味になる」と渡辺さん。
そのころから私は、楽しくてたまらなくなった。
気づけば渡辺さんがカウンターのこちら側に立って、ワインを呑んだり食べたりし、何でもなく洗い物をしてくださっている。
流しはいつもピッカピカ。
食器も拭き上げ、きれいに重ねてある。
それで、小ぶりの椎茸は渡辺さんに焼いてもらうことにし、私はじっと見ていた。
近くで見たり、遠くから見たり。
なたね油を多めにしいたら、タークのフライパンの縁の方まで椎茸をぎっしり並べ(笠の表側を下に)、すぐに塩をパラリ。
私だったら先に塩はしないし、アルミホイルをふんわりかぶせて焼きそうなのに、「ううん、ふたはしません」。
塩を先に振るのは、椎茸の水分をじりじり引き出すためなのだ。
渡辺さんは首を直角に曲げ、真上から椎茸の様子を見ている。
大きな体をくの字に曲げ(腰を曲げているのではなく、上体はまっすぐで、首がかくっと前に折れ曲がっている)、コンロにも、フライパンにも、椎茸にも近い。
そして、菜箸でよく触れ、ひとつひとつの焼け加減をていねいに見ていた。
私だったら放っておくのに。
「なおみさん、練り辛子はありますか? 椎茸と辛子醤油はけっこう合うんです」
焼き上がった椎茸はまわりがじっとりと香ばしく、中はものすごくジューシーで、椎茸の濃い味がにじみ出てきた!
辛子醤油も、驚きの味の組み合わせだった。
なんか、高級な中華料理のレストランで食べているみたいな味。
次は私が、鶏レバーと厚切りベーコンとにんにくを米油とバターで炒め、白ワインで蒸し焼きにして、バジルペーストをちょっと(レバーはぷりっと焼けたけど、ほんとはもうちょっとレアにしたかった)。
金美人参の塩もみサラダには、レモンを搾って、粗く刻んだパセリをたっぷり加えた。
次は、かぶの葉とスナップえんどうで、渡辺さんにオイル蒸しをしてもらった。
スナップえんどうのスジを、ふたり並んで取った。
私はヘタを折って、まず片側のスジを取り、さやのお尻の尖っている方のも折って、もう一方のスジを取るのだけど、渡辺さんは両側のスジを取っても、お尻の先についたヒラッとしたものはちゃんと残していて、可愛らしい。
オイル蒸しは、最後にレモンをちょっと搾ってらした。
食べると甘くとろりとし、口の中で乳化するみたいになった。
おいしい〜〜!
作り方はまず、ル・クルーゼの鍋にざく切りにしたかぶの葉(6、7センチくらいの長さ)を盛り上がるくらい入れ、上から米油をたっぷりかける。塩もふる。
トングでふんわりていねいに混ぜながら、全体的にからまるようにし(葉っぱの表面がつやっとするくらい)、ようやく火をつける。
ふたをしてからも放っておかずに、何度かトングで混ぜ、様子をみて……スナップえんどうは、かぶの葉がくたっとしてから加えていた。
かぶの葉は、洗ったあとの水気を残しておくのもポイントみたい。
残りのスナップえんどうは、斜め半分に切って軽くゆで、卵焼きに。
タークのフライパンを熱くし、米油をたっぷりひいて、溶いた卵2個(塩をひとつまみ)を流し入れ、フライパンのまわりから泡立って焼けてくるのを、ゴムベラを使って中へ中へ入れ込むようにして手早く焼いていた。
でき上がった卵焼きは、半熟ともまた違うふんわりさ。
多めの油が、卵の成分の中にうまく取り込まれているからだろうか。
私は本物を食べたことがないのだけど、イタリアのフリッタータってこういう感じ?
スナップえんどうの歯ごたえも甘みも、卵のふんわりとはまたぜんぜん違うおいしさで、ふたつの独立した料理を同時に食べているみたいだった。
そして、最後にふりかけた塩の味が切り立って、そこもまた一段とおいしいところだった。
卵がおいしい!と思ったもの。
塩って大事なだあ。
素材の味を大切にとか言って、何でもかんでも控えめにすればいいってもんじゃないのだ。
もうみんな、お腹がいっぱいになりかけていたので、私のボルシチ(大豆は入れずに、ゆで汁だけ加えた)は、炊き立ての真っ白なご飯と共に軽めに。
そして最後、デザートのプリンアラモード(苺、はっさく、バナナ、やわらかく泡立てた生クリーム)が、それはそれはなめらかで、濃厚で、夢のようなおいしさだった。
考えたら私は、料理家さんとこんなふうにごはんを作って食べたことがない。
生まれてはじめて。
なんて、おもしろいんだろう!!
渡辺さんは、料理をするために生まれた、繊細さと、鋭さと、科学者みたいな集中力と、ねばり強さと、可愛らしさを持った心優しい力持ちの男の子が、体に棲んでいるみたいな方だった。
今日はまだ興奮覚めやらず、忘れないうちにレシピを記録しておこうという気持ちだけで、ここまで書いてしまいました。
気づけばもう3時。
『帰ってきた 日々ごはん⑬』のサインをしなくっちゃ。
夜ごはんは、ゆうべの残りのボルシチ&ご飯、金美人参のサラダ(ゆうべの残り)、小振り椎茸のオイル焼き(渡辺さんが作っていた通りにやってみた)。

●2023年2月11日(土)曇りのち晴れ

7時半に起きた。
今朝は、海の光っているところのまわりが、ちらちらちかちか。  銀色の小魚が跳ねているみたいに。
首の痛みがほとんどないのは、きのう編み物をしなかったから?
きのうは、朝から出掛けていた。
歯医者さん、郵便局、バスに乗って「FARMSTAND」ヘ。
ビーツを買おうと思って。
亜由美さんとランチを食べながらおしゃべり。
朝穫れ野菜をいろいろ選び、「酪と酵母」でおいしそうなワインも買えた。
今日は、「MORIS」で料理教室を開いている渡辺康啓さんを、今日子ちゃんとヒロミさんが連れてきてくださる。
メインはボルシチ。
大豆のゆでたのがあるから、ゆで汁ごと加えてみようかな。
あとは、ルッコラと紫の茎の水菜のタヒーナソース和え(タヒーナは、サンのお店「ホーキ星」で出しているオリジナル)、金美人参の塩もみサラダ(レモン汁、ディル)、小振り椎茸の丸まる焼き(鉄のフライパンで)、じゃがいももち、かぶとスナップエンドウの鍋蒸らし炒め、レバーとベーコンのワイン炒め(にんにく)、ボルシチ(牛肉、玉ねぎ、人参、かぶ、キャベツ、ビーツ、大豆)&炊き立てご飯、南瓜の塩蒸し&セロリ(玉ねぎドレッシング)の予定。
『帰ってきた 日々ごはん⑬』も届いたので、あちこち掃除をしてからサインをしようと思う。
ボルシチを煮込みながらやろう。
サイン用の本のダンボールの中に、去年11月に「無印良品 銀座」で開かれた、スイセイとのトークイベントの映像が入っていた。
内容を確認するだけのつもりで見はじめたのだけど、どきどきしてすっかり夢中になってしまう。
自分が話しているときには、スイセイの顔をちゃんと見られなかったのだけど、スイセイはあんな表情をして聞いてくれていたんだな。
村上さんの進行も、気づかないくらいにすっと入って、新しい話の世界に私たちを連れ出してくれている。
なんだか村上さんが、スイセイと私を乗せた小舟の船頭さんのように、ゆるやかな川の流れに乗せてくださり、お客さんたちの間を巡っているような。
そういう案内をしてくれていたことにも、改めて気づいた。
あのときには、体をひと巡りして出てくるスイセイの言葉に耳を澄ませ、正面から向き合い、応えるだけでせいいっぱいだったから。
思えば、しっかりとした雨降りの日に集まってくださった熱心なファンの方たちも、カメラや音声機材を回している制作スタッフたちも、みんなで船に乗り込み、ゆらゆらと熱気に包まれながら大海原を進んでいっているようだった。
村上さんが船長さんだ。
笑ったり、驚いたり、泣いたり、切なくなったり。
すべて見終わったとき、長編の物語を読んでいたような気持ちになった。

ここで、お知らせです。
去年の夏に、神戸・北野の「KITANOMAD(FARMSTAND 2階)」で開かれた渡邊良重さんとのトークイベントの動画が、来週から30日間限定で公開されるそうです。
スイセイとのトークイベントは、渡邊さんとの会の次に配信。
どちらも有料ですが、オンラインで視聴できるので、よろしかったらぜひみなさんに見ていただきたいです。
詳しくは「ちかごろの」か、アノニマ・スタジオのHP(日々ごはん20周年特集ページ内)をご覧ください。

さあ、渡辺さんたち!
7時くらいにいらっしゃる。
ボルシチだけ途中まで煮込んでおいて、ビーツをゆでながら、その場でいろいろ作ってお出ししながら、久しぶりに「バー高山」をしよう。

●2023年2月8日(水)曇り時々晴れ

6時前に起きて、カーテンを開けておいた。
ラジオの英語。
朝の回を聞くのは久しぶり。
空が曇っているから、陽の出は見られないだろうなと思っていたら、7時ちょうど、靄越しにじりじりと姿を現した。
靄のベールをかぶった、赤い透明の大玉。
この色を、何と言おうと思いながら見ていた。
分かった!
芯まで燃えた炭の、白い灰をよけたときに現れる色だ。
揺らめく赤。
奥まで赤。
触りたくなるほど美しい。
そして海も、同じ色に光っている瞬間があった。
ほどなくして、太陽はまた靄の後ろに隠れた。
朝ごはんを食べているときの海は、一面の白に銀のすじ。
『暦レシピ』の表紙の色合いだ。
そうかと思えば急にピカーッと晴れ、金色になったりもする。
でも、一瞬でもとに戻る。
そんな日。
今日は、台所の大掃除。
食器棚の掃除をした。
去年は大掃除をしなかったから、けっこう埃が積もっていた。
いつも使う器を手前にしたりして、配置も替えた。
自分にしか分からないくらいに。
埃を吸い取って拭いただけなのに、食器棚の角がすっきり立っている。
ようやく新しい年がやってきた感じ。
明日も続きをやろう。
夕方、窓辺で柿ピーをポリポリしながらビール。
ほろ酔いで夜ごはんの支度をし、ぽつりぽつり灯りはじめた夜景を眺めながらワインも1杯。
ちよじから電話で、一瞬だけ仕事モードになって返事をした。
今の時期、こんなにのんびりしているのは私だけかも。
夜ごはんは、油揚げと水菜とルッコラのサラダ(お昼の残りに、サンのクミンシード入りタヒーナソースをかけた)、南瓜の塩蒸し(玉ねぎドレッシング)、焼きカレーパン、白ワイン。

●2023年2月7日(火)曇り

6時半に目覚めて、ラジオ。
地面がしっとり濡れている。
ゆうべ、雨が降ったみたいだけれど、気づかなかったな。
今日は何も仕事がない。
窓辺で編み物をしたり、確定申告の書類の支度をしたり。
手紙を書いて、荷物を作ったり。
なんだか静かな日。
雨は降っていないのだけど、降っているみたいな空の色。
海はうっすら霧に覆われている。
こんな日もいい。
そうだ。
先週土曜日の日記で、アマゾンで取り寄せた英語の絵本を『JAST NE』と書いてしまったけれど、『JAST ME』の間違いです。
失礼いたしました。
このごろ誤字脱字が多いのは、老眼のせいでよく見えなくなったからなのかもしれないなあ。
あと、注意力散漫のせいもある。
きのうは郵便局とパン屋さん、「コープさん」に行った。
軽く買い物し、リュックをしょって坂を上って帰ってきた。
春みたいな陽気で、汗をかいた。
坂の途中で、どこかから花の匂いもしてきた。
そうなるとまた、寒いのが恋しくもなる。
暖かいけれど、今夜はお鍋にしようと思って、昆布を浸けているところ。
このごろはひとり用の小さな鍋でなく、普通の大きさの土鍋で鍋ものをするようになった。
夜ごはんは、豚バラとニラたっぷり鍋(えのき、豆腐。醤油とオリーブオイルと黒こしょうのタレ、ポン酢醤油とかぶらおろし)、ご飯はなし。

●2023年2月5日(土)晴れ

7時に起きた。
もう陽は昇っていたけれど。
ゆうべはとてもよく眠れた。
夢も、長くておもしろいのをみた。
おとといの晩は、なんだかよく眠れなかった。
その日は整体に行って、前よりももっとふわふわとして、海に浮かんでいるみたいになって帰ってきた。
すごくいい気持ちで、眠たくもあるのだけど、自分では計り知れない体の奥のどこかが目覚めているみたいだった。
帰りに寄った図書館では、英語の絵本をまた1冊借りた。
『Rain Rain Rives』という、雨の物語。
そして、『JAST NE』の日本語版をアマゾンに注文していたのも届いた。
『あるあさ、ぼくは…』というタイトル。 
ゆうべ、寝る前に読んでみたら、男の子の家の豚が泥にまみれて昼寝をしているところ our pig,was taking a bath-and-nap in some mad. が、「どろのなかで いねむりぎょうずいを していました」となっていた。
「いねむりぎょうずい!」
私は吹き出した。
なんておもしろいんだろう。
この絵本は、男の子がおんどりの歩くのを真似したり、豚がいねむりぎょうずいをしているのを真似したり、うさぎや牛やガチョウやヤギやリスやカメの真似をしたりする。
「どうゆうふうにあるくのか やってみせてくれない」「どういうふうにするのか やってみせてよ」。
そして最後、ぼくがお父さんに向かって夢中で駆け出すところ、「JAST NE」が出てくるあたりの訳は、「こんどは ほかの だれみたいでもなく はしりました。ぼくは ぼくらしく はしりました」。
最高!
いい訳って、なんておもしろくて、広がりがあるんだろう。
『JAST NE』という題名だったら、たとえば『ただのぼく』とか、『ぼくだよ』とか、ちょっと哲学的なのをつけたらいいのにと私は思っていた。
でもそれじゃあ、お母さんも子どもたちも、何が何だか分からないもの。
今日は、これから六甲道の広場へ「ファーマーズ・マーケット」に出掛ける。
今日子ちゃんもヒロミさんも行くみたい。
いいお天気でよかったな。
帰りにまた図書館で、英語の絵本を借りてこようと思う。
「ファーマーズ・マーケット」では、蜂蜜(もちの木の花と栗の花)、椎茸、寒じめほうれん草、さつま揚げ(浅蜊、玉ねぎ、生のり入り)、えごまクッキー、キムチを買った。
大根と生のりのお粥が、とってもおいしかった。
そのあと図書館に寄って、モーリス・センダックの『MR.RABBIT and the LOVELY PRESENT』を借りた。
そして「MORIS」へ。
着いて早々、今日子ちゃんが同時通訳で読んでくれた。
うーん、楽しい!
日本語版は『うさぎさんてつだってほしいの』。
この絵本も、私は大好き。
夜ごはんは、豆乳鍋(椎茸、水菜、おろし生姜、ねぎ)、炙りさつま揚げ、キムチ、生のりの佃煮、ご飯。

●2023年2月1日(水)晴れのち曇り

今朝も陽の出を見ることができた。
少しずつ、少しずつ、時刻が早くなってきているみたい。
そして、昇る場所もずいぶん動いた。
太陽が顔を出す瞬間ももちろんいいのだけど、このごろはその前の曙の空があまりに美しく、毎朝違って、見とれてしまう。
今日から2月だ。
きのうは、電車に乗って隣町の産婦人科に行った。
乳ガンの再検査をしに。
そこは、今日子ちゃんに教えてもらった病院。
とてもいい病院に出会えた。
超音波のエコーをされているとき、私はぎゅっと目をつぶり、仰向けになっていたのだけど、「(画面を)見てください。何でもよく見たら、いいんです」と、女医さんがぽつりとおっしゃった。
何でもよく見れば、怖いものはなくなりますよ、と言われているような気がした。
けっきょく、悪いところは見当たらず、これからも年にいちどか二年にいちどマンモグラフィーで検査をしていけば大丈夫でしょうと言われた。
10数年前、吉祥寺にいたころにもやっぱり再検査をしたことがあったけれど、同じ見立てだった。
このことは、ずっと前に「日々ごはん」に書いたかもしれない。
きのうは美容院にも行った。
そして、ふと思いつき、図書館で英語の絵本を借りてきた。
マリー・ホール・エッツの『JUST ME』。
寝る前に読んでみたら、なんだか意味が分かる。
知らない単語もよく出てくるけれど、絵があるからストーリーが分かる!
そのあとで、今日子ちゃんがイギリスで買ってきてくれた絵本『The Tiger Who Came to Tea』を読んでみた。
声を出して。
読める!分かる!
この絵本は、何年か前のお誕生日プレゼント。
なんと、今日子ちゃんが訳してくれたテキストつき(絵本のページに沿って、小さな白い紙に活字が打ってある)。
英語を読んでから訳を読み、また英語に戻った。
とても勉強になる。
私は、4回くらい声を出して読んだ。
いいお話だなあ。
私は特に、お茶にやってきたトラのことをソフィー(小さい女の子)が大好きになり、喜んでいるらしいところ(絵が物語っている)が好き。
そして、お父さんが帰ってきて、ソフィーはパジャマの上にコートを着せられ、お母さんも普段着の上にコートを羽織り、街灯のついた夜の街を、晩ごはんを食べにカフェに向かっているところが大好き。

SO they went out in the dark,and all the street lamps were lit,and all the cars had their lights on,and they walked down the road to a cafe.

今日子ちゃんの訳はこう。

暗い外に出ると
すべての街灯が点灯していて
カフェまで歩いて行きました。

フィヤッホ〜!
「中学生の基礎英語レベル1」の学習は、3月で1年になる。
朝聞けなかったら、夜寝る前に聞いたり、声に出したりしているだけのラジオ。
毎月楽しみにテキストを買うだけで、とりたてて勉強などしてこなかったけれど。
アルファベッドがすっと目に入り、しどろもどろながらも声に出せるようになった。
いつの間にやら、英語が体に入ってきていのかな。
そんなことってあるんだ。
フィッヒュ〜!
試しに今朝、旅行のたびに買い集めた英語の料理本を開いてみた。
なんか、読めるみたい。
すごいなあ、英語のラジオ。
さ、今日は「毎日のことこと」の続きに向かおう。
夜ごはんは、カレーライス(いつぞやの大豆のゆで汁のスープに、カレー粉とルウを加えた)、ゆで卵、ルッコラと白菜のサラダ(玉ねぎドレッシング)。

●2023年1月29日(日)晴れ

久しぶりに陽の出と共に起きた。
このところ、雪や曇り空だったし、私も寝坊助だったから。
朝ごはんを食べ、ふと思いついて御影に出かけることにした。
「無印」で欲しいものがあって。
坂道を下るとき、海が広い範囲でキラキラチカチカ。
なんだか久しぶりの景色。
坂の途中で、お腹がオレンジの小鳥が1羽、木立から飛び立った。
頭は白と黒。 わ、ヤマガラだ!
バスに乗って、阪神御影駅へ。
「無印」の欲しいものは、セールになっていた。
ラッキー!
帰りもバス。
坂を上って帰り着いた。
ヤマガラを見かけたのは一瞬だったけど、綺麗だったな。
バスに揺られている時間ものんびりとして、小さな旅のようだった。
ああ、行ってきてよかった。
夜ごはんは、太刀魚のムニエル(表面だけ焼いて、あとはオーブンで蒸し焼き・レモンバターソース)、ミートソースとマッシュポテトのグラタン(いつぞやのをオーブンで温めた)、かぶとルッコラの塩炒め、ご飯はなし。

●2023年1月28日(土)雪が降ったり、止んだり

朝起きたら、また雪がうっすらと積もっていた。
今日こそは、坂を下りようと思っていたのだけど。
きのうは、大豆をことことゆでながら、ひたすら『暦レシピ』にサインをしていた。
心静かな時間。
夕方には、すべて終わって梱包した。
「かもめ食堂」の律ちゃんにいただいた、兵庫産(粟生市のものだと言っていたような)の大豆は大粒で、とてもやわらかかった。
大豆のゆで汁で作ったシチューもおいしかったな。
水をいっさい加えず、スープの素も加えず、塩だけなのにとても濃厚な味になった。
鶏肉、かぶ、小粒じゃがいも、玉ねぎ。
小粒じゃがいもはすっかりひねこびて、芽も出てしまっていたけれど、それがまた栗みたいにねっちりとして煮くずれず、濃い味がした。
去年の暮れに、アムとカトキチが送ってくれた平沢のじゃがいもは、これで最後。

午後、小雪が舞うなか、坂を下りた。
窓から見たら、三宮の方は青空で、こちらに向かっているのが見えたので。
『暦レシピ』を持って、今日子ちゃんとヒロミさんに会いに。
歩いているうちに晴れてきた。
道路の雪はすっかり溶け、すべらずに歩いていけた。
途中でばったり会った今日子ちゃんと、「植物屋」さんにも行った。
私は、水栽培の小さな球根がついた、ムスカリと八重のチューリップを買った。
ふたりとも元気だったな。
思い切って出かけてよかった。
帰るとすぐに、白いムスカリは母の祭壇に、赤いチューリップを桃ちゃんの祭壇に飾った。
夜ごはんは、ねぎとろ巻き(「いかりスーパー」の)、ほうれん草のお浸し、切り干し大根と大豆のゆで汁の味噌汁、昆布の薄味煮。

●2023年1月26日(木)晴れ

きのうは雪が積もった。
近所の子どもたちは学校が休みになったみたいで、朝から声がしていた。
窓からのぞくと、雪の玉を大事そうに抱えて山の方の道から下りてくるのが見えた。
うちの坂は急だから、雪が積もるとすべって下りられない。
だから、一昨日のうちに、「コープさん」で買い物をしておいた。
今朝は、バスが止まってしまったので、今日子ちゃんは歩いて「MORIS」に通勤したのだそう。
歩きながら撮った写真を送ってくれた。
雪化粧した摩耶山に抱かれるように、うちのマンションが小さく映っていた。

今日は朝から快晴。
道路の雪はすっかり溶け、体育館の屋上の雪もずいぶん少なくなっている。
それにしても、このところ私はとてもよく眠れる。
肩の張りは治まったし、首の痛みも、日を追うごとに軽くなってきている気がする。
整体の先生がおっしゃっていた通りだ。
さて今日は、『暦レシピ』のサイン本を作ろう。
あちこち掃除をし、きれいにしてからとりかかろう。
92冊!
おとついの夜、寝る前に『暦レシピ』を読んでみた。
ひとつひとつのレシピが、とつとつと綴られている。
伝えたい一心の言葉で。
なんだかもう、自分の書いたものという感じがしない。
読んでいると、心があたたまるような。
懐かしい気持ちになるような。
それは、道を歩いているときに、ふとどこかの台所から漂ってくる煮物の匂いとか、鍋から上る湯気とか、肉がジュージュー焼ける音とか。
料理自体が持っているあたたかさ、懐かしさ。
本の世界を目に見えるものとして表してくれたのは、川原さんのデザイン。
カバーの色合い、本の厚み、ページをめくるときの手触り、紙の色、文字の佇まい、白い割烹着や布巾のような余白。
すべてがなじんでいる。
いい本ができたなあ。
さ、1冊1冊サインをして、送り出そう。
夕方までには1箱分ができ、梱包も終わった。
夜ごはんは、いつぞやのかき揚げ(むき海老、レンコン・甘辛く煮て卵でとじた)、ワカメのきんぴら、切り干し大根の味噌汁、生のりの手作り佃煮、ご飯。

●2023年1月21日(土)曇り一時雪、のち晴れ

今朝の陽の出は、同じ大きさで海にも映り、オレンジの太陽が2つ。
それを見届け、カーテンは開けたまま目をつぶっていた。
しばらくして起き上がると、小雪が舞っている。
この冬はじめての雪。
灰色の空に、羽毛のような雪。
きのう届いた、『帰ってきた 日々ごはん⑬』の校正をすることにした。
ラジオを聞きながら、ベッドの上で、1月、2月と読み進む。
最終校正なので、ほとんど直すところはないのだけれど、それでもどうしてもというのが、ぽつりぽつりとみつかる。
目を上げると、まだ降っている。
そのうち晴れてきた。
お天気雪だ。
太陽の真下の光は、海から空に向かって発光しているみたい。
窓を開けても、寒くない。
校正を終え、確定申告の支度も終え、「となりのオハコ」の校正も終わった。
3時半ごろ、亜由美さんが「EAT LOCAL KOBE」の季刊誌と生ノリ、フォカッチャ(キクイモ入り)を届けにきてくださった。
窓辺でハーブティーを飲みながら、しばしお喋り。
2021年秋に、亜由美さんたちと神戸市の農家や牧場をまわった小さな旅の記録が公開されました。
来月には、2022年の分も公開される予定だそう。
詳しくは「ちかごろの」をご覧下さい。
夜ごはんは、白菜と生ノリの韓国風スープ、お揚げさんと干し椎茸の甘辛煮、白菜のサラダ、蓮根のきんぴら、卵かけご飯。
炊き立てのご飯がおいしくて、おいしくて。 

●2023年1月20日(金)晴れのち曇り

ゆうべは8時にはベッドに入った。
整体の先生が、湯舟に浸からない方がいいとおっしゃったので、顔だけ洗って。
私はもう何十年も、仰向けの体勢では寝られなかったのだけど、ゆうべはなんなくでき、そのままぐっすり眠ってしまった。
気づいたら、夢のなかという感じだった。
夜中にいちど目が覚めて、トイレに行って、またコトンと寝てしまった。
夢も長いのをふたつみた。
そして、目覚めたら8時半だった。
あんなに痛かった首の痛みは、ほとんどない。
肩こりもない。
というわけで、今日は確定申告の支度。
11月分の現金出納帳をパソコンに入力し、12月分も取りかかった。
整体の先生に教わった、リセットの体操をしながら。
曇ってきたので2階へ。
洗濯ものを取り込みながら眺めると、沖の海がさざ波立っている。
あそこは雨が降っているんだろうか。
さ、もうひとがんばり、続きをやってしまおう。
夜ごはんは、秋鮭のソテー、じゃがいものお焼き、味噌スープ(きのうの味噌汁に牛乳を加えた)、ご飯はなし。

●2023年1月19日(木)曇りのち晴れ

とてもいいお天気。
チイ、チイと、とぎれとぎれに鳴く小鳥の声が、小さく聞こえる。
遠くでカラスがカーア、カーア。
あとは、何の音もしない。
もう木曜日か。
今週は、あっという間だった。
日曜日は撮影で、そのあとは宮下さんと「となりのオハコ」の写真選びやレイアウトのご相談、レシピの修正。
きのうは、ようやくオハコレシピの試作ができた。
とてもとてもおいしくできた。
それで、レシピの細かいところを直したり、しばらく休んでいた現金出納帳の記入をしたり。
今日は、午後から電車に乗って隣町の整体に出かける。
帰りに図書館に寄ろうかな。
出かける前に、あちこち掃除機をかけた。
海は真ん中へんがきらきらしている。
さ、早いけれど、そろそろ出よう。
3時半くらいに帰ってきた。
整体院は、とてもいいところだった。
畳の部屋で、石油ストーブの音だけがしていた。
今は、ぽやーんとして、気持ちがいい。
夜ごはんは、ちょっと早いけれど5時前に食べてしまう。
自分で詰めたお弁当(鯛の煮つけ、干し椎茸の甘煮の白和え、蓮根のきんぴら、スーパーの鶏の唐揚げ、ご飯、たらこ)、かぶと油揚げの味噌汁、かぶの葉のおひたし。

●2023年1月14日(土)雨

ゆうべは雨の音を聞きながら寝た。
ドラマ仕立てのおもしろい夢をみた。
でも、寝坊した。
7時半。
霧でまっ白になった窓を眺めながら、部屋干ししていた洗濯物をたたんだ。
さて、いよいよ明日は「きょうの料理」の撮影なので、仕入れをしに街へ下りないと。
窓を開けると、かすかに花の香りがする。
どこかで梅の花が咲いているんだろうか。
とても暖かい。
さて、ちょっと早いけれど、霧のなか、坂を下りよう。
そして、今日子ちゃんとヒロミさんに会いにいこう。
クリスマスの前に会ったきりだから、とっても久しぶり。
夜ごはんは、いかりさんのお魚弁当、味噌汁(油揚げ、ねぎ)。

●2023年1月12日(木)晴れ

今朝の陽の出の太陽は、やけに大きかった。
きのうとはまた全然違う。
どういう具合でそうなるのかな。
きのうの曙は、それはそれは素晴らしかった。
薔薇色の空というのは、ああいうのをいうんだろうと思った。
見ている間にも色が変わって、水色とのだんだらとなり、またいろいろに移ろって……それからようやく太陽が昇った。
その間ずっと目が離せず、ベッドの上に起き上がって眺めていた。
枕元にiPhoneを置いてあったので、写真も撮った。
どうして枕元にあるかというと、このところ夜寝る前に、ラジオ番組「生きていくための現代短歌」の聞き逃し配信を聞いているから。
まっ暗な部屋に届く東直子さんの声が心地よく、聞いているうちに眠気がやってくる。
さて、「気ぬけごはん」はきのう書き上げてお送りしたので、今日から『帰ってきた 日々ごはん⑬』の再校正をはじめよう。
その合間に、「きょうの料理」の試作をするつもり。
それにしても、今日はぽかぽかと暖かい。
春のよう。
海も霞んで、春霞のよう。
夕方、暗くなってから『暦レシピ』のことで、村上さんからメール。
1点だけ修正があるとのこと。
間違いではないけれど、私の方からも少しだけ気になっていたことがあり、でも、もう間に合わないだろうと思っていたこをお伝えしてみた。
「はい、はい」と聞いていた村上さんの声は、さすがにちょっと揺れていたけれど、ひとつの閃きをくださった。
ふたりで知恵を出し合い、けっきょく2カ所の修正が間に合った。
これで正真正銘、『暦レシピ』はおしまい。
これから印刷所にまわり、製本が成され、2月の頭には本屋さんに並ぶそうです。
18年分の『日々ごはん』を生きてきた私のレシピ、どうかみなさん楽しみにしていてください。
夜ごはんは、レバー料理の試作。鶏レバーとベーコンとしめじの白ワイン炒め、鶏レバーとしめじとじゃがいものバルサミコ炒め、白菜の塩もみサラダ、ご飯はなし。

●2023年1月9日(月)曇りのち雨

窓を開けていても温かい。
朝から、「気ぬけごはん」を書きはじめた。
合間をみて、『暦レシピ』の最終確認。
お昼ごはんは「気ぬけごはん」の試作。
続きを書き、また『暦レシピ』の確認。
3時からは、アノニマの村上さんと電話ですり合せ。
村上さんは一冊分の読み込みが深く、すべてを把握してらっしゃる。
最後の最後まで、小さな修正や確認があるのに、電話の声はとても落ち着いていて、ゆるぎがない。
それがどれだけ助かることか。
私も相当しつこいけれど、こちらなど足下にも及ばないほど、粘り強い。
打たれ強く、そしてやわらかい。
そういう編集者と本作りができていること、感謝の気持ちでいっぱいになる。
ああ、これで『暦レシピ』は、ようやく手が離れたかもしれない。
あとは野となれ山となれ。
日が暮れて、寒くなってきた。
でもまだ、窓を開けていていられる不思議。
今日は東京も、春のような暖かさだそう。
夕方からは、窓辺で編み物。
これは、このところずっと頑張っている原稿書きのご褒美。
夜ごはんは、干し椎茸の甘辛煮、水菜とベーコンの炒め物、オムレツ(鶏レバーとしめじとじゃがいものバルサミコ酢炒めで)、みそ汁(豆腐)。
知らない間に雨が降っている。
染み入るような雨。
炭を焼いているみたいな匂いがする。
もしかして、久しぶりの雨なんだろうか。

●2023年1月6日(金)晴れ

カーテンの隙間が明るくなって、ラジオをつけたら天気予報をやっていた。
そして、7時のニュース。
陽の出は、雲の間から。
半分だけ顔を出し、すぐにまた雲の中へ。
ゆうべは、ゆらゆらとよく眠った。
今朝は熱もなく、気分もすっきり。
いつもの私に戻った感じがする。
きのうまでとはまったく違う。前よりも元気なくらい。
きっと、コロナではなかったんだと思う。
はりはりと動き、洗濯、掃除。
朝ごはんのあとすぐに、『暦レシピ』の確認をして村上さんにメールを送った。
続いて、「となりのオハコ」のエッセイとレシピの仕上げ。
ちょっと早いけれど、宮下さんにお送りした。
さて次は、「毎日のことこと」。
書きたいことはもう決まっているので、午後からとりかかろう。
午前中にコロナの抗原キッドが届いたので、あとで念のために調べてみるつもり。
郵便局の配達の方は、1階にあるマンションのポストではなく、玄関先まで届けてくださった。
ありがたいことだ。
熱が出たときには、これから先のことがまったく予測できず、ものすごく不安になったけれど、神戸市のHPを開き、抗原キッドの申し込みをしたら安心した。
私はひとりではなく、すでにある仕組みの中に収まった感じがした。
外出をせず、家にあるものでごはんを作り、とにかくよく眠って休んでいればいいんだと分かった。
熱が下がらなかったら、うちには解熱剤もあるのだから。
ひとりでいても、自分のしなければならないことが分かっていれば、心は落ち着くのだな。
今、抗原キッドで調べたら、陰性だった!
ああ、よかった。
夜ごはんは、リングイネ(きのう作っておいた玉ねぎと合いびき肉をバターで炒めたもの、水菜、バジルペースト、パルミジャーノ)。

●2023年1月5日(木)快晴

きのうは1階だけ掃除機をかけたのだけど、体が怠いような気がして、ゆっくりとしか動けなかった。
お昼になっても食欲がなく、お粥さんを炊いた。
梅干し以外は食べたくなかった。
夜ごはんもお粥。
干し椎茸の煮たのをひとつ食べ、海苔の佃煮もとてもおいしかった。
夜、熱を計ると8度2分。
念のため、神戸市にコロナの抗原キッドの申し込みをした。
のども痛くないし、発熱だけなので、コロナではないことを願いつつ。
ぐっすり眠って起きた。
今朝は、7度1分。
割合に気分がいい。
「となりのオハコ」の原稿の仕上げをしてしまう。
きのうよりは食欲が出てきたみたい。
ハムエッグを作り、パンを焼いて食べた。
それにしてもいいお天気。
海が光っている。
そういえば今朝の陽の出は、昇ったばかりの太陽が同じ大きさで海に映り、ふたつの太陽が光っているみたいだった。
今は10時半。
みなさんは、仕事はじめの日だろうか。
私はもうしばらく、ベッドに戻ろうと思います。
ゆうべから『小さな国のつづきの話 コロボックル物語⑤』を読みはじめたので、続きを読もう。
お昼ごはんに、冷凍庫から出しておいた合いびき肉1パックを3等分し、白菜とひき肉と春雨のスープを作った。
そのあと、レンコン(りうが送ってくれた)との炒り煮。
残りは、玉ねぎのみじん切りとバターで炒めておいた。
味つけは塩、こしょう。オムレツにもパスタにもできるから。
熱は、微熱と平熱を往ったり来たり。
食欲も少しずつ出てきた模様。
夜ごはんは、白みそのお味噌汁(白菜、大根)、レンコンとひき肉の炒り煮、干し椎茸の甘辛煮、ご飯。
炊き立てのご飯がおいしくて、おかわりした。

●2023年1月2日(月)快晴

8時半に起きた。
ゆうべは、『どですかでん』がとてもよかった。
この映画は、20代のころにいちど見たことがあるのだけど、あのころにはよく分からなかった。
『寅さん』もよかったなあ。
若いころの大地喜和子が色っぽく、元気で可愛らしかった。
私は2本だけでお風呂に入って寝たのだけど、みっちゃんは『寅さん』の1作目、2作目も見たのだそう。
「あれだけ見てたら、口調がそっくりになりそうさや」と、朝言っていた。
神戸に帰る前に、母の本やノートなどの片づけ。
お客さんがあるようだったのに、姉が急に手伝いにきてくれた。
絵本の勉強ノート、聖書の研究ノート、NHKテレビの講座のテキストブック、新聞の切り抜き記事、原発のこともいろいろ勉強していたみたい。
母はすごいな。
私ひとりでやっていたら、いちいち感心してしまい、なかなか進まなかったと思うのだけど、姉のおかげでどんどん整理されていった。
姉は「メルカリ」というのをやっているらしく、いるものといらないものを次々仕分けしていく。
まるで、片づけられない人のところにやってきた、プロの人みたいだった。
私は母の描いた絵や、よく家に呼んで可愛がっていた、自閉症の男の子の作文や詩、絵をまとめてあるのを袋ごともらってきた。
あと、部屋に飾っていた、お祈りをする女の人の絵の額縁。
姉は、「メルカリ」で販売できそうな本や、母が晩年に履いていたスニーカーをもらった。
紙や雑誌の束は、みっちゃんにヒモでくくってもらい、車に乗せて、帰りがてら紙ゴミの収集場に運ぶのだそう。
おかげで12時には片づいた。
みっちゃんとお昼ごはんを食べ、新富士駅まで送ってもらい、2時8分発の新幹線で神戸へ。
この日記は今、新幹線の中で書いています。
夜ごはんは、おにぎり(ゆうべの牡蠣ご飯の)、椎茸の卵とじ、たくあん(姉作)。

●2023年1月1日(日)静岡は快晴

明けまして、おめでとうございます。
元旦はみっちゃんとふたりで。
神戸を出る日から、私は口外炎ができていた。
そしておとといの晩、イタリアンを食べている最中に、舌の上に水泡があることに気がついた。
姉に見せると、ヘルペスじゃないかのこと。
このところずっと肩こりがひどく、首も痛かった。
今朝は、首の痛みがほとんどない。
口の端のヘルペスも、腫れが引いて小さくなっている。
リカがゆうべ、首や背中を触って、リンパマーサージをしてくれたおかげだ。
ゆうべは7時にはお風呂に入り、もう寝ようかと思っていた。
みっちゃんたちが帰ってきたのは8時過ぎで、リカとリコも30分ほどで帰り、私は9時には布団に入った。
教わったマッサージをして(鎖骨の下と、腕)、母の絵本の本棚から『ゆき』を読んで寝た。
『ゆき』はとてもいい絵本だった。
「それでは みなさん、おやすみ さようなら」で終わるところも、すごくよかった。
そんなわけで、ぐっすり眠って7時半に起きた。
みっちゃんは少し前に起きていたみたい。
朝、台所に下りたら、コーヒーをいれていた。
私はいつものように朝風呂に浸かり、お風呂の掃除と洗濯。
元旦のささやかなごちそうをゆっくりしたくして、10時ごろにみっちゃんと。
姉の手製の伊達巻の切れ端、菜の花のおひたし(手作り柚子マヨネーズ)、ブリのお刺身、生ハム&クリームチーズ、鮪の中落ち(青ねぎ)、里芋の煮物(柚子皮)、白菜の塩もみ(昆布、柚子皮、柚子の搾り汁)、ほうれん草のおひたし、お雑煮(大根、白菜、ほうれん草)、灘の純米酒。
去年の暮れ、みっちゃんは幼なじみの山出君と車で淡路島、姫路、神戸を旅したそう。
たつの市というところでは、醤油工場でいろいろな醤油を買ってきてくれたので、味くらべをしながらお刺身を食べた。
うちの窓からも見える、「白鶴」の酒蔵にも行ったんだそう。
そんな旅の話を聞いているうちに、たつの市の龍野町の街並の一角が、『男はつらいよ』の舞台になったらしく、マドンナは大地喜和子だ。
じゃあその映画を「TUTAYA」に借りにいって、一緒に見ようということになった。
お散歩がてら、あとで出掛けよう。
あるといいな。
近所の「TUTAYA」には、『男はつらいよ』のすべてが揃えてあった。
黒澤明の『どですかでん』も借りてきた。
帰り道、みっちゃんとあちこち散歩したのもとてもよかった。
歩いたことがないというので、母が入院していたころに、私が毎日通っていた川沿いの道も案内した。
そこは、図書館の裏手にある、澄んだ水に水草がそよぐ川。
どこを歩いていても、富士山の姿があるのも、とてもよかった。
夜ごはんは、『男はつらいよ 寅次郎 夕焼け小焼け』を見ながら。
蓮根じりじり焼き、里芋の煮物、ブリのヅケとアボガド和え(青じそ)、白菜塩揉み、冷や奴、豚と大根とゆで卵の中華風煮込み、日本酒、ハイボール。

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